JP2011511201A - 圧力制御されるノズルを備えたコンパクトな噴射装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、噴射装置であって、燃料ポンプ(20a)と調圧器(20b)とインジェクタ(20c)と空気調整エレメント(20d)とが設けられている形式のものに関する。このような形式の噴射装置において本発明の構成では、燃料ポンプ(20a)と調圧器(20b)とインジェクタ(20c)と空気調整エレメント(20d)とが、噴射モジュール(2)の一体の構成部材であり、インジェクタ(20c)が、圧力室(41)とノズル体(44)とダイヤフラム(42)とを備えた圧力制御されるノズル(40)を有している。

Description

本発明は、燃料ポンプと調圧器と、圧力制御されるノズルを備えたインジェクタと、空気調整エレメントとが設けられている、コンパクト構造形式の噴射装置に関する。
噴射装置は従来技術に基づいて種々様々な構成のものが公知である。特にコスト及び構造スペースの理由から、単に1つ又は2つのシリンダと小さな行程空間しか有していない小型内燃機関は、独自の解決策を要求する。このような小型内燃機関の使用領域は、例えば二輪車又は三輪車又は芝刈り機などである。公知の噴射装置は通常、タンク内に、調圧器を備えた燃料ポンプを有しており、この場合燃料ポンプは燃料を所定の圧力で管路、例えばレール又はこれに類したものに圧送する。管路の端部にはインジェクタが配置されており、このインジェクタは、制御装置によって制御されて、燃料を吸気管に、又は直に内燃機関に噴射する。このような噴射装置はしかしながら極めて高価であり、その結果このような噴射装置は小型内燃機関を同様に極めて高価にしてしまう。
EP1340906B1に基づいて公知の、電子制御装置を備えた燃料噴射装置では、インジェクタはポンプピストンの近傍に配置されている。さらにこの場合、ピストンの圧縮行程の開始段階において燃料にフィード圧を加えるフィード圧弁が、タンクに通じる燃料の戻し管路に設けられている。このフィード圧弁は、圧力室内における燃料の一部を戻し管路の真空により排出する。これによってインジェクタ内におけるベーパの形成を減じることができる。しかしながらこの公知の燃料噴射装置では、構造が複雑で、装置は大きな構造空間を要する。
発明の利点
請求項1の特徴部記載の本発明による噴射装置、すなわち燃料ポンプと調圧器とインジェクタと空気調整エレメントとが設けられている形式の噴射装置において、燃料ポンプと調圧器とインジェクタと空気調整エレメントとが、噴射モジュールの一体の構成部材であり、インジェクタが、圧力室とノズル体とダイヤフラムとを備えた圧力制御されるノズルを有していることを特徴とする、本発明による噴射装置には、極めてコンパクトな構造を有しているという利点がある。さらに本発明による噴射装置は、特に簡単かつ安価に製造することができる。これによって本発明による噴射装置は特に、例えば二輪車や芝刈り機のような小型内燃機関において使用することができる。このことは本発明によれば、噴射装置が燃料ポンプと、噴射圧を調整するための調圧器と、圧力制御されるノズルを備えたインジェクタと空気調整エレメントとを有しており、これらの部材すなわち燃料ポンプと調圧器とインジェクタと空気調整エレメントとが、噴射モジュールの一体の構成部材であることによって、達成される。噴射モジュールは、小さな構造空間しか要しないコンパクトな部材であり、そしてその中に燃料ポンプと調圧器とインジェクタと空気調整エレメントとが配置されている。インジェクタは圧力制御されるノズルを有しているので、インジェクタは特に簡単かつ安価に準備されることができる。圧力制御されるノズルはこの場合圧力室とノズル体と弾性のダイヤフラムとを有している。本発明において「弾性のダイヤフラム」という概念は、圧力室内における圧力が所定の圧力レベルを越えた場合に燃料の噴射を可能にするために、圧力室内における圧力上昇時に所定の変形を生ぜしめる弾性部材のことを意味している。これにより、圧力制御されるノズルによって噴射装置は、極めて単純かつ安価な構造を有している。そして噴射モジュールは予めコンパクトに組み立てることができるので、噴射モジュールは単に必要な接続部に接続されるだけでよく、車両に直に取り付けられることができる。噴射モジュールの構成部材は、有利には噴射モジュールの1つの共通のハウジング内に配置されている。噴射モジュールはコンパクトなだけではなく、噴射モジュールのための他の構成部材もまた最小にすることができる、という別の大きな利点を有している。これによって本発明による噴射装置は特に、小型機械における使用のために適している。
本発明の別の有利な構成は、請求項2以下に記載されている。
噴射装置は有利にはアクチュエータを有しており、このアクチュエータは同時に燃料ポンプと空気調整エレメントとを操作する。これによって、空気調整エレメントと燃料ポンプとのためにそれぞれ別体のアクチュエータを設ける必要がなくなり、構成部材の数を著しく減じることができる。これによってまたコストを低減することができる。従って1つの共通のアクチュエータは、一方ではポンプ駆動装置の機能を引き受け、他方では空気調整エレメントのための調節駆動装置の機能を引き受ける。
本発明の別の有利な構成では、インジェクタのノズル体がシール座を有していて、該シール座にダイヤフラムが接触しており、該ダイヤフラムは少なくとも1つの噴射口を有している。これによって、ダイヤフラムは付加的にさらにインジェクタのための閉鎖部材の働きをも有しており、この場合圧力室内における圧力が所定の圧力を上回って上昇した場合に、ダイヤフラムはシール座から持ち上がり、これにより燃料はシール座とダイヤフラムとの間の間隙を通って流れ、ダイヤフラムの噴射口から噴射されることができる。このようになっていると、圧力制御されるノズルの部材の数を極めて僅かに保つことができる。
本発明の別の有利な構成では、圧力制御されるノズルが閉鎖体を有していて、該閉鎖体が、ダイヤフラムの、圧力室に向けられた側においてダイヤフラムに配置されている。このように構成されていると、ダイヤフラムには改善された安定性が与えられ、これによって特に運転中におけるダイヤフラムの亀裂もしくは損傷を回避することができる。圧力制御されるノズルは、これにより長い耐用寿命を有することができる。閉鎖体は例えば接着又は溶接によってダイヤフラムに固定されることができる。可能な限り単純な構成を有することを可能にする有利な構成では、ノズル体におけるシール座がリング形に形成されている。このことは、さらに噴射過程中における流れ技術的な利点をももたらす。
本発明の別の有利な構成では、ダイヤフラムが直にノズル体に固定されている。ダイヤフラムは有利にはレーザ溶接を用いてノズル体に固定され、この場合ノズル体は、ダイヤフラムを固定したい領域において有利には円筒形である。これによってダイヤフラムが、半球もしくはシェルに似た構造を有することが可能になる。
本発明の有利な択一的な構成では、圧力制御されるノズルのノズル体がシール座を有していて、ダイヤフラムが閉鎖体と結合されている。閉鎖体はシール座と共働し、閉鎖体とシール座との間に燃料を噴射するための間隙を開閉する。ダイヤフラムに閉鎖体を設けることによっても同様に、圧力制御されるノズルの長い耐用寿命を保証することができる。閉鎖体はこの場合有利には球であり、ダイヤフラムはこの場合球の最大周囲に固定されている。
本発明の別の有利な構成では、圧力制御されるノズルが、ダイヤフラムをその出発位置に戻すために戻しエレメントを有している。これによって、ダイヤフラムの戻りを迅速に行うことが可能になり、ダイヤフラムを、安価なフレキシブル材料から製造することができる。
本発明のさらに別の有利な構成では、ダイヤフラムの行程を制限するためにストッパが設けられている。これによってダイヤフラムが、大きすぎる行程に基づいて尊書することを確実に回避することができる。
本発明の別の有利な構成では、ダイヤフラムがシールリングと結合されている。シールリングはこの場合半径方向遊びをもってリング溝内に配置されており、このリング溝はノズル体に形成されている。これによってダイヤフラムはシールリングを介して半径方向遊びを有することになり、この結果ダイヤフラムは閉鎖体と一緒にシール座においてセンタリングされることができる。シールリングは有利にはOリングである。
さらにダイヤフラムが少なくとも1つ又は複数の同心的な波形部を有していると、有利である。同心的な波形部によってダイヤフラムは軟らかい特性を有することができる。
有利な構成では燃料ポンプは1つのポンプ室と、第1、第2及び第3の逆止弁とを有しており、これらの逆止弁は、ポンプ室の供給管路もしくは排出管路に配置されている。この場合第1の逆止弁は、燃料のための供給管路領域とポンプ室との間に配置されている。第2の逆止弁は、ポンプ室とインジェクタとの間に配置され、第3の逆止弁はポンプ室と、過圧ピークの排出管路領域もしくは戻し管路領域との間に配置されている。ポンプ室を使用することによって、特にコンパクトな、ひいてはスペースを節約した安価な構造が可能になり、ポンプ室を、アクチュエータの可動子と同じ軸線上に配置することができ、有利である。この場合ポンプ室が、最大噴射圧時に最大に噴射可能な燃料の容量に相当する容積を有していると、有利である。
本発明はさらに、正確に1つ又は正確に2つのシリンダと、本発明による燃料噴射装置とを備えた内燃機関に関する。この場合内燃機関が、噴射モジュールの上に配置された燃料タンクを有していると有利である。このように構成されていると、特に燃料ポンプを極めて小さく設計することができる。
次に図面を参照しながら、本発明の有利な実施形態を説明する。
本発明の第1実施形態による噴射装置を備えた小型エンジンを概略的に示す図である。 第1実施形態による噴射装置を示す図である。 第1実施形態による圧力制御されるノズルを示す断面図である。 第2実施形態による圧力制御されるノズルを示す断面図である。 第3実施形態による圧力制御されるノズルを示す断面図である。 第4実施形態による圧力制御されるノズルを示す断面図である。 第5実施形態による圧力制御されるノズルを示す断面図である。 第6実施形態による圧力制御されるノズルを示す断面図である。 第7実施形態による圧力制御されるノズルを示す断面図である。
本発明の有利な実施形態
以下においては、図1〜図3を参照しながら、本発明による第1実施形態の噴射装置を備えた小型エンジン1について説明する。
図1には略示された小型エンジン1は、単シリンダエンジンとして形成されている。この小型エンジン1はシリンダ3と、このシリンダ3内において往復動可能なピストン4と、制御ユニット5とタンク6とを有している。タンク6は燃料供給管路6aを介して噴射モジュール2と接続されている。燃料戻し管路6bは、噴射モジュール2からタンク6に通じている。図1から分かるようにタンク6は噴射モジュール2の情報に配置されている。これによって燃料は燃料供給管路6aを通して、重力に基づいて噴射モジュール2にもたらされる。噴射モジュール2は単に略示されているが、燃料ポンプと調圧器とインジェクタと空気調整エレメントとを有しており、噴射モジュール2は極めてコンパクトな構造を有している。
小型エンジン1はさらに、吸気管8に配置されたスロットルバルブ7を有している。シリンダ3にはさらに点火プラグ9、流入弁10及び流出弁11が配置されている。符号12で空気のためのバイパス管路が示されており、このバイパス管路12は空気を、吸気管8から、空気の流れ方向で見てスロットルバルブ7の上流の領域において分岐し、噴射モジュール2に組み込まれた空気調整エレメントの直に導く。バイパス管路12の流出部はこの場合、噴射モジュール2のインジェクタの直ぐ近くに隣接して位置している。
小型エンジン1はさらに排ガス管路13を有しており、この排ガス管路13は流出弁11によって開閉される。さらに排ガス管路13には、制御ユニット5に接続された酸素センサ14が設けられており、制御ユニット5はさらに、冷却水センサ15とオイル温度センサ16とセンサユニット17と接続されており、このセンサユニット17は、スロットルバルブポジションを検出するため、吸気管8における温度を検出するため、及び吸気管8における圧力を検出するために働く。そして制御ユニット5は、得られた信号に基づいて噴射モジュール2を制御する。
従って本発明による噴射装置は、燃料ポンプ、調圧器、インジェクタ及び空気調整エレメントを備えた噴射モジュール2として設けられており、特にコンパクトにかつ小型に設計されることができる。さらに本発明による噴射装置は、極めて安価に製造されることができ、特に、コンパクトな噴射モジュールとして前組立てされることができるので、このコンパクトな噴射モジュールを単に小型エンジン1内にコンパクト構成群として組み込むことだけが必要である。4つの個別部材、つまり燃料ポンプ、調圧器、インジェクタ及び空気調整エレメントが一体に構成されていることによって、簡単かつ安価に製造することができる。そして燃料ポンプと空気調整エレメントとは、1つの共通のアクチュエータによって操作される。これによって本発明による噴射装置2は、二輪車又は芝刈り機の小型モータにおいて使用することができる。
図2には、噴射モジュール2が詳細に示されている。この噴射モジュール2内には、燃料ポンプ20a、調圧器20b、インジェクタ20c及び空気調整エレメント20dが組み込まれている。そのために複数部分から成るハウジング25が設けられており、この場合1つの共通のアクチュエータが同時に燃料ポンプ20aと空気調整エレメント20dとを操作する。図2から分かるように、アクチュエータ22には空気調整エレメント20dの閉鎖部材23が固定されており、閉鎖部材23はバイパス管路12の弁座12aにおいて、バイパス管路12を開閉することができる。アクチュエータ22はさらにピストン24と堅くもしくは不動に結合されており、このピストン24は図示の実施例では、燃料ポンプ20aの一部である。ピストン24はプランジャピストンとして形成されている。コイル21は、該コイルが通電された場合に、閉鎖部材23とピストン24とを同時に操作する。コイル21への通電が中止されると、戻しばね28の力によって閉鎖部材及びピストン24は再び図2に示された出発ポジションに戻される。図示に示されたポジションは、燃料ポンプ20aの吸込み行程の終了時におけるポジションである。
噴射モジュール2はさらに、複数部分から成るハウジング25を有しており、このハウジング25は、第1のハウジング部分25aと第2のハウジング部分25bと第3のハウジング部分25cと第4のハウジング部分25dとを有している。第1のハウジング部分25aはこの場合空気調整エレメント20dに配属されていて、空気調整エレメント20dの弁座12aを提供する。さらに第1のハウジング部分25aは、可動子22のためのガイドエレメントの機能も有している。第2のハウジング部分25bはコイル21をカバーしている。第3のハウジング部分25cはコイル21を受容するために働き、第4のハウジング部分25dはピストン24のためのガイドエレメントとして働き、かつポンプ室27を提供している。第4のハウジング部分25dにはさらに、燃料供給管路6a及び燃料戻し管路6bのための接続部が配置されている。燃料供給管路6aはこの場合ポンプ室27において開口し、燃料戻し管路6bはポンプ室27を起点として延びている。なお付言すれば、燃料戻し管路6bがタンクに通じているのではなく、燃料供給管路6aと接続されているような構成も可能である。第4のハウジング部分25dには、第1の逆止弁29、第2の逆止弁30及び第3の逆止弁31が配置されている。第1の逆止弁29は、燃料供給管路6aとポンプ室27との間に配置されている。第2の逆止弁30は、ポンプ室27と圧力制御されるノズル40の圧力室41との間に配置されている。第3の逆止弁31は、ポンプ室27と燃料戻し管路6bとを間に配置されている。第3の逆止弁31はこの場合調圧器20bを形成していて、場合によっては第3のポンプ室27内において生じる過圧を消滅できるようになっている。第2の逆止弁30はさらに、ポンプ室27内における圧力が所定の圧力を超えた場合に開放して、燃料が圧力室41に流入できるように、設計されている。
特に図2及び図3から分かるように、インジェクタ20cは第2の逆止弁30の他に圧力制御されるノズル40をも有している。圧力制御されるノズル40は図3に詳しく示されている。この圧力制御されるノズル40はノズル体44を有しており、このノズル体44内には流入孔45が配置されている。この流入孔45は第2の逆止弁30と圧力室41との間の接続部を形成している。圧力室41は、圧力制御されるノズル40の端部にリング形に配置されている。ノズル体44にはさらにシール座46が形成されており、このシール座46は図示の実施形態ではリングとして形成されている。圧力制御されるノズル40はさらにダイヤフラム42を有しており、このダイヤフラム42には複数の噴射口43が形成されている。ダイヤフラム42はレーザ溶接によってノズル体44に固定されている。図3から分かるように、ダイヤフラム42は固定された状態において、半球形もしくはシェル状の形態を有している。この場合ダイヤフラム42の内側面はシール座46に接触している。これによってダイヤフラム42とシール座46における内側領域との間には、噴射室47が形成される。
本発明による噴射モジュール2の機能は以下の通りである。燃料ポンプ20aの吸込み段階は、戻しエレメント28によって導入され、この場合戻しエレメント28の静止位置は吸込み段階の終了を規定する。吸込み段階中に第1の逆止弁29は開放され、第2及び第3の逆止弁30,31はそれぞれ閉鎖されている。これによって燃料は、開放された第1の逆止弁29を介してポンプ室27に流入することができる。次いでコイル21が通電され、これにより可動子22は矢印Aの方向に移動させられ、これによってポンプ室27内における液体を、ポンプ24を用いて圧力下にすることができる。これにより第1の逆止弁29は閉鎖し、ポンプ室27における圧力レベルがまた低い場合には、第2及び第3の逆止弁30,31もまた同様に閉鎖されたままである。所定の圧力レベルが超えられると、第2の逆止弁30は開放し、その結果圧力下にある液体がインジェクタ20c内に流入し、流入孔45を介して圧力室41に流入する。ダイヤフラム42は弾性材料から製造されているので、圧力室41内における圧力が所定の圧力レベルを上回るや否や、ダイヤフラム42には変形が生じ、ダイヤフラム42はシール座46から持ち上がる。この状態は図3において破線で示されたダイヤフラム42′によって示されている。これにより燃料が噴射口43を介して吸気管8内に噴射される。図3には、噴射口43から噴射されるスプレ48が略示されている。ポンプ室27内における圧力が高すぎる場合、つまり基準値よりも高い場合には、第3の逆止弁31が開放し、これによってこのような圧力ピークを燃料戻し管路6bへと逃がすことができる。これにより第3の逆止弁31は調圧器20bの機能を果たすことになる。燃料ポンプ20aの操作と同時に、コイル21の通電時には、空気調整エレメント20dの閉鎖部材23もまた座12aから持ち上げられる。これによって空気調整エレメント20dは開放し、空気はバイパス管路12を通って流れることができる。
噴射を終了したい場合には、コイル21の通電が終了され、その結果可動子22は戻しエレメント28によって再び、図2に示された出発位置に戻される。この場合ピストン24はポンプ室27から引き出され、その結果圧力室41内における圧力もまた低下する。これによってダイヤフラム42は再び自動的にその出発ポジションに戻ることができ、リング形のシール座46に接触する。これにより噴射が終了する。ピストン24の戻り運動によってさらに再び吸込み段階が始まり、この吸込み段階では第1の逆止弁29が開放され、燃料が燃料供給管路6aを介して吸い込まれる。特に逆止弁又は圧力制御されるノズルの汚れを回避するために、燃料供給管路6aにはフィルタ33が配置されている。同時に、可動子22の戻しによって空気調整エレメント20dもまた再び閉鎖される。
圧力制御されるノズル40によって、インジェクタ20cは極めて単純かつ摩耗の少ない構造を有している。燃料の噴射は圧力制御によって行われるので、複雑かつ高価な電子制御装置などは不要である。そして噴射は、コイルの通電を開始又は終了することによる可動子の移動によって簡単に実現することができる。これにより、特に、外方に向かって開放する高価なノズルを省くことができる。
従って本発明によれば、噴射モジュール2は燃料ポンプ20a及び空気調整エレメント20dのために1つの共通のアクチュエータを有しているだけである。これによって単に1つのコイルと、燃料ポンプ20a及び空気調整エレメント20dへの配線を備えたただ1つの電気的なアウトプットステージ(Endstufe)とが必要なだけである。さらに空気調整エレメント20dは、それが必要とされる、小型モータ1の運転状態、つまり通常はアイドリングにおいて、開閉することができ、空気調整エレメント20dが必ずしも必要とされない運転状態においては、燃料ポンプ20aと共通のアクチュエータが用いられているにもかかわらず、燃料ポンプ20aの操作が遅延されたり、又はその他のことが阻止されることを、確実に回避することができる。
付言すれば、噴射装置は極めてコンパクトにかつ安価に製造されており、噴射モジュール2はそれぞれ一体の構成部材として、燃料ポンプ20a、調圧器20b、圧力制御されるノズル40を備えたインジェクタ20c、及び空気調整エレメント20dを有している。この場合特に、空気調整エレメント20d及び燃料ポンプ20aのための1つの共通のアクチュエータは可動子22を備えている。図示の実施形態ではアクチュエータとしてこの場合、コイルの通電によって作動するそれぞれ1つの磁気式のアクチュエータが記載されているが、基本的には、例えばピエゾアクチュエータのような他のアクチュエータを使用することも可能である。
以下においては図4を参照しながら、本発明による噴射装置の第2実施形態を説明する。この場合第1実施形態におけると同じ部材もしくは同じ働きを有する部材は、同一符号で示されている。第2実施形態の噴射装置が第1実施形態の噴射装置と異なっているのは、単に圧力制御されるノズル40の形態だけである。図4から分かるように、ダイヤフラム42の内側には閉鎖体49が配置されている。この閉鎖体49は例えば接着によってダイヤフラムと堅く結合されている。そして閉鎖体49は、圧力室41と噴射室47との間における接続部をシール座46において閉鎖する。シール座46はこの実施形態においてもリング形に形成されていて、ノズル体44に形成されている。シール座はこの場合リング形の平らな面によって形成されていて、この面が閉鎖体49と接触することによって、圧力室41と噴射室47との間の接続部を閉鎖することができる。第1実施形態におけるように、圧力室41において圧力が上昇すると、所定の圧力を超えた場合にダイヤフラム42は変形し、その結果閉鎖体49はシール座46から持ち上げる。これによって圧力室41と噴射室47との間の接続部が開放し、その結果燃料は噴射口43を介して吸気管8内に噴射されることができる。ダイヤフラム42の戻りは、第1実施形態におけるように圧力室41内における圧力の低下によって行われる。図4から分かるように、第2実施形態のダイヤフラム42はフラットに形成されているので、ダイヤフラム42は特に応力から解放されてノズル体44に固定されることができる。その他の点についてはこの実施形態は、第1実施形態に相当しているので、同じ説明の繰り返しは省く。
図5には、本発明の噴射装置の第3実施形態による圧力制御されるノズル40が示されている。この第3実施形態による圧力制御されるノズル40は、第2実施形態のノズル40にほぼ相当しており、異なっている点は、ノズル体44におけるシール座46が、先細になる領域、特に円錐形の領域46aによって形成されていることにある。相応に閉鎖体49においてシール面49aは円錐形に形成されている。その他の点に関しては、第3実施形態は第2実施形態に相当しているので、同じ説明の繰り返しは省く。
図6には、本発明の第4実施形態による圧力制御されるノズル40を備えた噴射装置が示されている。同じ部材もしくは同じ働きを有する部材は、既に述べた実施形態におけるのと同一符号で示されている。
既に述べた実施形態と異なり、第4実施形態の圧力制御されるノズル40は付加的に弁体50を有している。シール座46は円錐形に形成されていて、円錐の上縁部に貫流開口46aを有しており、この貫流開口46aはダイヤフラム42を用いて閉鎖可能である。ダイヤフラム42の背側にはさらにばね51が配置されており、このばね51は弁体50に支持されている。さらに弁体50には行程ストッパ52が形成されている。第4実施形態の圧力制御されるノズルの作用形式は以下の通りである。圧力室41内において圧力が上昇するや否や、ダイヤフラム42はばね51のばね力に抗してシール座46から持ち上げられる。これによって燃料が噴射室47内に達し、この噴射室47から、孔付板53に配置された噴射口43を通して噴射される。行程ストッパ52は、ダイヤフラム42の運動距離を制限する。圧力室41内における圧力が再び減じられるや否や、上に述べたように、ばね51はダイヤフラム42を再び出発ポジションに戻す。これによってダイヤフラム42は再びシール座46に接触し、噴射は終了する。ノズル体44と弁体50とは例えば溶接によって互いに結合されることができる。
以下においては図7を参照しながら、本発明の第5実施形態による圧力制御されるノズル40を備えた噴射装置について述べる。同じ部材もしくは同じ働きを有する部材は、既に述べた実施形態におけるのと同一符号で示されている。
図7から分かるように、第5実施形態による圧力制御されるノズル40は、既に述べた実施形態とは異なり、球として形成された閉鎖体49と堅く結合されたダイヤフラム42を有している。ダイヤフラム42は円形の孔を有しており、この孔内に球の一部が配置されている。閉鎖体49はダイヤフラム42に接着又はレーザ溶接を用いて固定されている。ダイヤフラム42自体はノズル体44にレーザ溶接を用いて固定されている。閉鎖体49は閉鎖された状態において、ノズル体44に形成されたシール座46に接触している。シール座46には流れ方向で見て孔開口56が後置されており、この孔開口56は孔付板53によって覆われている。孔付板53には複数の噴射口43が設けられており、これらの噴射口43から、ノズル開放時にスプレ48が流出する。圧力制御されるノズル40に圧力下にある燃料が、圧力室41に通じる流入孔45を介して供給されると、所定の圧力レベル以上でダイヤフラム42の変形が始まり、この際に同時に閉鎖体49もシール座46から持ち上がる。図7には変形されたダイヤフラムが符号42′で示され、持ち上げられた閉鎖体49が符号49′で示されている。これによって圧力室41と孔開口56との間における接続部が開放され、その結果燃料は噴射口43から外方に向かって流出することができる。圧力室41内における圧力が再び降下するや否や、ダイヤフラム42はその固有弾性に基づいて再び出発位置に戻り、この際に閉鎖体49は再びシール座46に接触して、該シール座46を閉鎖する。これによって噴射は終了する。孔付板53を設けることにはさらに次のような利点がある。すなわちこの場合、圧力制御されるノズル40は種々様々な使用目的のための基本構成を有することができ、孔付板53の簡単な交換によって、種々様々な使用目的のための種々異なったスプレを生ぜしめることができる。これによって、圧力制御されるノズル40のための製造コストを極めて安価に保つことができる。その他の点においてこの実施形態は、既に述べた実施形態に相当しているので、同じ説明を繰り返すことは省く。
以下においては、図8を参照しながら、本発明の第6実施形態による圧力制御されるノズル40について説明する。同じ部材もしくは同じ働きを有する部材は、既に述べた実施形態におけるのと同一符号で示されている。
第6実施形態による圧力制御されるノズル40は、第5実施形態による圧力制御されるノズルにほぼ相当しており、異なっている点は、さらに戻しばね51と行程ストッパ52とが設けられていることにある。行程ストッパ52はこの場合ノズルの開放程度を制限する。それというのは、圧力上昇時に閉鎖体49は行程ストッパ52に当接し、これによりシール座46におけるさらなる開放がもはや不可能になるからである。戻しばね51が設けられていることによって、ダイヤフラム42をさらに極めて安価に準備することができる。それというのは、ダイヤフラム42は固有の戻し力をもたらす必要が無く、ゆえに安価な材料から製造することができるからである。行程ストッパ52はこの場合ノズル体44の付加部分44aに固定されている。行程ストッパ52と戻しばね51とが内部に配置されている室54は、圧縮可能な媒体、有利には空気によって満たされている。その他の点においてこの実施形態は、既に述べた実施形態に相当しているので、同じ説明を繰り返すことは省く。
さらにダイヤフラム42は同心的な2つの波形部42aを有しており、両方の波形部42aはダイヤフラム42の中心の周りに同心的に配置されている。このような同心的な波形部42aが設けられていると、ダイヤフラム42はより軟らかくなり、これによって圧力変化に対してより迅速に反応することができる。
以下においては、図9を参照しながら、本発明の第7実施形態による圧力制御されるノズル40について説明する。同じ部材もしくは同じ働きを有する部材は、既に述べた実施形態におけるのと同一符号で示されている。
図9から分かるように、第7実施形態はほぼ第6実施形態に相当している。第6実施形態とは異なり、この第7実施形態ではノズル体44におけるダイヤフラム42の固定形式が異なった構成を有している。図9から明らかなように、ダイヤフラム42はその外周部においてOリング55と結合されている。Oリング55は、ノズル体44に設けられたリング溝44b内に配置されている。図9から分かるように、Oリング55は、内方に向かって横方向に半径方向遊びS1を有し、かつ外方に向かって横方向に半径方向遊びS2を有している。このように構成されていると、ダイヤフラム42と、このダイヤフラム42と堅く結合された閉鎖体49とを、自動的にセンタリングできるという利点が得られる。これによって個々の部材に対する許容誤差に関する要求は幾分低くなり、その結果製造コストをより安価にすることができる。その他の点においてこの実施形態は、既に述べた実施形態に相当しているので、同じ説明を繰り返すことは省く。

Claims (12)

  1. 噴射装置であって、燃料ポンプ(20a)と調圧器(20b)とインジェクタ(20c)と空気調整エレメント(20d)とが設けられている形式のものにおいて、燃料ポンプ(20a)と調圧器(20b)とインジェクタ(20c)と空気調整エレメント(20d)とが、噴射モジュール(2)の一体の構成部材であり、インジェクタ(20c)が、圧力室(41)とノズル体(44)とダイヤフラム(42)とを備えた圧力制御されるノズル(40)を有していることを特徴とする噴射装置。
  2. ノズル体(44)がシール座(46)を有していて、該シール座(46)にダイヤフラム(42)が接触しており、該ダイヤフラム(42)が少なくとも1つの噴射口(43)を有しており、ダイヤフラム(42)とノズル体(44)との間に噴射室(47)が配置されていて、ダイヤフラム(42)の少なくとも1つの噴射口(43)が噴射室(47)の領域に配置されている、請求項1記載の噴射装置。
  3. 噴射装置にさらに閉鎖体(49)が設けられていて、該閉鎖体(49)が、ダイヤフラム(42)の、圧力室(41)に向けられた側に配置されている、請求項2記載の噴射装置。
  4. シール座(46)がリング形に形成されている、請求項2又は3記載の噴射装置。
  5. ダイヤフラム(42)がノズル体(44)に固定されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の噴射装置。
  6. ダイヤフラム(42)が閉鎖体(49)と結合されていて、該閉鎖体(49)が、ノズル体(44)に形成されたシール座(46)に接触している、請求項1記載の噴射装置。
  7. 噴射装置にさらに、ダイヤフラム(42)を出発位置に戻すための戻しエレメント(51)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の噴射装置。
  8. ダイヤフラム(42)が固有弾性を有していて、自動的に出発位置に戻るようになっている、請求項1から6までのいずれか1項記載の噴射装置。
  9. 噴射装置にさらに、噴射中の行程を制限するためのストッパ(52)が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の噴射装置。
  10. ダイヤフラム(42)がシールリング(55)と結合されていて、該シールリング(55)が半径方向遊びをもってノズル体(44)のリング溝(44b)内に配置されていて、ダイヤフラム(42)の自動的なセルフセンタリングを可能にしている、請求項6から9までのいずれか1項記載の噴射装置。
  11. ダイヤフラム(42)が少なくとも1つの同心的な波形部を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の噴射装置。
  12. 正確に1つ又は正確に2つのシリンダと、請求項1から11までのいずれか1項記載の1つの噴射装置とを備えた内燃機関。
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