JP2012013415A - 統合失調症マーカー及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アネキシンA5、微小管関連タンパク質RP/EBファミリー・メンバー1、EF-ハンド・ドメイン含有タンパク質D2、チューブリン・フォールディング・コファクターB、無機ピロフォスファターゼ、グルタレドキシン-3、プラスチン-2、熱ショックタンパク質90β、ピリドキサール依存性脱炭酸酵素ドメイン含有タンパク質1、ユビキチン・カルボキシル末端加水分解酵素アイソザイムL1、アデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ、細胞質性ヒスチジルtRNA合成酵素、ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素、熱ショック70kDaタンパク質4L、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3等からなる群より選択される統合失調症マーカー及びそれを利用した統合失調症の検査法等が提供される。
【選択図】図6
Description
[1]アネキシンA5、微小管関連タンパク質RP/EBファミリー・メンバー1、EF-ハンド・ドメイン含有タンパク質D2、チューブリン・フォールディング・コファクターB、無機ピロフォスファターゼ、グルタレドキシン-3、プラスチン-2、熱ショックタンパク質90β、ピリドキサール依存性脱炭酸酵素ドメイン含有タンパク質1、ユビキチン・カルボキシル末端加水分解酵素アイソザイムL1、アデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ、細胞質性ヒスチジルtRNA合成酵素、ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素、熱ショック70kDaタンパク質4L、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3 ショートアイソフォーム、βラクタマーゼ様タンパク質2、推定デオキシリボヌクレアーゼTATDN1、液胞タンパク質選別関連タンパク質35、インターフェロン誘導GTP結合タンパク質Mx1、キネシン様タンパク質KIF11、伸長因子1-γ、免疫グロブリンmu鎖C領域、免疫グロブリンmu重鎖疾患タンパク質、免疫グロブリン重鎖V-III領域BRO及び免疫グロブリン重鎖V-III領域GAからなる群より選択される、いずれかのタンパク質分子からなる、統合失調症マーカー。
[2]アネキシンA5、微小管関連タンパク質RP/EBファミリー・メンバー1、EF-ハンド・ドメイン含有タンパク質D2、チューブリン・フォールディング・コファクターB、無機ピロフォスファターゼ、グルタレドキシン-3、プラスチン-2、熱ショックタンパク質90β、ピリドキサール依存性脱炭酸酵素ドメイン含有タンパク質1、ユビキチン・カルボキシル末端加水分解酵素アイソザイムL1、アデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ、細胞質性ヒスチジルtRNA合成酵素、ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素、熱ショック70kDaタンパク質4L、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3 ショートアイソフォーム、βラクタマーゼ様タンパク質2、推定デオキシリボヌクレアーゼTATDN1、液胞タンパク質選別関連タンパク質35、インターフェロン誘導GTP結合タンパク質Mx1、キネシン様タンパク質KIF11、伸長因子1-γ、免疫グロブリンmu鎖C領域、免疫グロブリンmu重鎖疾患タンパク質、免疫グロブリン重鎖V-III領域BRO及び免疫グロブリン重鎖V-III領域GAからなる群より選択される一又は二以上のタンパク質分子についての検体中レベルを指標として用いることを特徴とする、統合失調症検査法。
[3]以下のステップ(1)〜(3)を含む、[2]に記載の統合失調症検査法:
(1)被検者由来の検体を用意するステップ;
(2)前記検体中の前記一又は二以上のタンパク質分子を検出するステップ;及び
(3)検出結果に基づいて、統合失調症の現在又は将来の発症可能性を判定するステップ。
[4]アネキシンA5、微小管関連タンパク質RP/EBファミリー・メンバー1、EF-ハンド・ドメイン含有タンパク質D2、チューブリン・フォールディング・コファクターB、無機ピロフォスファターゼ、グルタレドキシン-3、プラスチン-2の検出値、熱ショックタンパク質90β、ピリドキサール依存性脱炭酸酵素ドメイン含有タンパク質1、ユビキチン・カルボキシル末端加水分解酵素アイソザイムL1、アデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ、細胞質性ヒスチジルtRNA合成酵素、ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素、熱ショック70kDaタンパク質4L、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3 ショートアイソフォーム、βラクタマーゼ様タンパク質2、及び推定デオキシリボヌクレアーゼTATDN1については、検出値が低いと発症可能性が高いとの基準、又は検出できないと発症可能性が高いとの基準に従い、
液胞タンパク質選別関連タンパク質35、インターフェロン誘導GTP結合タンパク質Mx1、キネシン様タンパク質KIF11、伸長因子1-γ、免疫グロブリンmu鎖C領域、免疫グロブリンmu重鎖疾患タンパク質、免疫グロブリン重鎖V-III領域BRO、及び免疫グロブリン重鎖V-III領域GAについては、検出値が高いと発症可能性が高いとの基準、又は検出できると発症可能性が高いとの基準に従い、ステップ(3)の判定を行う、[3]に記載の方法。
[5]ステップ(2)で得られた検出値と対照検体の検出値との比較に基づきステップ(3)の判定を行う、[3]又は[4]に記載の統合失調症検査法。
[6]ステップ(2)で得られた検出値と、同一の被検者から過去に採取された検体中の検出値との比較に基づきステップ(3)の判定を行う、[3]又は[4]に記載の統合失調症検査法。
[7]前記検体が血液、血漿、血清、口腔粘膜、鼻粘膜又は皮膚である、[2]〜[6]のいずれか一項に記載の統合失調症検査法。
[8]前記検体が、被検者から採取した血液リンパ球を不死化したリンパ球芽様細胞である、[2]〜[6]のいずれか一項に記載の統合失調症検査法。
[9]前記検体が、被検者から採取した血液細胞である、[2]〜[6]のいずれか一項に記載の統合失調症検査法。
[10][1]に記載の統合失調症マーカーに特異的結合性を示す物質からなる、統合失調症検査試薬。
[11]前記物質が抗体である、[10]に記載の統合失調症検査試薬。
[12][10]又は[11]に記載の統合失調症検査試薬を含む、統合失調症検査用キット。
本発明の第1の局面は統合失調症のバイオマーカー(以下、「本発明のバイオマーカー」とも呼ぶ)に関する。本発明のバイオマーカーは統合失調症の現在又は将来の発症可能性を評価する上で有用な指標である。「現在の発症可能性」は、検査時において統合失調症を発症しているか否か又は発症している確率を表すことになる。他方、「将来の発症可能性」は統合失調症を将来発症する可能性(リスク)を表す。「統合失調症」とは精神機能の分裂を基本とする精神疾患群の総称である。世界保健機構(WHO)の疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)によれば妄想型、破瓜型、緊張型、鑑別不能型、統合失調症後抑うつ、残遺型、単純型に分類されている。
アネキシンA5(ANXA5、配列番号1);
微小管関連タンパク質RP/EBファミリー・メンバー1(MAPRE1、配列番号2);
EF-ハンド・ドメイン含有タンパク質D2(EFHD2、配列番号3);
チューブリン・フォールディング・コファクターB(TBCB、配列番号4);
無機ピロフォスファターゼ(PPA1、配列番号5);
グルタレドキシン-3(GLRX3、配列番号6);
プラスチン-2(LCP1、配列番号7);
熱ショックタンパク質90β(HSP90AB1、配列番号8);
ピリドキサール依存性脱炭酸酵素ドメイン含有タンパク質1(PDXDC1、配列番号9);
ユビキチン・カルボキシル末端加水分解酵素アイソザイムL1(UCHL1、配列番号10);
アデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT、配列番号11);
細胞質性ヒスチジルtRNA合成酵素(HARS、配列番号12);
ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素(UROD、配列番号13);
熱ショック70kDaタンパク質4L(HSPA4L、配列番号14);
三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3(GART、配列番号15);
三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3 ショートアイソフォーム(GART、配列番号16);
βラクタマーゼ様タンパク質2(LACTB2、配列番号17);
推定デオキシリボヌクレアーゼTATDN1(TATDN1、配列番号18);
液胞タンパク質選別関連タンパク質35(VPS35、配列番号19);
インターフェロン誘導GTP結合タンパク質Mx1(MX1、配列番号20);
キネシン様タンパク質KIF11(KIF11、配列番号21);
伸長因子1-γ(EEF1G、配列番号22);
免疫グロブリンmu鎖C領域(IGHM、配列番号23);
免疫グロブリンmu重鎖疾患タンパク質(IGHM、配列番号24);
免疫グロブリン重鎖V-III領域BRO(IGHM、配列番号25);
免疫グロブリン重鎖V-III領域GA(IGHM、配列番号26)
本発明の第2の局面は上記本発明のバイオマーカーの用途に関し、統合失調症の現在又は将来の発症可能性を検査する方法(以下、「本発明の検査法」とも呼ぶ)を提供する。本発明の検査法は、統合失調症を現在発症しているか否かを判定するための手段として、或いは統合失調症を将来発症する可能性を判定するための手段として有用である。本発明の検査法は統合失調症を診断するために有用な情報を与える。本発明の検査法によれば統合失調症の発症可能性を簡便且つ客観的に判定することが可能となる。
(1)被検者由来の検体を用意するステップ
(2)前記検体中の前記一又は二以上のタンパク質分子(即ち、採用した一又は二以上のバイオマーカー)を検出するステップ
(3)検出結果に基づいて、統合失調症の現在又は将来の発症可能性を判定するステップ
基準値よりもバイオマーカー1の検出値(検体中レベル)が高く、且つ基準値よりもバイオマーカー2の検出値(検体中レベル)が低いときに「発症可能性が高い」と判定し、基準値よりもバイオマーカー1の検出値(検体中レベル)が低く、且つ基準値よりもバイオマーカー2の検出値(検体中レベル)が高いときに「発症可能性が低い」と判定する。
(定性的判定の例2)
バイオマーカー1を検出でき(反応性を認め)、且つバイオマーカー2を検出できない(反応性を認めない)ときに「発症可能性が高い」と判定し、バイオマーカー1を検出できず、且つバイオマーカー2を検出できたときに「発症可能性が低い」と判定する。
以下に示すように検出値の範囲毎に発症可能性(%)を予め設定しておき、検出値から発症可能性(%)を判定する。
バイオマーカー1の検出値がa〜b、バイオマーカー2の検出値がa’〜b’:発症可能性は10%以下
バイオマーカー1の検出値b〜c、バイオマーカー2の検出値b’〜c ’:発症可能性は10%〜30%
バイオマーカー1の検出値c〜d、バイオマーカー2の検出値c’〜d’:発症可能性は30%〜50%
バイオマーカー1の検出値d〜e、バイオマーカー2の検出値d’〜e ’:発症可能性は50%〜70%
バイオマーカー1の検出値e〜f、バイオマーカー2の検出値e’〜f ’:発症可能性は70%〜90%
(1)組合せに含まれるバイオマーカーの全てに関して陽性(カットオフ値以上)である場合を陽性(例えば発症可能性50%以上)と判定し、それ以外の場合を陰性(例えば発症可能性50%未満)と判定する。
(2)組合せに含まれるバイオマーカーの一つでも陽性(カットオフ値以上)の場合を陽性(例えば発症可能性50%以上)と判定し、それ以外の場合を陰性(例えば発症可能性50%未満)と判定する。
本発明はさらに、統合失調症の発症可能性を検査するための試薬及びキットも提供する。本発明の試薬は本発明のバイオマーカーに特異的結合性を示す物質(以下、「結合分子」と呼ぶ)からなる。結合分子の例として、バイオマーカーを特異的に認識する抗体、核酸アプタマー及びペプチドアプタマーを挙げることができる。結合分子は、採用するバイオマーカーに対する特異的結合性を有する限り、その種類や由来などは特に限定されない。また、抗体の場合、ポリクローナル抗体、オリゴクローナル抗体(数種〜数十種の抗体の混合物)、及びモノクローナル抗体のいずれでもよい。ポリクローナル抗体又はオリゴクローナル抗体としては、動物免疫して得た抗血清由来のIgG画分のほか、抗原によるアフィニティー精製抗体を使用できる。抗MIP1α抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体などの抗体断片であってもよい。
解析対象とした統合失調症患者(schizophrenia; SCZ)及び健常者(control; CON)の背景を図2に示す。統合失調症患者及び健常者の末梢血5 mLに生理食塩水(saline; SAL;大塚製薬株式会社,東京)5 mLを加えて希釈し、Ficoll-Paque PLUS(GE Healthcare, Piscataway, NJ, USA)液3.5 mLを加えた15 mLチューブ(15 mL Conical Tube; BD Falcon, San Jose, CA, USA)に重層し、室温で670×g(1900 rpm; KN-70;久保田商事株式会社, 東京)、30分間遠心分離した。遠心後、上層を除去した後、リンパ球細胞を含む中間層を採取し、生理食塩水(大塚製薬株式会社)10 mLで懸濁し、室温で418×g(1500 rpm; KN-70)、15分間遠心した。上清を除去し、白色沈渣に液体基礎培地5 mL加え懸濁後、室温で418×g(1500 rpm; KN-70)、15分間遠心した。上清を除去し、得られたリンパ球細胞を芽球化用培地5 mLに懸濁して37℃、5% CO2下にて培養を開始した。
液体窒素中に凍結保存した性別および年齢を一致させた統合失調症患者と健常者のリンパ芽球様細胞株を同時に融解し、室温で225×g(1100 rpm; KN-70)、5分間遠心した。上清を除去し、20% FBS培地10 mLを加えて懸濁し、室温で225×g(1100 rpm; KN-70)、5分間遠心した。この操作をもう一度繰り返すことで保存液(セルバンカー1)を除去した後、20% FBS培地で培養を開始した。継代は、週に2回培地交換を行い、最初の7日間は20% FBS 培地で培養し、その後10% FBS培地を用いて14日間培養した。継代の際には、培養日時および細胞濃度が3×105 cells/mLとなるように細胞数を調節することで、サンプル間の培養条件を統一させた。このようにして、同一培養条件で21日間の継代培養を行った細胞からタンパク質を抽出した。細胞懸濁液30 mLを室温で190×g(1000 rpm; KN-70; 久保田商事株式会社, 東京)、5分間遠心した後、リン酸緩衝液生理食塩水(phosphate buffer saline; PBS)10 mLで3回洗浄[室温, 190×g (1000 rpm; KN-70), 5分間遠心]し、上清を除去して白色沈渣にPBS 1 mLを添加し、4℃で1372×g(3800 rpm; himac CT13R; 日立工機株式会社, 東京)、5分間遠心し、試薬を添加して細胞を破砕した。氷冷下30分間インキュベートした後、4℃で16060×g(13000 rpm)、20分間遠心して上清を回収し、メタノール(関東化学, 東京)、アセトン(関東化学)を用いてタンパク質を精製し(メタノール−アセトン沈殿法)、解析に使用するまで-80℃にて保存した。
精製したタンパク質を2D-DIGE法により発現変化の直接比較を行った。統合失調症患者および対照健常者サンプルのタンパク質をCy3またはCy5(CyDye DIGE Fluor minimal dyes; GE Healthcare, Piscataway, NJ, USA) で蛍光標識し、解析する全てのサンプルの等量混合物として作成した内部標準(internal standard; IS)をCy2(CyDye DIGE Fluor minimal dyes; GE Healthcare)で蛍光標識した。Cy3、Cy5およびCy2で標識したタンパク質の30μg相当量を混合した後、ドライストリップゲル(24 cm Immobiline DryStrip pH 3-10 NL; GE Healthcare)にアプライし、一次元目の電気泳動である等電点電気泳動(isoelectric focusing; IEF)を行った。IEFにはEttan IPGphor 3 IEF system(Ettan IPGphor 3 Isoelectric Focusing Unit; GE Healthcare)を用いた。IEFは20℃で行い、泳動条件は12時間のドライストリップゲルの再膨潤化反応(rehydration)の後、30 V−2時間、100 V−1時間、200 V−5分間の後、8時間30分グラジエントをかけて8000 Vまで電圧を上昇させ、8000 V−7時間30分泳動を行った。二次元目はEttan DALTsix(GE Healthcare)を用いて、SDS-PAGE(sodium dodecyl sulfate-polyaclylamide gel electophoresis)を行った。10%ポリアクリルアミドゲル(24×20×0.1 cm)を用い、30℃にて10 mA/gel、80 V、1 W/gelで1時間、12 mA/gel、150 V、2 W/gelで泳動の先端がゲルの端に到達するまで(15〜17時間) 泳動した。蛍光画像解析装置(Typhoon Trio; GE Healthcare)を用いて、Cy3、Cy5およびCy2で標識したそれぞれのタンパク質の泳動像を可視化した。ゲル内のタンパク質スポット検出とゲル間の差異解析は、2次元電気泳動解析ソフトウェア(PDQuest Advanced Version 8.0; Bio-Rad, Hercules, CA, USA)を用いて発現量比較解析を行った。統合失調症患者に特異的なタンパク質の発現があることも考慮し、個々の泳動像上に存在する全てのタンパク質スポットを解析対象とした。内部標準ゲルを基準とした各タンパク質スポットの発現量を求めることでゲル間における発現強度の違いを補正し、統合失調症患者群と健常者群間のタンパク質スポットの発現量を比較した。
上記2.において作成した内部標準サンプルの100μg相当量を標識せずにドライストリップゲル(24 cm Immobiline DryStrip pH 3-10 NL; GE Healthcare)にアプライし、同様の方法で二次元電気泳動を行い、銀染色法によりタンパク質スポットを可視化した。電気泳動後、ゲルを一晩固定液[30% メタノール(関東化学) / 10% 酢酸(関東化学) 液]に浸した。20%エタノール(関東化学)液で40分間洗浄した後、滅菌精製水(MilliQ)で5分間ずつ3回洗浄した。増感剤[0.02% チオ硫酸ナトリウム(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA) 液]に2分間浸し、滅菌精製水(MilliQ)で30分間ずつ3回洗浄した後、染色液[0.2% AgNO3 (Sigma-Aldrich) 液]に25分間浸した。滅菌精製水(MilliQ)で1分間ずつ3回洗浄した後、発色液[3% Na2CO3 (Sigma-Aldrich) / 0.001% チオ硫酸ナトリウム (Sigma-Aldrich) / 0.05 v/v %ホルマリン (Wako, 大阪) 液]に2分程度浸し、停止液[1.4% Na2-EDTA (Sigma-Aldrich) 液]に10分浸した。候補タンパク質のスポットを一つずつ切り出し、0.02%チオ硫酸ナトリウム / 0.2%フェリシアン化カリウム液で脱銀染色を行った。アセトニトリルで脱水した後、Speed Vac(VC-36R; TAITEC, 埼玉)を用いて乾燥し、10mM DTT液[100mMジチオトレイトール (DTT, Wako) : 100mM NH4HCO3 =1:9液]と100mM iodoacetoamide液[100mM NH4HCO3 1mLにiodoacetoamide (Wako) 18mgを添加]によるシステイン残基のアルキル化を行った。アセトニトリルで脱水した後、Speed Vac(VC-36R)を用いて乾燥し、50倍希釈したtrypsin(Trypsin Gold, Mass Spectrometry Grade; Promega, WI, USA)を用いて一晩タンパク質のトリプシン消化を行った。0.1% Trifluoroacetic acid(TFA)を含む50% アセトニトリルでペプチド抽出を行い、質量分析装置[HPLC: MAGIC2002 (Michrom Bioresources, Inc., CA, USA)、ハイスループットLC/MS用オートサンプラー: HTC-PAL(CTC Analytics AG, Switzerland)、Ion trap MS: LCQ Advantage(Thermo Fisher Scientific Ltd., MA, USA)]によるMSスペクトルの測定を行った。得られたMS/MSデータを基に、タンパク質同定ソフト(MASCOT; Matrix Science, MA, USA)により、Swiss-ProtとTrEMBLのデータベースと照合することでタンパク質の同定を行った(図5)。また、脳での発現の有無も確認した(図5)。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
Claims (12)
- アネキシンA5、微小管関連タンパク質RP/EBファミリー・メンバー1、EF-ハンド・ドメイン含有タンパク質D2、チューブリン・フォールディング・コファクターB、無機ピロフォスファターゼ、グルタレドキシン-3、プラスチン-2、熱ショックタンパク質90β、ピリドキサール依存性脱炭酸酵素ドメイン含有タンパク質1、ユビキチン・カルボキシル末端加水分解酵素アイソザイムL1、アデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ、細胞質性ヒスチジルtRNA合成酵素、ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素、熱ショック70kDaタンパク質4L、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3 ショートアイソフォーム、βラクタマーゼ様タンパク質2、推定デオキシリボヌクレアーゼTATDN1、液胞タンパク質選別関連タンパク質35、インターフェロン誘導GTP結合タンパク質Mx1、キネシン様タンパク質KIF11、伸長因子1-γ、免疫グロブリンmu鎖C領域、免疫グロブリンmu重鎖疾患タンパク質、免疫グロブリン重鎖V-III領域BRO及び免疫グロブリン重鎖V-III領域GAからなる群より選択される、いずれかのタンパク質分子からなる、統合失調症マーカー。
- アネキシンA5、微小管関連タンパク質RP/EBファミリー・メンバー1、EF-ハンド・ドメイン含有タンパク質D2、チューブリン・フォールディング・コファクターB、無機ピロフォスファターゼ、グルタレドキシン-3、プラスチン-2、熱ショックタンパク質90β、ピリドキサール依存性脱炭酸酵素ドメイン含有タンパク質1、ユビキチン・カルボキシル末端加水分解酵素アイソザイムL1、アデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ、細胞質性ヒスチジルtRNA合成酵素、ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素、熱ショック70kDaタンパク質4L、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3 ショートアイソフォーム、βラクタマーゼ様タンパク質2、推定デオキシリボヌクレアーゼTATDN1、液胞タンパク質選別関連タンパク質35、インターフェロン誘導GTP結合タンパク質Mx1、キネシン様タンパク質KIF11、伸長因子1-γ、免疫グロブリンmu鎖C領域、免疫グロブリンmu重鎖疾患タンパク質、免疫グロブリン重鎖V-III領域BRO及び免疫グロブリン重鎖V-III領域GAからなる群より選択される一又は二以上のタンパク質分子についての検体中レベルを指標として用いることを特徴とする、統合失調症検査法。
- 以下のステップ(1)〜(3)を含む、請求項2に記載の統合失調症検査法:
(1)被検者由来の検体を用意するステップ;
(2)前記検体中の前記一又は二以上のタンパク質分子を検出するステップ;及び
(3)検出結果に基づいて、統合失調症の現在又は将来の発症可能性を判定するステップ。 - アネキシンA5、微小管関連タンパク質RP/EBファミリー・メンバー1、EF-ハンド・ドメイン含有タンパク質D2、チューブリン・フォールディング・コファクターB、無機ピロフォスファターゼ、グルタレドキシン-3、プラスチン-2の検出値、熱ショックタンパク質90β、ピリドキサール依存性脱炭酸酵素ドメイン含有タンパク質1、ユビキチン・カルボキシル末端加水分解酵素アイソザイムL1、アデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ、細胞質性ヒスチジルtRNA合成酵素、ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素、熱ショック70kDaタンパク質4L、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3、三官能基プリン生合成タンパク質アデノシン-3 ショートアイソフォーム、βラクタマーゼ様タンパク質2、及び推定デオキシリボヌクレアーゼTATDN1については、検出値が低いと発症可能性が高いとの基準、又は検出できないと発症可能性が高いとの基準に従い、
液胞タンパク質選別関連タンパク質35、インターフェロン誘導GTP結合タンパク質Mx1、キネシン様タンパク質KIF11、伸長因子1-γ、免疫グロブリンmu鎖C領域、免疫グロブリンmu重鎖疾患タンパク質、免疫グロブリン重鎖V-III領域BRO、及び免疫グロブリン重鎖V-III領域GAについては、検出値が高いと発症可能性が高いとの基準、又は検出できると発症可能性が高いとの基準に従い、ステップ(3)の判定を行う、請求項3に記載の方法。 - ステップ(2)で得られた検出値と対照検体の検出値との比較に基づきステップ(3)の判定を行う、請求項3又は4に記載の統合失調症検査法。
- ステップ(2)で得られた検出値と、同一の被検者から過去に採取された検体中の検出値との比較に基づきステップ(3)の判定を行う、請求項3又は4に記載の統合失調症検査法。
- 前記検体が血液、血漿、血清、口腔粘膜、鼻粘膜又は皮膚である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の統合失調症検査法。
- 前記検体が、被検者から採取した血液リンパ球を不死化したリンパ球芽様細胞である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の統合失調症検査法。
- 前記検体が、被検者から採取した血液細胞である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の統合失調症検査法。
- 請求項1に記載の統合失調症マーカーに特異的結合性を示す物質からなる、統合失調症検査試薬。
- 前記物質が抗体である、請求項10に記載の統合失調症検査試薬。
- 請求項10又は11に記載の統合失調症検査試薬を含む、統合失調症検査用キット。
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