JP2012013456A - 電磁界プローブ - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な単一プローブ構成により、高空間分解能で詳細な電磁界検知と、高感度で探知範囲の広い電磁界検知との双方を同時、又は適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電磁界検知を実現する利便性に優れた電磁界プローブを実現する。
【解決手段】先端が電磁界の検出部1Aとされており、検出部1Aから延在する第1の信号線1aと、第1の信号線1aの延在方向に沿って絶縁物を介して形成された第1の接地導体1cとを有する第1の伝送線1と、第1の伝送線1に設けられた、第1の伝送線1のコモン電流の出力を遮断するコモン電流遮断機構4と、第1の接地導体1cの検出部1Aとコモン電流遮断機構4との間の部位に一端を接続して延在する第2の信号線2aを有する第2の伝送線2とを含み、第1の信号線1aの他端が第1の出力部1Bとされ、第2の信号線2aの他端が第2の出力部2Aとされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁界プローブに関する。
プリント基板等の表面近傍から発生する電磁界(近傍電磁界)を測定するには、金属製のプローブ電極又はループコイルを用いた電磁界プローブが利用されている。これらの電磁界プローブでは、例えば1ギガヘルツ以上の高周波特性に優れた電磁界検出ができる。
近傍電界を検出するための電界プローブとしては、プローブ電極及びその周囲のシールドグラウンドを適当な形に加工して、測定電界によってプローブ電極に誘起された電圧を検出することにより電界を検出する。例えば、セミリジッド同軸ケーブルの切断面の芯線をプローブ電極として利用するものがある。また、プローブ電極に誘起された信号を高効率で検出するために、入力インピーダンスの高い増幅器をプローブ先端近くに設けても良い。このような電界プローブの感度を向上させるためには、電界プローブの先端部で芯線をその周囲のシールドグラウンドよりも若干突出させることが好適である。その一方でこの場合、空間分解能の劣化という問題がある。
電界プローブを先端部で芯線を突出しない構造にすれば、シールドグラウンドの先端内径サイズ程度の空間分解能が得られる。従って、セミリジッド同軸ケーブルの切断面を利用した電界プローブでは、内部芯線の径と共に外部導体の径の小さいものを使用することによって、空間分解能を向上することができる。また、プローブの先端部分をその周囲のグラウンド導体とともに細くした形状にすると、空間分解能が向上する(特許文献1を参照)。
一方、近傍磁界を測定するための磁界プローブとしては、セミリジッド同軸ケーブルの先端にループコイルを形成した磁界プローブ、プリント基板の配線でループコイルを形成した磁界プローブ等が知られている(特許文献2,3を参照)。磁界プローブの電界への感度を下げるために、ループコイルに電界シールド構造を追加したシールデッドループ構造が用いられている。ループコイルを覆う電界シールド構造では、磁界がシールド構造に誘起された渦電流によりシールドされることを避けるためにシールド構造の一部がカットされている。例えば、同軸ケーブルの先端を曲げて芯線と芯線を覆うシールド導体でループを形成し、そのシールド導体のループの一部をカットしたり、信号線のループの一部がシールド導体から露出したシールデッドループ構造が知られている(非特許文献1を参照)。シールデッドループ構造をプリント基板パターンで形成したものも知られている(特許文献4を参照)。また、ループコイルとその信号を伝える伝送線からなるプローブ全体を先端コイル側に開口を持つシールド導体で一体に覆った構造も提案されている(特許文献5を参照)。
ループコイル両端の2つの信号線の差動信号成分から磁界を検出する方法が知られている(非特許文献1、特許文献6を参照)。電界及び磁界の双方を1つのプローブにより検出する方法として、ループコイル両端の2つの信号線の差動信号成分から磁界を検出し、加算信号成分から電界を検出する方法も知られている(非特許文献1、特許文献6,7を参照)。
特開平5−264672号公報 特開昭62−106379号公報 特開平8−129058号公報 特開平10−82845号公報 特開2000−214200号公報 特開平10−268009号公報 特開2000−206163号公報
John D. Dyson, Measurement of Near Fields of Antennas and Scatterers, IEEE Transactions on Antennas and Propagation, Vol. AP-21, No. 4, PP. 446 - 460, July 1973
上記のように、例えば電界プローブにおいて、同軸ケーブルの径を小さくしたり、プローブ先端部分のプローブ電極とその周囲のシールドグラウンドを細く形成することにより、電界プローブの空間分解能を向上させることができる。しかしながらその反面、測定感度の低下を招き、更にプローブ先端を測定対象に十分に近接させないと感度が著しく低下するようになる。従って、特に電子部品の搭載された凹凸のある測定対象の場合に凹凸に沿った走査測定が必要となり、長時間を要し、電磁ノイズの発生箇所を迅速に探し出すことができない。
この困難を避けるために、最初に空間分解能は低いが感度の高い電界プローブを用いて電磁ノイズの大体の発生箇所を探し出した後、空間分解能の高い電界プローブを用いて電磁ノイズの発生箇所の詳細を調べるという方法が考えられる。しかしながらこの場合、走査測定装置への電界プローブの交換作業が必要になり、特に高空間分解能の電界プローブの装着時の位置ずれ等の校正が必要になる場合も多く、煩雑で時間が掛かる。その他、高感度の電界プローブと高空間分解能の電界プローブとを隣接して設置する方法も考えられる。しかしながらこの場合、2つの電界プローブの測定位置のずれを補正する必要があり、高感度の電界プローブによる測定時に高空間分解能の電界プローブにより測定電界が乱されるという問題も生じる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡素な単一プローブ構成により、高空間分解能で詳細な電磁界検知と、高感度で探知範囲の広い電磁界検知との双方を同時又は適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電磁界検知を実現する利便性に優れた電磁界プローブを提供することを目的とする。
電磁界プローブの一態様は、一端が電磁界の検出部とされており、前記検出部から延在する第1の信号線と、前記第1の信号線の延在方向に沿って絶縁物を介して形成された第1の接地導体とを有する第1の伝送線と、前記第1の伝送線に設けられた、前記第1の伝送線のコモン電流の出力を遮断するコモン電流遮断機構と、前記第1の接地導体の前記検出部と前記コモン電流遮断機構との間の部位に一端を接続して延在する第2の信号線を有する第2の伝送線とを含み、前記第1の信号線の他端が第1の出力部とされ、前記第2の信号線の他端が第2の出力部とされる。
電磁界プローブの他態様は、一端が電磁界の検出部とされており、前記検出部から延在する第1の信号線と、前記第1の信号線の延在方向に沿って絶縁物を介して形成された第1の接地導体とを有する第1の伝送線と、第2の信号線を有する第2の伝送線と、前記第1の伝送線と前記第2の信号線の一端とを電磁誘導結合し、前記第1の伝送線のコモン電流の出力を遮断するコモン電流遮断機構とを含み、前記第1の信号線の他端が第1の出力部とされ、前記第2の信号線の他端が第2の出力部とされる。
上記した各態様によれば、簡素な単一プローブ構成により、高空間分解能で詳細な電磁界検知と、高感度で探知範囲の広い電磁界検知との双方を同時、又は適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電磁界検知ができる利便性に優れた電磁界プローブが実現する。
第1の実施形態による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。 第1の実施形態による電磁界プローブの一部断面構造を示す概略断面図である。 第1の実施形態による電磁界プローブを備えた電磁界検知システムの一構成を示す模式図である。 第1の実施形態による電磁界プローブを備えた電磁界検知システムを用いた電磁界検知方法を示す模式図である。 第1の実施形態による電磁界プローブにより測定された、配線幅50μmのマイクロストリップライン上の電界プロファイルの測定結果を示す特性図である。 第1の実施形態の変形例1による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。 第1の実施形態の変形例1による電磁界プローブのプローブ本体の製造工程を示す概略断面図である。 第1の実施形態の変形例1による電磁界プローブの一部断面構造を示す概略断面図である。 第1の実施形態の変形例2による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。 第2の実施形態による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。 第3の実施形態による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。 ループコイルの他の一例を部分的に示す模式図である。 第3の実施形態の変形例1による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。 第3の実施形態の変形例2による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。 第3の実施形態の変形例2による電磁界プローブの一部断面構造を示す概略断面図である。 ループコイルの他の一例を部分的に示す模式図である。 第3の実施形態の変形例3による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。 第3の実施形態の変形例3による電磁界プローブのプローブ本体の製造工程を示す概略断面図である。 第3の実施形態の変形例4による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。 第3の実施形態の変形例4による電磁界プローブによる電界及び磁界の測定原理を説明するための模式図である。 プローブ出力の切り替えスイッチを配設した構成を示す模式図である。 プローブ出力の切り替えスイッチを配設した他の構成を示す模式図である。
以下、電磁界プローブの諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。
この電磁界プローブは、第1の伝送線1、第2の伝送線2、調整機構3、コモン電流遮断機構4、及び接地(グラウンド)導体5を備えて構成される。後述するように、この電磁界プローブでは、第1の伝送線1の先端に近傍電界の検出部が設けられ、第1の伝送線1が感度は低いが高空間分解能の第1のプローブ出力を行う。一方、第2の伝送線2が空間分解能は低いが高感度の第2のプローブ出力を行う。
第1の伝送線1は、同軸ケーブル(セミリジッドケーブル)を用いて形成されており、図2(a)に示すように、第1の信号線1a、第1の絶縁体1b、及び第1のグラウンド導体1cを有して構成される。第1の伝送線1では、第1の信号線1aの当該第1の伝送線1の先端表面で露出する部分が、近傍電界の検出部1Aとされる。第1の信号線1aの当該第1の伝送線1の後端表面から延在する部分に第1の出力部1Bとなる電極が設けられており、当該電極から第1のプローブ出力が行われる。ここで、第1の伝送線1の先端部形状を絞り込んで細く形成することにより、第1のプローブ出力の空間分解能を更に向上させることができる。
第1の信号線1aは、芯状の内部導体線であり、例えば銅(Cu)等の導電材料からなる。第1の絶縁体1bは、第1の信号線1aの表面(側面)を被覆しており、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の絶縁材料からなる。第1のグラウンド導体1cは、例えばCu等の導電材料からなり、第1の絶縁体1bの表面(側面)を被覆しており、第1の信号線1aを電磁シールドするものである。
第2の伝送線2は、第1の伝送線1と同様に同軸ケーブルを用いて形成されており、第2の信号線2a、第2の絶縁体2b、及び第2のグラウンド導体2cを有して構成される。
第2の伝送線2では、その先端表面から第2の信号線2aの先端部分が所定長さだけ延在しており、第1のグラウンド導体1cの表面における調整機構3とコモン電流遮断機構4との間の所定部位、例えば接続部位1dに当該先端部分がハンダ等により電気的に接続されている。この電気的な接続の代わりに、例えばキャパシタ等を用いて容量的に接続しても良い。第2の伝送線2の後端表面から延在する第2の信号線2aの後端に第2の出力部2Aとなる電極が設けられており、当該電極から第2のプローブ出力が行われる。
第2の信号線2aは、芯状の内部導体線であり、例えばCu等の導電材料からなる。第2の絶縁体2bは、第2の信号線2aの表面(側面)を被覆しており、例えばPTFE等の絶縁材料からなる。第2のグラウンド導体2cは、例えばCu等の導電材料からなり、第2の絶縁体2bの表面(側面)を被覆しており、第2の信号線2aを電磁シールドするものである。
調整機構3は、例えば芯線の径が第1の伝送線1の径に略等しい同軸ケーブルにおいて当該芯線を抜いたものを用いて形成されている。調整機構3は、図2(b)に示すように、第3の絶縁体3a及び第3のグラウンド導体3bを有して構成されており、第1の伝送線1に挿入されて所定部位で固定される。これにより、調整機構3から第1の伝送線1の検出部1Aを含む先端部分が突き出た形とされる。この第1の伝送線1の突き出し部分1Cの長さを調整することにより、第2の伝送線2の第2のプローブ出力の電界感度及び空間分解能を制御することができる。突き出し部分1Cの長さを、測定する電磁界の伝播波長より十分短くしておけば、第2の出力部2Aからの出力の周波数特性を良好にすることができる。
また、調整機構3に対する第1の伝送線1の特性インピーダンスを第2の伝送線2の特性インピーダンスと合わせることにより、調整機構3の第3のグラウンド導体3cを長くしたときに、第2のプローブ出力の周波数特性を良好に保つことができる。
なお、調整機構3を設けない場合には、第1の伝送線1におけるコモン電流遮断機構4の設置位置を調整することで、第2の伝送線2の第2のプローブ出力の電界感度及び空間分解能を適宜制御することができる。このとき、被測定対象(例えば配線)からの距離が離れたときの感度低下の早さも調整することが可能である。また、コモン電流遮断機構4の設置位置から第1の伝送線1の検出部1Aまでの長さを、測定する電磁界の伝播波長より十分短くしておけば、第2のプローブ出力の周波数特性を良好にすることができる。
コモン電流遮断機構4は、磁性体、例えばフェライトビーズであり、第1の伝送線1の径に略等しい径の貫通口4aが形成されている。コモン電流遮断機構4は、第1の伝送線1に挿入されて、第1の伝送線1における第2の信号線2aの接続部位1dと出力部1Bとの間の所定部位で固定される。コモン電流遮断機構4により、第1の伝送線1を流れる後述するコモン電流が遮断される。第1のプローブ出力はその出力成分にコモン電流を殆ど有しない。コモン電流は、コモン電流遮断機構4により遮断させる直前で接続部位1dから第2の伝送線2に導かれ、第2のプローブ出力の出力成分となる。
グラウンド導体5は、例えばCu等の導電板を有している。グラウンド導体5は、導電板の各端部5aで調整機構3の第3のグラウンド導体3bの表面と、ハンダ等により電気的に接続されている。またグラウンド導体5は、第1の伝送線1の第1のグラウンド導体1cの表面及び第2の伝送線2の第2のグラウンド導体2cの表面とそれぞれハンダ等により接続されている。これにより、第1のグラウンド導体1c、第2のグラウンド導体2c、第3のグラウンド導体3b、及びグラウンド導体5が電気的に接続される。コモン電流遮断機構4は、グラウンド導体5の開口部5b内でグラウンド導体5とは非接触状態に保持される。
本実施形態の図1の電磁界プローブは、例えば以下のように作製される。
上記のように、第1及び第2の伝送線1,2として、セミリジッドケーブルを使用する。コモン電流阻止部の磁性体としてフェライトビーズを使用する。第3のグラウンド導体として、芯線の径が第1の伝送線の外径に等しいセミリジッドケーブルの芯線を抜いたものを使用する。
先ず、第1及び第2の伝送線1,2として用いるセミリジッドケーブルを適当な長さにカットする。
次に、銅板又は銅箔を片面に貼付したプリント基板をグラウンド導体5の形状にカットし、第1の伝送線1となるセミリジッドケーブルの後端側をグラウンド導体5に半田付けする。
次に、第1の伝送線1の検知部1Aから例えばフェライトビーズを挿入し、第1の伝送線1の所定位置に接着固定してコモン電流遮断機構4を形成する。
次に、第2の伝送線2となるセミリジッドケーブルの先端の芯線を露出させる。このセミリジッドケーブルを適宜屈曲させてグラウンド導体5に半田付けする。更に、セミリジッドケーブルの露出した先端の芯線を第1のグラウンド導体1cの接続部位1dに半田付けする。
次に、調整機構3を第1の伝送線1の先端から挿入し、グラウンド導体5の端部5aに半田付けする。
必要であれば、第1及び第2の伝送線1,2として用いるセミリジッドケーブルの第1及び第2のプローブ出力側にSMA(Sub Miniature type A)コネクタ等を接続する。
しかる後、第1の伝送線1の先端側の切断面を研磨して検知部1Aを形成し、電磁界プローブを形成する。
上記のように構成された電磁プローブでは、感度は低いが高空間分解能の第1のプローブ出力と、第2の伝送線2が空間分解能は低いが高感度の第2のプローブ出力とを、以下のようにして同時に得ることができる。
検知部1Aで近傍電界を検知した際に、第1の伝送線1の第1の信号線1aを流れる合計電流をI1、第1のグラウンド導体1cを流れる電流をI2とし、コモン電流Ic及び
差動電流Idを、以下のように定義する。
Ic≡I1+I2
Id≡I1−I2
I1及びI2は下式のようにIcの成分とIdの成分の合成電流として表すことができ
る。なお、コモン電流はコモンモード電流とも呼ばれる。
I1=(Ic+Id)/2
I2=(Ic−Id)/2
第1の伝送線1に配されたコモン電流遮断機構4は、差動電流成分を出力部1Bへ透過させると同時に、コモン電流の出力部1Bへの透過を遮断する。
第1の伝送線1を流れる差動電流成分は、第1の信号線1aとそれに沿った第1のグラウンド線1cとで合計電流がゼロとなるため、第1の伝送線1の外部に殆ど磁界を生じない。従って、磁性体からなるコモン電流遮断機構4の有無に関係なく透過できる。一方、コモン電流成分は、上記の合計電流がゼロでない値となるため、第1の伝送線1の外部に大きな磁界を生じる。これにより、コモン電流成分によってコモン電流遮断機構4の磁性体が磁化されて大きなインピーダンスを生じ、インピーダンスの小さい第2の伝送線2に電流が流れることになる。
コモン電流遮断機構4を透過した第1の伝送線1の第1の信号線1aを流れる電流は、第1のプローブ出力として出力部1Bから出力される。内部芯線である第1の信号線1aの径は小さく、第1の伝送線1の先端表面における第1の信号線1aの露出面積は小さい。そのため、第1のプローブ出力は、感度は低いが空間分解能の高い出力として得られる。
一方、コモン電流遮断機構4で遮断されて第2の伝送線2に導かれた第2の信号線2aを流れる電流は、第2のプローブ出力として出力部2Aから出力される。第1の伝送線1の第1の信号線1aのみならず第1のグラウンド導体1cが電界センサとして働く。そのため、第2のプローブ出力は、空間分解能は低いが感度の高い出力として得られる。
以下、上記のように構成された電磁界プローブを用いた電磁界検知方法について説明する。
図3は、第1の実施形態による電磁界プローブを備えた電磁界検知システムの一構成を示す模式図である。図4は、この電磁界検知システムを用いた電磁界検知方法を示す模式図である。
図3の電磁界検知システムでは、101は本実施形態による電磁界プローブ10が設置されるプローブステージである。プローブステージ101には、中心軸廻りに電磁界プローブ10を適宜回動(矢印R方向)させる機構が設けられている。102はプローブステージ101を矢印X方向、矢印Y方向、矢印X方向に移動自在なプローブ移動機構である。103はプローブ移動機構102の駆動を制御するステージコントローラである。104は電磁界プローブ10で検知された電磁界分布を計測して表示するスペクトラム・アナライザ等の計測機器である。電磁界プローブ10の第1の出力部1Bが計測機器104の入力端子104aに、第2の出力部2Aが計測機器104の入力端子104bにそれぞれに接続される。105はプローブ移動機構102で配線等を走査する様子を画像観測するCCDカメラ等の観察機器である。106は、プローブステージ101、プローブ移動機構102、ステージコントローラ103、計測機器104及び観察機器105を統括制御するパーソナル・コンピュータ等の制御機器である。
電磁界プローブ10の第1及び第2の出力部1B,2Aと計測機器104との間に、所定の低ノイズアンプを接続するようにしても良い。これにより、測定感度を向上させることができる。
また、電磁界プローブ10の第1及び第2の出力部1B,2Aと計測機器104との間に、高入力インピーダンス増幅器を接続するようにしても良い。これにより、測定感度を向上させることができる。この場合、高周波計測を可能にするためには、電磁界プローブ内の第1及び第2の伝送線が短くなるように、電磁界プローブをできるだけ小さく作製することが望ましい。従って、高入力インピーダンス増幅器を組み込んだ構造に電磁界プローブを作製することが好適である。
この電磁界検知システムを用いて、図4に示すように、配線の形成されたプリント基板100の電界検知試験、即ち、プリント基板100上に形成された配線107から放射される電界を検知する。
観察機器105によりプリント基板100上の電界検知対象となる配線107を観察する。観察機器105で生成された画像信号は制御機器106に送信され、制御機器106の表示部に適宜表示される。ステージコントローラ103は、制御機器106からのステージ制御信号に従ってプローブ移動機構102を駆動する。これにより、プローブステージ101に設置された電磁界プローブ10は、プリント基板100上において、検知対象である配線107と所定距離を保ち非接触の状態で走査する。走査方向は、配線107の長手方向と交わる方向、例えば配線107の長手方向に直交する方向(図4に矢印Aで示す。)とする。電界感知プローブ10で検知された電界分布に基づいて生成された測定信号は、第1及び第2の出力部1B,2Aから計測機器104の入力端子104a,104bに送信される。計測機器104は、制御機器106からの指示に従って、測定信号に基づき検知された電磁界分布の例えばスペクトラム解析を行う。
本実施形態では、第2の出力部2Aからの第2のプローブ出力により、高感度の電界検知を行い、被測定対象である配線について広範囲の測定を実行する。
一方、第1の出力部1Bからの第1のプローブ出力により、高空間分解能の電界検知を行い、詳細な測定を実行する。
上記の電磁界検知システムは、後述する本実施形態の諸変形例、第2の実施形態、第3の実施形態及びその諸変形例による電磁界プローブにも、同様に適用できる。
図5は、本実施形態による電磁界プローブにより測定された、配線幅50μmのマイクロストリップライン上の電界プロファイルの測定結果を示す特性図である。(a)はラインプロファイル、(b)はラインプロファイルのレベルを規格化したものである。
第1の伝送線1として、外部導体径が0.33mmのセミリジッドケーブルを用い、第1の信号線1aの径は0.08mmとした。調整機構3の外径は0.86mm、長さは10mmとし、第1の伝送線1の突き出し部分1Cの長さは5mmとした。コモン電流遮断機構4の磁性体としてフェライトビーズを使用した。
配線に1GHz,+10dBmの正弦波信号を入力し、配線からのプローブ先端の高さZを25μmとして、第1及び第2のプローブ出力を測定した。この測定結果から、第1のプローブ出力は、感度は低いが空間分解能が高く、第2のプローブ出力は、空間分解能は低いが感度が高いことが判る。また、第1のプローブ出力に比べて、第2のプローブ出力の方が、配線から離れても感度の低下が小さいことが判る。
Figure 2012013456
表1は、図5の測定と同じ電磁界プローブについて、空間分解能及び感度を、配線からのプローブ先端の高さZを変えて測定した結果をまとめたものである。
空間分解能は、幅50μmの配線上で測定したラインプロファイルのピーク出力から6dB低下する位置の半幅で定義している。感度は、配線入力を入力とし、プローブ出力を出力としてネットワークアナライザにより透過率S21を測定した。使用した配線は、幅400μm、特性インピーダンス50Ωで、配線出力は50Ω終端されている。表1では、測定結果の周波数1GHzにおける値を示した。第2のプローブ出力の方が、第1のプローブ出力に比べて感度が高く、配線から離れても感度の低下が少ないことが判る。
以上説明したように、本実施形態によれば、簡素な単一プローブ構成(検知部は1Aのみ)により、高空間分解能で詳細な電界検知(第1のプローブ出力)と、高感度で探知範囲の広い電界検知(第2のプローブ出力)との双方を同時に、又は適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電界検知ができる利便性に優れた電磁界プローブが実現する。
−変形例−
以下、第1の実施形態による電磁界プローブの諸変形例について説明する。第1の実施形態による電磁界プローブに対応する構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
(変形例1)
図6は、第1の実施形態の変形例1による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。
本例では、第1の実施形態による電磁界プローブと同様の作用及び効果を奏する電磁界プローブを開示する。ここでは、第1及び第2の伝送線1,2、調整機構3、及びグラウンド導体5をプリント基板により形成し、電磁界プローブを作製する。
本例の電磁界プローブの構成について、その製造方法と共に説明する。
本例では、3層の導電層を含むプリント基板を用いてこれを所定形状にカットし、図6のように、第1及び第2の伝送線1,2及びグラウンド導体5のプリント基板パターンを一体形成する。このプリント基板パターンをプローブ本体11と呼ぶ。
プローブ本体11は、例えば以下のように形成する。
図7(a)に示すように、炭素繊維に樹脂(例えばガラスエポキシ樹脂)を含浸した成形用中間材料であるプリプレグを銅箔で挟んで加熱プレスする。これにより、絶縁層11bの両面に銅箔11aが付着した両面基板が作製される。
次に、両面基板の銅箔11a上にフィルムをラミネートしてレジスト膜を形成し、マスクパターンを露光し現像してレジストパターンとする。このレジストパターンを用いて銅箔11aをエッチングする。これにより、図7(b)に示すように、絶縁層11b上に配線パターン11cが形成される。
次に、配線パターン11cの形成された絶縁層11b上に、プリプレグ及び銅箔を重ねて加熱プレスする。これにより、図7(c)に示すように、配線パターン11cを絶縁層11b,11dを介して銅箔11a、11eで挟持したプリント基板が形成される。
このプリント基板を、図6の形状にカットし、プローブ本体11を形成する。プローブ本体11において、第1の伝送線1では、第1の信号線1aが配線パターン11cに、第1の絶縁体1bが絶縁層11b,11dに、第1のグラウンド導体1cが銅箔11a,11eに対応する。第2の伝送線2では、第2の信号線2aが配線パターン11cに、第2の絶縁体2bが絶縁層11b,11dに、第2のグラウンド導体2cが銅箔11a,11eに対応する。グラウンド導体5は、銅箔11a,11eに対応する。
ここで、より層数の多いプリント基板を作製するには、配線パターンを複数形成してプリプレグを介して重ね、加熱プレスして形成する。異なる層間の配線パターンを導通接続する層間接続には、スルーホール又はビア接続が用いられる。スルーホールは、ドリルで開口した後にメッキ法により穴の内壁面及び表面に導体層を成膜して形成する。グラウンド導体の内層に形成された第1,第2の伝送線と出力部の電極等とを接続するために層間接続が用いられる。また、第1,第2の伝送線の周囲で両側のグラウンド導体間を層間接続することにより、第1,第2の伝送線の電磁シールドが強化される。
次に、プローブ本体11の第1の伝送線1に、検知部1Aから例えばフェライトビーズを挿入し、第1の伝送線1の所定位置に接着固定してコモン電流遮断機構4を形成する。
次に、図6のように、プローブ本体11の第2の伝送線2の部分の先端側で露出した第2の信号線2aと、プローブ本体11の第1の伝送線1の部分の第1のグラウンド導体1cの間に銅線12を半田付けする。これにより、第2の信号線2aと第1のグラウンド導体1cとが電気的に接続される。
次に、上記と同様のプリント基板を用いてこれを所定形状にカットし、図6のように、調整機構3のプリント基板パターンを形成する。このプリント基板パターンの2枚を、プローブ本体11の第1の伝送線1の部分の両面から挟んで接着し、各プリント基板パターンをプローブ本体11のグラウンド導体5の部分と層間接続する。2枚のプリント基板パターンにより第1の伝送線1を両面から挟んで接着した部分の断面を図8に示す。図8では、第1の伝送線1(配線パターン11cを絶縁層11b,11dを介して銅箔11a、11eで挟持する)を、絶縁層11fを介した銅箔11gと、絶縁層11hを介した銅箔11iとで挟持している。調整機構3では、第3の絶縁体3aが絶縁層11f,11hに、第3のグラウンド導体3bが銅箔11g,11iに対応する。
必要であれば、プローブ本体11の第1及び第2の伝送線1,2の第1及び第2のプローブ出力側にSMAコネクタ等を接続する。
しかる後、第1の伝送線1の先端側の切断面を研磨して検知部1Aを形成し、電磁界プローブを形成する。
以上説明したように、本例によれば、簡素な単一プローブ構成(検知部は1Aのみ)により、高空間分解能で詳細な電界検知(第1のプローブ出力)と、高感度で探知範囲の広い電界検知(第2のプローブ出力)との双方を適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電界検知ができる、プリント基板を用い利便性に優れた電磁界プローブが実現する。
(変形例2)
図9は、第1の実施形態の変形例2による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。
本例では、第1の実施形態による電磁界プローブと同様の作用及び効果を奏する電磁界プローブを開示する。ここでは、コモン電流遮断機構13が、第1の伝送線1を所定位置でコイル形状(ここでは半円形状)に屈曲して形成されている。本例では、この構成を得ることも考慮し、コモン電流遮断機構13と、第1及び第2の伝送線1,2、調整機構3、及びグラウンド導体5とをプリント基板により形成し、電磁界プローブを作製する。
コモン電流遮断機構13は、図9の例では第1の伝送線1の一箇所を半円状に屈曲した形状に形成されているが、屈曲を複数形成したり、複雑な屈曲を形成しても好適である。更にこの屈曲部に、磁性体、抵抗体、又は誘電体等の電磁界吸収体及びこれらを組み合わせたものを近接させて設置しても良い。また、コモン電流遮断機構13は、屈曲を形成せずに、磁性体、抵抗体、又は誘電体等の電磁界吸収体及びこれらを組み合わせたものを近接させて設置、より望ましくは第1の伝送線の周囲を取り囲むように設置しても良い。
本例の電磁界プローブの構成について、その製造方法と共に説明する。
本例では、5層の導電層を含むプリント基板を用いてこれを所定形状にカットし、図9のように、第1及び第2の伝送線1,2、調整機構3、コモン電流遮断機構13、及びグラウンド導体5のプリント基板パターンを一体形成する。このプリント基板パターンをプローブ本体14と呼ぶ。
本例では、図7(a)〜図7(c)を用いて説明したプリント基板パターンの作成法と同様の手法により、図8に示す配線パターン11cを絶縁層11b,11dを介して銅箔11a、11eで挟持し、さらにこれらを絶縁層11h、11fを介して調整機構3を構成する銅箔11i、11gで挟持した5層の導電層を含むプリント基板が形成される。
このプリント基板を、図9の形状にカットし、プローブ本体14を形成する。このプローブ本体14において、図7(c)と同様に、第1の伝送線1では、第1の信号線1aが配線パターン11cに、第1の絶縁体1bが絶縁層11b,11dに、第1のグラウンド導体1cが銅箔11a、11eに対応する。第2の伝送線2では、第2の信号線2aが配線パターン11cに、第2の絶縁体2bが絶縁層11b,11dに、第2のグラウンド導体2cが銅箔11a、11eに対応する。コモン電流遮断機構13は、プローブ本体11の第1の伝送線1に対応する部位の所定位置で半円状に屈曲した形状に形成されている。グラウンド導体5は、銅箔11a、11eに対応する。調整機構3は、銅箔11i、11gに対応する。
次に、図9のように、プローブ本体14の第2の伝送線2の部分の先端側で露出した第2の信号線2aと、プローブ本体14の第1の伝送線1の部分の第1のグラウンド導体1cとを層間接続する。これにより、第2の信号線2aと第1のグラウンド導体1cとが電気的に接続される。
次に、図9のように、調整機構3の銅箔パターンをグラウンド導体5の部分と層間接続する。
必要であれば、プローブ本体14の第1及び第2の伝送線1,2の第1及び第2のプローブ出力側にSMAコネクタ等を接続する。
しかる後、第1の伝送線1の先端側の切断面を研磨して検知部1Aを形成し、電磁界プローブを形成する。
本例の電磁界プローブは、コモン電流遮断機構13がプリント基板上にパターンとして形成されるため、量産に適する。
また、コモン電流遮断機構をフェライトビーズとする場合、数GHz以上の高い周波数では通常の強磁性体が強磁性体として機能し難くなる場合があるが、本例の屈曲を形成する構成ではこの問題を回避される。
また、低周波数から高周波数の周波数領域まで十分な機能を確保すべく、変形例1のコモン電流遮断機構4と組み合わせてコモン電流遮断機構を構成するようにしても好適である。
以上説明したように、本例によれば、簡素な単一プローブ構成(検知部は1Aのみ)により、高空間分解能で詳細な電界検知(第1のプローブ出力)と、高感度で探知範囲の広い電界検知(第2のプローブ出力)との双方を同時、又は適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電界検知ができる、プリント基板を用い利便性に優れた電磁界プローブが実現する。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に第1及び第2のプローブ出力を行う電磁界プローブを開示するが、コモン電流遮断機構の構成が異なる点で第1の実施形態と相違する。第1の実施形態による電磁界プローブに対応する構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図10は、第2の実施形態による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。
この電磁界プローブは、第1の伝送線1、第2の伝送線2、調整機構3、コモン電流遮断機構4、及びグラウンド導体5を備えて構成される。この電磁界プローブでは、第1の実施形態と同様に、第1の伝送線1に近傍電界の検出部1Aが設けられ、第1の伝送線1が感度は低いが高空間分解能の第1のプローブ出力を行う。一方、第2の伝送線2が空間分解能は低いが高感度の第2のプローブ出力を行う。
コモン電流遮断機構4は、磁性体、例えばフェライトビーズであり、第1の伝送線1の径よりの若干大きい径の貫通口4bが形成されている。コモン電流遮断機構4は、第1の伝送線1に挿入されて、調整機構3と第1の伝送線1の出力部1Bとの間の所定部位で固定される。
本実施形態では、コモン電流遮断機構4において、第1の伝送線1と第2の伝送線2の第2の信号線2aとが電磁誘導結合される。具体的には、第2の伝送線2の先端部から延びる第2の信号線2aの延長部分がコモン電流遮断機構4に貫通口4bを通って少なくとも1回捲回される。そして、延長部分の先端が第2の伝送線2の第2のグラウンド導体2cの表面にハンダ等により接続される。この延長部分により、ピックアップコイル21が形成される。ピックアップコイル21は、コモン電流遮断機構4の貫通口4b内で第1の伝送線1と対向し、第1の伝送線1と電磁誘導結合される。
コモン電流遮断機構4により、第1の伝送線1を流れる差動電流は影響を受けずにそのまま流れるが、コモン電流は遮断され、第1のプローブ出力はその出力成分にコモン電流を殆ど有しない。一方、上記の電磁誘導結合により、コモン電流は第2の伝送線2に導かれ、第2のプローブ出力の出力成分となる。
ここで、非常に高い周波数における電磁誘導結合特性を得るべく、磁性体のコモン電流遮断機構4の代わりに、例えば空芯コイルを形成しても良い。更に、磁性体のコモン電流遮断機構4と空芯コイルとを組み合わせて構成しても好適である。
以上説明したように、本実施形態によれば、簡素な単一プローブ構成(検知部は1Aのみ)により、高空間分解能で詳細な電界検知(第1のプローブ出力)と、高感度で探知範囲の広い電界検知(第2のプローブ出力)との双方を適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電界検知ができる利便性に優れた電磁界プローブが実現する。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に第1及び第2のプローブ出力を行う電磁界プローブを開示するが、検知対象が近傍電磁界である点で第1の実施形態と相違する。第1の実施形態による電磁界プローブに対応する構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図11は、第3の実施形態による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。
この電磁界プローブは、第1の伝送線31、第2の伝送線2、調整機構3、コモン電流遮断機構4、及びグラウンド導体5を備えて構成される。
第1の伝送線31は、同軸ケーブル(セミリジッドケーブル)を用いて形成されており、第1の実施形態の図2と同様に、第1の信号線31a、第1の絶縁体31b、及び第1のグラウンド導体31cを有して構成される。第1の伝送線31では、その先端部分がコイル状に丸められてループコイル32が形成されている。ループコイル32は、その先端にグラウンド導体31cを切断するギャップ32aが形成されており、第1の信号線31aの先端とグラウンド導体31cの先端が第1のグラウンド導体31cの表面にハンダ等で接続される。ギャップ32a部には第1の絶縁体31bを残して形成してもよいし、接着剤等の絶縁体で覆って補強してもよい。第1の伝送線31では、第1の伝送線31の後端表面から延在する第1の信号線31aに第1の出力部1Bとなる電極が設けられている。
ループコイルの他の一例を図12に示す。
このループコイル33は、先端部33aから第1のグラウンド導体31cの表面との接続部位までの部分が、ほぼ半円形状に屈曲した導体棒33bで形成されている。
本実施形態による電磁界プローブでは、第1の伝送線31の先端部分に設けられたループコイル32又は33が近傍磁界の検出部とされている。第1の伝送線31は、第1の出力部31Aから、感度は低いが高空間分解能の磁界出力である第1のプローブ出力を行う。一方、第2の伝送線2は、第2の出力部2Aから、空間分解能は低いが高感度の電界出力である第2のプローブ出力を行う。
以上説明したように、本実施形態によれば、簡素な単一プローブ構成(検知部はギャップ32a又は33aのみ)により、高空間分解能で詳細な磁界検知(第1のプローブ出力)と、高感度で探知範囲の広い電界検知(第2のプローブ出力)との双方を同時、又は適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電磁界検知ができる利便性に優れた電磁界プローブが実現する。
−変形例−
以下、第3の実施形態による電磁界プローブの諸変形例について説明する。第3の実施形態による電磁界プローブに対応する構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
(変形例1)
図13は、第3の実施形態の変形例1による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。
本例では、第3の実施形態による電磁界プローブと同様の作用及び効果を奏する電磁界プローブを開示する。ここでは、図6及び図7に示した第1の実施形態の変形例1による電磁界プローブと同様に、プリント基板を用いる。ここでは、第1の伝送線31、第2の伝送線2、調整機構3、及びグラウンド導体5をプリント基板により形成し、電磁界プローブを作製する。
本例でも、第1の実施形態の変形例1と同様に、第1の伝送線31、第2の伝送線2及びグラウンド導体5の一体形成されたプリント基板パターンをプローブ本体11とする。
プローブ本体11の第1の伝送線31では、その先端部分にループコイル32がプリント基板パターンで形成される。具体的には、第1の伝送線31の先端部分において、図7(c)の配線パターン11cがコイル状に丸められ、その先端が絶縁層11dに形成されたスルーホール又はビアを介して銅箔11e(グラウンド導体5に対応する)と電気的に接続される。プローブ本体11のループコイル32の先端に相当する部分には、グラウンド導体31cに渦電流を妨げるためのギャップ32aが形成される。
必要であれば、プローブ本体11の第1及び第2の伝送線31,2の第1及び第2のプローブ出力側にSMAコネクタ等を接続し、電磁界プローブを形成する。
なお、第1の実施形態の変形例2による図9に示した電磁界プローブと同様に、図13の構成において、コモン電流遮断機構13もプリント基板パターンで形成するようにしても良い。
以上説明したように、本例によれば、簡素な単一プローブ構成(検知部はギャップ32aのみ)により、高空間分解能で詳細な磁界検知(第1のプローブ出力)と、高感度で探知範囲の広い電界検知(第2のプローブ出力)との双方を同時、又は適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電磁界検知ができる、プリント基板を用い利便性に優れた電磁界プローブが実現する。
(変形例2)
図14は、第3の実施形態の変形例2による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。
本例では、電磁界プローブは、第1の伝送線34、第2の伝送線2、調整機構35、コモン電流遮断機構4、及びグラウンド導体5を備えて構成される。
第1の伝送線34は、図15(a)に示すように、2本の同軸ケーブル(セミリジッドケーブル)である伝送線34A,34Bが長手方向に沿って隣り合うように並行に設けられてなる。伝送線34A,34Bは、それぞれ、第1の信号線34a、第1の絶縁体34b、及び第1のグラウンド導体34cを有して構成される。第1の信号線34aは、芯状の内部導体線であり、例えば銅(Cu)等の導電材料からなる。第1の絶縁体34bは、第1の信号線34aの表面(側面)を被覆しており、例えばPTFE等の絶縁材料からなる。第1のグラウンド導体34cは、例えばCu等の導電材料からなり、第1の絶縁体34bの表面(側面)を被覆しており、第1の信号線34aを電磁シールドするものである。伝送線34A,34Bは、それぞれの第1のグラウンド導体34c同士がハンダ等により接続され、第1の伝送線34とされる。
第1の伝送線34では、伝送線34A,34Bの先端部分がそれぞれほぼ半円状に屈曲してループコイル36が形成されている。ループコイル36は、その先端のグラウンド導体34cを切断するギャップ36aが形成されている。ギャップ36aでは、伝送線34A,34Bの各第1の信号線34aの接続部分がシールド構造から露出する。第1の伝送線34では、伝送線34A,34Bの各後端表面から延在する第1の信号線34aに、第1の出力部34Cとなる電極がそれぞれ設けられている。伝送線34A,34Bの各第1の出力部34Cにより、第1のプローブ出力として差動信号が出力される。
調整機構35は、例えば同軸ケーブルにおいて芯線を含む部分を第1の伝送線34の形状に抜いたものを用いて形成されている。調整機構35は、図15(b)に示すように、第3の絶縁体35a及び第3のグラウンド導体35bを有して構成されており、第1の伝送線34に挿入されて所定部位で固定される。これにより、調整機構35から第1の伝送線34のループコイル36を含む先端部分が突き出た形とされる。この第1の伝送線34の突き出し部分34Dの長さを調整することにより、第2の伝送線2の第2のプローブ出力の電界感度及び空間分解能を制御することができる。突き出し部分34Dの長さを、測定する電磁界の伝播波長より十分短くしておけば、第2の出力部2Aからの出力の周波数特性を良好にすることができる。
また、調整機構35に対する第1の伝送線34の特性インピーダンスを第2の伝送線2の特性インピーダンスと合わせることにより、調整機構35を長くしたときに、第2のプローブ出力の周波数特性を良好に保つことができる。
なお、調整機構35を設けない場合には、第1の伝送線34におけるコモン電流遮断機構4の設置位置を調整することで、第2の伝送線2の第2のプローブ出力の磁界感度及び空間分解能を適宜制御することができる。このとき、被測定対象(例えば配線)からの距離が離れたときの感度低下の早さも調整することが可能である。
なお、第1の伝送線34において、ループコイル36を形成する代わりに、図16に示すように、二つの第1の信号線34aの先端に半円状に曲げた導体棒37cの両端を接続してループコイル37を形成しても良い。
以上説明したように、本例によれば、簡素な単一プローブ構成により、高空間分解能で詳細な磁界検知(第1のプローブ出力)と、高感度で探知範囲の広い電界検知(第2のプローブ出力)との双方を適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電磁界検知ができる利便性に優れた電磁界プローブが実現する。
(変形例3)
図17は、第3の実施形態の変形例3による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。
本例では、第3の実施形態の変形例2による電磁界プローブと同様の作用及び効果を奏する電磁界プローブを開示する。ここでは、図6及び図7に示した第1の実施形態の変形例1による電磁界プローブと同様に、プリント基板を用いる。ここでは、第1の伝送線34、第2の伝送線2、調整機構3、及びグラウンド導体5をプリント基板により形成し、電磁界プローブを作製する。
本例でも、第3の実施形態の変形例1と同様に、第1の伝送線34、第2の伝送線2及びグラウンド導体5の一体形成されたプリント基板パターンをプローブ本体11とする。
プローブ本体11は、例えば以下のように形成する。
先ず図7(a)と同様にして、絶縁層11bの両面に銅箔11aが付着した両面基板を作製する。
次に、両面基板の銅箔11a上にフィルムをラミネートしてレジスト膜を形成し、マスクパターンを露光し現像してレジストパターンとする。このレジストパターンを用いて銅箔11aをエッチングする。これにより、絶縁層11b上に一対の配線パターン11c1,11c2が長手方向に並列して形成される。
次に、配線パターン11c1,11c2の形成された絶縁層11b上に、プリプレグ及び銅箔を重ねて加熱プレスする。これにより、図18(a)に示すように、配線パターン11c1,11c2を絶縁層11b,11dを介して銅箔11a、11eで挟持したプリント基板が形成される。
このプリント基板を、図17の形状にカットし、プローブ本体11を形成する。プローブ本体11において、第1の伝送線34では、伝送線34A,34Bの第1の信号線34aが配線パターン11c1,11c2に、第1の絶縁体1bが絶縁層11b,11dに、第1のグラウンド導体1cが銅箔11a,11eに対応する。第2の伝送線2では、第2の信号線2aが配線パターン11cに、第2の絶縁体2bが絶縁層11b,11dに、第2のグラウンド導体2cが銅箔11a,11eに対応する。グラウンド導体5は、銅箔11a,11eに対応する。
プローブ本体11の第1の伝送線34では、その先端部分にループコイル36が配線パターン11c1,11c2で形成されている。具体的には、第1の伝送線34の先端部分において、配線パターン11c1,11c2がコイル状に丸められ、その先端が互いに接続されてループコイルを形成する。プローブ本体11のループコイル36の先端に相当する部分には、第1のグラウンド導体34cに渦電流を妨げるギャップ36aが形成される。
次に、上記と同様のプリント基板を用いてこれを所定形状にカットし、図17のように、調整機構3のプリント基板パターンを形成する。このプリント基板パターンの2枚を、プローブ本体11の第1の伝送線34の部分の両面から挟んで接着し、各プリント基板パターンをプローブ本体11のグラウンド導体5の部分と層間接続する。2枚のプリント基板パターンにより第1の伝送線34を両面から挟んで接着した部分の断面を図18(b)に示す。図18(b)では、第1の伝送線34(配線パターン11c1,11c2を絶縁層11b,11dを介して銅箔11a、11eで挟持する)を、絶縁層11fを介した銅箔11gと、絶縁層11hを介した銅箔11iとで挟持している。調整機構3では、第3の絶縁体3aが絶縁層11f,11hに、第3のグラウンド導体3bが銅箔11g,11iに対応する。
必要であれば、プローブ本体11の第1及び第2の伝送線34,2の第1及び第2のプローブ出力側にSMAコネクタ等を接続し、電磁界プローブを形成する。
なお、第1の実施形態の変形例2による図9に示した電磁界プローブと同様に、図13の構成において、コモン電流遮断機構13もプリント基板パターンで形成するようにしても良い。
以上説明したように、本例によれば、簡素な単一プローブ構成により、高空間分解能で詳細な磁界検知(第1のプローブ出力)と、高感度で探知範囲の広い電界検知(第2のプローブ出力)との双方を適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電磁界検知ができる、プリント基板を用い利便性に優れた電磁界プローブが実現する。
(変形例4)
図19は、第3の実施形態の変形例4による電磁界プローブの構成を概略的に示す模式図である。
本例による電磁界プローブは、第3の実施形態の変形例2による電磁界プローブに演算部を付加した構成を採る。
この電磁界プローブは、第1の伝送線34、第2の伝送線2、調整機構35、コモン電流遮断機構4、グラウンド導体5、及び演算部41を備えて構成される。
本例では、第1の伝送線34を構成する伝送線34A,34Bの後端部分が変形例2の場合よりも短くカットされ、各後端に電極が配設されて出力端34A1,34B1が形成されている。第1の伝送線34の出力部は、電極が配設されて第1の出力部42A,42Bとされている。出力端34A1,34B1と第1の出力部42A,42Bとの間に、演算部41が接続されている。
演算部41は、例えば180度ハイブリッド回路であり、出力端34A1,34B1からの各出力A,Bの減算(A−B)及び加算(A+B)を行う機能を有する。減算により生成された差動信号は第1の出力部42Aから、加算により生成された加算信号は第1の出力部42Bから、それぞれ出力される。第1の出力部42Aからの第1のプローブ出力が、感度は低いが高空間分解能の磁界出力となる。第1の出力部42Bからの第1のプローブ出力が、感度は低いが高空間分解能の電界出力となる。一方、第2の伝送線2は、第2の出力部2Aから、空間分解能は低いが高感度の電界出力である第2のプローブ出力を行う。
本例の電磁界プローブによる電界及び磁界の測定原理について、図20を用いて説明する。
図20(a)に示すように、被測定対象である配線51を流れる電流により生じる磁界は、ループコイル36の中を通り、この磁束が変化することによりループコイル36の両端に逆向きの電流を生ぜしめる。一方、図20(b)に示すように、配線51の電圧による電界は、ループコイル36の両端に同じ向きの電流を生ぜしめる。配線51に電流及び電圧が同時に生じている場合には、この2つの電流が重なり合って同時に生じる。ループコイル36の両端からの信号の差動信号成分を演算することにより磁界を検出でき、加算信号成分を演算することにより電界を検出することができる。
以上説明したように、本例によれば、簡素な単一プローブ構成(検知部はギャップ36aのみ)により、高空間分解能で詳細な磁界検知及び電界検知(2種の第1のプローブ出力)と、高感度で探知範囲の広い電界磁界検知(第2のプローブ出力)との双方を適宜に行うことを可能とし、短時間で容易に所期の電磁界検知ができる利便性に優れた電磁界プローブが実現する。
なお、第3の実施形態及びその諸変形例による電磁界プローブは、第1の実施形態による電磁界プローブを基本構成とする代わりに、第2の実施形態による電磁界プローブを基本構成として、ループコイルを形成した構成としても良い。
上述した第1〜第3の実施形態及び諸変形例において、1種のプローブ出力を切り換えて出力するための切り替えスイッチを設けるようにしても良い。これは例えば、図3の電磁界検知システムで入力端子が1つ(例えば入力端子104aのみ)の計測機器104に適用する場合を想定している。
図21に、第1の実施形態及び変形例1,2、第2の実施形態、又は第3の実施形態及び変形例1の電磁界プローブ(電磁界プローブ10とする)に対応した2対1切り替えスイッチ61を配設した場合を示す。この構成では、2対1切り替えスイッチ61は、電磁界プローブ10の2種の出力部(第1の出力部及び第2の出力部)と接続されている。2対1切り替えスイッチ61は、例えば図3の電磁界検知システムの制御機器106の制御により、いずれかの出力部が選択され、選択された出力部からの出力信号が計測機器104の入力端子に入力する。
図22に、第3の実施形態及び変形例2,3,又は4の電磁界プローブ(電磁界プローブ10とする)に対応した3対1切り替えスイッチ62を配設した場合を示す。この構成では、3対1切り替えスイッチ62は、電磁界プローブ10の3種の出力部(2種の第1の出力部及び第2の出力部)と接続されている。3対1切り替えスイッチ62は、例えば図3の電磁界検知システムの制御機器106の制御により、いずれかの出力部が選択され、選択された出力部からの出力信号が計測機器104の入力端子に入力する。
切り替えスイッチ61,62では、計測機器104に接続されない電磁界プローブ10の出力は、反射信号の影響等を防止することを考慮して、終端抵抗63に接続される。切り替えスイッチ61,62としては、機械式接点によるスイッチ、小型の機械式接点スイッチとしてMEMSスイッチ、PINダイオードスイッチ、GaAsスイッチ等の半導体スイッチ等が利用できる。
なお、第1の実施形態の変形例1,2、及び第3の実施形態の変形例1,3において、電磁界プローブにプリント基板を用いる代わりに、シリコン、サファイヤ等の結晶基板、ガラス基板、セラミック基板を用いても良い。この場合、蒸着、スパッタリング、エッチング、リソグラフィー等を使用して電磁界プローブを作製する。また、電磁界プローブをこれらの基板(プリント基板を含む)のうちから複数の組み合わせにより製作しても好適である。
また、第1の実施形態及び変形例1,第2の実施形態、第3の実施形態及び変形例1〜4において、コモン電流遮断機構の磁性体に強磁性体のフェライトを用いる代わりに、反強磁性体、多層膜により合成した人工反強磁性体を用いても良い。この場合、更に高周波特性を向上させることができる。また、コモン電流遮断機構の磁性体として、強磁性体、反強磁性体、及び人工反強磁性体のうちの2種以上を適宜に組み合わせて使用することもできる。
また、第1〜第3の実施形態及び諸変形例の全てについて、第1の伝送線の第1のグラウンド導体から第2のプローブ出力を引き出す構造としたが、更に第2の伝送線の第2のグラウンド導体から第3のプローブ出力を引き出す構造とすることも可能である。更に、同様の構造を繰り返して、4種以上の複数のプローブ出力を得ることもできる。
以下、電磁界プローブの諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)一端が電磁界の検出部とされており、前記検出部から延在する第1の信号線と、前記第1の信号線の延在方向に沿って絶縁物を介して形成された第1の接地導体とを有する第1の伝送線と、
前記第1の伝送線に設けられた、前記第1の伝送線のコモン電流の出力を遮断するコモン電流遮断機構と、
前記第1の接地導体の前記検出部と前記コモン電流遮断機構との間の部位に一端を接続して延在する第2の信号線を有する第2の伝送線と
を含み、
前記第1の信号線の他端が第1の出力部とされ、前記第2の信号線の他端が第2の出力部とされることを特徴とする電磁界プローブ。
(付記2)前記コモン電流遮断機構は、前記第1の伝送線に配置された磁性体であることを特徴とする付記1に記載の電磁界プローブ。
(付記3)前記コモン電流遮断機構は、前記第1の伝送線に形成された局所的な屈曲部であることを特徴とする付記1に記載の電磁界プローブ。
(付記4)一端が電磁界の検出部とされており、前記検出部から延在する第1の信号線と、前記第1の信号線の延在方向に沿って絶縁物を介して形成された第1の接地導体とを有する第1の伝送線と、
第2の信号線を有する第2の伝送線と、
前記第1の伝送線と前記第2の信号線の一端とを電磁誘導結合し、前記第1の伝送線のコモン電流の出力を遮断するコモン電流遮断機構と
を含み、
前記第1の信号線の他端が第1の出力部とされ、前記第2の信号線の他端が第2の出力部とされることを特徴とする電磁界プローブ。
(付記5)磁性体からなる前記コモン電流遮断機構と、前記第2の信号線の一端に形成されたコイルとが電磁誘導結合することを特徴とする付記4に記載の電磁界プローブ。
(付記6)前記第2の伝送線は、前記第2の信号線の延在方向に沿って絶縁物を介して形成された第2の接地導体を有することを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の電磁界プローブ。
(付記7)前記第1の伝送線の前記検出部と前記コモン電流遮断機構との間の部位に、前記第1の伝送線に沿って絶縁物を介して形成された第3の接地導体が設けられていることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の電磁界プローブ。
(付記8)前記第1の伝送線は、その先端部分に、前記検出部となるループコイルを有しており、
前記ループコイルの一端が前記第1の信号線と接続され、前記ループコイルの他端が前記第1のグラウンド導体と接続されていることを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の電磁界プローブ。
(付記9)前記第1の出力部及び前記第2の出力部と接続された切り替えスイッチを更に含み、
前記切り替えスイッチは、前記第1の出力部及び前記第2の出力部の選択された一方から出力させることを特徴とする付記1〜8のいずれか1項に記載の電磁界プローブ。
(付記10)前記第1の伝送線は、並列する2本の前記第1の信号線を有し、その先端部分に、前記検出部となるループコイルを有しており、
前記ループコイルの一端が一方の前記第1の信号線と、前記ループコイルの他端が他方の前記第1の信号線とそれぞれ接続されていることを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の電磁界プローブ。
(付記11)一方の前記第1の信号線の前記第1の出力部及び他方の前記第1の信号線の前記第1の出力部と接続された演算部を更に含み、
前記演算部は、一方の前記第1の信号線の前記第1の出力部からの出力と、他方の前記第1の信号線の前記第1の出力部からの出力との差分値及び加算値を算出してそれぞれ出力することを特徴とする付記10に記載の電磁界プローブ。
(付記12)2種の前記第1の出力部及び前記第2の出力部と接続された切り替えスイッチを更に含み、
前記切り替えスイッチは、2種の前記第1の出力部及び前記第2の出力部のうちの選択された一種から出力させることを特徴とする付記10又は11に記載の電磁界プローブ。
1,31,34 第1の伝送線
1a,31a,34a 第1の信号線
1b,31b,34b 第1の絶縁体
1c,31c,34c 第1のグラウンド導体
1d 接続部位
1A 検出部
1B,31A,34C,42A,42B 第1の出力部
1C,34D 突き出し部分
2 第2の伝送線
2a 第2の信号線
2b 第2の絶縁体
2c 第2のグラウンド導体
2A 第2の出力部
3,35 調整機構
3a,35a 第3の絶縁体
3b,35b 第3のグラウンド導体
4,13 コモン電流遮断機構
4a,4b 貫通口
5 接地(グラウンド)導体
5a 端部
5b 開口部
10 電磁界プローブ
11,14 プローブ本体
11a,11e,11g,11i 銅箔
11b,11d,11f,11h 絶縁層
11c,11c1,11c2 配線パターン
21 ピックアップコイル
32,33,36,37 ループコイル
32a,36a ギャップ
33a 先端部
33b 導体棒
34A,34B 伝送線
34A1,34B1 出力端
37c 導体棒
41 演算部
51,107 配線
61 2対1切り替えスイッチ
62 3対1切り替えスイッチ
63 終端抵抗
100 プリント基板
101 プローブステージ
102 プローブ移動機構
103 ステージコントローラ
104 計測機器
104a,104b 入力端子
105 観察機器
106 制御機器

Claims (5)

  1. 一端が電磁界の検出部とされており、前記検出部から延在する第1の信号線と、前記第1の信号線の延在方向に沿って絶縁物を介して形成された第1の接地導体とを有する第1の伝送線と、
    前記第1の伝送線に設けられた、前記第1の伝送線のコモン電流の出力を遮断するコモン電流遮断機構と、
    前記第1の接地導体の前記検出部と前記コモン電流遮断機構との間の部位に一端を接続して延在する第2の信号線を有する第2の伝送線と
    を含み、
    前記第1の信号線の他端が第1の出力部とされ、前記第2の信号線の他端が第2の出力部とされることを特徴とする電磁界プローブ。
  2. 前記コモン電流遮断機構は、前記第1の伝送線に配置された磁性体であることを特徴とする請求項1に記載の電磁界プローブ。
  3. 前記コモン電流遮断機構は、前記第1の伝送線に形成された局所的な屈曲部であることを特徴とする請求項1に記載の電磁界プローブ。
  4. 一端が電磁界の検出部とされており、前記検出部から延在する第1の信号線と、前記第1の信号線の延在方向に沿って絶縁物を介して形成された第1の接地導体とを有する第1の伝送線と、
    第2の信号線を有する第2の伝送線と、
    前記第1の伝送線と前記第2の信号線の一端とを電磁誘導結合し、前記第1の伝送線のコモン電流の出力を遮断するコモン電流遮断機構と
    を含み、
    前記第1の信号線の他端が第1の出力部とされ、前記第2の信号線の他端が第2の出力部とされることを特徴とする電磁界プローブ。
  5. 前記第1の伝送線は、その先端部分に、前記検出部となるループコイルを有しており、
    前記ループコイルの一端が前記第1の信号線と接続され、前記ループコイルの他端が前記第1のグラウンド導体と接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁界プローブ。
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