JP7457337B2 - アルツハイマー病バイオマーカー - Google Patents

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Description

本発明はアルツハイマー病バイオマーカーに関する。詳細には、アルツハイマー病及びその関連疾患の検査に有用なバイオマーカー及びその用途に関する。本出願は、2017年5月31日に出願された日本国特許出願第2017-108766号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。
脳内へのアミロイドベータタンパク質から成る老人斑の沈着は、アルツハイマー病(以下、「AD」と略称することがある)の最も代表的な病理所見であり、アミロイドの沈着あるいは重合体形成がAD発症に至る原因であると考えられている。従ってアミロイドベータ(Aβ)代謝(産生、重合体形成、ならびに分解・除去)の調節が疾患の予防・治療の標的と考えられ、治療薬開発が行われてきた。最近の研究によれば、ADでは発症の20年以上前からAβ凝集体が沈着した老人斑の形成が始まり、発症時には既に老人斑が脳内に広く存在していることが明らかになった。やがてタウ(Tau)タンパク質凝集体を主成分とする神経原線維変化が出現するようになると、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairments; MCI)を経て認知症を発症すると考えられる。そうした研究成果を受けて、米国国立老化研究所(NIA; National Institute on Aging)とアルツハイマー病協会は2011年に診断基準の改定行い、脳病理変化はあっても症状のない段階を「発症前アルツハイマー病(Preclinical AD)」と提唱するに至った(非特許文献1)。また、ワクチン療法などアミロイドを標的にした根本治療法は、発症後には効果が限定されることが明らかになり、老人斑が既に完成している発症後よりもアミロイド病理が進行する発症前に治療すべきであると考えられるようになった。こうした背景のもと、髄液検査やPET画像を用いたアミロイドイメージング法などで、ADを発症前や軽度認知障害(MCI)の段階で診断して治療をしようという試みがなされており、技術的には可能な段階に入った。しかしながら、髄液検査は侵襲を伴い、一般病院や診療所での実施は困難である。また、PETは機器も試薬も高価であり、しかも放射線障害の可能性を完全には否定できない。こうした背景から、もっと簡便で侵襲が少なく安価な診断法の開発が期待されている。一方、認知症にはアルツハイマー型認知症の他、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症(FTD)等があり、適切な治療/予防のためには鑑別診断が必要である。実際、高齢者うつ病患者などでは、アルツハイマー型認知症との鑑別が必要なケースが少なくない。
一方、脳内に存在するエクソソームがAβタンパク質と結合し、その除去に働くとする知見が報告されており、AD発症におけるエクソソームの役割に関心が集まっている。しかしながら、ADにおけるエクソソームのレベルの変化については全く不明であった。この点に関連して、本発明者らの研究グループは、Aβ1-42で処理した細胞では、エクソソームの分泌が著しく低下するという現象を報告した(非特許文献2)。
Alzheimer’s Dementia 7:263-269, 2011 Journal of Alzheimer's Disease 53 (2016) 1433-1441
上記の通り、ADの診断に利用される技術は存在するものの克服すべき課題は多く、患者への侵襲が少なく、簡便な方法で、且つ安価にADを診断することが望まれている。本発明はこのような要望に応えるべく、ADの早期診断や鑑別に有用なマーカー及びその用途を提供することを課題とする。
上記課題の解決を目指して研究を進める中で本発明者らは、エクソソームの脂質ラフトに局在するフロチリンに着目し、ADのバイオマーカーとして利用できないか検討することにした。まず、AD患者の脳脊髄液中のフロチリンレベルを調べたところ、非AD患者に比べて著しく低下していることが判明した。脳室液についても同様の傾向が認められた。一方、ADに起因する軽度認知障害(MCI due to AD)患者の脳脊髄液中のフロチリンレベルは、ADに起因しない軽度認知障害(MCI due to non-AD)患者に比して著しく低下していた。検討を更に進めた結果、驚くべきことに、血清においてもフロチリンレベルがAD患者で有意に低下することが確認され、フロチリンがADの血中バイオマーカーとして機能することが明らかとなった。また、臨床検体を用いてフロチリンの有用性を検証した結果、血清フロチリンレベルがADに特異性の高いマーカーであり且つADの早期検出に極めて有用であることが裏付けられた。
ところで、脳由来のエクソソームが血中に存在することは知られているが、その存在量(即ち、脳から血中への移行/排出量)は明らかになっていない。しかしながら、脳よりも脳以外の組織ないし臓器由来のエクソソームの存在量の方が格段に多いと予想されることから、エクソソームの構成分子の一つであるフロチリンの血中レベルがAD患者と非AD患者の間で顕著に相違することは、予想し難い驚くべき事実である。また、以上の知見は、脳由来エクソソームが意外にも血中に比較的多く存在することを示すともいえ、この点も重要かつ興味深い。
以下の発明は主として以上の成果及び考察に基づく。
[1]血中フロチリンからなる、アルツハイマー病バイオマーカー。
[2][1]に記載のバイオマーカーのレベルを指標とした、アルツハイマー病の検査法。
[3]アルツハイマー病の早期検出のための検査法である、[2]に記載の検査法。
[4]以下のステップ(1)及び(2)を含む、[3]に記載の検査法:
(1)血液検体中の前記バイオマーカーを検出するステップ;
(2)検出結果に基づき、アルツハイマー病の発症可能性又はアルツハイマー病の罹患の有無を判定するステップ。
[5]アルツハイマー病の鑑別のための検査法である、[2]に記載の検査法。
[6]アルツハイマー型認知症以外の認知症との鑑別に用いられる、[5]に記載の検査法。
[7]アルツハイマー型認知症以外の認知症が、脳血管型認知症、レビー小体型認知症又は前頭側頭型認知症である、[6]に記載の検査法。
[8]以下のステップ(1)及び(2)を含む、[5]~[7]のいずれか一項に記載の検査法:
(1)血液検体中の前記バイオマーカーを検出するステップ;
(2)検出結果に基づき、罹患する疾患がアルツハイマー病であるか否かを判定するステップ。
[9]前記血液検体が血清又は血漿である、[4]又は[8]に記載の検査法。
[10][1]に記載のバイオマーカーに特異的結合性を有する物質からなる、アルツハイマー病検査試薬。
[11]前記物質が抗フロチリン抗体である、[10]に記載のアルツハイマー病検査試薬。
[12][10]又は[11]に記載のアルツハイマー病検査試薬を含む、アルツハイマー病検査キット。
剖検脳の脳室液におけるフロチリンレベルの比較。Non-AD: 非アルツハイマー病。AD:アルツハイマー病。いずれも病理診断による確定診断。変化しない分子(コントロール)として観察したApoEレベルは変化を認めない。 従来の髄液マーカーであるAβ1-42ならびにリン酸化Tauタンパク質の髄液におけるレベルの比較(上段)と新規マーカーであるフロチリンの髄液におけるレベルの比較(下段)。Non-AD: 非アルツハイマー病。AD:アルツハイマー病。MCI-due to AD (PETでアミロイドβの沈着を認めたMCI患者)。MCI-due to non-AD (PETでアミロイドβの沈着を認めないMCI患者)。フロチリンレベルはAD及びMCI-due to ADで、それぞれ、Non-AD及びMCI-due to non-ADに比べて有意に低下している。 血清におけるフロチリンレベルの比較。Aはウエスタンブロットの結果、BはELISAの結果である。Non-AD: 非アルツハイマー病。AD:アルツハイマー病。血清におけるフロチリンレベルは、Non-AD (PET検査施行)に比べてAD (PET検査施行)で有意に低下していた。尚、データは平均±S.Dで示した。有意差はt-testによる(n=5)。 血清フロチリンレベルの比較。AD患者(n=17)と脳血管性認知症(VD)患者(n=20)との間、及びAD患者(n=4)と癌患者(n=10)との間で血清フロチリンレベルを比較した。VD:脳血管性認知症(番号はサンプル識別番号)。Ca:癌で死亡(認知症なし)。 血清フロチリンレベルの比較。AD患者(n=10)と健常者(Non-AD)(n=10)との間で血清フロチリンレベルを比較した。 血清フロチリンレベルによる軽度認知障害(MCI)の診断。健常者(n=10)、PET検査でAD病理陽性のMCI患者(MCI+)(n=18)、及びAD病理陰性のMCI患者(MCI-)(n=24)の間で血清フロチリンレベルを比較した。
1.アルツハイマー病(AD)バイオマーカー
本発明の第1の局面はアルツハイマー病バイオマーカーに関する。本明細書において「アルツハイマー病バイオマーカー」とは、アルツハイマー病(AD)の罹患ないし発症の指標となる生体分子のことをいう。本発明のバイオマーカーは、後述の通り、ADの早期検出及びADの鑑別に有用である。本発明のバイオマーカーは、例えば、ADを発症又は罹患している可能性/疑いがある者(被疑AD患者、潜在的AD患者)の検査に利用される。
本明細書において「生体分子」とは、生体中に見出される分子(化合物)をいう。本発明では生体分子であるフロチリンをバイオマーカーとして用いるが、その利用(典型的にはAD検査法への適用)に際しては、生体から分離された試料/検体中の当該分子が用いられることになる。
本発明のバイオマーカーは血中フロチリンからなる。フロチリンは細胞の脂質ラフトに局在するタンパク質であるが、エクソソームのマーカーとしても知られている。その特徴を利用し、フロチリンは脳脊髄液や血液中でのエクソソームの検出や、脂質ラフトの研究等に利用されている。フロチリンの代表的なアミノ酸配列を配列番号1(GenBank, ACCESSION:NP_005794, DEFINITION: flotillin-1 isoform 1 [Homo sapiens])に示す。尚、フロチリンに関しては、Hulsbusch N et al, European Journal of Cell Biology. 2015;94(11):531-45, Li Z, et al, American Journal of Cancer Research. 2016;6(1):38-50.等の報告がある。
本明細書において「血中」とは、血液中に存在していることを意味する。従って、血中フロチリンからなる本発明のバイオマーカーは血液検体(血清、血漿など)中で検出される。
2.アルツハイマー病(AD)の検査
本発明の第2の局面は本発明のバイオマーカーの用途に関し、アルツハイマー病(AD)の検査法(以下、「本発明の検査法」とも呼ぶ)を提供する。本発明の検査法は、ADの早期検出の手段として有用である。また、本発明の検査法は、ADを鑑別する手段としても有用である。本発明の検査法によれば、ADの発症可能性や罹患の有無、或いはADの鑑別を可能にする客観的根拠が提供される。本発明の検査法がもたらす情報(検査結果)は、バイオマーカー(生体分子)という客観的な指標に基づくものであり、それ自体でADの発症可能性の判定、評価を可能にするが、それを補助的に利用し、必要に応じてその他の指標も考慮して最終的な判断(典型的には確定診断)を行うことにしてもよい。
2-1.アルツハイマー病(AD)の早期検出
本発明の検査法の第1態様はADの早期検出を目的とし、ADを発症する前又は早期のADの段階でADを検出することを可能にする。即ち、本発明の検査法によれば、検査対象(典型的にはADの発症又は罹患の可能性がある者)が将来ADを発症する可能性又はAD罹患の有無を判断するための客観的根拠が示される。
典型的には、認知障害に関して無症状又は軽度認知障害(MCI)を認める段階が「ADを発症する前」に該当する。「軽度認知障害」とは、物忘れの訴えがあり、神経心理検査により年齢に比べて記憶障害が認められるものの、一般的な認知機能は正常で、日常生活動作は正常であって認知症ではない段階をいう。一方、「早期のADの段階」とは、記憶障害、見当識障害、判断力や問題解決能力、社会的・手段的日常生活動作には支障がある状態で、かつその原因が認知機能低下によるものであるが、基本的日常生活動作には障害がない段階をいう。
本発明の検査法では、被検者由来の血液検体における、本発明のバイオマーカーのレベル(即ち、血中フロチリンレベル)が指標として用いられる。ここでの「レベル」は、典型的には「量」ないし「濃度」を意味する。但し、慣例及び技術常識に従い、検出対象の分子を検出できるか否か(即ち見かけ上の存在の有無)を表す場合にも用語「レベル」が用いられる。
典型的には、本発明の検査法では以下のステップ(1)及び(2)を行う。
(1)血液検体中の本発明のバイオマーカーを検出するステップ
(2)検出結果に基づき、アルツハイマー病の発症可能性又はアルツハイマー病の罹患の有無を判定するステップ
ステップ(1)
ステップ(1)では、被検者から採取された血液検体を用意し、本発明のバイオマーカー、即ち血中フロチリンを検出する。血中フロチリンのレベルを厳密に定量することは必須でない。即ち、後続のステップ(2)において所望の判定が可能となる程度に血中フロチリンのレベルを検出すればよい。例えば、検体中の血中フロチリンレベルが所定の基準値を超えるか否かが判別可能なように検出を行うこともできる。
血液検体としては血清、血漿、全血などを用いることができる。好ましくは血清又は血漿を用いる。全血からの血清の調製は常法(典型的には常温での静置による凝固及びその後の遠心処理)で行えばよい。血漿の調製についても同様である(典型的には凝固剤の添加及びその後の遠心処理)。
被検者は特に限定されない。即ち、アルツハイマー病の発症可能性又はアルツハイマー病の罹患の有無の判定が必要な者に対して広く本発明を適用することができる。典型的には、アルツハイマー病の発症又は罹患の可能性がある者が被検者となる。例えば、軽度認知障害を認める者、親族にアルツハイマー病患者が存在する等、遺伝的リスクを保有する者、他の検査によってアルツハイマー病の発症又は罹患のおそれが認められた者等は好適な被検者である。
血中フロチリンの検出方法は特に限定されないが、好ましくは免疫学的手法を利用する。免疫学的手法によれば迅速に且つ感度よく血中フロチリンを検出できる。また、操作も簡便である。免疫学的手法による血中フロチリンの検出ではフロチリンに特異的結合性を有する物質が使用される。当該物質としては通常は抗フロチリン抗体が用いられるが、フロチリンに特異的結合性を有し、その結合量を測定可能な物質であれば抗フロチリン抗体に限らず使用することができる。既にフロチリンは精製、同定されており、フロチリンに特異的結合性を示す抗体は常法で調製可能である。また、抗フロチリン抗体は各社が販売しており(例えばCST1ジャパン株式会社の製品であるFlottilin-1 抗体、Flotillin-2抗体、アブカム社の製品であるFlotillin1抗体、Flotillin-2抗体、Santa-Cruz Biotechnology社の製品であるflotillin抗体など)、これら市販の抗フロチリン抗体を利用することもできる。
測定法として、ラテックス凝集法、蛍光免疫測定法(FIA法)、酵素免疫測定法(EIA法)、放射免疫測定法(RIA法)、ウエスタンブロット法を例示することができる。好ましい測定法としては、FIA法及びEIA法(ELISA法を含む)を挙げることができる。これらの方法によれば高感度、迅速且つ簡便に検出可能である。FIA法では蛍光標識した抗体を用い、蛍光をシグナルとして抗原抗体複合体(免疫複合体)を検出する。一方、EIA法では酵素標識した抗体を用い、酵素反応に基づく発色ないし発光をシグナルとして免疫複合体を検出する。各測定法は標準的なプロトコールで実施することができるが、当業者であれば、検出目的に合わせて、条件や手順の一部を改良することは容易である。
ELISA法は検出感度が高いことや特異性が高いこと、定量性に優れること、操作が簡便であること、多検体の同時処理に適することなど、多くの利点を有する。ELISA法を利用する場合の具体的な操作法の一例を以下に示す。まず、抗フロチリン抗体を不溶性支持体に固定化する。具体的には例えばマイクロプレートの表面を抗フロチリン抗体で感作する(コートする)。このように固相化した抗体に対して血液検体を接触させる。この操作の結果、固相化した抗フロチリン抗体に対する抗原(フロチリン)が血液検体中に存在していれば免疫複合体が形成される。洗浄操作によって非特異的結合成分を除去した後、酵素を結合させた抗体を添加することで免疫複合体を標識し、次いで酵素の基質を反応させて発色させる。そして、発色量を指標として免疫複合体を検出する。
非競合法に限らず、競合法(検体とともに抗原を添加して競合させる方法)を用いることにしてもよい。また、検体中のフロチリンを標識化抗体で直接検出する方法を採用しても、或いはサンドイッチ法を採用してもよい。サンドイッチ法では、エピトープの異なる2種類の抗体(捕捉用抗体及び検出用抗体)が用いられる。ELISA法の詳細については数多くの成書や論文に記載されており、各方法の実験手順や実験条件を設定する際にはそれらを参考にできる。
ステップ(2)
ステップ(2)では、ステップ(1)の検出結果に基づき、アルツハイマー病の発症可能性又はアルツハイマー病の罹患の有無を判定する。精度のよい判定を可能にするため、ステップ(2)で得られた検出値を対照検体(コントロール)の検出値と比較した上で判定を行うとよい。コントロールには例えば、健常者のバイオマーカーレベルを用いることができる。
後述の実施例に示す通り、本発明のバイオマーカーのレベルは、AD患者及びADに起因する軽度認知障害患者で低い。即ち、本発明のバイオマーカーのレベルとADの発症/罹患は負の相関を示す。従って、基本的には、バイオマーカーの検出値が低いことがアルツハイマー病の発症可能性が高いことの指標となる。罹患の有無を判定する場合も同様であり、バイオマーカーの検出値が低いことがアルツハイマー病を罹患していることの指標となる。
ところで、軽度認知障害(MCI)とは、認知機能の一部に障害が認められるものの、日常生活には支障がない状態であり、健康な状態と認知症の中間段階と位置付けられている。MCIは、一般に、ADに起因する軽度認知障害(MCI due to AD)とADに起因しない軽度認知障害(MCI due to non-AD)に大別される。本発明の検査法において軽度認知障害の患者を被検者とすれば、アルツハイマー病の罹患の有無の判定は、即ち、被検者の軽度認知障害がADに起因するものか(MCI due to AD)、或いはADに起因しないものか(MCI due to non-AD)を判別することになる。本発明の検査法によれば、ADに起因する軽度認知障害であるか否かが客観的指標に基づき判定され、ADに起因する軽度認知障害であると判定された者に対して早期の治療介入を可能にする。軽度認知障害では、早期且つ適切な治療又は予防によって症状が改善したり、或いは進展を阻止ないし遅延できる場合がある。本発明の検査法は軽度認知障害に対する早期治療介入の客観的根拠(妥当性)を提供するものであり、予防医療的観点からその意義は大きく、また治療効果の最大化に寄与する。
ステップ(2)における判定は定性的、半定量的、定量的のいずれであってもよい。定性的判定と定量的判定の例を以下に示す。判定区分の数、各判定区分に関連付けられるバイオマーカーのレベル、判定結果等は、下記の例に何らとらわれることなく、予備実験等を通して任意に設定することができる。また、判定に用いる基準値やカットオフ値は、例えば、使用する検体、要求される精度(信頼度)などを考慮しつつ設定すればよい。基準値やカットオフ値の設定にあたっては、多数の検体を用いた統計的解析を利用するとよい。尚、ここでの判定は、その判断基準から明らかな通り、医師や検査技師など専門知識を有する者の判断によらずとも自動的/機械的に行うことができる。
(発症可能性を判定する場合の定性的判定の例1)
基準値よりも検出値(フロチリン量)が低いときに「AD発症の可能性が高い」と判定し、基準値よりも測定値が高いときに「AD発症の可能性が低い」と判定する。
(発症可能性を判定する場合の定性的判定の例2)
反応性が認められない(陰性の)ときに「AD発症の可能性が高い」と判定し、反応性が認められた(陽性の)ときに「AD発症の可能性が低い」と判定する。
(罹患の有無を判定する場合の定性的判定の例1)
基準値よりも検出値(フロチリン量)が低いときに「ADを罹患している」と判定し、基準値よりも測定値が高いときに「ADを罹患していない」と判定する。
(罹患の有無を判定する場合の定性的判定の例2)
反応性が認められない(陰性の)ときに「ADを罹患している」と判定し、反応性が認められた(陽性の)ときに「ADを罹患していない」と判定する。
(発症可能性を判定する場合の定量的判定の例)
以下に示すように検出値の範囲毎に発症可能性(%)を予め設定しておき、検出値から発症可能性(%)を判定する。
検出値<a:ADを発症する可能性は80%より大きい
a≦検出値<b:ADを発症する可能性は20%~80%
b<検出値:ADを発症する可能性は20%未満
この例では3段階に区分したが、区分数は任意に設定できる。区分数の例は2~10、好ましくは2~5である。
(罹患の有無を判定する場合の定量的判定の例)
以下に示すように検出値の範囲毎に罹患している可能性(%)を予め設定しておき、検出値から罹患している可能性(%)を判定する。
検出値<a:ADを罹患している可能性は80%より大きい
a≦検出値<b:ADを罹患している可能性は20%~80%
b<検出値:ADを罹患している可能性は20%未満
この例では3段階に区分したが、区分数は任意に設定できる。区分数の例は2~10、好ましくは2~5である。
本発明の一態様では、同一の被検者について、ある時点での検出値と、過去の検出値とを比較し、バイオマーカーのレベルの増減の有無及び/又は増減の程度を調べる。その結果得られる、バイオマーカーのレベル変化に関するデータは、発症可能性や罹患の有無の変動をモニターするため、或いは予防/治療効果を把握するために有用な情報となる。具体的には例えば、バイオマーカーレベルの変動を根拠として、前回の検査から今回の検査までの間に発症可能性が高くなった又は低くなった或いは変化がないとの判定を行うことができる。このような評価を予防又は治療と並行して行えば、予防又は治療の効果の確認が行えることはもとより、ADの発症や進展の兆候を把握することができる。
2-2.アルツハイマー病(AD)の鑑別
本発明の検査法の第2態様は、アルツハイマー型認知症と非アルツハイマー型認知症との鑑別を可能にする。即ち、この態様の検査法によれば、検査対象(典型的には認知症患者)が罹患している認知症がアルツハイマー病型認知症又はそれ以外の認知症のいずれであるかを見分けるための客観的根拠が示される。具体的には、本発明の検査法によれば、罹患している疾患に関して、「アルツハイマー型認知症である」又は「アルツハイマー型認知症以外の認知症である」との判定結果を得ることができる。一つ又は二つ以上の特定の認知症(アルツハイマー型認知症以外の認知症)との鑑別に本発明を利用することができる。その場合には、例えば、「アルツハイマー型認知症である」又は「アルツハイマー型認知症ではなく、特定の認知症である」と判定する。ここでの特定の認知症、即ち、アルツハイマー型認知症以外の認知症の具体例は、脳血管型認知症、レビー小体型認知症及び前頭側頭型認知症である。従って、本発明の検査法では、例えば、アルツハイマー型認知症とこれらの認知症の中のいずれか又は二以上との間で鑑別されることになる。
この態様の検査法においても、被検者由来の血液検体における、本発明のバイオマーカーのレベル(即ち、血中フロチリンレベル)が指標として用いられ、典型的には、以下のステップ(1)及び(2)が行われる。
(1)血液検体中の本発明のバイオマーカーを検出するステップ
(2)検出結果に基づき、罹患する疾患がアルツハイマー病であるか否かを判定するステップ
ステップ(1)は上記態様(ADの早期検出)のステップ(1)と同様に実施できるため、上記の記載を援用することにし、重複する説明を省略する。但し、この態様では通常、ADに特徴的ともいえる症状(例えば軽度記憶障害)を認め、ADを発症している可能性/疑いがある者(被疑AD患者)、うつ病の患者、レビー小体型認知症、前頭側頭葉認知症、その他の認知症の患者が被検者となる。
ステップ(2)
ステップ(2)では、ステップ(1)の検出結果に基づき、罹患する疾患がADであるか否かを判定する。精度のよい判定を可能にするため、ステップ(2)で得られた検出値を対照検体(コントロール)の検出値と比較した上で判定を行うとよい。コントロールには例えば、AD患者のバイオマーカーレベル(陽性コントロール)、AD以外の認知症患者のバイオマーカーレベル(陰性コントロール)、脊髄小脳変性症、運動ニューロン疾患又は多発性硬化症の患者のバイオマーカーレベル(陰性コントロール)を用いることができる。
後述の実施例に示す通り、本発明のバイオマーカーのレベルはAD患者で低い。即ち、本発明のバイオマーカーのレベルとADの罹患は負の相関を示す。従って、基本的には、バイオマーカーの検出値が低いことがADであることの指標となる。
判定は定性的、判定量的、定量的のいずれであってもよい。定性的判定と定量的判定の例を以下に示す。判定区分の数、各判定区分に関連付けられるバイオマーカーのレベル、判定結果等は、下記の例に何らとらわれることなく、予備実験等を通して任意に設定することができる。判定に用いる基準値やカットオフ値は、例えば、使用する検体、鑑別の対象、要求される精度(信頼度)などを考慮しつつ設定すればよい。基準値やカットオフ値の設定にあたっては、多数の検体を用いた統計的解析を利用するとよい。尚、ここでの判定は、その判断基準から明らかな通り、医師や検査技師など専門知識を有する者の判断によらずとも自動的/機械的に行うことができる。
(定性的判定の例)
基準値よりも検出値(フロチリン量)が低いときに「ADである」又は「ADである可能性が高い」と判定し、基準値よりも検出値が高いときに「AD以外の認知症である」又は「AD以外の認知症である可能性が高い」と判定する。基準値よりも検出値が高いときに「ADではなく、特定の認知症である」又は「ADではなく、特定の認知症である可能性が高い」との判定を行うこともできる。
(定量的判定の例)
以下に示すように検出値の範囲毎に「ADである可能性(%)」を予め設定しておき、検出値から「ADである可能性(%)」を判定する。
検出値<a:ADである可能性は80%より大きい
a≦検出値<b:ADである可能性は20%~80%
b<検出値:ADである可能性は20%未満
この例では3段階に区分したが、区分数は任意に設定できる。区分数の例は2~10、好ましくは2~5である。
3.検査試薬及び検査キット
本発明は更に、本発明の検査法に使用することが可能な検査試薬及び検査キットを提供する。本発明の試薬は、本発明のバイオマーカー、即ち血中フロチリンに特異的結合性を有する物質からなる。当該物質の具体例は抗フロチリン抗体であるが、血中フロチリンに特異的結合性を示し、本発明の検査法に利用可能であれば、抗フロチリン抗体以外の物質を用いることも可能である。
抗フロチリン抗体は、フロチリンに対する特異的結合性を有する限り、その種類や由来などは特に限定されない。また、ポリクローナル抗体、オリゴクローナル抗体(数種~数十種の抗体の混合物)、及びモノクローナル抗体のいずれでもよい。ポリクローナル抗体又はオリゴクローナル抗体としては、動物免疫して得た抗血清由来のIgG画分のほか、抗原によるアフィニティー精製抗体を使用できる。抗フロチリン抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体などの抗体断片であってもよい。
抗フロチリン抗体は、免疫学的手法、ファージディスプレイ法、リボソームディスプレイ法などを利用して調製することができる。免疫学的手法によるポリクローナル抗体の調製は次の手順で行うことができる。抗原(フロチリン又はその一部)を調製し、これを用いてウサギ等の動物に免疫を施す。生体試料を精製することにより抗原を得ることができる。また、組換え型抗原を用いることもできる。組換え型抗原は、例えば、フロチリンをコードする遺伝子(遺伝子の一部であってもよい)を、ベクターを用いて適当な宿主に導入し、得られた組換え細胞内で発現させることにより調製することができる。
免疫惹起作用を増強するために、キャリアタンパク質を結合させた抗原を用いてもよい。キャリアタンパク質としてはKLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)、BSA(Bovine Serum Albumin)、OVA(Ovalbumin)などが使用される。キャリアタンパク質の結合にはカルボジイミド法、グルタルアルデヒド法、ジアゾ縮合法、MBS(マレイミドベンゾイルオキシコハク酸イミド)法などを使用できる。一方、フロチリン(又はその一部)を、GST、βガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク、又はヒスチジン(His)タグ等との融合タンパク質として発現させた抗原を用いることもできる。このような融合タンパク質は、汎用的な方法により簡便に精製することができる。
必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で採血し、遠心処理などによって血清を得る。得られた抗血清をアフィニティー精製し、ポリクローナル抗体とする。
一方、モノクローナル抗体については次の手順で調製することができる。まず、上記と同様の手順で免疫操作を実施する。必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で免疫動物から抗体産生細胞を摘出する。次に、得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合してハイブリドーマを得る。続いて、このハイブリドーマをモノクローナル化した後、フロチリンに対して高い特異性を有する抗体を産生するクローンを選択する。選択されたクローンの培養液を精製することによって目的の抗体が得られる。一方、ハイブリドーマを所望数以上に増殖させた後、これを動物(例えばマウス)の腹腔内に移植し、腹水内で増殖させて腹水を精製することにより目的の抗体を取得することもできる。上記培養液の精製又は腹水の精製には、プロテインG、プロテインA等を用いたアフィニティークロマトグラフィーが好適に用いられる。また、抗原(フロチリン)を固相化したアフィニティークロマトグラフィーを用いることもできる。更には、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、硫安分画、及び遠心分離等の方法を用いることもできる。これらの方法は単独ないし任意に組み合わされて用いられる。
フロチリンへの特異的結合性を保持することを条件として、得られた抗体に種々の改変を施すことができる。このような改変抗体を本発明の試薬としてもよい。
抗フロチリン抗体として標識化抗体を使用すれば、標識量を指標に結合抗体量を直接検出することが可能である。従って、より簡便な検査法を構築できる。その反面、標識物質を結合させた抗フロチリン抗体を用意する必要があることに加えて、検出感度が一般に低くなるという問題点がある。そこで、標識物質を結合させた二次抗体を利用する方法、二次抗体と標識物質を結合させたポリマーを利用する方法など、間接的検出方法を利用することが好ましい。ここでの二次抗体とは、抗フロチリン抗体に特異的結合性を有する抗体であって例えばウサギ抗体として抗フロチリン抗体を調製した場合には抗ウサギIgG抗体を使用できる。ウサギやヤギ、マウスなど様々な種の抗体に対して使用可能な標識二次抗体が市販されており(例えばフナコシ株式会社やコスモ・バイオ株式会社など)、本発明の試薬に応じて適切なものを適宜選択して使用することができる。
標識物質としては例えば、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、オレゴングリーン等の蛍光色素、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β-D-ガラクトシダーゼ等の酵素、ルミノール、アクリジン色素等の化学又は生物発光化合物、32P、131I、125I等の放射性同位体、及びビオチンを挙げることができる。
一態様では、本発明の試薬はその用途に合わせて固相化されている。固相化に用いる不溶性支持体は特に限定されない。例えばポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂や、ガラス等の水に不溶性の物質からなる不溶性支持体を用いることができる。不溶性支持体への抗体の担持は物理吸着又は化学吸着によって行うことができる。
本発明の検査キットは主要構成要素として本発明の試薬を含む。検査法を実施する際に使用するその他の試薬(緩衝液、ブロッキング用試薬、酵素の基質、発色試薬など)及び/又は装置ないし器具(容器、反応装置、蛍光リーダーなど)をキットに含めてもよい。また、標準試料としてフロチリンをキットに含めることが好ましい。尚、通常、本発明のキットには取り扱い説明書が添付される。
<新規ADマーカーの同定>
本発明者らの研究グループは、先の基礎研究から、Aβ1-42を処理した細胞では、エクソソームの分泌が著しく低下するという現象を発見した(非特許文献1)。アルツハイマー病脳内ではAβレベルが著しく高いことから、エクソソームの分泌レベルも低下している可能性がある。そこで、エクソソームのマーカーとして利用されているフロチリンのレベルを、患者サンプルを用いて解析することにした。
1.対象と方法
解析対象としたのは下記のサンプルである。これらの解析に当たっては、名古屋市立大学、大分大学及び福祉村病院の倫理審査委員会の承認を受けた。
(i)剖検でアルツハイマー病(AD)と診断された人の脳室液、及び同様に非ADと診断された人の脳室液(-80度Cで凍結保存)
(ii)臨床診断(アミロイドPET検査を施行)でADと診断された人の脳脊髄液、及び同様に脊髄小脳変性症と診断された人の脳脊髄液(-80℃で凍結保存)
(iii)臨床診断(アミロイドPET検査を施行)でアミロイド沈着陽性であった軽度認知障害(MCI due to Alzheimer’s disease (AD))の人の脳脊髄液、及び同様にアミロイド沈着陰性であった軽度認知障害(MCI-due to non-AD)の人の脳脊髄液(-80℃で凍結保存)
(iv)臨床診断(アミロイドPET検査を施行)でADと診断された人の血清、及び同様に運動ニューロン疾患と診断された人の血清(-80℃で凍結保存)
上記サンプルを用いて、抗フロチリン抗体を使用したウエスタンブロット解析を行った。脳脊髄液、脳室液は等量のサンプリングバッファー(組成は100 mM トリス=HCL (pH7.4), 10%グリセロール ,4% SDS, 10% メルカプトエタノール、0.01%ブロモフェノールブルー)に混和させ、90℃で5分ボイルした。各サンプルは、10%トリス・トリシンSDS-PAGEで電気泳動させた後、PVDF膜(イモビロン膜、ミリポア社)に転写した。
PVDF膜は、スキムミルク溶液でブロッキングした後、4℃で8~10時間、一次抗体含有の溶液中でインキュベーションした。一次抗体にはウサギポリクローナル抗フロチリン抗体(Sigma-Aldrich社)を使用した。検出にはAβ1-40及びAβ1-42特異的ELISA kit (Wako純薬工業株式会社)を使用した。翌朝、PVDF膜をPBS-T溶液にて洗浄し、非特異的に結合している一次抗体を除去した後、二次抗体を溶解した溶液で室温にて1時間インキュベーションした。その後、PBS-Tにて十分に洗浄した後、発色液で反応させイメージアナライザーでフロチリンのバンドを検出した。イメージアナライザーにインストールされているソフトウエアにてこれらのバンドの強さを定量してグラフを作成するとともに、統計学的解析をした。また、一部の脳脊髄液について、そのAβ1-40及びAβ1-42濃度をELISAキットで定量した。
2.結果
ADの剖検脳の脳室液及び脳脊髄液におけるエクソソームレベルを、エクソソームマーカーであるフロチリンレベルで評価するため、ウエスタンブロット解析を行った。その結果、非AD患者に比べ、剖検でADと確定診断された患者では、脳室液のフロチリンレベルが著しく低下していた(図1)。
また、脳脊髄液中のフロチリンレベルは、AD患者及び軽度認知症(MCI) due to AD患者において、それぞれ脊髄小脳変性症及びMCI due to non-ADに比して、著しく低下していた(図2下段)。また、AD患者の脳脊髄液サンプルでは、従来から知られている髄液マーカーであるAβ1-42の減少とリン酸化タウの増加が見られ(図2上段)、既知のマーカーも確かに変動していることを確認した。
更なる検討として、血液中でのフロチリンレベルを解析した結果、血清においてもフロチリンレベルがNon-ADに比べてADで有意に低下することが判明した(図3)。
3.考察
今回の検討で明らかになった上記の事実は、血液における早期診断マーカーとしてフロチリン(特にその定量)が有用であることを示す。また、フロチリンレベルは脊髄小脳変性症や運動ニューロン疾患では低下していないことから、他の疾患との鑑別にも有用であるといえる。更に、MCI-due to ADでフロチリンレベルが低下(髄液)していることから、早期診断に特に有用であると期待できる。血清で診断できるとなれば、血清の採取は比較的安全で簡便であることから、開業医から一般病院の医師まで、容易に実施可能と考えられ、早期の診断薬ないし診断キットとして広く普及し、早期診断及び治療に役立つことを期待できる。また、比較的安価に利用できることから、費用面でも有利であり、医療費の削減にもつながると期待される。
<血清フロチリンレベルを用いた診断・鑑別>
フロチリンがADと他の疾患の鑑別に有用であることを臨床検体を用いて検証した。脳血管性認知症患者(VD)と比べ、AD患者(AD)では血清フロチリンレベルが有意に低いことが示された(図4左)。尚、癌患者(Ca)との間においても、同様の傾向を認めた(図4右)。
一方、AD患者と健常者の間で血清フロチリンレベルを比較したところ、AD患者(AD)は健常者(Non-AD)と比べて血清フロチリンレベルが有意に低かった(図5)。
また、健常者、PET(陽電子放出断層撮影)検査でAD病理陽性のMCI患者(PET陽性MCI)、及びPET検査でAD病理陰性のMCI患者(PET陰性MCI)の間で血清フロチリンレベルを比較した。その結果、PET陽性MCI群(MCI+)では健常群に比べて有意に血清フロチリンレベルが低下していた(図6左)。また、PET陽性MCI群(MCI+)ではPET陰性MCI群(MCI-)に比べて有意に血清フロチリンレベルが低下していた。このように、PET検査でAD病理陽性のMCI患者を、健常者及びPET検査でAD病理陰性のMCI患者から区別できることが示された。即ち、血清フロチリンレベルがADの早期検出に有用であることが示唆された。
以上の通り、血清フロチリンレベルがADに特異性の高いマーカーであり且つADの早期検出に極めて有用であることが裏付けられた。
本発明はADの検出、診断、鑑別などに有用なバイオマーカーを提供する。本発明のバイオマーカーは血中に認められる分子からなる。当該バイオマーカーを利用した検査法は簡便且つ侵襲を伴わず、実用性に優れる。現在、ADに対する治療法は存在するものの、AD発症後にはその効果は限定的である。可能な限り早い段階で治療を開始することが望まれる。本発明の検査法によれば、ADの発症前の段階において、将来ADを発症する可能性を判定することができる。判定結果は、ADの診断に有用な情報となり、より早期且つ適切な治療方針の決定(効果的な予防法・治療法の選択など)に役立つ。本発明の検査結果を利用すれば、早期に治療を開始することが可能となり、AD発症の回避又は遅延、或いは発症した場合の症状の軽減等がもたらされうる。このように、本発明の検査法はADの予防/治療に多大な貢献をする。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (12)

  1. 血中フロチリンからなる、アルツハイマー病に起因する軽度認知障害の患者と健常者とを鑑別するためのバイオマーカー。
  2. 血液検体中のフロチリンを検出するステップを含む、アルツハイマー病に起因する軽度認知障害の患者と健常者とを鑑別するための方法。
  3. 前記血液検体が血清又は血漿である、請求項2に記載の方法。
  4. 血中フロチリンに特異的結合性を有する物質からなる、アルツハイマー病に起因する軽度認知障害の患者と健常者とを鑑別するための試薬。
  5. 前記物質が抗フロチリン抗体である、請求項4に記載の試薬。
  6. 請求項4又は5に記載の試薬を含む、アルツハイマー病に起因する軽度認知障害の患者と健常者とを鑑別するためのキット。
  7. 血中フロチリンからなる、アルツハイマー病に起因する軽度認知障害の患者とアルツハイマー病に起因しない軽度認知障害の患者とを鑑別するためのバイオマーカー。
  8. 血液検体中のフロチリンを検出するステップを含む、アルツハイマー病に起因する軽度認知障害の患者とアルツハイマー病に起因しない軽度認知障害の患者とを鑑別するための方法。
  9. 前記血液検体が血清又は血漿である、請求項8に記載の方法。
  10. 血中フロチリンに特異的結合性を有する物質からなる、アルツハイマー病に起因する軽度認知障害の患者とアルツハイマー病に起因しない軽度認知障害の患者とを鑑別するための試薬。
  11. 前記物質が抗フロチリン抗体である、請求項10に記載の試薬。
  12. 請求項10又は11に記載の試薬を含む、アルツハイマー病に起因する軽度認知障害の患者とアルツハイマー病に起因しない軽度認知障害の患者とを鑑別するためのキット。
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