JP2012020657A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】高いランフラット耐久性、高速耐久性およびハンドリング性能を有するランフラットタイヤを提供する。
【解決手段】カーカス5とビードコア2の間に、ビードコア2の周りに幅方向の内側から外側に折り返され、第1補強層9は第1補強層折返し部の径方向外端9aがビードフィラーの外端8aよりもタイヤ径方向外側に位置し、第2補強層10はカーカスの折返し部の幅方向外面に沿って位置し、径方向外端が第1補強層9の第1補強層折返し部の径方向外端9aよりもタイヤ径方向外側に位置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、特にサイドウォール部を補強するための補強ゴム層を具えるサイド補強型のランフラットタイヤに関する。
従来、パンク等によりタイヤの内圧が低下した状態でも、ある程度の距離を安全に走行することが可能な空気入りタイヤ、いわゆるランフラットタイヤとして、タイヤのサイドウォール部に断面三日月状の補強ゴム層を配置して、サイドウォール部の剛性を向上させた、サイド補強タイプのランフラットタイヤが知られている。サイドウォール部の剛性を大きくすることにより、ランフラット状態(いわゆるパンク状態)での走行可能な距離などの耐久性(以下、「ランフラット耐久性」という。)を向上させることができる。しかしながら、このようなランフラットタイヤは、追加的に設けた補強ゴム層の分だけサイドウォール部が厚くなるため、結果としてタイヤ重量の増加を招くとともに、通常走行時の乗心地性を悪化させるという問題があった。
これに対し、ランフラット耐久性を維持したまま、タイヤの軽量化を図る技術として、特許文献1には、カーカスをエンベロープ構造とし、さらに、ビードコアとカーカスとの間に有機繊維補強層を設ける技術が開示されている。この技術は、カーカスをエンベロープ構造としたことにより、高速耐久性や乗心地性等を向上させ、さらに、有機繊維補強層を設けることで、従来よりも補強ゴム層の厚さを薄くし、タイヤの軽量化を図ったものである。
ところで、近年タイヤに要求される性能、特に、新車装着用のタイヤ(Original Equipment Tire: OEタイヤ)に要求される性能は、車両メーカーの要求性能をも満たす必要があるため、市販用タイヤの性能よりもさらに厳しくなる傾向があり、特許文献1のタイヤよりも優れた性能を有するタイヤを開発する必要があった。
特開2006−130995号公報
本発明は、上記現状に鑑み開発されたもので、高いランフラット耐久性を確保しながら、通常走行時の高速耐久性およびハンドリング性能を向上させた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
さて、本発明者は、サイド補強型のランフラットタイヤにおいて、カーカスをエンベロープ構造とし、カーカスとビードコアの間に第1補強層を設け、さらに、ハンドリング性能を確保するために必要な横方向の剛性を向上させることを目的として、カーカスの折返し部の幅方向外面に沿って第2補強層を設けることにより、ランフラット耐久性を確保しながら、高速耐久性およびハンドリング性能を向上させることを試みた。しかし、ビードコアに隣接して配置されたビードフィラー、第1補強層および第2補強層のそれぞれの端部が、タイヤ径方向および/またはタイヤ幅方向に近い場所にあると、歪が集中し、故障の核となって高いランフラット耐久性の要求性能を満たすことができなかった。そこで、本発明者は、その改善を試みたところ、これら端部の位置を適正に配置することが、所期した目的を達成する上で極めて有効であることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するもので、その要旨構成は以下の通りである。
(1)一対のビード部にそれぞれ埋設されたビードコアに係止され、前記一対のビード部、一対のサイドウォール部およびトレッド部にわたってトロイド状に延びる少なくとも1プライのカーカスと、該カーカスの径方向外側に配設されたベルトと、前記カーカスの内面側であって少なくとも前記サイドウォール部にわたって配設された断面三日月状の補強ゴム層と、前記ビードコアの径方向外側位置に隣接して配設されるビードフィラーとを具え、前記カーカスが、前記一対のビード部、一対のサイドウォール部およびトレッド部にわたってトロイド状に延びるカーカス本体部と、該カーカス本体部から前記ビードコアの周りに巻き返されるカーカス折返し部とで構成され、該カーカス折返し部の径方向外端部が前記ベルトの少なくとも幅方向外端の径方向内方位置まで延びる、いわゆるエンベロープ構造を有する空気入りタイヤにおいて、前記カーカス本体部と前記ビードフィラーおよび前記ビードコアとの間に、前記カーカス本体部に沿って伸びる第1補強層本体部と、該第1補強層本体部から前記ビードコアの周りに巻き返される第1補強層折返し部とで構成され、該第1補強層折返し部の径方向外端が前記ビードフィラーの外端よりもタイヤ径方向外側に位置する第1補強層と、前記カーカスの折返し部の幅方向外面に沿って位置し、径方向外端が前記第1補強層の折返し部の径方向外端よりもタイヤ径方向外側に位置する第2補強層とを設けることを特徴とする空気入りタイヤ。
(2)前記第1補強層折返し部の径方向外端は、前記ビードフィラーの外端からタイヤ径方向外側に5mm以上離隔した位置にある上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
(3)前記第2補強層の径方向外端は、前記第1補強層折返し部の径方向外端からタイヤ径方向外側に5mm以上離隔した位置にある上記(1)または(2)に記載の空気入りタイヤ。
(4)前記第2補強層の径方向内端は、前記ビードフィラーの外端からタイヤ径方向内側に5mm以上離隔した位置で、かつ前記ビードコアの断面中心からタイヤ径方向外側に5mm以上離隔した位置にある上記(1)、(2)または(3)に記載の空気入りタイヤ。
(5)前記第1補強層本体部の径方向外端は、前記ビードコアの断面中心からタイヤ径方向外側に20mm以上離隔した位置にある上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の空気入りタイヤ。
(6)前記第1補強層は、有機繊維コードをゴム被覆したコードゴム被覆層である上記(1)〜(5)のいずれか一に記載の空気入りタイヤ。
(7)前記第2補強層は、前記ビードフィラーと同様のゴムからなるゴム層である上記(1)〜(6)のいずれか一に記載の空気入りタイヤ。
本発明によれば、カーカスをエンベロープ構造とし、第1補強層および第2補強層のそれぞれの端部の位置を適正に配置することにより、高いランフラット耐久性を確保しながら、高速耐久性およびハンドリング性能を向上させた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の空気入りタイヤの一例を、タイヤ半部について示すタイヤ幅方向断面図である。
本発明の空気入りタイヤについて図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に従う空気入りタイヤ100の一例を、タイヤ半部について示す模式的なタイヤ幅方向断面図である。
本発明に従う空気入りタイヤ100は、図1に示すように、一対のビード部1にそれぞれ埋設されたビードコア2に係止され、一対のビード部1、一対のサイドウォール部3及びトレッド部4にわたってトロイド状に延びる少なくとも1プライのカーカス5と、カーカス5の径方向外側に配設されたベルト6と、カーカス5の内面側であって少なくともサイドウォール部3にわたって配設された断面三日月状の補強ゴム層7と、ビードコア2の径方向外側位置に隣接して配設されるビードフィラー8とを具える。そして、カーカス5は、一対のビード部1、一対のサイドウォール部3およびトレッド部4にわたってトロイド状に延びるカーカス本体部5Aと、カーカス本体部5Aからビードコア2の周りに巻き返されるカーカス折返し部5Bとで構成され、カーカス折返し部5Bの径方向外端部5aがベルト6の少なくとも外端の径方向内方位置まで延びる、いわゆるエンベロープ構造を有し、本発明に従う空気入りタイヤ100は、カーカス本体部5Aとビードフィラー8およびビードコア2との間に、カーカス本体部5Aに沿って伸びる第1補強層本体部9Aと、第1補強層本体部9Aからビードコア2の周りに巻き返される第1補強層折返し部9Bとで構成され、第1補強層折返し部9Bの径方向外端9aがビードフィラー8の外端8aよりもタイヤ径方向外側に位置する第1補強層9を設け、カーカス5の折返し部の幅方向外面に沿って位置し、径方向外端10aが第1補強層9の折返し部9Bの径方向外端9aよりもタイヤ径方向外側に位置する第2補強層10を設けることを特徴とする。なお、図1における補強ゴム層7の形状は、断面三日月状であるが、その断面形状はサイド補強の機能を有するものであれば特に限定されない。
本発明に従う空気入りタイヤ100は、かかる構成を有することにより、高いランフラット耐久性を確保しながら、通常走行時の高速耐久性およびハンドリング性能を向上させた空気入りタイヤを提供することができるものである。
具体的には、カーカス5をエンベロープ構造としたことより、路面の小さな突起(例えば、段差)を乗り越すときに発生する衝撃を吸収して、高速耐久性や乗り心地性等を向上させることができ、また、カーカスをエンベロープ構造としたことに加え、第1補強層9を設けたことにより、従来のランフラットタイヤに比べ、補強ゴム層7の厚さを薄くすることができ、タイヤの軽量化を図ることに成功したものである。さらに、補強ゴム層7の厚さを薄くすることができることにより、通常の内圧時におけるトレッド部のショルダー側と路面との接地圧が低下し、タイヤ径方向への成長率を抑制する効果が得られるため、高速耐久性が向上し、加えて、縦バネ(タイヤ縦方向の弾力性)が減少可能となるため、タイヤ内部の重量分布、剛性分布、寸法分布等の均一性であるユニフォミティーが改善される。
さらに、本発明に従う空気入りタイヤ100は、カーカス本体部5Aとビードフィラー8およびビードコア2との間に、カーカス本体部5Aに沿って伸びる第1補強層本体部9Aと、第1補強層本体部9Aからビードコア2の周りに巻き返される第1補強層折返し部9Bとで構成され、第1補強層折返し部9Bの径方向外端9aがビードフィラー8の外端8aよりもタイヤ径方向外側に位置する第1補強層9を設け、カーカス5の折返し部の幅方向外面に沿って位置し、径方向外端10aが第1補強層9の折返し部9Bの径方向外端9aよりもタイヤ径方向外側に位置する第2補強層10を設けることにより、これらビードフィラー8、第1補強層9および第2補強層10のそれぞれの端部を、タイヤ径方向および/またはタイヤ幅方向に離れた場所に配置し、歪の集中を避けることでセパレーション故障を抑制し、高いランフラット耐久性を確保しながら、従来よりも高速耐久性およびハンドリング性能を向上させることができる。
また、図1に示すタイヤにおいては、カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に二枚のベルト層6a,6bからなるベルト6が配置されており、ベルト層6a,6bは、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層6a,6bは、ベルト層6a,6bを構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト6を構成する。なお、図1中のベルト6は、二枚のベルト層6a,6bからなるが、本発明のタイヤにおいては、ベルト6を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。また、本発明に従う空気入りタイヤ100は、図1に示すように、ベルト6のタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなるベルト補強層11をさらに具えてもよい。
第1補強層9の折返し部9Bの径方向外端9aは、ビードフィラー8の外端8aからタイヤ径方向外側に5mm以上離隔した位置にあるのが好ましい。第1補強層9の幅方向外端9aが、ビードフィラー8の外端8aからタイヤ径方向外側に5mm未満の位置にあると、歪が集中して高速耐久およびランフラット耐久時に故障の核となるおそれがあるためである。
第2補強層10の径方向外端10aは、第1補強層9の折返し部9Bの径方向外端9aからタイヤ径方向外側に5mm以上離隔した位置にあるのが好ましい。第2補強層10の径方向外端10aが、第1補強層9の幅方向外端9aからタイヤ径方向外側に5mm未満の位置にあると、歪が集中して高速耐久およびランフラット耐久時に故障の核となるおそれがあるためである。また、図には示されないが、タイヤトレッド部4を、ベースゴム層とこのベースゴム層のタイヤ径方向外側に位置するキャップゴム層とで構成した場合、第2補強層10の径方向外端10aは、上記キャップゴム層までは達しないのが好ましい。高速耐久時に適度なトレッド変形が得られず、故障の核となるおそれがあるためである。
第2補強層10の径方向内端10bは、ビードフィラー8の外端8aからタイヤ径方向内側に5mm以上離隔した位置で、かつビードコア2の断面中心2aからタイヤ径方向外側に5mm以上離隔した位置にあるのが好ましい。第2補強層10の径方向内端10bが、ビードフィラー8の外端8aからタイヤ径方向内側に5mm未満の位置にあると、歪が集中して高速耐久およびランフラット耐久時に故障の核となるおそれがあり、また、第2補強層10の径方向内端10bが、ビードコア2の断面中心2aからタイヤ径方向外側に5mm未満の位置にあるのと、リムとのフィット性が悪化するおそれがあるためである。
第1補強層9の本体部9Aの径方向外端9bは、ビードコア2の断面中心2aからタイヤ径方向外側に20mm以上離隔した位置にあるのが好ましい。第1補強層9の幅方向内端9bが、ビードコア2の断面中心2aからタイヤ径方向外側に20mm未満の位置にあると、成形時に補強層がビード周りより抜けてしまうおそれがあるためである。
第1補強層9は、有機繊維コードをゴム被覆したコードゴム被覆層であるのが好ましい。スチールを使用すると高重量となってしまうためである。また、ハンドリング向上のため、横剛性を上げるという点から、有機繊維コードは、アラミド繊維であるのが好ましい。
第2補強層10は、ビードフィラー8と同様のゴムからなるゴム層であるのが好ましい。同一種ゴムの方が耐久性向上に有利であるためである。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、以下の実施例および比較例に係るランフラットタイヤを用いて行った試験結果について説明する。
(実施例1)
実施例1のランフラットタイヤは、図1に示されるように、一対のビード部にそれぞれ埋設されたビードコアに係止され、一対のビード部、一対のサイドウォール部およびトレッド部にわたってトロイド状に延びるように1プライのカーカスと、このカーカスの径方向外側に配設されたベルトと、カーカスの内面側であってサイドウォール部にわたって配設された断面三日月状の補強ゴム層と、ビードコアの径方向外側位置に隣接して配設されるビードフィラーとを設け、カーカスをエンベロープ構造とし、カーカス本体部とビードフィラーおよびビードコアとの間に、カーカス本体部に沿って伸びる第1補強層本体部と、第1補強層本体部からビードコアの周りに巻き返される第1補強層折返し部とで構成され、第1補強層折返し部の径方向外端がビードフィラーの外端よりもタイヤ径方向外側に位置する第1補強層と、カーカスの折返し部の幅方向外面に沿って位置し、径方向外端が第1補強層の折返し部の径方向外端よりもタイヤ径方向外側に位置する第2補強層とを設けるよう作製した。
第1補強層の折返し部の径方向外端は、ビードフィラーの外端からタイヤ径方向外側に5mm離隔した位置とした。第2補強層の径方向外端は、第1補強層の折返し部の径方向外端からタイヤ径方向外側に5mm離隔した位置とした。第2補強層の径方向内端は、ビードフィラーの外端からタイヤ径方向内側に15mm離隔した位置とした。このとき、第2補強層の径方向内端は、ビードコアの断面中心からタイヤ径方向外側に12mm離隔した位置であった。第1補強層の幅方向内端は、ビードコアの断面中心からタイヤ径方向外側に20mm離隔した位置とした。また、第1補強層は、アラミド繊維をゴム被覆したコードゴム被覆層とし、第2補強層は、ビードフィラーと同様のゴムからなるゴム層とした。
(実施例2)
第1補強層の幅方向外端が、ビードフィラーの外端からタイヤ径方向外側に4mm離隔した位置にあること以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
(実施例3)
第2補強層の径方向外端が、第1補強層の幅方向外端からタイヤ径方向外側に4mm離隔した位置にあること以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
(実施例4)
第2補強層の径方向内端が、ビードフィラーの外端からタイヤ径方向内側に4mm離隔した位置にあること以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
(実施例5)
第2補強層の径方向内端が、ビードコアの断面中心からタイヤ径方向外側に4mm離隔した位置にあること以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
(実施例6)
第1補強層の幅方向内端が、ビードコアの断面中心からタイヤ径方向外側に19mm離隔した位置にあること以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
(実施例7)
第1補強層が、ナイロン繊維であること以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
(実施例8)
第2補強層が、ビードフィラーと異なるゴムからなるゴム層であること以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
(比較例1)
第1補強層および第2補強層を設けないこと以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
(比較例2)
第2補強層を設けないこと以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
(比較例3)
第1補強層の幅方向外端が、ビードフィラーの外端よりもタイヤ径方向内側に4mm離隔した位置としたこと以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
(比較例4)
第2補強層の径方向外端が第1補強層の幅方向外端よりもタイヤ径方向内側に4mm離隔した位置としたこと以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤを作製した。
上記実施例1〜8および比較例1〜4に係るランフラットタイヤのサイズは、いずれも“255/40R19”である。すなわち、トレッド幅が約255mmであり、扁平率(タイヤ幅に対するタイヤ断面高さの比)が約40%であり、リム径が19インチである。これら実施例実施例1〜8および比較例1〜4に係るランフラットタイヤについて、高速耐久性、ランフラット耐久性およびハンドリング性について評価した。
<高速耐久性>
各ランフラットタイヤを室内に設置されたドラムにて、初期速度160km/hから10分ごとに10km/hずつドラム速度を上げて、ランフラットタイヤが故障に至るまでの時間および故障時の速度を測定した。なお、速度が大きいほど高速耐久性に優れている。一般に、OEタイヤの高速耐久性としては、290km/h×4分を超えるものが好ましい。
<ランフラット耐久性>
規定荷重で内圧0Pa(いわゆる、ランフラット状態)の条件で、実施例1〜8および比較例1〜4に係るランフラットタイヤを室内に設置されたランフラットドラムにて、一定の速度で転動させ、比較例1に係るランフラットタイヤが走行可能な距離51kmの指数を“100”とし、実施例1〜8および比較例2〜4に係るランフラットタイヤのランフラット状態における走行可能な距離を相対値で評価した。なお、指数が大きいほど、ランフラット状態における走行可能な距離が長く、いわゆるランフラット耐久性が優れている。一般に、OEタイヤのランフラット耐久性は、30以上であるのが好ましい。
<ハンドリング性>
テストコースにおいて、各空気入りタイヤを装着した車輌の走行中のハンドリング性についてプロドライバーがフィーリング評価し、10点満点の評点で示した。数値が大きいほど、ハンドリング性に優れ、良好である。一般に、OEタイヤのハンドリング性としては、7点を超えるものが好ましい。
表1に、実施例1〜8および比較例1〜4に係るランフラットタイヤの試験結果を示す。
Figure 2012020657
表1の結果より、本発明に従う実施例1〜8のランフラットタイヤは、比較例1〜4のランフラットタイヤと比較して、高いランフラット耐久性を確保しながら、通常走行時の高速耐久性およびハンドリング性能を向上させることができていることがわかる。
本発明によれば、カーカス層がエンベロープ構造を有する空気入りタイヤにおいて、第1補強層および第2補強層のそれぞれの端部の位置を適正化することにより、高いランフラット耐久性を確保しながら、通常走行時の高速耐久性およびハンドリング性能を向上させた空気入りタイヤを提供することができるものである。
1 ビード部
2 ビードコア
3 サイドウォール部
4 トレッド部
5 カーカス
5A カーカス本体部
5B カーカス折返し部
5a カーカスの折返し端部
6 ベルト
7 補強ゴム層
8 ビードフィラー
8a ビードフィラーの外端
9 第1補強層
9A 第1補強層本体部
9B 第1補強層折返し部
9a 第1補強層折返し部の径方向外端
10 第2補強層
10a 第2補強層の径方向外端
11 ベルト補強層

Claims (7)

  1. 一対のビード部にそれぞれ埋設されたビードコアに係止され、前記一対のビード部、一対のサイドウォール部およびトレッド部にわたってトロイド状に延びる少なくとも1プライのカーカスと、
    該カーカスの径方向外側に配設されたベルトと、
    前記カーカスの内面側であって少なくとも前記サイドウォール部にわたって配設された断面三日月状の補強ゴム層と、
    前記ビードコアの径方向外側位置に隣接して配設されるビードフィラーと
    を具え、
    前記カーカスが、前記一対のビード部、一対のサイドウォール部およびトレッド部にわたってトロイド状に延びるカーカス本体部と、該カーカス本体部から前記ビードコアの周りに巻き返されるカーカス折返し部とで構成され、該カーカス折返し部の径方向外端部が前記ベルトの少なくとも幅方向外端の径方向内方位置まで延びる、いわゆるエンベロープ構造を有する空気入りタイヤにおいて、
    前記カーカス本体部と前記ビードフィラーおよび前記ビードコアとの間に、前記カーカス本体部に沿って伸びる第1補強層本体部と、該第1補強層本体部から前記ビードコアの周りに巻き返される第1補強層折返し部とで構成され、該第1補強層折返し部の径方向外端が前記ビードフィラーの外端よりもタイヤ径方向外側に位置する第1補強層と、
    前記カーカスの折返し部の幅方向外面に沿って位置し、径方向外端が前記第1補強層の折返し部の径方向外端よりもタイヤ径方向外側に位置する第2補強層と
    を設けることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記第1補強層折返し部の径方向外端は、前記ビードフィラーの外端からタイヤ径方向外側に5mm以上離隔した位置にある請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第2補強層の径方向外端は、前記第1補強層折返し部の径方向外端からタイヤ径方向外側に5mm以上離隔した位置にある請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第2補強層の径方向内端は、前記ビードフィラーの外端からタイヤ径方向内側に5mm以上離隔した位置で、かつ前記ビードコアの断面中心からタイヤ径方向外側に5mm以上離隔した位置にある請求項1、2または3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記第1補強層本体部の径方向外端は、前記ビードコアの断面中心からタイヤ径方向外側に20mm以上離隔した位置にある請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記第1補強層は、有機繊維コードをゴム被覆したコードゴム被覆層である請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記第2補強層は、前記ビードフィラーと同様のゴムからなるゴム層である請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019218043A (ja) * 2018-06-15 2019-12-26 ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッドHankook Tire & Technology Co., Ltd. 空気入りタイヤのビード補強装置

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