JP2012017647A - 面格子壁構造および木造建築物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐力壁としての十分な強度と、高い採光性および通気性とをともに実現する壁構造を提供する。
【解決手段】面格子壁構造10は木造であり、互いに並行に配置された一対の縦材20、21と、この一対の縦材20、21の間に並設された縦壁部材40、41と、一対の縦材20、21および縦壁部材40、41を互いに連結する複数本の横壁部材30、31と、を含む。そして、面格子壁構造10は、縦材20、21の中間部を含む縦長の開口部60、61、62が横壁部材30、31同士の間に形成されているとともに、複数本の横壁部材30、31と縦壁部材40、41とが相欠き継ぎ構造によって結合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、木造の面格子壁構造およびこれを含む木造建築物に関する。
木造建築物に用いる耐力壁として、縦材と横材とを直交配置した面格子壁構造が提案されている(特許文献1〜3を参照)。
特許文献1には、並行に配置した二本の長尺部材(縦材)と、これに直交する多数の短尺部材(横材)とを相欠き継ぎによって連結した格子壁が記載されている。
特許文献2には、長尺の縦材に対して、鋼棒などの芯材を挿通したピース状の短尺材を格子状に締結した格子壁が記載されている。具体的には、複数の短尺材を連通した芯材の両端をナットで締め付けることにより、縦材と短尺材とが強固に連結されて剛性の高い格子壁が得られると記載されている。
特許文献3には、複数枚の板状の横材を縦材に対して釘やビスで打ち付け、開口部を採光や通気に用いる格子壁が記載されている。
特開2005−325639号公報 特開2006−097396号公報 特開2003−082791号公報
木造建築物においては、壁倍率と耐力壁の長さとの積で表される壁量を所望に確保しつつも、採光や通気のための窓や開口の面積およびこれらの場所の確保の自由度を向上することが求められている。特許文献3に記載の格子壁は、耐力壁でありながら開口部を有しているため採光性や通気性を向上することが期待されるものの、十分な開口面積を有しているとは言い難い。
また、特許文献1の格子壁は、縦材と横材とを強固に連結することを目的としたものであって、均等配置された多数の横材を縦材に対して連結させるものである。このため、横材同士の間に形成された多数の開口部は、それぞれ面積が極めて微小であり、この中に窓を取り付けたとしても十分な採光性や通気性を得ることは難しい。
特許文献2の格子壁も同様であり、均等配置された短尺材同士の間の開口部は微小であって、十分な採光性や通気性を得ることは難しい。また、この格子壁は、ピース状に分割された木製の短尺材を、鋼棒などの芯材で締め付けて縦材に連結したものであるため、木材と芯材との剛性の乖離により大変形時の粘りが乏しく、十分な強度が得られないという問題がある。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、耐力壁としての十分な強度と、高い採光性および通気性とをともに実現する壁構造を提供するものである。
本発明によれば、木造の面格子壁構造であって、互いに並行に配置された一対の縦材と、前記一対の縦材の間に並設された縦壁部材と、前記一対の縦材および前記縦壁部材を互いに連結する複数本の横壁部材と、を含み、前記縦材の中間部を含む縦長の開口部が前記横壁部材同士の間に形成されているとともに、複数本の前記横壁部材と前記縦壁部材とが相欠き継ぎ構造によって結合されている面格子壁構造が提供される。
上記発明によれば、枠体を構成する縦材と、壁を構成する縦壁部材および横壁部材とを備えており、この面格子壁構造を建築物の耐力壁として用いることができる。ここで、複数本の横壁部材と縦壁部材とが相欠き継ぎ構造により連結されているため、外部から剪断力が負荷された場合も、連結部の歪みがこれらの部材に均等に分散して粘り強く変形する。このため、高い壁倍率の面格子壁構造を得ることができる。そして、かかる構造を備えたうえで縦材の中間部を含む縦長の開口部を形成したことで、強度を損なうことなく大きな開口面積を得ることができる。
また本発明によれば、横架材と梁との間に立設された上記の面格子壁構造と、前記横壁部材の少なくとも一本よりも低位に設けられた天井仕上げ面と、を含む木造建築物が提供される。
上記発明によれば、天井仕上げ面が少なくとも最上位の横壁部材よりも下方に位置するため、天井側の横壁部材を天井裏に掩蔽することができる。これにより、床面と天井仕上げ面との間のうちの大きな高さ領域に亘って開口部を形成することが可能であり、高い採光性や通気性が得られる。
なお、上記発明において、一対の縦材の間に他の部材が並設されているとは、一対の縦材の間に、当該縦材の延在方向に略一致させてある部材が配置されていることを意味する。そして、当該縦材と、この部材とが厳密に平行に配置されていることを要するものではない。
なお、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
また、本発明でいう縦方向または横方向とは、本発明の構成要素の相対関係を説明するために便宜的に規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。また、本発明でいう縦方向と横方向とは、必ずしも厳密に直交することを要するものではない。
本発明の面格子壁構造および木造建築物によれば、耐力壁としての十分な強度と、高い採光性および通気性とをともに実現することができる。
(a)は本発明の第一実施形態にかかる面格子壁構造の単位構造を示す正面図であり、(b)は右側面図であり、(c)は下面図である。 図1(a)のII−II線断面図である。 図1(a)の円III領域の拡大図である。 (a)は本実施形態の面格子壁構造の使用状態を示す正面図であり、(b)はそのB−B線断面図である。 第一実施形態の面格子壁構造を備える木造建築物の正面図である。 本発明の第二実施形態にかかる面格子壁構造の正面図である。 第二実施形態の面格子壁構造を備える木造建築物の正面図である。 実施例1から3および比較例1から3の剪断強度を示すグラフである。 (a)から(c)は比較例1、2および参考例1にかかる壁構造の正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<第一実施形態>
図1(a)は、本発明の第一実施形態にかかる面格子壁構造10の単位構造を示す正面図であり、同図(b)はその右側面図、同図(c)は下面図である。また、図2は図1(a)のII−II線断面図であり、図3は図1(a)の円III領域の拡大図である。
はじめに、本実施形態の面格子壁構造10の概要について説明する。
本実施形態の面格子壁構造10は木造であり、より具体的には木造軸組工法からなる。
面格子壁構造10は、互いに並行に配置された一対の縦材20、21と、この一対の縦材20、21の間に並設された縦壁部材40、41と、一対の縦材20、21および縦壁部材40、41を互いに連結する複数本の横壁部材(第一の横壁部材30および第二の横壁部材31)と、を含む。
そして、本実施形態の面格子壁構造10は、縦材20、21の中間部を含む縦長の開口部60、61、62が横壁部材30、31同士の間に形成されているとともに、複数本の横壁部材30、31と縦壁部材40、41とが相欠き継ぎ構造によって結合されている。
次に、本実施形態の面格子壁構造10について詳細に説明する。
以下、図1(a)の上下方向を縦方向または高さ方向と呼称し、左右方向を横方向または幅方向と呼称する。
面格子壁構造10は、耐力壁として用いられ、壁倍率は1.0を超える。
ここで、壁倍率=1.0倍とは、厚み1.5cm、幅9.0cmの筋交いを入れた壁と同等の耐力をもつことをいい、より具体的には、壁長さ1mあたり1.96kNの水平荷重(横方向の剪断力)に抵抗できることを意味する。本発明において壁倍率とは、耐久性や施工性等を勘案して決定される低減係数を乗じる前の評価値(壁倍率相当)をいう。
本実施形態の面格子壁構造10の壁倍率は0.9以上が好ましく、1.5倍以上が更に好ましい。壁倍率が1.5以上であると、かかる面格子壁構造10は厚み3.0cm、幅9.0cmの筋交いに相当する耐力を得ることができる。この場合、図1に示す面格子壁構造10の単位構造を耐力壁線に三式連結することで壁倍率4.5相当の耐力を得ることができる。
図1(a)に示す面格子壁構造10は、互いに対向する縦材20および21と、横架材118および梁116(図4および図5を参照)で構成される枠体12を、壁要素13で補強したものである。壁要素13は、縦壁部材40および41と、横壁部材30、31、50とで構成される。同図は面格子壁構造10の単位構造を表している。本実施形態の面格子壁構造10は、縦材20、21を共用して、複数の枠体12が横方向に連結可能に構成されている(図4を参照)。このように、面格子壁構造10の単位構造を横方向(幅方向)に繰り返すことで、所望の壁量を得ることができる。
縦材20、21の長さは、これら一対の縦材20、21同士の間隔よりも大きい。言い換えると、枠体12は、縦方向の長さが横方向の長さよりも大きい。すなわち、枠体12の縦寸法Hにあたる縦材20、21の長さは、枠体12の横寸法Wにあたる縦材20、21の中心間距離よりも大きい。そして、本実施形態の面格子壁構造10は、二本以上の縦壁部材40、41と、縦材20、21の両端の近傍にそれぞれ配置された第一の横壁部材30および第二の横壁部材31と、第一または第二の横壁部材30、31に近接して配置された第三の横壁部材50と、を含む。
縦材20、21、縦壁部材40、41および横壁部材30、31、50は、いずれも木製の柱材である。柱材の材質は特に限定されず、檜またはヒバの無垢材または各種の集成材が用いられる。その断面寸法は特に限定されないが、一例として、3.5寸(10.5cm)、4寸(12.0cm)または4.5寸(13.5cm)角の正方形断面の角材を用いることができる。これらの柱材には、長方形断面の角材を用いてもよい。また、柱材の断面形状および寸法は、互いに異なってもよく、または共通でもよい。以下、本実施形態では、太さ寸法Tが4寸(12.0cm)角の正方形断面の角材を、縦材20、21、縦壁部材40、41および横壁部材30、31、50に共通して用いるものとする。これにより、面格子壁構造10の仕上がり厚さが均等となる。
枠体12を構成する縦材20、21は、横壁部材30、31、50によって、ほぞ継ぎ手で連結されたものであり、面格子壁構造10への上下(縦)方向の圧縮力に対する耐力(圧縮耐力)を有する構造体である。なお、本実施形態の面格子壁構造10では、横壁部材30、31、50と縦材20、21とが、ほぞ継ぎ手により連結されているが、本発明はこれに限られない。本実施形態に代えて、縦材20、21と横壁部材30、31とをL型金具などの金具で連結してもよく、または、ほぞ継ぎ手と金具とを併用してもよい。
壁要素13は、縦壁部材40、41と横壁部材30、31、50とを相欠き継ぎ構造で連結されたものであり、水平(横)方向の剪断力に対する耐力(保有水平耐力)を枠体12に付与する構造体である。縦壁部材40と41は、縦材20、21の間に並設されている。すなわち、縦壁部材40と41は、それぞれ縦材20、21に対して略平行に配置されている。図1(a)では、縦壁部材40と41がともに縦材20、21に平行である態様を例示しているが、本発明はこれに限られず、縦壁部材40と41が所定の角度をもって縦材20、21と交差して配置されてもよい。
縦壁部材の本数は一本または二本以上であり、特に限定されない。縦材20、21と縦壁部材40、41との中心間距離、および縦壁部材40と41との中心間距離を、柱材の太さ寸法Tの5倍以下、好ましくは3倍以下とすることで、1.0を超え、好ましくは1.5以上の壁倍率の面格子壁構造10を好適に得ることができる。
ここで、縦壁部材は、枠体12の横方向の中央を避けて配置するとよい。具体的には、縦壁部材を一本とする場合、枠体12に対して横方向のいずれか片方に偏った位置にこれを設けるとよい。また、縦壁部材を偶数本とする場合は、これらを左右対称に配置するとよい。このように、剪断変形時の中立点にあたる横方向の中央を避けて縦壁部材を配置することで、縦壁部材の本数あたり枠体12に高い保有水平耐力が付与される。このため、面格子壁構造10の壁倍率と、開口部60〜62の開口面積を、ともに十分に得ることができる。
本実施形態の面格子壁構造10は、横壁部材30、31、50の両端に、ほぞ32、52が設けられている。より具体的には、横壁部材30、31、50のすべての柱材の両端に、ほぞ32、52が設けられている。
また、縦材20、21の両側面24、25には、横壁部材30、31、50に対応する位置に、ほぞ穴26、27がそれぞれ設けられている。そして本実施形態の面格子壁構造10では、縦壁部材40、41および横壁部材30、31、50を含む単位構造にあたる枠体12が、縦材21を共用して横方向に複数連結可能に構成されている(図4を参照)。
ここで、縦材20、21の両側面24、25は、横壁部材30、31、50が結合される横方向の側面である。なお、縦材20、21の少なくとも一方に関して、その両側面に、ほぞ穴26、27がそれぞれ形成されていればよい。これにより、当該一方の縦材を共用して、二式の枠体12を横方向に連結することができる。
図2に示すように、横壁部材30には、略二分の一の深さで相欠き仕口34が彫り込み形成されている。同様に、縦壁部材40と41には、略二分の一の深さで相欠き仕口44、45が彫り込み形成されている。そして、相欠き仕口34と44、および34と45をそれぞれ嵌合させることにより、縦壁部材40と横壁部材30、および縦壁部材41と横壁部材30は、互いに相欠き継ぎ構造により連結される。
縦壁部材40、41と横壁部材31、50に関しても同様に、相欠き継ぎ構造により互いに連結されている。横壁部材30、31、50の相欠き継ぎ構造は、縦壁部材40、41の同一面側に設けてもよく、反対面側に設けてもよい。本実施形態の場合、横壁部材31と50の相欠き仕口の形成面を同一側とし、横壁部材30の相欠き仕口34の形成面をそれらの反対側としている。
ここで、金具による連結に比べて、相欠き継ぎ構造による連結は、柱材同士の結合部に生じた荷重が相欠き仕口の全体に分散されるため応力集中が発生しにくく、粘り強く変形する。言い換えると、水平方向に大きな剪断力が負荷された場合にも、縦壁部材40および41と、横壁部材30、31、50との交差部分において局所的に柱材が破壊することが抑えられ、面格子壁構造10は大変形に耐えることができる。
すなわち、本実施形態の面格子壁構造10によれば、壁要素13の外側に設けられた枠体12による圧縮耐力と、互いに相欠き継ぎ構造で連結されて粘り強く変形する壁要素13により得られる保有水平耐力とを組み合わせることで高い壁倍率が実現される。
本実施形態の面格子壁構造10では、上下両端近傍に設けられる第一および第二の横壁部材30、31に加えて、開口部60〜62の上縁を画成する第三の横壁部材50が、縦方向の一箇所にのみ配置されている。これにより、第三の横壁部材50と第二の横壁部材31との間に、縦材20、21の中間部を含む、すなわち縦材20、21の長さ方向の中間位置に跨って、縦長の大きな開口部60〜62が形成される。
なお、本実施形態に代えて、第四の横壁部材51を縦材20、21に亘って架設してもよい(図6および第二実施形態を参照)。この場合、第三の横壁部材50を第一の横壁部材30の近傍に配置し、第四の横壁部材51を第二の横壁部材31の近傍に配置するとよい。これにより、枠体12の縦方向の中間部を避けて縦方向の中央に大面積の開口部60〜62を形成することができる。
本実施形態の開口部60〜62の縦方向の長さは、縦材20、21の長さの二分の一以上である。開口部60〜62は、互いに同一の寸法および形状をなし、幅方向に並んで形成されている。
図1(a)、(b)に示すように、縦材20、21および縦壁部材40、41の両端には、ほぞ22、42がそれぞれ設けられている。また、同図(b)に示すように、枠体12の縦寸法Hは、ほぞ22の部分を除く縦材21の長さ寸法である。また、縦材21のうち、ほぞ22を除く端面から、第一および第二の横壁部材30、31までの長さH、Hは、それぞれ横壁部材30、31および縦材20、21の太さ寸法Tの2倍以下、好ましくは太さ寸法Tの1倍以下がよい。また、第三の横壁部材50と、これに近接する第一の横壁部材30との間隔Hは、太さ寸法Tの2倍以下、好ましくは1倍以下、より好ましくは太さ寸法Tの二分の一以下がよい。
このように第一および第二の横壁部材30、31を縦材20、21の上下両端に近接して配置し、かつ第三の横壁部材50を第一の横壁部材30に近接させることにより、横壁部材50によって上縁が画成される開口部60〜62の開口面積を十分に確保することができる。
ここで、本実施形態の縦壁部材40、41のほぞ42の先端は、縦材20、21のほぞ22の先端よりも、先細に形成されている。図1(c)および図3に示すように、ほぞ42の先端のうち、縦壁部材40、41の並び方向(幅方向)の両側にテーパー部46が形成されている。
図3に示すように、ほぞ42の突出長Lに対して、テーパー部46の長さLは、二分の一以下である。そして、テーパー角θは30度から60度が好ましい。
図4(a)は、本実施形態の面格子壁構造10の使用状態を示す正面図であり、同図(b)はそのB−B線断面図である。
同図に示す面格子壁構造10は、横壁部材30、31、50が枠体12に架設されてなる単位構造(図1を参照)を、縦材21を共用して横方向に二式連結したものである。面格子壁構造10は、梁116と横架材118に対して、縦材20、21のほぞ22と、縦壁部材40、41のほぞ42をそれぞれ挿入することにより固定されている。また、面格子壁構造10の四隅には、梁116および横架材118からの引き抜き力を補強するホールダウン金物(引き寄せ金物)122が設けられている。
上述のように、縦壁部材40、41のほぞ42の先端にはテーパー部46が形成されている。これにより、縦壁部材40、41のほぞ42を梁116や横架材118のほぞ穴(図示せず)に対して容易に嵌合することができる。ここで、壁要素13を構成する縦壁部材40、41は、枠体12に対して保有水平耐力を付与する部材であり、一方、面格子壁構造10の圧縮耐力は縦材20、21によって確保されている。このため、縦材20、21のほぞ22に関しては、梁116や横架材118に対して強固に結合される必要がある一方、縦壁部材40、41に関しては梁116や横架材118からの引き抜き強度を縦材20、21よりも低減することが可能である。すなわち、縦壁部材40、41のほぞ42の先端にのみテーパー部46を設けたことにより、面格子壁構造10の高い壁耐力を維持しつつ、組み立ての容易性を得ることができる。
図4に示す面格子壁構造10によれば、合計6個の開口部60〜62が横方向に並列に配置され、採光性や通気性に優れた建築物を実現することができる。
なお、本実施形態では、横壁部材30、31、50のすべての両端にほぞ32、52を設けた態様を例示したが、本発明はこれに限られない。また、面格子壁構造10の単位構造の連結数を三式以上としてもよい。
図5は、本実施形態の面格子壁構造10を外壁として備える木造建築物100を室内側から見た正面図である。本実施形態の木造建築物100は、図4に示した面格子壁構造10と、梁116、横架材118および床材(床面112のみを図示)とを備えている。
本実施形態の木造建築物100は、横架材118と梁116との間に立設された面格子壁構造10と、横壁部材30、31、50の少なくとも一本よりも低位に設けられた天井仕上げ面110と、を含む。
さらに、本実施形態の場合、天井仕上げ面110が、開口部60〜62の上縁を画成する第三の横壁部材50と同高さ、または第三の横壁部材50よりも低位に設けられている。
また、縦材20、21と縦壁部材40、41との間および縦壁部材40、41同士の間に形成された開口部60〜62には窓構造120が取り付けられている。本実施形態の木造建築物100では、一対の縦材20、21と縦壁部材40、41との間にそれぞれ形成された開口部60〜62のすべてに対して窓構造120が個別に取り付けられて雨水や風雨の侵入を防止している。それぞれの窓構造120の高さ寸法は共通である。本実施形態によれば、互いに隣接する複数の縦長の窓構造120が縦材21および縦壁部材40、41を挟んで横並びに配列されるため、意匠性に優れ、また大きな開口面積を得ることができる。
本実施形態の窓構造120は個別に開閉自在である。具体的な窓構造120は特に限定されないが、片開き窓、滑り出し窓、上げ下げ窓、ルーバー窓などを用いることができる。ただし本実施形態に代えて、一部または全部の窓構造120として、開閉不可の嵌め殺し窓を用いてもよい。
図5では、天井仕上げ面110が、第一の横壁部材30や第三の横壁部材50よりも低位に位置する場合を例示している。天井仕上げ面110が第三の横壁部材50と同高さにある、すなわち天井仕上げ面110が第三の横壁部材50の幅内に存在する場合は、廻り縁(図示せず)を天井仕上げ面110の下方に周設してもよい。これにより、天井仕上げ面110または廻り縁によって、開口部60〜62よりも上部の横壁部材30、50を掩蔽することができる。ここで、横壁部材が他の部材で掩蔽されているとは、当該横壁部材を水平方向から正面視した場合に、その全体が覆い隠されていること、および一部が露出して実質的に全体が覆い隠されている場合を含む。
一方、床面112は、横架材118と第二の横壁部材31との中間高さに存在している。このため、本実施形態の木造建築物100では、床面112のごく近傍の足下付近を除き、天井仕上げ面110から床面112に至るほぼ全高さに亘って開口部60〜62が設けられている。そして、開口部60〜62を除く天井仕上げ面110から床面112の間は内装材(壁紙114)で覆われている。すなわち、第二の横壁部材31、縦材20、21、縦壁部材40、41およびホールダウン金物122は、いずれも壁紙114によって室内側から視認不可に掩蔽されている。これにより、この壁面が耐力壁であることを看者に意識させず、高い意匠性を創出することができる。
このため、開口部60〜62にそれぞれ取り付けられた縦長矩形状の窓構造120により、採光性と通気性、および意匠性に優れた耐力壁を得ることができる。
なお本実施形態については種々の変形を許容する。図1〜図5では、横壁部材50が一本のみの態様を例示して説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、図1(c)に示したように本実施形態では縦材20、21と縦壁部材40、41との太さ寸法Tを共通としたが、本発明はこれに限られない。枠体12の圧縮耐力を確保する縦材20、21を太径とし、縦壁部材40、41をこれよりも細径としてもよい。この場合、縦材20、21および縦壁部材40、41は、外壁面側が面一となるように配置するとよい。
<第二実施形態>
図6は、第二実施形態にかかる面格子壁構造10の正面図である。本実施形態の面格子壁構造10は、下部側に設けられた第二の横壁部材31に近接する第四の横壁部材51を備え、また横壁部材30、31、50の配置位置が第一実施形態と異なる。
縦材21のうち、ほぞ22を除く上下両端面から、横壁部材30、31までの長さH、Hは、縦材20、21および横壁部材30、31の太さ寸法Tの二分の一以下である。そして、第一および第二の横壁部材30、31と、第三および第四の横壁部材50、51との間隔H、Hは、縦材20、21と縦壁部材40、41との隣接間隔と等しく、太さ寸法Tの一倍以上二倍以下である。
また、本実施形態の面格子壁構造10では、横壁部材30、31、50、51に設けられた相欠き仕口の形成面が同一面側である。
図7は、本実施形態の面格子壁構造10を室内壁として備える木造建築物100の正面図である。本実施形態の木造建築物100は、図6に示した面格子壁構造10と、梁116、横架材118および床材(床面112のみを図示)とを備えている。床面112から天井仕上げ面110までの間は内装材(壁紙114)で覆われている。
本実施形態の面格子壁構造10は、横壁部材30、31、50、51が枠体12に架設されてなる単位構造(図6を参照)を、縦材21を共用して横方向に二式連結したものである。上下に隣接する横壁部材同士の間隔のうち、横壁部材50と51との間が最大である。すなわち、横壁部材50と51との間が開口部60〜62である。
以下、本実施形態の木造建築物100をより詳細に説明する。図5に示した第一実施形態の木造建築物と重複する説明は適宜省略する。
本実施形態の面格子壁構造10は、隣接する室内空間同士を隔てる位置に配置されている。図7の紙面手前側が一方の室内空間であり、紙面奥行側が他方の室内空間である。本実施形態の木造建築物100は、開口部60〜62を通じてこれらの室内空間同士が互いに視認可能である。
室内空間としては、部屋、廊下、ホール、収納室などの独立空間のほか、リビングダイニングキッチン(LDK)におけるダイニングスペースやリビングにおける畳コーナーなど、ひと続きの空間において間仕切りされた部分領域を含む。そして、本実施形態の面格子壁構造10は耐力壁でありながら、開口部60〜62を通じて対向側を視認することができる。このため、面格子壁構造10によって仕切られた隣接する室内空間に居る者同士が隔絶されることなく互いの情報伝達が可能である。
本実施形態の面格子壁構造10は外壁ではなく室内壁として用いられるため、開口部60〜62で雨水や風雨を遮る必要はない。このため、開口部60〜62のいずれかまたは全部は開放されていてもよい。逆に、開口部60〜62を通じて隣接する室内空間が視認可能であるかぎり、開口部60〜62にはガラスやアクリル樹脂などの透明または半透明な部材(透過部材137)を装着して気密に閉止してもよい。
また、本実施形態の面格子壁構造10は、開口部60〜62の少なくともいずれかに、高さ方向に開閉可能な遮蔽部材131〜133が取り付けられている。
本実施形態の遮蔽部材131はロールスクリーン、遮蔽部材132は上げ下げ窓、遮蔽部材133は猫間障子である。このほか、遮蔽部材として、簾またはブラインドを用いてもよい。なお、猫間障子とは上下方向に開閉可能な障子をいう。
本実施形態に用いるロールスクリーン(遮蔽部材131)、上げ下げ窓(遮蔽部材132)および猫間障子(遮蔽部材133)は、いずれも、横壁部材51を下限位置として昇降して開口部60〜62の遮蔽面積が変化する。ここで、遮蔽部材131〜133が高さ方向に開閉可能であるとは、遮蔽部材131〜133による遮蔽領域が面格子壁構造10の高さ方向に可変であることを意味する。開口部60〜62には、遮蔽部材131〜133で遮蔽されていない透過領域に透明または半透明の部材を装着してもよい。したがって、たとえば遮蔽部材133として猫間障子を用いる場合、上下二枚の障子戸の一方にガラスを組み合わせた雪見障子としてもよい。
本実施形態の遮蔽部材131〜133は、いずれも開口部60〜62の開口幅内に装着される。図7に両側矢印で示すように遮蔽部材131〜133を開閉(昇降)操作することで開口部60〜62の開放面積が増減する。これにより、開口部60〜62を通じた視認性を自在に調整することができ、プライバシーが所望に確保される。
図7では、開口部60〜62のそれぞれに対して異なる遮蔽部材131〜133を装着した状態を例示しているが、本発明はこれに限られない。複数の開口部60〜62に対して共通の遮蔽部材(たとえば猫間障子)を装着してもよい。
本実施形態の木造建築物100は、開口部60〜62より下方に複数本の横壁部材51、31を有している。少なくとも一本の横壁部材31は、内装材(壁紙114)に掩蔽され、他の少なくとも一本の横壁部材(横壁部材51)は内装材(壁紙114)から露出している。
横壁部材51のうち、縦壁部材40、41と係合する相欠き仕口および縦材20、21に嵌合する「ほぞ」の領域を除く角柱部分511は内装材(壁紙114)から露出している。本実施形態では、図7に示すように、横壁部材51の角柱部分511の全幅が壁紙114から露出している。ただし本実施形態に代えて、角柱部分511の一部または全部に至る高さまで壁紙114を設けてもよい。角柱部分511は開口部60〜62の下縁を画成している。横壁部材51と31との間隔H(図6を参照)は、縦材20、21の太さ寸法Tと同等である。
また、本実施形態の木造建築物100には、内装材(壁紙114)から露出している横壁部材51(角柱部分511)を一つの段とする多段の物品載置棚135が、複数の開口部のうちの一部(開口部62)の内側に形成されている。本実施形態では5段の物品載置棚135を例示する。これにより、本実施形態の面格子壁構造10は、耐力壁でありながら収納性を有する。また、面格子壁構造10のほぼ全厚み寸法を物品載置棚135の奥行寸法として用いることができるため収納性に優れる。物品載置棚135の各段には背板136が取り付けられていてもよい。また、物品載置棚135が形成されている開口部62に対して、さらにロールスクリーンなどの開閉可能な遮蔽部材を併せて設置してもよい。
内装材(壁紙114)は、面格子壁構造10の領域においては、開口部60〜62を露出させる櫛歯形状に形成されている。面格子壁構造10の最下位置の横壁部材31は内装材(壁紙114)に掩蔽されている。壁紙114の櫛歯形状の最深部は横壁部材31の上縁と略一致している。横壁部材51と31との間隙140は壁紙114から露出している。この間隙140には、透明または半透明の透過部材138や、障子139を嵌め込んでもよく、またはこれらの部材を嵌め込まずに開口させてもよい。かかる間隙140は床面112に近い低位であるため、間隙140を通じて行き交う視線がプライバシーを損なう虞は低い。このため、間隙140を開口させて足下の換気口として用いてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図4に示した面格子壁構造10について、梁116と横架材118に対して横方向に反対向きの水平荷重を与え、面格子壁構造10の剪断強度を測定した。縦材20、21、縦壁部材40、41および横壁部材30、31、50には、太さ寸法T(辺長)が120mm四方の檜の無垢材をいずれも用いた。面格子壁構造10の縦寸法Hを2600mm、横寸法Wを2000mmとした。また、梁116と上部側の横壁部材30との間隔(H:図1を参照)、および横架材118と下部側の横壁部材31との間隔(H:同図参照)を、それぞれ30mmとした。また、横壁部材30と50との間隔(H:同図参照)を120mmとした。梁116には、断面120mm×180mmのベイマツの乾燥材を用い、横架材118には断面120mm角の檜の乾燥材を用いた。また、面格子壁構造10の抜けを防止するため、ホールダウン金物122を四隅に設置した。ほぞ22、42、32、52は、それぞれ2本の釘によって梁116、横架材118、縦材20、21、縦壁部材40、41または横壁部材30、31、50に対して固定した。
図8は、剪断強度の測定結果を示すグラフである。同図の横軸は水平荷重を徐々に増大した場合の横壁部材30、31の横方向の試験変位(相対変位)を示し、縦軸は横寸法W=1メートルあたりの試験荷重を示している。本実施例の面格子壁構造10(横寸法W=2.0m)の場合、付加された水平荷重を2で除した値を縦軸にプロットした。
なお、試験変位=25mmは、見かけの剪断変形角度=1/120radに相当する。
図8の結果より、本実施例の面格子壁構造10の場合、横寸法W=1mあたり15kNの水平荷重を付与した場合、200mmだけ横方向に変位したことがわかる。言い換えると、200mmの横方向の変位に対して、横寸法W=1mあたり15kNの水平荷重を支持することが可能であることが分かった。そして、同図のグラフより、350mmに至る大変形を負荷した場合も、面格子壁構造10は粘り強く変形して保有水平耐力の範囲内であることが分かった。
(実施例2)
図1に示した面格子壁構造10において、横壁部材30の相欠き仕口34(図2を参照)の形成面を横壁部材50と同一面側とした以外は実施例1と同様にして剪断強度を測定した。本実施例の面格子壁構造10の横寸法Wは1mであり、一単位構造での測定をおこなった。
結果を図8に示す。同図の結果より、実施例2の場合も実施例1と同様に、350mmに至る大変形の負荷に対して、面格子壁構造10は粘り強く変形して保有水平耐力の範囲内であることが分かった。そして、200mmの横方向の変位に対して、横寸法W=1mあたり16kN以上の水平荷重を支持することが分かった。
(実施例3)
図6に示した面格子壁構造10を用いた以外は実施例2と同様にして剪断強度を測定した。本実施例の面格子壁構造10の横寸法Wは1mであり、一単位構造での測定をおこなった。梁116と横壁部材30との間隔(H)、および横架材118と横壁部材31との間隔(H)を、それぞれ30mmとした。また、横壁部材30と50との間隔(H:同図参照)および横壁部材31と51との間隔を、それぞれ213mmとした。
結果を図8に示す。同図の結果より、実施例3の場合も、実施例1および2と同様に、350mmに至る大変形の負荷に対して、面格子壁構造10は粘り強く変形して保有水平耐力の範囲内であることが分かった。そして、200mmの横方向の変位に対して、横寸法W=1mあたり約20kNの水平荷重を支持することが分かった。
(比較例1)
構造用合板210を壁要素に用いた以外は実施例2と同様にして剪断強度を測定した。比較例1に用いた面格子壁構造200を図9(a)に示す。面格子壁構造200の横寸法Wは1mである。構造用合板210には、板厚9mmのカラマツ全層合板を用いた。
構造用合板210のうち、縦材20と21との中間(幅方向の中央)に、30mm×120mmの間柱212を釘で打ち付けて立設した。
結果を図8に示す。比較例1の場合、約150mmの変位量で構造用合板210に破壊が生じたため、それ以降の変位に対する耐荷重が低下した。
(比較例2)
図9(b)に示すように、横壁部材30、31、50をピース状かつ中空の短尺材に分割し、これを十分に剛性の高い鋼製の丸棒220でボルト締結した以外は、実施例1と同様にして剪断強度を測定した。比較例2の面格子壁構造200の横寸法Wは2mである。
結果を図8に示す。比較例2の場合、約280mmまでの変位に対しては実施例3と同等の剪断剛性を保有していたものの、これを超える変位に対して面格子壁構造200に破壊が生じたため、それ以降の変位に対する耐荷重が低下した。これは、丸棒220の剛性が過大であるため、これが締結された縦材20、21に応力集中が生じたためと考えられる。すなわち、比較例2および上述の特許文献2の格子壁は、局所的に剛性の高い領域が存在するため、水平方向の剪断力に対して粘りが低下したものと考えられる。したがって、実施例1と比較例2とを対比することで、横壁部材と縦壁部材とを相欠き継ぎ構造によって結合したことで、面格子壁構造は剪断方向の荷重負荷に対して粘り強く変形することが分かった。
(参考例1)
図9(c)に示すように、横壁部材50を除去した以外は実施例2と同様にして剪断強度を測定した。参考例1の面格子壁構造200の横寸法Wは1mであり、一単位構造での測定をおこなった。
結果を図8に示す。参考例1の面格子壁構造200の場合、実施例1と同様に水平方向の剪断力に対する粘り強さがあることが確認された。ただし、参考例1よりも実施例1の方が水平耐力に優れることが分かった。
上述した実施形態および実施例は以下の技術的思想を包含する。
(1)木造の面格子壁構造であって、互いに並行に配置された一対の縦材と、前記一対の縦材の間に並設された縦壁部材と、前記一対の縦材および前記縦壁部材を互いに連結する複数本の横壁部材と、を含み、前記縦材の中間部を含む縦長の開口部が前記横壁部材同士の間に形成されているとともに、複数本の前記横壁部材と前記縦壁部材とが相欠き継ぎ構造によって結合されている面格子壁構造。
(2)前記開口部の縦方向の長さが、前記縦材の長さの二分の一以上である上記(1)に記載の面格子壁構造。
(3)前記縦材の長さは、前記一対の縦材同士の間隔よりも大きく、かつ、二本以上の前記縦壁部材と、前記縦材の両端の近傍にそれぞれ配置された第一および第二の前記横壁部材と、前記第一または第二の横壁部材に近接して配置された第三の前記横壁部材と、を含む上記(1)または(2)に記載の面格子壁構造。
(4)壁倍率が1.0を超える上記(3)に記載の面格子壁構造。
(5)前記横壁部材の両端にほぞが設けられ、前記縦材の両側面には、前記横壁部材に対応する位置にほぞ穴がそれぞれ設けられており、前記縦壁部材および前記横壁部材を含む単位構造が、前記縦材を共用して横方向に複数連結可能に構成されていることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の面格子壁構造。
(6)前記縦材および前記縦壁部材の両端にそれぞれほぞが設けられているとともに、前記縦壁部材の前記ほぞの先端が、前記縦材の前記ほぞの先端よりも先細に形成されていることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の面格子壁構造。
(7)横架材と梁との間に立設された上記(1)から(6)のいずれかに記載の面格子壁構造と、前記横壁部材の少なくとも一本よりも低位に設けられた天井仕上げ面と、を含む木造建築物。
(8)前記天井仕上げ面が、前記開口部の上縁を画成する前記横壁部材と同高さまたは前記横壁部材よりも低位に設けられている上記(7)に記載の木造建築物。
(9)前記縦材と前記縦壁部材との間および前記縦壁部材同士の間に形成された前記開口部に窓構造が取り付けられていることを特徴とする上記(7)または(8)に記載の木造建築物。
(10)隣接する室内空間同士を隔てる位置に前記面格子壁構造が配置されており、前記開口部を通じて前記室内空間同士が互いに視認可能である上記(7)または(8)に記載の木造建築物。
(11)前記縦材と前記縦壁部材との間または前記縦壁部材同士の間に形成された前記開口部に、高さ方向に開閉可能な遮蔽部材が取り付けられていることを特徴とする上記(10)に記載の木造建築物。
(12)前記遮蔽部材が、ロールスクリーン、上げ下げ窓、猫間障子、簾またはブラインドの少なくとも一つを含む上記(11)に記載の木造建築物。
(13)前記開口部より下方に複数本の前記横壁部材を有し、少なくとも一本の前記横壁部材は内装材に掩蔽され、他の少なくとも一本の前記横壁部材は前記内装材から露出している上記(7)から(12)のいずれかに記載の木造建築物。
(14)前記内装材から露出している前記横壁部材を一つの段とする多段の物品載置棚が、一部の前記開口部の内側に形成されている上記(13)に記載の木造建築物。
10 面格子壁構造
12 枠体
13 壁要素
20、21 縦材
22、42、32、52 ほぞ
24、25 側面
26、27 ほぞ穴
30、31、50、51 横壁部材
511 角柱部分
34、44、45 相欠き仕口
40、41 縦壁部材
46 テーパー部
60、61、62 開口部
100 木造建築物
110 天井仕上げ面
112 床面
114 壁紙
116 梁
118 横架材
120 窓構造
122 ホールダウン金物
131〜133 遮蔽部材
135 物品載置棚
136 背板
137、138 透過部材
139 障子
140 間隙
200 面格子壁構造
210 構造用合板
212 間柱
220 丸棒

Claims (14)

  1. 木造の面格子壁構造であって、
    互いに並行に配置された一対の縦材と、
    前記一対の縦材の間に並設された縦壁部材と、
    前記一対の縦材および前記縦壁部材を互いに連結する複数本の横壁部材と、を含み、
    前記縦材の中間部を含む縦長の開口部が前記横壁部材同士の間に形成されているとともに、
    複数本の前記横壁部材と前記縦壁部材とが相欠き継ぎ構造によって結合されている面格子壁構造。
  2. 前記開口部の縦方向の長さが、前記縦材の長さの二分の一以上である請求項1に記載の面格子壁構造。
  3. 前記縦材の長さは、前記一対の縦材同士の間隔よりも大きく、かつ、
    二本以上の前記縦壁部材と、前記縦材の両端の近傍にそれぞれ配置された第一および第二の前記横壁部材と、前記第一または第二の横壁部材に近接して配置された第三の前記横壁部材と、を含む請求項1または2に記載の面格子壁構造。
  4. 壁倍率が1.0を超える請求項3に記載の面格子壁構造。
  5. 前記横壁部材の両端にほぞが設けられ、
    前記縦材の両側面には、前記横壁部材に対応する位置にほぞ穴がそれぞれ設けられており、
    前記縦壁部材および前記横壁部材を含む単位構造が、前記縦材を共用して横方向に複数連結可能に構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の面格子壁構造。
  6. 前記縦材および前記縦壁部材の両端にそれぞれほぞが設けられているとともに、
    前記縦壁部材の前記ほぞの先端が、前記縦材の前記ほぞの先端よりも先細に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の面格子壁構造。
  7. 横架材と梁との間に立設された請求項1から6のいずれかに記載の面格子壁構造と、前記横壁部材の少なくとも一本よりも低位に設けられた天井仕上げ面と、を含む木造建築物。
  8. 前記天井仕上げ面が、前記開口部の上縁を画成する前記横壁部材と同高さまたは前記横壁部材よりも低位に設けられている請求項7に記載の木造建築物。
  9. 前記縦材と前記縦壁部材との間および前記縦壁部材同士の間に形成された前記開口部に窓構造が取り付けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の木造建築物。
  10. 隣接する室内空間同士を隔てる位置に前記面格子壁構造が配置されており、前記開口部を通じて前記室内空間同士が互いに視認可能である請求項7または8に記載の木造建築物。
  11. 前記開口部に、高さ方向に開閉可能な遮蔽部材が取り付けられていることを特徴とする請求項10に記載の木造建築物。
  12. 前記遮蔽部材が、ロールスクリーン、上げ下げ窓、猫間障子、簾またはブラインドの少なくとも一つを含む請求項11に記載の木造建築物。
  13. 前記開口部より下方に複数本の前記横壁部材を有し、少なくとも一本の前記横壁部材は内装材に掩蔽され、他の少なくとも一本の前記横壁部材は前記内装材から露出している請求項7から12のいずれかに記載の木造建築物。
  14. 前記内装材から露出している前記横壁部材を一つの段とする多段の物品載置棚が、一部の前記開口部の内側に形成されている請求項13に記載の木造建築物。
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