JP2011522145A - 制御可能な冷却材ポンプ - Google Patents

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Abstract

本発明は、ベルトプーリを駆動する制御可能な内燃機関用冷却材ポンプに関する。本発明の根底をなす課題は、以下のことを可能にする、ベルトプーリを介して制御可能な(バルブスライダを備えた)冷却材ポンプを開発することである。すなわち、エンジンの作動領域全体において有害物質エミッションおよび摩擦損失ならびに燃料消費量を明確に低減でき、かつ、例えばターボチャージャの近傍のように好ましくない熱境界条件の場合にも、しかもまた、据え付けスペースが極めて限られている場合にも、非常にわずかな駆動出力でバルブスライダを確実に操作することを可能にし、しかも、制御に機能不良が生じた場合にも、冷却材ポンプが引き続き機能すること(フェイルセーフ)を保証し、さらに加えて、構造形態が、製造技術上および組み立て技術上非常に簡単で低コストであり、かつ、相異なるポンプサイズに対して「標準化可能」であることによって秀でており、その際、高い動作安全性と信頼性とが、体積効率が高い状態で常時保証することができ、工場側の無気充填が不必要であり、しかも、簡単かつ低コストでエンジン管理に組み入れることができる上記冷却材ポンプを開発することである。環状ピストン(29)に結合された液圧操作式のバルブスライダを備えた、ベルトプーリ(3)を介して制御可能な本発明に係る冷却材ポンプが秀でている点は、背面側においてフライホイール(5)に配置されている、吸入溝(33)を備えた斜板(32)によって、ポンプハウジング(1)内に配置されたアキシャルピストンポンプ(61)が駆動され、かつ「操縦」されて、その「ポンプ送給される体積流量」が、電磁弁(13)によって、液圧操作式のバルブスライダの精確な摺動が保証されるように所定通りに制御されることである。

Description

本発明は、ベルトプーリを駆動する制御可能な内燃機関用冷却材ポンプに関する。
エミッションおよび燃料消費量に関して内燃機関を絶えず最適化していく際に重要であることは、コールドスタート後、内燃機関をできる限り素早く動作温度に持っていくことである。
これにより、摩擦損失が最小限に抑えられ(オイル温度が上昇するにつれてエンジンオイルの粘度は低下し、従ってまた、オイルが塗布された全ての構成部材における摩擦も低下する)、また同時に、エミッション値が低減され(触媒コンバータはいわゆる「着火温度」に達した後にようやく有効になるので、この温度に達するまでの時間は、排ガスエミッションに著しい影響を及ぼす)、燃料消費量も明確に削減される。
エンジン開発における一連の実験から明らかになっていることは、エンジンを加熱するための非常に有効な対策が、コールドスタート段階中の「溜り水」または「ゼロ漏れ」であるということである。
その際、排ガス温度をできる限り素早く所望のレベルにまで持っていくためには、コールドスタート段階の間、シリンダヘッドを冷媒が決して貫流してはならない。
これに関連して、自動車製造業者は、漏れ流量が0.5l/h未満(「ゼロ漏れ」)であることを望んでいる。
さらに、自動車における内燃機関の燃料消費量についての調査から明らかになっていることは、一貫した熱管理(すなわち、エネルギーおよび熱機械の点で最適な内燃機関動作を生じるような対策)によって、燃料を約3%から5%節減できるということである。
従って、従来技術では、内燃機関のクランクシャフトによってベルトプーリを介して駆動される制御可能な冷却材ポンプが既に開示されており、これらの場合、フライホイールが、切り替え可能に(例えば摩擦対合を通じて)ポンプシャフトによって駆動される。
この種の冷却材ポンプを用いることで、簡単な2点制御を実現することができ、この制御によって冷却材ポンプの冷却能力を変動させることが可能である。
まずエンジンの加熱時間を短縮できるように、これらの構造形態を用いて、冷却材ポンプの駆動部はエンジンのコールドスタートの際に切断される。
次にエンジンがその動作温度に達したとき、それぞれの摩擦クラッチ(このクラッチ形態にはその機能に起因する独自の摩耗問題が伴う)が起動され、すなわち、冷却材ポンプの駆動部がオンに切り替えられる。
これによって、即座に、まだ冷温状態にある大量の冷媒が、動作温度にまで加熱されたエンジン内にポンプ送給され、これにより、エンジンは必然的にすぐに再び強力に冷却される。
これによって、エンジンを素早く加熱するという所望の利点は、早くも再び部分的に相殺されてしまう。
さらに、再びオンに切り替える際、特に冷却材ポンプが比較的大きい場合には質量加速が必要とされるので、非常に大きなトルクを克服しなければならない。このようなトルクは、必然的に構成要素に対する高い負荷を生じることになる。
従って、本出願人によって、特許文献1および特許文献2において、これまでのところ有効だと証明された2つの解決手段が提示されている。これらの解決手段は、冷媒搬送量をアクティブ制御することを可能にし、これにより、一方では、「ゼロ漏れ」によってエンジンの最適な加熱を保証することができ、もう一方では、エンジンを加熱した後(すなわち「連続動作」中に)、エンジンの作動範囲全体において有害物質エミッションと摩擦損失とを低減し、同時にまた燃料消費量を明確に低減できるようにエンジン温度に作用を与えることができる。
これらの解決手段の場合、ポンプハウジング内に、それぞれポンプシャフトのシャフト軸方向に摺動可能に軸支された、環状に形成されたバルブスライダが、フライホイールの流出領域を可変に覆う外部シリンダを有して配置されている。このバルブスライダは、戻しばねのばね力とは逆方向に、一つには、特許文献1に記載の解決手段で提案されているように、電磁気を用いて、すなわち、バルブスライダと固定的に結合された電機子に作用する、ポンプハウジング内に配置された磁気コイルを用いて摺動することが可能であり、また一つには、特許文献2に提案されているように、空圧または液圧によって操作されるアクチュエータ(これは、バルブスライダに固定的に配置された、ポンプハウジング内を案内されるピストンロッドに作用する)を用いて線状に摺動することが可能である。
フライホイールの流出領域を可変に覆い、線状に摺動可能に案内されるバルブスライダをこのように配置することは、非常にコンパクトで、簡単かつロバストな解決手段であり、これにより、高い動作安全性と高い信頼性とが保証される。
しかし、短所として、特許文献1および特許文献2で提示された構造形態の製造および組み立ては、上記解決手段のほとんどの機能モジュールが標準化できないので、まだ非常にコスト集約的である。なぜなら、ポンプのそれぞれのサイズについて、これらのほとんどの機能モジュールを別個に製作しなければならないからである。
さらにまた、液圧操作式のアクチュエータは、その動態が0℃未満の液体温度の場合に明らかに損なわれるので、温度感受性を有している。
また、電磁気によって操作される冷却材ポンプを例えばターボチャージャの近傍に据え付ける場合、必然的に電磁コイルの冷却(従ってまた比較的大きな「構造スペース」)が必要である。なぜなら、この冷却がなく、温度が120℃を下回ってしまえば、磁気コイルが破壊される恐れがあるからである。特許文献1のようにポンプハウジング内に配置された磁気コイルの場合に、または、液圧式あるいは空圧式のアクチュエータおよびその接続管の場合に必然的に必要となるこの比較的大きな「構造スペース」には、また別の短所が伴う。
ベルトプーリを介して駆動される制御可能な冷却材ポンプの「必然的な」比較的大きな「構造スペース」に対して、制御可能な冷却材ポンプのためにエンジンルーム内で利用可能な「据え付けスペース」が極めて制限されていることが多く、全く相反している。
独国特許第102005004315号明細書 独国特許第102005062200号明細書
従って、本発明の根底をなす課題は、従来技術の上記短所が取り除かれた、ベルトプーリを介して制御可能な(バルブスライダを備えた)冷却材ポンプを開発することであり、その際、この冷却材ポンプは、一方では、「ゼロ漏れ」によってエンジンの最適な加熱を保証し、さらに他方では、エンジンの作動領域全体において有害物質エミッションおよび摩擦損失ならびに燃料消費量が明確に低減されるように、エンジンの加熱後、連続動作中にエンジン温度に対して精確に作用を与えることができ、さらに、この冷却材ポンプは、例えばターボチャージャの近傍のように好ましくない熱境界条件の場合にも、しかもまた、エンジンルーム内において冷却材ポンプ用の据え付けスペースが極めて限られている場合にも、非常にわずかな駆動出力でバルブスライダを確実に操作することを可能にし、かつ、制御に機能不良が生じた場合にも、冷却材ポンプが引き続き機能すること(フェイルセーフ)を保証する。さらに加えて、この冷却材ポンプの構造形態が秀でている点として、製造技術上および組み立て技術上非常に簡単で低コストであり、相異なるポンプサイズに対して「標準化可能」であって、エンジンルーム内に存在する構造スペースを最適に利用した構造形態を有している。その際、この冷却材ポンプは、高い動作安全性と信頼性とを、体積効率が高い状態で常時保証することができ、工場側の無気充填が不必要であり、しかも、簡単かつ低コストでエンジン管理に組み入れることができる。
この課題は、本発明において、本発明の独立請求項に記載の特徴に従った、ベルトプーリを介して駆動される制御可能な内燃機関用冷却材ポンプによって解決される。
本発明の有利な実施態様、詳細および特徴について、従属請求項と、本発明に係る解決手段の2つの実施形態に関する以下の説明とを基に、本発明に係る解決手段のこれらの両実施形態に関する10枚の図を参照しながら明らかにする。
第1の実施形態における本発明に係る制御可能な冷却材ポンプの断面を示す側面図であり、本発明に係るディスクフィルタ(Spaltfilter)を含む。 本発明に係る制御可能な冷却材ポンプのフライホイール5を示す背面図であり、本発明に係る、個別部材としてのディスクフィルタを含む。 本発明に係る制御可能な冷却材ポンプのフライホイール5を示す、図2のA−Aに沿った部分断面図である。 シリンダスリーブ37のモジュールを個別に示した平面図であり、第1の実施形態との関連で用いられるアキシャルピストンポンプ61を含む。 図4のシリンダスリーブ37の断面を示す側面図であり、この実施形態で用いられる(モジュールとしての)アキシャルピストンポンプ61の、シリンダスリーブ37に組み込まれた諸構成部材を含む。 第2の実施形態における本発明に係る制御可能な冷却材ポンプを示す立体図であり、本発明に係る遠心分離機を含む。 第2の実施形態における本発明に係る制御可能な冷却材ポンプを示す側面図であり、本発明に係る遠心分離機の、図6のA−Aに沿った断面を含む。 第2の実施形態における本発明に係る制御可能な冷却材ポンプを示す側面図であり、本発明に係る遠心分離機の、図6のB−Bに沿った断面を含む。 (図7の)シリンダスリーブ37を示す側面図であり、第2の実施形態で用いられる(モジュールとしての)アキシャルピストンポンプ61の、シリンダスリーブ37に組み込まれた諸構成部材の断面を含む。 第2の実施形態における本発明に係る制御可能な冷却材ポンプを示し、図7のC−Cに沿った遠心分離機の断面を含む。
図1は、第1の実施形態における本発明に係る制御可能な冷却材ポンプの断面を示す側面図であり、本発明に係るディスクフィルタを含み、バルブスライダの状態はその後方の終端位置(すなわち作動状態「開」)にある。
この構造形態では、ポンプハウジング1において、ポンプ軸受2内に、ベルトプーリ3によって駆動されるポンプシャフト4が、このポンプシャフト4の流体側の自由端上に相対回動不能に配置されたフライホイール5を有して配置されている。
さらに、ポンプ内部スペース8内に、戻しばね6によるばね荷重式の、押圧操作されるバルブスライダが、後壁7と、フライホイール5の流出領域を可変に覆う外部シリンダ9とを有して配置されている。
ポンプハウジング1内では、フライホイール5とポンプ軸受2との間においてシール収容部10内にシャフトシールリング11が配置されている。
本発明では、ポンプハウジング1に作動ハウジング12が配置されており、この作動ハウジング内に、入口開口部14を有する電磁弁13が配置されている。この入口開口部14に隣接して、ポンプシャフト側において作動ハウジング12内に圧力室15が配置されており、この圧力室内に圧力通路16がつながっていて、圧力室15を環状通路17に接続している。
この環状通路17は、本発明ではポンプハウジング1内において、フライホイール側でシール収容部10に対向して配置されたスリーブ収容部18に、シャフト4の回転軸線に対して回転対称に内設されている。
これと関連して有利であるのは、ポンプハウジング1と作動ハウジング12とが一体型に製造されている場合である。
また、本発明の構成要件は、スリーブ収容部18内に、環状ピストン作動スリーブ19の外部シリンダ22が、シールウェブ20と底部21とを有して配置されていることであり、その内部シリンダ24内でポンプシャフト4が自在に回転する。
環状ピストン作動スリーブ19の外部シリンダ22には底部21の近傍に、環状通路17への貫流開口部23が配置されている。
環状ピストン作動スリーブ19のフライホイール側の終端には、環状ピストン作動スリーブ19の外部シリンダ22よりも明確に突出した、環状ピストン作動スリーブ19の内部シリンダ24上に、位置確保スリーブ25が摩擦により噛み合って固定されていて、この位置確保スリーブ25に壁板26が固定的に配置されている。
また特徴的であることは、環状ピストン作動スリーブ19の底部21からほぼ貫流開口部23の直径分だけ離間されて、環状ピストン作動スリーブ19内を摺動可能にシール形材27が配置されていることである。このシール形材は、フライホイール側において、当接ウェブ28を備えた環状ピストン29に形状的に噛み合って結合されている。環状ピストン29にはそのフライホイール側終端領域に、バルブスライダの後壁7が形状的に噛み合って配置されている。
これと関連して有利であるのは、シール形材27が、環状ピストン29に配置された付設の連行溝内に結合されている場合である。しかしまた、シールウェブ20とポンプハウジング1との間にシールが配置されている場合も有利である。
本発明では、戻しばね6が、壁板26と、環状ピストン29に当接している、バルブスライダの後壁7との間に配置されている。
これと関連して有利であるのは、環状ピストン29のフライホイール側の終端に縁部ウェブ30が配置されている場合であり、この縁部ウェブは、バルブスライダの後壁7をその作動工程中に当該位置で安定させる。
また、特徴的であるのは、壁板26の外縁にバイパスシール31が配置されていることであり、このバイパスシールは、バルブスライダが「閉」状態の場合に壁板26とバルブスライダの後壁7との間における圧力の増大を防止する。
環状ピストン作動スリーブ19内を案内される円筒状でばね荷重式の環状ピストン29を本発明に従ってこのように配置することで、シール形材27に所定の圧力を印加することよって、バルブスライダの外部シリンダ9を確実かつ非常に精密に摺動させることが可能となり、同時にまた、このような配置が、構造スペースを最適化したコンパクトで、かつ製造技術および組み立て技術の点で簡単な解決手段となり、さらにまた、低コストで非常にロバストな解決手段となって、高い動作安全性と信頼性とを常時保証する。
また、本発明の構成要件は、フライホイール5において、ポンプハウジング側に固定的に斜板32が配置されていることであり、この斜板の「下方領域」内に吸入溝33が設けられており、その際、「上方領域」への移行領域および斜板32の「上方領域」全体は平面的に形成されている。
フライホイール5については、図2において、個別部材として背面図が示されている。図3は、本発明に係る制御可能な冷却材ポンプのフライホイール5を示す、図2のA−Aに沿った部分断面図である。
さらにまた、特徴的であることは、壁板26内において、斜板32に配置された吸入溝33に対して中心位置に貫入孔34が配置されていて、その穿孔軸に対して位置合わせして、一方では、バルブスライダの後壁7に貫入孔35が配置されており、もう一方では、ポンプハウジング1内において圧力通路16の中へつながった挿入孔36が配置されていることである。
本発明の構成要件は、ポンプハウジング1の挿入孔36内において、シリンダスリーブ37が(このシリンダスリーブに組み込まれたアキシャルピストンポンプ61を有して)摩擦により噛み合って配置されていることである。
この実施例では、深絞り加工された精密シリンダスリーブが、ポンプハウジング1の挿入孔36の中へ圧入されている。
これとの関連で有利であるのは、壁板26に内設された貫入孔34内にシリンダスリーブ37を密封するためのシール52が配置されている場合であり、このシールがバイパス漏れを防止する。
また、特徴的であることは、バルブスライダの後壁7に配置された貫入開口部35の壁部が、シリンダスリーブ37の外装に接触しないことであり、これにより、バルブスライダがシリンダスリーブ37に沿って自在に摺動可能である。
図4は、シリンダスリーブ37に組み込まれたアキシャルピストンポンプ61を、図5の方向Aから見た平面図である。
付随する図5は、(図4の)シリンダスリーブ37の断面を示す側面図であり、このシリンダスリーブに組み込まれたアキシャルピストンポンプ61の諸構成部材を含んでいる。
その際に特徴的であることは、シリンダスリーブ37のシリンダスリーブ底部38の領域に流出開口部39が配置されていることである。
その際の構成要件は、シリンダスリーブ底部38の領域においてシリンダスリーブ37の外側に、弁箱40が、弁ばね41と弁板42とを有して配置されており、弁板が、弁ばね41によって流出開口部39の領域でシリンダスリーブ底部38に対して圧し付けられること、および、弁箱40内に複数の貫通開口部43が存在することである。
また、本発明の構成要件は、シリンダスリーブ37内に作動ばね44が配置されていることであり、この作動ばねに、フライホイール側において、貫流孔46を有する作動ピストン45が当接している。
これに関連して有利であるのは、作動ピストン45の外部シリンダに環状溝53が内設されている場合であり、この環状溝内にピストンリング54が配置されて、摩擦損失が最小の状態で最適なシール作用を与える働きをする。
本発明では、ばね荷重式の作動ピストン45とフライホイール5の斜板32との間に、スライドシュー47が貫通孔48を有して配置されており、この貫通孔は、吸入溝33の付設領域に内設されていて、作動ピストン45の貫流孔46に隣接している。
本発明では、スライドシュー47と作動ピストン45との間の接触領域55が、ボールジョイント状に形成されており、これにより、スライドシュー47は、常時「平らに」、すなわち平面的に斜板の付設当接面に当接している。
その際に有利であるのは、スライドシュー47が、係止フック56を備えた締付けスリーブ57によって作動ピストン45に固定される場合であり、その際、締付けスリーブ内にスリーブ貫通孔58が配置されている。
これにより、製造コストだけでなく組み立てコストも最適化される。
次に、図1に示された本発明に係る配置の場合、ベルトプーリ3を介して、ポンプシャフト上に相対回動不能に配置されたフライホイール5が駆動されると、スライドシュー47によって斜板32(ウォッブル板)に当接している作動ピストン45は、シリンダスリーブ37のピストン室59内において行程移動を開始する。
この実施例では、1回転当たりの行程は、最大1ミリメートルである。これは、本発明に係る配置によって、バルブスライダの精確な操作/摺動のために非常にわずかな搬送量で十分であるからである。
次に、図1に示されているように、スライドシュー47が吸入溝33の両側で斜板32に当接している本発明に係る配置によって、フライホイール5が回転する際、本発明に従って斜板に圧し付けられたスライドシュー47が、吸入行程中に斜板32の「下方領域」に沿って移動する。
その際、スライドシュー47内に配置された貫流孔46(あるいは貫流孔46内に配置された締付けスリーブ57のスリーブ貫通孔58)を通じて、冷媒が、本発明に従って所定通りに吸入溝33を介してシリンダスリーブ37のピストン室59へ流入する。
斜板32に内設された吸入溝33は、本発明に従って、スライドシュー47と相俟ってディスクフィルタとして働き、これにより、流入工程中に同時に冷媒の濾過が実現される。
これによって、本発明に係るこの配置は、冷媒によって一緒に導かれる粒子(例えば削り屑や砂粒)に対して耐性を有する。
この実施例では、吸入溝33は、斜板32に0.1mmの深さで内設されている。
作動ピストン45を介して圧縮ばねとして形成された作動ばね44によって斜板32に圧し付けられたスライドシュー47が、斜板32に沿って移動する間に吸入溝33を備えた領域を離れると、流入工程が終了したことになる。
次に、スライドシュー47は、それに続いて斜板32の「上方領域」に沿って移動する間、作動ピストン45をシリンダスリーブ37のピストン室59の中に圧し入れる。
その際、事前にピストン室59の中に濾過して吸入された冷媒は、シリンダスリーブ37のシリンダスリーブ底部38に配置された流出開口部39を介して押圧される。
弁ばね41によって荷重が印加された弁板42は持ち上げられ、同時にまた、吸入された冷媒は、弁板42の縁部に配置された孔60を介して、弁箱40内に配置された貫通開口部43の中を通って圧力通路16内へ圧し入れられる(図7)。
電磁弁13に配置された出口開口部49に隣接して、本発明では、作動ハウジング12内に流出溝50が配置されている。
本発明の構成要件は、この流出溝50が、作動ハウジング12からポンプハウジング1内に導く還流孔51を介してポンプ内部スペース8に接続されていることである。
電磁弁13は、無電状態では開いている。
ピストンポンプの作動ピストン45は、電磁弁13が「開」の場合、冷却液を加圧なしで電磁弁13の出口開口部49を介して再びポンプ内部スペースの中へ搬送して戻す。
必要であれば、電磁弁13によって、(圧力通路16内、環状通路17内、および環状通路17に接続された、環状ピストン作動スリーブ19のスペース内の)圧力は無段階に増大される。
その際、ピストンポンプによって搬送された冷却液は、環状通路17内に到達し、そこから貫流開口部23を介して環状ピストン作動スリーブ19内へ圧入される。
そこでは、こうして圧入された冷却液によって、シール形材27に(電磁弁13を介して)所定通りに調整可能に圧力が印加され、従ってまた、ばね荷重式の環状ピストン29に圧力が印加される。これにより、環状ピストンを並進的に精確に走行させることができる。
本発明に係るこの配置に基づいて、このようにバルブスライダの外部シリンダ9が所定通りに摺動されて、搬送される冷媒体積流量の精確な制御が実現される。
(バルブスライダが閉じられた状態での)エンジンの加熱段階の後、電磁弁によって、圧力通路内の圧力が精確に制御され、従ってまた、バルブスライダをフライホイールの外縁に沿って所定通りに走行させることが実現される。他方、これにより、連続動作においてエンジン温度に精確に作用を与えることができ、従って、エンジンの作動領域全体において、有害物質エミッションと摩擦損失ならびに燃料消費量を明確に低減することができる。
例えばターボチャージャの近傍のように好ましくない熱境界条件の場合にも、エンジンルーム内において冷却材ポンプ用の据え付けスペースが極めて限られている場合にも、本発明に係る解決手段は、電磁弁が冷却材ポンプハウジングに組み込まれ、同時にまた冷媒によって冷却材ポンプハウジング内で冷却されるこの配置によって、最小限の構造容積の場合にも最適な冷却を保証する。
さらに、本発明に係る解決手段は、非常にわずかな駆動出力でバルブスライダを確実に操作することを可能にする。
本発明に係る解決手段によって、制御に機能不良が生じた場合にも、冷却材ポンプが引き続き機能すること(フェイルセーフ)が保証されている。これは、無電状態で電磁弁が開いているからであり、これによって、圧力通路16内および環状通路内17の圧力が低下し、戻しばね6が、この場合にバルブスライダを「開」の(後方の)作動状態に移す。
環状ピストン29がばね荷重によって「フェイルセーフ状態」に「後退」した場合、作動ピストンによってポンプ送給された冷媒は、圧力通路16から開いた電磁弁13を介して還流孔51内へ案内され、さらにそこから、本発明に係る冷却材ポンプのポンプ内部スペース8内へ導き戻される。
次に、図6から図10には、本発明に係る制御可能な冷却材ポンプの別の実施形態が示されている。
図6は、本発明に係る特有の遠心分離機を備えたこの第2の実施形態を示す立体図である。
この場合も、ポンプハウジング1には、電磁弁13を有する作動ハウジング12が配置されている。
図7は、本発明に係る制御可能な冷却材ポンプを示す側面図であり、図6のA−Aに沿った断面を示す。
本発明に係る制御可能な冷却材ポンプのこの第2の実施形態もまた、ポンプハウジング1、ポンプハウジング1内/面においてポンプ軸受2内に軸支された、ベルトプーリ3によって駆動されるポンプシャフト4、このポンプシャフト4の流体側の自由端上に相対回動不能に配置されたフライホイール5、後壁7とフライホイール5の流出領域を可変に覆う外部シリンダ9とを備えてポンプ内部スペース8内に配置された、戻しばね6によるばね荷重式の押圧操作されるバルブスライダ、および、ポンプハウジング1内でフライホイール5とポンプ軸受2との間においてシール収容部10内に配置されたシャフトシール11を具備している。
また本発明に係るこの構造形態の場合も、秀でている点は、ポンプハウジング1に配置された作動ハウジング12内に、入口開口部14を有する電磁弁13が配置されている点であり、その際、作動ハウジング12内でこの入口開口部14にポンプシャフト側において隣接して、圧力室15が配置されており、この圧力室内に圧力通路16がつながっていて、圧力室15を環状通路17に接続している。この環状通路は、ポンプハウジング1内においてフライホイール側でシール収容部10に対向して配置されたスリーブ収容部18に、シャフト4の回転軸線に対して回転対称に内設されている。本発明においても、スリーブ収容部18内に、環状ピストン作動スリーブ19が、シールウェブ20と底部21とを有して配置されており、この環状ピストン作動スリーブ内でポンプシャフト4が自在に回転し、かつ、環状ピストン作動スリーブの外部シリンダ22には底部21の近傍に、環状通路17への貫流開口部23が配置されている。その際、フライホイール側の終端には、外部シリンダ22よりも明確に突出した、環状ピストン作動スリーブ19の内部シリンダ24上に、位置確保スリーブ25が摩擦により噛み合って配置されていて、この位置確保スリーブに壁板26が固定的に配置されており、また、環状ピストン作動スリーブ19の底部21からほぼ貫流開口部23の直径分だけ離間されて、環状ピストン作動スリーブ19内を摺動可能にシール形材27が配置されている。このシール形材は、フライホイール側において、当接ウェブ28を備えた環状ピストン29に形状的に噛み合って結合されている。この環状ピストンのフライホイール側の上端壁に、バルブスライダの後壁7が形状的に噛み合っておよび/または摩擦により噛み合って配置されている。その際、戻しばね6が、壁板26と環状ピストン29との間に、または、壁板26と、環状ピストン29に当接した/配置された、バルブスライダの後壁7との間に配置されている。
環状ピストン作動スリーブ19内を案内される円筒状でばね荷重式の環状ピストン29を本発明に従ってこのように配置することで、既に前述の(図1から図5に示した)実施形態との関連で説明した本発明に係る効果全てを有して、シール形材27に所定の圧力印加を行うことを通じて、バルブスライダの外部シリンダ9を確実かつ非常に精密に摺動させることが可能となり、同時にまた、このような配置が、構造スペースを最適化したコンパクトで、かつ製造技術および組み立て技術の点で簡単な解決手段となり、さらにまた、低コストで非常にロバストな解決手段となって、高い動作安全性と信頼性とを常時保証する。
また、これとの関連で特徴的であることは、この実施形態では、バイパスシールがバルブスライダの各状態において壁板26とバルブスライダの後壁との間における圧力の増大を防止するように、また、この防止によって、図1から図5に示した解決手段よりもさらに格段に精密に(繊細に)バルブスライダを摺動させることを可能にするように、壁板26の外縁にバイパスシール31が配置されていることである。
本発明の構成要件は、この構造形態の場合も、フライホイール5において、ポンプハウジング側に固定的に斜板32が配置されていることであり、この斜板の「下方領域」内に吸入溝33が設けられており、その際、「上方領域」への移行領域および斜板32の「上方領域」全体は平面的に形成されている。
また、これとの関連で特徴的であることは、ポンプハウジング1に、フライホイール5の方向にポンプハウジング1よりも突出した複数のドーム、すなわち、1つのポンプドーム63、1つまたは複数の壁板固定ドーム64および1つの還流ドーム65が配置されていること、かつ、後壁7において、これらのドームの領域に付設された貫入開口部35が配置されていることであり、これらの貫入開口部は、バルブスライダの「自在な」走行性を保証する。
さらにまた特徴的であることは、壁板26が、固定要素71を用いてポンプハウジング1の壁板固定ドーム64に固定的に配置されていること、および、壁板固定ドーム64を介してポンプハウジング1に固定的に結合された壁板26内に、一方では、斜板32内に配置された吸入溝33に対して中心位置にに貫入孔34が配置されていて、その穿孔軸に対して位置合わせして、ポンプハウジング1のポンプドーム63内に、圧力通路16の中へつながった挿入孔36が配置されていること、および、他方では、壁板貫通孔73が配置されていて、この壁板貫通孔は、還流ドーム65内に配置された還流孔51の穿孔軸に対して中心位置に配置されていることである。
有利であるの、図7に示されているように、ポンプドーム63において、ポンプドーム63内の挿入孔36と壁板26内に配置された貫入孔34との間にポンプドームシール70が配置されている場合であり、このポンプドームシールは、そこで隣接し合う構成部材間の漏れを防止する。
さらにまた有利であるのは、図8に示されているように、還流ドーム65においても、還流孔51の出口領域で還流孔51と壁板26に配置された壁板貫通孔73との間に還流ドームシール74が配置されている場合であり、この還流ドームシールは、そこで隣接し合う構成部材間の漏れを防止する。
本発明では、ポンプハウジング1のポンプドーム63内の挿入孔36に、シリンダスリーブ37が、このシリンダスリーブ37に組み込まれたアキシャルピストンポンプ61を有して形状的に噛み合っておよび摩擦により噛み合って配置されている。
図9は、図7に示されたこのシリンダスリーブ37を示す側面図であり、この実施形態で用いられるアキシャルピストンポンプ61の、このシリンダスリーブ37に組み込まれた諸構成部材の断面を含む。
その際、本発明では、シリンダスリーブ37のシリンダスリーブ底部38の領域に流出開口部39が配置されており、かつ、シリンダスリーブ底部38の領域において、シリンダスリーブ37の外側に、弁箱40が、弁ばね41と弁板42とを有して配置されており、弁板が、弁ばね41によって流出開口部39の領域でシリンダスリーブ底部38に対して圧し付けられる。その際、弁箱40内に1つまたは複数の貫通開口部43が存在し、また、シリンダスリーブ37内にアキシャルピストンポンプ61のまた別のモジュールとして作動ばね44が配置されており、この作動ばねに、フライホイール側において、貫流孔46を備えた付随する作動ピストン45が当接している。
本発明の構成要件は、アキシャルピストンポンプ61のばね荷重式の作動ピストン45とフライホイール5の斜板32との間に(図7)、スライドシュー47が貫通孔48を有して配置されており、この貫通孔が、吸入溝33の付設領域に内設されていて、作動ピストン45の貫流孔46に隣接していることである。
次に、図7に示された本発明に係る配置の場合、ベルトプーリ3を介して、ポンプシャフト4上に相対回動不能に配置されたフライホイール5が駆動されると、スライドシュー47によって斜板32(ウォッブル板)に当接している、アキシャルピストンポンプ61の作動ピストン45は、シリンダスリーブ37のピストン室59内において行程移動を開始する。
この実施例では、1回転当たりの行程は、最大2ミリメートルである。これは、本発明に係る配置によって、バルブスライダの精確な操作/摺動のために非常にわずかな搬送量で十分であるからである。
図10は、図7に示された本発明に係る制御可能な冷却材ポンプを示し、線C−Cに沿った本発明に係る遠心分離機の断面を含む。
本発明に係るこの実施形態では、斜板32に約0.6mmの深さで内設された吸入溝33が、斜板32とスライドシュー47との間に配置された、吸入溝33を覆う遠心分離機62によって被覆される。
ポンプハウジング側でフライホイール5において斜板32を被覆するこの遠心分離機62は、本発明では、係止部66を用いて形状的に噛み合って、かつ、締付けリング67を用いて摩擦により噛み合って、フライホイール5において斜板32に結合されている。
特徴的であることは、遠心分離機62が、吸入溝33の領域に配置された薄壁の円環板によって形成されることであり、図10に示されているように、この円環板において、吸入溝33の領域に多数のレーザー孔68が配置されている。
この実施例では、遠心分離機62内に約4000個のレーザー孔が吸入溝33の領域に配置されている。
遠心分離機62がフライホイール5の斜板32に摩擦により噛み合っておよび形状的に噛み合ってこのように配置されることによって、遠心分離機62がひどく汚れている場合でも、アキシャルピストンポンプ61の作動工程の間、レーザー孔を備えた領域を斜板32の吸入溝33の領域に確実に位置決めできることが保証されている。
本実施例では、本発明に係る遠心分離機62の円環板の厚さは0.3mmであり、この実施例で用いられるレーザー孔68は円錐状の断面を有する。この円錐状のレーザー孔68の最小直径は0.1mmであり、本発明では、スライドシュー47の方を向いた、遠心分離機62の側面上に配置されている。
この円錐状のレーザー孔68の、吸入溝33側の設定最大直径は、この実施例の場合、0.15mmである。
こうして、斜板32に配置された本発明に係る遠心分離機62と、遠心分離機62に当接する、アキシャルピストンポンプ61のスライドシュー47とを有する、図7から図10に示された本発明に係る配置によって、フライホイール5が回転する際、本発明に従って遠心分離機62に圧し付けられたスライドシュー47が、吸入行程中に斜板32の「下方領域」に沿って移動し、また斜板32のこの「下方領域」には吸入溝33が配置されている。
この構造形態において斜板32とアキシャルピストンポンプ61のスライドシュー47との間に配置された遠心分離機62は、吸入溝33の領域にレーザー孔68を備えている。
次に「吸入行程」の間に、吸入溝33から外側へ、レーザー孔68の中を通って、スライドシュー47に配置された還流孔46の中へ(あるいは貫流孔46に配置された締付けスリーブ57のスリーブ貫通孔58を通じて)、冷媒が、本発明に従って所定通りに吸入溝33を介してシリンダスリーブ37のピストン室59の中に流入される。
こうして、斜板32とアキシャルピストンポンプ61のスライドシュー47との間に配置された本発明に係る遠心分離機62によって、第1の実施例で提示された、ディスクフィルタを有する構造形態よりも、斜板32に格段に深く内設された吸入溝33を実現でき、この吸入溝は、このことから生じる流体力学上の全ての長所を有している。
この場合、本発明に係る遠心分離機62によって、まず一つには、「遠心力による分離機」として、吸入溝33内に流入する冷媒の濾過が行われる。なぜなら、冷媒によって一緒に導かれてきた好ましくない異物(例えば削り屑や砂粒等)に作用する、フライホイール5の周速度(遠心分離機62が回転する際の周速度)から生じる遠心力が、レーザー孔68の領域において、レーザー孔68内への流入速度に基づいて異物に作用する「吸引力」よりも格段に大きいからである。
同時にまた、遠心分離機62は、「衝突による分離器」としても作用する。なぜなら、レーザー孔68に対して真面に当たらない全ての異物が、レーザー孔68間に配置された「遠心分離機62の基材」から跳ね返り、さらに遠心効果によって払い除けられるからである。
本発明ではレーザー孔68が円錐状の形態であるので、レーザー孔は、収束器として働き、とりわけ、吸入段階における圧力損失を最小限に抑える。
さらに、各回転時に、レーザー孔68を備えた、遠心分離機62の領域を「通過」する、アキシャルピストンポンプ61のスライドシュー47は、「擦り取り作用」を有し、これにより、自浄効果が加わる。
さらに、この自浄効果は、各レーザー孔68の貫流が、フライホイール5の各回転時に2回(1回は吸入溝33内へ入る際、その後、スライドシュー47を介して再び吸入溝33から出る際に)生じて、その際に補足的に洗浄が行われることによっても支援される。
車両の停止時間がかなり長い場合には、結晶化作用の結果、レーザー孔68にゼリー状物や粒子が「詰まる」恐れがあるが、このような場合にも、本発明に係る配置によって、(遠心分離機62のレーザー孔領域の通過が、毎秒50回、上記の全ての作用と、レーザー孔が閉じられていることによって非常に高くなった吸引圧力とを伴って行われるような例えば3000回/分のエンジン回転数の場合)超音波洗浄に非常に近い洗浄効果が得られ、これにより、本発明に係る遠心分離機62は、極めて厳しい条件下でも自己洗浄し、さらに、既に生じてしまった結晶が再び溶解する。
本発明に係るこの配置によって、第1の実施例で提示された実施形態よりも、明らかに多くの「流入体積流量」が実現でき、その際、冷媒が一緒に導いてきた粒子に対する耐性を有し、さらに、極めて高い信頼性において非常に高い耐久性を保証する。
図6から図10に提示された実施形態の作用原理は、既に図1から図5との関連で説明した実施形態と類似している。
(作動ピストン45を介して)圧縮ばねとして形成された作動ばね44によって斜板32に圧し付けられたスライドシュー47が、斜板32に配置された遠心分離機62に沿って移動する間に吸入溝33をレーザー孔68によって被覆する領域を離れると、流入工程が終了したことになる。
次に、スライドシュー47は、それに続いて斜板32の「上方領域」に沿って移動する間、作動ピストン45をシリンダスリーブ37のピストン室59の中に圧し入れる。
その際、事前にピストン室59の中に濾過して吸入された冷媒は、シリンダスリーブ37のシリンダスリーブ底部38に配置された流出開口部39を介して押圧される。
弁ばね41によって荷重が印加された弁板42は持ち上げられ、同時にまた、吸入された冷媒は、弁板42の縁部に配置された孔60を介して、弁箱40内に配置された貫通開口部43の中を通って圧力通路16内へ圧し入れられる(図7)。
図8には、図6の本発明に係る制御可能な冷却材ポンプを示す側面図であり、線B−Bに沿った断面を含む。
図8のこの断面図に示されているように、電磁弁13に出口開口部49が配置されており、作動ハウジング12内においてこの出口開口部に隣接して、作動ハウジング12からポンプハウジング1内に導く還流孔51が配置されており、これらの還流孔は、出口開口部49をポンプ内部スペース8に接続する。電磁弁13は無電状態では開いている。
ピストンポンプの作動ピストン45は、電磁弁13が「開」の場合、冷却液を加圧なしで電磁弁13の出口開口部49を介して再びポンプ内部スペース8の中へ搬送して戻す。
必要であれば、電磁弁13によって、(圧力通路16内、環状通路17内、および環状通路17に接続された、環状ピストン作動スリーブ19のスペース内の)圧力は無段階に増大される。
その際、アキシャルピストンポンプ61によって搬送された冷却液は、環状通路17内に到達し、そこから貫流開口部23を介して環状ピストン作動スリーブ19内へ圧入される。
そこでは、こうして圧入された冷却液によって、シール形材27に(電磁弁13を介して)所定通りに調整可能に圧力が印加され、従ってまた、ばね荷重式の環状ピストン29に圧力が印加される。これにより、環状ピストンを並進的に精確に走行させることができる。
本発明に係る配置に基づいて、このようにバルブスライダの外部シリンダ9が所定通りに摺動されて、搬送される冷媒体積流量の精確な制御が実現される。
(バルブスライダが閉じられた状態での)エンジンの加熱段階の後、電磁弁13によって、圧力通路内の圧力が精確に制御され、従ってまた、バルブスライダをフライホイール5の外縁に沿って所定通りに走行させることが実現される。他方、これにより、連続動作においてエンジン温度に精確に作用を与えることができ、従って、エンジンの作動領域全体において、有害物質エミッションと摩擦損失ならびに燃料消費量を明確に低減することができる。
例えばターボチャージャの近傍のように好ましくない熱境界条件の場合にも、エンジンルーム内において冷却材ポンプ用の据え付けスペースが極めて限られている場合にも、本発明に係る解決手段は、電磁弁13が冷却材ポンプハウジングに組み込まれ、同時にまた冷媒によって冷却材ポンプハウジング内で冷却されるこの配置によって、最小限の構造容積の場合にも最適な冷却を保証する。
さらに、本発明に係る解決手段は、非常にわずかな駆動出力でバルブスライダを確実に操作することを可能にする。
本発明に係る解決手段によって、制御に機能不良が生じた場合にも、冷却材ポンプが引き続き機能すること(フェイルセーフ)が保証されている。これは、無電状態で電磁弁13が開いているからであり、これによって、圧力通路16内および環状通路内17の圧力が低下し、戻しばね6が、この場合にバルブスライダを「開」の(後方の)作動状態に移す。
環状ピストン29がばね荷重によって「フェイルセーフ状態」に「後退」した場合、作動ピストンによってポンプ送給された冷媒は、圧力通路16から開いた電磁弁13を介して還流孔51内へ案内され、さらにそこから、本発明に係る冷却材ポンプのポンプ内部スペース8内へ導き戻される。
これらの実施例で提示された、本発明に係る解決手段の両実施形態がそれぞれ秀でている点は、製造技術上および組み立て技術上非常に簡単で低コストであり、相異なるポンプサイズに対して「標準化可能」であって、エンジンルーム内に存在する構造スペースを最適に利用した構造形態を有することであり、これらの実施形態では、工場側の無気充填が不必要である。
さらに、これらの実施例で提示された、本発明に係る解決手段の両実施形態が秀でている点は、高い動作安全性と信頼性であり、これらの実施形態は、それぞれの利用例に従って高い体積効率を保証する。
その際、ここに提示された解決手段は、常時簡単かつ低コストでエンジン管理に組み入れることができる。
1 ポンプハウジング
2 ポンプ軸受
3 ベルトプーリ
4 ポンプシャフト
5 フライホイール
6 戻しばね
7 後壁
8 ポンプ内部スペース
9 外部シリンダ
10 シール収容部
11 シャフトシールリング
12 作動ハウジング
13 電磁弁
14 入口開口部
15 圧力室
16 圧力通路
17 環状通路
18 スリーブ収容部
19 環状ピストン作動スリーブ
20 シールウェブ
21 底部
22 外部シリンダ
23 貫流開口部
24 内部シリンダ
25 位置確保スリーブ
26 壁板
27 シール形材
28 当接ウェブ
29 環状ピストン
30 縁部ウェブ
31 バイパスシール
32 斜板
33 吸入溝
34 貫入孔
35 貫入開口部
36 挿入孔
37 シリンダスリーブ
38 シリンダスリーブ底部
39 流出開口部
40 弁箱
41 弁ばね
42 弁板
43 貫通開口部
44 作動ばね
45 作動ピストン
46 還流孔
47 スライドシュー
48 貫通孔
49 出口開口部
50 流出溝
51 還流孔
52 シールリング
53 環状溝
54 ピストンリング
55 接触領域
56 係止フック
57 締付けスリーブ
58 スリーブ貫通孔
59 ピストン室
60 孔
61 アキシャルピストンポンプ
62 遠心分離機
63 ポンプドーム
64 壁板固定ドーム
65 還流ドーム
66 係止部
67 締付けリング
68 レーザー孔
69 保持金属薄板
70 ポンプドームシール
71 固定要素
72 ピストンシール
73 壁板貫通孔
74 還流ドームシール

Claims (9)

  1. 制御可能な冷却材ポンプであって、ポンプハウジング(1)、このポンプハウジング(1)内/面においてポンプ軸受(2)内に軸支された、ベルトプーリ(3)により駆動されるポンプシャフト(4)、このポンプシャフト(4)の流体側の自由端上に相対回動不能に配置されたフライホイール(5)、後壁(7)とフライホイール(5)の流出領域を可変に覆う外部シリンダ(9)とを備えてポンプ内部スペース(8)内に配置された、戻しばね(6)によるばね荷重式の押圧操作されるバルブスライダ、および、ポンプハウジング(1)内でフライホイール(5)とポンプ軸受(2)との間においてシール収容部(10)内に配置されたシャフトシール(11)を具備する制御可能な冷却材ポンプにおいて、
    − 前記ポンプハウジング(1)に作動ハウジング(12)が配置されており、この作動ハウジング内に、入口開口部(14)を有する電磁弁(13)が配置されていて、この入口開口部(14)に隣接して、ポンプシャフト側において作動ハウジング(12)内に圧力室(15)が配置されており、圧力通路(16)が、この圧力室内につながっていて、圧力室(15)を環状通路(17)に接続しており、この環状通路が、ポンプハウジング(1)内においてフライホイール側でシール収容部(10)に対向して配置されたスリーブ収容部(18)に、シャフト(4)の回転軸線に対して回転対称に内設されていること、
    − 前記スリーブ収容部(18)内に、環状ピストン作動スリーブ(19)がシールウェブ(20)と底部(21)とを有して配置されており、この環状ピストン作動スリーブ内でポンプシャフト(4)が自在に回転し、かつ、この環状ピストン作動スリーブの外部シリンダ(22)には底部(21)の近傍に、環状通路(17)への貫流開口部(23)が配置されており、その際、フライホイール側の終端には、外部シリンダ(22)よりも明確に突出した、環状ピストン作動スリーブ(19)の内部シリンダ(24)上に、位置確保スリーブ(25)が、形状的に噛み合っておよび/または摩擦により噛み合って配置されており、この位置確保スリーブに壁板(26)が固定されて配置されていること、
    − 前記環状ピストン作動スリーブ(19)の底部(21)からほぼ貫流開口部(23)の直径分だけ離間されて、環状ピストン作動スリーブ(19)内を摺動可能にシール形材(27)が配置されており、このシール形材が、フライホイール側において、当接ウェブ(28)を備えた環状ピストン(29)に形状的に噛み合って結合していて、この環状ピストンのフライホイール側の上端壁に、バルブスライダの後壁(7)が形状的に噛み合っておよび/または摩擦により噛み合って配置されていること、
    − 前記戻しばね(6)が、壁板(26)と環状ピストン(29)との間に、または、壁板(26)と、環状ピストン(29)に配置された、バルブスライダの後壁(7)との間に配置されていること、
    − 前記壁板(26)の外縁に、バイパスシール(31)が配置されていること、
    − 前記フライホイール(5)において、ポンプハウジング側に固定的に斜板(32)が配置されていて、この斜板の「下方領域」内に吸入溝(33)が設けられており、その際、「上方領域」への移行領域および斜板(32)の「上方領域」全体が平面的に形成されていること、
    − 前記壁板(26)内において、前記斜板(32)に配置された吸入溝(33)に対して中心位置に貫入孔(34)が配置されていて、その穿孔軸に対して位置合わせして、一方では、ポンプハウジング(1)内に配置された、圧力通路(16)の中へつながる挿入孔(36)が配置されており、また他方では、バルブスライダの後壁(7)内に、ポンプハウジング(1)の構造形態に従って、1つまたは複数の貫入開口部(35)が配置されていること、
    − 前記ポンプハウジング(1)の挿入孔(36)に、シリンダスリーブ(37)が形状的に噛み合っておよび/または摩擦により噛み合って配置されており、このシリンダスリーブにアキシャルピストンポンプ(61)が組み込まれていること、
    − 前記シリンダスリーブ(37)のシリンダスリーブ底部(38)の領域に、1つまたは複数の流出開口部(39)が配置されていること、
    − 前記シリンダスリーブ底部(38)の領域において、シリンダスリーブ(37)の外側に、弁箱(40)が、弁ばね(41)と弁板(42)とを有して配置されており、弁板が、弁ばね(41)によって流出開口部(39)の領域でシリンダスリーブ底部(38)に対して圧し付けられること、
    − 前記弁箱(40)内に、1つまたは複数の貫通開口部(43)が存在すること、
    − 前記シリンダスリーブ(37)内に、アキシャルピストンポンプ(61)のまた別のモジュールとして作動ばね(44)が配置されており、この作動ばねに、フライホイール側において、貫流孔(46)を備えた付随する作動ピストン(45)が当接していること、
    − アキシャルピストンポンプ(61)のばね荷重式の作動ピストン(45)と前記フライホイール(5)の斜板(32)との間に、スライドシュー(47)が貫通孔(48)を有して配置されており、この貫通孔が、前記吸入溝(33)の付設領域に内設されて、作動ピストン(45)の貫流孔(46)に隣接していること、
    − 前記電磁弁(13)に出口開口部(49)が配置されており、前記作動ハウジング(12)内において、この出口開口部に直接的に隣接して、または流出溝(50)を介して間接的に隣接して、前記作動ハウジング(12)から前記ポンプハウジング(1)内に導く1つまたは複数の還流孔(51)が配置されており、この還流孔が、出口開口部(49)を前記ポンプ内部スペース(8)に接続することを特徴とする制御可能な冷却材ポンプ。
  2. 前記電磁弁(13)に出口開口部(49)が配置されており、この出口開口部が、前記作動ハウジング(12)内および前記ポンプハウジング(1)内に配置された1つまたは複数の還流孔(51)の中につながり、この還流孔が前記ポンプ内部スペース(8)の中に導通することを特徴とする請求項1に記載の制御可能な冷却材ポンプ。
  3. 前記スライドシュー(47)の寸法が、このスライドシューが前記吸入溝(33)の両側で前記斜板(32)に当接するように設定されており、吸入溝(33)が0.03mmから0.1mmの深さで斜板(32)に内設されていて、スライドシュー(47)と相俟ってディスクフィルタとして働くことを特徴とする請求項1に記載の制御可能な冷却材ポンプ。
  4. 前記吸入溝(33)が、0.03mmから5.00mmの深さで前記斜板(32)に内設されていて、前記斜板(32)と前記スライドシュー(47)との間に、この吸入溝(33)を覆う遠心分離機(62)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の制御可能な冷却材ポンプ。
  5. 前記ポンプハウジング(1)に、前記フライホイール(5)の方向にポンプハウジング(1)よりも突出した複数のドーム、すなわち、1つのポンプドーム(63)、1つまたは複数の壁板固定ドーム(64)および1つの還流ドーム(65)が配置されていること、かつ、後壁(7)においてこれらのドームの領域に、バルブスライダが「自在に」走行できるように付設の貫入開口部(35)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の制御可能な冷却材ポンプ。
  6. ポンプハウジング側で前記フライホイール(5)において前記斜板(32)を被覆する前記遠心分離機(62)が、係止部(66)を用いて形状的に噛み合って、かつ、締付けリング(67)を用いて摩擦により噛み合って、フライホイール(5)において斜板(32)に結合されていることを特徴とする請求項4に記載の制御可能な冷却材ポンプ。
  7. 前記遠心分離機(62)が、前記吸入溝(33)の領域に配置された薄壁の円環板によって形成され、この円環板において少なくとも吸入溝(33)の領域に、孔直径が0.03mmから0.2mmの多数のレーザー孔(68)が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の制御可能な冷却材ポンプ。
  8. 前記遠心分離機(62)の円環板が、0.05mmから1.0mmの厚さを有することを特徴とする請求項4に記載の制御可能な冷却材ポンプ。
  9. 前記レーザー孔(68)が円錐状の断面を有し、その際、この円錐状のレーザー孔(68)の最小直径が、前記スライドシュー(47)の方を向いた、前記遠心分離機(62)の側面上に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の制御可能な冷却材ポンプ。
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