JP2011257707A - イエロートナー - Google Patents

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拓也 金田
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Abstract

【課題】画像濃度が高く、耐光性に優れており、且つ長時間印字を行っても部材汚染のないイエロートナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂及びイエロー着色剤を含有し、前記イエロー着色剤が高い耐光性と高い耐熱性を同時に満足するピリドンアゾ色素の(メタ)アクリル重合体又は共重合体の構造単位を含む化合物(A)、並びにイエロー顔料(B)を含み、前記化合物(A)の重量平均分子量が800〜200,000であることを特徴とする、イエロートナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像濃度が高く、耐光性に優れており、且つ長時間印字を行っても部材汚染のないイエロートナーに関する。
電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置において、感光体上に形成される静電潜像は、先ず、トナーにより現像される。次いで、形成されたトナー像は、必要に応じて紙等の転写材上に転写された後、加熱、加圧又は溶剤蒸気等の種々の方式により定着される。
このような画像形成装置において、デジタルフルカラー複写機やデジタルフルカラープリンターが実用化されてきている。デジタルフルカラー複写機は、カラー画像原稿を、ブルー、グリーン及びレッドの各フィルターで色分解した後、オリジナルのカラー原稿に対応した20〜70μmのドット径からなる静電潜像を、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各トナーを用いて現像し、減色混合作用を利用してフルカラー画像を形成する。
近年、このフルカラー画像の高画質化、高精細化への要求はますます高くなってきている。特に、色の再現性を高めるために、インキによる印刷と同等の色相で印刷できることが望まれている。
従来イエロートナー用の着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー12、13及び17等に代表されるようなジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントイエロー97及び98等に代表されるようなモノアゾ系顔料等の使用が一般的であり、耐光性に優れた顔料としてはC.I.ピグメントイエロー94及び95等に代表されるような顔料が知られている。
特許文献1には、イエロー着色剤として、縮合アゾ顔料に分類される顔料又はベンズイミダゾロン系アゾ顔料に分類される顔料と、C.I.ソルベントイエロー162に分類される油溶性染料とを含有していることを特徴とするイエロートナーが開示されている。
特許文献2には、結着樹脂、着色剤及び離型剤とを主成分として含有する乾式トナーにおいて、該離型剤として少なくとも植物系ワックス及び合成炭化水素系ワックスを含有することを特徴とする乾式トナーが開示されている。当該文献には、着色剤としてモノアゾ系イエロー顔料を使用した実験例が開示されている。
特開2000−162824号公報 特開平11−2917号公報
電子写真方式の画像形成装置としては、通常の複写機やプリンターとしてオフィス内文書の印刷や単なるコピーとして使用するものから、オフィス外用の印字物の作製の分野、具体的には、電子データから可変情報を簡単に印字できることから、軽印刷の領域であるオンデマンドプリンティング(POD)市場にまで用途が拡大してきている。このため、印字物の画像濃度についても近年急速に要求レベルが高まっている。
特許文献1には、当該文献の明細書の271段落に耐光性の評価方法が、当該明細書の287段落(表1)及び316段落(表2)に耐光性の評価結果が、それぞれ記載されている。しかし、当該明細書の271段落に記載されている評価方法は、アークランプの暴露時間が40時間と短い。また、当該明細書の表1及び表2に記載された耐光性の評価結果の値が何を表しているのか、明細書の記載から明らかでないため、特許文献1には、トナーの耐光性の評価結果が十分に開示されていない。
さらに、特許文献1には、当該明細書の287段落(表1)又は316段落(表2)の比較例2及び4において、備考欄に「定着ローラへの染着が見られた」旨が記載されている。しかし、特許文献1には、部材汚染の評価結果について、これ以外の記載はない。したがって、比較例2及び4において、どの程度の部材汚染が生じていたのか、また、他の実験例において部材汚染が生じたか否かについては、特許文献1には記載されていない。
一方、特許文献2には、画像濃度の測定結果、並びに、耐光性及び部材汚染の評価結果に関する記載は一切ない。
本発明の目的は、画像濃度が高く、耐光性に優れており、且つ長時間印刷を行っても部材汚染のないイエロートナーを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、イエロー着色剤として特定の構造を有する高分子化染料を使用することにより、併用するイエロー顔料の分散が良くなる結果、イエロートナーにおいて、画像濃度が極めて高く、耐光性に優れており、且つ、さらに長時間印刷後における感光体ドラム等の部材の汚染が生じにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のイエロートナーは、結着樹脂及びイエロー着色剤を含有し、前記イエロー着色剤が下記一般式(I)及び/又は下記一般式(II)で表される構造単位を含む化合物(A)、並びにイエロー顔料(B)を含み、前記化合物(A)の重量平均分子量が800〜200,000であることを特徴とする。
Figure 2011257707
(一般式(I)及び(II)中、R、R、R及びRは各々独立に、へテロ原子を有する置換基、水素原子、炭素数1〜21のアルキル基、炭素数2〜21のアルケニル基、炭素数6〜21のアリール基、及び炭素数7〜21のアラルキル基からなる群から選ばれる置換基を表す。また、一般式(II)において、R及びRはこれらに結合している窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。R及びRは各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基、メトキシメチル基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる置換基を表す。また、R及びRは各々独立に、置換基を有していてもよい二価の連結基を表し、R及びR10は各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
本発明においては、前記イエロー顔料(B)がC.I.ピグメントイエロー74、93、155、180及び185からなる群より選ばれる顔料であることが好ましい。
本発明においては、部材汚染を抑制し、かつ、着色力を高めるという観点から、前記化合物(A)の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して0.2〜5質量部であることが好ましい。
本発明においては、帯電安定性を高く保ち、かつ、着色力及び耐光性を高めるという観点から、前記イエロー顔料(B)の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して0.5〜7.5質量部であることが好ましい。
本発明においては、帯電安定性を高く保ち、かつ、部材汚染を抑制するという観点から、前記化合物(A)の含有量に対する前記イエロー顔料(B)の含有量の比(前記イエロー顔料(B)/前記化合物(A))が0.2〜5であることが好ましい。
本発明においては、前記イエロートナーは、湿式法により製造されるものであってもよい。
上記の如き本発明の静電荷像現像用トナーによれば、イエロー着色剤として高分子染料を使用することにより、併用するイエロー顔料の分散が良くなる結果、画像濃度が極めて高く、経時的に安定した帯電性をトナー粒子に付与し、多枚数の連続印刷を行っても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く、さらに印刷後の感光体ドラム等の部材の汚染が生じにくいイエロートナーが提供される。
本発明のイエロートナーは、結着樹脂及びイエロー着色剤を含有し、前記イエロー着色剤が下記一般式(I)及び/又は下記一般式(II)で表される構造単位を含む化合物(A)、並びにイエロー顔料(B)を含み、前記化合物(A)の重量平均分子量が800〜200,000であることを特徴とする。
Figure 2011257707
(一般式(I)及び(II)中、R、R、R及びRは各々独立に、へテロ原子を有する置換基、水素原子、炭素数1〜21のアルキル基、炭素数2〜21のアルケニル基、炭素数6〜21のアリール基、及び炭素数7〜21のアラルキル基からなる群から選ばれる置換基を表す。また、一般式(II)において、R及びRはこれらに結合している窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。R及びRは各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基、メトキシメチル基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる置換基を表す。また、R及びRは各々独立に、置換基を有していてもよい二価の連結基を表し、R及びR10は各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
以下、本発明のイエロートナーを、単に「トナー」と称することがある。
以下、本発明に使用されるイエロー着色樹脂粒子(以下、単に「着色樹脂粒子」と称することがある。)の製造方法、当該製造方法により得られるイエロー着色樹脂粒子、当該イエロー着色樹脂粒子を用いた本発明のイエロートナーの製造方法及び本発明のイエロートナーについて、順に説明する。
1.着色樹脂粒子の製造方法
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
上記乳化重合凝集法は、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子エマルションを得て、着色剤分散液等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する。また、上記溶解懸濁法は、結着樹脂や着色剤等のトナー成分を有機溶媒に溶解又は分散した溶液を水系媒体中で液滴形成し、当該有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を製造する方法であり、それぞれ公知の方法を用いることができる。
本発明に使用される着色樹脂粒子は、湿式法、又は乾式法を採用して製造することが出来るが、湿式法が好ましく、湿式法の中でも特に好ましい懸濁重合法を採用し、以下のようなプロセスにより製造される。
(A)懸濁重合法
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、イエロー着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤及び離型剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
本発明で重合性単量体は、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等の二トリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
ホットオフセット改善及び保存性改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールにカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られるトナーの保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマー又はポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」と称することがある。)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いる。
本発明においては、イエロー着色剤が、高分子化合物(A)、及びイエロー顔料(B)を含む。
以下、本発明に使用する化合物(A)について詳述する。
本発明に使用する化合物(A)は、下記一般式(I)及び/又は下記一般式(II)で表される構造単位を含む色素化合物であり、従来のアゾ化合物にはない、高い耐光性と高い耐熱性とを同時に満足し、かつ必要な場合には水又は有機溶剤に自由に溶解することが可能な新規な色素化合物である。
特に、(メタ)アクリル重合体又は共重合体の形態をとることで、これまで溶解性に乏しかったピリドンアゾ色素の、水や各種溶剤に対する溶解性を自由に制御することが可能となった。
Figure 2011257707
(一般式(I)及び(II)中、R、R、R及びRは各々独立に、へテロ原子を有する置換基、水素原子、炭素数1〜21のアルキル基、炭素数2〜21のアルケニル基、炭素数6〜21のアリール基、及び炭素数7〜21のアラルキル基からなる群から選ばれる置換基を表す。また、一般式(II)において、R及びRはこれらに結合している窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。R及びRは各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基、メトキシメチル基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる置換基を表す。また、R及びRは各々独立に、置換基を有していてもよい二価の連結基を表し、R及びR10は各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
前記一般式(I)中、Rで表される基がヘテロ原子を有する置換基である場合、Rはピリドン環の合成に使用できるヘテロ原子を有するアミンに由来する基なら特に限定されない。Rは総原子数3〜50程度の基が色価の観点で好ましく、総原子数3〜40の基がより好ましく、総原子数3〜30の基が更に好ましく、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の少なくとも1つを有する総原子数3〜30の基が特に好ましい。
で表される置換基は、例えばシアノ酢酸エステルと1級アミンとの反応によって得られたアミド化合物をピリドン環に閉環することで導入されるため、Rで表される基がヘテロ原子を有する置換基である場合、Rとしては、例えばアルドリッチ・ストラクチャー・インデックスに記載されているヘテロ原子を含有する1級アミンに由来する基を挙げることができる。
が表すヘテロ原子を有する置換基の例としては、特に限定されないが、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチル−エチル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、3−ジエチルアミノプロピル基、2−N−ピロリジニルエチル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、等が挙げられる。中でも、3−メトキシプロピル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、等が好ましい。
前記一般式(I)及び(II)中、R、R及び/又はRがヘテロ原子を有する置換基を表す場合、R、R及び/又はRは例えば対応するスルホンアミドの合成に使用できるヘテロ原子を有するアミンに由来する基なら特に限定されない。
、R及び/又はRは、総原子数3〜50程度の基が色価の観点で好ましく、総原子数3〜40の基がより好ましく、総原子数3〜30の基が更に好ましく、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の少なくとも1つを有する総原子数3〜30の基が特に好ましい。
、R及び/又はRで表される置換基は、例えばニトロベンゼンスルホニルクロライドと1級又は2級アミンとの反応によって導入されるため、R、R及び/又はRで表される基がへテロ原子を有する置換基である場合、R、R及び/又はRとしては、例えばアルドリッチ・ストラクチャー・インデックスに記載されているヘテロ原子を含有する1級または2級アミンに由来する基やこれらの誘導体を挙げることができる。
、R及び/又はRが表すへテロ原子を有する置換基の例としては、特に限定されないが、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチル−エチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、3−ジエチルアミノプロピル基、2−N−ピロリジニルエチル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、ジエチルアミノエチル基、2,2−ジメトキシエチル基、1,3−ジオキソラン−2−イル−メチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メルカプトエチル基、等が挙げられる。
中でも、3−メトキシプロピル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、ジエチルアミノエチル基、2,2−ジメトキシエチル基、1,3−ジオキソラン−2−イル−メチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メルカプトエチル基、等が好ましい。
、R、R及びRがヘテロ原子を含まない置換基の場合、R、R、R及びRは各々独立に、水素原子、炭素数1〜21のアルキル基、炭素数2〜21のアルケニル基、炭素数6〜21のアリール基、炭素数7〜21のアラルキル基を表す。一般式(II)において、R及びRはこれらと結合している窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。また、R、R、R及びRの基は置換基を有していてもよい。
前記R、R、R及びRで表される炭素数1〜21のアルキル基は、炭素数1〜15のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。
前記R、R、R及びRで表される炭素数1〜21のアルキル基としては、特に限定されず、直鎖、分岐、または環状のアルキル基のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコサニル基、i−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、i−アミル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−アミル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、2−エチル−2−メチルプロピル基、直鎖又は分岐のヘプチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、t−オクチル基、分岐したノニル基、分岐したデシル基、分岐したウンデシル基、分岐したドデシル基、分岐したトリデシル基、分岐したテトラデシル基、分岐したペンタデシル基、分岐したヘキサデシル基、分岐したヘプタデシル基、分岐したオクタデシル基、直鎖又は分岐のノナデシル基、直鎖又は分岐のエイコサニル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、シス−ミルタニル基、イソピノカンフェニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、1−(1−アダマンチル)エチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、キヌクリジニル基、シクロペンチルエチル基、ビシクロオクチル基、等が好適に挙げられる。
前記の中でも、耐熱性向上の観点から、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、及びi−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、i−アミル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−アミル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、2−エチル−2−メチルプロピル基、分岐したヘプチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、t−オクチル基、分岐したノニル基、分岐したデシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、1−(1−アダマンチル)エチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、シクロペンチルエチル基、ビシクロオクチル基等の分岐したアルキル基や環状のアルキル基、が特に好ましい。
前記R、R、R及びRで表される炭素数2〜21のアルケニル基は、炭素数2〜15のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルケニル基がより好ましい。
前記R、R、R及びRで表される炭素数2〜21のアルケニル基としては、特に限定されず、例えば、ビニル基、イソプロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−エチル−1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2,6−ジメチル−5−ヘプテニル基、9−デセニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニルメチル基、シクロヘキセニル基、1−メチル−2−シクロヘキセニル基、1,4−ジヒドロ−2−メチルフェニル基、オクテニル基、シトロネリル基、オレイル基、ゲラニル基、ファーネシル基、2−(1−シクロヘキセニル)エチル基、等が好適に挙げられる。
前記の中でも、ビニル基、イソプロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−エチル−1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニルメチル基、シクロヘキセニル基、1−メチル−2−シクロヘキセニル基、1,4−ジヒドロ−2−メチルフェニル基が特に好ましい。
前記R、R、R及びRで表される炭素数6〜21のアリール基は、炭素数6〜15のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
前記R、R、R及びRで表される炭素数6〜21のアリール基としては、特に限定されず、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、アントラセニル基、アンスラキノニル基、ピレニル基、等が好適に挙げられ、この中でも、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基が特に好ましい。
前記R、R、R及びRで表される炭素数7〜21のアラルキル基は、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜10のアラルキル基がより好ましい。
前記R、R、R及びRで表される炭素数7〜21のアラルキル基としては、特に限定されず、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、1,2−ジフェニルエチル基、フェニル−シクロペンチルメチル基、α−メチルベンジル基、フェニルエチル基、α−メチル−フェニルエチル基、β−メチル−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、3,3−ジフェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ナフチルメチル基、スチリル基、シンナミル基、フルオレニル基、1−ベンゾシクロブテニル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基、インダニル基、ピペロニル基、ピレンメチル基、等が好適に挙げられる。
前記の中でも、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェニルエチル基、α−メチル−フェニルエチル基、β−メチル−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、スチリル基、シンナミル基、フルオレニル基、1−ベンゾシクロブテニル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基が特に好ましい。
前記R及びRは、これらと結合している窒素原子と共に複素環を形成していてもよく、かかる場合の複素環の例としては、特に限定されず、2−メチルアジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、3−ピロリン環、ピペリジン環、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン環、ヘキサメチレンイミン環、ピペラジン環、1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン環、デカヒドロキノリン環、オキサゾリジン環、モルホリン環、チアゾリジン環、チオモルホリン環、インドリン環、イソインドリン環、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール環、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン環、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン環、イミノジベンジル環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、等が好ましい。
前記の中でも、ピロリジン環、3−ピロリン環、ピペリジン環、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン環、ピペラジン環、デカヒドロキノリン環、オキサゾリジン環、モルホリン環、チアゾリジン環、チオモルホリン環が特に好ましい。
色価(ε/Mw)の観点から、前記R、R、R及びRで表される基の式量は、前記R、R、R及びRの合計で500以下が好ましく、400以下がより好ましく、300以下が特に好ましい。
前記一般式(I)及び/又は前記一般式(II)で表される構造単位を含む化合物(A)は、前記R、R、R又はRの部分で結合し、色素骨格を2個以上有していてもよい。
前記一般式(I)、(II)中、R及びRは、炭素数1〜10のアルキル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基を表す。
前記R及びRとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、が好ましく、中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、がより好ましく、メチル基、イソプロピル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、が特に好ましい。
一般式(I)及び(II)の化合物を合成する際、アミノアルコール:HO−R(又はR)−N(R)Hを使用することが有用である。
前記アミノアルコール及び/又はこれに由来するR(又はR)は、総原子数3〜50程度の基が色価の観点で好ましく、総原子数3〜40の基がより好ましく、総原子数3〜30の基が特に好ましい。
前記アミノアルコール:HO−R(又はR)−N(R)Hは、例えばアルドリッチ・ストラクチャー・インデックスに記載されている対応する構造を有するアミノアルコールであれば特に限定されない。
アミノアルコール:HO−R(又はR)−N(R)Hとして具体的には、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、イソロイシノール、ロイシノール、t−ロイシノール、6−アミノ−2−メチル−2−ヘプタノール、1−アミノ−1−シクロペンタンメタノール、2−アミノ−3−シクロヘキシル−1−プロパノール、2−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサノール、1−アミノメチル−1−シクロヘキサノール、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(t−ブチルアミノ)エタノール、3−ピロリジノール、2−ピロリジンメタノール、2−ピペリジンメタノール、2−ピペリジンエタノール、3−ヒドロキシピペリジン、3−ピペリジンメタノール、4−ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−ピペラジン、2−アニリノエタノール、2−アミノフェノール、2−アミノベンジルアルコール、2−アミノフェネチルアルコール、3−(1−ヒドロキシエチル)アニリン、4−アミノフェノール、4−アミノフェネチルアルコール、2−アミノ−3−メチルベンジルアルコール、3−アミノ−2−メチルベンジルアルコール、2−アミノ−M−クレゾール、5−アミノ−2−メトキシフェノール、3−アミノ−O−クレゾール、等が挙げられ、前記R又はRとしては、これらのアミノアルコールの窒素原子と酸素原子との連結部分が挙げられる。
中でも、連結基R又はRをもたらすアミノアルコールとしては、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、6−アミノ−2−メチル−2−ヘプタノール、2−アミノ−3−シクロヘキシル−1−プロパノール、4−アミノシクロヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、3−ピロリジノール、2−ピロリジンメタノール、2−ピペリジンメタノール、2−ピペリジンエタノール、3−ヒドロキシピペリジン、3−ピペリジンメタノール、4−ヒドロキシピペリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−ピペラジン、等が好ましい。
一般式(I)又は(II)で表される構造単位を含む化合物(A)のTgは、−100〜+200℃の範囲にあることが好ましく、−50〜+150℃の範囲にあることが更に好ましく、−30〜+120℃の範囲にあることが特に好ましい。
一般式(I)又は(II)で表される構造単位のポリマー中でのモル分率は、1モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましく、50モル%以上が特に好ましい。
一般式(I)又は(II)で表される構造単位とともに化合物(A)を構成する成分(いわゆる共重合成分)としては、(二元以上の)共重合が可能であれば特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、ビニル基を有する芳香族炭化水素環類、ビニル基を有するヘテロ芳香族環類、無水マレイン酸、イタコン酸エステル類、クロトン酸エステル類、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)クロトンニトリル、各種スチレン類、各種ベンゾイルオキシエチレン類、各種アセトキシエチレン類、ビニルカルバゾール類、ビニルピロリドン、等が挙げられる。
この中でも、(メタ)アクリル酸、置換基を有していてもよい、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、直鎖又は分岐のプロピル(メタ)アクリレート、直鎖又は分岐のブチル(メタ)アクリレート、ノルマルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルオクチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよい(メタ)アクリルアミド、(ジ)メチル(メタ)アクリルアミド、(ジ)エチル(メタ)アクリルアミド、直鎖又は分岐の(ジ)プロピル(メタ)アクリルアミド、直鎖又は分岐の(ジ)ブチル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ノルマルヘキシル(メタ)アクリルアミド、(ジ)シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、(ジ−)2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、(α−メチル−)スチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、無水マレイン酸、メチルジャスモネート、イタコン酸、クロトン酸、置換基を有していてもよい、メチルクロトネート、エチルクロトネート、直鎖又は分岐のプロピルクロトネート、等が好ましい。
また、前記に挙げたもののうち、カルボキシル基は、金属塩となっていてもよい。
上述のものの置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアリールカルボニル基、炭素数1〜20のジアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、フリル基、フルフリル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロフルフリル基、アルキルチオ基、トリメチルシリル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、チエニル基、モルホリノ基、モルホリノカルボニル基、−OH基、等が好ましい。
また、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)クロトンニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート等も、特に好ましい共重合モノマーの例として挙げられる。
その他親水性を有するモノマーとして、燐酸、燐酸エステル、4級アンモニウム塩、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸及びその塩、モルホリノエチル基等を含んだモノマー等も有用である。
また、前記に挙げたもののうち、スルホン酸基、カルボン酸基は、金属塩となっていてもよい。
共重合するモノマーの種類数も特には限定されないが、1〜12種が好ましく、1〜8種がより好ましく、1〜5種が特に好ましい。
以下、前記一般式(I)及び/又は前記一般式(II)で表される構造単位を含む化合物(A)の具体例(例示化合物(a)〜(h))を挙げる。式(a)〜式(h)の化合物は、それぞれ、化合物(a)〜化合物(h)を表し、化合物(a)〜化合物(d)は、後述する実施例における化合物(a)〜化合物(d)にそれぞれ対応している。
本発明に使用される化合物(A)は、下記具体例のみに限定されるものではない。また、下記具体例の互変異性体も本発明の化合物として好適に用いることができる。
Figure 2011257707
Figure 2011257707
本発明に使用される化合物(A)は、一般には例えば、所望の置換基を有するニトロベンゼン誘導体を還元した後にジアゾ化し、これに所望の置換基を有するピリドン化合物を加える等の方法により、まずヒドロキシル基を有するピリドンアゾ色素を合成し、次いで(メタ)アクリロイル化し、それを重合することにより、一般式(I)又は(II)の部分構造を有する重合体を合成することが可能である。
前記の所望のニトロベンゼン誘導体やピリドン化合物の置換基等を適宜変えることで更に所望の物性を有する重合体を合成することが可能である。
本発明に使用する化合物(A)の分子量は、重量平均分子量で、800〜200,000である。化合物(A)の分子量が800未満である場合には、耐光性が低下するおそれがある。また、化合物(A)の分子量が200,000を超える場合には、着色力が低下するおそれがある。
化合物(A)の分子量は、重量平均分子量で、5,000〜100,000が好ましく、7,000〜70,000がさらに好ましい。
化合物(A)の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.2〜5質量部であることが好ましい。化合物(A)の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.2質量部未満である場合には、着色力が低下するおそれがある。また、化合物(A)の含有量が、結着樹脂100質量部に対して5質量部を超える場合には、ロール等の如きトナーと接触する部材やキャリアを化合物(A)が着色汚染する、いわゆる部材汚染が生じるおそれがある。
化合物(A)は、結着樹脂100質量部に対して、より好ましくは0.5〜4質量部用いる。
本発明においては、上記化合物(A)の他に、イエロー着色剤としてイエロー顔料(B)を含む。
イエロー顔料(B)としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
このうち、イエロー顔料(B)は、C.I.ピグメントイエロー74、93、155、180、又は185であることが好ましい。
イエロー顔料(B)の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.5〜7.5質量部であることが好ましい。イエロー顔料(B)の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.5質量部未満である場合には、着色力及び耐光性が低下するおそれがある。また、イエロー顔料(B)の含有量が、結着樹脂100質量部に対して7.5質量部を超える場合には、帯電安定性が低下するおそれがある。
イエロー顔料(B)は、結着樹脂100質量部に対して、より好ましくは1.0〜6.0質量部、さらに好ましくは2.0〜4.0質量部用いる。
本発明においては、化合物(A)の含有量に対するイエロー顔料(B)の含有量の比(イエロー顔料(B)/化合物(A))が0.2〜5であることが好ましい。
当該比が0.2未満である場合には、部材汚染が生じるおそれがある。これは、化合物(A)の含有割合が高くなる結果、キャリアや定着ローラへの汚染が生じてしまうためである。その結果、耐久に伴ってカブリが生じるおそれもある。
また、当該比が5を超える場合には、帯電安定性が低下するおそれがある。これは、化合物(A)を併用することにより得られる、イエロー顔料(B)の分散効果及びトナーの帯電安定化に寄与する効果がいずれも小さくなる結果、帯電の立ち上がりが低下するためである。また、当該比が5を超える場合において、イエロー顔料(B)として縮合アゾ系顔料を用いた場合には、トランスペアレンシー等を用いた際の透過画像が、赤味がかった画像になる。
化合物(A)の含有量に対するイエロー顔料(B)の含有量の比は、0.33〜3であることがより好ましく、0.5〜2であることがさらに好ましい。
その他の添加物として、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
また、その他の添加物として、重合して結着樹脂となる重合性単量体を重合する際に、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
更にその他の添加物として、離型剤を添加することが好ましい。離型剤を添加することにより、定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善できる。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。例えば、低分子量ポリオレフィンワックスや、その変性ワックス;ホホバ等の植物系天然ワックス;パラフィン等の石油ワックス;オゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル;等が挙げられる。トナーの保存性と低温定着性のバランスが取れることから、多価アルコールエステルが好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
(A−2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
本発明では、重合性単量体とイエロー着色剤を含む重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(株式会社荏原製作所製、商品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(特殊機化工業製、商品名「T.K.ホモミクサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドリキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
有機過酸化物の中では、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も少なくすることが出来ることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に添加されても良いが、水系媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜15質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部である。
本発明において、水系媒体は、水を主成分とする媒体のことを言う。
本発明において、水系媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることにより、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、また、洗浄後の分散安定化剤残存量を少なくできるため、得られる重合トナーが画像を鮮明に再現することができ、更に環境安定性を悪化させない。
(A−3)重合工程
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、イエロー着色剤を含む着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子は、そのままで、又は外添剤を添加して、重合トナーとして用いてもよいが、この着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(又は、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上述した、上記着色樹脂粒子を用いて、コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
(A−4)洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
上記の洗浄の方法としては、分散安定化剤として無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法、加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
先ず、結着樹脂、イエロー着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤及び離型剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
なお、粉砕法で用いる結着樹脂、イエロー着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤及び離型剤等のその他の添加物は、前述の(A)懸濁重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)懸濁重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
結着樹脂としては、他にも、従来からトナーに広く用いられている樹脂を使用することができる。粉砕法で用いられる結着樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等を例示することができる。
2.着色樹脂粒子
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、イエロー着色剤を含有する着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)が好ましくは3〜15μmであり、更に好ましくは4〜12μmである。Dvが3μm未満である場合には、重合トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下する場合がある。Dvが15μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。
また、着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dnが1.3を超える場合には、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分析計(ベックマン・コールター製、商品名「マルチサイザー」)等を用いて測定することができる。
本発明の着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
本発明のトナーは、上記イエロー着色剤を含有する着色樹脂粒子を、そのままでトナーとすることもできるが、トナーの帯電性、流動性、及び保存性等を調整する観点から、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナーとしてもよい。
なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
外添処理を行う攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、細川ミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び/又は酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及び/又はメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ、及び/又は酸化チタンが好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることが好ましい。
本発明では、外添剤を、着色樹脂粒子100質量部に対して、通常、0.05〜6質量
部、好ましくは0.2〜5質量部の割合で用いることが望ましい。外添材の添加量が0.
05質量部未満の場合には転写残が発生することがある。外添材の添加量が6質量部を超
える場合にはカブリが発生することがある。
4.本発明のトナー
上記工程を経て得られる本発明のトナーは、イエロー着色剤として特定の構造を有する高分子化染料を使用することにより、併用するイエロー顔料の分散が良くなる結果、画像濃度が極めて高く、耐光性に優れており、且つ、さらに長時間印刷後における感光体ドラム等の部材の汚染が生じにくいイエロートナーである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
1.化合物(A)の製造
[製造例1]
下記スキームに従って、化合物(a)の合成を行った。尚、下記反応段階に示す(1)〜(11)の数字は、化合物(1)〜(11)を示す。
Figure 2011257707
Figure 2011257707
Figure 2011257707
(化合物(5)の合成:A工程)
前記化合物(2)38.74gと、前記化合物(1)33.93g(0.3モル)とを混合し、70℃で3時間攪拌して前記化合物(3)を合成した。次いで室温まで冷却し、エタノール90mLと前記化合物(4)41.80gとを添加し、45℃に昇温した。水酸化カリウムのエタノール溶液(KOH 25.25g、エタノール150mL)を滴下し、85℃で6時間攪拌した。溶媒を留去し塩酸45gを添加して、析出物をろ過した。濾液にアセトン1300mLと、酢酸エチル250mLとを加え、析出物をデカンテーションにより分離した。液相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して化合物(5)を得た。収量74.67gであり、収率95%であった。
(化合物(10)の合成:B工程)
別途、前記化合物(7)33.24gと、オルトジクロロベンゼン75mLと、蒸留水7.5mLと、前記化合物(6)16.72gとを混合し、45℃に加温した後、炭酸ナトリウム7.95gの水溶液を滴下し、30分攪拌した。更に70℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却し、反応混合物をろ過して、水をかけ洗いして前記化合物(8)を得た。
収量41.37gであり、収率95%であった。
次に、還元鉄27.3gと、酢酸19.5gと、水58.5gとを混合して80℃で1時間攪拌し、これに前記から得られた化合物(8)22.77gを徐々に添加した。さらにエタノール93.6mLを滴下し、80℃で1時間攪拌した。次いで室温まで冷却し、反応混合物に炭酸ナトリウム23.79gの水溶液を加えた後、メタノール175mLを添加し、15分攪拌した。次いでセライトろ過して、アセトン掛け洗いした後、液相の溶媒を留去した。更にアセトン600mLに溶解し、不溶分を除去して硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮し、化合物(9)を得た。収量約16gであり、収率約79%であった。
次に、化合物(9)3.12gと、36%塩酸12.5mLと、蒸留水57mLとを混合し、0℃に冷却した。これに亜硝酸ナトリウム水溶液(NaNO:0.84g、水:10g)を、内温5℃以下で維持しながら滴下し、滴下後5〜10℃を維持して3時間攪拌した(ジアゾ溶液の調製)。
このジアゾ溶液を、別途調製した前記化合物(5)の溶液(前記化合物(5)3.34g(0.0127モル)と水20gとを混合し塩酸を添加してpH2に設定)に0℃以下で1時間かけて滴下した。次いで、10%炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、pH6〜7に設定したのち、ろ過した。さらに、アセトン500mLに溶解し、活性炭と硫酸ナトリウムとを添加してセライトろ過した。次いで溶媒を留去し、固体を真空乾燥して前記化合物(10)3.20gを得た(収率50%)。
得られた化合物(10)について、NMRによる構造確認を行ったところ、H−NMR(300MHz、溶媒:ジメチルスルホキシド−d、標準物質:テトラメチルシラン)δ7.95〜7.80(4H,m)、7.70(1H,t)、4.55(1H,br.s)、3.75ppm(2H,t)、3.45(2H,m)、3.35(2H,m)、2.95(2H,q)、2.55(3H,s)、1.80(1H,m)、1.25(8H,m)、0.85(6H、m)であった。
また、ピリドンアゾ化合物をメタノールに溶解して濃度約1.0×10−5mol/lの溶液を調製し、分光光度計(商品名:UV−2500PC、島津製作所(株)製)を用いて極大吸収波長(λmax)及びモル吸光係数(ε)の測定、並びに波形から半値幅の測定を行った結果、メタノール中でのλmax=426.5nmであり、ε=44980[l・mol−1・cm−1]であり、半値幅=68.5nmであった。
(化合物(a)の合成:C工程)
前記方法により合成した化合物(10)53.7g、メタクリル酸537.0g及びパラトルエンスルホン酸一水和物1.73gを混合し、115℃で10時間攪拌した。次いで、冷却した反応溶液を水中に添加し、炭酸水素ナトリウムで中和したのち、析出した結晶をろ過して、重合性基を有する前記化合物(11)を得た。収量44gであり、収率74%であった。
得られた化合物(11)について、NMRによる構造確認を行ったところ、H−NMR(300MHz、溶媒:ジメチルスルホキシド−d、標準物質:テトラメチルシラン)δ14.4(1H,s)、7.85(4H,dd)、7.75(1H,t)、6.00(1H,s)、5.65(1H,s)、4.15(2H,t)、3.75(2H,m)、3.55ppm(2H,t)、3.45(2H,t)、2.95(2H,q)、2.55(3H,s)、1.85(3H,s)、1.80(1H,m)、1.25(8H,m)、0.85(6H,m)であった。
〜前記化合物(11)の重合反応〜
次に、メチルエチルケトン(MEK)11.6mLを80℃で攪拌しているところに、前記化合物(11)7.00g、「V−601」(和光純薬(株)製)0.1167g、MEK35mLを混合した溶液を70分間かけて滴下し、その後6時間攪拌を続けた。
次いで、冷却した反応溶液をメタノール470mLに攪拌しながら滴下し、生成した沈殿をろ過した。得られた沈殿を真空乾燥して、化合物(a)5.79gを得た(収率83%)。
前記より得られた化合物(a)について、NMRによる構造確認を行ったところ、H−NMR(300MHz、溶媒:ジメチルスルホキシド−d、標準物質:テトラメチルシラン)δ7.90〜7.40ppm(brm)、4.10〜3.40ppm(brm)、2.95〜2.70ppm(brm)、2.50〜2.30ppm(brm)、1.80〜1.60ppm(brm)、1.30〜1.00ppm(brm)、0.95〜0.50ppm(brm)であった。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、THF展開液によりポリスチレン換算による分子量を測定した結果、数平均分子量Mn=15,900、重量平均分子量48,000、分散度PD=Mw/Mn=3.02であった。
[製造例2]
(化合物(b)の合成)
製造例1における前記化合物(11)の重合反応において、前記化合物(11)を前記化合物(11)とメタクリル酸とのモル比1:1の混合物に代えたこと以外、製造例1と同様に合成を行って化合物(b)を得ると共に、同様にNMRによる構造確認、GPCによる分子量の測定を行った。
H−NMR(300MHz、溶媒:ジメチルスルホキシド−d、標準物質:テトラメチルシラン:便宜的に、δ=14.37ppmのピークを1Hとして読み取った)δ14.37ppm(1H,br.s)、12.30ppm(1H,br.s)、7.80ppm(brm,4H)、7.63ppm(brs,1H)、4.20〜3.20ppm(brm,8H)、2.90ppm(brm,2H)、2.40ppm(brm,3H)、1.74ppm(brm,4H)、1.50〜1.10ppm(brm,9H)、1.10〜0.50ppm(brm,12H)であった。
また、色素モノマー:メタクリル酸のモル比=50:50、GPC測定から数平均分子量Mn=17,400、重量平均分子量57,000、分散度PD=Mw/Mn=3.27を得た。
[製造例3]
(化合物(c)の合成)
製造例1における前記化合物(11)の重合反応において、前記化合物(11)を前記化合物(11)とメタクリル酸のモル比70:30との混合物に代えたこと以外、製造例1と同様に合成を行って化合物(c)を得ると共に、同様に測定を行った。
色素モノマー:メタクリル酸のモル比=70:30、数平均分子量Mn=13,400、重量平均分子量43,000、分散度PD=Mw/Mn=3.18であった。
[製造例4]
(化合物(d)の合成)
製造例1における前記化合物(11)の重合反応において、前記化合物(11)を前記化合物(11)とメタクリル酸とのモル比80:20の混合物に代えたこと以外、製造例1と同様に合成を行って化合物(d)を得ると共に、同様に測定を行った。
色素モノマー:メタクリル酸のモル比=80:20、数平均分子量Mn=19,500、重量平均分子量62,000、分散度PD=Mw/Mn=3.18であった。
2.着色樹脂粒子の製造
上記化合物(a)〜(d)等、及び/又は、イエロー顔料を使用して、着色樹脂粒子(1)〜(8)を製造した。
<着色樹脂粒子(1)>
2−1.コア用重合性単量体組成物の調製:
スチレン78部及びn−ブチルアクリレート22部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.3部、ジビニルベンゼン0.6部、t−ドデシルメルカプタン1.6部、及びイエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー93(BASF社製、商品名「CROMOPHTAL YELLOW 3G」)3.0部と化合物(a)3.0部を、メディア式分散機を用いて湿式粉砕した。湿式粉砕により得られた混合物に、帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名「アクリベース FCA−207P」)1部と脂肪酸エステルワックス(日油社製、商品名「WEP7」)5部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
2−2.水系分散媒体の調製:
他方、イオン交換水220部に塩化マグネシウム10.6部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム5.9部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
2−3.シェル用重合性単量体の調製:
一方、メチルメタクリレート2部と水130部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を調製した。
2−4.造粒工程:
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液(水酸化マグネシウムコロイド量6.0部)に、上記重合性単量体組成物を投入し、さらに攪拌して、そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート6部を添加した。重合開始剤を添加した分散液を、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名「エバラマイルダー MDN303V」)により、回転数15,000rpmにて分散を行い、重合性単量体組成物の液滴を形成した。
2−5.懸濁重合工程:
重合性単量体組成物の液滴を含有する分散液を、反応器に入れ、90℃に昇温して重合反応を行った。重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液にシェル用重合開始剤として2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド〕(和光純薬社製、商品名「VA−086」;水溶性開始剤)0.1部を溶解したものを反応器に添加した。次いで、95℃で4時間維持して、重合を更に継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型着色樹脂粒子の水分散液を得た。
2−6.後処理工程:
着色樹脂粒子の水分散液を攪拌しながら、pHが4.5以下となるまで硫酸を添加して酸洗浄を行った後(25℃、10分間)、濾別した着色樹脂粒子を、水で洗浄し、洗浄水をろ過した。この際の濾液の電気伝導度は、20μS/cmであった。さらに洗浄・ろ過工程後の着色樹脂粒子を脱水・乾燥し、乾燥した着色樹脂粒子(1)を得た。
<着色樹脂粒子(2)>
上記「2−1.コア用重合性単量体組成物の調製」において、C.I.ピグメントイエロー93 3.0部及び化合物(a)3.0部を、C.I.ピグメントイエロー74(山陽色素社製、商品名「Fast Yellow 7416」)3.0部及び化合物(b)3.0部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(2)を得た。
<着色樹脂粒子(3)>
上記「2−1.コア用重合性単量体組成物の調製」において、C.I.ピグメントイエロー93 3.0部及び化合物(a)3.0部を、C.I.ピグメントイエロー155(クラリアント社製、商品名「Toner Yellow 3GP」)3.0部及び化合物(c)3.0部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(3)を得た。
<着色樹脂粒子(4)>
上記「2−1.コア用重合性単量体組成物の調製」において、C.I.ピグメントイエロー93 3.0部及び化合物(a)3.0部を、C.I.ピグメントイエロー180(クラリアント社製、商品名「Toner Yellow HG」)3.0部及び化合物(d)3.0部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(4)を得た。
<着色樹脂粒子(5)>
上記「2−1.コア用重合性単量体組成物の調製」において、C.I.ピグメントイエロー93 3.0部を、C.I.ピグメントイエロー185(BASF社製、商品名「Paliotol Yellow D1155」)3.0部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(5)を得た。
<着色樹脂粒子(6)>
上記「2−1.コア用重合性単量体組成物の調製」において、化合物(a)3.0部を、C.I.ソルベントイエロー162(BASF社製、商品名「Neptun Yellow 075」)3.0部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(6)を得た。
<着色樹脂粒子(7)>
上記「2−1.コア用重合性単量体組成物の調製」において、C.I.ピグメントイエロー93を添加せず、化合物(a)の添加量を、3.0部から6.0部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(7)を得た。
<着色樹脂粒子(8)>
上記「2−1.コア用重合性単量体組成物の調製」において、化合物(a)を添加せず、C.I.ピグメントイエロー93の添加量を、3.0部から6.0部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(8)を得た。
3.着色樹脂粒子の物性評価
着色樹脂粒子(1)〜(8)について、体積平均粒径(Dv)の測定及び粒径分布(Dv/Dn)の算出を行った。
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フイルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mLを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30mL加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
着色樹脂粒子(1)〜(8)の物性評価を、着色樹脂粒子の組成と併せて表1に示す。なお、下記表1中、「PY93」はC.I.ピグメントイエロー93を、「PY74」はC.I.ピグメントイエロー74を、「PY155」はC.I.ピグメントイエロー155を、「PY180」はC.I.ピグメントイエロー180を、「PY185」はC.I.ピグメントイエロー185を、「SY162」はC.I.ソルベントイエロー162を、それぞれ示す。
Figure 2011257707
4.イエロートナーの製造
上記着色樹脂粒子(1)〜(8)に外添処理を施して、実施例1〜5、及び比較例1〜3のイエロートナーを製造した。
[実施例1]
着色樹脂粒子(1)100部に、疎水化処理した平均粒径7nmのシリカ微粒子0.6部と、疎水化処理した平均粒径35nmのシリカ微粒子1部とを添加し、高速攪拌機(日本コークス社製、商品名FMミキサー)を用いて混合し、実施例1のイエロートナーを調製した。
[実施例2]
着色樹脂粒子(1)を着色樹脂粒子(2)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のイエロートナーを得た。
[実施例3]
着色樹脂粒子(1)を着色樹脂粒子(3)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のイエロートナーを得た。
[実施例4]
着色樹脂粒子(1)を着色樹脂粒子(4)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のイエロートナーを得た。
[実施例5]
着色樹脂粒子(1)を着色樹脂粒子(5)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5のイエロートナーを得た。
[比較例1]
着色樹脂粒子(1)を着色樹脂粒子(6)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のイエロートナーを得た。
[比較例2]
着色樹脂粒子(1)を着色樹脂粒子(7)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のイエロートナーを得た。
[比較例3]
着色樹脂粒子(1)を着色樹脂粒子(8)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のイエロートナーを得た。
5.静電荷像現像用トナーの評価
実施例1〜5、及び比較例1〜3のイエロートナーについて、画像濃度の測定、耐光性試験、及び部材汚染評価を行った。
5−1.画像濃度
市販の非磁性一成分現像方式のカラープリンター(印字速度=20枚/分)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、イエロートナー試料を充填した後、印字用紙をセットし、温度23℃及び相対湿度50%(N/N)の環境下で一昼夜放置した。その後、ベタ印字時に現像ロール上に供給されるトナー量が0.4mg/cmとなる一点に固定して、5%画像濃度で初期から連続印字を行った。10枚目のコピー用紙にベタ印字(100%画像濃度)を行い、マクベス式反射型画像濃度測定機を用いて、画像濃度を測定した。
5−2.耐光性試験
画像耐光性転写紙上のトナー量が0.6mg/cm程度のベタ画像を作成し、カーボンアークランプを光源とした紫外線オートフェードメーター「FAL−AU」(スガ試験機社製)を用い、日本工業規格「JIS K 7102」に準じて評価した。照射時間を180時間とし、光照射前後の画像濃度の維持率を算出し、画像の耐光性を評価した。画像濃度維持率(%)が100%に近い程、画像耐光性に優れることになる。評価基準は以下の通りである。
A:95%以上
B:90%以上、95%未満
C:80%以上、90%未満
D:80%未満
5−3.部材汚染評価
高温高湿環境(30℃,80%RH)において、コピー用紙に2%の画像濃度の画像を20,000枚までプリントアウトしたのち、感光体ドラムの観察を行った。評価基準は以下の通りである。
A:非常に良好
B:良好
C:実用上問題なし
D:やや難あり
実施例1〜5、及び比較例1〜3のイエロートナーの測定及び評価結果を、各トナー組成と併せて表2に示す。
Figure 2011257707
6.トナー評価のまとめ
まず、比較例1のイエロートナーについて検討する。比較例1のイエロートナーは、画像濃度が1.40であり、中程度の画像濃度を示した。しかし、耐光性評価結果、部材汚染評価結果がいずれもDであった。したがって、C.I.ソルベントイエロー162を使用した場合には、イエロートナーの耐光性に劣り、且つ、部材汚染が生じやすいことが分かる。これは、C.I.ソルベントイエロー162が、重量平均分子量501の染料であるため、耐光性が著しく低いことによる。
次に、比較例2のイエロートナーについて検討する。比較例2のイエロートナーは、部材汚染評価結果がAであった。また、比較例2のイエロートナーは、画像濃度が1.46であった。しかし、耐光性評価結果がCであった。したがって、着色剤として他のイエロー顔料を含まず、化合物(A)のみを含む場合には、イエロートナーの耐光性に劣ることが分かる。
続いて、比較例3のイエロートナーについて検討する。比較例3のイエロートナーは、耐光性評価結果、部材汚染評価結果がいずれもAであった。しかし、画像濃度が1.25であり、実施例1〜5及び比較例1〜3のイエロートナー中最も低い結果となった。したがって、着色剤として化合物(A)を含まず、従来のイエロー顔料であるC.I.ピグメントイエロー93のみを含む場合には、イエロートナーの画像濃度が極めて低くなることが分かる。
上記比較例1〜3に対し、実施例1〜5のイエロートナーは、いずれも、画像濃度が1.45以上、耐光性評価結果がB以上、部材汚染評価結果がAであった。したがって、イエロー着色剤として、化合物(A)及び他のイエロー顔料を含む実施例1〜5のイエロートナーは、画像濃度が高く、耐光性に優れ、部材汚染が生じにくいことが分かる。
なお、化合物(A)の重量平均分子量Mwが48,000以上である、実施例1、2、4及び5のイエロートナーは、いずれも、耐光性評価結果及び部材汚染評価結果がAであった。
また、イエロー顔料(B)としてC.I.ピグメントイエロー93又はC.I.ピグメントイエロー155を使用した実施例1及び3のイエロートナーは、いずれも、画像濃度が1.50であり、且つ、耐光性評価結果及び部材汚染評価結果がAであった。

Claims (6)

  1. 結着樹脂及びイエロー着色剤を含有し、
    前記イエロー着色剤が下記一般式(I)及び/又は下記一般式(II)で表される構造単位を含む化合物(A)、並びにイエロー顔料(B)を含み、
    前記化合物(A)の重量平均分子量が800〜200,000であることを特徴とする、イエロートナー。
    Figure 2011257707
    (一般式(I)及び(II)中、R、R、R及びRは各々独立に、へテロ原子を有する置換基、水素原子、炭素数1〜21のアルキル基、炭素数2〜21のアルケニル基、炭素数6〜21のアリール基、及び炭素数7〜21のアラルキル基からなる群から選ばれる置換基を表す。また、一般式(II)において、R及びRはこれらに結合している窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。R及びRは各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基、メトキシメチル基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる置換基を表す。また、R及びRは各々独立に、置換基を有していてもよい二価の連結基を表し、R及びR10は各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
  2. 前記イエロー顔料(B)がC.I.ピグメントイエロー74、93、155、180及び185からなる群より選ばれる顔料であることを特徴とする、請求項1に記載のイエロートナー。
  3. 前記化合物(A)の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して0.2〜5質量部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のイエロートナー。
  4. 前記イエロー顔料(B)の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して0.5〜7.5質量部であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイエロートナー。
  5. 前記化合物(A)の含有量に対する前記イエロー顔料(B)の含有量の比(前記イエロー顔料(B)/前記化合物(A))が0.2〜5であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のイエロートナー。
  6. 湿式法により製造されるものである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のイエロートナー。
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