JP2011257744A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーは、ドメイン・マトリクス構造の結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子よりなるものであって、前記トナー粒子が、体積基準のメディアン径で4.3〜7.0μmのものであり、前記結着樹脂におけるマトリクス相が、スチレン−アクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂の重合体から構成され、かつ、前記結着樹脂におけるドメイン相が、ジエン系モノマーに由来する構造単位を含む重合体から構成され、前記ドメイン相の大きさが、フェレ径で50〜300nmであり、前記ドメイン相を構成する重合体のガラス転移温度が、−85〜+35℃の範囲にあることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
このようなトナーによれば、定着工程において、例えば紙などの画像支持体上のトナーを加熱溶融したときにブロック共重合体と画像支持体との親和性が高まり、低温定着性と耐ブロッキング性との両方が向上するとされている。
このようなトナーによれば、造粒工程においてスチレン−ジエン系ブロック共重合体がワックスを内包する作用を応用し、定着温度を上昇させることなく、耐ブロッキング性を向上させることができるとされている。
前記トナー粒子が、体積基準のメディアン径で4.3〜7.0μmのものであり、
前記結着樹脂におけるマトリクス相が、スチレン−アクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂の重合体から構成され、かつ、前記結着樹脂におけるドメイン相が、ジエン系モノマーに由来する構造単位を含む重合体から構成され、
前記ドメイン相の大きさが、フェレ径で50〜300nmであり、
前記ドメイン相を構成する重合体のガラス転移温度が、−85〜+35℃の範囲にあることを特徴とする。
また、本発明のトナーにおいては、前記酸モノマーが、前記ジエン系モノマーと共重合体を形成するものであり、
前記酸モノマーの共重合比率が、1〜5質量%であることが好ましい。
スチレンとブタジエンの共重合比が、30:70〜50:50であることが好ましい。
本発明のトナーは、ドメイン・マトリクス構造の結着樹脂および着色剤を含有する粒状のトナー粒子よりなるものである。
本発明において、ドメイン・マトリクス構造とは、連続したマトリクス相中に、閉じた界面(相と相との境界)を有するドメイン相が存在している構造のものをいう。
なお、ドメイン・マトリクス構造の結着樹脂を含有するトナー粒子については、オスミウム染色したトナー粒子断面について透過型電子顕微鏡を用いて観察することにより確認することができる。また、ミクロトームを用いてトナー粒子の切片を切り出す場合においては、切片の厚さを100nmに設定する。
トナー粒子の体積基準のメディアン径が上記範囲内であることにより、高画質の画像を形成することができる。
トナー粒子の体積基準のメディアン径が4.3μm未満である場合においては、形成される画像ががさついたものとなると共に、トナーの低温定着性を損なうおそれがある。一方、トナー粒子の体積基準のメディアン径が7.0μmを超える場合においては、形成される画像の解像度および中間調の均質性が不十分となるおそれがある。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
トナーのガラス転移温度が過度に低い場合においては、トナーが十分な耐ブロッキング性を有さず、保管時にトナー同士の凝集が発生しやすくなるおそれがあり、一方、ガラス転移温度が過度に高い場合においては、トナーが溶融しにくく低温定着性を有さないものとなるおそれがある。
トナーの軟化点温度が過度に低い場合においては、定着工程においてホットオフセット現象が生じやすくなるおそれがあり、一方、軟化点温度が過度に高い場合においては、形成される画像が十分な定着強度を有さないおそれがある。
本発明のトナーを構成するトナー粒子に含有されるドメイン・マトリクス構造の結着樹脂は、樹脂(以下、「マトリクス樹脂」という。)よりなるマトリクス相中に、特定の重合体よりなるドメイン相が粒子状に分散された状態のものである。
ドメイン・マトリクス構造の結着樹脂におけるドメイン相は、ジエン系モノマーに由来する構造単位を含む特定の重合体(以下、「ドメイン樹脂」ともいう。)から構成される。
ドメイン相は、ジエン系モノマーに由来する構造単位を含む重合体、すなわちゴム成分よりなるものである。
共役ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、2−クロル1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらの中でも、定着強度を確保する観点から、特にブタジエンが好ましい。
ドメイン相の大きさが上記範囲内であることにより、マトリクス樹脂との接触面積が十分に得られ、ゴム成分であるドメイン樹脂による弾性が有効に発揮されて、トナーが優れた耐ホットオフセット性および折り目定着性を有するものとなる。
ドメイン相の大きさがフェレ径で50nm未満である場合においては、ゴム成分であるドメイン樹脂による弾性が有効に発揮されず、トナーが優れた折り目定着性を有するものとならない。一方、ドメイン相の大きさがフェレ径で300nmを超える場合においては、トナーが十分な耐ブロッキング性を有するものとならない。
また例えば、後述するドメイン樹脂を形成すべき酸モノマーの導入量を調整することにより、制御することもできる。特に、酸モノマーとしてカルボキシル基を有するものを用いる場合においては、トナー粒子の形成時のpHの作用によりドメイン相の大きさ(フェレ径)を微細化することができ、かつ、ドメイン相をマトリクス相中において均一に分散させることができるため好ましい。
なお、変動係数はドメイン相のフェレ径の相対的なばらつきを示す指標であり、下記式(CV)により算出されるものである。
式(CV):変動係数(%)=(S2/K2)×100
〔式(CV)中において、S2はドメイン相100個の水平方向フェレ径の標準偏差を示し、K2はドメイン相100個の水平方向フェレ径の算術平均値を示す。〕
ドメイン樹脂のガラス転移温度が上記範囲内であることにより、トナーが優れた折り目定着性を有するものとなる。特に、ドメイン樹脂のガラス転移温度が−40〜+30℃の範囲内である場合においては、トナーの転写性が優れ、さらには中間調の画像における粒状性が良好となる傾向にある。
ドメイン樹脂のガラス転移温度が−85℃未満である場合においては、トナーが十分な耐ブロッキング性を有さず、十分な耐熱保管性の有するものとならない。一方、ドメイン樹脂のガラス転移温度が+35℃を超える場合においては、トナーが十分な低温定着性を有するものとならない。
すなわち、平滑に切り出した測定用試料の測定部位(ドメイン相に対応する部位)にサーマルプローブを接触させて、当該サーマルプローブの温度を上昇させたときに、侵入深さに対応するDeflection電圧が、上昇から下降へ転ずる温度をガラス転移温度として測定する。
ドメイン樹脂のトルエン不溶分の含有割合が上記範囲内であることにより、トナーが低温定着性を阻害せず耐ホットオフセット性および折り目定着性を有するものとなる。
なお、酸モノマーの共重合比率は、例えば1〜5質量%であることが好ましい。酸モノマーの共重合比率が上記範囲内であることにより、ゴム成分であるドメイン樹脂による微粒子間の凝集を抑制することができる。
ドメイン樹脂の含有量が上記の極少量の範囲内であることにより、トナーが低温定着性を有しながら十分な耐ブロッキング性を有するものとなる。一方、ドメイン樹脂の含有量が過多である場合は、トナーが十分な耐ブロッキング性を有するものとならないおそれがある。また、ドメイン樹脂の含有量が過少である場合は、トナーが十分な低温定着性を有するものとならず、また、十分な折り目定着性が得られず、さらに、ホットオフセット現象が発生するおそれがある。
ドメイン・マトリクス構造の結着樹脂におけるマトリクス相は、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂の重合体から構成される。
スチレン−アクリル系樹脂としては、少なくともスチレン系モノマーおよびアクリル酸系モノマーを含む重合性単量体によるランダム共重合体であることが好ましい。
また、スチレン−アクリル系樹脂を形成するためのアクリル酸系モノマーとして、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体などが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
マトリクス樹脂のガラス転移温度が過度に低い場合においては、トナーが十分な耐ブロッキング性を有さず、保管時にトナー同士の凝集が発生しやすいものとなるおそれがあり、一方、マトリクス樹脂のガラス転移温度が過度に高い場合においては、トナーが十分な低温定着性を有するものとならないおそれがある。
マトリクス樹脂のガラス転移温度は、ドメイン樹脂のガラス転移温度よりも2〜122℃以上高いことが好ましい。これは、トナーが溶融されて定着される際に、低温側においてトナーの粘弾性が低下するため、低温側における定着性能の向上をもたらしていると推察されるからである。
本発明のトナーを構成するトナー粒子に含有される着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、複合酸化鉄顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
また、カラーのトナーを得るための着色剤としては、染料、有機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に係るトナー粒子に用いられる離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックスなどを挙げることができる。
トナー中における離型剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して通常0.5〜25質量部とされ、好ましくは3〜15質量部とされる。
本発明に係るトナー粒子に用いられる荷電制御剤としては、金属錯体、アンモニウム塩、カリックスアレーンなどの公知の種々の化合物を用いることができる。
トナー中における荷電制御剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜10質量部とされ、好ましくは0.5〜5質量部とされる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加した状態で使用してもよい。
流動化剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、フェライト、ベンガラ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ジルコニウム、マグネタイト、ステアリン酸マグネシウムなどよりなる無機微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、トナー粒子の表面への分散性向上、環境安定性向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
クリーニング助剤としては、例えば、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子などが挙げられる。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
これらの外添剤の添加量は、その合計の添加量がトナー中に好ましくは0.1〜20質量%とされる。
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
キャリアの体積基準のメディアン径は15〜100μmであることが好ましく、より好ましくは20〜80μmである。キャリアの体積基準のメディアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
本発明のトナーを製造する方法としては、特に限定されないが、ドメイン樹脂を均質にマトリクス樹脂に分散させるという観点から、ドメイン樹脂の微粒子(以下、「ドメイン樹脂微粒子」ともいう。)と、マトリクス樹脂の微粒子(以下、「マトリクス樹脂微粒子」ともいう。)とを凝集、融着させる乳化重合会合法が好ましい。
(1)水系媒体中に、マトリクス樹脂微粒子が分散されてなる分散液Aを調製するマトリクス樹脂微粒子分散液調製工程。
(2)水系媒体中に、ドメイン樹脂微粒子が分散されてなる分散液Bを調製するドメイン樹脂微粒子分散液調製工程。
(3)水系媒体中に、着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)が分散されてなる分散液Cを調製する着色剤微粒子分散液調製工程。
(4)分散液A〜Cを混合する分散液混合工程。
(5)マトリクス樹脂微粒子、ドメイン樹脂微粒子および着色剤微粒子を水系媒体中で塩析、凝集、融着させてトナー粒子を形成する塩析、凝集、融着工程。
(6)トナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程。
(7)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程。
(8)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程。
分散液Aにおけるマトリクス樹脂微粒子は、乳化重合法により製造されることが好ましい。
乳化重合法においては、マトリクス樹脂を形成するべき重合性単量体を水系媒体中に分散させて乳化粒子(油滴)を形成した後、重合開始剤を投入して重合性単量体を重合させることにより形成される。
マトリクス樹脂微粒子分散液調製工程において使用される重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤であれば適宜のものを使用することができる。重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、パーオキシド化合物などが挙げられる。
マトリクス樹脂微粒子分散液調製工程においては、マトリクス樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどを挙げることができる。
分散液Bにおけるドメイン樹脂微粒子は、乳化重合法またはミニエマルション重合法により製造することができる。
乳化重合法においては、ドメイン樹脂を形成するべき重合性単量体を水系媒体中に分散させて乳化粒子(油滴)を形成した後、重合開始剤を投入して重合性単量体を重合させることにより形成される。
また、分散液Bにおけるドメイン樹脂微粒子は、ドメイン樹脂を構成する特定の重合体を予め作製した後、界面活性剤水溶液中において分散して乳化する方法により製造することもできる。
また、ドメイン樹脂微粒子分散液調製工程において連鎖移動剤を用いる場合に、連鎖移動剤としては、マトリクス樹脂微粒子分散液調製工程において使用することができるものと同様のものを挙げることができる。
ドメイン樹脂微粒子の体積基準のメディアン径は、メスシリンダーに試料を数滴滴下し、純水を加えて超音波洗浄機「US−1」(as one社製)を用いて分散させ測定用試料を作製し、この測定用試料について「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)を用いて測定することができる。
なお、ドメイン樹脂微粒子1個〜複数個により、ひとつのドメイン相が形成されるものと考えられる。
着色剤微粒子分散液調製工程において得られる着色剤微粒子の粒径は、体積基準のメディアン径で例えば10〜300nmの範囲内にあることが好ましい。なお、体積基準のメディアン径は、「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)を用いて測定することができる。
また例えば、工程(1)においてマトリクス樹脂微粒子をマトリクス樹脂と内添剤とを分子レベルで混在させたものとしてこれを用いることによりトナー中に導入することもできる。マトリクス樹脂と内添剤とが分子レベルで混在されたマトリクス樹脂微粒子は、当該マトリクス樹脂を形成すべき重合性単量体に予め内添剤を溶解させておき、内添剤を含有した重合性単量体を重合させることにより、作製することができる。
この分散液混合工程においては、マトリクス樹脂微粒子の分散液Aを例えばpH7.5〜11の弱アルカリ性に調整した状態において、当該マトリクス樹脂微粒子の分散液Aに対してドメイン樹脂微粒子の分散液Bを加えることが好ましい。
この分散液混合工程において界面活性剤を使用する場合の界面活性剤としては、特に限定されずに公知の種々のものを用いることができるが、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩;オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどの脂肪酸塩などのイオン性界面活性剤を好適なものとして例示することができる。
また、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレノキサイドとのエステル、ソルビタンエステルなどのノニオン性界面活性剤も使用することができる。
以上の界面活性剤は、所望に応じて、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
この塩析、凝集、融着工程においては、凝集剤を添加すると共に昇温することにより、凝集が開始される。
この塩析、凝集、融着工程において使用する凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を挙げることができる。凝集剤を構成するアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
これらの工程は、一般的に行われる公知の乳化重合会合法における濾過、洗浄工程、乾燥工程、外添剤添加工程に従って行うことができる。
本発明のトナーは、一般的な電子写真方式による画像形成方法に用いることができる。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部およびイオン交換水3000質量部を添加し、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温した。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を添加し、液温を80℃に調整した。
次いで、
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 16質量部
よりなる重合性単量体混合液を反応容器に1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌して重合を行い、樹脂微粒子(1H)の分散液を調製した。
スチレン 245質量部
n−ブチルアクリレート 120質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5質量部
よりなる重合性単量体混合液をそのまま添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEAMIX」(エム・テクニック(株)製)を用いて1時間混合分散させて乳化粒子(油滴)を含有する分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を添加し、82℃の温度下で1時間加熱撹拌して重合を行い、樹脂微粒子(1HM)の分散液を調製した。
スチレン 435質量部
n−ブチルアクリレート 130質量部
メタクリル酸 33質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
よりなる重合性単量体溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、マトリクス樹脂微粒子〔A−1〕の分散液を得た。得られたマトリクス樹脂微粒子〔A−1〕のガラス転移温度を以下の方法により測定した。マトリクス樹脂微粒子〔A−1〕のガラス転移温度は37℃であった。
<マトリクス樹脂の原材料としてのガラス転移温度>
マトリクス樹脂微粒子について、その分散液を凍結乾燥させて、乾燥させた測定用試料4.5mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、示差走査カロリメーター「DSC8500」(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットした。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分にて、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行った。第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間における最大傾斜を示す接線との交点の値をガラス転移温度とした。
加熱乾燥した三口フラスコに、下記原料を投入した後、窒素ガスにより不活性雰囲気下において、機械撹拌することにより、180℃で5時間還流を行った。その後、反応系内に生成した水を減圧蒸留にて留去しながら、240℃まで昇温した。さらに、240℃で3時間脱水縮合反応を継続したところでGPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)にて分子量を測定し、質量平均分子量が27,000となったところで、減圧蒸留を停止し、ポリエステル系樹脂を得た。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 310質量部
テレフタル酸 116質量部
フマル酸 12質量部
ドデセニルコハク酸 54質量部
Ti(OBu)4 40.05質量部
次いで、このポリエステル系樹脂100質量部と、酢酸エチル50部と、イソプロピルアルコール25質量部と、10%アンモニア水溶液5質量部とをセパラブルフラスコに投入し、混合、溶解させた後、40℃で加熱撹拌しながら、イオン交換水を送液ポンプにより送液速度8g/minで滴下した。液が白濁した後、送液速度25g/minに上げて転相させ、送液量が135質量部となったところで滴下を停止した。その後、減圧下において溶剤除去を行いマトリクス樹脂微粒子〔A−2〕の分散液を得た。このマトリクス樹脂微粒子〔A−2〕のガラス転移温度は、上述した方法により測定したところ、63℃であった。
耐圧容器に、重合性単量体としてブタジエン50質量部、スチレン30質量部、メタクリル酸メチル18質量部、アクリル酸2質量部を仕込み、さらにイオン交換水200質量部、t−ドデシルメルカプタン1質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部、過硫酸カリウム1質量部を仕込んだ後、窒素雰囲気中において温度70℃で2時間重合を行い、その後、重合を完結させるため、さらに3時間反応を継続して重合を終了させることにより、ドメイン樹脂微粒子〔B−1〕が分散されたラテックス〔LxB1〕を調製した。
得られたラテックス〔LxB1〕について、ドメイン樹脂微粒子〔B−1〕のガラス転移温度、体積基準のメディアン径およびトルエン不溶分を、以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
<ドメイン樹脂の原材料としてのガラス転移温度>
ドメイン樹脂微粒子について、その分散液を凍結乾燥させて、乾燥させた測定用試料4.5mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、示差走査カロリメーター「DSC8500」(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットした。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度−120〜100℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分にて、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行った。第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間における最大傾斜を示す接線との交点の値をガラス転移温度とした。
50mlのメスシリンダーにラテックス〔LxB1〕を数滴滴下し、純水25mlを加えて超音波洗浄機「US−1」(as one社製)を用いて3分間分散させ測定用試料を作製し、この測定用試料3mlを「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)に投入して、Sample Loadingの値が0.1〜100の範囲にあることを確認して、下記条件により測定した。
−測定条件−
Transparency(透明度):Yes
Refractive Index(屈折率):1.59
Particle Density(粒子比重):1.05/cm3
Spherical Particle(球形粒子):Yes
−溶媒条件−
Refractive Index(屈折率):1.33
Viscosty(粘度):Hight(temp)0.797×10-3Pa・S
Low(temp)1.002×10-3Pa・S
ラテックス〔LxB1〕のpHを7.5に調整した後、このラテックス〔LxB1〕を撹拌下のイソプロパノール中に添加して凝固させ、この凝固物を洗浄、乾燥した後、所定量(約0.03g)の測定用試料を所定量(約100mL)のトルエンに20℃において20時間浸漬し、その後、120メッシュの金網で濾過し、得られる残存固形分の測定用試料に対する質量%を算出した。
ドメイン樹脂微粒子の分散液の調製例1において、下記表1の処方に従って、添加する成分の種類および/または添加量を変更したことの他は同様にして、それぞれ、ドメイン樹脂微粒子〔B−2〕〜〔B−21〕が分散されたラテックス〔LxB2〕〜〔LxB21〕を調製した。
得られたラテックス〔LxB2〕〜〔LxB21〕について、それぞれ、ドメイン樹脂微粒子〔B2〕〜〔B21〕のガラス転移温度、体積基準のメディアン径およびトルエン不溶分を、上述した方法により測定した。結果を表1に示す。なお、ドメイン樹脂微粒子〔B−18〕〜〔B−21〕が分散されたラテックス〔LxB18〕〜〔LxB21〕は比較用のものである。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を取り付けた重合装置に、純水2948質量部、アニオン界面活性剤「エマール2FG」(花王社製)2.3質量部を入れ、撹拌溶解し、窒素気流下80℃に加温した。次いで、スチレン520質量部、ブチルアクリレート184質量部、メタクリル酸96質量部、n−オクチルメルカプタン22.1質量部を混合した単量体混合液と、過硫酸カリウム10.2質量部を純水218質量部に溶解した重合開始剤水溶液とを用意し、重合開始剤水溶液に単量体混合液を3時間かけて滴下し、さらに1時間重合を行い、室温まで冷却してシェル用樹脂微粒子分散液〔1〕を調製した。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。
この着色剤微粒子分散液〔1〕における着色剤微粒子の体積基準のメディアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した溶液を撹拌しながら、マイクロクリスタリンワックス(融点87℃)420質量部を徐々に添加し、100℃に加熱して、「マントンゴーリン高圧ホモジナイザー」(ゴーリン社製)を用いて分散処理することにより、離型剤微粒子分散液〔1〕を調製した。
この離型剤微粒子分散液〔1〕における離型剤微粒子の体積基準のメディアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、340nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、マトリクス樹脂微粒子〔A−1〕の分散液300質量部(固形分換算)、ドメイン樹脂微粒子〔B−1〕のラテックス〔LxB1〕9質量部(固形分換算)、イオン交換水1400質量部、着色剤微粒子分散液〔1〕120質量部、離型剤微粒子分散液〔1〕120質量部、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に添加した水溶液123質量部を投入し、液温を30℃に調整した。
次に、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整し、塩化マグネシウム35質量部をイオン交換水35質量部に溶解させた30℃の水溶液を、撹拌状態にある反応系中に10分間かけて添加した。そして、添加後3分経過してから昇温を開始し、反応系を60分間かけて90℃まで昇温し、凝集を進行させた。凝集により形成される凝集粒子の大きさを「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)により測定しながら、体積基準のメディアン径が6.5μmになった時点で、シェル用樹脂微粒子分散液〔1〕30質量部(固形分換算)を添加し、1時間撹拌を行い、シェル用樹脂微粒子を表面に融着させた。20%塩化ナトリウム水溶液750質量部を添加して粒子成長を停止させた。さらに、30分間そのまま撹拌を続けて完全にシェル層が形成された後、20%塩化ナトリウム水溶液の添加後、液温を98℃にして撹拌を継続し、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)により凝集粒子の平均円形度を観察しながら、凝集した微粒子の融着を進行させ、平均円形度が0.965になった後、液温を30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、撹拌を停止した。
この凝集粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)により固液分離し、凝集粒子のウェットケーキを形成し、これを前記のバスケット型遠心分離機により濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥することにより、トナー粒子〔1〕を得た。このトナー粒子〔1〕の体積基準のメディアン径は6.6μm、平均円形度は0.965であった。なお、トナー粒子の体積基準のメディアン径および平均円形度は上述した方法により測定されたものである。以下において同じである。
なお、トナー粒子について、疎水性シリカの添加によっては、その粒径および平均円形度は変化しなかった。
トナーの製造例1において、ドメイン樹脂微粒子の種類および添加量を表2に従って変更したことの他は同様にして、トナー粒子〔2〕〜〔17〕よりなるトナー〔2〕〜〔17〕を得た。トナー粒子〔2〕〜〔17〕の体積基準のメディアン径および平均円形度を表2に示す。
pHメーター、攪拌羽、温度計を取り付けた反応容器に、マトリクス樹脂微粒子〔A−2〕の分散液300質量部(固形分換算)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム32質量部と、イオン交換水1278質量部とを入れ、200rpmで15分間攪拌しながら、界面活性剤をなじませた。これに、ドメイン樹脂微粒子〔B−1〕のラテックス〔LxB1〕9質量部(固形分換算)、着色剤微粒子分散液〔1〕120質量部、離型剤微粒子分散液〔1〕120質量部を加え混合した後、この原料混合物に0.3Mの硝酸水溶液を加えて、pHを2.8に調整した。ついで、「Ultraturrax」(IKAジャパン社製)により1000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤として硫酸アルミニウム10%水溶液250質量部を滴下した。なお、この凝集剤滴下の途中で、原料混合物の粘度が増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないよう注意した。凝集剤の滴下が終了したら、さらに回転数6000rpmに上げて5分間攪拌し、凝集剤と原料混合物を充分混合した。次いで、上記原料混合物をマントルヒーターにて30℃に加温しながら550〜650rpmで攪拌した。60分攪拌後、凝集粒子を成長させるために0.5℃/分で45℃まで昇温した。一方、凝集粒子被覆用として、マトリクス樹脂微粒子〔A−2〕の分散液411質量部(固形分換算)に、イオン交換水145質量部、アニオン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)15質量部を加えて混合し、予めpH2.7に調整したシェル用樹脂微粒子分散液〔1〕を調製した。上記凝集工程で凝集粒子が5.0μmに成長したところで、上記シェル用樹脂微粒子分散液〔1〕を加え、攪拌しながら10分間保持した。その後、シェルを被覆したコアシェル型凝集粒子の成長を停止させるために、EDTA水溶液33質量部と1Mの水酸化ナトリウム水溶液を順に加え、原料混合物のpHを7.5に制御した。ついで、pHを6.5に調整しながら昇温速度1℃/minで85℃まで昇温した。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、氷水を注入して降温速度100℃/分で急冷した。
次いで、得られた粒子を、1Nの水酸化ナトリウム水溶液で冷却後のスラリーのpHを9.0に調整し、20分間攪拌を行い、20μmメッシュで一度篩分した。その後、固形分に対しておよそ10倍量の温水(50℃)を加え、再度pHを9.0に調整しながら20分攪拌し温アルカリ洗浄を行い、一旦濾過を行った。さらにろ紙上に残った固形分をスラリーに分散して、40℃の温水で3回繰り返し洗浄を行い、さらにスラリーに0.3Nの硝酸水溶液を加えて4.0にしながら40℃で酸洗浄を行った。ついで最終的に、イオン交換水の温水40℃で攪拌洗浄を行い、乾燥させ、トナー粒子〔18〕を得た。このトナー粒子〔18〕の体積基準のメディアン径は5.2μm、平均円形度は0.952であった。
トナーの製造例18において、ドメイン樹脂微粒子の種類および添加量を表3に従って変更したことの他は同様にして、トナー粒子〔19〕〜〔25〕よりなるトナー〔19〕〜〔25〕を得た。トナー粒子〔19〕〜〔25〕の体積基準のメディアン径および平均円形度を表3に示す。なお、トナー粒子の体積基準のメディアン径および平均円形度は上述した方法により測定されたものである。
トナー製造例1において、ドメイン樹脂微粒子を用いず、マトリクス樹脂微粒子〔A−1〕の分散液を315質量部(固形分換算)に変更したことの他は同様にして、トナー粒子〔26〕よりなるトナー〔26〕を得た。トナー粒子〔26〕の体積基準のメディアン径および平均円形度を表3に示す。
トナーの製造例18において、ドメイン樹脂微粒子の種類および添加量を表3に従って変更したことの他は同様にして、トナー粒子〔27〕〜〔30〕よりなるトナー〔27〕〜〔30〕を得た。トナー粒子〔27〕〜〔30〕の体積基準のメディアン径および平均円形度を表3に示す。なお、トナー粒子の体積基準のメディアン径および平均円形度は上述した方法により測定されたものである。
すなわち、トナー粉末の一部をエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームを用いて厚さ100nmに切り出し、四酸化ルテニウムを用いて染色して観察用超薄切片を作製し、この観察用超薄切片を透過型電子顕微鏡「H−7500」(日立製作所社製)により、倍率1万倍にて観察を行って画像を撮影し、当該画像を二値化処理し、ドメイン相100個について水平方向フェレ径を測定し、その算出平均値で示した。
<トナー粒子中におけるドメイン樹脂のガラス転移温度>
トナー粒子中のドメイン樹脂およびマトリクス樹脂について、予め液体窒素などにより冷却した測定用試料(トナー粒子)を局所熱解析システム「ナノサーマルアナリシスシステム(Nano−TA)」(日本サーマル・コンサルティング社製)を用いてそれぞれ測定した。
すなわち、平滑に切り出した測定用試料の測定部位(ドメイン相に対応する部位およびマトリクス相に対応する部位)にサーマルプローブを接触させて、当該サーマルプローブの温度を上昇させたときに、侵入深さに対応するDeflection電圧が、上昇から下降へ転ずる温度をガラス転移温度として測定する。
このトナー〔1〕〜〔30〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメディアン径60μmのフェライトキャリアを、トナーの濃度が6質量%になるよう混合し、現像剤〔1〕〜〔30〕を作製した。
市販の複写機「bizhub 421」(コニカミノルタビジネステクノロジー(株)製)を改造した改造機に現像剤〔1〕〜〔30〕を各々投入して、下記評価1〜4を行った。結果を表4に示す。
市販の複写機「bizhub 421」(コニカミノルタビジネステクノロジー(株)製)を毎分84枚の出力速度(市販品の2倍の出力速度)に改造し、さらに、当該複写機における定着装置について加熱ローラの表面温度を120〜210℃の範囲で変更することができるように改造した改造機を用い、常温常湿(温度20℃、相対湿度55%)において、加熱ローラの軸方向に伸びる5mm幅のベタ帯画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度(加熱ローラの表面温度)を120℃、125℃・・・と5℃刻みで増加させるよう変更しながら繰り返し行った。
各定着実験において、得られた定着画像をさらし布で1Paの圧力で10回こすり、その前後の反射濃度を測定し、その差から下記式(1)に従って定着率を測定し、定着率が70%以上に達した定着実験のうち、最低の定着温度に係る定着実験の当該定着温度を最低定着温度として測定した。
式(1):定着率(%)={(こすり後の反射濃度)/(こすり前の反射濃度)}×100
また、目視でホットオフセットによる画像汚れが観察された定着実験のうち、最低の定着温度に係る定着実験の当該定着温度をホットオフセット温度として測定した。なお、表4において「未発生」は、210℃までホットオフセットが発生しなかったことを意味する。
市販の複写機「bizhub 421」(コニカミノルタビジネステクノロジー(株)製)を毎分84枚の出力速度(市販品の2倍の出力速度)に改造した改造機を用いて、定着装置の加熱ローラの表面温度を170℃に設定し、常温常湿(温度20度、相対湿度55%)において、画像濃度が0.8の黒ベタ画像を形成し、完全に冷却させ(この状態を折り曲げ前の状態とする)、次に、黒ベタ画像を折り、折った部分を3回指で擦った後、黒ベタ画像を開き、「JKワイパー」(株式会社クレシア製)で3回拭き取る(この状態を折り曲げ後の状態とする)。そして、黒ベタ画像の折り曲げ前後の画像濃度から、下記式(2)に従って折り目定着率を算出した。なお、折り目定着率が70%以上である場合に、10人中7人以上が品質的に問題なしと感じる官能評価が得られると考えられて合格であると判断される。
式(2):折り目定着率(%)={(折り曲げ後の画像濃度)/(折り曲げ前の画像濃度)}×100
トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に採取し蓋を閉め、タップデンサー「KYT−2000」(セイシン企業社製)を用いて室温で600回振とうした後、蓋を取った状態で温度55℃、湿度35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定し、下記式(3)に基づいてトナー凝集率を算出した。なお、トナー凝集率が20質量%以下である場合に、実用上問題なく、合格であると判断される。
式(3):トナー凝集率(質量%)={篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g)}×100
市販の複写機「bizhub 421」(コニカミノルタビジネステクノロジー(株)製)を毎分84枚の出力速度(市販品の2倍の出力速度)に改造した改造機を用いて、日本画像学会第一部会発行の「日本画像学会テストチャートNo.4」を出力して、200ライン30%に相当するパッチ画像を目視および倍率20倍のルーペを用いて画質評価を行った。パッチ画像のしっとり感およびドット間のチリに着目し、以下の基準に従って評価を行った。
−評価基準−
A:目視において、粒状性が良好でガサツキ感を全く感じない、かつ、20倍のルーペでドット間を観察したところ、チリの原因となるトナー粒子がない。
B:目視において注視するとかすかなガサツキ感を感じる、もしくは、20倍のルーペでドット間を観察したところ、トナー粒子が1〜3個存在する。
C:目視において、粒状性が悪くガサツキ感を感じる、もしくは、20倍のルーペでドット間を観察したところ、トナー粒子が計数困難な程存在する。
Claims (15)
- ドメイン・マトリクス構造の結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー粒子が、体積基準のメディアン径で4.3〜7.0μmのものであり、
前記結着樹脂におけるマトリクス相が、スチレン−アクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂の重合体から構成され、かつ、前記結着樹脂におけるドメイン相が、ジエン系モノマーに由来する構造単位を含む重合体から構成され、
前記ドメイン相の大きさが、フェレ径で50〜300nmであり、
前記ドメイン相を構成する重合体のガラス転移温度が、−85〜+35℃の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記ドメイン相を構成する重合体が、酸モノマーに由来する構造単位を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記酸モノマーがカルボキシル基を有するものであることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記酸モノマーが、前記ジエン系モノマーと共重合体を形成するものであり、
前記酸モノマーの共重合比率が、1〜5質量%であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。 - 前記ドメイン相を構成する重合体がスチレンブタジエンゴムであり、
スチレンとブタジエンの共重合比が、30:70〜50:50であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。 - 前記ドメイン相の大きさが、フェレ径で75〜250nmであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ドメイン相のフェレ径の粒度分布における変動係数が、20%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ドメイン相を構成する重合体のトルエン不溶分の含有割合が、15〜95質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ドメイン相を構成する重合体のトルエン不溶分の含有割合が、30〜70質量%であることを特徴とする請求項8に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ドメイン相を構成する重合体のトルエン可溶分の質量平均分子量(Mw)が、2万〜150万であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ドメイン相を構成する重合体のトルエン可溶分の質量平均分子量(Mw)が、4万〜80万であることを特徴とする請求項10に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ドメイン相を構成する重合体の含有量が、前記マトリクス相を構成する重合体および前記ドメイン相を構成する重合体の合計の0.3〜7.0質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ドメイン相を構成する重合体の含有量が、前記マトリクス相を構成する重合体および前記ドメイン相を構成する重合体の合計の2.5〜4.0質量%であることを特徴とする請求項12に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記スチレン−アクリル系樹脂が、スチレン系モノマーおよびアクリル酸系モノマーによるランダム共重合体であることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ドメイン相を構成する重合体のガラス転移温度が、−40〜+30℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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