JP2012011747A - キャップ、メンテナンス装置及び流体噴射装置 - Google Patents

キャップ、メンテナンス装置及び流体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】流体噴射ヘッドのノズル形成面との間に密封した空間を確実に形成することができるキャップ、メンテナンス装置、及び流体噴射装置を提供する。
【解決手段】本体部25の開口部25aより上方位置に突出し、ノズル開口を囲うように記録ヘッド19に当接してノズル形成面19aとの間に密封した空間域を形成する第1環状突部29と、本体部25の開口部25aより上方位置に第1環状突部29を囲繞するように突出し、ノズル開口を囲うように記録ヘッド19に当接してノズル形成面19aとの間に密封した空間域を形成する第2環状突部30とを備え、各環状突部29,30は基部28を通じて連結されると共に、キャップ23が当接位置に位置した状態で、第1環状突部29が第2環状突部30から離れる方向に変位した場合、第2環状突部30が第1環状突部29から基部28を通じて伝播される変位力に従って記録ヘッド19に対して密着する方向に変位する。
【選択図】図2

Description

本発明は、キャップ、メンテナンス装置及び流体噴射装置に関する。
流体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンターは、キャリッジに搭載された記録ヘッド(流体噴射ヘッド)のノズル開口から記録媒体にインク(流体)を噴射することで印刷を行っている。したがって、記録ヘッドのノズル開口からは、ノズル内のインク溶媒が蒸発しやすく、インクの粘度が上昇してノズルが目詰まりすることがある。また、ノズル内に空気が混入することにより、インク内に気泡が発生してドット抜け等の印刷不良が生じることもある。
このような不具合を解消するために、プリンターは、いわゆるフラッシング動作を行うことがある。フラッシング動作とは、記録ヘッドによるインクの空吐出であり、記録媒体に対する印刷時以外にノズルの目詰まりを防止する目的で、印刷とは関係のないフラッシング駆動信号を出力してノズル開口からインクを吐出させることである。このフラッシング動作によるインクの空吐出は、フラッシング専用のフラッシングボックスに対して行われることがある他、例えば特許文献1に記載のプリンターにおけるように、キャップ装置のキャップ内に向けて行われることがある。
この特許文献1に記載のプリンターにおけるキャップ装置は、記録ヘッドのノズル形成面に当接することにより、ノズル形成面との間に密封した空間を形成可能なキャップを有している。そして、そのキャップにはキャップ内からインクを排出するための排出チューブが接続されると共に、排出チューブはチューブポンプを介して廃液回収容器に接続されている。したがって、フラッシング動作を行ってキャップ内にインクが吐出されると、そのインクはキャップ内から排出チューブを通じて廃液回収容器に排出される。
特開2000−62202号公報
しかしながら、従来のプリンターにおいては、記録ヘッドのノズル形成面に当接する位置までキャップが上昇する際に、キャップにおけるノズル形成面に対する当接面がノズル形成面に対して非平行となるように傾いてしまうことがあり得る。このような場合、キャップの当接面を記録ヘッドのノズル形成面に対して均等に当接させることができないため、記録ヘッドのノズル形成面との間に密封した空間を形成することができなくなる虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体噴射ヘッドのノズル形成面との間に密封した空間を確実に形成することができるキャップ、メンテナンス装置、及び流体噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のキャップは、ノズル形成面に形成されたノズル開口から流体を噴射する流体噴射ヘッドを備えた流体噴射装置に、前記ノズル開口を囲うように前記流体噴射ヘッドに当接する当接位置と当該当接位置から下方に離間した離間位置との間での昇降自在に設けられる上側が開口した有底箱状のキャップであって、前記キャップにおける開口部の開口縁よりも上方位置に前記開口縁に沿うように環状をなして突出し、前記ノズル開口を囲うように前記流体噴射ヘッドに当接した状態では前記ノズル形成面との間に密封した空間域を形成する第1環状突部と、前記開口部の開口縁よりも上方位置に前記第1環状突部を囲繞するように環状をなして突出し、前記ノズル開口を囲うように前記流体噴射ヘッドに当接した状態では前記ノズル形成面との間に密封した空間域を形成する第2環状突部とを備え、前記第1環状突部及び前記第2環状突部は互いに基端側が連結されると共に、前記キャップが前記当接位置に位置した状態で、前記第1環状突部が前記第2環状突部から離れる内側方向に変位した場合に、前記第2環状突部が前記第1環状突部から基端側の連結部位を通じて伝播される変位力に従って前記流体噴射ヘッドに対して密着する方向に変位する。
上記構成によれば、キャップが当接位置に位置した状態において、第1環状突部が流体噴射ヘッドに対して密着するように第2環状突部から離れる内側方向に変位すると、この第1環状突部の変位力が基端側の連結部位を通じて第2環状突部に伝播する。その結果、第2環状突部が流体噴射ヘッドに対して密着するように変位する。すなわち、キャップが当接位置に位置した状態で、第1環状突部及び第2環状突部の双方が流体噴射ヘッドに対して密着することにより、流体噴射ヘッドのノズル開口を囲うようにしてノズル形成面との間に密封した空間域を確実に形成することができる。
また、本発明のキャップにおいて、前記第1環状突部は、前記開口部の内側方向に向けて突出した状態で前記流体噴射ヘッドの前記ノズル形成面に下方から当接可能である一方、前記第2環状突部は、前記流体噴射ヘッドを囲繞した状態で内側方向に変位することにより当該流体噴射ヘッドの側面に側方から当接可能である。
上記構成によれば、第1環状突部は、開口部の内側に向けて突出しているため、この第1環状突部が流体噴射ヘッドのノズル形成面から下方に反力を受けると、この第1環状突部の変位が基端側の連結部位を通じて開口部の内側に向かう変位力として第2環状突部に伝播する。ここで、第2環状突部は、流体噴射ヘッドの側面に対して開口部の内側方向への変位可能に対向している。そのため、第2環状突部が開口部の内側方向に変位すると、第2環状突部は流体噴射ヘッドの側面に対して密着するようになる。したがって、キャップがノズル開口を囲うように流体噴射ヘッドに対して当接する当接位置に配置されると、第1環状突部及び第2環状突部の双方が流体噴射ヘッドに対して密着することにより、ノズル形成面との間に密封した空間域を確実に形成することができる。
また、本発明のキャップにおいて、前記第1環状突部は、前記開口部の内側上方に向けて突出した状態で前記流体噴射ヘッドの前記ノズル形成面に下方から当接可能である一方、前記第2環状突部は、前記開口部の外側上方に向けて突出した状態で前記流体噴射ヘッドの前記ノズル形成面に下方から当接する。
上記構成によれば、第1環状突部が流体噴射ヘッドのノズル形成面から下方に反力を受けると、第1環状突部は開口部の内側方向に傾斜するように変位する。そして、この第1環状突部における開口部の内側方向への変位は基端側の連結部位を通じて第2環状突部に伝播する。ここで、第2環状突部は開口部の外側上方に向けて突出している。そのため、開口部の内側方向に向かう変位力が第1環状突部から第2環状突部に対して伝播すると、この第2環状突部は流体噴射ヘッドのノズル形成面に対して密着するようになる。したがって、キャップが当接位置に位置した状態で、第1環状突部及び第2環状突部の双方が流体噴射ヘッドに対して密着することにより、ノズル形成面との間に密封した空間域を確実に形成することができる。
また、本発明のメンテナンス装置は、上記構成のキャップと、前記キャップと前記ノズル形成面との間に形成される前記密封した空間域に負圧を発生させる負圧発生手段と備えた。上記構成によれば、上記キャップの発明と同様の効果が得られる。
また、本発明の流体噴射装置は、流体を噴射する流体噴射ヘッドと、上記構成のメンテナンス装置とを備えた。上記構成によれば、上記キャップの発明及び上記メンテナンス装置の発明と同様の効果が得られる。
第1の実施形態のプリンターの斜視図。 第1の実施形態のメンテナンス装置の概略断面図。 (a)はキャップが記録ヘッドに対する離間位置に配置された状態を示す模式図、(b)は第2環状突部の開口部に対して記録ヘッドが挿入された直後の状態を示す模式図、(c)は第1環状突部が記録ヘッドに対して当接した直後の状態を示す模式図。 (a)は図3(c)に示す状態からキャップが更に上昇した状態を示す模式図、(b)は図4(a)に示す状態において吸引ポンプが駆動した状態を示す模式図、(c)は図4(b)に示す状態よりも大きな吸引力を作用させるように吸引ポンプが駆動した状態を示す模式図、(d)は第1環状突部が記録ヘッドに対して当接するように弾性復帰した状態を示す模式図。 (a)はキャップが記録ヘッドに対する離間位置に配置された状態を示す模式図、(b)は第2環状突部が記録ヘッドに対して当接した直後の状態を示す模式図、(c)は第1環状突部が記録ヘッドに対して当接した直後の状態を示す模式図。 (a)は図5(c)に示す状態からキャップが更に上昇した状態を示す模式図、(b)は図6(a)に示す状態において吸引ポンプが駆動した状態を示す模式図、(c)は図6(b)に示す状態よりも大きな吸引力を作用させるように吸引ポンプが駆動した状態を示す模式図、(d)は第1環状突部が記録ヘッドに対して当接するように弾性復帰した状態を示す模式図。 (a)は、別の実施形態のキャップが記録ヘッドに対する離間位置に配置された状態を示す模式図、(b)は、別の実施形態のキャップが記録ヘッドに対する当接位置に配置された状態で吸引ポンプが駆動した状態を示す模式図。 (a)〜(f)は、別の実施形態のキャップが記録ヘッドに対する離間位置に配置された状態を示す模式図。
(第1の実施形態)
以下、本発明の流体噴射装置をインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」ともいう。)に具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいう場合は、特に説明がない限り、図1を基準とした場合の「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」と一致するものとする。
図1に示すように、流体噴射装置としてのプリンター11は、平面視矩形状をなすフレーム12を備えている。フレーム12内には、支持板13が左右方向に沿って架設されると共に、該支持板13上には、紙送りモーター14を有する紙送り機構により記録用紙Pが副走査方向となる前後方向に沿って給送されるようになっている。また、フレーム12内において支持板13の上方には、支持板13の長手方向と平行に、棒状のガイド部材15が架設されている。
ガイド部材15には、キャリッジ16が、当該ガイド部材15の軸線方向に往復移動可能に支持されている。また、フレーム12内の後面においてガイド部材15の両端部と対応する位置には、駆動プーリー17aと従動プーリー17bが回転自在に支持されている。これら両プーリー17a,17b間にはキャリッジ16を支持した無端状のタイミングベルト17が掛装されると共に、駆動プーリー17aにはフレーム12の背面に設けられたキャリッジモーター18が連結されている。したがって、キャリッジ16は、キャリッジモーター18の駆動に伴いタイミングベルト17を介して伝達される駆動力により、主走査方向となる左右方向へガイド部材15に沿って往復移動するようになっている。
キャリッジ16の下面には、流体噴射ヘッドとしての記録ヘッド19が搭載されると共に、その記録ヘッド19の下面により構成されるノズル形成面19aには複数(図2には4つ図示)のノズル20が設けられている(図2参照)。キャリッジ16における記録ヘッド19の上側には、インクカートリッジ21が着脱可能に搭載されると共に、インクカートリッジ21内には、複数色(本実施形態では4色)の流体としてのインクがそれぞれ記録ヘッド19に供給可能に収容されている。
そして、記録ヘッド19に備えられた図示しない圧電素子の駆動により、インクカートリッジ21から記録ヘッド19へと各インクが供給されると共に、当該各インクが各ノズル20から支持板13上に給送された記録用紙Pにそれぞれ噴射されて印刷が行われるようになっている。
また、フレーム12内の右端部に位置する非印刷領域は、プリンター11の電源オフ時や記録ヘッド19をメンテナンスする場合にキャリッジ16の待機場所となるホームポジションHPになっている。また、キャリッジ16がホームポジションHPに配置されたときのキャリッジ16の下方となる位置には、記録ヘッド19のメンテナンスを行うためのメンテナンス装置22が設けられている。
図2に示すように、メンテナンス装置22は、キャップ23及び吸引ポンプ24等を構成要素として備えている。
キャップ23は、上方が開口した開口部25aを有する有底略四角箱状をなす本体部25と、この本体部25の環状側壁26の先端に連結される弾性材料からなる弾性部27とから構成されている。弾性部27は、本体部25の開口部25aの開口縁に沿って略四角環状をなすように構成されている。すなわち、弾性部27は、本体部25の環状側壁26の先端に連結される略四角環状をなす基部28と、この基部28からそれぞれ延出された四角環状をなす第1環状突部29及び同じく四角環状をなす第2環状突部30を備えている。そして、第1環状突部29は、本体部25の開口部25aの内側方向に向けて基部28から斜め上方に突出する一方で、第2環状突部30は、第1環状突部29の外側で基部28から鉛直上方に突出している。
また、第1環状突部29の開口部31は、平面視における縦方向(前後方向)及び横方向(左右方向)の寸法が、記録ヘッド19のノズル形成面19aにおける同方向の寸法よりもそれぞれ小さくなるように設計されている。一方、第2環状突部30の開口部32は、平面視における縦方向(前後方向)及び横方向(左右方向)の寸法が、記録ヘッド19のノズル形成面19aにおける同方向の寸法よりも僅かに大きくなるように設計されている。すなわち、第2環状突部30は、その開口部32の平面視形状が第1環状突部29の開口部31の平面視形状よりも大きく設計されることにより、第1環状突部29を囲繞するように構成されている。そのため、キャップ23が記録ヘッド19に対して接近するように上方に移動した場合には、第1環状突部29の先端が記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して下方から当接する一方で、第2環状突部30の先端が記録ヘッド19の側面19bに対して若干の隙間を介在させて水平方向に対向するようになっている。ここで、記録ヘッド19の側面19bとは、記録ヘッド19のノズル形成面19aの端縁から上方に向けて延びた面部位を示している。
なお、キャップ23は、各環状突部29,30の開口部31,32の中心位置を記録ヘッド19のノズル形成面19aの中心位置に対して位置合わせするようにして、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して上下方向(キャップ23の昇降方向)に対向するように配置されている。ここで、記録ヘッド19には、ノズル形成面19aの略中央面域にノズル20が設けられている。そのため、キャップ23は、平面視において各環状突部29,30が記録ヘッド19のノズル20のノズル開口を囲う配置態様となっている。
また、弾性部27の基部28は、キャップ23における本体部25の開口部25aを区画形成する環状側壁26の先端よりも上方となる位置に配置されている。そして、この基部28から上方に突出される第1環状突部29及び第2環状突部30は、本体部25の開口部25aよりも上方に位置している。すなわち、第1環状突部29及び第2環状突部30は、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対し、キャップ23において上下方向(キャップ23の昇降方向)で最も近接する部位に配置されている。また、第2環状突部30における基部28からの上方への突出量は、第1環状突部29における基部28からの上方への突出量よりも大きく設定されている。すなわち、第2環状突部30は、第1環状突部29よりも上方に突出している。
また、各環状突部29,30の四隅に位置する角部は、当該各環状突部29,30における他の部位よりも弾性変形し易い材質によって構成されている。そのため、キャップ23が記録ヘッド19に対して当接した場合には、各環状突部29,30の角部が記録ヘッド19に対して当接する際に生じる歪みを吸収するように弾性変形する。したがって、キャップ23は、記録ヘッド19に対して気密状に密着することが可能となっている。
また、キャップ23は、本体部25の底壁の略中央部から突部33が下方に向かって突設されると共に、当該突部33内には、キャップ23内からインクを排出するための排出路34が上下方向に貫通形成されている。そして、この突部33には、可撓性材料からなる排出チューブ35の上流端が接続されると共に、この排出チューブ35の下流端は廃液容器36に挿入されている。なお、キャップ23は、平面視において、各環状突部29,30の開口部31,32の中心位置と、本体部25の底面に対する排出チューブ35の接続部(突部33)の位置とが一致するように構成されている。
また、キャップ23と廃液容器36との間における排出チューブ35の中間部には、キャップ23側から廃液容器36側に向かってインクを強制的に吸引して排出するためにキャップ23内(すなわち、当接位置にあるキャップ23とノズル形成面19aとの間に形成される空間域S1(図4(a)参照))を吸引する吸引ポンプ24が配設されている。
そして、記録ヘッド19のメンテナンス時には、昇降装置37が制御装置38からの制御信号に基づいてキャップ23を上昇させる結果、キャップ23の弾性部27が記録ヘッド19に対してノズル20のノズル開口を囲うように当接するようになる。また、その当接状態においては、制御装置38からの制御信号に基づいて吸引ポンプ24が駆動されるようになっている。その結果、インクカートリッジ21から各ノズル20に至るインク供給流路内からインクが吸引されると共に、吸引されたインクがキャップ23及び排出チューブ35を介して廃液容器36に排出されるようになっている。
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に、キャップ23と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に密封した空間域を形成する際の作用に着目して以下説明する。なお、以下に示す図3(a)〜(c)及び図4(a)〜(d)では、明細書の説明理解の便宜上、線図の一部が省略されているものとする。
さて、プリンター11においては、ノズル開口を通じてノズル20内に異物や気泡が進入することがあり得る。このような異物や気泡は、印刷時にインクと共に記録ヘッド19のノズル20から噴射されると、所謂ドット抜け等を生じる原因となるので除去されることが望ましい。そこで、本実施形態のプリンター11では、以下のようにして異物や気泡を記録ヘッド19のノズル20から除去するようにしている。
すなわち、まず、図3(a)に示すように、キャップ23が記録ヘッド19に対して下方に離間した離間位置に配置された状態において、制御装置38が昇降装置37を駆動させると、昇降装置37は、キャップ23を記録ヘッド19に対して接近させるように上昇させる。すると、図3(b)に示すように、キャップ23は、記録ヘッド19に対して上下方向で対向する部位となる弾性部27のうち、記録ヘッド19に向けて最も上方に突出した第2環状突部30の先端部の内側面が、記録ヘッド19の側面19bの下端部に対して若干の隙間を介在させて水平方向に対向するようになる。
続いて、昇降装置37がキャップ23を記録ヘッド19に対して更に接近させるように上昇させると、図3(c)に示すように、キャップ23は、第1環状突部29の先端部が記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して当接するようになる。なお、このとき、キャップ23が例えば組み付け誤差等により記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して水平方向で位置ずれしているような場合、キャップ23は、第2環状突部30の内側面が記録ヘッド19の側面19bによって上下方向(キャップ23の昇降方向)にガイドされつつ、記録ヘッド19に対して接近するように上方に移動する。
さらに、昇降装置37が図3(c)に示す位置からキャップ23を更に上昇させると、第1環状突部29の先端部が記録ヘッド19のノズル形成面19aから鉛直下方に向けて反力を受けるようになる。ここで、第1環状突部29は、本体部25の開口部25aの内側方向に向けて斜め上方に突出するように構成されている。そのため、図4(a)に示すように、第1環状突部29の先端部が記録ヘッド19のノズル形成面19aから鉛直下方に向けて反力を受けると、第1環状突部29は、当該第1環状突部29の基端側となる基部28を中心として、本体部25の開口部25aの内側方向に向けて撓むように弾性変形する。そして、第1環状突部29は、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着することにより、記録ヘッド19のノズル形成面19aに形成されたノズル20のノズル開口を囲うようにして記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に密封した空間域を形成する。
また、本体部25の開口部25aの内側方向に向かう第1環状突部29の変位は、第1環状突部29の基端側から基部28を通じて第2環状突部30に対して伝播する。ここで、第2環状突部30の先端部の内側面は、本体部25の開口部25aの内側方向に向かう方向が記録ヘッド19の側面19bに対する当接方向となっている。そのため、第2環状突部30の内側面は、本体部25の開口部25aの内側方向に向かう変位力が第1環状突部29から第2環状突部30に伝播すると、当該第2環状突部30が内側方向に倒れるように変位するため、記録ヘッド19の側面19bに対して密着するようになる。そして、第2環状突部30は、記録ヘッド19を囲繞した状態で当該記録ヘッド19の側面19bに対して密着することにより、記録ヘッド19のノズル形成面19aに形成されたノズル20のノズル開口を第1環状突部29の外側から囲うようにして記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に密封した空間域を形成する。
また、キャップ23と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1が形成される位置まで昇降装置37がキャップ23を上昇させると、制御装置38が吸引ポンプ24を駆動させる。そして、吸引ポンプ24は、この密封された空間域S1から排出チューブ35を通じて空気を排気することにより、当該空間域S1に負圧を発生させる。この点で、本実施形態の吸引ポンプ24は、記録ヘッド19のノズル形成面19aとキャップ23との間に形成される密封された空間域S1に負圧を発生させる負圧発生手段として機能する。
ここで、第1環状突部29は、記録ヘッド19のノズル形成面19aに形成されたノズル20のノズル開口を囲うようにして記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着している。そのため、記録ヘッド19のノズル形成面19aとキャップ23との間の空間域S1は、第1環状突部29の内側に位置する空間域S1aと、第1環状突部29の外側に位置する空間域S1bとに仕切られる。
そして、吸引ポンプ24が駆動すると、これらの空間域S1a,S1bのうち、第1環状突部29の内側に位置する空間域S1aには負圧が作用する一方で、第1環状突部29の外側に位置する空間域S1bには負圧が作用しない。そのため、図4(b)に示すように、第1環状突部29は、これらの空間域S1a,S1bの間の圧力差に従って、当該第1環状突部29の開口部31の内側方向に向けての撓み量を増大させるように弾性変形する。
すると、第1環状突部29の開口部31の内側方向に向かう第1環状突部29の変位は、第1環状突部29の基端側から基部28を通じて第2環状突部30に対して伝播する。そして、第2環状突部30は、第1環状突部29の開口部31の内側方向、すなわち、本体部25の開口部25aの内側方向に向かう変位力が第1環状突部29から伝播すると、記録ヘッド19の側面19bに対して強固に密着するようになる。
さらに、制御装置38が吸引ポンプ24を継続して駆動させると、吸引ポンプ24は、第1環状突部29と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間の空間域S1aの圧力を更に低減させる。すると、第1環状突部29の内側に位置する空間域S1aと、第1環状突部29の外側に位置する空間域S1bとの間の圧力差が増大する。そして、第1環状突部29は、これらの空間域S1a,S1bの間の圧力差に従って、当該第1環状突部29の開口部31の内側方向に向けての撓み量を更に増大させる。その結果、図4(c)に示すように、第1環状突部29の先端は、記録ヘッド19のノズル形成面19aから下方に離間するようになる。
すると、第1環状突部29の内側に位置する空間域S1aと、第1環状突部29の外側に位置する空間域S1bとが連通した状態となる。そのため、吸引ポンプ24が第1環状突部29の内側に位置する空間域S1aに負圧を作用させると、この負圧は第1環状突部29の外側の空間域S1bにも作用する。その結果、この空間域S1bとキャップ23の外部との圧力差に従って、第2環状突部30の内側面は、当該第2環状突部30の開口部32の内側方向に向けての撓み量を増大させることにより、記録ヘッド19の側面19bに対して更に強固に密着するようになる。
また、第1環状突部29の内側の空間域S1aと第1環状突部29の外側の空間域S1bとが連通すると、これらの空間域S1a,S1bの間における圧力差が次第に減少する。すると、第1環状突部29は、当該第1環状突部29の弾性復帰力に従って開口部31の内側方向に向けての撓み量を次第に減少させる。その結果、図4(d)に示すように、第1環状突部29の先端が記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して再び密着するようになる。
すなわち、本実施形態では、キャップ23が記録ヘッド19に対する当接位置に配置された状態で吸引ポンプ24が駆動すると、キャップ23は、第1環状突部29及び第2環状突部30が二重壁構造をなすように記録ヘッド19に対して密着する。そのため、記録ヘッド19のノズル形成面19aとキャップ23との間に形成される空間域S1の気密性が信頼性よく確保されるようになっている。そのため、吸引ポンプ24がこの空間域S1に対して大きな負圧を発生させることにより、この負圧の発生に伴う吸引力で記録ヘッド19のノズル20内に進入した異物や気泡が確実に除去される。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)キャップ23が記録ヘッド19に対する当接位置に位置した状態において、第1環状突部29が記録ヘッド19に対して密着するように変位すると、この第1環状突部29の変位力が基端側の基部28を通じて第2環状突部30に伝播する。その結果、この第2環状突部30が記録ヘッド19に対して密着するように変位する。すなわち、キャップ23が記録ヘッド19に対する当接位置に位置した状態で、第1環状突部29及び第2環状突部30の双方が記録ヘッド19に対して密着することにより、記録ヘッド19のノズル20のノズル開口を囲うようにしてノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1を確実に形成することができる。
(2)第1環状突部29は、本体部25の開口部25aの内側方向に向けて突出しているため、この第1環状突部29が記録ヘッド19のノズル形成面19aから下方に反力を受けると、この第1環状突部29の変位が基端側の基部28を通じて本体部25の開口部25aの内側に向かう変位力として第2環状突部30に対して伝播する。ここで、第2環状突部30は、記録ヘッド19の側面19bに対して本体部25の開口部25aの内側方向に当接している。そのため、第2環状突部30が本体部25の開口部25aの内側方向に変位すると、第2環状突部30は記録ヘッド19の側面19bに対して密着するようになる。したがって、キャップ23が記録ヘッド19に対する当接位置に配置されると、第1環状突部29及び第2環状突部30の双方が記録ヘッド19に対して密着することにより、ノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1を確実に形成することができる。
(3)第2環状突部30は、第1環状突部29よりも記録ヘッド19側となる上方位置に突出している。そのため、第1環状突部29が記録ヘッド19に対して当接する時点において、記録ヘッド19に対する第2環状突部30の当接面の面積が大きく確保される。したがって、第1環状突部29の変位力が基端側の基部28を通じて第2環状突部30に伝播すると、第2環状突部30が記録ヘッド19に対して強固に密着することにより、ノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1を確実に形成することができる。
(4)吸引ポンプ24は、第1環状突部29と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に形成される密封した空間域S1aに負圧を発生させる。そして、この空間域S1aの内外の圧力差に基づいて、第1環状突部29が当該第1環状突部29の開口部31の内側方向に変位すると共に、この第1環状突部29の変位に連動して、第2環状突部30が当該第2環状突部30の開口部32の内側方向に変位する。ここで、第2環状突部30は、記録ヘッド19の側面19bに対して第2環状突部30の開口部32の内側方向に当接している。そのため、第2環状突部30が開口部32の内側方向に変位すると、第2環状突部30は記録ヘッド19の側面19bに対して密着するようになる。したがって、キャップ23が記録ヘッド19に対する当接位置に配置されると、第1環状突部29及び第2環状突部30の双方が記録ヘッド19に対して密着することにより、ノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1を確実に形成することができる。
(5)吸引ポンプ24が第1環状突部29の内側の空間域S1aに大きな負圧を作用させると、この空間域S1aと第1環状突部29の外側の空間域S1bとが連通する。この場合、吸引ポンプ24が第1環状突部29の内側に位置する空間域S1aに作用させる負圧は、第1環状突部29の外側の空間域S1bにも作用する。その結果、この第1環状突部29の外側の空間域S1bとキャップ23の外部との圧力差に従って、第2環状突部30の内側面は、当該第2環状突部30の開口部32の内側方向に向けての撓み量を増大させることにより、記録ヘッド19の側面19bに対して強固に密着するようになる。したがって、吸引ポンプ24の駆動時において、記録ヘッド19のノズル形成面19aとキャップ23との間の空間域S1に大きな負圧を作用させる場合であっても、この空間域S1の気密性を信頼性よく確保することができる。
(6)第2環状突部30の開口部32の平面視形状は、記録ヘッド19のノズル形成面19aの平面視形状よりも僅かに大きくなるように設計されている。そのため、キャップ23は、第2環状突部30の内側面が記録ヘッド19の側面19bによってキャップ23の昇降方向にガイドされつつ、記録ヘッド19に対して接近するように上方に移動する。したがって、第1環状突部29は、記録ヘッド19のノズル20のノズル開口を確実に囲うようにして記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して当接することができる。
(7)キャップ23が記録ヘッド19に対する当接位置に位置した状態において、第1環状突部29が記録ヘッド19に対して密着するように変位すると、この第1環状突部29の変位力が基端側の基部28を通じて第2環状突部30に伝播する。その結果、この第2環状突部30が記録ヘッド19に対して密着するように変位する。そのため、キャップ23における第2環状突部30の開口部32の平面視形状が、記録ヘッド19のノズル形成面19aの平面視形状よりも僅かに大きく設計された場合であっても、第2環状突部30を記録ヘッド19の側面19bに対して確実に密着させることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図5(a)〜(c)及び図6(a)〜(d)に基づき以下説明する。なお、第2の実施形態は、第1環状突部29及び第2環状突部30の双方が記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して当接する点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。また、以下に示す図5(b)、(c)及び図6(a)〜(d)では、明細書の説明理解の便宜上、線図の一部が省略されているものとする。
さて、図5(a)に示すように、本実施形態のキャップ23は、第1環状突部29が本体部25の開口部25aの内側方向に向けて基部28から斜め上方に突出する一方で、第2環状突部30が本体部25の開口部25aの外側方向に向けて基部28から斜め上方に突出している。
また、第1環状突部29の開口部31及び第2環状突部30の開口部32は、平面視における縦方向(前後方向)及び横方向(左右方向)の寸法が、記録ヘッド19のノズル形成面19aにおける同方向の寸法よりもそれぞれ小さくなるように設計されている。すなわち、各環状突部29,30の平面視形状は、記録ヘッド19のノズル形成面19aの平面視形状よりも小さく設計されている。そのため、キャップ23が記録ヘッド19に対して接近するように上方に移動した場合には、各環状突部29,30の先端が、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して当接するようになっている。なお、第2環状突部30における基部28からの上方への突出量は、第1環状突部29における基部28からの上方への突出量よりも大きく設定されている。
そして、制御装置38は、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対してキャップ23を当接させる場合、キャップ23が記録ヘッド19に対して下方に離間した離間位置に配置された状態において昇降装置37を駆動させる。そして、昇降装置37は、キャップ23を記録ヘッド19に対して接近させるように上昇させる。すると、図5(b)に示すように、キャップ23は、記録ヘッド19に対して上下方向に対向する部位となる弾性部27のうち、記録ヘッド19に向けて最も上方に突出した第2環状突部30の先端部が、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して当接するようになる。
続いて、図5(c)に示すように、昇降装置37がキャップ23を記録ヘッド19に対して更に接近させるように上昇させると、キャップ23は、第1環状突部29の先端部が記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して当接するようになる。
なお、昇降装置37が図5(b)に示す位置からキャップ23を更に上昇させると、第2環状突部30の先端部が記録ヘッド19のノズル形成面19aから鉛直下方に向けて反力を受けるようになる。ここで、第2環状突部30は、本体部25の開口部25aの外側方向に向けて斜め上方に突出するように構成されている。そのため、第2環状突部30の先端部が記録ヘッド19のノズル形成面19aから鉛直下方に向けて反力を受けると、第2環状突部30は、当該第2環状突部30の基端側となる基部28を中心として、本体部25の開口部25aの外側方向に向けて撓むように弾性変形する。その結果、第2環状突部30の先端部は、図5(b)に示す状態と比較して、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対する接触面積を増大させる。
さらに、昇降装置37が図5(c)に示す位置からキャップ23を更に上昇させると、第1環状突部29の先端部が記録ヘッド19のノズル形成面19aから鉛直下方に向けて反力を受けるようになる。ここで、第1環状突部29は、本体部25の開口部25aの内側方向に向けて斜め上方に突出するように構成されている。そのため、図6(a)に示すように、第1環状突部29の先端部が記録ヘッド19のノズル形成面19aから鉛直下方に向けて反力を受けると、第1環状突部29は、当該第1環状突部29の基端側となる基部28を中心として、本体部25の開口部25aの内側方向に向けて撓むように弾性変形する。そして、第1環状突部29は、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着することにより、記録ヘッド19のノズル形成面19aに形成されたノズル20のノズル開口を囲うようにして記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1aを形成する。
また、本体部25の開口部25aの内側方向に向かう第1環状突部29の変位は、第1環状突部29の基端側から基部28を通じて第2環状突部30に対して伝播する。ここで、第2環状突部30の先端部は、本体部25の開口部25aの外側方向に向けて撓むように弾性変形しつつ、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して当接している。そのため、第2環状突部30は、本体部25の開口部25aの内側方向に向かう変位力が第1環状突部29から伝播すると、第2環状突部30は、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して強固に密着するようになる。そして、第2環状突部30は、記録ヘッド19を囲繞した状態で当該記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着することにより、記録ヘッド19のノズル形成面19aに形成されたノズル20のノズル開口を第1環状突部29の外側から囲うようにして記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1bを形成する。
また、キャップ23と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1が形成される位置まで昇降装置37がキャップ23を上昇させると、制御装置38が吸引ポンプ24を駆動させる。そして、吸引ポンプ24が駆動すると、図6(b)に示すように、第1環状突部29と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に形成された空間域S1aに負圧が発生する。すると、第1環状突部29は、この空間域S1aの内外の圧力差に従って、第1環状突部29の開口部31の内側方向に向けての撓み量を増大させるように弾性変形する。
そして、第1環状突部29の開口部31の内側方向に向かう第1環状突部29の変位は、第1環状突部29の基端側から基部28を通じて第2環状突部30に対して伝播する。そして、第2環状突部30は、第1環状突部29の開口部31の内側方向、すなわち、本体部25の開口部25aの内側方向に向かう変位力が第1環状突部29から伝播すると、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して更に強固に密着する。
さらに、制御装置38が吸引ポンプ24を継続して駆動させると、吸引ポンプ24は、第1環状突部29と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間の空間域S1aの圧力を更に低減させる。すると、第1環状突部29の開口部31の内側方向に位置する空間域S1aと、第1環状突部29の開口部31の外側方向に位置する空間域S1bとの間の圧力差が増大する。そして、第1環状突部29は、これらの空間域S1a,S1bの間の圧力差に従って、当該第1環状突部29の開口部31の内側方向に向けての撓み量を更に増大させる。その結果、図6(c)に示すように、第1環状突部29の先端は、記録ヘッド19のノズル形成面19aから下方に離間するようになる。
すると、第1環状突部29の開口部31の内側方向に位置する空間域S1aと、第1環状突部29の開口部31の外側方向に位置する空間域S1bとが連通した状態となる。そのため、吸引ポンプ24が第1環状突部29の開口部31の内側方向に位置する空間域S1aに作用させる負圧は、第1環状突部29の開口部31の外側方向の空間域S1bにも作用する。その結果、この空間域S1bとキャップ23の外部との圧力差に従って、第2環状突部30は、当該第2環状突部30の開口部32の内側方向に向けての撓み量を増大させることにより、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して更に強固に密着するようになる。
また、第1環状突部29の開口部31の内側方向の空間域S1aと第1環状突部29の開口部31の外側方向の空間域S1bとが連通すると、これらの空間域S1a,S1bの間における圧力差が次第に減少する。すると、第1環状突部29は、当該第1環状突部29の弾性復帰力に従って開口部31の内側方向に向けての撓み量を次第に減少させる。その結果、図6(d)に示すように、第1環状突部29の先端が記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して再び密着するようになる。
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)、(3)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(8)第1環状突部29が記録ヘッド19のノズル形成面19aから下方に反力を受けると、第1環状突部29は本体部25の開口部25aの内側方向に傾斜するように変位する。そして、この第1環状突部29における本体部25の開口部25aの内側方向への変位は基端側の基部28を通じて第2環状突部30に伝播する。ここで、第2環状突部30は本体部25の開口部25aの外側方向に向けて上方に突出している。そのため、本体部25の開口部25aの内側方向に向かう変位力が第1環状突部29から第2環状突部30に対して伝播すると、この第2環状突部30は記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着するようになる。したがって、キャップ23が記録ヘッド19に対する当接位置に位置した状態で、第1環状突部29及び第2環状突部30の双方が記録ヘッド19に対して密着することにより、ノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1を確実に形成することができる。
(9)吸引ポンプ24は、第1環状突部29と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に形成される密封した空間域S1aに負圧を発生させる。そして、この空間域S1aの内外の圧力差に基づいて、第1環状突部29が当該第1環状突部29の開口部31の内側方向に変位すると共に、この第1環状突部29の変位に連動して、第2環状突部30が当該第2環状突部30の開口部32の内側方向に変位する。ここで、第2環状突部30は、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して第2環状突部30の開口部32の外側方向に向かうようにして当接している。そのため、第2環状突部30が開口部32の内側方向に変位すると、第2環状突部30は記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着するようになる。したがって、キャップ23が記録ヘッド19に対する当接位置に配置されると、第1環状突部29及び第2環状突部30の双方が記録ヘッド19に対して密着することにより、ノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1を確実に形成することができる。
(10)吸引ポンプ24が第1環状突部29の開口部31の内側方向の空間域S1aに大きな負圧を作用させると、この空間域S1aと第1環状突部29の開口部31の外側方向の空間域S1bとが連通する。この場合、吸引ポンプ24が第1環状突部29の開口部31の内側方向に位置する空間域S1aに作用させる負圧は、第1環状突部29の開口部31の外側方向の空間域S1bにも作用する。その結果、この空間域S1bとキャップ23の外部との圧力差に従って、第2環状突部30の先端部は、当該第2環状突部30の開口部32の内側方向に向けての撓み量を増大させることにより、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着するようになる。したがって、吸引ポンプ24の駆動時において、記録ヘッド19のノズル形成面19aとキャップ23との間の空間域S1に大きな負圧を作用させる場合であっても、この空間域S1の気密性を信頼性よく確保することができる。
なお、上記各実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記第2の実施形態において、図7(a)に示すように、キャップ23は、第1環状突部29及び第2環状突部30の双方が本体部25の開口部25aの外側方向に向けて基部28から斜め上方に突出する構成としてもよい。
この構成によれば、図7(b)に示すように、両環状突部29,30が記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着した状態で吸引ポンプ24を駆動させると、第1環状突部29は、空間域S1の内外の圧力差に基づいて当該第1環状突部29の開口部31の内側方向に変位する。その結果、第1環状突部29は、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着するようになる。また、第1環状突部29の変位力が基部28を通じて第2環状突部30に伝播すると、第2環状突部30が当該第2環状突部30の開口部32の内側方向に変位する。その結果、第2環状突部30は、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着するようになる。すなわち、この構成によれば、吸引ポンプ24の駆動時において、第1環状突部29及び第2環状突部30の双方が記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して密着することにより、ノズル形成面19aとの間に密封した空間域S1を確実に形成することができる。
・上記第1の実施形態において、図8(a)に示すように、キャップ23は、第2環状突部30が本体部25の開口部25aの内側方向に向けて基部28から斜め上方に突出する構成としてもよい。また、図8(b)に示すように、キャップ23は、第2環状突部30が本体部25の開口部25aの外側方向に向けて基部28から斜め上方に突出する構成としてもよい。
・上記各実施形態において、図8(c)に示すように、キャップ23は、第1環状突部29が本体部25の開口部25aの内側方向に向けて基部28から略水平に突出する構成としてもよい。また、図8(d)に示すように、キャップ23は、第2環状突部30が本体部25の開口部25aの内側方向に向けて基部28から斜め下方に突出する構成としてもよい。また、図8(e)及び図8(f)に示すように、キャップ23は、本体部25の開口部25aの内面に対して四角環状の弾性部材を圧入することにより、弾性部27を構成してもよい。この場合、図8(e)に示すように、第1環状突部29及び第2環状突部30が本体部25の開口部25aの開口縁よりも上方位置で分岐するように構成してもよいし、図8(f)に示すように、第1環状突部29及び第2環状突部30が本体部25の開口部25aの開口縁よりも下方位置で分岐するように構成してもよい。すなわち、キャップ23は、弾性部27における第1環状突部29及び第2環状突部30の記録ヘッド19に対する当接部位がキャップ23における本体部25の開口部25aの開口縁よりも上方に位置する構成であれば、任意の構成を採用することができる。そして、この構成によれば、キャップ23が記録ヘッド19に対する当接位置に配置された場合に、キャップ23と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に形成される空間域S1の体積を十分に確保しつつ、この空間域S1を気密状に密封することができる。
・上記各実施形態において、キャップ23は、第1環状突部29における基部28からの上方への突出量が、第2環状突部30における基部28からの上方への突出量よりも大きくなるように構成してもよい。また、キャップ23は、各環状突部29,30における基部28からの上方への突出量が互いに等しくなるように構成してもよい。
・上記各実施形態において、各環状突部29,30の四隅に位置する角部に切り欠き部を形成する構成としてもよい。この構成によれば、キャップ23が記録ヘッド19に対して当接した場合には、各環状突部29,30の角部に形成された切り欠き部が記録ヘッド19に対して当接する際に生じる歪みを吸収する。したがって、キャップ23は、記録ヘッド19に対して気密状に密着することが可能となる。
・上記各実施形態において、流体噴射装置として、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置を採用しても良い。微小量の流滴を吐出させる流体噴射ヘッド等を備える各種の流体消費装置に流用可能である。なお、流滴とは、上記流体噴射装置から吐出される流体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう流体とは、流体消費装置が噴射させることができるような材料であれ良い。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、流体の代表的な例としては上記実施例の形態で説明したようなインク等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種流体組成物を包含するものとする。流体消費装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する流体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する流体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置を採用してもよい。
10…流体噴射装置としてのインクジェット式プリンター、19…流体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、19a…ノズル形成面、19b…側面、22…メンテナンス装置、23…キャップ、24…負圧発生手段としての吸引ポンプ、25a…開口部、29…第1環状突部、30…第2環状突部、S1,S1a,S1b…空間域。

Claims (5)

  1. ノズル形成面に形成されたノズル開口から流体を噴射する流体噴射ヘッドを備えた流体噴射装置に、前記ノズル開口を囲うように前記流体噴射ヘッドに当接する当接位置と当該当接位置から下方に離間した離間位置との間での昇降自在に設けられる上側が開口した有底箱状のキャップであって、
    前記キャップにおける開口部の開口縁よりも上方位置に前記開口縁に沿うように環状をなして突出し、前記ノズル開口を囲うように前記流体噴射ヘッドに当接した状態では前記ノズル形成面との間に密封した空間域を形成する第1環状突部と、
    前記開口部の開口縁よりも上方位置に前記第1環状突部を囲繞するように環状をなして突出し、前記ノズル開口を囲うように前記流体噴射ヘッドに当接した状態では前記ノズル形成面との間に密封した空間域を形成する第2環状突部と
    を備え、
    前記第1環状突部及び前記第2環状突部は互いに基端側が連結されると共に、
    前記キャップが前記当接位置に位置した状態で、前記第1環状突部が前記第2環状突部から離れる内側方向に変位した場合に、前記第2環状突部が前記第1環状突部から基端側の連結部位を通じて伝播される変位力に従って前記流体噴射ヘッドに対して密着する方向に変位することを特徴とするキャップ。
  2. 請求項1に記載のキャップにおいて、
    前記第1環状突部は、前記開口部の内側方向に向けて突出した状態で前記流体噴射ヘッドの前記ノズル形成面に下方から当接可能である一方、
    前記第2環状突部は、前記流体噴射ヘッドを囲繞した状態で内側方向に変位することにより当該流体噴射ヘッドの側面に側方から当接可能であることを特徴とするキャップ。
  3. 請求項1に記載のキャップにおいて、
    前記第1環状突部は、前記開口部の内側上方に向けて突出した状態で前記流体噴射ヘッドの前記ノズル形成面に下方から当接可能である一方、
    前記第2環状突部は、前記開口部の外側上方に向けて突出した状態で前記流体噴射ヘッドの前記ノズル形成面に下方から当接することを特徴とするキャップ。
  4. 請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のキャップと、
    前記キャップと前記ノズル形成面との間に形成される前記密封した空間域に負圧を発生させる負圧発生手段と
    備えたことを特徴とするメンテナンス装置。
  5. 流体を噴射する流体噴射ヘッドと、
    請求項4に記載のメンテナンス装置と
    を備えたことを特徴とする流体噴射装置。
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