JP2012006520A - 助手席用エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】助手席の乗員がインストルメントパネルに対して近接状態にある場合でも、乗員をエアバッグによって適切に拘束する。
【解決手段】インストルメントパネル24には、一対の縦破断予定部26と、この一対の縦破断予定部26における車両前後方向中間部を連結する横破断予定部28とによって、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14が区画形成されている。エアバッグ18の内側には、インナバッグ22が設けられており、インナバッグ22は、インフレータ20から噴出されたガスによって膨張されながら、このガスをエアバッグ18に供給してエアバッグ18を膨張展開させる。また、インナバッグ22は、エアバッグ18を膨張展開させるときには、エアバッグ18がその膨張圧により一対の縦破断予定部26を破断させる膨張初期形態から前側エアバッグドア12を開放させる膨張中期形態に変化されるように、エアバッグ18の形態を制御する。
【選択図】図5

Description

本発明は、助手席用エアバッグ装置に関する。
特許文献1には、エアバッグの膨張展開初期に、エアバッグの膨張圧により中央エアバッグドアに先行して横エアバッグドアが開放されるように構成された助手席用エアバッグ装置が開示されている。
特開2010−120443号公報 特開2006−240329号公報 特開2010−83439号公報 特開2000−16213号公報
この種の助手席用エアバッグ装置では、特許文献1に記載されているように、助手席の乗員がインストルメントパネルに対して近接状態にある場合でも、乗員をエアバッグによって適切に拘束できることが望まれる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、助手席の乗員がインストルメントパネルに対して近接状態にある場合でも、乗員をエアバッグによって適切に拘束することができる助手席用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置は、インストルメントパネルにおける助手席の車両前後方向前側の部位に、それぞれ車両前後方向に延びると共に互いに車両幅方向に並んで形成された一対の縦破断予定部と、車両幅方向に延びて前記一対の縦破断予定部における車両前後方向中間部を連結する横破断予定部とによって区画形成された前側エアバッグドア及び後側エアバッグドアと、前記前側エアバッグドア及び前記後側エアバッグドアの裏側に折畳状態で設けられ、前記前側エアバッグドア及び前記後側エアバッグドアを開放して前記インストルメントパネルの表側へ膨張展開されるエアバッグと、車両の前面衝突時にガスを噴出するインフレータと、前記エアバッグの内側に設けられ、前記インフレータから噴出されたガスによって膨張されながら前記ガスを前記エアバッグに供給して前記エアバッグを膨張展開させ、且つ、前記エアバッグを膨張展開させるときに、前記エアバッグがその膨張圧により前記一対の縦破断予定部を破断させる膨張初期形態から前記前側エアバッグドアを開放させる膨張中期形態に変化されるように、前記エアバッグの形態を制御するインナバッグと、を備えている。
この助手席用エアバッグ装置では、車両の前面衝突時にインフレータからガスが噴出されると、このガスによってインナバッグが膨張される。また、インナバッグが膨張されながら、このインナバッグからエアバッグにガスが供給され、エアバッグが前側エアバッグドア及び後側エアバッグドアを開放してインストルメントパネルの表側へ膨張展開される。
ここで、このようにしてエアバッグが膨張展開されるときには、このエアバッグの形態がインナバッグによって次の如く制御される。
すなわち、エアバッグは、膨張初期には、一対の縦破断予定部が破断されるように膨張される(膨張初期形態)。そして、一対の縦破断予定部が破断されると、前側エアバッグドア及び後側エアバッグドアの車両幅方向両側に初期膨出口が形成されるので、エアバッグは、この初期膨出口を通じて前側エアバッグドア及び後側エアバッグドアの車両幅方向両側に膨出される。
次いで、エアバッグは、膨張展開が進行した膨張中期には、前側エアバッグドアが開放されるように膨張される(膨張中期形態)。そして、前側エアバッグドアが開放されると、インストルメントパネルに中期膨出口が形成されるので、エアバッグは、この中期膨出口を通じて乗員側へ膨出される。
このように、この助手席用エアバッグ装置によれば、エアバッグは、先ず、縦破断予定部が破断されることで形成された初期膨出口を通じて車両幅方向両側に膨出され、その後、前側エアバッグドアが開放されることにより形成された中期膨出口を通じて乗員側へ膨出される。従って、車両の前面衝突時に、助手席の乗員がインストルメントパネルに対して近接状態にある場合でも、この乗員に対するエアバッグの反力を抑制しつつ、この乗員をエアバッグによって車両幅方向両側から拘束することができる。
しかも、エアバッグが膨張中期形態とされているときには、後側エアバッグドアが閉じた状態に維持される(つまり、換言すれば、エアバッグが膨張後期形態になることにより後側エアバッグドアが開放される)。従って、車両の前面衝突時に、助手席の乗員がインストルメントパネルに対して近接状態にある場合でも、膨張するエアバッグが乗員の顎の下側に回り込むことも抑制することができる。
この結果、助手席の乗員がインストルメントパネルに対して近接状態にある場合でも、乗員をエアバッグによって適切に拘束することができる。
請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置は、請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置において、前記インフレータが、前記インナバッグの基端部の内側に配置されて、前記ガスを噴出するガス噴出部を有し、前記インナバッグが、車両幅方向に長手状に形成されると共に、その長手方向両端部に前記ガス噴出部から噴出されたガスを前記エアバッグに供給するためのガス供給孔が形成された先端部を有し、前記ガス供給孔が車両側面視にて前記ガス噴出部の中心と前記横破断予定部とを結ぶ仮想線よりも車両前後方向前側に位置されるように膨張される構成とされたものである。
この助手席用エアバッグ装置によれば、インナバッグが膨張される途中では、先端部の長手方向両端部に形成されたガス供給孔からガスが供給されることにより、エアバッグの車両幅方向両側部の膨張圧が増加されるので、このエアバッグの膨張圧によって一対の縦破断予定部を破断させることができる。
そして、インナバッグが膨張されたときには、ガス供給孔が車両側面視にてガス噴出部の中心と横破断予定部とを結ぶ仮想線よりも車両前後方向前側に位置される。従って、このときには、このガス供給孔からガスが供給されることにより、エアバッグの車両前後方向前側部の膨張圧が増加されるので、このエアバッグの膨張圧によって前側エアバッグドアを開放させることができる。
請求項3に記載の助手席用エアバッグ装置は、請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置において、前記インナバッグが、前記先端部の中心が前記仮想線に対して車両前後方向前側に位置されると共に、前記ガス供給孔が前記先端部の長手方向外側且つ車両上下方向上側に向けて開口されるように膨張される構成とされたものである。
この助手席用エアバッグ装置によれば、インナバッグが膨張される途中では、インナバッグの先端部が上述の仮想線上に位置されると共に、この先端部の長手方向両端部に形成されたガス供給孔が先端部の長手方向外側且つ車両上下方向上側に向けて開口される。従って、このときには、ガス供給孔からガスが供給されることにより、エアバッグの車両幅方向両側部の膨張圧が増加されるので、このエアバッグの膨張圧によって一対の縦破断予定部を破断させることができる。
そして、インナバッグが膨張されたときには、上述の膨張途中の状態に対して、先端部の中心が上述の仮想線に対して車両前後方向前側に位置される。従って、このときには、ガス供給孔からガスが供給されることにより、エアバッグの車両前後方向前側部の膨張圧が増加されるので、このエアバッグの膨張圧によって前側エアバッグドアを開放させることができる。
請求項4に記載の助手席用エアバッグ装置は、請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置において、前記インナバッグが、前記先端部が前記仮想線上に位置されると共に、前記ガス供給孔が車両前後方向前側且つ車両上下方向上側に向けて開口されるように膨張される構成とされたものである。
この助手席用エアバッグ装置によれば、インナバッグが膨張される途中では、先端部の長手方向両端部に形成されたガス供給孔からガスが供給されることにより、エアバッグの車両幅方向両側部の膨張圧が増加されるので、このエアバッグの膨張圧によって一対の縦破断予定部を破断させることができる。
そして、インナバッグが膨張されたときには、車両前後方向前側且つ車両上下方向上側に向けて開口されたガス供給孔からガスが供給されることにより、エアバッグの車両前後方向前側部の膨張圧が増加されるので、このエアバッグの膨張圧によって前側エアバッグドアを開放させることができる。
以上詳述したように、本発明によれば、助手席の乗員がインストルメントパネルに対して近接状態にある場合でも、乗員をエアバッグによって適切に拘束することができる。
本発明の第一実施形態に係る助手席用エアバッグ装置が適用されたインストルメントパネルの平面図である。 図1のF2−F2線断面図である。 図1に示される助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが前側エアバッグドア及び後側エアバッグドアの車両幅方向両側に膨出されている状態を示す平面図である。 図3のF4−F4線断面図である。 図1に示される助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが前側エアバッグドアを開放させて乗員側に膨出されている状態を示す図2に対応する断面図である。 図5のF6−F6線断面図である。 本発明の第一実施形態に係る助手席用エアバッグ装置の変形例を示す平面図である。 本発明の第一実施形態に係る助手席用エアバッグ装置のその他の変形例を示す図2に対応する断面図であって、エアバッグが収納されている状態を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る助手席用エアバッグ装置の構成を示す図2に対応する断面図であって、エアバッグが収納されている状態を示す図である。 図9に示される助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが前側エアバッグドア及び後側エアバッグドアの車両幅方向両側に膨出されている状態を示す平面図である。 図10のF11−F11線断面図である。 図9に示される助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが前側エアバッグドアを開放させて乗員側に膨出されている状態を示す図2に対応する断面図である。 図12のF13−F13線断面図である。
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
なお、各図において示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側(左側)をそれぞれ示している。
図2に示されるように、本発明の第一実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10は、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14と、モジュールケース16と、エアバッグ18と、インフレータ20と、インナバッグ22(整流布)とを備えて構成されており、インストルメントパネル24に一体に設けられている。
図1に示されるように、インストルメントパネル24には、図示しない助手席の車両前後方向前側の部位に、一対の縦破断予定部26及び横破断予定部28が形成されている。この一対の縦破断予定部26及び横破断予定部28は、例えば、インストルメントパネル24の裏面に連続溝や断続溝が形成されることにより薄肉に形成された脆弱部によって構成されている。
一対の縦破断予定部26は、それぞれ車両前後方向に延びると共に互いに車両幅方向に並んで形成されており、横破断予定部28は、車両幅方向に延びて一対の縦破断予定部26における車両前後方向中間部を連結している。
そして、この一対の縦破断予定部26及び横破断予定部28が形成されることによって、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14は、インストルメントパネル24に区画形成されている。
また、このインストルメントパネル24には、横破断予定部28を挟んだ車両前後方向両側に、この横破断予定部28と並列して、例えばインテグラルヒンジ等によって構成されたヒンジ部30,32がそれぞれ形成されている。ヒンジ部30は、一対の縦破断予定部26における車両前後方向前側の端部を連結しており、ヒンジ部32は、一対の縦破断予定部26における車両前後方向後側の端部を連結している。
そして、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14は、一対の縦破断予定部26及び横破断予定部28が破断された状態では、それぞれヒンジ部30,32を起点としてインストルメントパネル24の表側へ回動できるようになっている。
図2に示されるように、モジュールケース16は、インストルメントパネル24の表側に向けて開口された開口部34を有する箱状に形成されており、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14の裏側に設けられている。インストルメントパネル24の裏面には、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14を囲むように枠状のリテーナ36が突出して形成されており、モジュールケース16は、このリテーナ36の内側に差し込まれた状態でリテーナ36に固定されている。
このモジュールケース16の開口部34は、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14によって塞がれており、このモジュールケース16の底部38は、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14の裏側にこれらと離間対向して配置されている。
エアバッグ18は、モジュールケース16の内側に折畳状態で収納されている。なお、この場合、エアバッグ18は、種々の折畳形態でモジュールケース16の内側に収納されることが可能である。このエアバッグ18は、後に詳述する如く、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14を開放してインストルメントパネル24の表側(助手席の乗員側)へ膨張展開される構成とされている。
インフレータ20は、円柱状の本体部40と、本体部40の軸方向中央部に環状に形成されたフランジ部42とを有している。本体部40は、車両側面視にてその中心軸の延長線上に上述の横破断予定部28が位置されるように、モジュールケース16の底部38に配置されている。この本体部40の上部は、周方向に複数のガス噴出孔44が並んで形成されたガス噴出部46として構成されており、後述するインナバッグ22の基端部54の内側に配置されている。
そして、このインフレータ20は、車両の前面衝突時に図示しないECUから出力された作動信号が入力されると、ガス噴出部46からガスを噴出する構成とされている。なお、この場合の車両の前面衝突時とは、車両に実際に前面衝突が生じた場合の他に、車両に前面衝突が生じることが予知された場合も含まれる。
フランジ部42は、モジュールケース16の底部38の上面に当接されている。また、このフランジ部42に対する底部38と反対側には、環状のリテーナ48が設けられている。リテーナ48には、底部38側に突出する複数のスタッドボルト50が周方向に並んで設けられており、このスタッドボルト50は、フランジ部42及び底部38を貫通している。また、このスタッドボルト50の先端には、ナット52が締結されており、これにより、フランジ部42、ひいては、インフレータ20の全体が底部38に固定されている。
インナバッグ22は、図4,図5に示されるように、エアバッグ18の内側に配置されている。このインナバッグ22の基端部54は、上述のリテーナ48とフランジ部42との間に挟持されており、これにより、底部38に固定されている。一方、インナバッグ22の先端部56は、図6に示されるように、車両幅方向に長手状に形成されており、基端部54に対して車両幅方向両側に突出されている。
この先端部56の長手方向両端側は、ダクト部58として構成されており、このダクト部58の先端には、ガス供給孔60が形成されている。このガス供給孔60は、先端部56が膨張された状態では、先端部56の長手方向外側且つ車両上下方向上側に向けて開口されるように形成されている。
さらに、図2に示されるように、車両側面視にてガス噴出部46の中心Cと横破断予定部28とを結ぶ線を仮想線Lとした場合に、インナバッグ22は、図5に示されるように、この仮想線Lに対して先端部56の中心線CLが車両前後方向前側に位置されると共に、ガス供給孔60が仮想線Lよりも車両前後方向前側に位置されるように膨張される構成とされている。
なお、このインナバッグ22は、より詳細には、図6に示す外形形状の二枚の基布を重ね合わせ、ダクト部58の先端を除く外周縁部を縫製することで袋状とされている。そして、この縫製されていない二枚の基布の間の部分によってガス供給孔60が形成されている。
次に、本発明の第一実施形態における助手席用エアバッグ装置10の動作と併せて、その作用及び効果について説明する。
この助手席用エアバッグ装置10では、車両の前面衝突時に、図2に示されるインフレータ20のガス噴出部46からガスが噴出されると、このガスによってインナバッグ22が膨張される。また、インナバッグ22が膨張されながら、このインナバッグ22からエアバッグ18にガスが供給され、エアバッグ18が前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14を開放してインストルメントパネル24の表側へ膨張展開される。
ここで、このようにしてエアバッグ18が膨張展開されるときには、このエアバッグ18の形態がインナバッグ22によって次の如く制御される。
すなわち、図4に示されるように、インナバッグ22の膨張途中の状態では、先端部56の長手方向両端部に形成されると共に、この先端部56の長手方向外側且つ車両上下方向上側に向けて開口されたガス供給孔60からガスが供給されることにより、エアバッグ18の車両幅方向両側部の膨張圧が増加される。
そして、このときには、図3に示されるように、エアバッグ18の膨張圧によって一対の縦破断予定部26(図1参照)が破断されることにより、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14の車両幅方向両側に初期膨出口62が形成される(このときのエアバッグ18の形態が膨張初期形態に相当する)。従って、エアバッグ18は、この初期膨出口62を通じて前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14の車両幅方向両側に膨出される。
次いで、図5に示されるように、インナバッグ22の膨張が進行し、インナバッグ22が膨張されたときには、上述の膨張途中の状態に対して、先端部56の中心線CLが上述の仮想線Lに対して車両前後方向前側に位置され、これにより、ガス供給孔60が仮想線Lよりも車両前後方向前側に位置される。従って、このときには、このガス供給孔60からガスが供給されることにより、エアバッグ18の車両前後方向前側部の膨張圧が増加される。
そして、このときには、エアバッグ18の膨張圧によって前側エアバッグドア12が開放される(このときのエアバッグ18の形態が膨張中期形態に相当する)。これにより、インストルメントパネル24に中期膨出口64が形成されるので、エアバッグ18は、この中期膨出口64を通じて乗員P側へ膨出される(図6も参照)。
このように、この助手席用エアバッグ装置10によれば、エアバッグ18は、先ず、縦破断予定部26が破断されることで形成された初期膨出口62を通じて車両幅方向両側に膨出され(図3,図4参照)、その後、前側エアバッグドア12が開放されることにより形成された中期膨出口64を通じて乗員P側へ膨出される(図5,図6参照)。従って、車両の前面衝突時に、助手席の乗員Pがインストルメントパネル24に対して近接状態にある場合でも、この乗員Pに対するエアバッグ18の反力を抑制しつつ、この乗員Pをエアバッグ18によって車両幅方向両側から拘束することができる。
しかも、エアバッグ18が膨張中期形態とされているときには、図5に示されるように、後側エアバッグドア14が閉じた状態に維持される(つまり、換言すれば、エアバッグ18が膨張後期形態になることにより後側エアバッグドア14が開放される)。従って、車両の前面衝突時に、助手席の乗員Pがインストルメントパネル24に対して近接状態にある場合でも、膨張するエアバッグ18が乗員Pの顎の下側に回り込むことも抑制することができる。
この結果、助手席の乗員Pがインストルメントパネル24に対して近接状態にある場合でも、乗員Pをエアバッグ18によって適切に拘束することができる。
次に、本発明の第一実施形態の変形例について説明する。
本発明の第一実施形態において、一対の縦破断予定部26は、図1に示されるように、横破断予定部28とでH形を成すように形成されていたが、図7に示されるように、横破断予定部28とで二つのY形を組み合わせた形を成すように、その車両前後方向中央部が横破断予定部28の長手方向中央部側へ屈曲して形成されていても良い。
なお、この変形例では、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14に加えて、一対の横エアバッグドア66がインストルメントパネル24に形成されている。また、ヒンジ部30,32の車両幅方向両端部は、ヒンジ部68によってそれぞれ連結されている。そして、横エアバッグドア66は、エアバッグ18(図3参照)が膨張初期形態とされて縦破断予定部26が破断されたときに、ヒンジ部68を起点にしてインストルメントパネル24の表側へ回動されるようになっている。
このように構成されていても、上述の本発明の第一実施形態と同様に動作できると共に、これと同様の作用効果を奏することができる。
また、本発明の第一実施形態では、図2に示されるように、インストルメントパネル24の法線方向を軸方向とするインフレータ20が用いられていたが、図8に示されるように、車両幅方向を軸方向とするインフレータ70が用いられていても良い。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図9,図10に示されるように、本発明の第二実施形態に係る助手席用エアバッグ装置80は、上述のインナバッグ22(図2,図3参照)の代わりに、インナバッグ82を備えている。なお、本発明の第二実施形態において、インナバッグ82以外の構成は、上述の本発明の第一実施形態と同一であり、その構成については、本発明の第一実施形態と同一の符合で示してある。
インナバッグ82は、図11,図12に示されるように、エアバッグ18の内側に配置されている。このインナバッグ82の基端部84は、上述のリテーナ48とフランジ部42との間に挟持されており、これにより、モジュールケース16の底部38に固定されている。一方、インナバッグ82の先端部86は、図13に示されるように、車両幅方向に長手状に形成されており、基端部84に対して車両幅方向両側に突出されている。
この先端部86の長手方向両端部には、ガス供給孔90が形成されている。このガス供給孔90は、先端部86が膨張された状態では、図12,図13に示されるように、車両前後方向前側且つ車両上下方向上側に向けて開口されるように形成されている。
さらに、図12に示されるように、インナバッグ82は、ガス供給孔90が仮想線Lよりも車両前後方向前側に位置されるように膨張される構成とされている。
なお、このインナバッグ82は、より詳細には、図13に示す外形形状の二枚の基布を重ね合わせて、その外周縁部を縫製することで袋状とされている。また、インナバッグ82における車両前側の基布には、車両幅方向両側に突出した左右の端部にガス供給孔90が形成されている。
次に、本発明の第二実施形態における助手席用エアバッグ装置80の動作と併せて、その作用及び効果について説明する。
この助手席用エアバッグ装置80では、車両の前面衝突時に、図9に示されるインフレータ20のガス噴出部46からガスが噴出されると、このガスによってインナバッグ82が膨張される。また、インナバッグ82が膨張されながら、このインナバッグ82からエアバッグ18にガスが供給され、エアバッグ18が前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14を開放してインストルメントパネル24の表側へ膨張展開される。
ここで、このようにしてエアバッグ18が膨張展開されるときには、このエアバッグ18の形態がインナバッグ82によって次の如く制御される。
すなわち、図11に示されるように、インナバッグ82の膨張途中の状態では、先端部86の長手方向両端部に形成されたガス供給孔90からガスが供給されることにより、エアバッグ18の車両幅方向両側部の膨張圧が増加される。
そして、このときには、図10に示されるように、エアバッグ18の膨張圧によって一対の縦破断予定部26(図1参照)が破断されることにより、前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14の車両幅方向両側に初期膨出口62が形成される(このときのエアバッグ18の形態が膨張初期形態に相当する)。従って、エアバッグ18は、この初期膨出口62を通じて前側エアバッグドア12及び後側エアバッグドア14の車両幅方向両側に膨出される。
次いで、図12に示されるように、インナバッグ82の膨張が進行すると、先端部86が仮想線Lに沿って上昇される。そして、インナバッグ82が膨張されたときには、上述の膨張途中の状態に対して、先端部86が車両上下方向上側に位置される。また、このときには、車両前後方向前側且つ車両上下方向上側に向けて開口されたガス供給孔90からガスが供給されることにより、エアバッグ18の車両前後方向前側部の膨張圧が増加される。
そして、このときには、エアバッグ18の膨張圧によって前側エアバッグドア12が開放される(このときのエアバッグ18の形態が膨張中期形態に相当する)。これにより、インストルメントパネル24に中期膨出口64が形成されるので、エアバッグ18は、この中期膨出口64を通じて乗員P側へ膨出される(図13も参照)。
このように、この助手席用エアバッグ装置80によれば、エアバッグ18は、先ず、縦破断予定部26が破断されることで形成された初期膨出口62を通じて車両幅方向両側に膨出され(図10,図11参照)、その後、前側エアバッグドア12が開放されることにより形成された中期膨出口64を通じて乗員P側へ膨出される(図12,図13参照)。従って、車両の前面衝突時に、助手席の乗員Pがインストルメントパネル24に対して近接状態にある場合でも、この乗員Pに対するエアバッグ18の反力を抑制しつつ、この乗員Pをエアバッグ18によって車両幅方向両側から拘束することができる。
しかも、エアバッグ18が膨張中期形態とされているときには、図12に示されるように、後側エアバッグドア14が閉じた状態に維持される(つまり、換言すれば、エアバッグ18が膨張後期形態になることにより後側エアバッグドア14が開放される)。従って、車両の前面衝突時に、助手席の乗員Pがインストルメントパネル24に対して近接状態にある場合でも、膨張するエアバッグ18が乗員Pの顎の下側に回り込むことも抑制することができる。
この結果、助手席の乗員Pがインストルメントパネル24に対して近接状態にある場合でも、乗員Pをエアバッグ18によって適切に拘束することができる。
なお、この本発明の第二実施形態においても、上述の本発明の第一実施形態における変形例(図7,図8参照)と同様の変形例を取り得ることが可能である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
10,80 助手席用エアバッグ装置
12 前側エアバッグドア
14 後側エアバッグドア
18 エアバッグ
20,70インフレータ
22,82 インナバッグ
24 インストルメントパネル
26 縦破断予定部
28 横破断予定部
46 ガス噴出部
54,84 基端部
56,86 先端部
60,90 ガス供給孔
62 初期膨出口
64 中期膨出口
L 仮想線

Claims (4)

  1. インストルメントパネルにおける助手席の車両前後方向前側の部位に、それぞれ車両前後方向に延びると共に互いに車両幅方向に並んで形成された一対の縦破断予定部と、車両幅方向に延びて前記一対の縦破断予定部における車両前後方向中間部を連結する横破断予定部とによって区画形成された前側エアバッグドア及び後側エアバッグドアと、
    前記前側エアバッグドア及び前記後側エアバッグドアの裏側に折畳状態で設けられ、前記前側エアバッグドア及び前記後側エアバッグドアを開放して前記インストルメントパネルの表側へ膨張展開されるエアバッグと、
    車両の前面衝突時にガスを噴出するインフレータと、
    前記エアバッグの内側に設けられ、前記インフレータから噴出されたガスによって膨張されながら前記ガスを前記エアバッグに供給して前記エアバッグを膨張展開させ、且つ、前記エアバッグを膨張展開させるときに、前記エアバッグがその膨張圧により前記一対の縦破断予定部を破断させる膨張初期形態から前記前側エアバッグドアを開放させる膨張中期形態に変化されるように、前記エアバッグの形態を制御するインナバッグと、
    を備えた助手席用エアバッグ装置。
  2. 前記インフレータは、前記インナバッグの基端部の内側に配置されて、前記ガスを噴出するガス噴出部を有し、
    前記インナバッグは、車両幅方向に長手状に形成されると共に、その長手方向両端部に前記ガス噴出部から噴出されたガスを前記エアバッグに供給するためのガス供給孔が形成された先端部を有し、前記ガス供給孔が車両側面視にて前記ガス噴出部の中心と前記横破断予定部とを結ぶ仮想線よりも車両前後方向前側に位置されるように膨張される構成とされている、
    請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。
  3. 前記インナバッグは、前記先端部の中心が前記仮想線に対して車両前後方向前側に位置されると共に、前記ガス供給孔が前記先端部の長手方向外側且つ車両上下方向上側に向けて開口されるように膨張される構成とされている、
    請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置。
  4. 前記インナバッグは、前記先端部が前記仮想線上に位置されると共に、前記ガス供給孔が車両前後方向前側且つ車両上下方向上側に向けて開口されるように膨張される構成とされている、
    請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置。
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