JP3969164B2 - リチウム二次電池用負極材料及びそれから製造された負極体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池用負極材料及びそれから製造された負極体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化に伴い高容量の二次電池の高容量化が望まれている。そのためニッケル・カドミウム電池、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度の高いリチウム二次電池が注目されている。
その負極材料としては、最初にリチウム金属を用いることが試みられたが、充放電を繰り返すうちにデンドライト状のリチウムが析出し、セパレータを貫通して正極にまで達し、短絡して発火事故を起こす可能性があることが判明した。そのため、現在では、充放電過程における非水溶媒の出入りを層間で行ない、リチウム金属の析出を防止できる炭素材料を負極材料として使用することが注目されている。
【0003】
この炭素材料としては、特開昭57−208079号公報に、黒鉛材料を使用することが提案されている。特に、結晶性のよい黒鉛をリチウム二次電池用の炭素負極材料として用いると、黒鉛のリチウム吸蔵の理論容量である372mAh/gに近い容量が得られ、材料として好ましいことは知られている。
しかしながら、一方、リチウム一次電池で一般的に使用されるプロピレンカーボネート(PC)は高沸点溶媒であり、低温でも高いイオン電導度を発現できるという点で好ましい有機溶媒であるにも関わらず、黒鉛系電極を用いた場合には、溶媒と電極の分解反応が激しく、そのためリチウムの黒鉛層間への挿入・脱離が行えないので、十分な容量が得られず、これまで実用には供されなかった。これを避けるためには、黒鉛材料よりも結晶性の低い、いわゆる非晶質炭素材料を用いるとよいことが知られているが、これらの材料は、Li/Li+電極に対する電位が高く、正極との電位差が取りにくい。また、真密度が黒鉛より低いので、体積当たりの容量が低くなるという欠点があった。更に、一般に粒子が堅いので、電極成形性に欠け、従って電極密度を向上させにくいという問題もあった。また、γ−ブチロラクトン(GBL)は、従来から安全性の高い溶媒であるが、これも溶媒と負極の分解反応が見られ、リチウムの黒鉛層間への挿入・脱離は十分でなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、非晶質炭素材料を用いた場合に比較して、リチウム充放電時の電位の変化がLi/Li+電極の電位に近く、かつ充放電による電位ヒステリシスを持たないため、正極電位との差を取りやすいような負極材料でありながら、プロピレンカーボネートやγ−ブチロラクトンのような、これまで黒鉛系電極では十分作動させることのできなかった有機溶媒成分を含む電解質を用いた場合にも、これまでと同様、充放電容量を得ることが出来るようなリチウム二次電池用負極材料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題の解決のために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造及び特性を有する負極材料を用いると、これまで黒鉛系電極では十分作動させることのできなかった有機溶媒成分を含む電解液を用いた場合にも、負極を作動させることができることを見出して、本発明を完成させた。
【0006】
即ち本発明の要旨は、黒鉛系炭素質物に該黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物を被着させた構造を有する粉体状の負極材料であって、該負極材料と結着剤とから作製された負極体を、プロピレンカーボネート又はγ−ブチロラクトンから選ばれる有機溶媒を10〜99.5重量%含有しかつ皮膜形成剤を0.1〜10重量%含有する電解液を構成要素とするリチウム二次電池で使用するものであり、上記負極材料は以下の条件(イ)、(ロ)、(ハ)及び(ニ)を満たすものであることを特徴とするリチウム二次電池用負極材料、に存する。
【0007】
(イ)上記負極材料が、全体を100重量部としたとき、黒鉛系炭素質物を50〜99.5重量部、該黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物を0.5〜50重量部含有すること、
(ロ)上記負極材料のX線広角回折法(XRD)における菱面体晶系黒鉛層(ABCスタッキング層)の配向に基づくXRD(101面)のピークの強度ABC(101)と六方晶系黒鉛層(ABスタッキング層)の配向に基づくXRD(101面)のピークの強度AB(101)との比:ABC(101)/AB(101)の値(以下「ABC/AB」という)が0.01以上であること、
(ハ)上記黒鉛系炭素質物のX線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が3.37Å未満であり、該黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物のd002が3.37Å以上であること、並びに
(ニ)上記負極材料と結着剤とから作製された負極体を、上記電解液を用い、Liを対極として評価した際、0〜1.5Vのカットオフ電位で充放電を行わせた時の、下式で算出される初回効率が70%以上であること。
【0008】
【数2】
初回効率=
初回の放電容量(mAh/g)/初回の充電容量(mAh/g)x100(%)
また本発明の他の要旨は、上記リチウム二次電池用負極材料を含む粉体を結着剤と共に集電体上に付着させ、乾燥させて得られたことを特徴とするリチウム二次電池用負極体、に存する。
【0009】
本発明のさらに他の要旨は、プロピレンカーボネート又はγ−ブチロラクトンから選ばれる有機溶媒を10〜99.5重量%含有しかつ皮膜形成剤を0.1〜10重量%含有する電解液と、正極と、上記リチウム二次電池用負極体と、を備えてなることを特徴とするリチウム二次電池、に存する。
プロピレンカーボネート(PC)の分解は、黒鉛の表層や層間で行われるコインタカレーションにより起こることが知られているが、本発明のリチウム二次電池用負極材料においては、結晶性の劣る炭素質物が黒鉛系炭素質物に被着した構造を有しており、それによって上記の分解作用が著しく低減されていると考えられる。特に初期充電時には、PCやγ−ブチロラクトン(GBL)が直接黒鉛系炭素質物に多量に接触することなく、負極材料および電解液の分解が抑制されていると考えられる。従って、単に黒鉛と結晶性の劣る炭素質物とが共存するように混合された負極系に比べても、充放電初期にリチウムの挿入・脱離に好ましい皮膜の形成、いわゆるSEI形成が行われる。このことは、従来黒鉛系負極では作動しなかったPCやGBL系の溶媒中でもサイクル継続時に容量が保持されることに繋がっていると推察される。即ち、本負極材料は、黒鉛系炭素質物が有する高容量性と、結晶性の劣る炭素質物が有する電解液への反応耐性との両特性を引き出した負極材料であると言うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき詳細を述べる。
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、黒鉛系炭素質物に該黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物を被着させた構造を有する粉体状の負極材料であって、特定の物性を有するものである。
【0011】
ここで「被着」とは、ある材料からなる核材の表面の少なくとも一部に他の材料からなる被覆相を形成させることを意味し、該被覆相の形成が該核材に対して外部から供給された材料の付着によるか、或いは該核材の表面部の材料の変質によるかは問わない。
[黒鉛系炭素質物]
本発明において核材として用いられる黒鉛系炭素質物とは、高結晶性の黒鉛系炭素質物を指し、X線広角回折法による(002)面の面間隔:d002が3.37Å未満の高結晶性のものを用いる。具体例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、これらの機械的粉砕品、再熱処理品、膨張黒鉛の再熱処理品、或いはこれらの黒鉛の高純度精製品から選ばれる粉体が好ましい。
【0012】
天然黒鉛は、X線広角回折法(XRD)における菱面体晶系黒鉛層、即ちABCスタッキング層、の配向に基づくXRD(101面)のピークの強度ABC(101)と、六方晶系黒鉛層、即ちABスタッキング層、の配向に基づくXRD(101面)のピークの強度AB(101)との強度比:ABC(101)/AB(101)の値(ABC/AB)の大きいものを数多く選べるので特に好ましく、更に高結晶性のものを高純度精製した品がより好ましい。
【0013】
人造黒鉛の具体例としては、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等から選ばれる1種以上の有機物を、通常、2500℃以上、3200℃以下程度の焼成温度で黒鉛化したものを、適当な粉砕手段で粉化したものが好ましい。
【0014】
特に、人造黒鉛、天然黒鉛、その他黒鉛系炭素質物の種類に関わらず、これら黒鉛系炭素質物の粉体をX線回折(XRD)にて101面を測定した時に得られる、グラフェン面のABCスタッキング層とABスタッキング層との両配向に基づくXRD(101面)のピークの強度比:ABC(101)/AB(101)(「ABC/AB」)の値が、0.15以上であるものが好ましい。0.3以上であるものはより好ましく、0.4以上であるものはさらに好ましい。これは、ABCのスタッキングが多くなると、いわゆる乱層構造となり、PCの黒鉛層面内部へのコインターカレーションが抑制され、溶媒分解による炭素層の剥離が抑制されるためと考えられる。
【0015】
[黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物]
上記の黒鉛系炭素質物からなる核材の表面に被覆相を形成させるための「黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物」(以下の説明において単に「結晶性の劣る炭素質物」ということもある)としては、核材の黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る種々の炭素質物を用いることができ、X線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が3.37Å以上を示す結晶性の低い各種炭素質物を用いる。
【0016】
上記「黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物」からなる被覆相の形成は、黒鉛系炭素質物からなる核材の表面部の変質、核材の外部から供給された結晶性の劣る炭素質物からなる材料の付着、或いは核材の外部から供給された各種材料の付着及び結晶性の劣る炭素質物への変質、等の種々の形態で達成される。
上記「黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物」の具体例としては、上記人造黒鉛の具体例のところで述べた有機物を、通常、500℃以上、2500℃未満程度の温度で焼成したものが挙げられる。また、上記の各種黒鉛をボールミル等の摩砕手段を用いて処理し、d002が3.37Å以上を示すようにしたものでもよい。
【0017】
また、「黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物」の粉体においては、前述のXRDのABC/ABが0.01以上であるものが好ましく、0.3以上であるものは更に好ましい。
[リチウム二次電池用負極材料]
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、黒鉛系炭素質物に該黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物を被着させた構造、即ち黒鉛系炭素質物からなる核材の表面の少なくとも一部に該黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物からなる被覆相を形成させた構造、を有する粉体状の負極材料である。
【0018】
上記リチウム二次電池用負極材料における、黒鉛系炭素質物と、結晶性の劣る炭素質物との割合は、重量比で、99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜75/25、より好ましくは94/6〜80/20である。結晶性の劣る炭素質物の量が少なすぎると被覆の効果が薄く、逆に多すぎると負極容量の低下を招く。
【0019】
また、上記負極材料は、そのX線広角回折法(XRD)における菱面体晶系黒鉛層(ABCスタッキング層)の配向に基づくXRD(101面)のピークの強度ABC(101)と六方晶系黒鉛層(ABスタッキング層)の配向に基づくXRD(101面)のピークの強度AB(101)との比:ABC(101)/AB(101)の値(以下「ABC/AB」という)が0.01以上であることが必要である。
【0020】
さらに、上記負極材料を、波長5145Åのアルゴンイオンレーザー光を用いてラマンスペクトル分析した際、1570〜1620cm-1の範囲に存在するピークの強度をIA、1350〜1370cm-1の範囲に存在するピークの強度をIBとしたとき、その比であるR値(=IB/IA)が、0.2を超えるものが好ましく、0.3〜1.5であるものは更に好ましい。
【0021】
前記の通り、黒鉛系炭素質物にこれより結晶性の劣る炭素質物を被着させる方法、即ち黒鉛系炭素質物の表面にこれより結晶性の劣る炭素質物からなる被覆相を形成させる方法、は多様であるが、代表的な方法は次の通りである。
▲1▼ 黒鉛系炭素質物を機械的又は化学的に処理して、その表面部の黒鉛系炭素質物をより結晶性の劣る炭素質物に変質させる方法。
【0022】
▲2▼ X線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が3.37Å以上を示すような結晶性の低い土状黒鉛や鱗状黒鉛、これらの粉砕物、好ましくはレーザー回折法で得られる平均粒径d50が5μm以下、更に好ましくは1μm以下、最も好ましくは0.5μm以下となるように微粉砕した粉体、を黒鉛系炭素質物の表面に、必要により適当な粉体結着剤を用いて、結着させる方法。
【0023】
▲3▼ 焼成後にはリチウムイオンを吸蔵・放出可能な結晶性の劣る炭素質物に変質し得る性質を有する有機物を、黒鉛系炭素質物の表面に付着させ、これを焼成して結晶性の劣る炭素質物に変質させる方法。
上記各方法の中では上記▲3▼の方法(以下、焼成法という)が、簡便であり、かつ得られる効果としても優れた方法である。
【0024】
上記焼成法において使用される有機物の具体例としては、炭素化可能な有機物として、液相で炭素化が進行する軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチや乾留液化油などの石炭系重質油や、常圧残油、減圧残油等の直留系重質油、原油、ナフサなどの熱分解時に副生するエチレンタール等分解系重質油等の石油系重質油、或いは以上のものを炭素化が進む温度以下の温度で蒸留、溶媒抽出等の手段を経て固化したものが挙げられる。更にアセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジンなどの窒素含有環状化合物、チオフェンなどの硫黄含有環状化合物、30MPa以上の加圧が必要となるがアダマンタンなどの多環脂環式化合物が挙げられる。また熱可塑性高分子である、炭素化に至る過程で液相を経るビフェニルやテルフェニルなどのポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールなどのポリビニルエステル類、ポリビニルアルコールが挙げられる。また、上記各種の有機物質に適量の燐酸、ホウ酸、塩酸などの酸類、水酸化ナトリウム等のアルカリ類を添加したものでもよい。更にこれらのものを300〜600℃、好ましくは300〜400℃で酸素、硫黄、窒素、又は硼素から選ばれる元素により適度に架橋処理したものでもよい。
【0025】
上記焼成法においては、上記黒鉛系炭素質物と上記有機物とを混合し、焼成を行う。焼成温度は、通常、500〜2200℃、好ましくは650〜1500℃、更に好ましくは700〜1200℃とする。焼成温度が低すぎると導電性に劣り、逆に高すぎると上記PCやGBLを含有する溶媒を含む電解液中で用いた場合、これらを分解しやすくなる。
【0026】
上記焼成法その他の方法で製造された黒鉛系炭素質物にこれより結晶性の劣る炭素質物を被着させた構造を有する材料は、必要により適当な解砕又は粉砕の処理を行って、粒径が4〜40μm、好ましくは10〜32μm、更に好ましくは15〜30μmに調整して、本発明のリチウム二次電池用負極材料の粉体とする。
【0027】
上記負極材料のBET法によって求められる表面積は0.5〜25m2/gの範囲であるのが好ましい。
さらに、上記負極材料は、該負極材料と結着剤とから作製された負極体を、上記のPC又はGBL並びに皮膜形成剤を含有する溶媒を含む電解液を用い、Liを対極として評価した際、0〜1.5Vのカットオフ電位で充放電を行わせた時の、下式で算出される初回効率が70%以上であることが必要である。
【0028】
【数3】
初回効率=
初回の放電容量(mAh/g)/初回の充電容量(mAh/g)x100(%)
上記の充放電の条件としては、上記電解液を用い、Li対極で、上記負極材料を用いた電極と共にコイン型セルを組み、0.16mA/cm2で0Vまで充電し、0.33mA/cm2で1.5Vまで放電させるものとする。
【0029】
上記の初回効率の値が70%以上のものは、PC分解によるガス発生量が少なく、かつ後続サイクル時の容量も維持されやすい。初回効率は好ましくは85%以上であり、より好ましくは92%以上である。
本発明の負極材料における上記のような好ましい特性の取得は、黒鉛系炭素質物に被着させるこれより結晶性の劣る炭素質物の量及び結晶性の程度、例えば焼成法における焼成温度の調整によって達成することができる。
【0030】
[電解液]
本発明のリチウム二次電池用負極材料と結着剤とから作製された負極体を使用するための電解液は、プロピレンカーボネート(PC)又はγ−ブチロラクトン(GBL)から選ばれる有機溶媒を10〜99.5重量%含有し、皮膜形成剤を0.1〜10重量%含有し、さらに電解質としてのリチウム塩を含有する電解液である。
【0031】
上記電解液に使用し得る有機溶媒は、先ずプロピレンカーボネート又はγ−ブチロラクトンであり、これらを10〜99.5重量%含む電解液が対象となる。該電解液の組成の残部は、種々の有機溶媒を用いることができる。例えばエチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類、スルホラン等が挙げられる。
【0032】
また上記皮膜形成剤としては、例えばビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、メチルフェニルカーボネート、エチレンサルファイト(ES)、プロピレンサルファイト(PS)、1、3−プロパンスルトン、1、4−ブタンスルトン、或いは無水コハク酸、無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられ、好ましくはビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、無水コハク酸及び無水マレイン酸である。皮膜形成剤の添加量は0.1〜10重量%、好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。添加量が多すぎると初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下を招くおそれがある。
【0033】
上記電解質としてのリチウム塩としては、例えばLiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiCl、LiBr、Liトリフルオロスルホンイミド等の塩が挙げられる。電解質の濃度は有機溶媒中に0.5〜2.0M程度とする。
これらの電解液を更に有機高分子化合物中に含ませて、ゲル状、ゴム状或いは固体シート状としたものを用いてもよい。そのような場合には骨材となる有機高分子化合物の分量を除いた有機溶媒のみの組成で上記組成を議論する。これら有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、これらポリエーテル化合物の架橋体高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、これらの不溶化物、ポリエピクロルヒドリン、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルが挙げられる。また、ポリ(ω−ヒドロキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−ヒドロキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)等のポリマー共重合体も使用可能である。
【0034】
また、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもでき、その例としては、上記ポリエーテル系高分子化合物にLi塩を溶解させたものや、ポリエーテル末端水酸基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
[リチウム二次電池用正極]
本発明のリチウム二次電池を構成するための正極体の材料は、特に限定されないが、リチウムイオンなどのアルカリ金属カチオンを充放電時に吸蔵、放出できる金属カルコゲン化合物からなることが好ましい。そのような金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの酸化物、バナジウムの硫化物、モリブデンの酸化物、モリブデンの硫化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チタンの酸化物、チタンの硫化物及びこれらの複合酸化物、複合硫化物等が挙げられる。好ましくは、Cr3O8、V2O5、V5O13、VO2、Cr2O5、MnO2、TiO2、MoV2O8、TiS2 、V2S5 、MoS2、MoS3VS2、Cr0.25V0.75S2、Cr0.5V0.5S2等である。また、LiMY2(Mは、Co、Ni等の遷移金属、YはO、S等のカルコゲン元素)、LiM2Y4(MはMn、YはO)、WO3等の酸化物、CuS、Fe0.25V0.75S2、Na0.1CrS2等の硫化物、NiPS3、FePS3等のリン・硫黄化合物、VSe2、NbSe3等のセレン化合物等を用いることもできる。
【0035】
上記の化合物を、後記の負極の製造法と同様の手法で、結着剤と混合し、集電体上に塗布、乾燥して正極板とする。
[リチウム二次電池用負極]
本発明のリチウム二次電池用負極材料を用いて本発明のリチウム二次電池用負極を製造する方法について説明する。
【0036】
本発明のリチウム二次電池用負極を製造する方法としては、上記本発明の負極材料を負極の成分として含む限り、従来公知の方法が採用可能である。例えば、上記負極材料に結着剤、溶媒等を加えて、スラリー状とし、銅箔等金属製の集電体基板にスラリーを塗布・乾燥することで負極シート等の負極体とする。
上記結着剤としては、溶媒に対して安定な、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、セルロース等の樹脂系高分子、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2又は4〜12)共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン、特にリチウムイオンの伝導性を有する高分子組成物が挙げられる。
【0037】
上記負極材料と上記結着剤との混合形式としては、各種の形態をとることができる。即ち、両者の粒子が混合した形態、繊維状の結着剤が炭素質物の粒子に絡み合う形で混合した形態、または結着剤の層が炭素質物の粒子表面に付着した形態などが挙げられる。上記結着剤の混合割合は、炭素質物に対し、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。結着剤の量が多すぎると、電極の内部抵抗が大きくなり、逆に少なすぎると集電体と炭素質粉体の結着性に劣る。
【0038】
また、負極の作製時に適当な導電剤を添加してもよい。そのような例としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックや平均粒径が1μm以下のニッケル、銅などの金属パウダーが挙げられる。
[リチウム二次電池]
上記のようにして作製した負極、正極及び電解液を、その他の電池構成要素であるセパレータ、ガスケット、集電体、封口板、セルケース等と組み合わせてリチウム二次電池を構成する。作製可能な電池は筒型、角型、コイン型等特に限定されるものではないが、基本的にはセル床板上に集電体と負極材料とを乗せ、その上に電解液とセパレータを、更に負極と正極を対向させ、ガスケット、封口板と共にかしめて二次電池とする。
【0039】
電解液を保持するセパレータは、一般に保液性に優れた材料であり、例えば、ポリオレフィン系樹脂の不織布や多孔性フィルムなどを使用して、上記電解液を含浸させる。
【0040】
【実施例】
次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[電極材料の評価方法]
負極材料中の結晶性の劣る炭素質物の含有量
焼成法においては、黒鉛系炭素質物の表面に有機物質を付着させ焼成することによって生成される炭素質物が結晶性の劣る炭素質物を構成するので、この焼成操作による重量の増加、即ち残炭率によって結晶性の劣る炭素質物の量を定量した。
【0041】
X線回折測定
0.2mmの試料板に黒鉛粉体を配向しないように充填し、X線回折装置(日本電子製、JDX−3500)で、CuKα線にて出力30kV、200mAで測定した。得られたABC(101)及びAB(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比ABC(101)/AB(101)を算出した。
【0042】
d002は、学振法によって規定されたX線広角回折法(XRD)によって算出した。
粒径測定
分散媒としてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレイト(商品名Tween20)を用いて、レーザー回折式粒径評価装置(堀場製作所製、HORIBALA−920)により行い、自動的に算出される中心粒径d50を評価基準に用いた。
【0043】
ラマンスペクトル測定
分光装置(日本分光製、NR−1800)により行い、波長5145Åのアルゴンイオンレーザー光を、30mWの強度で照射した。ここでは1570〜1620cm-1の範囲に存在するピークの強度IA及び1350〜1370cm-1の範囲に存在するピークの強度IBを測定し、これらからR値(=IB/IA)を求めた。
【0044】
電気化学的評価
負極材料サンプル粉体2gに対し、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のジメチルアセトアミド溶液をPVdFの固形分換算で7重量%加えたものを撹拌し、スラリーを得た。このスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で予備乾燥を行った。さらに圧着させたのち、直径12.5mmの円盤状に打ち抜き、110℃で減圧乾燥をして負極とした。
【0045】
得られた負極に対し、電解液を含浸させたポリプロピレン製セパレータをはさみ、リチウム金属正極に対向させたコイン型セルを作製し、充放電試験を行った。充放電試験の条件としては、電流密度0.16mA/cm2で極間電位差が0Vになるまで充電を行い、電流密度0.33mA/cm2で極間電位差が1.5Vになるまで放電を行うこととした。初回効率は下式で計算し、コイン型セル4個の結果の平均値で評価した。
【0046】
【数4】
初回効率=
初回の放電容量(mAh/g)/初回の充電容量(mAh/g)x100(%)
また、後続サイクル時の容量維持特性は、上記充放電試験における3回目の放電容量によって評価した。
【0047】
なお、上記の充放電試験においては具体的に、結着剤を用い集電体とともにペレット状に成形した負極材料を、セパレータ、電解液と共に、対極をリチウム金属とした半電池とし、2016コイン型セル中に組み立て、充放電試験機で評価したが、対極としてリチウムに代えてLiCoO2等の正極を用いた場合についても同様の効果が期待できる。
【0048】
実施例1
レーザー回折法から得られるd50を平均粒径としたとき、これが25μmで、ABC/AB比が0.25である黒鉛粒子と石油系ピッチとをミキサーにより70℃、大気中で攪拌し、均一混合した。得られた粉体を回分式加熱炉で不活性雰囲気下にて1300℃に保ち、焼成処理した。不活性雰囲気下で放冷した後、得られた粉体を解砕し、中心粒径d50を26μmに整えてサンプル粉体とした。残炭率から計算される黒鉛より結晶性の劣る炭素質物の含有量は、粉体全体を100重量部としたとき、8重量部であった。また、前述の方法でX線測定の結果から計算されたABC/AB比は0.17であり、ラマン分光の結果から計算されたR値は0.23であった。
【0049】
電解液には、プロピレンカーボネート(PC)とエチレンカーボネート(EC)とを体積比で1/1に混合したものに、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)を1.0mol/Lの割合で溶解させたものを作製し、更にビニルエチレンカーボネート(VEC)を、前記混合溶媒量を100としたときに重量比で1混合した溶媒を用いて、前記の方法による電気化学的評価を行った。初回効率は85%であった。
【0050】
以下の実施例及び比較例における粉体(負極材料)の物性パラメータを表−1に、また電気化学的評価における初回効率、初回放電容量(mAh/g)及び3回目放電容量(mAh/g)の結果を表−2にそれぞれ示す。
実施例2
天然黒鉛の機械粉砕により平均粒径14μmで、ABC/AB比が0.17である黒鉛粒子と石油系ピッチをミキサーにより70℃、大気中で攪拌し、均一混合した。得られた粉体を回分式加熱炉で不活性雰囲気下にて1000℃に保ち、焼成処理した。不活性雰囲気下で放冷した後、得られた粉体を解砕し、中心粒径d50を22μmに整えてサンプル粉体とした。残炭率から計算される黒鉛より結晶性の劣る炭素質物の含有量は、粉体全体を100重量部としたとき、8重量部であった。また、X線測定の結果から計算されたABC/AB比は0.17であり、ラマン分光の結果から計算されたR値は0.55であった。電気化学的評価は実施例1と同様に行った。初回効率は93%であった。
【0051】
実施例3
実施例1にて使用の黒鉛粒子と同様の回分式加熱炉での焼成処理の温度を1100℃にし、中心粒径d50を24μm、残炭率から計算される黒鉛より結晶性の劣る炭素質物の含有量を、粉体全体を100重量部としたとき、7重量部とした。X線測定の結果から計算されたABC/AB比は0.19であり、ラマン分光の結果から計算されたR値は0.52であった。電気化学的評価は実施例1と同様に行った。初回効率は85%であった。
【0052】
実施例4
実施例3と同じ負極材料で、試験電解液のみを、プロピレンカーボネート(PC)とエチレンカーボネート(EC)とを体積比で1/1に混合したものに、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)を1.0mol/Lの割合で溶解させたものを作製し、更に無水コハク酸を、前記混合溶媒量を100としたときに重量比で0.5混合した溶媒に変えた。その他の点では電気化学的評価は実施例1と同様に行った。初回効率は86%であった。
【0053】
実施例5
実施例1で使用の黒鉛粒子と同様の回分式加熱炉での焼成処理の温度を700℃にし、中心粒径d50を24μm、残炭率から計算される黒鉛より結晶性の劣る炭素質物の含有量を、粉体全体を100重量部としたとき、8重量部とした。X線測定の結果から計算されたABC/AB比は0.19であり、ラマン分光の結果から計算されたR値は0.56であった。電気化学的評価は実施例1と同様に行った。初回効率は91%であった。
【0054】
実施例6
実施例1で使用の石油系ピッチにアセトンを混合し、ここに黒鉛粒子を投入して攪拌混合を行った。これを回分式加熱炉で熱処理を1300℃にし、中心粒径d50を25μm、残炭率から計算される黒鉛より結晶性の劣る炭素質物の含有量を、粉体全体を100重量部としたとき、10重量部とした。X線測定の結果から計算されたABC/AB比は0.16であり、ラマン分光の結果から計算されたR値は0.36であった。電気化学的評価は実施例1と同様に行った。初回効率は88%であった。
【0055】
比較例1
黒鉛粒子を機械粉砕し、レーザー回折法から得られるd50を平均粒径としたとき、これが20μmで、ABC/AB比が0.09である黒鉛粒子を作成し、石油系ピッチをミキサーにより70℃、大気中で攪拌し、均一混合した。得られた粉体を回分式加熱炉で不活性雰囲気下にて1300℃に保ち、焼成処理した。不活性雰囲気下で放冷した後、得られた粉体を解砕し、中心粒径d50を20μmに整えてサンプル粉体とした。残炭率から計算される黒鉛より結晶性の劣る炭素質物の含有量は、粉体全体を100重量部としたとき6重量部であった。また、前述の方法でX線測定の結果から計算されたABC/AB比は0.17であり、ラマン分光の結果から計算されたR値は0.33であった。電気化学的評価は実施例1と同様に行った。初回効率は25%であった。本例においては3回目の充放電試験中にコイン型セルが膨張し、破裂した。
【0056】
比較例2
レーザー回折法から得られるd50を平均粒径としたとき、これが24μmで、ABC/AB比が0.36である黒鉛粒子を作製し、石油系ピッチをミキサーにより70℃、大気中で攪拌し、均一混合した。得られた粉体を回分式加熱炉で不活性雰囲気下にて1300℃に保ち、焼成処理した。不活性雰囲気下で放冷した後、得られた粉体を解砕し、中心粒径d50を23μmに整えてサンプル粉体とした。残炭率から計算される黒鉛より結晶性の劣る炭素質物の含有量は、粉体全体を100重量部としたとき6重量部であった。また、X線測定の結果から計算されたABC/AB比は0.29であり、ラマン分光の結果から計算されたR値は0.33であった。電気化学的評価は実施例1と同様に行った。初回効率は58%であった。
【0057】
比較例3
比較例1と同様に回分式加熱炉で不活性雰囲気下にて1000℃に保ち、焼成処理した。不活性雰囲気下で放冷した後、得られた粉体を解砕し、中心粒径d50を21μmに整えてサンプル粉体とした。残炭率から計算される黒鉛より結晶性の劣る炭素質物の含有量は、粉体全体を100重量部としたとき、6重量部であった。また、X線測定の結果から計算されたABC/AB比は0.17であり、ラマン分光の結果から計算されたR値は0.56であった。電気化学的評価は実施例1と同様に行った。初回効率は66%であった。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、プロピレンカーボネート系又はγ−ブチロラクトン系の電解液を用いた場合にも十分に作動させることができる黒鉛系負極を得ることのできるリチウム二次電池用負極材料が提供される。
Claims (11)
- 黒鉛系炭素質物に該黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物を被着させた構造を有する粉体状の負極材料であって、該負極材料と結着剤とから作製された負極体を、プロピレンカーボネート又はγ−ブチロラクトンから選ばれる有機溶媒を10〜99.5重量%含有しかつ皮膜形成剤を0.1〜10重量%含有する電解液を構成要素とするリチウム二次電池で使用するものであり、上記負極材料は以下の条件(イ)、(ロ)、(ハ)及び(ニ)を満たすものであることを特徴とするリチウム二次電池用負極材料。
(イ)上記負極材料が、全体を100重量部としたとき、黒鉛系炭素質物を50〜99.5重量部、該黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物を0.5〜50重量部含有すること、
(ロ)上記負極材料のX線広角回折法(XRD)における菱面体晶系黒鉛層(ABCスタッキング層)の配向に基づくXRD(101面)のピークの強度ABC(101)と六方晶系黒鉛層(ABスタッキング層)の配向に基づくXRD(101面)のピークの強度AB(101)との比:ABC(101)/AB(101)の値(以下「ABC/AB」という)が0.01以上であること、
(ハ)上記黒鉛系炭素質物のX線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が3.37Å未満であり、該黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物のd002が3.37Å以上であること、並びに
(ニ)上記負極材料と結着剤とから作製された負極体を、上記電解液を用い、Liを対極として評価した際、0〜1.5Vのカットオフ電位で充放電を行わせた時の、下式で算出される初回効率が70%以上であること。
- 黒鉛系炭素質物に有機物を付着させ、焼成したものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 黒鉛系炭素質物の表面を有機物で被覆した後に焼成することによって得られた非晶質炭素被着黒鉛系炭素質物である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 焼成温度が500〜2200℃である、請求項2又は3に記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 上記負極材料を波長5145Åのアルゴンイオンレーザー光を用いてラマンスペクトル分析した際、1570〜1620cm-1の範囲に存在するピークの強度をIA、1350〜1370cm-1の範囲に存在するピークの強度をIBとしたとき、その比であるR値(=IB/IA)が、0.2を超え1.5以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 上記負極材料のBET法によって求められる表面積が0.5〜25m2/gである、請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 上記負極材料の粒径が4〜40μmである、請求項1〜6のいずれかに記載ののリチウム二次電池用負極材料。
- 原料の黒鉛系炭素質物として、X線広角回折法(XRD)における菱面体晶系黒鉛層(ABCスタッキング層)の配向に基づくXRD(101面)のピークの強度ABC(101)と六方晶系黒鉛層(ABスタッキング層)の配向に基づくXRD(101面)のピークの強度AB(101)との比:ABC(101)/AB(101)の値(ABC/AB)が0.15以上のものが使用されている、請求項1〜7のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 皮膜形成剤が、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、無水コハク酸及び無水マレイン酸からなる群から選ばれたものである、請求項1〜8のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料を含む粉体を結着剤と共に集電体上に付着させ、乾燥させて得られたことを特徴とするリチウム二次電池用負極体。
- プロピレンカーボネート又はγ−ブチロラクトンから選ばれる有機溶媒を10〜99.5重量%含有しかつ皮膜形成剤を0.1〜10重量%含有する電解液と、正極と、請求項10に記載のリチウム二次電池用負極体と、を備えてなることを特徴とするリチウム二次電池。
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