JP2012018841A - 非水系二次電池電極用バインダー樹脂組成物、非水系二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

非水系二次電池電極用バインダー樹脂組成物、非水系二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた初回充放電効率と優れた急速充電特性の両立を可能とする、非水系二次電池電極用のバインダー樹脂組成物、それを用いた非水系二次電池用負極及びこの負極を備えた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】セルロース系高分子又はその金属塩(A)を含み、かつアルカリ金属塩(B)(ただし、アルカリ金属塩(B)は、セルロース系高分子のアルカリ金属ではないこととする)を含むバインダー樹脂組成物であって、アルカリ金属塩(B)由来のアルカリ金属をバインダー樹脂組成物100質量%に対して金属換算で2〜49質量%含有することを特徴とする、非水系二次電池電極用のバインダー樹脂組成物、並びにバインダー樹脂組成物を用いた非水系二次電池用負極及びこの負極を備えた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水系二次電池電極用バインダー樹脂組成物、それを用いた非水系二次電池用負極及びこの負極を備えた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、高容量の二次電池に対する需要が高まってきている。特に、ニッケル・カドミウム、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度が高く、急速充放電特性に優れた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池が注目されている。
リチウムイオン二次電池の正極及び負極は、それぞれ集電体上に、活物質とこの活物質を結着するバインダー樹脂組成物とを含むスラリーを塗布・乾燥することにより形成される。このバインダー樹脂としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系高分子、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等のゴム系高分子、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等のフッ素系高分子が多く用いられている。これらの中でも、CMC等のセルロース系高分子は、活物質との結着性に優れ、エチレンカーボネート等を含有する非水系電解液への膨潤性が低いため、良好なサイクル特性(容量維持率)を発現するが、リチウムイオン伝導性(急速充電特性)が十分ではない。
負極の導電率を改善するために、バインダー樹脂として、導電率の高いカルボキシメチルセルロース(CMC)のカリウム塩又はリチウム塩を用いた負極が提案されている(特許文献1)。しかしながら、カルボキシメチルセルロースのカリウム塩又はリチウム塩の含有量が2質量%を超えると、電解液が負極に浸透しにくくなるため、急速充電特性が低下する。さらに、カルボキシメチルセルロースのカリウム塩又はリチウム塩の含有量が多くなるほど、この傾向が顕著になる。
また、バインダー樹脂組成物として、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性陰イオン系多電解物を0.2〜2質量%含有するものが提案されている(特許文献2)。しかしながら、多電解物は充放電によって副反応を生じ、初回充放電効率が低下する恐れがある。
さらに、電解液組成物として、ナトリウム塩を添加することによって、SEI(Solid Electrolyte Interface)被膜のイオン伝導性が向上することが報告されている(非特許文献1)。なお、SEI被膜とは、負極活物質にリチウムイオンを挿入・脱離することを可能にする電子伝導性のない被膜のことをいう。しかしながら、添加量が多すぎると、初回充放電効率が低下する。
特開平9−161777号公報 特開2005−11808号公報
Journal of The Electrochemical Society 154 (4) A322-A330 (2007)
上述したように、特許文献1、2に記載されているバインダー樹脂組成物や非特許文献1に記載されている電解液組成物は、副反応などにより初回充放電効率が悪く、これを抑制するためにアルカリ金属の含有量を少なくすると、急速充電特性が十分ではなくなるため、更なる改善が望まれる。
本発明は、上記背景技術に鑑みて創案されたものであり、その課題は、セルロース系高分子を含むバインダー樹脂組成物であって、優れた初回充放電効率と優れた急速充電特性の両立を可能とする、非水系二次電池電極用バインダー樹脂組成物、それを用いた非水系二次電池用負極及びこの負極を備えた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行なった。その結果、セルロース系高分子又はその金属塩(A)を含み、かつアルカリ金属塩(B)(ただし、アルカリ金属塩(B)は、セルロース系高分子のアルカリ金属塩ではないこととする)を多量に含有するバインダー樹脂組成物を用いることにより、優れた初回充放電効率と優れた急速充電特性の両立が可能となることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、セルロース系高分子又はその金属塩(A)を含み、かつアルカリ金属塩(B)(ただし、アルカリ金属塩(B)は、セルロース系高分子のアルカリ金属塩ではないこととする)を含むバインダー樹脂組成物であって、アルカリ金属塩(B)由来のアルカリ金属がバインダー樹脂組成物100質量%に対して金属換算で2〜49質量%含有することを特徴とする、非水系二次電池電極用のバインダー樹脂組成物に関する。
本発明は、アルカリ金属塩(B)が、有機塩、無機塩及び錯塩からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩である、非水系二次電池電極用バインダー樹脂組成物に関し、アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属である、バインダー樹脂組成物に関する。
本発明は、バインダーと負極活物質とを含有する負極活物質層を集電体上に形成した負極であって、該バインダーが上記バインダー樹脂組成物である非水系二次電池用負極に関する。上記負極活物質層が、さらにゴム系高分子を含む、非水系二次電池用負極に関する。本発明は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、電解液並びにセパレータを備えた電池であって、上記負極を備えた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池に関する。
本発明の非水系二次電池電極用のバインダー樹脂組成物は、初回充放電効率に優れ、急速充電特性に優れた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池を得ることができる。
本発明は、セルロース系高分子又はその金属塩(A)を含み、かつアルカリ金属塩(B)(ただし、アルカリ金属塩(B)は、セルロース系高分子のアルカリ金属塩ではないこととする)を含むバインダー樹脂組成物であって、アルカリ金属塩(B)由来のアルカリ金属をバインダー樹脂組成物100質量%に対して金属換算で2〜49質量%含有することを特徴とする、非水系二次電池電極用のバインダー樹脂に関する。
従来、非水系二次電池用電極材料中に、リチウムイオン以外の金属イオンが多量に存在すると、電析や副反応の恐れがあり、サイクル特性の低下、容量低下の原因になるとされていた。
しかし、本発明者らは、鋭意検討した結果、セルロース系高分子又はその金属塩(A)を含むバインダー樹脂組成物中に、アルカリ金属塩(B)(ただし、アルカリ金属塩(B)は、セルロース系高分子のアルカリ金属塩ではないこととする)が多量に(具体的には、アルカリ金属塩(B)由来のアルカリ金属がバインダー樹脂組成物100質量%に対して金属換算で2〜49質量%)含有していても、電析や副反応が生じず、さらに急速充電特性が向上することを突き止めた。
本発明のバインダー樹脂組成物によれば、副反応が生じにくいセルロース系高分子と電析が生じにくいアルカリ金属との組み合わせによって、高い初回充放電効率が得られ、さらに、アルカリ金属塩を多量に含有しても初回充放電効率を維持したまま、このアルカリ金属塩がイオン伝導性の高いSEI被膜を形成し、優れた急速充電特性を発現することができる。
バインダー樹脂組成物に含まれるアルカリ金属塩(B)由来のアルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選択される少なくとも1種であり、中でも、リチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、セルロース系高分子のアルカリ金属塩(A)を構成するアルカリ金属と、アルカリ金属塩(B)を構成するアルカリ金属は、同じアルカリ金属であってもよく、異なるアルカリ金属であってもよい。
バインダー樹脂組成物に含まれるセルロース系高分子又はその金属塩(A)としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びその金属塩等が挙げられる。中でも、活物質との結着性に優れ、エチレンカーボネート等を含有する非水系電解液への膨潤性が低い、カルボキシメチルセルロース又はその金属塩が好ましい。
カルボキシメチルセルロースは、特に限定されないが、無水グリコール1単量体単位に対してカルボキシメチル基がエーテル結合している数、すなわち、エーテル化度が、0.5〜1.5のものが好ましい。また、カルボキシメチルセルロースは、平均重合度が、好ましくは100〜2,000、より好ましくは800〜1,500のものである。
カルボキシメチルセルロースの平均重合度が800〜1,500であると、粘度及び分散性が良好であり、活物質の結着性に優れる。
バインダー樹脂組成物中のセルロース系高分子又はその金属塩の含有量は、特に限定されるものではないが、バインダー樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは2〜96質量%、より好ましくは3〜95質量%、特に好ましくは4〜94質量%である。セルロース系高分子又はその金属塩の含有量が上記範囲内であると、結着性に優れ、優れた初回充放電効率と優れた急速充電特性を発現するバインダー樹脂組成物が得られる。
バインダー樹脂組成物中のアルカリ金属塩(B)は、セルロース系高分子のアルカリ金属塩とは異なり、その存在形態は、特に限定されないが、無機アルカリ金属塩、有機アルカリ金属塩及び錯塩の少なくとも1種として存在する。アルカリ金属は、バインダー樹脂組成物中に、例えば、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ金属塩;グリコール酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩として存在する。また、バインダー樹脂組成物中に、錯体を形成するような配位子が含まれている場合には、アルカリ金属の錯塩として存在する場合もある。上述したアルカリ金属の存在状態は、単独で存在しても、2種以上が同時に存在してもよい。
バインダー樹脂組成物中のアルカリ金属塩(B)の含有量は、バインダー樹脂組成物100質量%に対して、4〜98質量%、好ましくは5〜97質量%、より好ましくは6〜96質量%である。
アルカリ金属塩(B)由来のアルカリ金属の含有量は金属換算で、バインダー樹脂組成物100質量%に対して、2〜49質量%、好ましくは2.5〜48.5質量%、より好ましくは3〜48質量%である。アルカリ金属の含有量(金属換算)が2質量%未満であると、優れた急速充電特性を発現しない場合があり、49質量%を超えると、相対的にセルロース系高分子の含有量が少なくなるため、分散性及び結着性が低下する。また、アルカリ金属塩(B)由来のアルカリ金属の含有量は、蛍光X線分析(XRF)や誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)等によって測定することができる。これらの方法を用いて、アルカリ金属塩(B)由来のアルカリ金属の含有量を直接測定する方法や、アルカリ金属イオンと対を成すカウンターアニオンの濃度を測定してこの濃度からアルカリ金属の含有量を推測する方法等が挙げられる。
バインダー樹脂組成物中のアルカリ金属の含有量を調製する方法としては、例えば、セルロース系高分子の製造時に副生するアルカリ金属塩を精製工程の一部を省略することによって残存させる方法や、セルロース系高分子の粉体又はその水溶液にアルカリ金属塩を混合する方法や、さらに、セルロース系高分子を用いて作製した電極スラリーにアルカリ金属塩を添加する方法等が挙げられる。
以下、本発明のバインダー樹脂組成物を用いたリチウムイオン二次電池用電極を製造する方法の一実施の形態について、説明する。なお、本発明のバインダー樹脂組成物は、特に限定されないが、負極活物質の結着に好適に用いることができる。
<負極>
負極は、負極集電体上に、バインダー樹脂組成物等を含む負極活物質層を備えたものが使用される。
負極活物質としての炭素材料は、特に限定されず、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物が挙げられる。有機物の熱分解物としては、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチの炭化物、石油系ピッチの炭化物、又はこれらのピッチを酸化処理したものの炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭化物等及びこれらを一部黒鉛化した炭素材料、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。中でも黒鉛が好ましく、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチに高温熱処理を施すことによって製造された、人造黒鉛、精製天然黒鉛、又はこれらの黒鉛にピッチを含む黒鉛材料等がより好ましく、種々の表面処理が施されたものであってもよい。これらの炭素材料は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
黒鉛材料を用いる場合、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(面間隔)は、好ましくは0.335nm以上であり、また、好ましくは0.340nm以下、より好ましくは0.337nm以下である。
黒鉛材料の灰分は、黒鉛材料の質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。
学振法によるX線回折で求めた黒鉛材料の結晶子サイズ(Lc)は、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、特に好ましくは100nm以上である。
レーザー回折・散乱法により求めた黒鉛材料のメジアン径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上、特に好ましくは7μm以上であり、また、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下である。
黒鉛材料のBET法比表面積は、好ましくは0.5m/g以上、より好ましくは0.7m/g以上、さらに好ましくは1.0m/g以上、特に好ましくは1.5m/g以上であり、また、好ましくは25.0m/g以下、より好ましくは20.0m/g以下、さらに好ましくは15.0m/g以下、特に好ましくは10.0m/g以下である。
黒鉛材料は、アルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析を行った場合に、1580〜1620cm−1の範囲で検出されるピークPの強度Iと、1350〜1370cm−1の範囲で検出されるピークPの強度Iとの強度比I/Iが、0以上0.5以下であるものが好ましい。また、ピークPの半価幅は26cm−1以下が好ましく、25cm−1以下がより好ましい。
なお、上述の各種の炭素材料の他に、負極活物質として公知のリチウムの吸蔵及び放出が可能なその他の材料を使用することもできる。例えば、酸化スズや酸化ケイ素等の金属酸化物、硫化物や窒化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金等が挙げられる。これらの炭素材料以外の材料についても、単独でも、2種以上を併用してもよい。また、上述の炭素材料と組み合わせて用いてもよい。
活物質は、粉末状のものを用いることが好ましい。粉末状の場合、一次粒子の平均粒子径が0.5〜100μmであることが好ましく、より好ましくは、2〜30μmである。
上記の活物質を用いて、活物質層を集電体上に形成することにより、電極とすることができる。電極の製造方法は、特に限定されず、例えば、活物質、バインダー樹脂組成物等を乾式で混合してシート状とし、これを集電体に圧着する方法、活物質、バインダー樹脂組成物等に、溶媒を加えてスラリーとし、これを集電体の基板に塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
負極集電体の材料は、特に限定されず、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも、金属材料が好ましく、より好ましくは銅である。
負極集電体の形状は、特に限定されず、薄膜状、円柱状、板状が挙げられる。薄膜の場合、厚さは、特に限定されないが、通常、5〜30μmである。厚さは、好ましくは9μm以上であり、また、好ましくは20μm以下である。中でも金属薄膜が好ましく、とりわけ銅箔が好ましい。薄膜は、適宜、メッシュ状にすることができる。
負極活物質の量は、通常、負極活物質層中、70〜99.99質量%である。量は、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、また、好ましくは99.9質量%以下である。
バインダー樹脂組成物の量は、特に限定されないが、負極活物質の保持及び機械的強度、並びにサイクル特性、容量、導電性といった電池性能を確保する点から、通常、負極活物質100質量部に対して、0.01〜30質量部である。量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。
負極活物質層には、本発明のバインダー樹脂組成物以外の他のバインダーとして、他の有機化合物、無機化合物又は天然化合物を含有していてもよい。
有機化合物としては、特に限定されず、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム系高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー系高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂系高分子等が挙げられ、中でも、ゴム系高分子が好ましく、より好ましくはSBRである。無機化合物としては、シリケート、水ガラス等が挙げられ、天然化合物としては、アルギン酸又はその塩等が挙げられる。上述したバインダーは、重量平均分子量が1万〜300万ものを使用することができ、好ましくは10万以上であり、また、好ましくは100万以下である。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算)によって求めた値とする。上述したバインダーは、単独でも、2種以上を併用してもよい。
負極の導電性を向上させるために、負極活物質層には導電材を含有させることができる。導電材は、特に限定されず、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、Cu及びNi、又はこれらの合金からなる微粉末(平均粒子径1μm以下)等が挙げられる。導電材は、単独でも、2種以上を併用してもよい。導電材は、負極活物質に対して、10質量%以下であることが好ましい。
スラリーを使用して負極活物質層を形成する場合、その溶媒は、負極活物質等を溶解又は分散することが可能であれば、特に限定されず、水系溶媒、有機系溶媒のいずれも使用することができる。本発明のバインダー樹脂組成物は、水系溶媒を用いてスラリーとして、負極を調製するのに好適である。水系溶媒は、環境への負荷低減の点からも好ましい。
水系溶媒としては水、アルコール(例えば、エタノール等の低級アルコール)等が挙げられ、有機系溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。溶媒は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
スラリーを集電体上に塗布した後、乾燥空気又は不活性雰囲気下で乾燥し、負極活物質層を形成させて負極を得ることができる。乾燥温度は、60℃〜200℃であり、好ましくは80℃以上であり、また、好ましくは195℃以下である。
負極活物質層の厚さは、負極としての実用性及び高密度の電流値に対する十分なリチウムの吸蔵・放出の機能を確保するために、通常、5〜200μmである。厚さは、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下である。
本発明は、上記負極を備えたリチウムイオン二次電池にも関する。リチウムイオン二次電池の基本的構成は、公知のものと同様であり、通常、上記負極の他に、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び電解質を備える。
<正極>
正極として、通常、正極活物質を含む活物質層を集電体上に形成したものが使用される。正極の製造方法は、特に限定されず、例えば、正極活物質、バインダー等を乾式で混合してシート状とし、これを正極集電体に圧着する方法、正極活物質、バインダー等に、溶媒を加えてスラリーとし、これを正極集電体の基板に塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
正極集電体の材料は、特に限定されず、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも、金属材料が好ましく、より好ましくはアルミニウムである。
正極集電体の形状は、特に限定されず、薄膜状、円柱状、板状が挙げられる。薄膜の場合、厚さは、特に限定されないが、正極集電体として必要な強度及び取り扱い性の点から、通常、1μm〜100mmである。厚さは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、また、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは50μm以下である。中でも、金属薄膜が好ましく、適宜、メッシュ状にすることができる。
正極活物質は、リチウムイオンを充放電時に吸蔵・放出できる物質であれば、特に限定されず、金属カルコゲン化合物等が挙げられる。金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの酸化物、モリブデンの酸化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チタンの酸化物、タングステンの酸化物等の遷移金属酸化物、バナジウムの硫化物、モリブデンの硫化物、チタンの硫化物、CuS等の遷移金属硫化物、NiPS、FePS等の遷移金属のリン−硫黄化合物、VSe、NbSe等の遷移金属のセレン化合物、Fe0.250.75、Na0.1CrS等の遷移金属の複合酸化物、LiCoS、LiNiS等の遷移金属の複合硫化物等が挙げられる。中でも、V、V13、VO、Cr、MnO、TiO、MoV、LiCoO、LiNiO、LiMn、TiS、V、Cr0.250.75、Cr0.50.5等が好ましく、より好ましくはLiCoO、LiNiO、LiMn、及びこれらの遷移金属の一部を他の金属で置換したリチウム遷移金属複合酸化物である。正極活物質は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
正極活物質の量は、通常、正極活物質層中、10〜99.9質量%である。量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下である。
バインダーは、本発明のバインダー樹脂組成物以外に他のバインダーを用いることもできる。バインダーは、正極活物質を結着できる物質であれば、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム系高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー系高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂系高分子;ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物が挙げられ、中でも重量平均分子量が1万〜300万ものを使用することができる。重量平均分子量は、好ましくは10万以上であり、また、好ましくは100万以下である。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算)によって求めた値とする。バインダーは、単独でも、2種以上を併用してもよい。
バインダーの量は、特に限定されないが、正極活物質の保持及び機械的強度、並びにサイクル特性、容量、導電性といった電池性能を確保する点から、通常、正極活物質100質量部に対して、0.1〜80質量部である。量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは60質量部以下、より好ましくは40質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。
正極の導電性を向上させるために、正極活物質層には導電材を含有させることができる。導電材は、特に限定されず、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等の炭素粉末、金属繊維、金属粉末、金属箔等が挙げられる。導電材は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
スラリーを使用して正極活物質層を形成する場合、その溶媒は、正極活物質等を溶解又は分散することが可能であれば、特に限定されず、水系溶媒、有機系溶媒のいずれも使用することができる。水系溶媒が、環境への負荷低減の点から好ましい。
水系溶媒としては水、アルコール(例えば、エタノール)等が挙げられ、有機系溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。溶媒は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
特に、水系溶媒を用いる場合、増粘剤を併用することが好ましい。特に、増粘剤をSBR等のゴム系高分子との組み合わせて用いることが好ましい。増粘剤は、特に限定されず、カルボキシメチルセルロース、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。増粘剤は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
増粘剤を使用する場合、その量は、良好な塗布性を確保し、正極活物質層に占める活物質の割合を適正に保ち、電池の容量が低下したり、正極活物質間の抵抗が増大するといった問題を回避するために、通常、正極活物質層中、0.1〜5質量%である。量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上であり、また、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
正極活物質層の厚さは、通常、10〜200μmである。正極集電体へのスラリーの塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
<電解質>
電解質として、通常、非水系溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系電解液、ゲル状電解質、ゴム状電解質、固体シート状電解質等が使用される。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は、特に限定されず、当該分野で公知の非水系溶媒を使用することができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類等が挙げられる。これらの非水系溶媒は、単独でも、2種以上を併用してもよい。中でも、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒が好ましい。
非水系電解液に使用されるリチウム塩は、特に限定されず、当該分野で公知のリチウム塩を使用することができる。例えば、LiCl、LiBr等のハロゲン化物、LiClO、LiBrO、LiClO等の過ハロゲン酸塩、LiPF、LiBF、LiAsF等の無機フッ化物塩、リチウムビス(オキサラトホウ酸塩)LiBC等の無機リチウム塩、LiCFSO、LiCSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩、Liトリフルオロスルフォンイミド((CFSONLi)等のパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩等の含フッ素有機リチウム塩が挙げられる。リチウム塩は、単独でも、2種以上を併用してもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、通常、0.5M以上、2.0M以下である。
上記非水系電解液に、有機高分子化合物を含有させて、ゲル状電解質、ゴム状電解質又は固体シート状電解質とすることもできる。この場合、有機高分子化合物としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリル等のビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド)等のポリマー共重合体等が挙げられる。
非水系電解液には、さらに被膜形成剤を含有させることができる。被膜形成剤としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート等のカーボネート化合物、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイド等のアルケンサルファイド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン等のスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物等の酸無水物等が挙げられる。
被膜形成剤を使用する場合、その量は、適正な初期不可逆容量の確保し、かつ低温特性、レート特性といった電池特性の低下を回避する点から、通常、10質量%以下であり、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。
電解質として、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にリチウム塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端水酸基がアルコキシドに置換されているポリマー等が挙げられる。
<セパレータ>
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常、セパレータを介在させる。非水系電解液は、通常、このセパレータに含浸させて用いる。セパレータの材料は、特に限定されず、当該分野で公知の材料を使用することができ、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエーテルスルホン等が挙げられ、好ましくはポリオレフィンである。
本発明のリチウムイオン二次電池の形態は、特に限定されず、当該分野で公知の形態とすることができる。例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状にして用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池を組み立てる手順は、特に限定されず、電池の構造に応じて適切な手順で組み立てることができる。例えば、外装ケース上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、さらに負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池にすることができる。
次に実施例により本発明の具体的態様をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(バインダー樹脂組成物の調製)
カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(日本製紙ケミカル製、重合度:1000、エーテル化度:0.8、純分:99.4質量%)9gにNaClを1g添加・混合することによって、カルボキシメチルセルロースを90質量%含み、かつ、NaClを10質量%含むバインダー樹脂組成物(バインダー樹脂組成物100質量%に対するNaCl由来のNaの存在割合:2.8質量%、ICP−MS分析(誘導結合プラズマ質量測定装置))を調製した。
上述のとおり調製したバインダー樹脂組成物10gを、水990gに混合し、総重量に対して、カルボキシメチルセルロースの濃度が0.9質量%の混合溶液を得た。
(負極活物質の製造)
天然に産出する黒鉛で、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.36ÅでLcが1000Å以上、タップ密度が0.46g/cm、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.13、平均粒径28.7μm、真密度2.27g/cmにある鱗片状黒鉛粒子を、(株)奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムを用いて、ローターの周速度60m/秒、10分の条件で20kg/hrの処理速度で鱗片状黒鉛粒子を連続的に処理することで、黒鉛粒子表面にダメージを与えながら球形化処理を行い、その後さらに分級処理により微粉の除去を行った。得られた球形化黒鉛質炭素は、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.36ÅでLcが1000Å以上、タップ密度が0.83g/cm、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.24、平均粒径11.6μm、BET法比表面積7.7m/g、真密度2.27g/cm、平均円形度が、0.909であった。
次にこの球形化黒鉛質炭素100質量部と石炭由来のピッチ9.4質量部を捏合機で160℃で加熱混合行い、次いで非酸化性雰囲気で2週間かけて1000℃まで焼成し、その後室温まで冷却し、さらに粉砕分級を行うことで、複層構造球形化炭素材料を得た。この複層構造球形化炭素材料はX線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.36ÅでLcが1000Å以上、タップ密度が0.98g/cm、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.31、平均粒径11.6μm、d10粒径7.6μm、d90粒径17.5μm、BET法比表面積は3.5m/g、被覆率は5.0%で、X線広角回折法による菱面体3Rと六方晶体2Hとの比3R/2Hが0.26、10nm〜100000nmの範囲の細孔容量は0.74ml/gであった。また、使用した石炭由来のピッチを単独で窒素性雰囲気中1300℃まで焼成し、その後室温まで冷却し、粉砕を行うことで得た非晶質炭素単独材のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)は3.45Å、Lcは24Åであった。
(負極作製)
負極活物質10gと、上記混合溶液11.1g、及び、スチレン・ブタジエンゴム(不飽和度:75%、重量平均分子量:12万)の水分散液(固形分濃度50質量%)0.2gを、ハイスピードミキサーを用いて混合し、スラリーとした。このスラリーを銅箔(集電体)上にドクターブレード法で塗布し、110℃で乾燥した。これをロールプレスにより線密度20〜300kg/cmでプレスすることにより、活物質層を形成した。乾燥後の活物質層の質量は10mg/cm、密度は1.6g/cm3、平均電極厚みは68μmであった。以上の手順により作製された負極(リチウムイオン二次電池用負極)を、実施例1の負極とした。
(性能評価用電池の作製)
上記の負極を直径12.5mmの円盤状に打ち抜き、110℃で減圧乾燥して電池評価用負極とした。この電池評価用負極と、円盤状(直径14mm)に打ち抜かれた対極(リチウム金属、厚さ0.5mm)とを、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=3:7(体積比)の混合液に1MのLiPFを混合した電解液を含浸させたセパレータを介して重ねて、充放電試験用の半電池を作製した。
(初期効率評価)
上記の性能評価用電池に、0.2mAの電流で0.01V(Li/Li)まで充電し、さらにこの電圧で負極活物質1gあたりの電流容量が350mAhとなるまで充電した。次いで、0.4mAの電流で1.5Vまで放電した。このときの初期効率を下記式(1)により求めた。結果を表1に記した。
初期効率[%]=[1.5Vまで放電したときの放電容量/0.01Vまで充電したときの充電容量(350mA)]×100 ・・・(1)
(急速充電特性評価)
上記試験に続き、0.2mAの電流で0.005V(Li/Li)まで充電を行い、さらに電流値が0.02mAとなるまで充電を継続した。次いで、0.4mAの電流で1.5Vまで放電した。この過程をさらに2回繰り返した後、2.5mAの電流で0.005V(Li/Li)まで充電を行い、0.4mAの電流で1.5Vまで放電した。このときの急速充電特性を下記式(2)により求めた。結果を表1に記した。
急速充電特性[%]=[2.5mAで充電したときの充電容量/0.2mAで充電したときの充電容量]×100 ・・・(2)
[実施例2]
バインダー樹脂組成物の調製において、NaClを4g(バインダー樹脂組成物100質量%に対するNaCl由来のNaの存在割合:8.7質量%)混合したこと以外は実施例1と同様にして、作製した負極を実施例2の負極とした。
[実施例3]
バインダー樹脂組成物の調製において、NaClを6g(バインダー樹脂組成物100質量%に対するNaCl由来のNaの存在割合:11.4質量%)混合したこと以外は実施例1と同様にして、作製した負極を実施例3の負極とした。
[実施例4]
バインダー樹脂組成物の調製において、1gのNaClを1gのグリコール酸Na(バインダー樹脂組成物100質量%に対するグリコール酸Na由来のNaの存在割合:2.3質量%)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、作製した負極を実施例4の負極とした。
[実施例5]
バインダー樹脂組成物の調製において、NaClを添加・混合する代わりに、カルボキシメチルセルロースの精製工程を一部省略して、製造時に副生するNaClとグリコール酸Naを含むカルボキシメチルセルロース(重合度:1000、エーテル化度:0.8、純分:80質量%、NaCl含有割合:10質量%、グリコール酸Na含有割合:10質量%、バインダー樹脂組成物100質量%に対するNaCl及びグリコール酸Na由来のNaの存在割合:5.2質量%)10gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、作製した負極を実施例5の負極とした。
[比較例1]
バインダー樹脂組成物の調製において、NaClを添加しないこと以外は実施例1と同様にして、作製した負極を比較例1の負極とした。
[比較例2]
バインダー樹脂組成物の調製において、NaClを0.2g(バインダー樹脂組成物100質量%に対するNaCl由来のNaの存在割合:0.22質量%)混合したこと以外は実施例1と同様にして、作製した負極を比較例2の負極とした。
Figure 2012018841
表1の結果から、以下のことが明らかである。
実施例1〜5の電池は、比較例1〜2との電池と比較して、初回充放電効率が同等以上であり、かつ、高い急速充電特性を示している。したがって、本発明のバインダー樹脂組成物を用いることにより、高い初回充放電効率を維持したまま、急速充電特性を向上できる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、初回充放電効率に優れ、かつ、急速充電特性を改善した非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池を得ることができる。本発明のバインダー樹脂組成物を用いた電極は、水系溶媒を用いて電極を調製することができ、環境への負荷も小さく、産業上有用である。

Claims (5)

  1. セルロース系高分子又はその金属塩(A)を含み、かつアルカリ金属塩(B)(ただし、アルカリ金属塩(B)は、セルロール系高分子のアルカリ金属塩ではないこととする)を含むバインダー樹脂組成物であって、アルカリ金属塩(B)由来のアルカリ金属をバインダー樹脂組成物100質量%に対して金属換算で2〜49質量%含有することを特徴とする、非水系二次電池電極用のバインダー樹脂組成物。
  2. アルカリ金属塩(B)が有機塩、無機塩及び錯塩からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩である、請求項1記載のバインダー樹脂組成物。
  3. バインダーと負極活物質とを含有する負極活物質層を集電体上に形成した負極であって、該バインダーが、請求項1又は2記載のバインダー樹脂組成物であることを特徴とする、非水系二次電池用負極。
  4. 負極活物質層が、さらにゴム系高分子を含む、請求項3記載の非水系二次電池用負極。
  5. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極、負極及び電解液を備えた電池であって、該負極が、請求項4記載の負極であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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