JP2011257238A - 微量液滴秤取構造、マイクロ流体デバイス及び微量液滴秤取方法 - Google Patents

微量液滴秤取構造、マイクロ流体デバイス及び微量液滴秤取方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微量液滴秤取体積の制約が少なく、秤取の際に取り残される液滴量を少なくすることができ、さらに量の異なる微量液滴を混合する際の混合比を10倍を超えるような大比率の混合にも好適に用いることができる、微量液滴秤取構造を提供する。
【解決手段】基材内に微量液滴が流される流路を備え、該流路が、微量液滴及び気体が供給される導入口2に一端が接続されており、他端が排出口3に接続された第1の流路4と第1の流路4の途中の第1の分岐部6と、第1の分岐部6よりも下流側であって、排出口3よりも上流側に位置している第2の分岐部7とを結び、かつガス選択性流路からなる第2の流路5とを備え、第1の分岐部6と第2の分岐部7とを結ぶ第1の流路部分4Aの容積が、秤取すべき微量液滴の体積と等しくされている、微量液滴秤取構造1。
【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロ流体と称されている微量液滴を所定量秤取するための微量液滴秤取構造に関し、より詳細には、ガス圧の制御により、微量液滴を定量秤取することを可能とする微量液滴秤取構造、該微量液滴秤取構造を備えたマイクロ流体デバイス及び微量液滴秤取方法に関する。
近年、検体分析やコンビナトリアル化合物合成において、微量液体制御機構を備えたマイクロ流体デバイスが注目されている。マイクロ流体デバイスは、例えば手で容易に取り扱い得る程度の大きさの基板を用いて構成されている。基板内に、検体、試薬または希釈液などを搬送する微細流路構造が形成されている。また、この微細流路構造には、試薬収納部、検体供給部、希釈液収納部、反応室、混合部、送液機構または検出部などが必要に応じて適宜設けられている。
上記基板の典型的な厚みは0.5〜10mm程度である。また上記基板の平面積は数百cm以下である。
上記微細流路構造の流路幅は、通常3μm〜5mm程度と非常に細い。このような微細流路内を、微量液滴すなわちマイクロ流体が搬送されることとなる。
このようなマイクロ流体デバイスは、血液、髄液、涙または唾液などのヒトや動物の体液、排泄物、組織片からの分解抽出物、海水及び淡水、土壌抽出液、農産物、水産物もしくは加工食品などの抽出液、並びに自然科学研究、バイオケミストリー研究に使用される液体試料を検体として用いる検出・定量測定に使用される。また、結晶化条件の探索や、化学反応条件の探索、一連の関連化合物を系統的に合成するコンビナトリアルケミストリーにも用いられる。マイクロ流体デバイスで正確な結果を得るには、使用する検体や試薬をマイクロ流体デバイス内において定量的に取り扱う必要がある。そのため、マイクロ流体デバイスに用いられる様々な微量液滴秤取構造が提案されている。
下記の特許文献1には、所定方向に延びる第1の流路及び第2の流路と、第1の流路及び第2の流路のそれぞれの流路壁に開口しており、第1の流路と第2の流路とを連結する第3の流路とを有する微量液体秤取構造が開示されている。ここでは、第3の流路は、第1の流路及び第2の流路よりも細くされている。第1の流路に導入された液体が、第1の流路から第3の流路に毛細管現象により引き込まれ、しかる後、第1の流路に残留している液体が取り除かれる。従って、第3の流路の容積に応じた体積の微量液滴を秤取することができる。
下記の特許文献2には、微細な流路すなわちマイクロチャネル構造を有するマイクロチップにおける微量液滴秤取構造が開示されている。ここでは、液体を受け取るための受取容積部となる第1の流路と、第1の流路に液体を送り出すための送出容積部となる第2の流路と、第1の流路と第2の流路とを連結している第3の流路とが設けられている。第3の流路は、第1及び第2の流路よりも細くされている。第1の流路の横断面の面積に対する横断面の周囲長の比率と、第2の流路の横断面の面積に対する該横断面の周囲長の比率がほぼ等しくされており、第3の流路の横断面の面積に対する該横断面の周長の比率が第2の流路における当該比率の2倍以上、10倍以下とされている。
特許文献1や特許文献2に記載の微量液体秤取構造では、微量液滴を駆動するガスの流入のオン/オフを調整するだけで、微量液滴を正確に秤取することができるとされている。
特開2002−357616号公報 特許第3782796号公報
しかしながら、特許文献1に記載の微量液滴秤取構造では、毛管現象により導かれる程度の量の微量液滴しか秤取することができなかった。すなわち、毛管現象により引き込むことができる量を超える体積の微量液滴を秤取することができなかった。
他方、特許文献2に記載の微量液滴秤取構造では、秤取される微量液滴と同量以上の液体が第1の流路に残存するという問題があった。そのため、例えば2成分の混合液を得ようとした場合、多い方の液滴の体積の少ない方の液滴の体積に対する比である混合比が10倍以上であるような大比率の混合は困難であった。加えて、第1の流路に多くの液滴が残存するため、無駄な試料が必要であり、微量な試料を用いて高精度に分析を行うことができなかった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、微量液滴秤取体積の制約が少なく、かつ秤取の際に取り残される液滴量を少なくすることができ、さらに、量の異なる微量液滴を混合する際の混合比10倍を超えるような大比率の混合の場合においても好適に用いることができる、微量液滴秤取構造、該微量液滴秤取構造を備えたマイクロ流体デバイス及び微量液滴秤取方法を提供することにある。
本発明に係る微量液滴秤取構造は、微量液滴を秤取するための構造であって、基材と、基材内に設けられた流路とを備え、前記流路が、液滴及び気体が供給される導入口に一端が、排出口に他端が接続された液滴を搬送できる第1の流路と、前記第1の流路の途中の第1の分岐部と、前記第1の分岐部よりも第1の流路の下流側に位置している第2の分岐部とを結び、ガス選択性流路からなる第2の流路とを備え、前記第1の分岐部と第2の分岐部とを結ぶ第1の流路部分の容積が、秤取すべき微量液滴の体積と等しくされている。
本発明に係る微量液滴秤取構造のある特定の局面では、前記第1の分岐部から第2の分岐部に至る第1の流路部分の流路長が、前記第2の流路の流路長の2倍よりも長く、1000倍よりも短い。
本発明に係る微量液滴秤取構造の他の特定の局面では、前記第1の分岐部と前記第2の分岐部との間の第1の流路部分の途中に第3の分岐部が設けられており、第3の分岐部に第3の流路の一端が接続されており、該第3の流路がラプラスバルブを有する。従って、第1の分岐部と第1の分岐部との間の第1の流路部分に微量液滴を満たした後、導入口もしくは排出口の一方を閉塞し、閉塞していない他方の排出口もしくは導入口からガス圧を加えることにより、上記流路部分に満たされた微量液滴を第3の流路から速やかに取り出すことができる。
本発明に係る微量液滴秤取構造のさらに他の特定の局面では、前記ラプラスバルブが、流路の水力相当直径が40μm以下とされている細絞流路からなる。この場合には、上記ラプラスバルブを、第3の流路の一部を細絞流路とすることにより容易に形成することができる。
本発明に係る微量液滴秤取構造のさらに別の特定の局面では、前記第2の流路の途中に設けられており、第2の流路を開閉するバルブをさらに備える。この場合には、第3の流路を設けずとも、上記流路部分に微量液滴が出された状態で、第2の流路を閉状態として、導入口からガス圧を加えるだけで、該流路部分に秤取されていた液滴を排出口から取り出すことができる。
本発明に係る微量液滴秤取構造のさらに別の特定の局面では、前記第1の流路は、流路断面積の流路の長さ方向に沿った変化率の絶対値が20%以上である部分流路を含んでいる。この場合には、前記第1の流路の一部の断面積が広がっているので、短い流路長で大きな体積を秤取することができ、前記第1の流路の内部を液体が流れる際の圧力損失を小さくすることができる。このため、第1の分岐部と第2の分岐部の圧力差が小さくなり、第2の流路へ間違って液体が流入することを防いで、秤取機構の動作をより確実にすることができる。
本発明に係る微量液滴秤取構造では、本発明の微量液滴秤取構造の前記排出口の下流側に、本発明に従って構成されたもう1つの微量液滴秤取構造の導入口が連結されている。この場合には、少なくとも2つの本発明の微量液滴秤取構造が直列に連結されている。すなわち、第1の微量液滴秤取構造の排出口に第2の微量液滴秤取構造の導入口が連結されている。第1の微量液滴秤取構造による第1の秤取の後の秤取残液が第2の微量液滴秤取構造に導入されて第2の秤取が行われるため、複数の微量液滴を効率よく秤取することができる。
本発明に係る微量液滴秤取構造のさらに他の特定の局面では、前記排出口に接続された排気流路がさらに備えられている。
本発明に係る微量液滴秤取構造のさらに他の特定の局面では、微量液滴混合部をさらに備え、微量液滴混合部に少なくとも2つの微量液滴秤取構造が連結されており、該少なくとも2つの微量液滴秤取構造のうちの少なくとも1つの微量液滴秤取構造が、本発明に従って構成された微量液滴秤取構造であり、上記微量液滴混合部における少なくとも2つの微量液滴秤取構造から供給される複数の液滴のうち、最も小さい液滴と、最も大きい液滴の体積比が1対10以上である。従って、混合比すなわち多い方の液滴の体積の少ない方の液滴の体積に対する比が10倍を超える混合において正確な混合比で混合することが可能となる。
本発明に係るマイクロ流体デバイスは、本発明に従って構成された微量液滴秤取構造を備えることを特徴とする。よって、本発明に従って、微量液滴を正確にかつ容易に秤取することができるので、マイクロ流体デバイスにおける検出・定量測定等を高精度に行うことが可能となる。
本発明に係る微量液滴秤取方法は、本発明に従って構成された微量液滴秤取構造を用いた微量液滴秤取方法であって、前記導入口から前記第1の流路に、前記第1の分岐部から第2の分岐部に至る第1の流路部分の容積よりも大きな体積の微量液滴をガス圧により導入するステップと、前記導入された微量液滴の後端が前記第1の分岐部に至り、続いて起こる秤取のための部分流路に秤取された液滴から分離された秤取残液が前記排出口からの排出の後に、前記排出口を閉塞するステップと、前記第1の分岐部から第2の分岐部の間の第1の流路部分に貯留されている前記微量液滴をガス圧により前記第3の流路から排出するステップとを備える。
本発明に係る微量液滴秤取構造では、第1の流路に導入口から上記第1の分岐部と第2の分岐部とを結ぶ第1の流路部分の容積よりも大きな体積の微量液滴を導入し、ガス圧により移動させ、該微量液滴の後端が第1の分岐部に達すると、ガス選択性流路である第2の流路にガスが流れることになり、第2の分岐部で液滴が分割されて、第1の分岐部と第2の分岐部との間の第1の流路部分に該容積に応じた体積の微量液滴を確実に秤取することができる。従って、比較的簡単な構造で、確実に、所定の体積すなわち第1の分岐部と第2の分岐部とを結ぶ流路部分の容積に応じた体積の微量液滴を秤取することができる。特許文献1では、毛細管現象により引き込むことが可能な量の微量液滴しか秤取することができなかったのに対し、本発明の微量液滴秤取構造では、このような制約もない。従って、毛細管現象により引き込みによる液滴操作では秤取困難な大きな体積の微量液滴を確実に秤取することができる。
加えて、大きな体積の微量液滴を正確にかつ容易に秤取することができるので、最小量の液滴と最大量の液滴との混合比が10倍を超える大比率混合用途においても、本発明に係る微量液滴秤取構造を好適に適用することができる。すなわち、10倍を超える上記混合比の場合であっても、多数の微量液滴を容易にかつ高精度に秤取し混合部に供給することができる。
本発明の第1の実施形態に係る微量液滴秤取構造の原理を説明するための模式的平面図である。 本発明の第2の実施形態において、第3の流路が第1の流路に接続されている変形例を説明するための模式的平面図である。 (a)〜(i)は、図2に示した微量液滴秤取構造における微量液滴を秤取する工程を説明するための各模式的平面図である。 (a)〜(f)は、本発明の微量液滴秤取構造の第3の実施形態の微量液滴秤取構造を用いた微量液滴秤取方法を説明するための各模式的平面図である。 (a)〜(d)は、本発明の微量液滴秤取構造のさらに他の変形例を説明するための各模式的平面図である。 タイミング制御機構が備えられた本発明の第4の実施形態に係る微量液滴秤取構造を説明するための模式的平面図である。 本発明に係る微量液滴秤取構造の第5の実施形態を示し、混合部が備えられた微量液滴秤取構造を示す模式的平面図である。 本発明に係る微量液滴秤取構造の第6の実施形態を説明するための模式的平面図であり、タイミング制御が自動化された大比率混合を可能とする微量液滴秤取機構を説明するための図である。 本発明に係る微量液滴秤取構造が備えられたマイクロ流体デバイスの一例を示す模式的平面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る微量液滴秤取構造を説明するための模式的平面図である。
本発明が対象とする微量液滴秤取構造は、微量液滴を所定量秤取するための構造であり、実際には、基材内に微量液滴が送液される流路が構成される。この基材と流路との関係については、後述するマイクロ流体デバイスを例にとり説明する。
図1は、基材内に設けられる本発明の微量液滴秤取構造を示す模式的平面図である。図1に示すように、微量液滴秤取構造1は、導入口2に一端が、排出口3に他端が接続された第1の流路4を有する。導入口2から、微量液滴及びガスが第1の流路4に供給される。
第1の流路4は、液滴を搬送しうる流路である。すなわち、内面が微量液滴であるマイクロ流体を搬送し得る性質の面とされている。第1の流路4の内面全体が親水性であってもよいし、微量液滴の搬送にさしつかえない範囲で一部が撥水処理されていてもよい。この第1の流路の幅は、30μm〜5mm程度である。なお、第1の流路4の高さも、30μm〜5mm程度である。また、第1の流路4は、横断面が矩形に限らず、横断面が円形、楕円形、半円形、三角形等の任意形状であってもよい。横断面が円形の場合には、流路直径は30μm〜5mm程度とすればよい。その他の形状の場合には、流路径は水力相当直径として30μm〜5mm程度とすればよい。ここで、水力相当直径Deは、De=4×(流量断面積)/(流路の濡れ辺長)で定義されるサイズである。水力相当直径は、等価水力直径とも呼ばれる。
第2の流路5は、第1の流路4に設けられた第1の分岐部6と第2の分岐部7とを接続するように設けられている。すなわち、第1の流路4において、導入口2の下流側に第1の分岐部6が設けられており、第1の分岐部6に、第2の流路5の一端が接続されている。また、第1の分岐部6よりも下流側であって、排出口3よりも上流側に、第2の分岐部7が設けられている。第2の流路5の第1の分岐部6に接続されている端部とは反対側の端部が第2の分岐部7に接続されている。
いま、第1の分岐部6から第2の分岐部7に至る第1の流路部分を流路部分4Aとする。本実施形態では、この流路部分4Aの容積が、秤取すべき微量液滴の体積に等しい。すなわち、秤取すべき微量液滴の体積に等しいように、流路部分4Aの容積が決定されている。
また、第2の流路5はガス選択性流路である。すなわち、微量液滴秤取構造の使用圧力下においてガスは通すが液滴が流入しない流路である。第2の流路5はガス選択性流路であるから、導入口2から第1の流路4に導かれた液滴は、第1の分岐部に至っても第2の流路5には向かわず、流路部分4Aのみに向かって移動する。
ここでいう使用圧力とは、第2の流路5が接続されている第1の分岐部への液滴先端の通過から気液界面の通過までの間を通じて第1の分岐部が経験する圧力範囲のことであり、通常、圧力マイナス1Pa〜100Paの範囲を指す。特別な条件でこれより高い圧力になることがあるが、特別な条件でも高々10kPa程度までの圧力である。なお、ここでいう第1の分岐部の圧力とは、第2の分岐部の圧力を基準とするゲージ圧である。
第2の流路5がガスは通すが液滴が流入しないガス選択性流路であるためには、第2の流路5の内面の全体もしくは少なくとも一部を撥水表面とする方法、第2の流路5が第1の流路に接続さる第1の分岐部および第2の分岐部に連なる第2の流路5の少なくとも一部を第1の流路の流路部分4Aよりも遥かに小さくする方法等の手段を用いて構成することができる。
ここで、撥水表面とは、水と流路表面との接触角θが50°<θ<180°の範囲にある表面をいうものとする。このような撥水表面は、表面を疎水性材料により構成することにより、またサブミクロンレベルの表面構造を付与することにより構成することができる。第2の流路の内面を撥水表面とすることで、微量液滴秤取機構の導入口に微量液滴を導入する圧力では、第2の流路に水が浸入しないように構成することができる。
第2の流路5が第1の流路4に接続される部分の開口径は、通常、0.1μm〜40μm程度とされる。第2の流路5が第1の流路4に接続される部分の開口は複数あってもよい。より具体的には、多孔質のメンブレンを介在させて第2の流路5が第1の流路4とを接続してもよい。
第2の流路5の長さについては、5μm〜5mm程度とされる。
なお、第2の流路5においては、流路途中に断面積が広がる拡径部分が設けられていても良いし、バルブ構造が追加されていてもよい。例えば、外部からの操作できる開閉バルブを設けることができる。開閉バルブの種類に制約はないが、簡便に、ガス選択流路に設けられた液体流路でガス選択流路を閉塞する開閉バルブを実現することができる。
本実施形態の微量液滴秤取構造1では、上記流路部分4Aの容積よりも大きな体積の微量液滴を導入口2から第1の流路4に導く。しかる後、導入口2から図示しないポンプ等によりガスを供給し、それによって導入された微量液滴を移動させる。微量液滴は、第1の流路4に沿って排出口3側に向かって移動するが、第2の流路5がガス選択性流路であるため、第2の流路5の内部には侵入せず、流路部分4Aを移動する。
微量液滴の後端すなわち末端が第1の分岐部6に至ると、微量液滴を押動しているガスが第2の流路5に流れることになり、第2の分岐部7に至る。その結果、流路部分4Aから第2の分岐部7を超えて存在している微量液滴は、第2の分岐部7の地点においてガスにより分断されることになる。以後、この分断されて生じた二つの液滴のそれぞれについて、一方の第1の流路4の第1の分岐部6と第2の分岐部7の間の流路部分4Aにある液滴を秤取液滴、もうひとつの排出口寄りの液滴を秤取残液と呼ぶことにする。第1の分岐部6と第2の分岐部7のガス圧は等しいから、流路部分4Aの秤取液滴は動かなくなる。さらにガスを供給することにより、第2の分岐部7よりも下流に位置している秤取残液は排出口3から排出される。
その結果、流路部分4Aに、微量液滴が残存し、流路部分4Aの容積に等しい体積の微量液滴を秤取することができる。すなわち、微量液滴の導入口2からの導入に引き続きガスを導入口2から導入するだけで、所定量の微量液滴を容易にかつ確実に秤取することができる。
しかも、毛管現象を利用するものではないため、流路部分4Aの容積を、毛細管現象に引き込み得る液体の体積よりも遥かに大きくすることができる。よって、十分大きな体積の微量液体を微量液滴の導入及びガスの導入といった比較的簡単な操作により、確実に秤取することができる。
なお、流路部分4Aに秤取された微量液滴を取り出すに際しては、様々な構造を用いることができる。例えば、図1に模式的に示すように、第2の流路5に開閉バルブVを設けた構造が一例として挙げられる。すなわち、上記微量液滴の秤取に際しては、開閉バルブVを開状態とし、第2の流路5を開放しておく。上記微量液滴が流路部分4Aに秤取された後に、開閉バルブVを閉状態とし、第2の流路5を閉じる。しかる後、導入口2からさらにガスを供給すれば、上記流路部分4Aに存在する微量液滴を、排出口3側に送液し、排出口3から所定量の微量液滴を取り出すことができる。
もっとも、上記開閉バルブVを第2の流路に設けた構造に限らず、図2に示す本発明の第2の実施形態に係る微量液滴秤取構造を用いてもよい。図2に示す第2の実施形態の微量液滴秤取構造1Aでは、第1の実施形態に微量液滴秤取構造1と同様に、導入口2、排出口3、第1の流路4及び第2の流路5が形成されている。さらに、微量液滴秤取構造1Aでは、流路部分4Aに、第3の流路8の一端が接続されている。より具体的には、本実施形態では、第1の分岐部6と、第2の分岐部7とを結ぶ流路部分4Aの流路長さ方向中央位置に第3の分岐部9が設けられており、第3の分岐部9に、第3の流路8の一端が接続されている。第3の流路8は、ラプラスバルブを構成している。
ラプラスバルブとは、気液界面の表面張力に起因するラプラス圧が流体の背圧と釣合うことによって、液体が停止するバルブ構造の総称である。液体が停止していられる背圧の上限値は、ラプラスの法則に従い、気液界面の表面張力と気液界面の曲率半径で決まる。
気液界面の形状がひとつの曲率半径(R)で表される球面と見做せるとき、ラプラスの式は、背圧(P)と気液界面内の張力(σ)とが次の関係式にあることを述べている、すなわち、P=2σ/Rと表わされる。任意の形状の気液界面については、直交分離される二つの主曲率半径でその形状を表示できるが、その主曲率半径をそれぞれR、Rとすると、ラプラス圧は、P=σ(1/R+1/R)と近似される。
流路Dが矩形断面をもつとき、その矩形の一辺の長さをa、他辺の長さをbと表すと、0.5<a/b<2のとき、R=a/2、R=b/2と近似でき、P=4σ(1/a+1/b)となる。a/b<0.1のとき、P=4σ/a と近似され、a/b>10のとき、P=4σ/b と近似される。ここで、σは、温度依存の物性値で、例えば純水であれば、5℃〜35℃の範囲で、70〜75mN/m程度である。
なお、第3の流路8の断面形状が矩形ではない場合においても、横断面積をS、横断面の周辺長をLとすれば、ラプラス圧は、おおまかにP=σL/Sと近似される。なお、
4・S/L は水力相当直径と呼ばれる。
より具体的には、ラプラスバルブは、撥水または親水表面をもつ細く絞られた少なくとも1本の流路、または並列化された多数の細絞り流路、または多孔体によって構成できる。細絞り流路の最も狭い径または多孔体の穴の最も狭い径は、40μm以下であることが望ましく、さらに望ましくは、10μm以下である。ラプラスバルブは、堰部、スリット、エンボス、ピラー、スポンジ、微粒子充填、撥水加工等によって構成することもできる。
第3の流路8の第3の分岐部9と反対側の端部は、チャンバー10に接続されている。チャンバー10は、流路部分4Aに秤取された液体を収納し得る容積を有する。図2では、流路部分4Aの平面積に比べて、チャンバー10の平面積が小さく図示されているが、実際には、チャンバー10は、高さ方向寸法が流路部分4Aよりも大きく、従って、流路部分Aに秤取された微量液滴を収納する大きさとされている。
第4の流路11は、チャンバー10内の空気を排出するためのものであり、第4の流路11の一端が上記チャンバー10に、他端が排気口12に接続されている。第4の流路11は、ラプラスバルブとして構成されるのが望ましいが、チャンバー10を更に異なる液体操作要素と接続する場合にあっては、第4の流路11を敢えてラプラスバルブとしないことがある。
なお、第3の分岐部9の位置は、本実施形態のように、第1の分岐部6と第2の分岐部7との間の流路部分4Aの長さ方向において中央に位置することが望ましい。それによって、後述するように、第3の流路8から速やかに流路部分4Aに秤取された微量液滴を秤取することができる。もっとも、第3の分岐部9は、第1の分岐部6側に、あるいは第2の分岐部7側に若干偏らされて設けられていてもよい。
また、第3の流路8と第1の流路の接続部は、開口径が序変されていてもよい。
次に、上記第2の実施形態に係る微量液滴秤取構造1Aを用いた微量液滴秤取方法を、図3(a)〜(i)を参照して説明する。
図3(a)は、上記微量液滴秤取構造1Aの初期状態を示す図である。初期状態では、第1の流路4に、微量液滴及びガスは導入されていない。
次に、導入口2から第1の流路4に、微量液滴13を導入する。この微量液滴13の導入は、図示されていないポンプを用いてガス圧で液滴を押す流路を導入口2に接続することにより、あるいは導入口2にシリンジ等の注入手段を連結することにより行い得る。微量液滴13は、第1の流路4内を、導入口2から排出口3側に向かって移動する。導入する微量液滴13としては、上記流路部分4Aの容積よりも大きな体積を有する微量液滴を用いる。
図3(b)〜(e)に示すように、第1の流路4に導入された微量液滴13は、導入口2から排出口3側に向かって第1の流路4内を移動する。この場合、図3(c)に示すように、第2の流路5内には移動しない。そして、図3(e)に示すように、微量液滴13の末端11aが第1の分岐部6を超えると、微量液滴13を押動しているガスが第2の流路5に流れることになる。そのため、図3(f)に示すように、第2の分岐部7の位置で第2の流路5から湧出するガスにより、微量液滴13が分断される。
図3(f)に示すように、第1の分岐部6及び第2の分岐部7のガス圧が等しいため、流路部分4Aに位置している微量液滴13Aは移動せず、分断された下流側の微量液滴部分13Bがガス圧により排出口3に向かって移動する。従って、図3(g)に示すように、微量液滴部分13Bが排出口3から排出されると、第1の流路4の流路部分4Aに流路部分4Aの体積に等しい微量液滴13Aが秤取されることとなる。
しかる後、排出口3を閉塞する。そして、導入口2から再度ガスを供給すると、このガス圧PがP>2σ/Rの関係を満たすとき、第3の流路8に、微量液滴13Aが供給されることとなり、チャンバー10に微量液滴13Aが移動する。よって、図3(i)に示すように、秤取された微量液滴13Aが最終的にチャンバー10に移送され秤取される。
なお、上記式において、σは第3の流路8の内面の表面張力(単位はmN/m)を示し、Rは曲率半径(単位はm)を表す。Rは、断面サイズがa×bで、接触角がθのとき、1/R=2(1/a + 1/b) と近似され、P=4σ(1/a+1/b)となる。ここで、Pはゲージにより測定されたガス圧(単位はPa)である。
すなわち、本実施形態では、第3の流路8が、上記式を満たすように構成されており、言い換えれば、ラプラスバルブを構成している。従って、流路部分4Aに秤取された微量液滴13Aが確実にチャンバー10に収納され、その後に供給されたガスは第4の流路11を介して排気口12から排出される。
なお、チャンバー10は、秤取された微量液滴13Aの移送先の一例である。チャンバー10に代えて、他の流路や他の流体要素であってもよい。また、前述した図1の実施形態において説明したようにチャンバー10等の外部に移送する必要がない場合には、第3の流路8及びチャンバー10等は少なくされてもよい。
図4(a)〜(f)は、本発明の第3の実施形態に係る微量液滴秤取構造を説明するための各略図的平面図である。図4(a)に示すように、第3の実施形態では、第1の実施形態の微量液滴秤取構造1が2個直列に接続されている。
導入口2に、第1の微量液滴秤取構造1が連ねられており、第1の微量液滴秤取構造1の第1の流路4の下流側端部すなわち排出口3に相当する部分が、後段の微量液滴秤取構造1Bの導入口に接続されている。すなわち、2個の微量液滴秤取構造1,1Bが直列に接続されている。微量液滴秤取構造1Bは微量液滴秤取構造1と同様に構成されている。
このように、本発明においては、複数の微量液滴秤取構造が直列に接続されていてもよい。それによって、以下に述べるように、所定の体積の微量液滴を複数個秤取することができる。
図4(a)は初期状態を示す。図4(b)に示すように、導入口2から、微量液滴13を第1の流路4に導入する。この微量液滴13としては、微量液滴秤取構造1で秤取される微量液滴量及び微量液滴秤取構造1Bで秤取される微量液滴量の合計よりも大きな体積の微量液滴が導入される。導入は、図3に示した微量液滴秤取方法の場合と同様にして行えばよい。
図4(b)及び(c)に示すように、微量液滴13が、上流側の微量液滴秤取構造1の第1の流路4及び下流側の微量液滴秤取構造1Bの第1の流路4を満たすこととなる。しかる後、ガスを導入口2から供給し続けると、図4(d)に示すように、上流側の微量液滴秤取構造1において、ガスが第3の流路5を流れ、第2の分岐部7において、微量液滴13を分断する。この状態において、第1の分岐部6と第2の分岐部7とが同じ圧力状態となる。
しかる後、さらにガスを供給することにより、下流側の微量液滴秤取構造1Bの第1の流路4を微量液滴13が移動し、さらに図4(e)に示すように、微量液滴秤取構造1Bの第1の分岐部6から第2の流路5にガスが流れる。その結果、微量液滴秤取構造1Bにおいても、第1の分岐部6と第2の分岐部7の圧力が等しくなり、微量液滴13が分断される。従って、図4(e)に示す下流側の微量液滴13Cが排出口3から排出され、図4(f)に示すように、微量液滴秤取構造1Bにおいても、流路部分4Aに微量液滴13Aが秤取される。その結果、微量液滴秤取構造1,1Bにおいて、それぞれ、流路部分4Aの容積と等しい体積の微量液滴13A,13Aを秤取することができる。
なお、本実施形態においては、微量液滴秤取構造1,1Bは同様に構成されているが、異なるように構成されていてもよい。すなわち、微量液滴秤取構造1の流路部分4に対し、微量液滴秤取構造1Bの流路部分4の体積を異ならせてもよい。それによって、異なる体積の微量液滴をそれぞれ微量液滴秤取構造1,1Bにおいて秤取することができる。
また、本実施形態では、2個の微量液滴秤取構造1,1Bを直列に接続したが、3以上の微量液滴秤取構造を直列に接続してもよい。
上述してきた実施形態では、流路部分4Aの横断面はその流路の長さ方向に沿って一定であるように図示したが、図5(a)に示すように、流路部分4Aの横断面の面積が流路の長さ方向に沿って変化されていてもよい。このように、流路部分4Aに、流路の横断面の面積が徐々に大きくなる部分を設けた場合には、より大きな体積の微量液滴を秤取することができる。また、流路部分4Aへの微量液滴の秤取をより速やかに行うことができる。なお、流路長さ方向に沿って横断面の面積が20%以上変化することが好ましい。それによって、より短い流路長でより多くの秤取ができるようになり、第1の流路4内を液滴が流れるときに生じる圧力損失の不利を回避して、確実な秤取操作を行うことができる。
図5(b)に示すように、流路部分4Aに至る流路部分4B及び下流側の流路部分4Cを、互いに平行に配置してもよい。また、図5(c)に示すように、流路部分4Aの平面形状をV字型としてもよい。さらに、図5(d)に示すように、第1,第2の分岐部6,7が設けられている部分において、第1の流路4を互いに近接させてもよい。このようにして、流路部分4Aの体積を大きくすることと第2の流路5の長さを短くすることの両立が可能となる。
図5(a)〜(d)に示したように、本発明における第1の流路4の平面形状及び第1の流路部分4Aの平面形状等は適宜変形することができる。
図6は、本発明の第4の実施形態に係る微量液滴秤取構造を示す模式的平面図である。第4の実施形態の微量液滴秤取構造では、第2の実施形態の微量液滴秤取構造1Aの導入口2に第4の流路21の一端が接続されており、第4の流路21の上流端に試薬収納部22が接続されている。試薬収納部22は、試薬導入口23に第5の流路24を介して接続されている。第5の流路24は、液状の試薬を試薬収納部22に供給し得るように構成されている。試薬導入口23は、別の流路あるいはシリンジ等に接続される。試薬導入口23から液状の試薬が第5の流路24を介して試薬収納部22に供給される。
なお、試薬収納部22には、ガス選択性流路である流路25を介して排気口26に接続されている。また、試薬収納部22は、ガス流路28を介して刺激応答性ガス発生部材29に接続されている。刺激応答性ガス発生部材29により発生したガスが、ガス流路28を介して試薬収納部22に供給され、導入されている液状の試薬を第4の流路21を介して導入口2から第1の流路4に導く。
第1の流路4の下流側端部の排出口3は、液体を排出する構造ではなく、ガス選択通過性の第6の流路30と、第6の流路30の下流端に接続された開口31からなる。この第6の流路30は、微量液滴を通過させず、気体のみを通過させる流路であり、外部からの操作なしに受動的に液体の送液を停止するストップバルブとして働く。このようなストップバルブは、第3の流路9のラプラス圧よりも高いラプラス圧をもつように、第6の流路30を形成することにより構成される。すなわち、第3の流路9よりも高いラプラス圧をもつように、相対的に細い流路を構成し、端部を大気に開放することにより、上記ストップバルブを構成することができる。ストップバルブが設けられているため、微量液滴秤取構造1の排出口に相当する部分が微量液滴を排出しないように自動的に閉塞される。
従って、本実施形態によれば、微量液滴を流路部分4Aに秤取した後、ガスが第2の流路5を介して第2の分岐部で微量液滴を分割し、微量液滴の分割の結果生じた秤取残液がガスに押し出されて第1の流路4の下流側に至り、秤取残液が押し出す流路中の空気は上記ストップバルブから逃がされるが、秤取残液はストップバルブで停止し、開口31には至らない。従って、図3を参照して説明した実施形態における排出口を閉塞する作業が外からの操作なしに自発的に行われ、次いで第1の流路4内のガス圧が高まり、流路部分4Aに秤取された所定量の微量液滴は第3の流路9のラプラスバルブを介してチャンバー10に移送される。すなわち、導入口からガス圧により液滴を導入するだけで、所定量の微量液滴の秤取と秤取された微量液滴のチャンバー10への移送を自動的に行うことができる。
図7は、本発明の第5の実施形態に係る微量液滴秤取構造を示す模式的平面図である。本実施形態では、微量液滴秤取構造1Dが、混合チャンバー41に接続されている。微量液滴秤取構造1Dは、図5(d)に示した微量液滴秤取構造と同様に構成されている。異なるところは、第3の流路8の他端が、チャンバー10ではなく混合チャンバー41に置き換えられていることにある。混合チャンバー41には、微量液滴秤取構造1Dから前述した第1の実施形態と同様に、流路部分4Aの容積に等しい微量液滴が供給される。
他方、混合チャンバー41においては、第2の微量液滴秤取構造42が接続されている。微量液滴秤取構造42は、導入口43と、排出口44とを結ぶ流路45を有する。この流路45の途中に、秤取部46が接続されている。秤取部46の容積は、混合チャンバー41に供給する微量液滴の体積とほぼ等しくされている。秤取部46の流路45と接続されている側と反対側の端部が、流路47により、混合チャンバー41に接続されている。流路47は、前述した第3の流路8と同様に構成されている。
このような微量液滴秤取構造42は、特許文献2に記載のような従来の微量液滴秤取構造と同様に構成されている。従って、秤取部46に秤取された微量液滴が流路47を介して、混合チャンバー41に導かれる。
本実施形態では、秤取部46に秤取された微量液滴と、上記流路部分4Aに秤取された微量液滴とが混合チャンバー41で混合される。よって、流路部分4Aの容積と、秤取部46の容積との割合で、2種類の微量液滴を混合チャンバー41で混合することができる。微量液滴秤取構造1Dでは、前述したように、毛細管現象により導き得る微量液滴よりも大きな体積の微量液滴を秤取することができる。従って、本実施形態によれば、秤取部46と流路部分4Aとから供給される微量液滴の混合比を、体積比で、1対10以上とすることができる。
図7に示した実施形態から明らかなように、本発明においては、微量液滴混合部である混合チャンバー41に、少なくとも2つの微量液滴秤取構造を連結し、そのうち少なくとも1つの微量液滴秤取構造を、本発明に従って構成された微量液滴秤取構造とすることができる。それによって、最も少ない成分に対する最も多い成分の体積比を10倍以上とするように、複数の成分を混合することができる。
図8は、本発明の第6の実施形態に係るマイクロ流体デバイスの流路構造を示す模式的平面図である。
本実施形態のマイクロ流体デバイスでは、一点鎖線Aで示す部分が、図7に示した微量液滴秤取構造とほぼ同様に構成されている。従って、同一部分については、同一の参照番号を付することにより、その説明を省略する。なお、本実施形態では、微量液滴秤取構造1Dの排出口に代えて、廃液貯留部51が設けられている。廃液貯留部51は、排気口52に排気流路53を介して接続されている。
また、微量液滴秤取構造40においては、同じく、排出口44に代えて、液貯留部54が設けられており、液貯留部54が、排気口55に排気流路53を介して接続されている。また、微量液滴秤取構造1Dの導入口2と流路部分4Aとの間には、ガス発生部56がガス供給流路57を介して接続されている。同様に、混合チャンバー41の上流側にも、ガス発生部58が、ガス流路59を介して接続されている。
上記混合チャンバー41の下流端は、混合部60に接続されている。混合部60は、ミアンダ状の平面形状を有する流路により形成されている。このようなミアンダ状の流路により、混合された微量液滴の滞在時間が長くなる効果と曲がり部毎のせん断流とにより、微量液滴同士の混合が確実に行われる。混合部60の下流側端部は排出口61に接続されている。
本実施形態のマイクロ流体デバイスの流路構造では、導入口2から第1の微量液滴を供給し、ガス発生部56からガスを供給する。それによって、流路部分4Aで所定量の微量液滴が秤取される。
同様に、微量液滴秤取構造40において、秤取部46に所定量の微量液滴が秤取される。これらの2種類の微量液滴が、混合チャンバー41に供給され、ガス発生部58により発生したガスにより、混合部60に送られ、混合される。従って、2種類の微量液滴が混合された微量液滴を排出口61から取り出すことができる。その場合、ガス発生部56及び58からガスを供給するだけで、上記微量液滴13の供給及び微量液滴同士の混合及び混合された微量液滴の取り出しを自動的に行うことができる。
なお、図8は、本発明の一実施形態のマイクロ流体デバイスの微量液滴の流路構造を示したが、このような流路構造を複数集積化してもよい。
図9は、図8に示した微量液滴流路構造を多数備えたマイクロ流体デバイスの模式的平面図である。マイクロ流体デバイス71は、基材72を有する。基材72は、例えば合成樹脂の積層プレート、あるいは合成樹脂プレートにガラス板等を積層した構造等により得ることができる。この基材72内に、図示の流路構造が形成されている。図9は、基材72の上面側から基材を透かし、内部の流路構造を模式的に平面図で示している。
マイクロ流体デバイス71では、8個の微量液滴秤取構造73A〜73Hが形成されている。これらのうち、微量液滴秤取構造73A,73B,73C,73F,73G,73Hが本発明の実施形態に係る微量液滴秤取構造である。そして、微量液滴秤取構造73A,73B及び73Cが直列に接続されている。また、微量液滴秤取構造73Cに、微量液滴秤取構造73D,73E,73Fも直列に接続されている。これらの微量液滴秤取構造73A〜73Cで順次混合された微量液滴と、微量液滴秤取構造73D〜73Fで混合された微量液滴とが、混合チャンバー74で混合され、混合部75を介して、反応室76に供給される。他方、微量液滴秤取構造73Gで秤取された微量液滴も、上記反応室76に供給される。反応後の微量液滴が混合部77を介して、混合チャンバー78に与えられる。混合チャンバー78においては、微量液滴秤取構造73Hで秤取された微量液滴も供給され、混合される。このようにして、液状の検体の反応物を含む、最終的に混合された微量液滴が、混合部79を介して、PCR部80に供給されるように構成されている。PCR部80は、温度が60℃のゾーン80Aと、温度が72℃であるゾーン80Bと、温度が98℃であるゾーン80Cとが備えられている。従って、複数種の検体や試薬を混合してなる微量液滴を上記PCR部80において加温し、検体を増幅することが可能とされている。
なお、図9に示すマイクロ流体デバイス71は、本発明の微量液滴秤取構造が適用されるマイクロ流体デバイスのあくまでも一例であることを指摘しておく。このように、本発明の微量液滴秤取構造を複数集積することにより、多くの試薬や検体を取り扱うマイクロ流体分析装置に好適に用いることができる。
1,1A,1B,1D…微量液滴秤取構造
2…導入口
3…排出口
4…第1の流路
4A,4B,4C…流路部分
5…第2の流路
6…第1の分岐部
7…第2の分岐部
8…第3の流路
9…第3の分岐部
10…チャンバー
11…第4の流路
11a…末端
12…排気口
13…微量液滴
13A,13C…微量液滴
13B…微量液滴部分
21…第4の流路
22…試薬収納部
23…試薬導入口
24…第5の流路
25…流路
26…排気口
28…ガス流路
29…刺激応答性ガス発生部材
30…第6の流路
31…開口
40…微量液滴秤取構造
41…混合チャンバー
42…微量液滴秤取構造
43…導入口
44…排出口
45…流路
46…秤取部
47…流路
51…廃液貯留部
52…排気口
53…排気流路
54…液貯留部
55…排気口
56…ガス発生部
57…ガス供給流路
58…ガス発生部
59…ガス流路
60…混合部
61…排出口
71…マイクロ流体デバイス
72…基材
73A〜73H…微量液滴秤取構造
74…混合チャンバー
75…混合部
76…反応室
77…混合部
78…混合チャンバー
79…混合部
80…PCR部
80A,80B,80C…ゾーン

Claims (11)

  1. 微量液滴を秤取するための構造であって、
    基材と、基材内に設けられた流路とを備え、
    前記流路が、液滴及び気体が供給される導入口に一端が接続されており、他端が排出口に接続されている第1の流路と、
    前記第1の流路の途中の第1の分岐部と、前記第1の分岐部よりも第1の流路の下流側に位置している第2の分岐部とを結び、ガス選択性流路からなる第2の流路とを備え、
    前記第1の分岐部と第2の分岐部とを結ぶ第1の流路部分の容積が、秤取すべき微量液滴の体積と等しくされている、微量液滴秤取構造。
  2. 前記第1の分岐部から第2の分岐部に至る第1の流路部分の流路長が、前記第2の流路の流路長の2倍よりも長く、1000倍よりも短い、請求項1に記載の微量液滴秤取構造。
  3. 前記第1の分岐部と前記第2の分岐部との間の第1の流路部分の途中に第3の分岐部が設けられており、第3の分岐部に第3の流路の一端が接続されており、該第3の流路がラプラスバルブを有する、請求項1または2に記載の微量液滴秤取構造。
  4. 前記ラプラスバルブが、流路の水力相当直径が40μm以下とされている細絞流路からなる、請求項3に記載の微量液滴秤取構造。
  5. 前記第2の流路の途中に設けられており、第2の流路を開閉するバルブをさらに備える、請求項1に記載の微量液滴秤取構造。
  6. 前記第1の流路及び/または第2の流路において、横断面の面積が流路の長さ方向に沿った変化率の絶対値が20%以上である部分を含んでいる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の微量液滴秤取構造。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の微量液滴秤取構造の前記排出口の下流側に、請求項1〜6のいずれか1項に記載のもう1つの微量液滴秤取構造の導入口が連結されている、微量液滴秤取構造。
  8. 前記排出口に接続された排気流路をさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の微量液滴秤取構造。
  9. 微量液滴混合部をさらに備え、微量液滴混合部に少なくとも2つの微量液滴秤取構造が連結されており、該少なくとも2つの微量液滴秤取構造のうちの少なくとも1つの微量液滴秤取構造が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の微量液滴秤取構造であり、上記微量液滴混合部における少なくとも2つの微量液滴秤取構造から供給される複数の成分のうち、最も少ない成分と、最も多い成分の体積比が1対10以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の微量液滴秤取構造。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の微量液滴秤取構造が備えられたマイクロ流体デバイス。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の微量液滴秤取構造を用いた微量液滴秤取方法であって、
    前記導入口から前記第1の流路に、前記第1の分岐部から第2の分岐部に至る第1の流路部分の容積よりも大きな体積の微量液滴をガス圧により導入するステップと、
    前記導入された微量液滴の後端が前記第1の分岐部に至った後に、前記排出口を閉塞するステップと、
    前記第1の分岐部から第2の分岐部の間の第1の流路部分に貯留されている前記微量液滴を前記第3の流路から排出するステップとを備える、微量液滴秤取方法。
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