JP2012001621A - 陽イオン交換膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートを用いた陽イオン交換膜であって、該基材シートと陽イオン交換樹脂との密着性に優れ、かつ、ピンホールを生じるおそれの少ない陽イオン交換膜を製造できる陽イオン交換膜の製造方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステルを、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートに付着させた後、重合反応を行い、次いで得られた重合体中のスルホン酸エステル基を加水分解させることを特徴とする陽イオン交換膜の製造方法である。
Figure 2012001621

(式中、Rは炭素数1〜7のアルキル基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は陽イオン交換膜の製造方法に関し、詳しくは、基材シートとイオン交換樹脂との密着性に優れた陽イオン交換膜の製造方法に関する。
イオン交換膜は、イオン交換作用をもつ樹脂で膜状のものであり、陽イオン交換基が導入された陽イオン交換膜や陰イオン交換基が導入された陰イオン交換膜等がある。イオン交換膜は、電気透析、電気分解、拡散透析など種々の用途に使用されている。
陽イオン交換膜の製造方法として、スチレン、架橋性基を有する単量体を含む単量体組成物を基材シートに塗布し、該基材シート上の単量体組成物を重合させる方法が知られている。このような方法では、単量体組成物を重合させて得られた重合体にスルホ基などの陽イオン交換基の導入処理が行われ、陽イオン交換膜が得られる。
陽イオン交換膜に用いられる基材シートとしては、従来からポリ塩化ビニル系樹脂からなるものが使用されている。しかしながら、ポリ塩化ビニル系樹脂からなる基材シートは、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤が含有されていることなどから食品分野での利用には不向きであり、また、高温での寸法変化が大きいことや、有機溶媒に対する耐久性の低さなどから、使用可能な条件が限られるという欠点があった。そのため、代替として、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートが検討されてきている。
ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートは、陽イオン交換樹脂との密着性が悪く、使用条件下によっては陽イオン交換樹脂の剥離が生じ、長期使用に堪えないといった問題があった。
この問題を解決するために、例えば、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートをプラズマ処理、コロナ処理を施す方法や、エチレン−α−不飽和カルボン酸共重合体粉体を重合性組成物に含有させる方法が提案されている(特許文献1参照。)。
一方、単量体組成物を重合させて得られた重合体にスルホ基を導入するスルホン化工程には、スルホン化剤として強酸である発煙硫酸を使用するため、発煙硫酸の取り扱いに注意を要し、望ましくない副反応の発生、スルホン化条件のコントロールの難しさ等の反応面での問題があった。また、スルホン化工程における重合体の寸法変化が大きく製膜時のコントロールが難しいという問題があった。
そこで、スルホン化工程を経ずに陽イオン交換体を作製する方法として、p−スチレンスルホン酸エチルのようなスルホン酸エステル基を有するモノマーを、スチレンおよびジビニルベンゼンと共重合させて、重合後にスルホ基に変換することにより架橋カチオン交換体を得る方法が開示されている(特許文献2参照。)。また、スルホン酸エステル基を有するモノマーをグラフト重合させ、重合後にスルホ基に変換することにより陽イオン交換膜を製造する方法が開示されている(特許文献3参照。)。
特開平9−157412号公報 特開2008−195878号公報 特開2005−8855号公報
しかしながら、上記のポリオレフィン系樹脂からなる基材シートの処理方法や、特許文献1に記載の単量体組成物にエチレン−α−不飽和カルボン酸共重合体粉体を加える方法によっても、ポリオレフィン系樹脂からなるシートの陽イオン交換樹脂との密着性は未だ満足しうるものではなかった。
また、特許文献2には架橋カチオン交換体が記載されているが、該架橋カチオン交換体を陽イオン交換膜として用いることについては一切記載がなく、基材シートの密着性については検討されていない。
さらに、特許文献3に記載の有機高分子材料の製造方法では、本質的に陽イオン交換基の導入方法が異なるため、基材と重合体との密着性の問題は生じない。しかしながら、放射線グラフト重合法を採用しているために、放射線源の取り扱いに注意を要する。また、織布や不織布を用いてイオン交換膜を製造する際に、空孔部分を樹脂で埋めて膜構造を形成する必要があるが、グラフト率が低い場合には、樹脂による空孔部分の充填が不十分でピンホールが発生してしまうという問題があった。特に放射線グラフト重合においては、充分なグラフト率を確保するだけのラジカル活性種を発生させて重合を行うことが困難であった。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、基材シートと重合体の密着性の低下が、重合体にスルホ基を導入するスルホン化工程で用いる発煙硫酸に起因するものであり、特定のスチレンスルホン酸エステルを含む単量体組成物を用いてスルホン化工程を経ないで陽イオン交換膜を製造することでポリオレフィン系樹脂からなる基材シートの密着性が改善され、上記課題が解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の陽イオン交換膜の製造方法は、以下の構成を採用した。
[1]下記式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステルを含む単量体組成物を、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートに付着させた後、重合反応を行い、次いで得られた重合体中のスルホン酸エステル基を加水分解させることを特徴とする陽イオン交換膜の製造方法。
Figure 2012001621
(式中、Rは炭素数1〜7のアルキル基を表す。)
[2]前記単量体組成物が、さらに、架橋性基を有する単量体を含む[1]に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
[3]前記架橋性基を有する単量体がジビニルベンゼンおよびクロロメチルスチレンから選ばれる少なくとも1種である[2]に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
[4]前記単量体組成物中の全単量体の合計量における前記架橋性基を有する単量体の含有割合が、0.5〜70モル%である[2]または[3]に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
[5]前記単量体組成物が、さらに、架橋性基を有さず、かつ式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル以外の単量体を含む[1]〜[4]のいずれかに記載の陽イオン交換膜の製造方法。
[6]前記架橋性基を有さず、かつ式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル以外の単量体が、スチレンおよびアクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種である[5]に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
[7]前記単量体組成物が、さらに、ラジカル重合開始剤を含む[1]〜[6]のいずれかに記載の陽イオン交換膜の製造方法。
[8]前記単量体組成物が、さらに、有機高分子化合物を含む[1]〜[7]のいずれかに記載の陽イオン交換膜の製造方法。
[9]前記有機高分子化合物が、エラストマーおよび熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも一種である[8]に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
[10]前記基材シートが、ポリエチレン系樹脂からなるものである[1]〜[9]のいずれかに記載の陽イオン交換膜の製造方法。
[11][1]〜[10]のいずれかに記載の陽イオン交換膜の製造方法によって得られた陽イオン交換膜であって、下記式(2)で表わされる重合率が1〜4である陽イオン交換膜。
重合率=(陽イオン交換膜質量−基材シート質量)/基材シート質量
・・・ (2)
(式中、基材シート質量は、単位面積当たりの基材シートの乾燥質量を表わし、陽イオン交換膜質量は、陽イオン交換膜の単位面積あたりの乾燥質量を表わす。)
本発明により、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートと陽イオン交換樹脂との密着性に優れ、かつ、ピンホールを生じるおそれの少ない陽イオン交換膜を提供できる。
本発明の陽イオン交換膜の製造方法は、下記式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステルを含む単量体組成物を、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートに付着させた後、重合反応を行い、次いで得られた重合体中のスルホン酸エステル基を加水分解させることを特徴とするものである。
Figure 2012001621
(式中、Rは炭素数1〜7のアルキル基を表す。)
<単量体組成物>
本発明の陽イオン交換膜の製造方法における単量体組成物は、上記式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル(以下、単に「スチレンスルホン酸エステル」という。)を含むものである。単量体組成物は、スチレンスルホン酸エステルのみからなっていてもよいが、さらに、架橋性基を有する単量体、架橋性基を有さず、かつ式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル以外の単量体(以下、「非架橋性単量体」という。)、ラジカル重合開始剤、および、有機高分子化合物を含有することが好ましい。また、単量体組成物は、上記以外の他の成分や添加物を含有してもよい。
添加剤としては、ジオクチルフタレートや食品分野対応の可塑剤であるアジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸エステルが挙げられる。
<スチレンスルホン酸エステル>
本発明の陽イオン交換膜の製造方法で用いるスチレンスルホン酸エステルは、重合後に加水分解させることにより得られた重合体にスルホ基を容易に導入することができる。従って、重合体に陽イオン交換基を導入するための単量体としてスチレンスルホン酸エステルを用いることにより、発煙硫酸を用いることなく、スルホン化工程を経ずに陽イオン交換膜を容易に製造することができる。
スルホン化工程において、ポリオレフィン系基材シートと重合体との密着性が低下する原因は定かではないが、スルホ基の導入の際に、発煙硫酸を用いる方法では長時間又は激しい条件でスルホン化を行わざるを得ず、樹脂部及び補強材の劣化、特に機械強度の低下を伴うため樹脂が基材より剥離しやすいと推測される。一方、スチレンスルホン酸エステルを用いた方法ではマイルドな加水分解処理によりスルホ基が導入されるため、樹脂部及び補強材の劣化が少なく、密着性が向上すると推測される。
スチレンスルホン酸エステルにおけるアルキル基は、炭素数1〜7であり、その構造は直鎖であっても分岐であってもよく、環状であってもよい。また、基材シートへの付着の容易さ、重合後のエステルの加水分解のしやすさなどから、アルキル基の炭素数は1〜4が好ましく、2または3がより好ましい。アルキル基の構造は直鎖構造が好ましい。
また、スルホン酸アルキルエステル基の位置は、ビニル基に対して、o−、m−、p−位のいずれであってもよいが、スチレンスルホン酸エステルの入手のし易さからp−位であることが好ましい。
スチレンスルホン酸エステルの具体例としては、例えば、p−スチレンスルホン酸メチル、p−スチレンスルホン酸エチル、p−スチレンスルホン酸n−プロピル、p−スチレンスルホン酸イソプロピル、p−スチレンスルホン酸n−ブチル、p−スチレンスルホン酸イソブチル、p−スチレンスルホン酸s−ブチル、p−スチレンスルホン酸t−ブチル、p−スチレンスルホン酸ペンチル、p−スチレンスルホン酸n−ヘキシル、p−スチレンスルホン酸n−オクチル、p−スチレンスルホン酸2−エチルヘキシル、m−スチレンスルホン酸メチル、m−スチレンスルホン酸エチル、m−スチレンスルホン酸n−プロピル、m−スチレンスルホン酸イソプロピル、m−スチレンスルホン酸n−ブチル、m−スチレンスルホン酸イソブチル、m−スチレンスルホン酸s−ブチル、m−スチレンスルホン酸t−ブチル、m−スチレンスルホン酸ペンチル、m−スチレンスルホン酸n−ヘキシル、m−スチレンスルホン酸2−エチルヘキシル、o−スチレンスルホン酸メチル、o−スチレンスルホン酸エチル、o−スチレンスルホン酸n−プロピル、o−スチレンスルホン酸イソプロピル、o−スチレンスルホン酸n−ブチル、o−スチレンスルホン酸イソブチル、o−スチレンスルホン酸s−ブチル、o−スチレンスルホン酸t−ブチル、o−スチレンスルホン酸ペンチル、o−スチレンスルホン酸n−ヘキシル、o−スチレンスルホン酸2−エチルヘキシル、p−スチレンスルホン酸シクロヘキシル、m−スチレンスルホン酸シクロヘキシル、o−スチレンスルホン酸シクロヘキシル等を挙げることができる。
これらの中でも、単量体組成物が他の単量体を含有する場合に、他の単量体と相溶性がよく、高いイオン交換容量を得やすいことから、p−スチレンスルホン酸エチルが好ましい。また、重合に用いるスチレンスルホン酸エステルは1種類であってもよく2種以上を併用してもよい。
上記単量体組成物中の全単量体の合計量におけるスチレンスルホン酸エステルの含有割合は、30〜95モル%であることが好ましく、50〜90モル%であることがより好ましい。
<架橋性基を有する単量体>
上記単量体組成物は、上記スチレンスルホン酸エステル以外に、架橋性基を有する単量体を含有することが好ましい。架橋性基を有する単量体は、重合した際に高分子鎖間に架橋構造を形成し、陽イオン交換膜の強度の向上に寄与する。
架橋性基を有する単量体は、スチレンスルホン酸エステルと共重合可能で、架橋性基を有しているものであれば特に限定されない。架橋性基を有する単量体における架橋性基としては、一般に架橋反応を起こすとされている基であれば特に限定されず、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、ビニル基、ハロゲン化アルキル基、エポキシ基等が挙げられるが、これらの中でもビニル基、ハロゲン化アルキル基、エポキシ基が好ましく、ビニル基、ハロゲン化アルキル基がより好ましい。ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子または臭素原子がより好ましい。また、ハロアルキル基におけるアルキル基は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、その構造は直鎖構造、分岐構造のいずれでもよく、環構造を有していてもよい。ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロブチル基、ブロモブチル基、が好ましく、クロロメチル基、ブロモブチル基がより好ましい。
架橋性基を有する単量体の具体例としては、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、トリビニルベンゼン類、ジビニルナフタレン、トリビニルナフタレン等のポリビニル化合物;クロロメチルスチレン、α−クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、ジクロロメチルスチレン、クロロエチルスチレン、ブロモブチルスチレン、ブロモメチルビニルナフタレン等のハロゲン置換アルキル基を有する単量体、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有する単量体、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸、ドデシルアクリル酸等のアクリル酸を挙げることができる。上記のうち耐薬品性や工業的な入手のしやすさの観点から、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレンが好ましい。また、重合に用いる架橋性基を有する単量体は、1種類であってもよく2種以上を併用してもよい。
上記単量体組成物中の全単量体の合計量における上記架橋性基を有する単量体の含有割合は、0.5 〜70モル%である事が好ましく、2〜55モル%であることがより好ましい。
<非架橋性単量体>
上記単量体組成物は、必要に応じて非架橋性単量体を含有することが好ましい。非架橋性単量体は、単量体組成物が陽イオン交換膜となった際に、イオン交換基濃度の調整部位となり膜性能の制御等に寄与する。
非架橋性単量体は、スチレンスルホン酸エステルと共重合可能であり、架橋性基を有さず、式(1)で表わされるスチレンスルホン酸エステル以外のものであれば特に限定されない。非架橋性単量体における架橋性基としては、前記架橋性基を有する単量体において挙げた架橋性基と同様のものを挙げることができる。つまり、スチレンスルホン酸エステルとの共重合により得られた重合体内で、もしくは重合体間において架橋反応を起こすような、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、ビニル基、ハロゲン化アルキル基、エポキシ基等の架橋性基を有さなければよい。
非架橋性単量体としては、イオン交換基濃度の調整による膜性能の制御の観点からはアリール基を有する単量体が好ましい。樹脂の柔軟性の付与や加水分解反応の促進の観点からは、(メタ)アクリル酸誘導体が好ましい。
非架橋性単量体の具体例として例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ビニルナフタレン、ビニルエチルベンゼン等のアリール基を有する単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸クロライド、アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸誘導体;(メタ)アクリロニトリル塩化ビニル等のハロゲン原子を有する単量体;メチルビニルケトン、4−ビニルピリジン、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。上記のうち、スチレン、アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸の記載は、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方を表わし、(メタ)アクリロニトリルの記載は、アクリロニトリルおよび(メタ)アクリロニトリルの少なくとも一方を表わす。
また、重合に用いる非架橋性単量体は、1種類であってもよく2種以上を併用してもよい。
単量体組成物中の全単量体の合計量における、非架橋性単量体の含有割合は、1〜70モル%であることが好ましく、4〜35モル%であることがより好ましい。
<ラジカル重合開始剤>
上記単量体組成物はさらに、ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。本発明の製造方法における重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを使用することができる。
ラジカル重合開始剤としては例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ラウロイル、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン等が挙げられる。これらの中でも安全性や工業的な入手のしやすさ、重合反応の温度コントロールのしやすさの観点から、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートが好ましい。
単量体組成物に添加する重合開始剤は、1種類のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
単量体組成物における重合開始剤の含有割合は、単量体の総量100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
<有機高分子化合物>
上記単量体組成物はさらに、有機高分子化合物を含有することが好ましい。有機高分子化合物は、上記単量体組成物に粘度を与え、基材シートに付着しやすくするとともに樹脂の柔軟性や強度を向上するために配合される。
有機高分子化合物としてはエラストマーや熱可塑性樹脂が好ましい。有機高分子化合物は公知のものを使用でき、上記単量体に対し分散性または溶解性が良好な化合物である事が好ましい。有機高分子化合物としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリスチレン―ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン―ポリオレフィン共重合体等のエラストマーが挙げられる。これらの中でも基材シートへの付着性向上や樹脂の柔軟性や強度の向上の観点からアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体が好ましい。
単量体組成物に添加する有機高分子化合物は、1種類のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
単量体組成物における有機高分子化合物の含有割合は、膜特性の観点から単量体の総量100質量部に対して1〜40質量部であるのが好ましく、5〜20質量部であるのがより好ましい。
<基材シート>
基材シートは、イオン交換膜の強度と耐久性を向上させるために用いられる。本発明における基材シートとしては、ポリオレフィン系樹脂からなるものを用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートは公知のものを使用することができる。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、等のポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン等の炭素原子数4以上のオレフィン類を挙げることができる。なお、ポリエチレンは高密度、中密度、低密度のいずれでもよい。また、上記ポリオレフィン系樹脂に、他の樹脂をブレンドしたものであってもよい。
これらの中でも、耐薬品性、耐熱性や工業的入手のしやすさやの観点からポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂がより好ましい。ポリエチレン系樹脂の中でもポリエチレンが好ましく、また、ポリプロピレン系樹脂の中でもポリプロピレンが好ましい。
基材シートの形状としては上記樹脂からなる織布(モノフィラメント、マルチフィラメントのメッシュクロス)、不織布、フィルム、多孔性フィルム等が挙げられるが、織布、フィルムが好ましい。
基材シートとして織布を使用する場合のフィラメントの径は30〜200μmが好ましく、50〜150μmがより好ましい。
基材シートの厚さは50〜400μmが好ましく、80〜200μmがより好ましい。
また、基材シートと上記重合性組成物との親和性を高めるために、γ線、電子線、紫外線照射処理、コロナ、プラズマ処理等の表面処理を施したものを使用することが好ましい。
<陽イオン交換膜>
本発明の製造方法により得られる陽イオン交換膜においては、陽イオン交換膜の単位面積当たりに含有される陽イオン交換樹脂の質量と陽イオン交換膜の単位面積当たりに含有される基材シートの質量との質量比率が特定の範囲であることが好ましい。
すなわち、本発明の製造方法により得られる陽イオン交換膜においては、単位面積当たりの基材シートの乾燥質量(以下、「基材シート質量」という。)と、単位面積当たりの陽イオン交換膜の乾燥質量(以下、「陽イオン交換膜質量」という。)をもとに、下記式(2)で算出された重合率が1〜4であることが好ましく、1.5〜3であることがより好ましい。
重合率=(陽イオン交換膜質量−基材シート質量)/基材シート質量
・・・ (2)
重合率がこの範囲であれば、例えば基材シートとして不織布等の比較的空孔部分の多いシートを使用しても、樹脂による空孔部分の充填が充分となり、ピンホールが発生しにくくなる。重合率は、重合工程における重合時間等の重合条件を調整することによりコントロールすることができる。なお、重合率の測定は、実施例に記載の方法による。
陽イオン交換膜の膜厚は、50〜400μmが好ましく、80〜200μmがより好ましい。また、イオン交換容量は、1.8〜4.5ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましく、2.5〜4.0ミリ当量/g乾燥樹脂がより好ましい。イオン交換容量は、後述する重合反応工程において、前記重合率や単量体組成物におけるスチレンスルホン酸エステルとそれ以外の単量体との比率や陽イオン交換樹脂と前記有機高分子化合物との比率等を調整することによりコントロールすることができる。
本発明の製造方法によって得られた陽イオン交換膜は、拡散透析、電気透析ガス分離等の用途に好適に使用することができる。
<重合反応工程>
本発明の陽イオン交換膜の製造方法においては、上記単量体組成物を基材シートに付着させ、単量体組成物の重合反応を行う。重合反応は、単量体組成物が付着した基材シートに離型フィルムを貼り付けた後に行うことが好ましい。
単量体組成物を基材シートに付着させる方法は、コンマダイレクトコート法、グラビアコート法等の塗布による方法、ディップスクイズ加工法等の含浸による方法等公知の方法を挙げることができる。重合方法としては、特に制限されないがラジカル重合が好ましい。重合条件は、単量体組成物の組成等に応じて適宜最適な条件を選定すればよい。重合温度は、好ましくは30〜180℃、より好ましくは、50〜120℃である。温度上昇方法としては、一定時間、例えば0.1〜48時間で所定温度に上昇させて重合させる方法や、重合温度を数点設定し、段階的に温度上昇、温度保持を繰り返す多段温度重合方法等が挙げられる。温度上昇のための加熱方法としては、例えば、温水槽に浸漬して加熱する方法、空気恒温器を用いて加熱する方法を挙げることができる。
工業的に陽イオン交換膜を製造する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。単量体組成物を付着させた基材シートと離型フィルムの各々をローラで送り出し、上記基材シートの一方の面に離型フィルムを貼り付ける。両者が貼り合わされたシートはローラで巻き取り、当該ローラを温水中に浸漬して、単量体組成物の重合反応工程を行う方法。
上記離型フィルムとしては、単量体組成物の重合反応工程に耐えうる耐熱性を有し、適度な柔軟性が有り、かつ、重合反応工程後に、基材シートに付着した重合体から容易に引き剥がせるものであれば特に制限されない。離型フィルムの材料の例としては、ビニロン(登録商標)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)等が挙げられる。
安価で、柔軟性があり、得られる重合体の膜厚みの均一性が高いという観点からは、ビニロン等のビニルアルコール系樹脂からなるフィルムが好ましい。
離型フィルムは1種類のみの樹脂からなるフィルムを用いてもよく2種以上の樹脂からなるフィルムを使用してもよい。また、フィルム表面に、シリコン系、フッ素系等の離型剤を塗布したフィルムも使用することができる。
<エステル基の加水分解工程>
本発明の陽イオン交換膜の製造方法においては、上記重合反応工程で得られた重合体中のスルホン酸エステル基を加水分解させて、スルホ基に変換する。
スルホン酸エステル基の加水分解方法としては、公知の方法を採用することができるが、なるべく温和な条件下で行うことが好ましい。加水分解方法として例えば、アルカリ水溶液などで加水分解処理した後に純水で洗浄する方法、あるいは、酸水溶液などで加水分解処理した後に純水で洗浄する方法、多量の水分の存在下で加熱する方法等が挙げられる。
加水分解反応を行う際の溶媒に特に制限はなく、水以外に、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
加水分解方法としては、酸またはアルカリ水溶液で加水分解処理した後に純水で洗浄する方法が好ましい。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
[折り曲げ試験]
折り曲げ試験は、陽イオン交換膜の4cm角の陽イオン交換膜サンプルを半分に折り、該サンプルにプレスで加重をかけた後の折り目部分のピンホールの有無の確認を行なう試験である。加重を徐々に増加させ、ピンホールが確認された加重を測定した。ピンホールの有無は、水に濡れた布の上にサンプルをおき、サンプル表面上の水滴を拭き取った後、ろ紙を押し当てる事で水漏れが発生しないかを確認することにより行った。
荷重がかかった時にピンホールが発生しにくいサンプルは、基材と樹脂の密着性が高いと評価することが出来る。
[重合率]
重合率は、基材シート質量と、陽イオン交換膜質量を測定し、下記式(2)によって算出した。
重合率=(陽イオン交換膜質量−基材シート質量)/基材シート質量
・・・ (2)
(実施例1)
ジビニルベンゼン8.4モル%、スチレン6.9モル%、ブチルアクリレート23.2モル%、スチレンスルホン酸エチルエステル61.5モル%である単量体組成物を調製した。この単量体組成物の総量100質量部に対して、ラジカル重合開始剤パーヘキサ(登録商標)HC(日本油脂株式会社製)0.7質量部、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体6.5質量部を加えた。あらかじめコロナ処理を行ったポリプロピレン平織布(糸径68μm)を上記単量体組成物に浸した後、35℃で2時間、次いで70℃で6時間、次いで90℃で8時間段階的に加熱重合し膜状の重合体を得た。
次いで、得られた膜状の重合体を80℃の0.5N塩酸に24時間浸漬し、スルホン酸エステル基の加水分解を行い、純水で洗浄し陽イオン交換膜を得た。
上記で得られた陽イオン交換膜は、膜厚140μm、0.5N−NaCl水溶液中での抵抗が1.4Ω・cmであり、イオン交換容量は2.2ミリ当量/g乾燥樹脂であった。重合率は2.4であった。さらに、0.5N−NaCl水溶液中での輸率測定を行ったところ0.93であり、十分なイオン選択性能を示すことが確認できた。
得られたサンプルについて、折り曲げ試験を実施したところ、8cm当たり0.3kgの荷重をかけてもピンホールは発生しなかった。
(実施例2)
あらかじめコロナ処理を行なったポリエチレン平織布(糸径86μm)を実施例1と同様の単量体組成物に浸した後、ビニロンフィルムにて両面を覆い、35℃で2時間、次いで70℃で6時間、次いで90℃で8時間段階的に加熱重合し、膜状の重合体を得た。次いで膜状の重合体を80℃の0.5N水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬し、スルホン酸エステル基の加水分解を行った後、純水で洗浄し陽イオン交換膜を得た。
上記で得られた陽イオン交換膜は、膜厚200μm、0.5N−NaCl水溶液中での抵抗が1.6Ω・cmであり、イオン交換容量は2.0ミリ当量/g乾燥樹脂であった。重合率は2.3であった。0.5N−NaCl水溶液中での輸率測定を行ったところ0.94であり、十分なイオン選択性能を示すことが確認できた。折れ曲げ試験を行ない基材と樹脂の密着性の確認を行なったところ、8cm当たり0.5kgの荷重をかけてもピンホールは発生しなかった。
(比較例1)
ジビニルベンゼン15.3モル%、ブチルアクリレート23.2モル%、スチレン61.5モル%である単量体混合物を調製した。この単量体混合物の総量100質量部に対して、ラジカル重合開始剤パーヘキサ(登録商標)HC(日本油脂株式会社製)0.7質量部、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体6.5質量部を加えた。実施例1と同様のポリエチレン平織布を単量体混合物に浸した後、ビニロンフィルムにて両面を覆い、35℃で2時間、次いで70℃で6時間、次いで90℃で8時間段階的に加熱重合し膜状の重合体を得た。次いで膜状の重合体を45℃の98%硫酸に16時間浸漬する事で膜厚130μmの陽イオン交換膜を得た。重合率は2.0であった。
得られた膜は、基材と樹脂の密着性が悪く、折り曲げ試験を実施したところ、8cm当たり0.1kgの荷重をかけるとピンホールが発生した。
(比較例2)
ポリエチレン平織布を実施例2と同様のポリプロピレン平織布に変更した以外は、比較例1と同様にして膜状の重合体を得て、折り曲げ試験を実施した。その結果、0.1kgの荷重をかけるとピンホールが発生した。
(実施例3)
ジビニルベンゼン9.1モル%、クロロメチルスチレン15.5モル%、ブチルアクリレート18.5モル%、スチレンスルホン酸エチルエステル56.9モル%である単量体組成物を調製した。この単量体組成物の総量100質量部に対して、ラジカル重合開始剤パーヘキサ(登録商標)HC(日本油脂株式会社製)1.40質量部、水素化ニトリルゴム10質量部を加えた。あらかじめコロナ処理を行なったポリエチレン平織布(糸径86μm)を上記単量体組成物に浸した後、ビニロンフィルムにて両面を覆い、35℃で2時間、次いで70℃で6時間、次いで90℃で8時間段階的に加熱重合し、膜状の重合体を得た。次いで膜状の重合体を80℃0.5N水酸化ナトリウムに24時間浸漬し、スルホン酸エステル基の加水分解を行った後、純水で洗浄し陽イオン交換膜を得た。膜厚230μm、0.5N−NaCl水溶液中での抵抗が3.9Ω・cmの陽イオン交換膜を得た。イオン交換容量は2.8ミリ当量/g乾燥樹脂であり、重合率は2.0であった。折り曲げ試験を行ない基材と樹脂の密着性の確認を行なったところ、8cm当たり3.5kgの荷重でもピンホールは発生しなかった。
(比較例3)
ジビニルベンゼン9.1モル%、クロロメチルスチレン 15.5モル%、ブチルアクリレート18.5モル%、スチレン56.9モル%である単量体組成物を調製した。この単量体組成物の総量100質量部に対して、ラジカル重合開始剤パーヘキサ(登録商標)HC(日本油脂株式会社製)1.40質量部、水素化ニトリルゴム10質量部を加えた。あらかじめコロナ処理を行なったポリエチレン平織布(糸径86μm)を上記単量体組成物に浸した後、ビニロンフィルムにて両面を覆い、35℃で2時間、次いで70℃で6時間、次いで90℃で8時間段階的に加熱重合し、膜状の重合体を得た。次いで膜状の重合体を98%硫酸に60℃にて16時間浸漬しスルホン化を行ない、膜厚230μm、0.5N−NaCl水溶液中での抵抗が3.7Ω・cmの陽イオン交換膜を得た。イオン交換容量は2.8ミリ当量/g乾燥樹脂であり、重合率は2.0であった。折り曲げ試験を行ない基材と樹脂の密着性の確認を行なったところ、8cm当たり3.5kgの荷重にてピンホールが発生した。
各実施例、比較例における単量体等の配合例および折り曲げ試験の結果を下記表1および表2に示す。
Figure 2012001621
※1:重合開始剤、有機高分子化合物を含まない単量体組成物100質量部に対しての量(質量部)
※2:加重は折り曲げた陽イオン交換膜の8cm当たりの値。
Figure 2012001621
※1:重合開始剤、有機高分子化合物を含まない単量体組成物100質量部に対しての量(質量部)
※2:加重は折り曲げた陽イオン交換膜の8cm当たりの値。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステルを含む単量体組成物を、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートに付着させた後、重合反応を行い、次いで得られた重合体中のスルホン酸エステル基を加水分解させることを特徴とする陽イオン交換膜の製造方法。
    Figure 2012001621
    (式中、Rは炭素数1〜7のアルキル基を表す。)
  2. 前記単量体組成物が、さらに、架橋性基を有する単量体を含む請求項1に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
  3. 前記架橋性基を有する単量体がジビニルベンゼンおよびクロロメチルスチレンから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
  4. 前記単量体組成物中の全単量体の合計量における前記架橋性基を有する単量体の含有割合が、0.5〜70モル%である請求項2または3に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
  5. 前記単量体組成物が、さらに、架橋性基を有さず、かつ式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル以外の単量体を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
  6. 前記架橋性基を有さず、かつ式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル以外の単量体が、スチレンおよびアクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
  7. 前記単量体組成物が、さらに、ラジカル重合開始剤を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
  8. 前記単量体組成物が、さらに、有機高分子化合物を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
  9. 前記有機高分子化合物が、エラストマーおよび熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項8に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
  10. 前記基材シートが、ポリエチレン系樹脂からなるものである請求項1〜9のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載された陽イオン交換膜の製造方法によって得られた陽イオン交換膜であって、下記式(2)で表わされる重合率が1〜4である陽イオン交換膜。
    重合率=(陽イオン交換膜質量−基材シート質量)/基材シート質量
    ・・・ (2)
    (式中、基材シート質量は、単位面積当たりの基材シートの乾燥質量を表わし、陽イオン交換膜質量は、陽イオン交換膜の単位面積あたりの乾燥質量を表わす。)
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