JP2012001424A - セラミックスラリー、セラミックスラリーの製造方法、キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートおよび積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミックスラリーは、焼結助剤としてシリカ成分を含むセラミックスラリーであって、シリカ成分として表面改質したシリカをゾルの形態で含む。シリカ成分は、たとえば、湿式合成されたシリカの溶剤分散体であって、シリカ粒子の表面のシラノール基が溶剤中で表面改質されたものである。また、シリカ成分は、シリカ粒子の表面のシラノール基がたとえばアルキル基、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基、ニトロ基またはニトリル基を含む官能基によって改質されたものである。
【選択図】なし
Description
したがって、たとえば特許文献1に開示されているグリーンシートの製造方法におけるように、粉末でシリカ成分を添加する場合、シリカ粉末を製造する際の乾燥工程で生じる強固な凝集・凝結を解砕するので、多大なエネルギーと時間を費やさなければならない。また、この場合、強固な凝結体を形成するために、解砕が不十分になる場合も多い。このように解砕が不十分であると、セラミックスの焼結が均一に進行せず、積層セラミック電子部品においてセラミックスを挟む電極間でショート発生などの不良が発生する場合がある。
このようにシリカ成分として用いられるアルコキシシラン重合物の溶液では、液状であって解砕の必要がないため、それを用いたセラミックスラリーをセラミックグリーンシートにシート化した場合のシリカ成分の均一性は満足する。
しかしながら、アルコキシシラン重合物の溶液をシリカ成分として用いる場合、シリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムを用いてセラミックグリーンシートを加工しようとすると、セラミックグリーンシートがキャリアフィルムから剥離できないという新たな問題が生じる。そこで、キャリアフィルムに塗布されるシリコーン系の離型剤を非シリコーン系の離型剤に変更すれば、セラミックグリーンシートがキャリアフィルムから剥離可能にはなるが、剥離性などの加工性が悪いだけでなく、コストアップの要因となる。そのため、シリコーン系の離型剤を用いてセラミックグリーンシートを加工できることが望ましい。
すなわち、焼結助剤のシリカ成分としてアルコキシシラン重合物の溶液が添加されたセラミックスラリーからなるセラミックグリーンシートを、シリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルム上に形成し、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離しようとすると、剥離性が悪化するという不具合がある。特に薄いセラミックグリーンシートの場合には、キャリアフィルムから剥離することができずに破れてしまうこともある。
この発明の他の目的は、焼結助剤としてのシリカ成分の均一性が良好なセラミックグリーンシートであってシリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムから剥離しやすいセラミックグリーンシートを形成することができるセラミックスラリーを製造するセラミックスラリーの製造方法を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、焼結助剤としてのシリカ成分の均一性が良好なセラミックグリーンシートであってシリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムから剥離しやすいセラミックグリーンシートを有するキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートを提供することである。
この発明のさらに他の目的は、焼結助剤としてのシリカ成分の均一性が良好なセラミックグリーンシートであってシリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムから剥離しやすいセラミックグリーンシートを用いて積層セラミック電子部品を製造する積層セラミック電子部品の製造方法を提供することである。
この発明にかかるセラミックスラリーでは、シリカ成分は、たとえば、湿式合成されたシリカの溶剤分散体であって、シリカ粒子の表面のシラノール基が溶剤中で表面改質されたものである。この場合、シリカ成分は、シリカ粒子の表面のシラノール基がたとえばアルキル基、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基、ニトロ基またはニトリル基を含む官能基によって改質されたものである。
この発明にかかるセラミックスラリーの製造方法は、この発明にかかるセラミックスラリーを製造するセラミックスラリーの製造方法であって、シリカ成分として表面改質したシリカをゾルの形態で添加する工程を含む、セラミックスラリーの製造方法である。
この発明にかかるキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートは、シリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムおよびキャリアフィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを有するキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートであって、セラミックグリーンシートは、キャリアフィルム上にこの発明にかかるセラミックスラリーを塗布することによって形成された、キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートである。
この発明にかかるキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートでは、セラミックグリーンシートは、それを用いて製造される積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の小型化のためには、その厚みが10μm以下に形成されていることが好ましい。
また、この発明にかかるキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートでは、キャリアフィルムは、たとえば、PETフィルムの表面にシリコーン系の離型剤を塗布したものである。
この発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法は、セラミックグリーンシートを用いて積層セラミック電子部品を製造する積層セラミック電子部品の製造方法であって、この発明にかかるキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートを準備する工程と、キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートのキャリアフィルムからセラミックグリーンシートを剥離する工程とを含む、積層セラミック電子部品の製造方法である。
この発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法は、たとえば、セラミックグリーンシートとともに内部電極を積層して積層体を形成する工程と、積層体を切断して未焼成素子を形成する工程と、未焼成素子を焼成してセラミック素子を形成する工程と、セラミック素子に外部電極を形成する工程とを含む。
さらに、この発明では、セラミックスラリーのシリカ成分として表面改質したシリカをゾルの形態で含むので、シリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムおよびセラミックグリーンシート間においてシロキサン結合が抑制され、セラミックグリーンシートがキャリアフィルムの離型剤に強固に結合しない。そのため、この発明によれば、シリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムから剥離しやすいセラミックグリーンシートを形成することができる。
また、この発明によれば、焼結助剤としてのシリカ成分の均一性が良好なセラミックグリーンシートであってシリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムから剥離しやすいセラミックグリーンシートを形成することができるセラミックスラリーを製造するセラミックスラリーの製造方法が得られる。
さらに、この発明によれば、焼結助剤としてのシリカ成分の均一性が良好なセラミックグリーンシートであってシリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムから剥離しやすいセラミックグリーンシートを有するキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートが得られる。
さらに、この発明によれば、焼結助剤としてのシリカ成分の均一性が良好なセラミックグリーンシートであってシリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムから剥離しやすいセラミックグリーンシートを用いて積層セラミック電子部品を製造する積層セラミック電子部品の製造方法が得られる。
この発明によれば、焼結助剤としてのシリカ成分の均一性が良好なセラミックグリーンシートであってシリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムから剥離しやすいセラミックグリーンシートを形成することができるので、セラミックグリーンシートがキャリアフィルムから剥離する際に破れにくくしかもセラミックスの焼結が均一に進行する。そのため、製造される積層セラミック電子部品においてセラミックスを挟む電極間でショート不良率が低下する。
また、この発明によれば、焼結助剤としてのシリカ成分の均一性が良好なセラミックグリーンシートであってシリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムから剥離しやすいセラミックグリーンシートを形成することができるので、セラミックグリーンシートは、その厚みが10μm以下の非常に薄い厚みに形成されても、加工が可能である。
すなわち、セラミックグリーンシートは、その厚みが10μm以下の非常に薄い厚みに形成されると、その強度が弱くなり、キャリアフィルムから剥離する剥離力が大きいと、キャリアフィルムから剥離する際に破損してしまうおそれがある。
それに対して、この発明によれば、セラミックグリーンシートがキャリアフィルムから剥離しやすいので、セラミックグリーンシートは、その厚みが10μm以下の非常に薄い厚みに形成されても、加工が可能である。
このようにセラミックグリーンシートを10μm以下の非常に薄い厚みに形成した場合、製造される積層セラミック電子部品の小型化を図ることができる。この場合、積層セラミックコンデンサとして積層セラミックコンデンサを製造すると、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化を図ることができる。
上述のセラミックスラリーは、セラミック素原料などのセラミックスラリーの材料に、シリカ成分として表面改質したシリカをゾルの形態で添加することによって形成される。
この場合、まず、キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートのセラミックグリーンシートに、Niペーストを印刷することによって、内部電極が形成された電極形成シートが形成される。
次に、電極形成シートおよび電極が形成されていないセラミックグリーンシートを積層し、それらを圧着することによって、内部電極の一端側が交互に異なる側の端面に引き出された積層体が形成される。ここで、電極形成シートなどを積層する際、それらのシートをキャリアフィルムから剥離して積み重ねていってもよく、あるいは、それらのシートどうしを積み重ねた後にキャリアフィルムから剥離していってもよい。
そして、積層体をダイサーによって所定のサイズの未焼成素子にカットし、未焼成素子に脱バインダーおよび焼成を行うことによって、セラミック素子が形成される。
それから、セラミック素子の両端部にAgを導電成分とする導電性ペーストを塗布し、焼付けることによって、内部電極と導通する外部電極が形成される。
このようにしてNiを内部電極としAgを外部電極とする上述の積層セラミックコンデンサが得られる。
すなわち、焼結助剤のシリカ成分としてアルコキシシラン重合物の溶液が添加されたセラミックスラリーからなるセラミックグリーンシートを、シリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルム上に形成すると、セラミックグリーンシートのシリカ成分中に含まれるシラノール基とキャリアフィルムの離型剤に含まれるシラノール基とが、セラミックグリーンシートを乾燥する際に、図2に示すように、キャリアフィルムおよびセラミックグリーンシート間においてシロキサン結合を形成し、セラミックグリーンシートがキャリアフィルムの離型剤に強固に結合する。そのため、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離することが困難となる。
それに対して、上述の実施の形態によれば、セラミックスラリーのシリカ成分として表面改質したシリカをゾルの形態で含むために、すなわち、上述の実施の形態のように表面改質したシリカゾルは、たとえば、ゾル表面のシラノール基がアルキル基やフェニル基など他の官能基に改質されているために、図3に示すように、キャリアフィルムの離型剤とシロキサン結合を形成することがない。そのため、上述の実施の形態によれば、セラミックスラリーからなるセラミックグリーンシートを、シリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルム上に形成しても、キャリアフィルムおよびセラミックグリーンシート間においてシロキサン結合が抑制され、セラミックグリーンシートがキャリアフィルムの離型剤に強固に結合することなく、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離しやすくなる。
すなわち、セラミックグリーンシートは、その厚みが10μm以下の非常に薄い厚みに形成されると、その強度が弱くなり、キャリアフィルムから剥離する剥離力が大きいと、キャリアフィルムから剥離する際に破損してしまうおそれがある。
それに対して、上述の実施の形態によれば、セラミックグリーンシートがキャリアフィルムから剥離しやすいので、セラミックグリーンシートは、その厚みが10μm以下の非常に薄い厚みに形成されても、加工が可能である。
このようにセラミックグリーンシートを10μm以下の非常に薄い厚みに形成した場合、製造される積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化を図ることができる。
セラミックグリーンシート用のセラミックスラリーの調製
500mlのポリエチレン製容器に、メディアとして0.8mmφの部分安定化ジルコニアボールと、トルエン36.5g、エタノール29.7g、セラミック素原料のチタン酸バリウム粉末100g、ポリビニルブチラール系バインダー溶液(溶媒としてトルエンおよびエタノールを1:1の重量比で混合した溶媒を使用した溶液)8.0g、添加成分としてDy、Mg、Mnの各酸化物の混合物0.87g、およびシリカ素材(シリカ成分)として表面改質したトルエンシリカ分散体(日産化学工業社製のTOL−ST)1.33gとを加えて、それらを14時間混合した。
さらに、それらを混合したものに、ポリビニルブチラール系バインダー溶液(溶媒としてトルエンおよびエタノールを1:1の重量比で混合した溶媒を使用した溶液)77.8g、フタル酸ジオクチル3.1g、および帯電防止剤0.6gを添加し、それらを15時間混合して、混合物を得た。
そして、得られた混合物から50メッシュによってメディアを分離して、セラミックグリーンシート用のセラミックスラリーを得た。
得られたセラミックスラリーをグラビアコーターによってキャリアフィルム上に塗布した後、100℃で乾燥して、セラミックグリーンシートを作製し、キャリアフィルムおよびセラミックグリーンシートをキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートとした。セラミックグリーンシートの狙い厚みは1.5μmとした。この場合、キャリアフィルムとしては、たとえばPETフィルムの表面にシリコーン系の離型剤を塗布したものを用いた。
積層セラミックコンデンサは、次の(1)〜(4)の工程を経て作製した。
(1)まず、上述のようにして作製されたキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートのセラミックグリーンシートに、Niペーストをスクリーン印刷することによって、容量形成用の内部電極が形成された電極形成シートを形成した。
(2)次に、電極形成シートを所定枚数積層し、さらにその上下両面側に電極の形成されていないセラミックグリーンシート(外層用シート)を積層し、それらを圧着することによって、各内部電極の一端側が交互に異なる側の端面に引き出された積層体を形成した。ここで、電極形成シートおよび外層用シートを積層する際、それらのシートをキャリアフィルムから剥離して積み重ねていってもよく、あるいは、それらのシートどうしを積み重ねた後にキャリアフィルムから剥離していってもよい。
(3)そして、このように圧着された積層体を、ダイサーによって所定のサイズの未焼成素子にカットした後、未焼成素子に次の脱バインダーおよび焼成を行うことによって、セラミック素子を形成した。
脱バインダーは、未焼成素子を窒素雰囲気中で熱処理することにより行った。
また、焼成は、未焼成素子を弱還元性雰囲気で所定の温度に加熱することにより行った。
(4)それから、形成されたセラミック素子の両端部にAgを導電成分とする導電性ペーストを塗布し、焼付けることによって、内部電極と導通する外部電極を形成した。
実施例2では、実施例1におけるセラミックグリーンシート用のセラミックスラリーの調製において、シリカ素材として、表面改質したトルエンシリカ分散体(日産化学工業社製のTOL−ST)の代わりに、シリカゾルイソプロパノール分散体(日産化学工業社製のIPA−ST)に有機物処理し表面改質したシリカゾルを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、セラミックスラリーを調製し、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを作製し、キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートとした。
実施例3では、実施例1におけるセラミックグリーンシート用のセラミックスラリーの調製において、シリカ素材として、表面改質したトルエンシリカ分散体(日産化学工業社製のTOL−ST)の代わりに、シリカゾルトルエン分散体(扶桑化学工業社製のPL−1−TOL)に有機物処理し表面改質したシリカゾルを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、セラミックスラリーを調製し、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを作製し、キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートとした。
比較例1では、実施例1におけるセラミックグリーンシート用のセラミックスラリーの調製において、シリカ素材として、表面改質したトルエンシリカ分散体(日産化学工業社製のTOL−ST)の代わりに、シリカ微粉末(株式会社トクヤマ製のトクシール)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、セラミックスラリーを調製し、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを作製し、キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートとした。
比較例2では、実施例1におけるセラミックグリーンシート用のセラミックスラリーの調製において、シリカ素材として、表面改質したトルエンシリカ分散体(日産化学工業社製のTOL−ST)の代わりに、テトラエトキシシランと乳酸とを等モルで混合して、テトラエトキシシランを重合し、メタノールに分散させたアルコキシシランの重合物を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、セラミックスラリーを調製し、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを作製し、キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートとした。
比較例3では、実施例1におけるセラミックグリーンシート用のセラミックスラリーの調製において、シリカ素材として、表面改質したトルエンシリカ分散体(日産化学工業社製のTOL−ST)の代わりに、表面改質シリカ粉末(東ソー・シリカ社製のSS−70)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、セラミックスラリーを調製し、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを作製し、キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートとした。
1.セラミックグリーンシートにおけるシリカ成分の均一性
セラミックグリーンシートにおけるシリカ成分の均一性を評価するために、Si元素の均一性をFE−WDXによって評価した。均一性の定量化指標として、Siの元素マッピング塊が円相当径で0.5μm未満のセラミックグリーンシートを、シリカ成分の均一性が良好なものとして、表1に「○」で示し、0.5μm以上のSiの元素マッピング塊が存在するセラミックグリーンシートを、シリカ成分の均一性が悪いものとして、表1に「×」で示した。
2.セラミックグリーンシートの剥離力の測定
セラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離する際の力を測定し、シート剥離力として定量評価した。この場合、縦4cm、横10cmのセラミックグリーンシートの一端を固定し、セラミックグリーンシートを一定の速さでキャリアフィルムから剥離する際に、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートとが90°となる時の剥離力をシート剥離力として測定した。これらのシート剥離力も、表1に示した。なお、比較例2については、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離することができず、シート剥離力は測定不可能であった。
作製された積層セラミックコンデンサにおいてショート発生率を測定した。これらのショート発生率を表2に示した。なお、比較例2については、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離することができず、積層セラミックコンデンサを作製することが不可能であった。
それに対して、比較例1および比較例3では、作製されたセラミックグリーンシートにおけるシリカ成分の均一性が悪く、そのため、作製された積層セラミックコンデンサにおいてショート発生率が40%以上と大きかった。
また、比較例2では、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離することができず、そのため、積層セラミックコンデンサを作製することができなかった。
実施例1〜3では、乾燥工程を経ずに製造した表面改質シリカゾルを用いたことによって、スラリー配合時に解砕の必要がなく、シリカ成分を溶剤中に分散することができた。これによって、実施例1〜3では、セラミックスラリーをセラミックグリーンシートにシート化しても、シリカ成分の均一性に優れたセラミックグリーンシートを作製することができた。また、これによって、実施例1〜3では、セラミックスの焼結が均一に進行し、作製された積層セラミックコンデンサにおいてショート不良率が低かった。
実施例1〜3では、シリカゾルの表面シラノール基を改質しているために、PETフィルムの表面にシリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムに含まれるシラノール基とセラミックグリーンシートのシリカ成分とがセラミックグリーンシートの乾燥時に脱水縮合反応を起こさない。したがって、実施例1〜3では、セラミックグリーンシートの剥離力を大きくする要因であったシロキサン結合の形成がキャリアフィルムおよびセラミックグリーンシート間において抑制されるため、セラミックグリーンシートがキャリアフィルムの離型剤に強固に結合することなく、シリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムからの剥離性を満足するセラミックグリーンシートを作製することができた。
2 セラミック素子
3 セラミック層
4a、4b 内部電極
5a、5b 外部電極
6a、6b 第1のめっき膜
7a、7b 第2のめっき膜
Claims (9)
- 焼結助剤としてシリカ成分を含むセラミックスラリーであって、
前記シリカ成分として表面改質したシリカをゾルの形態で含む、セラミックスラリー。 - 前記シリカ成分は、湿式合成されたシリカの溶剤分散体であって、シリカ粒子の表面のシラノール基が溶剤中で表面改質されたものである、請求項1に記載のセラミックスラリー。
- 前記シリカ成分は、前記シリカ粒子の表面のシラノール基がアルキル基、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基、ニトロ基またはニトリル基を含む官能基によって改質されたものである、請求項2に記載のセラミックスラリー。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のセラミックスラリーを製造するセラミックスラリーの製造方法であって、
シリカ成分として表面改質したシリカをゾルの形態で添加する工程を含む、セラミックスラリーの製造方法。 - シリコーン系の離型剤を塗布したキャリアフィルムおよび前記キャリアフィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを有するキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートであって、
前記セラミックグリーンシートは、前記キャリアフィルム上に請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のセラミックスラリーを塗布することによって形成された、キャリアフィルム付きセラミックグリーンシート。 - 前記セラミックグリーンシートは、厚みが10μm以下に形成された、請求項5に記載のキャリアフィルム付きセラミックグリーンシート。
- 前記キャリアフィルムは、PETフィルムの表面にシリコーン系の離型剤を塗布したものである、請求項5または請求項6に記載のキャリアフィルム付きセラミックグリーンシート。
- セラミックグリーンシートを用いて積層セラミック電子部品を製造する積層セラミック電子部品の製造方法であって、
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載のキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートを準備する工程、および
前記キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートのキャリアフィルムからセラミックグリーンシートを剥離する工程を含む、積層セラミック電子部品の製造方法。 - 前記セラミックグリーンシートとともに内部電極を積層して積層体を形成する工程、
前記積層体を切断して未焼成素子を形成する工程、
前記未焼成素子を焼成してセラミック素子を形成する工程、および
前記セラミック素子に外部電極を形成する工程を含む、請求項8に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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