以下、本発明を詳細に説明する。
(硬化性材料)
本発明に係る硬化性材料は、硬化性化合物を含む。本発明に係る硬化性材料では、アスペクト比が11以上である窒化ホウ素の一次粒子の凝集物であり、かつ、30%圧縮時における圧縮強度が2.7MPa以上である窒化ホウ素凝集粒子を含む。本発明に係る硬化性材料では、アスペクト比が11未満である窒化ホウ素の一次粒子の凝集物である窒化ホウ素凝集粒子を含まない。
本発明に係る硬化性材料の製造方法は、硬化性化合物と、アスペクト比が11以上である窒化ホウ素の一次粒子の凝集物であり、かつ、30%圧縮時における圧縮強度が2.7MPa以上である窒化ホウ素凝集粒子とを配合し、かつ、アスペクト比が11未満である窒化ホウ素の一次粒子の凝集物である窒化ホウ素凝集粒子を配合せずに、硬化性材料を得る工程を備える。
本発明に係る硬化性材料及び本発明に係る硬化性材料の製造方法では、上記の構成が備えられているので、硬化物の熱伝導性を向上させることができ、かつ、硬化物と金属部との接着性を向上させることができる。また、本発明に係る硬化性材料の硬化物が銅箔などの金属部の表面上に配置された熱伝導性シートにおいて、該硬化物と金属部との剥離が生じる際には、金属部は、金属部と硬化物との界面において剥離されているのではなく、特に、窒化ホウ素凝集粒子が破壊されることによって剥離されていることを、本発明者らは見出した。本発明に係る硬化性材料は、窒化ホウ素凝集粒子の圧縮強度を高めることにより、硬化物部と金属部との接着性をより一層向上させることができる。このような効果を得るために、特定の圧縮強度を有する窒化ホウ素凝集粒子を用いることは、大きく寄与する。
本発明に係る硬化性材料の製造方法は、硬化性化合物と、アスペクト比が11以上である窒化ホウ素の一次粒子の凝集物であり、かつ、30%圧縮時における圧縮強度が2.7MPa以上である窒化ホウ素凝集粒子とを配合する工程を備える。上記工程において、上記硬化性化合物と、上記窒化ホウ素凝集粒子とを配合する方法は、従来公知の混合方法を用いることができ、特に限定されない。上記硬化性化合物に上記窒化ホウ素凝集粒子を配合する方法としては、例えば、ホモディスパー型攪拌機で混練する方法等が挙げられる。
(硬化性材料に含まれる窒化ホウ素凝集粒子)
本発明に係る硬化性材料では、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の30%圧縮時における圧縮強度は、2.7MPa以上である。
硬化物と金属部との接着性をより一層向上させる観点からは、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の30%圧縮時における圧縮強度は、好ましくは2.7MPa以上、より好ましくは6MPa以上である。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の30%圧縮時における圧縮強度の上限は特に限定されない。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の30%圧縮時における圧縮強度は、15MPa以下であってもよい。
硬化物と金属部との接着性をより一層向上させる観点からは、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の20%圧縮時における圧縮強度は、好ましくは2MPa以上、より好ましくは4MPa以上である。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の20%圧縮時における圧縮強度の上限は特に限定されない。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の20%圧縮時における圧縮強度は、12MPa以下であってもよい。
硬化物と金属部との接着性をより一層向上させる観点からは、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の10%圧縮時における圧縮強度は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは2MPa以上である。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の10%圧縮時における圧縮強度の上限は特に限定されない。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の10%圧縮時における圧縮強度は、10MPa以下であってもよい。
硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の10%、20%、及び30%圧縮時における圧縮強度は、以下のようにして測定できる。
微小圧縮試験機を用いて、圧縮速度0.67mN/秒の条件でダイヤモンド製の角柱を圧縮部材として、該圧縮部材の平滑端面を窒化ホウ素凝集粒子に向かって降下させ、最大試験荷重を100mNとし、窒化ホウ素凝集粒子を圧縮する。測定結果として圧縮荷重値と圧縮変位の関係が得られる。圧縮変位と窒化ホウ素凝集粒子の粒子径とから、圧縮率を算出し、10%、20%、及び30%圧縮時の圧縮荷重値が得られる。窒化ホウ素凝集粒子の粒子径から、平均断面積を算出する。10%、20%、及び30%圧縮時の圧縮荷重値と平均断面積とから、10%、20%、及び30%圧縮時の単位面積当たりの圧縮荷重値を算出し、これを10%、20%、及び30%圧縮時の圧縮強度とする。測定する窒化ホウ素凝集粒子は、顕微鏡を用いて粒子を観察し、粒子径から1割未満の誤差の粒子を選出して測定する。測定する窒化ホウ素凝集粒子において、粒子径から1割以上の誤差が生じる場合は、粒子径を考慮して、圧縮率及び平均断面積の補正を行うものとする。また、上記の圧縮強度は、20回の測定結果を平均した平均値として算出する。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー・インストルメンツ社製「微小圧縮試験機 HM2000」等が用いられる。
硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の圧縮強度が、上述した関係を満足することにより、本発明に係る硬化性材料が金属部の表面上に配置された熱伝導性シートにおいて、硬化性材料を硬化させた場合に、硬化物と金属部との接着性をより一層向上させることができる。
上記圧縮強度は、硬化性材料に配合する前の窒化ホウ素凝集粒子を用いて測定してもよく、硬化性材料から硬化性化合物を除去して、回収した窒化ホウ素凝集粒子を用いて測定してもよい。
硬化物と金属部との接着性をより一層向上させる観点からは、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の粒子径は、好ましくは40μm以上、より好ましくは60μm以上であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下である。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記硬化性材料が金属部の表面上に配置された熱伝導性シートにおいて、窒化ホウ素凝集粒子と金属部との接地面積を十分に確保することができ、硬化物と金属部との接着性をより一層向上させることができる。
硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の粒子径は、体積基準での粒子径を平均した平均粒子径であることが好ましい。窒化ホウ素凝集粒子の粒子径は、堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定することができる。窒化ホウ素凝集粒子の平均粒子径は、任意に選択された50個の窒化ホウ素凝集粒子の粒子径を平均し、算出することにより求められる。
硬化物と金属部との接着性をより一層向上させる観点、及び熱伝導性をより一層高める観点からは、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子のアスペクト比は、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子のアスペクト比の下限は特に限定されない。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子のアスペクト比は、1以上であってもよい。
硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子のアスペクト比は、長径/短径を示す。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子のアスペクト比は、複数の窒化ホウ素凝集粒子のアスペクト比を平均した平均アスペクト比であることが好ましい。窒化ホウ素凝集粒子の平均アスペクト比は、例えば、任意に選択された50個の窒化ホウ素凝集粒子を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各窒化ホウ素凝集粒子の長径/短径の平均値を算出することにより求められる。
硬化物と金属部との接着性をより一層向上させる観点、及び熱伝導性をより一層高める観点からは、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の球形度は、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上である。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の球形度の上限は特に限定されない。上記窒化ホウ素凝集粒子の球形度は、1以下であってもよい。
球形度は、窒化ホウ素凝集粒子を電子顕微鏡で観察し、窒化ホウ素凝集粒子の面積及び周囲長から算出することができる。球形度が1に近づくほど真球に近くなる。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の球形度は、複数の窒化ホウ素凝集粒子の球形度を平均した平均球形度であることが好ましい。窒化ホウ素凝集粒子の平均球形度は、任意に選択された50個の窒化ホウ素凝集粒子の球形度を平均し、算出することにより求められる。
熱伝導性をより一層高める観点からは、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の熱伝導率は、好ましくは5W/m・K以上、より好ましくは10W/m・K以上である。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の熱伝導率の上限は特に限定されない。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の熱伝導率は、1000W/m・K以下であってもよい。
熱伝導性をより一層高める観点からは、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の比表面積は、好ましくは15m2/g以下、より好ましくは10m2/g以下である。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の比表面積が上記上限以下であると、窒化ホウ素凝集粒子の内部が密になっているために、熱伝導を阻害する境界面を少なくすることができ、熱伝導性をより一層高めることができる。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の比表面積が上記上限以上であると、細孔内に硬化性化合物が取り込まれ、硬化性材料の粘度が上昇し、硬化性材料の成形性及び塗布性等が悪化する。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の比表面積の下限は特に限定されない。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の比表面積は、1m2/g以上であってもよい。
硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の比表面積は、例えば、島津製作所社製「オートポアIV9510/9500」を用いて、水銀圧入法により、測定することができる。
硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の製造方法としては特に限定されず、噴霧乾燥方法及び流動層造粒方法等が挙げられる。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の製造方法は、噴霧乾燥(スプレードライとも呼ばれる)方法であることが好ましい。噴霧乾燥方法は、スプレー方式によって、二流体ノズル方式、ディスク方式(ロータリ方式とも呼ばれる)、及び超音波ノズル方式等に分類でき、これらのどの方式でも適用できる。全細孔容積をより一層容易に制御できる観点から、超音波ノズル方式が好ましい。
硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子は、窒化ホウ素の一次粒子を材料として製造されることが好ましい。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の材料となる窒化ホウ素としては特に限定されず、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、ホウ素化合物とアンモニアとの還元窒化法により作製された窒化ホウ素、ホウ素化合物とメラミン等の含窒素化合物とから作製された窒化ホウ素、及び、ホウ水素ナトリウムと塩化アンモニウムとから作製された窒化ホウ素等が挙げられる。硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子の熱伝導性をより一層高める観点からは、窒化ホウ素凝集粒子の材料となる窒化ホウ素は、六方晶窒化ホウ素であることが好ましい。
本発明に係る硬化性材料では、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子は、上記窒化ホウ素の一次粒子の凝集物である。本発明に係る硬化性材料では、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素凝集粒子は、上記窒化ホウ素の一次粒子を凝集させた二次粒子である。本発明に係る硬化性材料では、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素のアスペクト比は、11以上である。本発明に係る硬化性材料では、アスペクト比が11未満である窒化ホウ素の一次粒子の凝集物である窒化ホウ素凝集粒子を含まない。なお、アスペクト比が11未満である窒化ホウ素の一次粒子の凝集物である窒化ホウ素凝集粒子を用いないことによって、目的の熱伝導率を達成する場合に、アスペクト比が11以上である窒化ホウ素の一次粒子の凝集物であり、かつ、30%圧縮時における圧縮強度が2.7MPa以上である窒化ホウ素凝集粒子の含有量を相対的に多くすることができ、硬化物と金属部との接着性を効果的に高めることができる。
窒化ホウ素凝集粒子の熱伝導性をより一層高める観点からは、硬化性材料に含まれる上記窒化ホウ素のアスペクト比は、好ましくは11.5以上、より好ましくは12以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
上記窒化ホウ素のアスペクト比は、長径/短径を示す。上記窒化ホウ素のアスペクト比は、窒化ホウ素凝集粒子を構成する複数の窒化ホウ素のアスペクト比を平均した平均アスペクト比であることが好ましい。上記平均アスペクト比は、例えば、任意に選択された50個の窒化ホウ素を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各窒化ホウ素の長径/短径の平均値を算出することにより求められる。
窒化ホウ素凝集粒子の熱伝導性をより一層高める観点からは、上記窒化ホウ素の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。
上記窒化ホウ素の粒子径は、体積基準での粒子径を平均した平均粒子径であることが好ましい。上記窒化ホウ素の粒子径は、堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定することができる。上記窒化ホウ素の平均粒子径は、任意に選択された50個の窒化ホウ素の粒子径を平均し、算出することが好ましい。
硬化物と金属部との接着性をより一層向上させる観点、及び熱伝導性をより一層高める観点からは、硬化性材料100体積%中、上記窒化ホウ素凝集粒子(アスペクト比が11以上である窒化ホウ素の一次粒子の凝集物であり、かつ、30%圧縮時における圧縮強度が2.7MPa以上である窒化ホウ素凝集粒子)の含有量は、好ましくは20体積%以上、より好ましくは30体積%以上であり、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下である。
(硬化性化合物)
本発明に係る硬化性材料は、硬化性化合物を含む。上記硬化性化合物は特に限定されない。上記硬化性化合物は、熱硬化性成分又は光硬化性成分を含むことが好ましく、熱硬化性成分を含むことがより好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
(熱硬化性成分:熱硬化性化合物)
上記熱硬化性化合物としては、スチレン化合物、フェノキシ化合物、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
熱硬化性化合物として、(A1)10000未満の分子量を有する熱硬化性化合物(単に、(A1)熱硬化性化合物と記載することがある)を用いてもよく、(A2)10000以上の分子量を有する熱硬化性化合物(単に、(A2)熱硬化性化合物と記載することがある)を用いてもよく、(A1)熱硬化性化合物と、(A2)熱硬化性化合物との双方を用いてもよい。
硬化性材料100体積%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上であり、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下である。上記熱硬化性化合物の含有量が、上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。上記熱硬化性化合物の含有量が、上記上限以下であると、硬化性材料の塗工性がより一層高くなる。
(A1)10000未満の分子量を有する熱硬化性化合物:
(A1)熱硬化性化合物としては、環状エーテル基を有する熱硬化性化合物が挙げられる。上記環状エーテル基としては、エポキシ基及びオキセタニル基等が挙げられる。上記環状エーテル基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ基又はオキセタニル基を有する熱硬化性化合物であることが好ましい。(A1)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(A1)熱硬化性化合物は、(A1a)エポキシ基を有する熱硬化性化合物(単に、(A1a)熱硬化性化合物と記載することがある)を含んでいてもよく、(A1b)オキセタニル基を有する熱硬化性化合物(単に、(A1b)熱硬化性化合物と記載することがある)を含んでいてもよい。
硬化物の耐熱性及び耐湿性をより一層高める観点からは、(A1)熱硬化性化合物は芳香族骨格を有することが好ましい。
上記芳香族骨格としては特に限定されず、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性をより一層高める観点からは、上記芳香族骨格は、ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。
(A1a)熱硬化性化合物としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー、ナフタレン骨格を有するエポキシモノマー、アダマンタン骨格を有するエポキシモノマー、フルオレン骨格を有するエポキシモノマー、ビフェニル骨格を有するエポキシモノマー、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー、キサンテン骨格を有するエポキシモノマー、アントラセン骨格を有するエポキシモノマー、及びピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。これらの水素添加物又は変性物を用いてもよい。(A1a)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマーとしては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ナフタレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記アダマンタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、及び2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
上記フルオレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシモノマーとしては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、及び1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
上記キサンテン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
(A1b)熱硬化性化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、及びオキセタン変性フェノールノボラック等が挙げられる。(A1b)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、(A1)熱硬化性化合物は、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、(A1)熱硬化性化合物100重量%中、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、好ましくは100重量%以下である。(A1)熱硬化性化合物100重量%中、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物の含有量は、10重量%以上、100重量%以下であってもよい。また、(A1)熱硬化性化合物の全体が、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物であってもよい。
(A1)熱硬化性化合物の分子量は、10000未満である。(A1)熱硬化性化合物の分子量は、好ましくは200以上であり、好ましくは1200以下、より好ましくは600以下、さらに好ましくは550以下である。(A1)熱硬化性化合物の分子量が上記下限以上であると、硬化物の表面の粘着性が低くなり、硬化性材料の取扱性がより一層高くなる。(A1)熱硬化性化合物の分子量が上記上限以下であると、硬化物の接着性がより一層高くなる。さらに、硬化物が固くかつ脆くなり難く、硬化物の接着性がより一層高くなる。
なお、本明細書において、(A1)熱硬化性化合物における分子量とは、(A1)熱硬化性化合物が重合体ではない場合、及び(A1)熱硬化性化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味し、(A1)熱硬化性化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算での重量平均分子量である。
硬化性材料100体積%中、(A1)熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上であり、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下である。(A1)熱硬化性化合物の含有量が、上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。(A1)熱硬化性化合物の含有量が、上記上限以下であると、硬化性材料の塗工性がより一層高くなる。
(A2)10000以上の分子量を有する熱硬化性化合物:
(A2)熱硬化性化合物は、分子量が10000以上である熱硬化性化合物である。(A2)熱硬化性化合物の分子量は10000以上であるので、(A2)熱硬化性化合物は一般にポリマーであり、上記分子量は、一般に重量平均分子量を意味する。
硬化物の耐熱性及び耐湿性をより一層高める観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格を有することが好ましい。(A2)熱硬化性化合物がポリマーであり、(A2)熱硬化性化合物が芳香族骨格を有する場合には、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格をポリマー全体のいずれかの部分に有していればよく、主鎖骨格内に有していてもよく、側鎖中に有していてもよい。硬化物の耐熱性をより一層高くし、かつ硬化物の耐湿性をより一層高くする観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格を主鎖骨格内に有することが好ましい。(A2)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族骨格としては特に限定されず、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性をより一層高める観点からは、上記芳香族骨格は、ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。
(A2)熱硬化性化合物としては特に限定されず、スチレン樹脂、フェノキシ樹脂、オキセタン樹脂、エポキシ樹脂、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
硬化物の酸化劣化を抑え、硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性をより一層高め、さらに硬化物の吸水率をより一層低くする観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、スチレン樹脂、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂であることが好ましく、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂であることがより好ましく、フェノキシ樹脂であることがさらに好ましい。特に、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。また、フェノキシ樹脂の使用により、硬化物の弾性率がより一層低くなり、かつ硬化物の耐冷熱サイクル特性がより一層高くなる。なお、(A2)熱硬化性化合物は、エポキシ基等の環状エーテル基を有していなくてもよい。
上記スチレン樹脂として、具体的には、スチレン系モノマーの単独重合体、及びスチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体等が使用可能である。スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン重合体が好ましい。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及び3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂は、具体的には、例えばエピハロヒドリンと2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格又はジシクロペンタジエン骨格を有することが好ましい。上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格又はビフェニル骨格を有することがより好ましく、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の内の少なくとも1種の骨格を有することがさらに好ましい。これらの好ましい骨格を有するフェノキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性がさらに一層高くなる。
上記エポキシ樹脂は、上記フェノキシ樹脂以外のエポキシ樹脂である。上記エポキシ樹脂としては、スチレン骨格含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
(A2)熱硬化性化合物の分子量は10000以上である。(A2)熱硬化性化合物の分子量は、好ましくは20000以上、より好ましくは25000以上であり、好ましくは1000000以下、より好ましくは250000以下である。(A2)熱硬化性化合物の分子量が上記下限以上であると、硬化物が熱劣化し難い。(A2)熱硬化性化合物の分子量が上記上限以下であると、(A2)熱硬化性化合物と他の成分との相溶性が高くなる。この結果、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
硬化性材料100体積%中、(A2)熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは20体積%以上、より好ましくは30体積%以上であり、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下である。(A2)熱硬化性化合物の含有量が、上記下限以上であると、硬化性材料の取扱性がより一層良好になる。(A2)熱硬化性化合物の含有量が、上記上限以下であると、硬化性材料の塗工性がより一層高くなる。
(熱硬化性成分:熱硬化剤)
上記熱硬化剤は、特に限定されない。上記熱硬化剤として、上記熱硬化性化合物を硬化させることができる熱硬化剤を適宜用いることができる。また、本明細書において、熱硬化剤には、硬化触媒が含まれる。熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、上記熱硬化剤は、芳香族骨格又は脂環式骨格を有することが好ましい。上記熱硬化剤は、アミン硬化剤(アミン化合物)、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤(フェノール化合物)又は酸無水物硬化剤(酸無水物)を含むことが好ましく、アミン硬化剤を含むことがより好ましい。上記酸無水物硬化剤は、芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物を含むか、又は、脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物を含むことが好ましい。
上記アミン硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、ジアミノジフェニルメタン及びジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。硬化物の接着性をより一層高める観点からは、上記アミン硬化剤は、ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物であることがより一層好ましい。硬化性材料の貯蔵安定性をより一層高める観点からは、熱硬化剤は、融点が180℃以上である硬化剤を含むことが好ましく、融点が180℃以上であるアミン硬化剤を含むことがより好ましい。
上記イミダゾール硬化剤としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記フェノール硬化剤としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。硬化物の柔軟性及び硬化物の難燃性をより一層高める観点からは、上記フェノール硬化剤は、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂であることが好ましい。
上記フェノール硬化剤の市販品としては、MEH−8005、MEH−8010及びMEH−8015(以上いずれも明和化成社製)、YLH903(三菱化学社製)、LA−7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356及びLA−3018−50P(以上いずれもDIC社製)、並びにPS6313及びPS6492(以上いずれも群栄化学社製)等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、例えば、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカシッドMTA−10、リカシッドMTA−15、リカシッドTMTA、リカシッドTMEG−100、リカシッドTMEG−200、リカシッドTMEG−300、リカシッドTMEG−500、リカシッドTMEG−S、リカシッドTH、リカシッドHT−1A、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMT−500、リカシッドDSDA及びリカシッドTDA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及びEPICLON B570(以上いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。これらの硬化剤の使用により、硬化物の柔軟性、並びに硬化物の耐湿性及び接着性がより一層高くなる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、リカシッドHNA及びリカシッドHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
上記熱硬化剤は、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸であることも好ましい。メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸の使用により、硬化物の耐水性が高くなる。
硬化性材料100体積%中、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは1体積%以上であり、好ましくは40体積%以下、より好ましくは25体積%以下である。上記熱硬化剤の含有量が、上記下限以上であると、熱硬化性化合物を十分に硬化させることがより一層容易になる。上記熱硬化剤の含有量が、上記上限以下であると、硬化に関与しない余剰な熱硬化剤が発生し難くなる。このため、硬化物の耐熱性及び接着性がより一層高くなる。
(光硬化性成分:光硬化性化合物)
上記光硬化性化合物は、光硬化性を有していれば特に限定されない。上記光硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合を2個以上有することが好ましい。
上記エチレン性不飽和結合を含む基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。効果的に反応を進行させ、硬化物の発泡、剥離及び変色をより一層抑制する観点からは、(メタ)アクリロイル基が好ましい。上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
硬化物の密着性をより一層高める観点からは、上記光硬化性化合物は、エポキシ(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、上記エポキシ(メタ)アクリレートは、2官能のエポキシ(メタ)アクリレートと、3官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートとを含むことが好ましい。2官能のエポキシ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を2個有することが好ましい。3官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を3個以上有することが好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られる。エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ基を(メタ)アクリロイル基に変換することにより得ることができる。光硬化性材料は光の照射により硬化させるので、エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ基を有さないことが好ましい。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート(例えば、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールS型エポキシ(メタ)アクリレート)、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、アミン変性ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
硬化性材料100体積%中、上記光硬化性化合物の含有量は、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上であり、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下である。これらの光硬化性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の密着性がより一層高くなる。
(光硬化性成分:光重合開始剤)
上記光重合開始剤は、特に限定されない。上記光重合開始剤として、光の照射により上記光硬化性化合物を硬化させることができる光重合開始剤を適宜用いることができる。上記光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキサイド、ハロメチル化トリアジン、ハロメチル化オキサジアゾール、イミダゾール、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、アントラキノン、ベンズアンスロン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、チオキサントン、安息香酸エステル、アクリジン、フェナジン、チタノセン、α−アミノアルキルフェノン、オキシム、及びこれらの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、o−ベンゾイル安息香酸メチル及びミヒラーズケトン等が挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤の市販品としては、EAB(保土谷化学工業社製)等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤の市販品としては、ダロキュア1173、ダロキュア2959、イルガキュア184、イルガキュア907、及びイルガキュア369(BASF社製)等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤の市販品としては、イルガキュア651(BASF社製)等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、Lucirin TPO(BASF社製)、及びイルガキュア819(BASF社製)等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤の市販品としては、イソプロピルチオキサントン、及びジエチルチオキサントン等が挙げられる。
オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、イルガキュアOXE−01、及びイルガキュアOXE−02(BASF社製)等が挙げられる。
上記光硬化性化合物100重量部に対して、上記光重合開始剤の含有量は、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上であり、好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。光重合開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光硬化性材料を良好に光硬化させることができる。
(絶縁性フィラー)
本発明に係る硬化性材料は、絶縁性フィラーを含んでいてもよい。上記絶縁性フィラーは、上記窒化ホウ素凝集粒子ではない。上記絶縁性フィラーは、絶縁性を有する。上記絶縁性フィラーは、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよい。上記絶縁性フィラーは、粒子の凝集体ではないことが好ましい。上記絶縁性フィラーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
熱伝導性をより一層高める観点からは、上記絶縁性フィラーは、無機フィラーであることが好ましい。熱伝導性をより一層高める観点からは、上記絶縁性フィラーは、10W/m・K以上の熱伝導率を有することが好ましい。
硬化物の熱伝導性をより一層高める観点からは、上記絶縁性フィラーの熱伝導率は、好ましくは10W/m・K以上、より好ましくは20W/m・K以上である。上記絶縁性フィラーの熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率が300W/m・K程度である無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率が200W/m・K程度である無機フィラーは容易に入手できる。
上記絶縁性フィラーの材質は特に限定されない。絶縁性フィラーの材質は、アルミナ、合成マグネサイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウムであることが好ましく、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウムであることがより好ましい。これらの好ましい絶縁性フィラーの使用により、硬化物の熱伝導性がより一層高くなる。
上記絶縁性フィラーは、球状粒子、又はアスペクト比が2を超える非凝集粒であることが好ましい。これら絶縁性フィラーの使用により、硬化物の熱伝導性がより一層高くなる。球状粒子のアスペクト比は、2以下である。
上記絶縁性フィラーの材質の新モース硬度は、好ましくは12以下、より好ましくは9以下である。絶縁性フィラーの材質の新モース硬度が9以下であると、硬化物の加工性がより一層高くなる。
硬化物の加工性をより一層高める観点からは、上記絶縁性フィラーの材質は、窒化ホウ素、合成マグネサイト、結晶シリカ、酸化亜鉛、又は酸化マグネシウムであることが好ましい。これらの無機フィラーの材質の新モース硬度は9以下である。
熱伝導性をより一層高める観点からは、絶縁性フィラーの粒子径は、好ましくは0.1μm以上、好ましくは50μm以下である。上記絶縁性フィラーの粒子径が上記下限以上であると、絶縁性フィラーを高密度で容易に充填できる。上記絶縁性フィラーの粒子径が上記上限以下であると、硬化物の熱伝導性がより一層高くなる。
上記粒子径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒子径を平均した平均粒子径であることが好ましい。上記絶縁性フィラーの平均粒子径は、任意に選択された50個の絶縁性フィラーの粒子径を平均し、算出することにより求められる。
熱伝導性をより一層高める観点からは、硬化性材料100体積%中、上記絶縁性フィラーの含有量は、好ましくは1体積%以上、より好ましくは3体積%以上であり、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下である。
(他の成分)
上記硬化性材料は、上述した成分の他に、分散剤、キレート剤、酸化防止剤等の硬化性材料及び硬化性シートに一般に用いられる他の成分を含んでいてもよい。
(硬化性材料及び硬化物の他の詳細)
硬化性材料は、硬化性ペーストであってもよく、硬化性シートであってもよい。硬化性材料を硬化させることにより硬化物を得ることができる。この硬化物は、硬化性材料の硬化物であり、硬化性材料により形成されている。上記硬化性シートを硬化させることにより硬化物シートを得ることができる。該硬化物シートは、硬化性シートの硬化物であり、硬化性材料により形成されている。
(積層体)
本発明に係る積層体は、金属部と、上記金属部の表面上に配置された上述した硬化性材料とを備える。上記硬化性材料は、加熱等することで硬化させてもよく、硬化物シートであってもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。なお、図1では、図示の便宜上、実際の大きさ及び厚みとは異なっている。
図1に示す積層体1は、硬化性材料2と、第1の金属部3と、第2の金属部4とを備える。
積層体1では、硬化性材料2は、硬化性シートである。硬化性材料2は、バインダー11と、窒化ホウ素凝集粒子12と、絶縁性フィラー13とを含む。窒化ホウ素凝集粒子12は、上述した窒化ホウ素凝集粒子であることが好ましい。絶縁性フィラー13は、窒化ホウ素凝集粒子ではない。図1では、窒化ホウ素凝集粒子12には、左上から右下に延びる斜線が付されている。図1では、絶縁性フィラー13には、右上から左下に延びる斜線が付されている。
バインダー11は、窒化ホウ素凝集粒子12及び絶縁性フィラー13以外の成分であり、硬化性材料における硬化性化合物を含む。バインダー11を硬化させることで、硬化物を形成することができる。硬化物は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含む熱硬化性成分が硬化した部分であってもよく、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含む光硬化性成分が硬化した部分であってもよい。硬化物は、熱硬化性成分又は光硬化性成分を硬化させることにより得られる。
硬化性材料2の第1の表面上に、第1の金属部3が配置され、積層されている。硬化性材料2の第1の表面とは反対の第2の表面上に、第2の金属部4が配置され、積層されている。第1の金属部3及び第2の金属部4の硬化性材料2側の表面には、図示していないが、微細な凹凸が存在する。
本発明に係る積層体では、硬化性材料の表面上に、上記第1の金属部のみが配置されていてもよく、上記第2の金属部のみが配置されていてもよい。
硬化性材料の硬化前に、上記第1,第2の金属部が配置されてもよく、硬化性材料の硬化時に、上記第1,第2の金属部が配置されてもよい。例えば、上記第1,第2の金属部によって硬化性材料を熱圧着して、硬化性材料を熱硬化させてもよい。
上記第1の金属部の材質は銅であることが好ましい。但し、他の材質であってもよく、上記第1の金属部の材質は特に限定されない。上記第2の金属部の材質は銅やアルミニウムであることが好ましい。但し、他の材質であってもよく、上記第2の金属部の材質は特に限定されない。上記第1,第2の金属部は、銅箔又はアルミニウム箔であることが好ましく、銅箔であることがより好ましい。
上記硬化性材料及び上記積層体では、熱伝導性及び機械的強度等が高いことが求められる様々な用途に用いることができる。上記硬化物は、例えば、電子機器において、発熱部品と放熱部品との間に配置されて用いられる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
(1)窒化ホウ素凝集粒子1の作製
平均長径3.6μm、アスペクト比13である窒化ホウ素の一次粒子を、スプレードライ法で、平均粒子径40μmになるように凝集させることにより作製した。
(窒化ホウ素凝集粒子の30%圧縮時における圧縮強度)
得られた窒化ホウ素凝集粒子の30%圧縮時における圧縮強度を、以下のようにして測定した。
窒化ホウ素凝集粒子の30%圧縮時における圧縮強度の測定方法:
微小圧縮試験機を用いて、圧縮速度0.67mN/秒の条件でダイヤモンド製の角柱を圧縮部材として、該圧縮部材の平滑端面を窒化ホウ素凝集粒子に向かって降下させ、最大試験荷重を100mNとし、窒化ホウ素凝集粒子を圧縮した。測定結果として圧縮荷重値と圧縮変位の関係が得られた。圧縮変位と窒化ホウ素凝集粒子の粒子径とから、圧縮率を算出し、30%圧縮時の圧縮荷重値を得た。窒化ホウ素凝集粒子の粒子径から、平均断面積を算出した。30%圧縮時の圧縮荷重値と平均断面積とから、30%圧縮時の単位面積当たりの圧縮荷重値を算出し、これを30%圧縮時の圧縮強度とした。測定する窒化ホウ素凝集粒子は、顕微鏡を用いて粒子を観察し、粒子径から1割未満の誤差の粒子を選出して測定した。測定する窒化ホウ素凝集粒子において、粒子径から1割以上の誤差が生じる場合は、粒子径を考慮して、圧縮率及び平均断面積の補正を行うものとした。また、上記30%圧縮時の圧縮強度は、20回の測定結果を平均した平均値として算出した。
(窒化ホウ素凝集粒子の粒子径)
得られた窒化ホウ素凝集粒子の粒子径を、堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定した。窒化ホウ素凝集粒子の粒子径は、任意の50個の窒化ホウ素凝集粒子の粒子径を平均することで算出した。
(窒化ホウ素凝集粒子を構成する窒化ホウ素の一次粒子のアスペクト比)
窒化ホウ素凝集粒子の作製に用いた窒化ホウ素の一次粒子のアスペクト比を、以下のようにして測定した。
窒化ホウ素凝集粒子を構成する窒化ホウ素の一次粒子のアスペクト比の測定方法:
窒化ホウ素凝集粒子と熱硬化性樹脂等とを混合して作製したシート断面をクロスセクションポリッシャー(日本電子社製「IB−19500CP」)にて平滑に加工し、加工後のシート断面を電界放出形走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「S−4800」)で観察した。得られた電子顕微鏡画像から、任意に選択された50個の窒化ホウ素の一次粒子の長径/短径の平均値を算出することにより求めた。
(2)硬化性材料の作製
得られた窒化ホウ素凝集粒子1を73.9重量部と、熱硬化性化合物(三菱化学社製「エピコート828US」)24.6重量部と、熱硬化剤(日本カーバイド社製「ジシアンジアミド」)1.2重量部と、熱硬化剤(四国化成工業社製「2MZA−PW」)0.3重量部とを配合し、遊星式攪拌機を用いて500rpmで25分間攪拌することにより、硬化性材料を得た。
(3)積層体の作製
得られた硬化性材料を離型PETシート(厚み50μm)上に、厚み200μmになるように塗工し、90℃のオーブン内で10分間乾燥して硬化性シートを形成し、積層シートを得た。その後、離型PETシートを剥がして、硬化性シートの両面を、銅箔とアルミニウム板とで挟み、温度150℃、圧力5MPaの条件で真空プレスすることにより積層体を作製した。
(実施例2)
(1)窒化ホウ素凝集粒子2の作製
平均長径3.3μm、アスペクト比12.7である窒化ホウ素の一次粒子を、スプレードライ法で、平均粒子径70μmになるように凝集させることにより作製した。
得られた窒化ホウ素凝集粒子2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性材料及び積層体を作製した。
(実施例3)
(1)窒化ホウ素凝集粒子3の作製
平均長径3.7μm、アスペクト比11.2である窒化ホウ素の一次粒子を、スプレードライ法で、平均粒子径70μmになるように凝集させることにより作製した。
得られた窒化ホウ素凝集粒子3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性材料及び積層体を作製した。
(実施例4)
窒化ホウ素凝集粒子1を73.9重量部用いる代わりに、窒化ホウ素凝集粒子1を22.2重量部と窒化ホウ素凝集粒子2を51.7重量部とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性材料及び積層体を作製した。
(比較例1)
(1)窒化ホウ素凝集粒子4の作製
平均長径7.3μm、アスペクト比11.6である窒化ホウ素の一次粒子を、スプレードライ法で、平均粒子径40μmになるように凝集させることにより作製した。
得られた窒化ホウ素凝集粒子4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性材料及び積層体を作製した。
(比較例2)
(1)窒化ホウ素凝集粒子5の作製
平均長径6.7μm、アスペクト比7.3である窒化ホウ素の一次粒子を、スプレードライ法で、平均粒子径40μmになるように凝集させることにより作製した。
得られた窒化ホウ素凝集粒子5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性材料及び積層体を作製した。
(評価)
(1)熱伝導率
得られた積層体を1cm角にカットした後、両面にカーボンブラックをスプレーすることで測定サンプルを作製した。得られた測定サンプルを用いて、レーザーフラッシュ法により熱伝導率を算出した。表1中の熱伝導率は、比較例1の値を1.00とした相対値である。
(2)90度ピール強度(引きはがし強さ)
得られた積層体を50mm×120mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルの中央幅10mmの銅箔が残るように銅箔を剥がし、中央幅10mmの銅箔に対して、JIS C 6481に準拠して、銅箔の引きはがし強さを測定した。上記ピール強度測定装置としては、オリエンテック社製「テンシロン万能試験機」を用いた。表1中の90度ピール強度は、比較例1の値を1.00とした相対値である。
結果を下記の表1に示す。