JP2011505822A - コハク酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、嫌気条件下での発酵によってコハク酸および/またはコハク酸イオンを製造するための方法に関する。
Description
本発明は、嫌気条件下での発酵によってコハク酸および/またはコハク酸イオンを製造するための方法に関する。
コハク酸(またはブタン二酸)は、半構造(semi−structural)式COOH−CH2−CH2−COOHの2つのカルボキシル基を有する有機酸であり、ミトコンドリアにおけるクレブス回路の代謝中間体として、細胞代謝に関与する。
コハク酸は、化粧品、食品加工、製薬および織物分野、ならびにプラスチックにおいて多くの用途を有する。従って、例えば、コハク酸は、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフランおよびガンマ−ブチロラクトンの製造において、プラスチックのための合成中間体として使用される。
コハク酸から誘導される新しい生成物は、常に開発中である(ポリエステルの開発を含む)。
一般に、コハク酸エステルは、人間および環境にとってより有害である溶媒を交換し得る新しい「グリーン」溶媒である可能性を有する。
再生可能な出発材料からのリンゴ酸、コハク酸またはフマル酸などのカルボン酸の製造(適切な場合には、発酵過程を経る)は当業者に知られている。
コハク酸塩は、プロピオン酸塩を産生する細菌による嫌気性発酵における代謝中間体であるが、これらの発酵過程は、非常に低い収率および力価のコハク酸の製造をもたらす。
近年、例えば、嫌気性ルーメン細菌のバクテロイデス・ルミニコラ(Bacteroides ruminicola)およびバクテロイデス・アミロフィラス(Bacteroides amylophilus)などの多数のコハク酸産生微生物が単離されている。しかしながら、ルーメンからの生物体は発酵過程において非常に不安定であり、そのため、コハク酸の製造のために工業的に使用することができない。
1949年にJL Stokesの「Fermentation of glucose by suspensions of Escherichia coli」、J.Bacteriol.,57:147−158によって記載されるように、炭素基質としてグルコースおよびCO2の存在下でのE.コリ(E.coli)発酵から、コハク酸を含むいくつかの酸の混合物が製造されることは長い間知られている。しかしながら、発酵されるグルコース1モルに対して0.3〜0.4モルのコハク酸しか製造されない。
そのため、細菌についての研究、特に、コハク酸の産生に必要とされるNADHを消費する代謝経路を不活性化するように、そしてコハク酸塩(コハク酸の塩)を産生するための代謝経路を活性化するように遺伝子改変されたエシェリキア・コリ(Escherichia coli)についての研究が行われている。
特に、リンゴ酸塩、次にフマル酸塩、そして最終的にはコハク酸塩へのオキサロ酢酸の転化を可能にする発酵代謝手段は、産生されるコハク酸塩1モルあたり2モルのNADHを必要とする。従って、コハク酸塩の産生における主な代謝の妨げは、NADHの細胞バイオアベイラビリティである。
この困難に対する解決策として、米国特許第7,223,567号明細書は、同じ利用可能な量のNADHに対してコハク酸塩を過剰産生する組換えエシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株の使用について記載している。
このエシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株SBS550MG pHL 413は、adhEおよびldhA遺伝子の産物(NADHを消費する経路に関与する)の不活性化ならびにack−pta遺伝子およびiclR遺伝子の産物(グリオキシル酸経路を活性化する)の不活性化を示し、外来PYC遺伝子を過剰発現するプラスミドベクターを含有する。
Sanchezらによる論文(Metabolic Engineering 7(2005年)229−239中の表題「Novel pathway engineering design of the anaerobic central metabolic pathway in Escherichia coli to increase succinate yield and productivity」)、米国特許第7,223,567号明細書および米国特許出願公開第2005/0042736号明細書には、そのコハク酸の産生収率を改善するために、この菌株に関連する新規の培養および産生条件が明らかにされている。
当業者は、コハク酸を製造するための改善された新規の方法を常に捜し求めている。特に、当業者は、得られる収率および生産性を最適化することを目指している。さらに、従来の発酵方法は、大気中に放出されるかなりの量の二酸化炭素廃棄物をもたらし、これは非常に明らかに望ましくない。
1つの態様によると、本発明は、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株の嫌気性発酵によってコハク酸および/またはコハク酸イオンを製造するための方法に関し、この方法は、
(A)CO2が供給される発酵槽において、菌株によるCO2の消費によってCO2の供給が制御されるように発酵槽の通気孔を閉鎖して実行される、炭素源の発酵ステップであって、前記炭素源が完全に欠乏する前にステップ(B)が行われるステップと、
(B)残存CO2を消費するように、CO2を供給せずに残りの炭素源を発酵させるステップと
を含む。
(A)CO2が供給される発酵槽において、菌株によるCO2の消費によってCO2の供給が制御されるように発酵槽の通気孔を閉鎖して実行される、炭素源の発酵ステップであって、前記炭素源が完全に欠乏する前にステップ(B)が行われるステップと、
(B)残存CO2を消費するように、CO2を供給せずに残りの炭素源を発酵させるステップと
を含む。
当業者は発酵技術に精通している(特に、Fermentation & Biochemical Engineering Handbook:principles,process design & equipment、第2版 1996年 Henry C.VogelおよびCeleste L.Todaro著に記載されるように)。
発酵は生化学反応であり、通常、微生物酵素の作用下における有機基質からのエネルギーの放出または対象となる特定の代謝産物の産生にある。
発酵は、通常、発酵過程に適した、すなわち所望の条件下で微生物を培養するのに適した装置(発酵槽)内で実行される(装置は、適切な場合に、特に気体の入口および/または出口管、通気孔などによって培地の気体平衡の制御を可能にする;装置は、培地および他の物質の導入を可能にする;装置は、攪拌、温度、pHなどの他の種類のパラメータの制御、調節、修正を可能にする)。
当業者は、嫌気条件下での発酵にも精通している。本発明によると、これは、酸素が存在しない状態での培養条件を示す。好ましくは、嫌気性培養条件は、二酸化炭素の存在下における培養条件である。一実施形態によると、CO2の存在下および/またはCO2が供給されている状態での嫌気性発酵条件は、CO2飽和発酵条件である。
ステップ(A)中の「炭素源が完全に欠乏する前」という語句は、発酵培地が、この時点で利用可能な溶液中のCO2(溶解CO2またはHCO3 −の形態)の効力によって菌株によりコハク酸および/またはコハク酸塩に完全に転化させることができる残存量の炭素源を含有する、ステップ(A)の時点を意味することが意図される。
ステップ(A)の間、発酵槽の通気孔は閉鎖されており、発酵槽へのCO2の給送は維持されているので、CO2の供給はバッチ式で実行され、コハク酸および/またはコハク酸塩を製造するための菌株によるCO2の消費に従って自動的に調整される。
「自動的に調整される」という用語は、発酵槽(通気孔は閉鎖)内に存在する液相(発酵培地)と気相(「大気」)との間の熱力学的平衡を仮定すれば、所与の量のCO2の供給が、発酵(従って、付随するコハク酸および/またはコハク酸塩の産生)によって同じ量が菌株により消費された後にのみ生じ得ることを意味することが意図される。
ステップ(B)の間、CO2の供給は行われず、これは、ステップ(A)中に実行されるCO2の供給が中断されることを意味する。これは、特にCO2の給送の遮断によって行うことができる。
有利なことに、本発明によると、ステップ(B)の間の発酵は、発酵培地中に存在するCO2(溶解残存)およびHCO3 −イオンを消費する。
1つの好ましい実施形態によると、ステップ(A)の開始前に、CO2の供給は、CO2による発酵培地の飽和を達成するように発酵槽の通気孔を開いて注入により実行される。
例として、CO2は、0.15〜0.40vvm(1分間につき、培養物の体積当たりのCO2の体積)の流速、好ましくは0.3vvmの流速で注入によって導入することができる。
「CO2で飽和された発酵培地」という語句は、培地が、対応する条件(温度、pHなど)下でその中に溶解可能な最大量のCO2を含有することを意味することが意図される。例えば、これは、37℃、pH7において、1〜2g/lの濃度、例えばおよそ1.5g/lの濃度に相当し得る。
一実施形態によると、ステップ(A)および/またはステップ(B)は、6.0〜7.0の範囲、好ましくは6.4〜6.8の範囲、好ましくは6.5〜6.6の範囲のpHで実行される。
一実施形態によると、炭素源はグルコースである。
一実施形態によると、ステップ(A)の開始時に、発酵培地は、15〜40g/l、好ましくは15〜25g/l、好ましくは15〜20g/lのグルコースを含む。
一実施形態によると、ステップ(B)の開始時に、発酵培地は、2〜6g/l、好ましくは約4g/lのグルコースを含む。
1つの好ましい実施形態によると、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株は、遺伝子型ΔadhE ΔldhA ΔiclR Δackpta PYCを有する菌株である。この遺伝子型は、有利に、CO2の存在下での発酵によるコハク酸の製造の促進を可能にする。記号Δは、問題の遺伝子が、例えば、変異、欠失、中断、挿入または下方制御によって、例えば、終止コドンの導入、読み枠の変化をもたらす挿入または欠失、点変異などによって不活性化されていることを示す。
従って、ΔadhE ΔldhA ΔiclR Δackpta PYC遺伝子型は以下に相当する:
− ΔadhE:アルコールデヒドロゲナーゼの不活性化。
− ΔldhA:乳酸デヒドロゲナーゼの不活性化。
− ΔiclR:イソクエン酸リアーゼ(aceAとしても知られている)の不活性化。
− Δackpta:酢酸キナーゼ−ホスホトランスアセチラーゼの不活性化。
− PYC:ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子の発現。これは、例えば、この遺伝子の機能性コピーを保有するプラスミドによる形質転換によって、あるいはPYCの機能性コピーのゲノムの組込みによって、菌株がPYC遺伝子を発現することを示す。PYC遺伝子は、有利に、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)pyc遺伝子である。
− ΔadhE:アルコールデヒドロゲナーゼの不活性化。
− ΔldhA:乳酸デヒドロゲナーゼの不活性化。
− ΔiclR:イソクエン酸リアーゼ(aceAとしても知られている)の不活性化。
− Δackpta:酢酸キナーゼ−ホスホトランスアセチラーゼの不活性化。
− PYC:ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子の発現。これは、例えば、この遺伝子の機能性コピーを保有するプラスミドによる形質転換によって、あるいはPYCの機能性コピーのゲノムの組込みによって、菌株がPYC遺伝子を発現することを示す。PYC遺伝子は、有利に、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)pyc遺伝子である。
1つの非常に好ましい実施形態によると、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株は、SBS550MG−pHL413菌株である。この菌株は、SanchezらのMetabolic Engineering、7(2005年)229−239、ならびに米国特許第7,223,567号明細書および米国特許出願公開第2005/0042736号明細書に記載されている。
1つの態様によると、本発明は、
(a)好気条件下でエシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株を培養するステップであって、この間、マグネシウム化合物を培地へ添加することによってpHが調節されるステップと、
(b)CO2の存在下、ステップ(a)で培養された菌株の嫌気条件下での発酵によってコハク酸イオンを製造するステップと、
(c)ステップ(b)で形成されたコハク酸イオンをコハク酸に転化するステップと
を含むコハク酸の製造方法に関する。
(a)好気条件下でエシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株を培養するステップであって、この間、マグネシウム化合物を培地へ添加することによってpHが調節されるステップと、
(b)CO2の存在下、ステップ(a)で培養された菌株の嫌気条件下での発酵によってコハク酸イオンを製造するステップと、
(c)ステップ(b)で形成されたコハク酸イオンをコハク酸に転化するステップと
を含むコハク酸の製造方法に関する。
当業者は、好気条件下での発酵および培養にも精通している。本発明によると、これは、酸素の存在下での培養条件を示す。一実施形態によると、酸素は大気に由来する。
従って、ステップ(a)において、E.コリ(E.coli)菌株の成長および増殖が存在する。従って、バイオマスの製造が存在し、すなわち細胞集団が増大する。このステップは、通常、前培養サブステップを含むことができる。
本発明によると、「pHを調節する」という用語は、培地のpH値を特定の値の範囲または選択内に保持する作用を意味することが意図される。本発明によると、pHは、種々の方法で調節することができる:
− 範囲内の調節:pH値は特定の値の範囲内に保持される。そして、pH値は時間と共に変化し得るが、考慮中の範囲から逸脱することはない。
− 「低点」調節:pH値はしきい値よりも高く保持される。そして、pH値は時間と共に変化し得るが、しきい値よりも下がることはない。
− 単一の値における調節:pH値は、時間と共に一定にこの値に保持される。
− 範囲内の調節:pH値は特定の値の範囲内に保持される。そして、pH値は時間と共に変化し得るが、考慮中の範囲から逸脱することはない。
− 「低点」調節:pH値はしきい値よりも高く保持される。そして、pH値は時間と共に変化し得るが、しきい値よりも下がることはない。
− 単一の値における調節:pH値は、時間と共に一定にこの値に保持される。
「化合物の添加」という用語は化合物の培地への導入を意味することが意図される。添加は、種々の方法に従って行うことができる:懸濁液の添加および/または溶液の添加および/または固体(例えば、粉末形態)の添加。
一実施形態によると、ステップ(a)のマグネシウム化合物は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムから選択される。
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムは粉末形態で添加することもできるし、あるいは懸濁液、通常は、例えば20%〜30%w/vの濃度の水性懸濁液の形態で添加することもできる。
一実施形態によると、ステップ(a)および/または(b)は、使用される炭素源、通常はグルコースを、特に10〜30g/lの濃度、例えば20g/lの濃度で含有する培地において実行される。
一実施形態によると、ステップ(b)の間、マグネシウム化合物(例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムから選択される)、カルシウム化合物(例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムから選択される)、カリウム化合物(例えば、水酸化カリウムおよび炭酸カリウムから選択される)、アンモニウム化合物(例えば、水酸化アンモニウムおよび炭酸アンモニウムから選択される)、およびナトリウム化合物(例えば、水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムから選択される)、ならびにこれらの混合物で構成される群から選択される化合物を発酵培地へ添加することによって、pHが調節される。
一実施形態によると、ステップ(b)は、6.0〜7.0の範囲内、好ましくは6.4〜6.8の範囲内のpHで実行される。
一実施形態によると、ステップ(c)は酸性化を含む。酸性化は、特に、オルトリン酸、シュウ酸および硫酸から選択される少なくとも1つの酸の添加によって実行することができる。
一実施形態によると、ステップ(b)の間、マグネシウム化合物で構成される群から選択される化合物を発酵培地へ添加し、それによりコハク酸マグネシウムを形成することによって、pHが調節される。
この場合、ステップ(c)は、
(c−1)ステップ(b)で形成されたコハク酸マグネシウムをコハク酸ナトリウムに転化するステップと、
(c−2)ステップ(c−1)で形成されたコハク酸ナトリウムを双極電気透析によってコハク酸に転化するステップと
を含むことができる。
(c−1)ステップ(b)で形成されたコハク酸マグネシウムをコハク酸ナトリウムに転化するステップと、
(c−2)ステップ(c−1)で形成されたコハク酸ナトリウムを双極電気透析によってコハク酸に転化するステップと
を含むことができる。
ステップ(c−1)は、通常、炭酸ナトリウムの添加によって実行することができる。炭酸塩は、溶液または粉末の形態,通常、例えば1〜2Mの濃度の水溶液の形態で添加することができる。不溶性の炭酸マグネシウムは沈殿する。炭酸マグネシウムは、高温のオーブン、例えば700℃よりも高温のオーブン内で処理することができる。この結果、MgOおよびCO2が得られ、そのうちの少なくとも1つはリサイクルすることができる。
あるいは、炭酸マグネシウムは、そのまま回収することもできる。コハク酸ナトリウムは、有利に、双極電気透析によって処理(コハク酸マグネシウムを用いる場合ではない)して、水酸化ナトリウムおよびコハク酸(結晶化され得る)を生じることができる。さらに、双極電気透析技術も当業者によく知られている。生成される水酸化ナトリウムは、適切な場合には、高温オーブンからこれまでに放出されたCO2によって、炭酸ナトリウムを形成するように再転化され得る。ステップは全て図3に示される。
1つの好ましい実施形態によると、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株は、ΔadhE ΔldhA ΔiclR Δackpta PYC遺伝子型を有する菌株である。1つの非常に好ましい実施形態によると、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株はSBS550MG−pHL413菌株である。
別の態様によると、本発明は、
(i)CO2の存在下、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株の嫌気条件下での発酵によってコハク酸マグネシウムを製造するステップであって、この間、マグネシウム化合物を発酵培地へ添加することによってpHが調節されるステップと、
(ii)ステップ(i)で形成されたコハク酸マグネシウムをコハク酸に転化するステップと
を含むコハク酸の製造方法に関する。
(i)CO2の存在下、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株の嫌気条件下での発酵によってコハク酸マグネシウムを製造するステップであって、この間、マグネシウム化合物を発酵培地へ添加することによってpHが調節されるステップと、
(ii)ステップ(i)で形成されたコハク酸マグネシウムをコハク酸に転化するステップと
を含むコハク酸の製造方法に関する。
「pHを調節する」および「化合物の添加」という語句は、上記で定義される。
一実施形態によると、ステップ(i)のマグネシウム化合物は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムから選択される。好ましくは、酸化マグネシウム(式MgOのマグネシア)である。
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムは粉末形態で添加することもできるし、あるいは懸濁液、通常は、例えば20%〜30%w/vの濃度の水性懸濁液の形態で添加することもできる。
一実施形態によると、ステップ(i)は、6.0〜7.0の範囲内、好ましくは6.4〜6.8の範囲内、好ましくは6.5〜6.6の範囲内のpHで実行される。
一実施形態によると、ステップ(i)および(ii)は、使用される炭素源、通常はグルコースを、特に10〜30g/lの濃度、例えば20g/lの濃度で含有する培地において実行される。
一実施形態によると、ステップ(ii)は酸性化を含む。この酸性化は、種々の方法で実行することができる。一実施形態によると、酸性化は、オルトリン酸、シュウ酸および硫酸から選択される少なくとも1つの酸の添加によって実行される。これらの酸は、純粋な形態または濃縮水溶液の形態で添加することができる。
別の実施形態によると、ステップ(ii)は、
(ii−a)ステップ(i)で形成されたコハク酸マグネシウムをコハク酸ナトリウムに転化するステップと、
(ii−b)ステップ(ii−a)で形成されたコハク酸ナトリウムを双極電気透析によってコハク酸に転化するステップと
を含む。
(ii−a)ステップ(i)で形成されたコハク酸マグネシウムをコハク酸ナトリウムに転化するステップと、
(ii−b)ステップ(ii−a)で形成されたコハク酸ナトリウムを双極電気透析によってコハク酸に転化するステップと
を含む。
これらのステップは、ステップ(c−1)および(c−2)について上記で説明されている。
1つの好ましい実施形態によると、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株は、ΔadhE ΔldhA ΔiclR Δackpta PYC遺伝子型を有する菌株である。1つの非常に好ましい実施形態によると、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株は、SBS550MG−pHL413菌株である。
別の態様によると、本発明は、
− 例えば上記の方法から選択される、コハク酸および/またはコハク酸イオンの製造方法と、
− 例えば、強酸をマスト(must)に添加することによって、コハク酸イオンを酸性化してコハク酸を生じるステップと、
− 場合により、コハク酸を精製するステップと、
− コハク酸を結晶化するステップと
を含むコハク酸の入手方法に関する。
− 例えば上記の方法から選択される、コハク酸および/またはコハク酸イオンの製造方法と、
− 例えば、強酸をマスト(must)に添加することによって、コハク酸イオンを酸性化してコハク酸を生じるステップと、
− 場合により、コハク酸を精製するステップと、
− コハク酸を結晶化するステップと
を含むコハク酸の入手方法に関する。
一実施形態によると、上記の方法の全てにおいて、精製ステップは、以下のように実行されるエタノール精製を含む:
− 例えばブフナー漏斗および/またはろ過土(filtering earth)による酸性化マストのろ過(タンパク質沈殿物の除去)、
− 場合により、真空下での蒸発によるろ液の濃縮(好ましくは、約2〜8の間の濃縮係数に従う)、
− 塩の沈殿を引き起こす(コハク酸は溶解したままである)ように、1/1〜5/1の比率のエタノール、例えば95%エタノールの添加、
− ろ過、例えば膜によるろ過による塩沈殿物の分離、
− 真空下での蒸発によるエタノールの回収、
− 活性炭における処理、その後、プレートろ過およびろ過土によるろ過。
− 例えばブフナー漏斗および/またはろ過土(filtering earth)による酸性化マストのろ過(タンパク質沈殿物の除去)、
− 場合により、真空下での蒸発によるろ液の濃縮(好ましくは、約2〜8の間の濃縮係数に従う)、
− 塩の沈殿を引き起こす(コハク酸は溶解したままである)ように、1/1〜5/1の比率のエタノール、例えば95%エタノールの添加、
− ろ過、例えば膜によるろ過による塩沈殿物の分離、
− 真空下での蒸発によるエタノールの回収、
− 活性炭における処理、その後、プレートろ過およびろ過土によるろ過。
本発明は、非限定的である以下の例示的な実施形態によって説明される。
(実施例1:発酵槽の通気孔を開放または閉鎖した2つの異なるCO2の供給方法に従う嫌気性発酵によるコハク酸の製造)
コハク酸の製造方法は、
− 三角フラスコ内で前培養する段階と、
− 好気条件下、窒素源としてのコーンスティープ(corn steep)および炭素源としてのグルコースを含む培地中で培養し、バイオマスの製造を可能にする段階と、
− コハク酸の本質的な製造を可能にする嫌気性の段階と
を含む。
コハク酸の製造方法は、
− 三角フラスコ内で前培養する段階と、
− 好気条件下、窒素源としてのコーンスティープ(corn steep)および炭素源としてのグルコースを含む培地中で培養し、バイオマスの製造を可能にする段階と、
− コハク酸の本質的な製造を可能にする嫌気性の段階と
を含む。
好気条件および嫌気条件下での段階は、同じ発酵槽において実行される。使用される菌株はSBS550MG−pHL413菌株である。
好気性段階:
SBS550MG−pHL413菌株を125rpmで振とうさせながら37℃で17時間、三角フラスコ内で前培養する。2つのバッフル付きの2リットルの三角フラスコ内で、400mlの培地に菌株を接種する。
SBS550MG−pHL413菌株を125rpmで振とうさせながら37℃で17時間、三角フラスコ内で前培養する。2つのバッフル付きの2リットルの三角フラスコ内で、400mlの培地に菌株を接種する。
この前培養培地の組成は、次の通りである:
トリプトン(Tryptone) 10g/l
酵母抽出物 5g/l
NaCl 10g/l
抗生物質(アンピシリン、カルベニシリン、オキサシリン) 67mg/l
このように前培養した菌株を、組成が次の通りである培地中で15lの発酵槽内に入れる。
トリプトン(Tryptone) 10g/l
酵母抽出物 5g/l
NaCl 10g/l
抗生物質(アンピシリン、カルベニシリン、オキサシリン) 67mg/l
このように前培養した菌株を、組成が次の通りである培地中で15lの発酵槽内に入れる。
三角フラスコ内の前培養によって得られた接種材料は、発酵槽内で培養される培地の全体積の3%になる。
好気性段階中の培養条件は、37℃の温度、500rpmにおける攪拌、1vvmの通気であり、そしてpH調節は行わない(pHは、培地の殺菌の前に7.5に調整するだけである)。
嫌気性段階:
CO2を連続供給するプロトコール
− 以下のものが培地に添加される:グルコース:開始時に示に20g/l+24時間の時点で15g/l+50時間の時点で4g/l。
− 発酵は、250rpmで攪拌しながら、発酵槽の通気孔を開放し、37℃において0.3vvm(l/l/分)の流速でCO2を連続注入し、pH6.4で実行される。
− 63.5時間で終結し、倍地中の最終コハク酸力価は30g/lである。
− 消費されたCO2の総量(0.3vvm×60分×63.5時間/22.4mol/l×44g/mol)は2245g/lになり、すなわち、73g/gのコハク酸が形成される。
− さらに、発酵の最後に、2g/lの濃度のHCO3 −(1.5g/lのCO2に相当する)が培地中に存在する。
CO2を連続供給するプロトコール
− 以下のものが培地に添加される:グルコース:開始時に示に20g/l+24時間の時点で15g/l+50時間の時点で4g/l。
− 発酵は、250rpmで攪拌しながら、発酵槽の通気孔を開放し、37℃において0.3vvm(l/l/分)の流速でCO2を連続注入し、pH6.4で実行される。
− 63.5時間で終結し、倍地中の最終コハク酸力価は30g/lである。
− 消費されたCO2の総量(0.3vvm×60分×63.5時間/22.4mol/l×44g/mol)は2245g/lになり、すなわち、73g/gのコハク酸が形成される。
− さらに、発酵の最後に、2g/lの濃度のHCO3 −(1.5g/lのCO2に相当する)が培地中に存在する。
本発明に従うプロトコール
発酵プロトコールは、以下の点を除いて上記のものと同じである。
− 好気性段階による残存空気を追い出すために、嫌気性段階の最初に、0.3vvmの流速で1分間、CO2が発酵槽内に導入される。
− CO2系の圧力が0.4バールまで低下される。
− CO2が出て行くのを防止するために、発酵槽の通気孔が密閉される。
− このようにしてCO2の注入は、発酵の間中、正確にその消費量に調整される。
− 培地中に溶解した残存HCO3 −を消費するために、グルコースの残存濃度が4g/lに達したらCO2の注入が停止される。
発酵プロトコールは、以下の点を除いて上記のものと同じである。
− 好気性段階による残存空気を追い出すために、嫌気性段階の最初に、0.3vvmの流速で1分間、CO2が発酵槽内に導入される。
− CO2系の圧力が0.4バールまで低下される。
− CO2が出て行くのを防止するために、発酵槽の通気孔が密閉される。
− このようにしてCO2の注入は、発酵の間中、正確にその消費量に調整される。
− 培地中に溶解した残存HCO3 −を消費するために、グルコースの残存濃度が4g/lに達したらCO2の注入が停止される。
本発明に従う結果
− 発酵の最後の培地中で製造されたコハク酸の最終濃度:30g/l(CO2を連続供給して得られた濃度と同じである)。
− 発酵の最後の培地中の残存HCO3 −の濃度:0.3g/l(CO2を連続供給して得られた濃度と比較して85%の低下を表す)。
− CO2の消費:開始時に0.59g/l+コハク酸に結合した6g/l、すなわち0.2g/gの酸(CO2を連続供給して得られた濃度と比較して99.7%の低下を表す)。
− 発酵の最後の培地中で製造されたコハク酸の最終濃度:30g/l(CO2を連続供給して得られた濃度と同じである)。
− 発酵の最後の培地中の残存HCO3 −の濃度:0.3g/l(CO2を連続供給して得られた濃度と比較して85%の低下を表す)。
− CO2の消費:開始時に0.59g/l+コハク酸に結合した6g/l、すなわち0.2g/gの酸(CO2を連続供給して得られた濃度と比較して99.7%の低下を表す)。
従って、本発明に従って有利に、そして一方ではコハク酸の製造収率を保持しながら、相当量の二酸化炭素廃棄物が回避される:
− 閉鎖した反応器内での作業は、廃棄物を自然に制限し、そして
− さらに、発酵の最後の培地中の残存HCO3 −の濃度の低下が観察される。しかしながら、発酵の最後の培地中の残存HCO3 −の酸性化はCO2の放出をもたらす。
− 閉鎖した反応器内での作業は、廃棄物を自然に制限し、そして
− さらに、発酵の最後の培地中の残存HCO3 −の濃度の低下が観察される。しかしながら、発酵の最後の培地中の残存HCO3 −の酸性化はCO2の放出をもたらす。
(実施例2:無機培地および種々の化合物(そのうちの少なくとも1つはマグネシウム系である)によるpHの調節を用いる嫌気性発酵によるコハク酸の製造)
使用される菌株はSBS550MG−pHL413菌株である。
使用される菌株はSBS550MG−pHL413菌株である。
嫌気条件下における発酵段階の間、pHは、種々の化合物:NaOH、NH3、KOH、CaOまたはMgOを用いて6.75の値に調節される。
プロトコールスキームは以下の通りである:
− 三角フラスコ内の前培養、
− 発酵槽内の継代培養、
− 発酵槽内の製造:2段階:
好気性段階:バイオマスの製造、
嫌気性段階:CO2の存在下におけるコハク酸の製造。
− 三角フラスコ内の前培養、
− 発酵槽内の継代培養、
− 発酵槽内の製造:2段階:
好気性段階:バイオマスの製造、
嫌気性段階:CO2の存在下におけるコハク酸の製造。
各ステップは、以下に詳述される:
嫌気性段階:CO2を供給したコハク酸塩の製造
− グルコース20g/lの添加、
− 0.2vvmにおけるCO2の注入、
− 37℃、攪拌:250rpm、
− 5NのNaOH、または28%w/vのNH3、または5NのKOH、または20%w/vのCaO、または20%w/vのMgOの添加によるpHの6.75における調節。
− グルコース20g/lの添加、
− 0.2vvmにおけるCO2の注入、
− 37℃、攪拌:250rpm、
− 5NのNaOH、または28%w/vのNH3、または5NのKOH、または20%w/vのCaO、または20%w/vのMgOの添加によるpHの6.75における調節。
それぞれのプロトコールについて、製造されたコハク酸の量は、HPLCによって測定される。
結果は、20g/lのグルコースの消費に相当する短い製造段階を通して得られた生産性および収率と共に図1に示されている。
本発明に従って、驚くことにそして有利に、嫌気性発酵中のpHの調節のためにMgOの使用は、はるかに最良の能力レベルを与え、100%よりも高い収率と、他の塩基の最も有効なもの(NaOH)で得られるよりも2.5倍高い体積による生産性とを有する。
以下の表は、MgOの使用が、最良のバイオマス製造収率、および最低の副産物の合成も与えることを示すことによって比較を完成する。
製造速度:MgOの添加とNaOHの添加によるpHの調節の比較
図2は、水酸化ナトリウムまたはマグネシアの存在下で製造段階を延長することによって得られるコハク酸力価の変化を比較する。
図2は、水酸化ナトリウムまたはマグネシアの存在下で製造段階を延長することによって得られるコハク酸力価の変化を比較する。
この比較により、MgOの使用の別の予期しない利点:コハク酸の蓄積中の速度の低下の程度が低いことが明らかにされる。有利なことに、MgOの使用は、NaOHの使用と比較して、コハク酸生産性およびの製造速度の増大を可能にする。さらに、MgOの使用は、50g/lよりも高いコハク酸濃度(力価)に達することも可能にする。
(実施例3:マグネシウム化合物を用いる好気性成長段階におけるコハク酸の製造およびpHの調節)
使用される菌株はSBS550MG−pHL413菌株である。
使用される菌株はSBS550MG−pHL413菌株である。
前培養および継代培養のために使用されるプロトコールは、実施例2で記載したものと同じである。
発酵槽における製造のために、本発明に従って、好気性培養段階(菌株の成長、バイオマスの製造)中のpHの調節はMgOを用いて実行されるが、嫌気条件下でのコハク酸塩の製造段階中のpHの調節は水酸化ナトリウムを用いて実行される。
その他の作業条件は、実施例2のものと同じである。
これは、「MgO、その次にNaOH」という表記によって要約され、好気性培養ステップがMgOの添加により実行され、その後、NaOHの添加による嫌気性発酵ステップが実行されることを示す。
以下の表は、これらのpH調節条件(「MgO、その次にNaOH」)下で得られる結果を、2段階でMgOのみまたはNaOHのみが使用される(「MgO、その次にMgO」または「NaOH、その次にNaOH」)場合に得られる結果と比較する。
これらの結果は、成長段階においてMgOのみを用いてpHを調節することによって製造段階における能力レベルにおいてプラス効果を得ることが可能であることを示す。
(実施例4:嫌気性発酵および酸性化によるコハク酸の入手)
使用される菌株はSBS550MG−pHL413菌株である。実施例2のコハク酸の製造方法(pH調節剤としてMgOを用いる)の後に、種々の酸の添加による酸性化ステップが行われる:
− オルトリン酸:三塩基性リン酸マグネシウム(非常に不溶性)の形成および沈殿による精製。水相中のコハク酸1モルあたり1モルのH3PO4が添加される。この結果、非常に可溶性の一塩基性リン酸マグネシウムの形成が起こる。
− シュウ酸:非常に不溶性のシュウ酸マグネシウムの形成および沈殿による精製。コハク酸の損失はない。その対イオンから解放されるコハク酸が急速に得られる。
使用される菌株はSBS550MG−pHL413菌株である。実施例2のコハク酸の製造方法(pH調節剤としてMgOを用いる)の後に、種々の酸の添加による酸性化ステップが行われる:
− オルトリン酸:三塩基性リン酸マグネシウム(非常に不溶性)の形成および沈殿による精製。水相中のコハク酸1モルあたり1モルのH3PO4が添加される。この結果、非常に可溶性の一塩基性リン酸マグネシウムの形成が起こる。
− シュウ酸:非常に不溶性のシュウ酸マグネシウムの形成および沈殿による精製。コハク酸の損失はない。その対イオンから解放されるコハク酸が急速に得られる。
(実施例5:嫌気性発酵によるコハク酸の入手およびコハク酸ナトリウムへの転化)
使用される菌株はSBS550MG−pHL413菌株である。実施例2のコハク酸の製造方法(pH調節剤としてMgOを用いる)の後に、炭酸ナトリウムの添加による炭酸マグネシウムおよびコハク酸ナトリウムの形成ステップ行われる。
使用される菌株はSBS550MG−pHL413菌株である。実施例2のコハク酸の製造方法(pH調節剤としてMgOを用いる)の後に、炭酸ナトリウムの添加による炭酸マグネシウムおよびコハク酸ナトリウムの形成ステップ行われる。
不溶性である炭酸マグネシウムは沈殿する。コハク酸の損失はない。炭酸マグネシウムは、高温のオーブン、例えば700℃よりも高温のオーブン内で処理することができる。この結果、MgOおよびCO2が得られ、そのうちの少なくとも1つはリサイクルすることができる。次に、炭酸マグネシウムは有利に回収される。
コハク酸ナトリウムは、双極電気分解によって処理することができ、水酸化ナトリウムおよびコハク酸(結晶化することができる)が得られる。この水酸化ナトリウムは、高温オーブンからこれまでに放出されたCO2によって、炭酸ナトリウムを形成するように再転化され得る。
ステップは全て図3に示される。
(実施例6:嫌気性発酵、エタノール精製および結晶化によるコハク酸の入手)
実施例1のコハク酸の製造方法(pH調節剤としてNaOHを用いる)の後に、以下に記載されるエタノール精製ステップが行われる:
− 発酵培地(マスト)の遠心分離(5000g、15分、20℃)(バイオマスの排除)。
− 1.5のpHが得られるまで、95%硫酸の上澄みへの添加。
− Seitz EKプレートおよびFW20ろ過土を有するブフナー漏斗によるマストのろ過(タンパク質沈殿物の排除)。
− 真空下の蒸発によるろ液の濃縮(濃縮係数はおよそ2と8の間で変動する)。
− 95%エタノール、塩の沈殿を生じるように濃縮ろ液の体積あたり2体積のエタノールの添加(コハク酸は溶解したままである)。
− 3ミクロンのミリポア膜によるろ過による塩沈殿物の分離。
− 真空下の蒸発によるエタノールの回収。
− 活性炭による処理(乾燥重量ベースで2%のPureflow C−80℃−1時間)、その次に、Seitz EKプレートおよびFW20ろ過土によるろ過。
− 蒸発結晶化(Tp水浴75℃−残留圧力60mbar−約50%の調理済み結晶塊(crystalline cooked mass)の乾燥物質)。
− 20℃で攪拌しながら調理済み結晶塊の冷却。
− 3ミクロンのミリポア膜によるろ過による結晶の分離。
− 脱塩水による結晶の清浄化。
− 真空下、60℃で一晩の結晶の乾燥。
実施例1のコハク酸の製造方法(pH調節剤としてNaOHを用いる)の後に、以下に記載されるエタノール精製ステップが行われる:
− 発酵培地(マスト)の遠心分離(5000g、15分、20℃)(バイオマスの排除)。
− 1.5のpHが得られるまで、95%硫酸の上澄みへの添加。
− Seitz EKプレートおよびFW20ろ過土を有するブフナー漏斗によるマストのろ過(タンパク質沈殿物の排除)。
− 真空下の蒸発によるろ液の濃縮(濃縮係数はおよそ2と8の間で変動する)。
− 95%エタノール、塩の沈殿を生じるように濃縮ろ液の体積あたり2体積のエタノールの添加(コハク酸は溶解したままである)。
− 3ミクロンのミリポア膜によるろ過による塩沈殿物の分離。
− 真空下の蒸発によるエタノールの回収。
− 活性炭による処理(乾燥重量ベースで2%のPureflow C−80℃−1時間)、その次に、Seitz EKプレートおよびFW20ろ過土によるろ過。
− 蒸発結晶化(Tp水浴75℃−残留圧力60mbar−約50%の調理済み結晶塊(crystalline cooked mass)の乾燥物質)。
− 20℃で攪拌しながら調理済み結晶塊の冷却。
− 3ミクロンのミリポア膜によるろ過による結晶の分離。
− 脱塩水による結晶の清浄化。
− 真空下、60℃で一晩の結晶の乾燥。
Claims (24)
- 嫌気条件下でのエシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株の発酵によって、コハク酸および/またはコハク酸イオンを製造するための方法であって、
(A)CO2が供給される発酵槽において、前記菌株によるCO2の消費によってCO2の供給が制御されるように前記発酵槽の通気孔を閉鎖して実行される、炭素源の発酵ステップであって、前記炭素源が完全に欠乏する前にステップ(B)が行われるステップと、
(B)残存CO2を消費するように、CO2を供給せずに残りの炭素源を発酵させるステップと
を含む方法。 - ステップ(A)の開始時に、発酵培地がCO2で飽和される請求項1に記載の方法。
- ステップ(A)および/またはステップ(B)が、6.0〜7.0の範囲内、好ましくは6.4〜6.8の範囲内のpHで実行される請求項1または2に記載の方法。
- 前記炭素源がグルコースであり、
− ステップ(A)の開始時に、前記発酵培地が15〜40g/lのグルコースを含み、そして
− ステップ(B)の開始時に、前記発酵培地が2〜6g/lのグルコースを含む
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 - 前記エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株がΔadhE ΔldhA ΔiclR Δackpta PYC遺伝子型を有し、好ましくは、前記エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株がSBS550MG−pHL413菌株である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- − 請求項1〜5のいずれか一項に記載のコハク酸および/またはコハク酸イオンの製造方法と、
− 適切な場合には、コハク酸を生じるためのコハク酸イオンの酸性化と、
− コハク酸を精製する、好ましくはエタノール精製するステップと、
− 場合により、コハク酸を結晶化するステップと
を含むコハク酸の入手方法。 - (a)好気条件下でエシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株を培養するステップであって、この間、マグネシウム化合物を培地へ添加することによってpHが調節されるステップと、
(b)CO2の存在下、ステップ(a)で培養された菌株の嫌気条件下での発酵によってコハク酸イオンを製造するステップと、
(c)ステップ(b)で形成されたコハク酸イオンをコハク酸に転化するステップと
を含むコハク酸の製造方法。 - ステップ(a)において、前記マグネシウム化合物が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムから選択される請求項7に記載の方法。
- ステップ(b)の間、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、アンモニウム化合物、およびナトリウム化合物、ならびにこれらの混合物で構成される群から選択される化合物を発酵培地へ添加することによって、pHが調節される請求項7または8に記載の方法。
- ステップ(b)が、6.0〜7.0の範囲内、好ましくは6.4〜6.8の範囲内のpHで実行される請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ(c)が酸性化を含む請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記酸性化が、オルトリン酸、シュウ酸および硫酸から選択される少なくとも1つの酸の添加によって実行される請求項11に記載の方法。
- ステップ(b)の間、マグネシウム化合物で構成される群から選択される化合物を発酵培地へ添加し、それによりコハク酸マグネシウムを形成することによってpHが調節され、そしてステップ(c)が、
(c−1)ステップ(b)で形成されたコハク酸マグネシウムをコハク酸ナトリウムに転化するステップと、
(c−2)ステップ(c−1)で形成されたコハク酸ナトリウムを双極電気透析によってコハク酸に転化するステップと
を含む請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法。 - 前記エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株がΔadhE ΔldhA ΔiclR Δackpta PYC遺伝子型を有し、好ましくは、前記エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株がSBS550MG−pHL413菌株である請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
- − 請求項7〜14のいずれか一項に記載のコハク酸の製造方法と、
− コハク酸を精製する、好ましくはエタノール精製するステップと、
− 場合により、コハク酸を結晶化するステップと
を含むコハク酸の入手方法。 - (i)CO2の存在下、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株の嫌気条件下での発酵によってコハク酸マグネシウムを製造するステップであって、この間、マグネシウム化合物を発酵培地へ添加することによってpHが調節されるステップと、
(ii)ステップ(i)で形成されたコハク酸マグネシウムをコハク酸に転化するステップと
を含むコハク酸の製造方法。 - ステップ(i)において、前記マグネシウム化合物が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムから選択される請求項16に記載の方法。
- ステップ(i)が、6.0〜7.0の範囲内、好ましくは6.4〜6.8の範囲内のpHで実行される請求項16または17に記載の方法。
- ステップ(ii)が酸性化を含む請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 前記酸性化が、オルトリン酸、シュウ酸および硫酸から選択される少なくとも1つの酸の添加によって実行される請求項19に記載の方法。
- ステップ(ii)が、
(ii−a)ステップ(i)で形成されたコハク酸マグネシウムをコハク酸ナトリウムに転化するステップと、
(ii−b)ステップ(ii−a)で形成されたコハク酸ナトリウムを双極電気透析によってコハク酸に転化するステップと
を含む、請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。 - 前記エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株がΔadhE ΔldhA ΔiclR Δackpta PYC遺伝子型を有し、好ましくは、前記エシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株がSBS550MG−pHL413菌株である請求項16〜21のいずれか一項に記載の方法。
- − 請求項16〜22のいずれか一項に記載のコハク酸の製造方法と、
− コハク酸を精製する、好ましくはエタノール精製するステップと、
− 場合により、コハク酸を結晶化するステップと
を含むコハク酸の入手方法。 - 発酵マストからのコハク酸および/またはコハク酸イオンを精製するための方法であって、
− 前記マストに硫酸を添加することによって、コハク酸が生じるようにコハク酸イオンを酸性化するステップと、
− エタノールの添加によってコハク酸を精製するステップと、
− 場合により、結晶化と
を含む方法。
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