JP2012004481A - 電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】陽(陰)極端子と封止部材との封止性が確保される電解コンデンサを提供する。
【解決手段】電解コンデンサでは、第1(2)陽極リードタブ端子11(12)の2本のリード線16cを1本の共通リード線16dに束ねた共通陽極リードタブ端子17が形成され、第1(2)陰極リードタブ端子14(15)の2本のリード線16cを1本の共通リード線16dに束ねた共通陰極リード端部端子18が形成される。その共通陽(陰)極リードタブ端子17(18)の共通リード線16d(16d)が、封止ゴム22の開口部22a(22b)に挿通されている。
【選択図】図13
【解決手段】電解コンデンサでは、第1(2)陽極リードタブ端子11(12)の2本のリード線16cを1本の共通リード線16dに束ねた共通陽極リードタブ端子17が形成され、第1(2)陰極リードタブ端子14(15)の2本のリード線16cを1本の共通リード線16dに束ねた共通陰極リード端部端子18が形成される。その共通陽(陰)極リードタブ端子17(18)の共通リード線16d(16d)が、封止ゴム22の開口部22a(22b)に挿通されている。
【選択図】図13
Description
本発明は電解コンデンサに関し、特に、陽極箔および陰極箔等を巻回した電解コンデンサに関するものである。
電解コンデンサの一形態に、陽極箔と陰極箔とをセパレータ紙を介在させて巻き取ることにより形成された巻回式の電解コンデンサがある。そのような電解コンデンサとして、従来、2端子(陽極1端子+陰極1端子)構造の電解コンデンサが知られている。その電解コンデンサには、等価インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)と称されるインダクタンス成分がある。ESLは周波数が高くなるにしたがって大きくなり、電解コンデンサはコンデンサとしての機能を発揮できなくなる。
このため、高周波領域で使用される電解コンデンサには、より低いESLが求められることになる。また、電解コンデンサには、等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)と称される抵抗成分があり、より低いESRが求められる。ESRとESLを低減させるために、たとえば、特許文献1および特許文献2に開示されているように、4端子(陽極2端子+陰極2端子)構造のように、マルチ端子構造の電解コンデンサの開発が進められている。
しかしながら、マルチ端子構造の電解コンデンサでは次のような問題点があった。特許文献1に提案されている4端子構造の電解コンデンサでは、帯状の陽(陰)極箔の所定の位置に2本の陽(陰)極リードタブ端子が接続されて、陽(陰)極箔の一端側から巻回される。陽(陰)極箔の一端側から巻回する場合には、陽(陰)極箔が巻き取られるにしたがって、すでに巻き取られた部分の上にさらに陽(陰)極箔が巻き取られることになる。
このため、コンデンサ素子として巻き取られた後では、陽(陰)極リードタブ端子のリード線間のピッチが広がってしまい、コンデンサ素子を封止する封止ゴムを陽(陰)極リードタブ端子に装着させる際に、陽(陰)極リード端子の位置と封止ゴムに形成された開口部の位置とがずれてしまうことがあった。その結果、陽(陰)極リードタブ端子と封止ゴムの開口部との密着性が弱く、封止性が損なわれることがあった。
また、特許文献2では、2本の陽(陰)極リードタブ端子を1本のリード線にまとめた構造とすることで、陽(陰)極リードタブ端子と封止ゴムの開口部との位置合わせは、比較的良好に行われることになる。ところが、この電解コンデンサでは、陽(陰)極リードタブ端子のうちのボス部が封止ゴムの開口部に挿通されることになる。陽(陰)極リードタブ端子では、所定の径の線材にプレス加工を施すことによって、陽(陰)極箔に直接接続される平板部が形成され、線材として実質的に残された部分がボス部となる。
そのボス部では、リード線が溶接されている接続されている部分が、リード線に向かって徐々に細くなっている。そのような形状のボス部が封止ゴムの開口部に挿通されるため、ケース内にコンデンサ素子を封止する際に、陽(陰)極リードタブ端子の開口部への挿通具合によっては、ボス部と封止ゴムとの密着性にばらつきが生じやすく、結局、封止性が損なわれることがあった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、陽(陰)極端子と封止部材との封止性が確保される電解コンデンサを提供することである。
本発明に係る電解コンデンサは、コンデンサ素子と有底のケースと封止部材とを備えている。コンデンサ素子は、第1陽極端子および第2陽極端子の少なくとも2つの陽極端子がそれぞれ所定の位置に接続された陽極箔と、少なくとも1つの陰極端子が所定の位置に接続された陰極箔とを巻回することによって形成され、第1陽極端子と第2陽極端子が互いに接続されて1つの共通陽極端子とされている。有底のケースは、一方に底を有し他方に開口端を有し、開口端側から共通陽極端子および陰極端子を端子を突出させる態様でコンデンサ素子を収容する。封止部材は、共通陽極端子を挿通させる第1開口部および陰極端子を挿通させる第2開口部を有し、ケースの開口端を塞ぐように装着されて、ケース内に収容されたコンデンサ素子を封止する。共通陽極端子では、第1開口部に挿通されている部分の断面形状が第1開口部を通じて同じ形状に形成されている。また、陰極端子では、第2開口部に挿通されている部分の断面形状が第2開口部を通じて同じ形状に形成されている。
本発明に係る電解コンデンサによれば、まず、第1陽極端子と第2陽極端子が互いに接続されて1つの共通陽極端子とされている。これにより、共通陽極端子と陰極端子とで両者のピッチを容易に合わせることができ、共通陽極端子および陰極端子と、封止部材の第1開口部および第2開口部との位置ずれを抑制することができる。また、共通陽極端子では、第1開口部に挿通されている部分の断面形状が第1開口部を通じて同じ形状に形成され、陰極端子では、第2開口部に挿通されている部分の断面形状が第2開口部を通じて同じ形状に形成されている。これにより、共通陽極端子および陰極端子と封止部材との密着性が向上する。これらの結果、陽極端子および陰極端子と封止部材との封止性を大幅に向上させることができる。
電解コンデンサとして4端子構造の電解コンデンサの場合には、陰極端子は、第1陰極端子および第2陰極端子を含み、その第1陰極端子と第2陰極端子が互いに接続されて1つの共通陰極端子とされ、第2開口部には共通陰極端子が挿通されることが好ましい。
また、この場合、陽極端子および陰極端子のそれぞれは、所定の径を有するリード線と、陽極箔または陰極箔に接続される平板部と、平板部の一端に設けられ、リード線が接続されるボス部とを含み、共通陽極端子では、第1陽極端子のリード線としての第1陽極リード線と第2陽極端子のリード線としての第2陽極リード線とが接続されて1つの共通陽極リード線とされ、共通陰極端子では、第1陰極端子のリード線としての第1陰極リード線と第2陰極端子のリード線としての第2陰極リード線とが接続されて1つの共通陰極リード線とされ、第1開口部には共通陽極リード線が挿通され、第2開口部には共通陰極リード線が挿通されていることが好ましい。
さらに、この場合には、第1陽極端子と第2陽極端子が互いに接続されている部分と、第1陰極端子と第2陰極端子が互いに接続されている部分とは、封止部材の内側に位置することが好ましい。
一方、電解コンデンサとして3端子構造の電解コンデンサの場合には、陽極端子および陰極端子のそれぞれは、所定の径を有するリード線と、陽極箔または陰極箔に接続される平板部と、平板部の一端に設けられ、リード線が接続されるボス部とを含み、共通陽極端子では、第1陽極端子のリード線としての第1リード線と第2陽極端子のリード線としての第2リード線とが接続されて1つの共通リード線とされ、第1開口部には共通陽極端子の共通リード線が挿通され、第2開口部には陰極端子のリード線が挿通されることが好ましい。
また、この場合には、第1陽極端子と第2陽極端子が互いに接続されている部分は、封止部材の内側に位置することが好ましい。
本発明の実施の形態に係る電解コンデンサの一例として、4端子構造の電解コンデンサについて説明する。はじめに、その製造方法について説明する。図1に示すように、帯状の陽極箔3の長手方向のそれぞれ所定の位置に、第1陽極リードタブ端子11と第2陽極リードタブ端子12とが接続される。陽極箔3には、所定のエッチング処理と化成処理が施されている。同様に、帯状の陰極箔4の長手方向のそれぞれ所定の位置に、第1陰極リードタブ端子14と第2陰極リードタブ端子15とが接続される。
次に、陽極箔3と陰極箔4との間に一方のセパレータ紙5を挟み込むとともに、一方のセパレータ紙5と他方のセパレータ紙6との間に陽極箔3を挟み込む態様で、陽極箔3、陰極箔4、セパレータ紙5,6が配置される。次に、配置された陽極箔3、陰極箔4およびセパレータ紙5,6の一端側を、矢印51に示すように、所定の巻芯(図示せず)にて挟み込む。次に、その状態で、矢印52に示すように、右回り(時計回り)に回転させる。図2に示すように、陽極箔3および陰極箔4等が一端側から順次巻き取り、最終的に他端側まで巻き取ることによって、図3に示すように、コンデンサ素子2が形成される。
次に、コンデンサ素子2に対して、陽極箔等の切断面等に化成処理が施され、さらに、温度150℃〜300℃程度の熱処理が施される。次に、重合により導電性高分子となるモノマーとして、たとえば、3,4−エチレンジオキシチオフェンと、酸化剤溶液として、たとえば、p−トルエンスルホン酸第二鉄アルコール溶液との混合溶液をコンデンサ素子2に含浸させる。その後、熱化学重合させることにより、コンデンサ素子2の両極間に導電性高分子層(図示せず)が形成される。なお、電解質としては、この他に、たとえば、ポリピロール、ポリフラン、または、ポリアニリン等の導電性高分子材料、あるいは、TCNQ錯塩(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)を用いてもよい。こうして、図4に示すように、化成処理が施されたコンデンサ素子2が形成される。
次に、図4に示される、第1陽極リードタブ端子11(リードタブ端子16)のリード線16cと第2陽極リードタブ端子12(リードタブ端子16)のリード線16cとの2本のリード線16cを、1本のリード線にまとめる加工が施される。図5に示すように、第1(2)陽極リードタブ端子11(12)のリード線16cがボス部16aに溶接されている部分において、一方のリード線16cを他方のリード線16cが溶接されている部分に向かって折り曲げ加工し、さらに、2本のリード線16cが接触するように所定の位置において、2本のリード線16cを上方に向かって折り曲げ加工する。なお、リードタブ端子の構造については後述する。
次に、図6に示すように、2本のリード線16cを束ねるようにして接合し、1本のリード線16dを有する共通陽極リードタブ端子17を形成する。たとえば、2本のリード線16c、16cをプレス加工を施すことにより1本の共通リード線16dに成形し、必要に応じてろう付けする。ここで、2本のリード線16c、16cを束ねて一本とした共通リード線16dの断面形状は、後述するように、封止ゴムとの封止性を確保するために、開口部20a,20bを通じて同じ形状であることが好ましく、円形がより好ましい。
次に、同じ要領で、第1陰極リードタブ端子14のリード線16cと第2陰極リードタブ端子15のリード線16c(図3参照)についても一本の共通リード線16dに束ねられる。こうして、図7に示すように、第1陽極リードタブ端子のリード線と第2陽極リードタブ端子のリード線とが、一本の共通リード線16dに束ねられた共通陽極リードタブ端子17が形成される。また、第1陰極リードタブ端子のリード線と第2陰極リードタブ端子のリード線とが、一本の共通リード線16dに束ねられた共通陰極リードタブ端子18が形成される。
次に、図8に示すように、コンデンサ素子2に封止ゴム22が装着される。封止ゴム22には、それぞれ所定の位置に開口部22aと開口部22bが形成されている。開口部22aには共通陽極リードタブ端子17の共通リード線16dが挿通され、開口部22bには共通陰極リードタブ端子18の共通リード線16dが挿通される。封止ゴム22が装着された状態では、リード線16c同士が接続された部分は、封止ゴム22の内側に位置することになる(図9参照)。
次に、コンデンサ素子2は、所定の大きさの有底のアルミニウムケース20(図9参照)に収納される。次に、アルミニウムケース20の開口端側が横絞りとカールによって封止されて、所定のエージング処理を施すことにより、図9に示すように、電解コンデンサ1が完成する。
上述した電解コンデンサでは、第1(2)陽極リードタブ端子11(12)の2本のリード線16cを1本の共通リード線16dに束ねた共通陽極リードタブ端子17が形成され、第1(2)陰極リードタブ端子14(15)の2本のリード線16cを1本の共通リード線16dに束ねた共通陰極リード端部端子18が形成される。その共通陽(陰)極リードタブ端子17(18)の共通リード線16d(16d)を、封止ゴム22の開口部22a(22b)に挿通させることで、共通陽(陰)極リードタブ端子17(18)と封止ゴムとの密着性が確保されて封止性を向上させることができる。このことについて、比較例との関係で説明する。
まず、陽極箔または陰極箔に接続されるリードタブ端子の構造について説明する。図10に示すように、比較例に係る電解コンデンサのリードタブ端子116は、リード線116c、ボス部116aおよび平板部116bを備えている。平板部116bは、たとえば、アルミニウム線等の所定の径の線材にプレス加工を施すことによって形成されている。平板部116bが陽(陰)極箔に直接接続される部分となる。ボス部116aは、線材として実質的に残された部分であり、平板部116bの一端側において厚みが厚くなる部分からリード線116aが溶接されている部分までを含む。リード線116cが溶接されている部分では、リード線116cに向かって徐々に細くなっている。リード線116cの表面には、銀(Ag)、スズ(Sn)等のメッキ層が形成されている。
陽(陰)極端子としてのリードタブ端子116が陽(陰)極箔の所定の位置に接続され、そして、巻回することによって形成された電解コンデンサでは、図11に示すように、封止ゴム122の開口部122aには、ボス部116aが挿通されることになる。上述したように、ボス部116aでは、リード線116cが溶接されている部分が、リード線116cに向かって徐々に細くなっている。このため、アルミニウムケース120にカールの横絞り加工をする際に、ボス部116aの開口部122aへの挿通具合によっては、ボス部116aと封止ゴム122との密着性にばらつきが生じやすく、封止性が損なわれることが十分に想定される。
また、合計4本の陽(陰)極リードタブ端子(リードタブ端子116)が接続された陽(陰)極箔を一端側から巻き取ることによって形成されたコンデンサ素子では、陽(陰)極リードタブ端子のリード線間のピッチが広がってしまい、封止ゴムを陽(陰)極リード端子に装着させる際に、陽(陰)極リードタブ端子(リードタブ端子116)の位置と封止ゴム122の開口部122aの位置とがずれてしまうことによっても、封止性が悪化することが想定される。
比較例に係る電解コンデンサに対して、本実施の形態に係る電解コンデンサでは、第1(2)陽極リードタブ端子11(12)となるリードタブ端子16は、図12に示すように、リード線16c、ボス部16aおよび平板部16bを備えている。平板部16bの一端側において厚みが厚くなる部分からリード線16aが溶接されている部分までを含むボス部16aでは、線材として実質的に残される部分は、比較例に係るリードタブ端子116のボス部116a(図10参照)よりも短く、その分、リード線16cがより長く形成されている。なお、リードタブ端子の部品として、リード線16cの表面にはメッキ層は形成されておらず、リード線16c同士を束ねた後にメッキ層が形成されることになる。
そのような第1(2)陽極リードタブ端子11(12)の2本のリード線16cを1本の共通リード線16dに束ねて共通陽極リードタブ端子17を形成し、第1(2)陰極リードタブ端子14(15)の2本のリード線16cについても一本の共通リード線16dに束ねて共通陰極リードタブ端子18を形成することで、共通陽(陰)極リードタブ端子17,18の共通リード線16d間のピッチを容易に合わせることができ、共通陽(陰)極リードタブ端子17(18)の共通リード線16dと封止ゴム22の開口部22a(22b)との位置ずれを抑制することができる。これにより、共通陽(陰)極リードタブ端子17(18)と封止ゴム22との封止性を向上させることができる。
さらに、図13に示すように、本電解コンデンサ1では、封止ゴム22の開口部22a(22b)に共通陽(陰)極リードタブ端子17(18)のリード線16dが挿通される。しかも、共通リード線16dでは、開口部22a(22b)を通じて直径が一定とされる。これにより、アルミニウムケース20にカールの横絞り加工をする際に、共通リード線16dの開口部22a(22b)への挿通具合による影響を受けにくく、共通リード線16dと封止ゴム22との封止性をさらに向上させることができる。また、封止ゴム22に接触する、共通リード線16dの部分に微細な凹凸加工をあらかじめ施しておくことにより、両者の密着性がより向上し、封止性をさらに向上させることが期待される。
なお、2本のリード線16cを1本の共通リード線16dにする束ね方としては、上述した束ね方の他に、たとえば、図14に示すように、一方のリード線16cを、他方のリード線16cがボス部16aに溶接されている部分の近傍に接続させるようにしてもよい。また、リードタブ端子としては、比較例に係る電解コンデンサのリードタブ端子116を用いてもよく、この場合には、ボス部116aの全体を封止ゴム122の内側に配置して、リード線116cが開口部122a,122bに挿通されるようにすればよい(図10および図11参照)。
変形例
上述した電解コンデンサでは、4端子構造の電解コンデンサを例に挙げて説明したが、3端子構造の電解コンデンサに対しても適用が可能である。3端子構造の電解コンデンサでは、2本の陽極リードタブ端子が陽極箔に接続され、1本の陰極リードタブ端子が陰極箔に接続される。この場合には、図15に示すように、2本の陽極リードタブ端子のリード線を1本の共通リード線16dに束ねた共通陽極リードタブ端子17が形成されることになる。
上述した電解コンデンサでは、4端子構造の電解コンデンサを例に挙げて説明したが、3端子構造の電解コンデンサに対しても適用が可能である。3端子構造の電解コンデンサでは、2本の陽極リードタブ端子が陽極箔に接続され、1本の陰極リードタブ端子が陰極箔に接続される。この場合には、図15に示すように、2本の陽極リードタブ端子のリード線を1本の共通リード線16dに束ねた共通陽極リードタブ端子17が形成されることになる。
1本の共通リード線16dとすることで、図16に示すように、共通陽極リードタブ端子17の共通リード線16dと陰極リードタブ端子13のリード線16cとのピッチを容易に合わせることができ、共通リード線16dおよびリード線16cと、封止ゴム22の開口部22a、22bとの位置ずれを抑制することができる。これにより、共通陽極リードタブ端子17および陰極リードタブ端子13と封止ゴム22との封止性を向上させることができる。また、4端子構造の電解コンデンサと同様に、共通リード線16dでは、開口部22aを通じて径が一定とされることで、共通リード線16dと封止ゴム22との封止性をさらに向上させることができる。
次に、発明者が行った封止ゴムの装着性と電気的特性に関する評価について説明する。まず、陽極箔と陰極箔とを用意した。陽極箔として、所定のエッチング処理と化成処理を施したアルミニウム箔を用いた。その陽極箔に2本の陽極リードタブ端子をそれぞれ所定の位置に接続し、陰極箔に2本の陰極リードタブ端子をそれぞれ所定の位置に接続した。次に、2本の陽(陰)極リードタブ端子のリード線を接合させて1本の共通リード線を有する共通陽(陰)極リードタブ端子を備えたコンデンサ素子を形成した。
次に、そのコンデンサ素子に、切り口化成処理と、温度150℃〜300℃程度の熱処理を施した。次に、重合により導電性高分子となるモノマーとして、たとえば、3,4−エチレンジオキシチオフェンと、酸化剤溶液として、たとえば、p−トルエンスルホン酸第二鉄アルコール溶液との混合溶液をコンデンサ素子2に含浸させた。その後、熱化学重合させることにより、コンデンサ素子の両極間に導電性高分子層を形成した。次に、コンデンサ素子に封止ゴムを装着して、アルミニウムケースに収納した。そして、アルミニウムケースの開口端を横絞りとカールにより封止し、所定のエージング処理を施すことによって電解コンデンサを形成した。一方、比較例として、4端子構造の電解コンデンサを従来の手法により作製した。
発明者は、本発明に係る電解コンデンサと比較例に係る電解コンデンサとをそれぞれ300個作製し、封止ゴムをコンデンサ素子に装着させる際に、良好に装着させることができたか否かについて評価を行った。その結果を表1に示す。表1に示すように、本発明に係る電解コンデンサでは、作製した300個の電解コンデンサのすべてについて、装着不良は発生せず、封止ゴムをコンデンサ素子に良好に装着させることができることが実証された。一方、比較例に係る電解コンデンサでは、300個作製した電解コンデンサのうち、20個の電解コンデンサについて装着不良が発生した。
また、発明者は、電気的特性として、電解コンデンサの容量と等価直列抵抗(ESR)を測定した。容量は周波数120Hzの条件下で測定し、ESRは、周波数100kHzの条件下で測定した。その結果を表2に示す。表2に示すように、本発明に係る電解コンデンサでは、電解コンデンサの容量および等価直列抵抗とも、従来の4端子構造の電解コンデンサ(比較例)と同レベルであり、電気的特性は損なわれないことが実証された。
以上説明したように、本電解コンデンサでは、従来の電解コンデンサと同レベルの電気的特性を確保しながら、陽(陰)極リードタブ端子と封止ゴムとの位置合わせおよび封止性を大幅に向上できるが実証された。なお、電解コンデンサとしては、3端子構造および4端子構造のほかに、5端子以上のマルチ端子構造にも適用することが可能である。
今回開示された実施の形態および実施例は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、陽極箔と陰極箔とを巻回する電解コンデンサに有効に利用される。
1 電解コンデンサ、2 コンデンサ素子、3 陽極箔、4 陰極箔、5 セパレータ紙、6 セパレータ紙、11 第1陽極リードタブ端子、12 第2陽極リードタブ端子、13 陰極リードタブ端子、14 第1陰極リードタブ端子、15 第2陰極リードタブ端子、16 リードタブ端子、16a ボス部、16b 平板部、16c リード線、16d 共通リード線、17 共通陽極リードタブ端子、18 共通陰極リードタブ端子、20 アルミニウムケース、22 封止用ゴム、22a 開口部、22b 開口部、51,52 矢印。
Claims (6)
- 第1陽極端子および第2陽極端子の少なくとも2つの陽極端子がそれぞれ所定の位置に接続された陽極箔と、少なくとも1つの陰極端子が所定の位置に接続された陰極箔とを巻回することによって形成され、前記第1陽極端子と前記第2陽極端子が互いに接続されて1つの共通陽極端子とされたコンデンサ素子と、
一方に底を有し他方に開口端を有し、前記開口端側から前記共通陽極端子および前記陰極端子を端子を突出させる態様で前記コンデンサ素子を収容する有底のケースと、
前記共通陽極端子を挿通させる第1開口部および前記陰極端子を挿通させる第2開口部を有し、前記ケースの前記開口端を塞ぐように装着されて、前記ケース内に収容された前記コンデンサ素子を封止する封止部材と
を備え、
前記共通陽極端子では、前記第1開口部に挿通されている部分の断面形状が前記第1開口部を通じて同じ形状に形成され、
前記陰極端子では、前記第2開口部に挿通されている部分の断面形状が前記第2開口部を通じて同じ形状に形成された、電解コンデンサ。 - 前記陰極端子は、第1陰極端子および第2陰極端子を含み、
前記第1陰極端子と前記第2陰極端子が互いに接続されて1つの共通陰極端子とされ、
前記第2開口部には前記共通陰極端子が挿通された、請求項1記載の電解コンデンサ。 - 前記陽極端子および前記陰極端子のそれぞれは、
所定の径を有するリード線と、
前記陽極箔または前記陰極箔に接続される平板部と、
前記平板部の一端に設けられ、前記リード線が接続されるボス部と
を含み、
前記共通陽極端子では、前記第1陽極端子の前記リード線としての第1陽極リード線と前記第2陽極端子の前記リード線としての第2陽極リード線とが接続されて1つの共通陽極リード線とされ、
前記共通陰極端子では、前記第1陰極端子の前記リード線としての第1陰極リード線と前記第2陰極端子の前記リード線としての第2陰極リード線とが接続されて1つの共通陰極リード線とされ、
前記第1開口部には前記共通陽極リード線が挿通され、前記第2開口部には前記共通陰極リード線が挿通された、請求項2記載の電解コンデンサ。 - 前記第1陽極端子と前記第2陽極端子が互いに接続されている部分と、前記第1陰極端子と前記第2陰極端子が互いに接続されている部分とは、前記封止部材の内側に位置する、請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ。
- 前記陽極端子および前記陰極端子のそれぞれは、
所定の径を有するリード線と、
前記陽極箔または前記陰極箔に接続される平板部と、
前記平板部の一端に設けられ、前記リード線が接続されるボス部と
を含み、
前記共通陽極端子では、前記第1陽極端子の前記リード線としての第1リード線と前記第2陽極端子の前記リード線としての第2リード線とが接続されて1つの共通リード線とされ、
前記第1開口部には前記共通陽極端子の前記共通リード線が挿通され、前記第2開口部には前記陰極端子の前記リード線が挿通された、請求項1記載の電解コンデンサ。 - 前記第1陽極端子と前記第2陽極端子が互いに接続されている部分は、前記封止部材の内側に位置する、請求項1または5に記載の電解コンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010140547A JP2012004481A (ja) | 2010-06-21 | 2010-06-21 | 電解コンデンサ |
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JP2010140547A JP2012004481A (ja) | 2010-06-21 | 2010-06-21 | 電解コンデンサ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021172440A1 (ja) * | 2020-02-28 | 2021-09-02 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電解コンデンサおよびその製造方法 |
-
2010
- 2010-06-21 JP JP2010140547A patent/JP2012004481A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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