JP2012001757A - エッチング液及びエッチング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱反応型レジスト材料として銅の酸化物を用いてレーザー光で露光した場合、特に、CuO(II)を熱反応型レジスト材料として、その露光・未露光部を選択的にエッチングすることのできる酸化銅用エッチング液及びエッチング方法を提供することを目的とする。
【解決手段】酸及びキレート化剤のいずれか一方と、リン酸エステル部位を含有する界面活性剤とを少なくとも含むエッチング液を用いて、銅の酸化物を主成分とする酸化銅含有層に対してエッチング処理を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱反応型レジスト材料として酸化銅を用いた微細パターン加工技術の中のエッチング工程に用いる酸化銅用エッチング液及びエッチング方法に関する。
近年、半導体、光学・磁気記録等の分野において高密度化、高集積化等の要求が高まるにつれ、数百nm〜数十nm、あるいはそれ以下の微細パターン加工技術が必須となっている。そこで、これら微細パターン加工を実現するためにマスク・ステッパー、露光、レジスト材料等の各工程の要素技術が盛んに研究されている。
レジスト材料の検討は多数行われているが、現在、最も一般的なレジスト材料は、紫外光、電子線、X線などの露光光源に反応する光反応型有機レジスト(以下、「フォトレジスト」ともいう)である(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
露光に用いられるレーザー光において、通常レンズで絞り込まれたレーザー光の強度は、図1に示すようなガウス分布形状を示す。このときスポット径は1/eで定義される。一般的にフォトレジストの反応は、E=hν(E:エネルギー、h:プランク定数、ν:波長)で表されるエネルギーを吸収することよって反応が開始される。従ってその反応は、光の強度には強く依存せず、むしろ光の波長に依存するため、光の照射された部分は、ほぼ全て反応が生じることになる(光の照射部分≒露光部分)。従ってフォトレジストを使った場合は、スポット径に対して忠実に露光されることになる。
光反応型有機レジストを用いる方法は、数百nm程度の微細なパターンを形成するには非常に有効な方法ではあるが、光反応を用いたフォトレジストを用いるため、さらに微細なパターンを形成するには、原理的に必要とされるパターンより小さなスポットで露光する必要がある。従って、露光光源として波長が短いKrFやArFレーザー等を使用せざるを得ない。しかしながら、これらの光源装置は非常に大型でかつ高価なため、製造コスト削減の観点からは不向きである。さらに電子線、X線等の露光光源を用いる場合は、露光雰囲気を真空状態にする必要があるため、真空チェンバーを使用することとなり、コストや大型化の観点からかなりの制限がある。
一方、図1で示すような分布を持つレーザー光を物体に照射すると、物体の温度もレーザー光の強度分布と同じガウス分布を示す。このときある温度以上で反応するレジスト、すなわち、熱反応型レジストを使うと、図2に示すように所定温度以上になった部分のみ反応が進むため、スポット径より小さな範囲を露光することが可能となる(光の照射部分≠露光部分)。すなわち、露光光源を短波長化することなく、スポット径よりも微細なパターンを形成することが可能となるので、熱反応型レジストを使うことで、露光光源波長の影響を小さくすることができる。
これまでに、WOx、MoOx、貴金属酸化物などを熱反応型レジストとして用い、半導体レーザー等による露光や熱・光反応によって微細パターンを形成する技術が報告されている(例えば、特許文献2〜4、非特許文献2参照)。WOx、MoOxは、酸化度Xが完全酸化物より小さい値に設定されている不完全酸化物と呼ばれるレジスト材料であり、露光による加熱で酸化度Xを変化させ、酸化度の違いでエッチング液に対する溶解度の差を作り、エッチングすることで微細パターンを形成可能にしている。そのため、極わずかな酸化度Xの違いによりエッチング特性が変わってしまい、出発物質の状態、成膜の方法、露光の方法など多くのパラメーターから再現性のよいレジストを作製するには、非常に高度な技術を要する。また、WやMoはフッ素系のガスを用いたドライエッチングに対して耐性が低いという問題点もあった。
一方、貴金属酸化物は、熱反応、光反応等で貴金属酸化物の分解を誘起し、未分解/分解部分でエッチング液に対する溶解度の差を作りエッチングすることで微細パターンを形成可能にしている。この方法は、例えば熱反応の場合、ある特定温度(分解温度)に材料が達すると分解が生じるため、出発物質の状態(例えば極僅かな酸化度の違い等)からの影響を大きく受けることなく、非常に再現性のよいレジストを得やすいという特徴がある。しかし、特許文献3及び特許文献4で用いられている分解材料の貴金属酸化物は、熱反応、光反応等で分解反応を生じパターン形成を可能にしているものの、分解と共に材料の粒子成長を伴うため、エッチング後に残るレジスト部分がランダムな海島構造しかとることができず、均一な凹凸やライン形状の微細パターンなどの、パターンサイズの制御が困難である。
貴金属酸化物である酸化銅は、分解温度に達すると、急峻な分解を起こして酸素を放出し、また、特許文献3及び特許文献4で用いられる貴金属酸化物に比べて粒子成長も抑制されるため、微細パターン形成に有効なレジスト材である。しかしながら、特許文献5〜特許文献7に示すように、銅のエッチング液は多数存在するが、貴金属の酸化物、特に銅の酸化物を用いて露光した場合の選択的かつ精度の高い露光・未露光部のエッチングを達成した事は報告されていない。
特開2007−144995号公報 特許第4055543号公報 特開2008−143162号公報 特開2008−168610号公報 特開2005−105410号公報 特開2005−105333号公報 特開2001−262374号公報
(株)情報機構 発刊 「最新レジスト材料」 P.59−P.76 The 19th Symposium on Phase Change Optical Information Storage 2007 予稿集 P.77-P.80
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、熱反応型レジスト材料として銅の酸化物を用いてレーザー光で露光した場合、特に、CuO(II)を熱反応型レジスト材料として、その露光・未露光部を選択的にエッチングすることのできる酸化銅用エッチング液及びエッチング方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、特定の酸、キレート化剤の少なくともいずれか一方とリン酸エステル部位を含有する界面活性剤とを含む混合液により、銅の酸化物を熱反応型レジスト材料として用いて露光した場合に、露光・未露光部の選択的エッチングを達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のエッチング液は、銅の酸化物を主成分とする酸化銅含有層をエッチングするためのエッチング液であって、酸及びキレート化剤のいずれか一方とリン酸エステル部位を含有する界面活性剤とを少なくとも含むことを特徴とする。
本発明のエッチング液は、前記酸が、無機酸又は有機酸から選択されることを特徴とする。
本発明のエッチング液は、キレート化剤が、アンモニア、ビピリジル、フェナントロリン、シッフ塩基、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一種を含むことを特徴とする。
本発明のエッチング液は、前記リン酸エステル部位を含有する界面活性剤が、下記の化学式(1)で示される化合物であることを特徴とする。
本発明のエッチング液は、エッチング液中の前記界面活性剤の割合が0.00001重量%以上1重量%以下であることを特徴とする。
本発明のエッチング液は、前記酸化銅含有層が、少なくとも熱分解された酸化銅領域を有することを特徴とする。
本発明のエッチング方法は、酸化銅含有層の所定の一部を熱分解した後に、エッチング液を供給して熱分解された部分とそうでない部分から熱分解された部分を除去するエッチング方法であって、前記エッチング液として、上記したエッチング液のうちのいずれかを用いることを特徴とする。
本発明のエッチング方法は、前記銅の酸化物の分解は、前記酸化銅含有層にレーザー光を照射して行うことを特徴とする。
本発明のエッチング液を用いることにより、熱反応型レジスト材料として銅の酸化物を用いてレーザー光で露光した場合に、露光・未露光部を選択的にエッチングすることができる。
レーザー光の強度分布を示した図である。 レーザー光が照射された部分の温度分布を示した図である。 エッチングした酸化銅膜のAFM(原子間力顕微鏡)像を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明のエッチング液のエッチング対象は銅の酸化物であり、例えば、熱反応型レジスト材料として銅の酸化物を主成分とする酸化銅含有層を用いてレーザー光で露光した場合に、露光・未露光部を選択的にエッチングする際に用いる。
本発明のエッチング液は、特定の酸、キレート化剤の少なくともいずれか一方と、リン酸エステル部位を含有する界面活性剤を含む水溶液である。熱反応型レジスト材料として用いる酸化銅はレーザー光の露光による熱で分解温度に達すると酸素を放出し分解が起こり、露光前とは異なった構造、酸化度のより低い組成の酸化銅となる。特に、CuO(II)は露光による熱分解で酸素を放出してCuO(II)より小さい酸化数の酸化銅に変化する。このような露光によって異なった構造・組成になった酸化銅に対し、特定の酸又はキレート化剤を反応させることにより、露光部の酸化銅を溶解することができる。また、酸やキレート化剤は酸化銅の露光・未露光部のいずれをも溶解させるが、エッチング液中にリン酸エステル部位を含有する界面活性剤を添加することによって、界面活性剤が酸化銅表面にキレート効果により配位し、酸化銅を溶解させる成分の接近を阻害するため未露光部の溶解速度が大幅に減少し、露光部を選択的に溶解させることができる。
本発明では、上記の熱反応型レジスト材料として銅の酸化物を主成分とする酸化銅含有層の膜の製膜には、通常の手法を用いることができ、例えば、酸化銅(II)をターゲットに用いてスパッタ法などにより製膜することができる。ここで、製膜後の酸化銅含有層の膜の酸化銅の価数はXPSによって測定することができるが、本発明においては、酸化銅(II)のターゲットを用いて製膜している限りにおいて、製膜自体の酸化銅の価数がIIより若干異なっていても、実質的に価数IIと判断する。
なお、ここでは、銅の酸化物に対してレーザー光の露光により銅の酸化物の構造・組成を変化させる場合を示しているが、酸化銅含有層の所定の領域に対して所定の温度以上の熱を加えることにより銅の酸化物を分解できる方法であれば、レーザー光の照射に限られない。また、銅の酸化物を主成分とするとは、酸化銅含有層の構成成分の50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上であり、さらに好ましくは80重量%以上であり、最も好ましくは90重量%以上が銅の酸化物よりなっていることを意味する。ここで、酸化銅の割合が50重量%未満になると、酸化銅の分解反応が均一に進行しなくなるため選択的にエッチングすることが難しくなり、また、酸化銅の割合が90重量%以上になると分解反応が均一に進行するため選択的にエッチングすることができる。
本発明における特定の酸とは、一般的な無機酸や有機酸のことであり、具体的には塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、ピバル酸、アクリル酸、プロピオル酸、メタクリル酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、ケイ皮酸、フロ酸、ピロールカルボン酸、テノイル酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アセト酢酸、ベンジル酸、アントラニル酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン一コハク酸、1,3−プロパンジアミン二コハク酸、トリエチレンテトラミン三コハク酸、1,2−ジアミノプロパン二コハク酸、エチレンジアミン四プロピオン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三プロピオン酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二プロピオン酸、1,3−プロパンジアミン四プロピオン酸、ジエチレントリアミン五プロピオン酸、トリエチレンテトラミン六プロピオン酸、1,2−ジアミノプロパン四プロピオン酸、及びこれらの酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ポリアルキルアンモニウム塩やポリアリールアンモニウム塩である。塩としては分子中に含まれる全てのカルボン酸が塩になっていてもよく、一部のカルボン酸のみが塩になっていてもよい。本発明においては、特定の酸は、これらの内少なくとも1種類を含んでいることを特徴とする。これらの中でも、入手の容易さ、水への溶解性という観点から、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、蓚酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸とそれらの塩が好ましく、さらに、塩酸、硝酸、硫酸、蓚酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸とそれらの塩がもっとも好ましい。
本発明における特定のキレート化剤とは、銅と錯形成する化合物のことであり、具体的にはアンモニア、ビピリジル、フェナントロリン、シッフ塩基、及びこれらの誘導体である。本発明においては、特定のキレート化剤は、これらの内少なくとも1種類を含んでいることを特徴とする。これらの中でも、入手の容易さ、水への溶解性という観点から、アンモニアが好ましい。
尚、一般的に銅のエッチング液として用いられるものでも、銅アンミン錯体などは本発明に用いる酸化銅のエッチングには適さない。
本発明のエッチング液は、酸化剤や還元剤、pH調整剤などのほかの成分を添加しても良い。エッチング液のpHとしては、界面活性剤の酸化銅表面へのキレート作用による吸着性が大きく変化しない範囲であれば任意に選択することができる。
本発明に用いるリン酸エステル部位を含有する界面活性剤は下記の化学式(2)で示される化合物を有しているもので、エッチング液に溶解すれば特に制限はなく、市販のものをそのまま用いてもよく、合成してもよい。界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
リン酸エステル部位を含有する界面活性剤としては、リン酸モノデシルリチウム、リン酸モノデシルナトリウム、リン酸モノデシルカリウム、リン酸モノウンデシルリチウム、リン酸モノウンデシルナトリウム、リン酸モノウンデシルカリウム、リン酸モノドデシルリチウム、リン酸モノドデシルナトリウム、リン酸モノドデシルカリウム、リン酸モノトリデシルリチウム、リン酸モノトリデシルナトリウム、リン酸モノトリデシルカリウム、リン酸モノテトラデシルリチウム、リン酸モノテトラデシルナトリウム、リン酸モノテトラデシルカリウム、リン酸モノペンタデシルリチウム、リン酸モノペンタデシルナトリウム、リン酸モノペンタデシルカリウム、リン酸モノヘキサデシルリチウム、リン酸モノヘキサデシルナトリウム、リン酸モノヘキサデシルカリウム、リン酸モノヘプタデシルリチウム、リン酸モノヘプタデシルナトリウム、リン酸モノヘプタデシルカリウム、リン酸モノオクタデシルリチウム、リン酸モノオクタデシルナトリウム、リン酸モノオクタデシルカリウム、リン酸モノノナデシルリチウム、リン酸モノノナデシルナトリウム、リン酸モノノナデシルカリウム、リン酸モノイコサニルリチウム、リン酸モノイコサニルナトリウム、リン酸モノイコサニルカリウムなどが挙げられる。中でも、リン酸モノドデシルリチウム、リン酸モノドデシルナトリウム、リン酸モノドデシルカリウムが好ましい。
エッチング液の発泡性が高いと泡によるエッチングムラが生じやすくなるため、界面活性剤としては発泡性の低いものを用いたり、消泡作用のあるものを同時に添加したりするのも有効である。
本発明のエッチング液の溶媒としては、エッチング液の組成を十分に溶解し、反応しないものであれば用いることができ、水やアルコールが好ましく、水が最も好ましい。
本発明に係るエッチング液は、酸とキレート化剤の濃度を調整することによってエッチング速度を制御することができる。すなわち、界面活性剤の濃度をそのままに、酸もしくはキレート化剤の濃度を高くすればエッチング速度は速くなり、逆に酸もしくはキレート化剤の濃度を低くすればエッチング速度は遅くなる。速度が速すぎてエッチングムラの原因となるようなら濃度を低くし、速度が遅すぎて効率が悪ければ濃度を高くするなど、レジストの厚みや所望の均一性、効率等から適切な濃度を選択すればよい。上記のような観点から、酸、キレート化剤の濃度は全エッチング液に対して0.00001重量%以上10重量%以下が好ましく、0.00001重量%以上1重量%以下がさらに好ましく、0.01重量%以上1重量%以下が最も好ましい。
本発明のエッチング液に用いる界面活性剤は、エッチング液の濡れ性、防食性向上に効果がある。極端に少量では効果が薄く、逆に濃度が高すぎると発泡が顕著になり、エッチングムラ等の原因になる。上記のような観点から、界面活性剤の濃度は全エッチング液に対して0.00001重量%以上1重量%以下が好ましく、0.0001重量%以上0.1重量%以下がさらに好ましく、0.01重量%以上0.1重量%以下が最も好ましい。
エッチング液をレジスト(銅の酸化物を主成分とする酸化銅含有層)に作用させる方法は特に限定されず、エッチング液にレジストを浸漬させてもよく、エッチング液をレジストに噴射してもよい。エッチング液にレジストを浸漬させる際に液を循環、あるいはレジストを動作させることにより、単位時間当たりにレジストに当たる液の量を増加させると、エッチング速度を上げることができる。また、エッチング液をレジストに噴射する際に噴射圧を上げることで、エッチング速度を上げることができる。エッチング液をレジストに噴射させる場合は、ノズルを移動させる、レジストを回転させる等の方法を単独で用いる、または併用すると、エッチングが均一に進行するため、好ましい。噴射に用いるノズルの種類は任意のものが使用可能で、例えばラインスリット、フルコーンノズル、ホローコーンノズル、フラットノズル、均一フラットノズル、ソリッドノズル等を挙げることができ、レジストや基材の形状に合わせて選択できる。また、当然のことであるが、一流体ノズルでも二流体ノズルでも構わない。
エッチング液をレジストに作用させる際の温度を制御することでエッチング速度を変化させることが可能である。温度はエッチング液が凍結、沸騰、極端に濃度が変化する速度での揮発、あるいはエッチング液中の成分やレジストの分解を引き起こす範囲を避ければ任意に設定することが可能である。上記の理由から、温度範囲は0℃以上80℃以下が好ましく、10℃以上60℃以下がさらに好ましく、10℃以上40℃以下が最も好ましい。
エッチング液をレジストに作用させる際に、不溶性の微粉末等の不純物がエッチング液中に存在すると、特に微細なパターンをエッチングする際にムラの原因となる恐れがあるので、エッチング液を事前にろ過しておくことが好ましい。ろ過に用いるフィルターの材質はエッチング液と反応しないものなら任意に選択でき、例えばPFA、PTFE等を挙げることができる。フィルターの目の粗さはパターンの微細度合いに応じて選択すればよいが、一般には0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。また、溶出した成分の析出、再付着を防ぐためには、浸漬より噴射が好ましく、さらに、エッチング液をレジストに噴射する場合はエッチング液を循環させず、使い捨てにするほうがより好ましい。
本発明のエッチング液を作用させるレジストの基材となるものは、材質、形状について特に制限を受けない。しかし、表面平滑性、加工性に優れる材質であった方が好ましく、そのような材質としては、ガラス、シリコン、二酸化ケイ素、アルミニウム、チタニウム、銅、銀、金、等を挙げることができ、この中でもガラス、シリコン、二酸化ケイ素、アルミニウム、チタニウム、銅が特に好ましい。また、形状としては平板のような二次元状であっても構わないし、ロールのような三次元状であっても構わない。
本発明のエッチング方法は、前記エッチング層を洗浄する工程と、エッチング後の前記基材及び前記エッチング層を洗浄する工程と、を含むことが好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこの実施例によりなんら制限されるものではない。
(実施例1)
50mmφのガラス平板基板上に、スパッタ法を用いて、下記の条件にて酸化銅を製膜した。なお、製膜後の酸化銅の価数は、XPSにて測定したところ、1.90を超えており、実質的に価数IIと言える。
ターゲット:酸化銅(II)(3インチφ)
電力(W):RF100
ガス種類:アルゴンと酸素の混合ガス(比率9:1)
圧力(Pa):0.5
膜厚(nm):20
この酸化銅膜を以下の条件にて露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:8.8mW
送りピッチ:100nm
露光中にレーザーの強度を変調させることで、さまざまな形状やパターンを作製できるが、実験ではエッチング後の界面を評価しやすくするために、全く露光していない部分と狭いピッチで全面を露光した部分を有するサンプルを使用した。形成する形状は目的とする用途によっては孤立した円形、楕円形状等でも構わず、本発明は露光形状によって何ら制限を受けるものではない。
次に、上記条件で露光した酸化銅サンプルを、下記条件にて調製したエッチング液によってエッチングした。
水 30g
リン酸モノドデシルナトリウム 5mg
6M塩酸 2.1g
エッチングは23℃において5分間、エッチング液に上記酸化銅を浸漬させることで行った。エッチング液のpHは1.0だった。
次に、エッチングした酸化銅膜のAFM(原子間力顕微鏡)像を測定した。その結果、深さ20nmの段差が観測された(図3)。以上より、露光・未露光部を選択的にエッチングすることを示す結果となった。
(実施例2)
実施例1と同様の条件で製膜、露光した酸化銅を下記条件にて調製したエッチング液によってエッチングした。
水 20g
28%アンモニア水 10g
リン酸モノドデシルナトリウム 3mg
エッチングは23℃において5分間、エッチング液に上記酸化銅を浸漬させることで行った。
次に、エッチングした酸化銅膜のAFM(原子間力顕微鏡)像を測定した。その結果、深さ20nmの段差が観測された。以上より、露光・未露光部を選択的にエッチングすることを示す結果となった。
(比較例1)
実施例1と同様の条件で製膜、露光した酸化銅を下記条件にて調製したエッチング液によってエッチングした。
水 30g
硫酸ドデシルナトリウム 5mg
6M塩酸 pH1.0になるまで加えた
エッチングは23℃において5分間、エッチング液に上記酸化銅を浸漬させることで行った。エッチング液のpHは1.0だった。
次に、エッチングした酸化銅膜のAFM(原子間力顕微鏡)像を測定した。その結果、実施例1のような段差形状は観測されず、酸化銅膜はすべて溶解していた。以上より、露光・未露光部を選択的にエッチングできないことを示す結果となった。
(比較例2)
実施例1と同様の条件で製膜、露光した酸化銅を下記条件にて調製したエッチング液によってエッチングした。
水 30g
6M塩酸 pH1.0になるまで加えた
エッチングは23℃において5分間、エッチング液に上記酸化銅を浸漬させることで行った。エッチング液のpHは1.0だった。
次に、エッチングした酸化銅膜のAFM(原子間力顕微鏡)像を測定した。その結果、実施例1のような段差形状は観測されず、酸化銅膜はすべて溶解していた。以上より、露光・未露光部を選択的にエッチングできないことを示す結果となった。
(比較例3)
実施例1と同様の条件で製膜、露光した酸化銅を下記条件にて調製したエッチング液によってエッチングした。
水 20g
28%アンモニア水 10g
エッチングは23℃において5分間、エッチング液に上記酸化銅を浸漬させることで行った。
次に、エッチングした酸化銅膜のAFM(原子間力顕微鏡)像を測定した。その結果、実施例2のような段差形状は観測されず、酸化銅膜はすべて溶解していた。以上より、露光・未露光部を選択的にエッチングできないことを示す結果となった。
表1に実施例1、2及び比較例1〜3についてのエッチング特性について示す。
表1より、レーザー光で露光された銅の酸化物のエッチングにおいて、酸又はキレート化剤の少なくとも一方及びリン酸エステル部位を含有する界面活性剤を含む水溶液をエッチング液として用いることにより(実施例1、実施例2)、銅の酸化物の中で露光部を選択的に溶解させることができることができた。また、比較例1〜3のエッチング液では、銅の酸化物において露光部と未露光部でエッチングの選択比をとることができなかった。これは、エッチング液中にリン酸エステル部位を含有する界面活性剤を含有させることによって、界面活性剤が酸化銅表面にキレート効果により配位し、酸化銅を溶解させる成分の接近を阻害するため未露光部の溶解速度が大幅に減少し、露光部を選択的に溶解させることができるためであると考えられる。
本発明に係るエッチング液は、熱反応型レジストとして酸化銅を用いレーザー光により露光した場合に、露光・未露光部を選択的にエッチングできるため、微細パターンの作製に有用であり、光学材料等の様々な分野での応用が可能である。

Claims (8)

  1. 銅の酸化物を主成分とする酸化銅含有層をエッチングするためのエッチング液であって、酸及びキレート化剤のいずれか一方と、リン酸エステル部位を含有する界面活性剤とを少なくとも含むことを特徴とするエッチング液。
  2. 前記酸が、無機酸又は有機酸から選択されることを特徴とする請求項1に記載のエッチング液。
  3. 前記キレート化剤が、アンモニア、ビピリジル、フェナントロリン、シッフ塩基、及びこれらの誘導体からなる群より選択された少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載のエッチング液。
  4. 前記リン酸エステル部位を含有する界面活性剤が下記の化学式(1)で示される化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のエッチング液。
  5. 前記エッチング液中の前記界面活性剤の割合が0.00001重量%以上1重量%以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のエッチング液。
  6. 前記酸化銅含有層が、少なくとも熱分解された酸化銅領域を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のエッチング液。
  7. 酸化銅含有層の所定の一部を熱分解した後に、エッチング液を供給して熱分解された部分とそうでない部分から熱分解された部分を除去するエッチング方法であって、
    前記エッチング液として、請求項1から請求項6のいずれかに記載したエッチング液を用いることを特徴とするエッチング方法。
  8. 前記銅の酸化物の分解は、前記酸化銅含有層にレーザー光を照射して行うことを特徴とする請求項7に記載のエッチング方法。
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