JP2011255995A - タイヤセンタリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】広範囲なタイヤサイズ、タイヤ重量やタイヤ扁平率を有するタイヤおよびスタックタイヤのセンタリングを正確にかつ容易に行うことが可能な装置を提供すること。
【解決手段】タイヤセンタリング装置におけるタイヤを載せる機構に2種類の回転自在治具を用いる。たとえば、タイヤショルダー部および/またはそれに隣接するタイヤサイドウォール部を有するタイヤ外周部が接触する部分にフリーベアリングを配置し、その内側のタイヤウォール部が接触する部分にオムニホイールを配置する。これにより種々のタイヤサイズ等に対応した(スタック)タイヤのセンタリングを容易に行うことができる。センタリング装置にスタックタイヤを移送する搬送装置に取り付けたタイヤ位置・タイヤサイズ検出センサにより、搬送装置からセンタリング装置へ正確にタイヤ送り出しができるので、タイヤのセンタリンをより確実にかつ正確に行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、物体のセンタリング装置およびセンタリング方法に関するもので、特に接触面が比較的柔軟で弾力性のあるタイヤを段積みしたスタックタイヤのセンタリングに関する。
完成後の新品タイヤは段積みされて搬送装置で運ばれた後、段積みされたタイヤ(スタックタイヤ)から1本ずつラックへ運搬していた。この運搬は主に人間が行っているが、タイヤの重量は、乗用車で約10kg〜20kg/本、大型車両で約30kg〜50kg/本であるから、1本のタイヤでも人間が運搬するにはかなりの重労働である。
そこで、スタックタイヤをそのまま、ロボットアーム等を用いて直接ラックに挿入する方法が検討されている。段積みされたタイヤ(スタックタイヤ)をセンタリングせずにそのままロボットアームを用いて運搬すると、ロボットアームがスタックタイヤを掴む際にタイヤが傾いて崩れてしまう。これまで帯状部材に関しては幾つかのセンタリング方式の提案がなされている(特許文献1、2)が、加硫済みのタイヤを装着した完成品タイヤについては簡便にセンタリングする装置がなかった。この理由として主に、スタックタイヤは重量がかなり大きくなる(4本以上のスタックタイヤの重量は、乗用車用で40〜80kg以上、大型車両用で120kg〜200kg以上となる)ことと、タイヤが比較的柔軟で弾力性があるので、スタックタイヤの最下部のタイヤがその上に積まれているタイヤの重量により変形するために、全体のバランスが悪くなり、スタックタイヤのセンタリングが困難であるということが挙げられる。
特開昭63−262364 特開2008−200998
成就した様に現状では完成品タイヤを段積みしたスタックタイヤを自動でセンタリングする装置がない。この理由としてスタックタイヤの最下部に配置されたタイヤに大きな力が加わり、センタリングするときにスタックタイヤのバランスが悪くなりセンタリングが困難であるということが挙げられる。そこで、スタックタイヤをセンタリングする方法として、スタックタイヤを載置するセンタリングすべき場所(以下、センタリング部)に回転自在治具を配置する方式を検討した。たとえば、図1に示されているように、スタックタイヤは搬送装置で搬送されて、センタリング装置のセンタリング部(図1においてスタックタイヤ14が載置されている場所)に置かれる。センタリング部において、スタックタイヤ搬送用の回転ローラーと回転自在治具の列が交互に配置されている。スタックタイヤが回転ローラーにより搬送されセンタリング部に置かれると、回転自在治具列が上がってきてスタックタイヤを受ける。センタリング用ガイドローラーがスタックタイヤの周辺からスタックタイヤの中心へ向かって動きスタックタイヤを押さえこんでいく。スタックタイヤは回転自在治具により移動してセンタリングが行われる。
回転自在治具として、たとえばフリーベアリング、トランスホイールやオムニホイールを使用する。フリーベアリングはサイズも小さくできるので、1つ1つの間隔を詰めて設置可能であり、搬送物との接触面積を少なくでき、小さい力で動くという利点がある。一方、トランスホイールあるいはオムニホイールは比較的大きなサイズなので、回転ホイールと取り付け軸までの距離が大きいという利点がある。
回転自在治具がフリーベアリングの場合において、タイヤ外径が小さくタイヤ重量が小さく扁平率が低いときには、下部タイヤの変形が小さいので、タイヤがフリーベアリングのベースと接触せずにフリーベアリングで自由に動き、スタックタイヤのセンタリングが容易である。しかし、タイヤ外径が小さくタイヤ重量が大きく扁平率が高いときには、回転ボールと取り付けベースの距離が小さいためにフリーベアリングのベースとタイヤが接触し、スタックタイヤは自由にセンターリングや移動ができなくなる。
回転自在治具がトランスホイールあるいはオムニホイールの場合において、タイヤ外径が小さくタイヤ重量が小さいときは、回転ホイールが自由に動くのでスタックタイヤのセンタリングが容易である。しかし、タイヤ外径が大きくタイヤ重量も大きいときには、回転ホイールとタイヤとの接触面積が大きくなり摩擦抵抗が大きくなるので、スタックタイヤは自由にセンターリングや移動ができなくなる。
本発明の目的は、タイヤサイズが小さくても大きくても、またタイヤ重量が小さくても大きくても、また扁平率が小さくても大きくても、スタックタイヤのセンタリングを容易に行うことの可能な方法および装置を提供することである。本発明は、2種類の回転自在治具を用いる。すなわち、タイヤの周辺を受ける所はフリーベアリングを配置し、タイヤの内側を受ける所にはトランスホイールおよび/またはオムニホイールを配置する。さらに、センタリング装置にスタックタイヤを送る前の待機位置でタイヤ先端位置およびタイヤ外径を測定して、タイヤをセンタリング装置への移動量(送り量)を決めて、スタックタイヤをセンタリングする際のスタックタイヤの移動量を最小にすることができる。
課題において説明したように、回転自在治具を用いるとスタックタイヤのセンタリングをうまく行える可能性があるが、回転自在治具としてフリーベアリングだけ、或いはトランスホイールやオムニホイールだけを使用する場合には、センタリングを確実に行うためにはタイヤサイズ、タイヤ重量やタイヤ扁平率に制約がある。これに対して、本発明はタイヤの周辺を受ける所はフリーベアリングを配置し、タイヤの内側を受ける所にはトランスホイールやオムニホイールを配置しているので、タイヤのサイズが変わっても、或いはタイヤ重量やタイヤ扁平率が変化しても、タイヤを前後左右に自由に回転移動できるので、センタリングを確実に行うことができる。さらに、これを補完するものとしてタイヤ移動量検出装置(センサ)を備えていて、タイヤサイズに合わせてタイヤの移動量を決めてセンタリング装置に送り出すことができるので、タイヤを所望の位置に配置することができる。この結果、タイヤを確実に回転移動してセンタリングを確実に行うことができる。
本発明のセンタリング装置は搬送用の回転ローラーおよび2種類の回転自在治具からなる簡単な機構のセンタリング装置であるから、装置スペースを小さくすることが可能で、しかも装置費用も安い(設備投資が小さい)という効果もある。
図1は、本発明のセンタリング方式を説明するセンタリング装置の平面図である。 図2は、図1に示す本発明のセンタリング方式を説明するセンタリング装置の側面図である。 図3は、本発明のセンタリング方式に用いるトランスホイールの構造を模式的に示した図である。 図4は、本発明のセンタリング方式に用いるオムニホイールの構成を示す模式図である。 図5は、本発明のセンタリング方式に用いるフリーベアリングの構造を模式的に示した図である。 図6は、図5に示すフリーベアリングに物体を搭載した場合の状態を示す模式図である。 図7は、本発明のセンタリング方式に用いるキャスターの構造を模式的に示した図である。 図8は、タイヤの側面を示す模式図である。 図9は、キャスター上にスタックタイヤを搭載したときの状態を示す模式図である。 図10は、フリーベアリング上にスタックタイヤを搭載したときの状態を示す模式図である。 図11は、オムニホイール上にスタックタイヤを搭載したときの状態を示す模式図である。 図12は、フリーベアリングおよびオムニホイール上にスタックタイヤを搭載したときの状態を示す模式図である。 図13は、本発明のセンタリング機構の一実施形態を示す図である。 図14は、本発明のセンタリング機構の別の実施形態を示す図である。 図15は、タイヤ搭載用として各種の回転自在治具を用いたときのタイヤの移動可否について比較した表である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のセンタリング方式を説明する図であり、センタリング装置およびこれにスタックタイヤを移送する搬送装置の平面図を模式的に示している。スタックタイヤ13はローラーコンベア11によって白抜き矢印で示すA方向から運ばれ、エリアセンサ15を通過する。センタリング装置12に送る手前の場所に配置された光電センサ16の位置にスタックタイヤ13の先端が来たときに、ローラーコンベア11が停止する。光電センサ16はローラーコンベア11の両サイドに配置され、光電管16aから出た光線が光電管ミラー16bから反射して、その反射光線を再び光電管(センサ)16aで受ける。図1におけるラインMが光線の位置を示す。ラインMは搬送装置の進行方向、すなわちスタックタイヤの搬送方向Aに対して垂直になっている。光電センサ16がスタックタイヤ13の先端を検出した時、すなわちスタックタイヤ13の先端が光線Mに接した時にローラーコンベア11を停止させる。
エリアセンサ15は、光電センサ16より搬送方向後方側に配置され、スタックタイヤ13の後部外形を検出できるようになっている。エリアセンサ15も光照射式の場合は、たとえば図1に示すように、搬送装置の進行方向に対して広範囲の光を搬送装置の一端側に配置されたエリアセンサの光放射側15aから照射し、その光を搬送装置の他端側に配置されたエリアセンサの受光側15bで受ける。エリアセンサ15のセンシング領域Cにスタックタイヤ13の後部があれば光が遮られるので、スタックタイヤ13の後端位置L(ラインL)を検知できる。
以上の2つのセンサ15および16からスタックタイヤ13の外径を知ることができる。すなわち、光電センサ16による光線位置ラインMとエリアセンサ15によって得られた位置であるラインLとの距離xがスタックタイヤ13の直径となる。この値を測定し計算した後、再度ローラーコンベア11を動かし、スタックタイヤ13を搬送して、ローラーコンベア11に隣接しB方向に設置されたセンタリング装置12に移送する。(ここでは、B方向はA方向と一致している。)
センタリング装置12にも光電センサ23が配置されていて、センタリング装置12の一端に設置された光電管23aから出た光線が、センタリング装置12の他端に設置された光電ミラー23bで反射して再度光電管23aで受ける。ラインNが光線位置を示す。ラインNは搬送装置の搬送方向B、すなわちスタックタイヤの移動方向に対して垂直であり、スタックタイヤをロボットアームで掴む位置である。
このラインNの位置に、配置されるスタックタイヤ14の中心が来るように光電センサ23が配置されている。すなわち、ローラーコンベア11から送り出されたスタックタイヤの先端が光線Nの位置に来ることを検出して(光線Nがスタックタイヤにより遮られるので検出できる)、その位置からyだけB方向に送り出す(yを送り出し量と呼ぶ)。y=x/2とすると、送り出し量yはスタックタイヤの半径に等しいので、スタックタイヤ14の中心は正確に光線Nの位置に配置される。この送り出し量は、センタリング装置12に設置される後述の搬送用の回転ローラーを用いてコントロールできる。たとえば、回転ローラーに送り出し機構を取り付けて、必要な移動量だけ回転ローラーを回転させてその上に載っているタイヤ(スタックタイヤ)を動かせば良い。
尚ローラーコンベア11とセンタリング装置12の離間距離を把握しておけば、センタリング装置の所定の位置にタイヤを移送することも可能である。すなわち、ラインMとラインNとの距離zは固定されているので、ローラーコンベア11の一時停止位置(図1におけるスタックタイヤ13の位置)からセンタリング装置12のラインNの位置(図1におけるスタックタイヤ14の位置)までのスタックタイヤの移動距離(z+y=z+x/2)も正確にコントロールできる。この結果、ラインNの位置にスタックタイヤ14の中心が来るようにスタックタイヤ14を移送できる。従って、この場合には光電センサ23を設置する必要がない。
タイヤのサイズは種々のものが存在するので、本発明のセンタリング方式で採用する種々のスタックタイヤのサイズに適用するために、エリアセンサ15の大きさ(センシング領域C)および光電センサ16とエリアセンサ15の位置を選定する必要がある。すなわち、種々の大きさを有するスタックタイヤ13に対して、スタックタイヤ13の先端が光線Mの位置に来たときに、スタックタイヤ13の後端がエリアセンサ15のセンシング領域Cに入っている必要がある。本発明のセンタリング装置に適用するスタックタイヤのサイズをすべて知っていれば、適当な光電センサ16およびエリアセンサ15を選定し配置することは容易である。また、光電センサ16にエリアセンサを用いて良いし、このエリアセンサ16やエリアセンサ15として画像認識センサを用いることもできる。
さらに、光電センサ16およびエリアセンサ15を1つのエリアセンサに代用も可能である。たとえば、画像認識センサを用いて、スタックタイヤ13全体を認識してスタックタイヤ13の直径xを検出する。この場合スタックタイヤ13の先端位置とラインNの距離(zに相当)は一定とならない(どの時点で一時停止するかが定まらないため)が、画像認識センサによりローラーコンベア11におけるスタックタイヤ13の位置を簡単に認識できる(たとえば、ローラーコンベア装置11の特定位置とスタックタイヤ13の位置を検出し、この特定位置とラインNまでの距離は既知である)ので、スタックタイヤ13の位置から、センタリング装置12へのスタックタイヤの移動距離z(或いは、z+y)を容易にコントロールできる。尚、高速処理センサ(センシング応答が速く、計算処理も高速のセンサ)を用いれば、タイヤ13を一時停止させずに移動させながらタイヤサイズやタイヤ位置を検出することも可能である。
ラインNの位置にスタックタイヤ14の中心が来るようにスタックタイヤ14がセンタリング装置12にセットされた後、ラインNの方向に対してセンタリングが行われる。本発明のセンタリング装置12において、スタックタイヤ14が配置される場所には、ラインNを中心として内側に第1のセンタリング機構18が配置されており、その外側に第2のセンタリング機構17および19が配置されている。第1のセンタリング機構18はタイヤの進行方向においてタイヤの内側(サイドウォール部)に接触できる位置に配置されている。また、第2のセンタリング機構17および19はタイヤの進行方向においてタイヤの外側、特にタイヤのショルダー部および/またはショルダー部に隣接したタイヤのサイドウォール部に接触できる位置に配置されている。
センタリング装置12の所定の位置に配置されたスタックタイヤ14は第1のセンタリング機構18および第2のセンタリング機構17、19の上に載置される。第1のセンタリング機構18および第2のセンタリング機構17、19はそれぞれ異なる回転自在治具が配置されている。第1のセンタリング機構18は、タイヤの内側(タイヤのサイドウォール部)の比較的柔軟な部分に対してタイヤを余り変形させないような回転自在治具或いは多少タイヤが窪んできても自由に回転できるような回転自在治具、たとえばトランスホイールやオムニホイールを多数配列配置している。第2のセンタリング機構17、19は、タイヤの外周部(タイヤのショルダー部および/またはショルダー部に隣接したタイヤのサイドウォール部)の比較的硬い部分に対して自在に回転できるような回転自在治具、たとえばフリーベアリングを多数配列配置している。
図2は、図1に示すスタックタイヤ13および14と搬送装置(10、11)およびセンタリング装置12との関係を正面側から見た模式図である。タイヤが3本(13a、13b、13c)段積みしたスタックタイヤ13およびタイヤが3本(14a、14b、14c)段積みしたスタックタイヤ14を示しているが、1段または2段、或いはこれより多数段積みされる場合もある。ローラーコンベア11は搬送装置基台10上に配置され動いている。光電センサ16およびエリアセンサ15が搬送装置10、11の側面にセットされていて、スタックタイヤ13の位置および大きさを検出している。
センタリング装置12の所定の位置に載置されたスタックタイヤ14の両側に配置された第3のセンタリング機構20、21、22により、スタックタイヤ14はラインNの方向と同じ向きに対してセンタリングされる。たとえば、図1および図2に示すように、センタリング用ガイドローラー20(20a、20b)、21(21a、21b)、および22(22a、22b)がスタックタイヤ14の外側からNの方向にスタックタイヤ14を挟みつけてN方向のセンタリングを行う。具体的には、センタリング位置に対して対称の位置に配置されたセンタリング用ガイドロッド20、21および22の両側のガイドロッド(20aと20b、21aと21b、22aと22b)が対称関係を保ちながらN方向に等距離だけ移動してスタックタイヤ14を挟むように押しこんで来ると、スタックタイヤ14が載置されている第1および第2のセンタリング機構である回転自在治具によりスタックタイヤ14が移動するので、スタックタイヤ14のN方向のセンタリングを行うことができる。
また、スタックタイヤの移動方向(B方向と同じ)に対しては、スタックタイヤ14の中心が既にセンタリングされてラインNの位置にあるが、センタリング用ガイドローラー20がセンタリング用ガイドローラー21或いは22により対称関係を保ちながら同時にスタックタイヤをB方向に対して固定するように挟むので、スタックタイヤ14の中心がラインNから外れることはない。センタリング用ガイドローラーをN方向または中心方向へ移動する方法は既知のものを使用することができる。さらに、この第3のセンタリング機構は既に開示されている他の方法を用いても良い。
図3は、本発明に用いるトランスホイールの構造の一例を模式的に示した図である。図4に示すオムニホイール40は、通常同じ形状の2つのトランスホイール41および42を組み合わせて使用する。図3(a)はトランスホイール41を縦方向から見た模式図である。図3(b)はトランスホイール41を横方向から見た模式図である。トランスホイールの動作が良く分かるように、トランスホイール41に物体39を載せて描いている。物体39はたとえば、タイヤ(スタックタイヤ)である。トランスホイール41は、ホイール本体部31および複数の樽状ホイール35(35a、35b、35c)から構成される。ホイール本体部31の中央には軸穴が形成され回転軸32が挿通される。ホイール本体部31の外縁には、樽状ホイール35を支持する樽状ホイール支持部33が突出して樽状ホイール35を支えている。樽状ホイール35は樽状ホイール支持部33に留め具37により回転自在に支持されている。図3においては、樽状ホイール35は3個(35a、35b、35c)が等間隔で、それぞれ両側の樽状ホイール支持部33に取り付けられている。この樽状ホイール35は、4個以上存在することもできる。
ホイール本体部31は、たとえば、ホイール本体部31と回転軸32の間にベアリング機構等の回転機構を備えることにより、回転軸32のまわり、すなわち図3(b)に示すr方向に自由に回転する。或いは、ホイール本体部31と回転軸32とは固定して、回転軸32を支持する部分に回転機構を備えるなどの種々の方法により、ホイール本体部31を図3に示すr方向に自由に回転可能にすることができる。ホイール本体部31がr方向に自由に回転可能ということは、樽状ホイール支持部33に支持された樽状ホイール35もr方向に自由に回転可能であることを意味する。樽状ホイール支持部33は、樽状ホイール35がホイール本体部31の回転方向(図3(b)に示すr方向)に対して例えば直交する方向に回転自在となるように、樽状ホイール35を支持する。これにより、物体39を回転軸32方向(図3(a)におけるs方向)へ自在に移動することができる。以上のように、トランスホイール41を用いて、r方向への回転自在運動とs方向への回転軸方向の自在運動との組合せにより、物体39を前後左右に自由に動かすことができる。
しかし、トランスホイールの場合には、その上にタイヤ等の物体39を載せた時、樽状ホイール支持部33がその物体に接触する可能性がある。特に、タイヤはゴム製品等の比較的弾力性に富んでいるので、その重みにより接触部分で窪んだりもすることにより、接触の可能性は高い。また、隣接する樽状ホイール35の間隔が広い場合や、樽状ホイール35の径が小さい場合も、樽状ホイール支持部33が物体39に接触する可能性が高い。樽状ホイール支持部33が物体39に接触すると、樽状ホイール35が回転できなくなるので、トランスホイール41はホイール本体部31の回転軸32の方向(s方向)に移動することができなくなる。そこで、通常は、トランスホイールを回転軸方向に複数連結する。複数連結するときは、樽状ホイール支持部の位置は、隣接するホイールの樽状ホイールの位置になるように、複数のトランスホイールを組合せ一体化して構成する。
図4は、トランスホイールを回転軸方向に2段設けたオムニホイールの構成を示している。図4に示すオムニホイール40は、通常同じ構造および形状の2つのトランスホイール41および42を組み合わせて使用する。図4(a)はオムニホイール40を縦方向から見た模式図である。図4(b)はオムニホイール40を横方向から見た模式図である。オムニホイールの動作が良く分かるように、オムニホイール40に物体39を載せて描いている。図4に示すホイール41は図3に示すトランスホイールと同じものであるので、同じ符号を付している。また、図4に示すホイール42もトランスホイール41と同じ構造および形状である。
すなわち、ホイール42は、ホイール本体部31(31y、ホイール41の31は31xと符合を付す)および複数の樽状ホイール36(36a、36b、36c)から構成される。ホイール本体部31の中央には軸穴が形成され回転軸32が挿通される。この回転軸32はホイール41と共通であり、これにより2つのホイール41および42は一体化している。ホイール本体部31yの外縁には、樽状ホイール36を支持する樽状ホイール支持部33(33y、ホイール41の33は33xと符合を付す)が突出して樽状ホイール36を支えている。樽状ホイール36は樽状ホイール支持部33yに留め具37により回転自在に支持されている。樽状ホイール35は、ホイール41と同様に、3個(36a、36b、36c)が等間隔で、それぞれ両側の樽状ホイール支持部33に取り付けられている。この樽状ホイール36も、4個以上存在することもできるが、通常はホイール41と同様の構造および形状とするので、その場合は、ホイール41の樽状ホイール35も、4個以上となる。
タイヤ等の物体39をオムニホイール40に載せた図4からも良く分かるように、ホイールを回転軸方向に2段設けると、一方の樽状ホイール支持部33(たとえば、ホイール41の樽状ホイール支持部33x)が接地面の位置となっても他段のホイールの樽状ホイール(たとえば、ホイール42の樽状ホイール36)が接地面の位置となる。したがって、オムニホイール40は、回転位置によらずホイール本体部31の回転軸32方向(図4(a)におけるs方向)に移動可能となる。またオムニホイールも、回転軸32の周りr方向に対しても、図3(b)に示した1つだけのトランスホイール41だけの場合と同様に、自由に回転できる。従って、オムニホイールを用いて、r方向への回転自在運動とs方向への回転軸方向の自在運動との組合せにより、物体39を前後左右に自由に動かすことができる。
タイヤ等の物体が直接接触する樽状ホイールの材質は、一般にウレタンやナイロン等の高分子樹脂などであるため、タイヤの柔らかい部分が接触してもタイヤだけが大きく窪むことがない。また上述した様にトランスホイールあるいはオムニホイールであるため、接触面積が大きくてもスムーズに回転可能である。従って、タイヤの内側におけるサイドウォール部の比較的柔らかい部分に用いても自由に回転できる。ただし、構成が複雑であるため、フリーベアリングほど小さくすることはできないので、単位面積当たりの設置数はフリーベアリングに比較すると多くすることができない。
図5は、本発明に用いられる回転自在治具の1つであるフリーベアリング50の構造の一例を示す模式図であり、カバー55を半分外して、その部分を断面にして内部の構造が良く分かるように描いている。ベースの球状ケーシング53に多数の小ボール52を配置し、その上に大ボール51が1個載置されている。小ボールと大ボールの回転運動により、その上に置かれた物体(たとえば、タイヤやスタックタイヤ)を前後・左右へ自由に回転させることができる。大ボール51は自由に回転できるようになっているが、ゴミ等が入らないように大ボール51の周囲をシール54が大ボール51に接触しない程度に大ボール51の周囲を取り巻まいていて、カバー55がその上を被っている。大ボール51の一部分がカバー55から突出して外側へ出ている。フリーベアリング50は台座56に取り付けられる。
図5からも分かるように、フリーベアリングの構造は極めて簡単であり、小型化も容易である。小ボール52や大ボール51は摩耗しないように硬い金属や合金などで形成されているので、大ボール51の上に置かれた物体も硬い場合には物体の変形は少ないが、物体が柔らかい場合には物体がその部分で窪んでくる。たとえば、タイヤの場合には、タイヤの外側のショルダー部やそれに隣接するサイドウォール部は比較的硬いのでタイヤショルダー部等の変形(窪み)は小さいが、タイヤの内側におけるサイドウォール部の比較的柔らかい部分は変形(窪み)が大きくなる。タイヤの窪みが小さい場合および大きい場合の模式図を図6に示す。図6(a)はタイヤ39の窪みが小さい場合の模式図であり、図6(b)はタイヤ39の窪みが大きい場合の模式図である。
図6(b)に示されているように、大ボール51がタイヤ39の中にめり込んでくる。その結果、タイヤ39と大ボール51との接触面積が大きくなり、タイヤ39の動きが悪くなりセンタリングが困難となってくる。タイヤ39がカバー55やケーシング部に接触するとタイヤ39を動かすのは不可能になる。従って、フリーベアリングをタイヤの柔らかい部分であるタイヤの内側に使うと問題が発生する場合がある。特にタイヤの重量が大きくなる場合や、段積みタイヤが多いスタックタイヤの場合には問題となってくる。フリーベアリングを大きくして、大ボール51を大きくしても(大きくするとカバーやケーシング部までの距離が大きくなる)、設置可能なフリーベアリングの数も減るので、1個当たりのフリーベアリングにかかる重量が増す。その結果、フリーベアリングの大ボールがタイヤの中にめり込んでいくので、タイヤと大ボールの接触抵抗が増えて、タイヤを動かすのに大きな力が必要になってくるために、やはりセンタリングが難しくなっていく。以上から、フリーベアリングは比較的変形しにくい硬い材質を有するタイヤの外周部(ショルダー部および/またはそれに隣接するサイドウォール部)に配置するのが良い。
図7は、本発明に用いられる回転自在治具の1つであるキャスターの構造の一例を示す模式図である。ここでキャスターとは、旋回部および車輪で構成された自在車輪のことで、旋回部が自由に旋回し、かつ車輪が回転するものを言う。キャスター60において、旋回部63にフォーク64が連結し、フォーク64にシャフト65により車輪62が連結している。車輪62の上にタイヤ等の物体39を載せた場合、旋回部63は矢印u方向に自由に回転するので、車輪62の回転と合わせることにより、物体を前後左右に自由に移動できる。図7から分かるようにキャスター60に物体39を載せた場合、車輪62も物体39も硬くて変形がしない時は車輪62と物体39は線で接触し、車輪62か物体39のどちらかが柔軟であればその柔軟な方が変形するので、車輪62と物体39は面で接触する。物体がタイヤの場合には、車輪62とタイヤ39は面で接触するので、接触摩擦に関してはトランスホイールやオムニホイールと類似の特性を示すが、一方タイヤと接触する回転体は車輪一つなのでフリーベアリングの特性も有する。尚、キャスター車輪の材質には、ウレタン樹脂等の高分子化合物のように柔軟で弾力性のある材料や鋼鉄製等の金属材料のように硬い材料も用いることができるので、タイヤの特性に合わせた材料選定が可能である。
図8はタイヤの側面図を示す。タイヤ100における一番外側のトレッド部101は地面に接触する部分で、このトレッド部101からタイヤ半径方向内側に延びるサイドウォール部103がタイヤ側面では大きな面積を占める。このサイドウォール部103の内側に連なりビード部104が存在する。トレッド部101の側面で、サイドウォール部103につながる部分をショルダー部102と呼ぶ。タイヤを段積みしたときに最下層のタイヤが載置面(搬送用回転ローラーや回転自在治具など)と接触する部分は、サイドウォール部103およびショルダー部102である。ショルダー部102は比較的硬く、スタックタイヤに段積みしても変形は小さい。これに対してサイドウォール部103は広い面積を占めてスタックタイヤに段積みしたときに最も接触する面積の大きい部分である。しかも比較的柔軟で弾力性があるので、スタックタイヤに段積みしたときに変形する可能性がある。ビード部104はスタックタイヤに段積みしても変形は小さい。従って、タイヤが横置きにされている場合や、段積みされている場合には、タイヤビード部104は載置面と接触する可能性は小さい。
本発明において、センタリング機構として、回転自在な治具を並べてその上にスタックタイヤを載せて前後左右に自在に動かす方式を用いる。本発明においては、回転自在な治具として、上述したキャスター、トランスホイール、オムニホイール、フリーベアリングを用いて、スタックタイヤのセンタリングを行うが、それぞれについて以下に説明する。本発明は、回転自在な治具を組み合わせて用いるセンタリング機構であるが、従来方式では、スタックタイヤを回転自在な治具を用いて運搬する実施例がないため、単独で用いたときと比較して以下に検討する。
図9は回転自在な治具としてキャスター202だけを並べて、その上にスタックタイヤ201を載せた場合について示す。キャスター202の車輪が大きいので、スタックタイヤが取り付けフレーム203に干渉しにくいという利点はあるが、取り付け間隔が詰められないという問題と、1車輪にかかる面圧が高いので柔軟な材質のタイヤの場合にはタイヤが窪むという問題がある。図9(a)に示すように、タイヤの外径が小さく、重量が軽い場合には問題が少ない。しかし、タイヤの外径が大きく、重量が重い場合は、図9(b)に示すように、キャスター202の車輪へタイヤ201が沈んできてタイヤの大きな窪み204ができる。特に、タイヤのサイドウォール部におけるタイヤの比較的柔らかい部分で顕著となる。その結果、キャスター車輪の回転摩擦が大きくなり、スタックタイヤ201の移動が困難となる。
図10は、回転自在な治具としてフリーベアリング212だけを並べて、その上にスタックタイヤ201を載せた場合について示す。フリーベアリングは、小型化も容易にできて1つ1つを小さく間隔を詰めて設置することが可能であり、タイヤとの接触点をタイヤ側面に均一に分散できる。その結果、タイヤ等の搬送物との接触面積も少なくできるので、小さい力で動かすことができるという長所があるが、フリーベアリングのケーシング214から突出した大ボール211の突出度はフリーベアリングのケーシング214の大きさに対して比較的小さいので、フリーベアリングに載る物体が柔らかい場合には、その物体とケーシングが接触しやすいという問題がある。従って、スタックタイヤの外径が小さく、スタックタイヤの重量が軽く、扁平率が低い場合には、図10(a)に示すように、大ボール211へのタイヤの沈み込みも小さく、フリーベアリング212の大ボール211とタイヤ201との接触面積215も少なく、良好な回転自在治具となる。しかし、スタックタイヤ201の外径が小さく、スタックタイヤの重量が軽く、扁平率が高い場合には、タイヤの沈み込みが大きくなり、図10(b)の213に示すように、スタックタイヤ201がフリーベアリングのケーシング214と接触してしまうので、スタックタイヤ201の移動が困難となったり、タイヤに損傷を与えたりするおそれがある。特にタイヤのサイドウォール部の比較的柔らかい部分が載ったフリーベアリングに問題が発生しやすくなる。さらに、図示はしていないが、外径が大きく、重量が重い場合には、扁平率の大小にかかわらず、図10(b)に示す場合と同様になる。
図11は、回転自在な治具としてトランスホイールまたはオムニホイール221だけを並べて、その上にスタックタイヤ201を載せた場合について示す。トランスホイールやオムニホイールはホイールと取り付け軸(回転軸)までの間隔が広いので、タイヤの柔らかい部分に対しても有利であるが、上述したように通常は2個のホイールで1個のローラー(オムニホイール)となるため、取り付け間隔が広くなるという問題がある。また、スタックタイヤとの接触面積が多く、動かすのに大きな力が必要という問題もある。タイヤの外径が小さく、重量が軽い場合は、図11(a)に示すように、扁平率の大小にかかわらず、トランスホイールまたはオムニホイール221とスタックタイヤ201との接触面積222は余り大きくならないし、仮に接触面積が大きくなってもスタックタイヤの重量が軽いので、トランスホイールやオムニホイールを使用してスタックタイヤを容易に動かすことができる。一方、外径が大きく、重量が重い場合には、図11(b)に示すように、扁平率の大小にかかわらず、トランスホイールまたはオムニホイール221とスタックタイヤ201との接触面積223が大きすぎて摩擦抵抗が大きくなり、スタックタイヤ201を動かすことが困難となる。
そこで本発明のセンタリング機構においては、上述の回転自在治具の特性を利用して2種類の回転自在治具を用いる。たとえば、図12に示すように、タイヤ外周部(タイヤのショルダー部およびそれに隣接するサイドウォール部)と接触する部分にフリーベアリング231を多数配置し、その内側のサイドウォール部と接触する部分にトランスホイールまたはオムニホイール233を多数配置する。タイヤ外周部は比較的硬いので、フリーベアリングの上に載せてもフリーベアリングのケーシング232と接触する可能性は低く、フリーベアリング231とタイヤ201の接触面積234は小さい。また、フリーベアリング231は小型化も容易であるから、多数のフリーベアリング231を並べることができる。その結果、1個当たりのフリーベアリング231にかかる重量を小さくできるので、スタックタイヤ201が重くなっても小さな力で動かすことができる。一方、タイヤの内側に配置されたトランスホイールまたはオムニホイール233は余り小型化はできないので、フリーベアリング231ほど多数並べることはできないが、多数配置されたフリーベアリング231により、1個当たりのトランスホイールまたはオムニホイール233にかかるタイヤの重量も小さくなるので、たとえ扁平率が大きくなった場合でも、トランスホイールまたはオムニホイール233とタイヤ201との接触面積235が大きくなりすぎることはない。
以上から、外径が大きいタイヤで重い場合において、単独の回転自在治具を用いた場合はタイヤの扁平率の大小にかかわりなくスタックタイヤの移動が困難であったが、フリーベアリングと、トランスホイールやオムニホイールとの組合せを用いることにより、タイヤの扁平率の大小にかかわりなくスタックタイヤの移動を容易に行うことができるようになる。さらにこれらの組合せにより外径が小さいタイヤで軽い場合においてももちろん、タイヤの扁平率の大小にかかわりなくスタックタイヤの移動を容易に行うことができるようになる。以上の結果をまとめると図15のようになる。図15は、タイヤ搭載用として各種の回転自在治具を用いたときのタイヤの移動可否について比較した表である。フリーベアリングおよびトランスホイールやオムニホイールを組み合わせたセンタリング機構は非常に有効であることが分かる。また、トランスホイールやオムニホイールの代わりにキャスターを用いた場合にも同様の効果がある。この表からも分かるように、タイヤのサイズ等を限定すれば、キャスター、トランスホイールやオムニホイール、フリーベアリング等の回転自在治具を単独で用いることもできる。しかし、これらを組み合わせることにより、種々のサイズ、重量や扁平率を有する種々のタイヤのセンタリングを容易に行うことができる。
図13は、本発明のセンタリング機構の一実施形態を示す。図13(a)はセンタリング装置71を上方から見た平面図である。図1における場合と同様に、ローラーコンベアによりB方向から移送されたスタックタイヤは、図13に示すセンタリング装置71に配置される。図13(a)においては、センタリング機構が良く分かるように、配置されるスタックタイヤ75の外周75−Pおよび内周75−Qだけを示している。センタリング後のスタックタイヤ75の中心位置を93で示す。その中心93を通るスタックタイヤの移送方向のラインを92、それと直行する中心線を91とする。図13(a)に示すセンタリング装置におけるスタックタイヤの移送方向(B方向或いは中心線92方向)において、タイヤ75の外周部分にはフリーベアリング72が配置され、タイヤ75の内側部分にはオムニホイール74が配置されている。フリーベアリング72およびオムニホイール74はスタックタイヤの移送方向に対して直交方向(中心線91の方向)に多数配置され配列している。これらの配列(フリーベアリング列、オムニホイール列)の間には搬送用の回転ローラー73が配置されている。回転ローラー73はフリ−ベアリング72の列およびオムニホイール74の列と平行であり、中心線91の方向に並んでいる。
図13(b)および図13(c)はセンタリング装置を正面から見た模式図であり、センタリング装置の内部およびセンタリング機構が良く分かるように描いている。図13(b)に示すように、スタックタイヤ75が搬送装置から移送されてくると、搬送用の回転ローラー73が搬送装置から送られて来たスタックタイヤ75を受けて所定の位置にセットする。複数の回転ローラー73の高さはすべて同じであり、受けたスタックタイヤを水平に移動できる。
また図13(b)に示すように、複数のフリーベアリング72は支持プレート78に回転自在に取り付けられている。また、複数のオムニホイール74も支持プレート79に回転自在に取り付けられている。それぞれの支持プレート78、79は昇降機構としての共通の昇降プレート80に連結していて、昇降プレート80の上下運動に対応して同時に上下運動する。このように、センタリング装置に設置されたフリーベアリング列およびオムニホイール列共通の昇降機構に連結しており、フリーベアリング列およびオムニホイール列は同時に昇降可能である。搬送用の回転ローラー73がセンタリング装置71の上側に出てタイヤを搬送している間は、フリーベアリング72およびオムニホイール74はセンタリング装置の内部に入り待機している。
スタックタイヤ75が搬送用の回転ローラー73により所定の位置(センタリング位置)に搬送された後に、図13(c)に示すように、昇降プレート80が上昇してフリーベアリング72およびオムニホイール74がスタックタイヤ75に接触してスタックタイヤ75を支える。図13(c)に示すようなフリーベアリング72およびオムニホイール74だけでスタックタイヤ75を支えた状態になれば、スタックタイヤ75を前後左右に自由に動かすことができるので、図1および図2に示すようなセンタリング用ガイドローラー20〜22を用いてスタックタイヤ75のセンタリングを容易に行うことが可能となる。
図13(a)から分かるように、スタックタイヤの移送方向(B方向、或いは中心線92の方向)に対しては、スタックタイヤ75の外周部(タイヤのショルダー部およびそれに隣接するサイドウォール部)にフリーベアリング72が配置され、スタックタイヤ75の内周側(タイヤのサイドウォール部)にオムニホイール74が配置され、本発明のセンタリング方式の理想的な配置構造となっているが、それと垂直方向(中心線91の方向)はそのようになっていない。たとえば、オムニホイール74はスタックタイヤ75の外周側も支える配置構造になっている。このような部分的な配列構造でも種々のタイヤに適応できるが、さらに広範囲なタイヤに適応するために、図14に示すように、スタックタイヤ75の外周部に常にフリーベアリングが来るように配置し、スタックタイヤ75の内周側に常にオムニホイールが来るように配置すると良い。すなわち、常にタイヤの外周部だけに接触する部分はフリーベアリング72だけの配列であるが、タイヤの外周部および内周部の両方に接触する部分はフリーベアリング82とオムニホイール84の両方を配置し、タイヤ外周部(タイヤのショルダー部およびそれに隣接するサイドウォール部)に接触する部分にはフリーベアリング82を、タイヤ内周部(タイヤのサイドウォール部)に接触する部分にはオムニホイール84を配置する。
たとえば、フリーベアリング82−1およびオムニホイール84−1、フリーベアリング82−2およびオムニホイール84−2、フリーベアリング82−3およびオムニホイール84−3、およびフリーベアリング82−4およびオムニホイール84−4のように配列する。フリーベアリング82−1およびオムニホイール84−1の配列では、オムニホイール84−1の配列の両側にフリーベアリング82−1の配列が配置される。フリーベアリング82−2およびオムニホイール84−2の配列は、その外側にあるフリーベアリング82−1およびオムニホイール84−1の配列に比較して、オムニホイール84の数が多くなる。
このようにスタックタイヤ75の外周部に常にフリーベアリングが来るように配置し、スタックタイヤ75の内周側に常にオムニホイールが来るように配置することにより、さらにスムーズなセンタリングを行うことができる。
尚、サイズのかなり異なるタイヤに対応する方法として、図13あるいは図14に示す実施形態において、フリーベアリングおよび/またはオムニホイールの列を中心線92方向に移動できるようにすれば良い。小さなサイズのタイヤの場合には列の間隔を縮めていき、大きなサイズの場合には列の間隔を広げて行けば良い。このようにして中心線92方向において、タイヤの外周部にフリーベアリングを接触し、タイヤの内周部にオムニホイールを接触させるということを満足することができる。さらに、1個ごと(或いは少数のブロックごと)の回転自在治具を個別に動かすことができる機構を取り付けることにより、広範囲なサイズを有するタイヤに関して、中心線92の方向だけでなく中心線91の方向においても、タイヤの外周部にフリーベアリングだけを接触し、タイヤの内周部にオムニホイールだけを接触させるということを満足することができる。尚、図13および図14、並びに上記の説明において、74または84(84−1、84−2、84−3、84−4)はオムニホイールとして説明してきたが、これらはトランスホイールであっても良いし、あるいはオムニホイールとトランスホイールの組み合わせでも良い。
以上説明したように、本発明は、段積みしたスタックタイヤをセンタリングする方式、装置および方法に関するもので、スタックタイヤの最下層になるタイヤの比較的柔らかく弾力性に富む部分であるサイドウォール部と接触する部分にトランスホイールやオムニホイールを多数配置し、その外側の比較的硬い部分であるタイヤのショルダー部および/またはそれに隣接するサイドウォール部(の一部)と接触する部分にフリーベアリングを多数配置したセンタリング機構を用いて、種々のサイズ、重量や扁平率を有するスタックタイヤを正確にスムーズなセンタリングを行うものである。尚、サイドウォール部に接触する回転自在治具はトランスホイールやオムニホイールが最適であるが、トランスホイールやオムニホイールと同程度に接触面積をある程度取ることができる他の回転自在治具でも良い。本発明は、スタックタイヤに限らず1本のタイヤのセンタリングにも適用できるし、さらにタイヤに限らず種々の物体のセンタリングにも適用できる。また、上述の説明において、1つの実施例において記載した内容であって他の実施例において記載しなかった内容であっても、お互いに矛盾なく適用できるものに関しても、当該実施例において適用できることは言うまでもない。
本発明は、タイヤおよびスタックタイヤのセンタリング装置、或いは前後左右に自在に移動する装置に適用できる。
11 ローラーコンベア、12 センタリング装置、13 タイヤ(スタックタイヤ)、
14 タイヤ(スタックタイヤ)、15 エリアセンサ、16 光電センサ、17 第2のセンタリング機構、18 第1のセンタリング機構、19 第2のセンタリング機構、
20、21、22 第3のセンタリング機構(センタリング用ガイドローラー)、23 光電センサ、
31 ホイール本体部、32 回転軸、33 樽状ホイール支持部、35 樽状ホイール、36 樽状ホイール、37 留め具、39 物体、40 オムニホイール、
41 トランスホイール、42 トランスホイール、50 フリーベアリング、
51 大ボール、52 小ボール、53 球状ケーシング、54 シール、55 カバー
56 台座、60 キャスター、62 車輪、63 旋回部、64 フォーク、
65 シャフト、71 センタリング装置、72 フリーベアリング、
73 回転ローラー、74 オムニホイール、75 (スタック)タイヤ、76 支持棒、
77 昇降プレート、78 支持プレート、79 支持プレート、80 昇降プレート、
81 (スタック)タイヤ、82 フリーベアリング、84 オムニホイール、
91 中心線、92 中心線、93 中心、101 トレッド部、102 ショルダー部、
103 サイドウォール部、104 ビード部、201 タイヤ、
202 キャスター、203 取り付けフレーム、204 窪み、211 大ボール、
212 フリーベアリング、 213 接触部、214 ケーシング、215 接触部、
221 オムニホイール、 222 接触部、223 接触部、
231 フリーベアリング、232 ケーシング、233 オムニホイール、
234 接触部、235 接触部、

Claims (8)

  1. タイヤまたはタイヤが段積みされたスタックタイヤをセンタリングするセンタリング装置であって、タイヤまたはタイヤが段積みされたスタックタイヤを載置するセンタリング位置において、複数のフリーベアリング、並びに複数のオムニホイール、および/または複数のトランスホイール、および/または複数のキャスターが配置されており、
    前記フリーベアリング、並びにオムニホイール、および/またはトランスホイール、および/またはキャスターを用いてその上に載置されたタイヤまたはスタックタイヤをセンタリングすることを特徴とし、
    前記フリーベアリングはタイヤの外周部であるタイヤショルダー部および/または前記タイヤショルダー部に隣接するタイヤのサイドウォール部に接触するように配置され、
    前記オムニホイール、トランスホイール、およびキャスターからなる群から選ばれた少なくとも一種はタイヤ外周部の内側のサイドウォール部に接触するように配置されていることを特徴とする、タイヤまたはスタックタイヤのセンタリング装置。
  2. 前記センタリング装置のセンタリング位置において、複数のフリーベアリングが配列されたフリーベアリング列、並びに前記フリーベアリング列と平行に複数のオムニホイールが配列されたオムニホイール列、および/または複数のトランスホイールが配列されたトランスホイール列、および/または複数のキャスターが配列されたキャスター列が設置されていることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤまたはスタックタイヤのセンタリング装置。
  3. 前記センタリング装置のセンタリング位置において、前記フリーベアリング列、並びにオムニホイール列、および/またはトランスホイール列、および/またはキャスター列に対して平行に、タイヤまたはタイヤが段積みされたスタックタイヤを搬送するための回転ローラーが設置されていることを特徴とする請求項2に記載のタイヤまたはスタックタイヤのセンタリング装置。
  4. センタリング装置に設置されたフリーベアリング列、並びにオムニホイール列、および/またはトランスホイール列、および/またはキャスター列は共通の昇降機構に連結しており、フリーベアリング列並びにオムニホイール列、および/またはトランスホイール列、および/またはキャスター列は同時に昇降可能であることを特徴とする、請求項2または3に記載のタイヤまたはスタックタイヤのセンタリング装置。
  5. センタリング装置に配置された複数の回転ローラーは共通の昇降機構に連結しており、搬送装置から移送されるタイヤまたはスタックタイヤを搬送するときは前記回転ローラーを用いてセンタリング位置に搬送することを特徴とする、請求項3または4に記載のタイヤまたはスタックタイヤのセンタリング装置。
  6. センタリング装置に隣接してセンタリング装置にタイヤまたはスタックタイヤを移送する搬送装置が設置され、前記搬送装置に搭載または付随したセンサを用いてタイヤまたはスタックタイヤの外径および/または位置を検出し、その外径および/または位置のデータを用いて搬送装置からセンタリング装置のセンタリング位置にタイヤまたはスタックタイヤを移送することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載のセンタリング装置。
  7. センタリング装置のセンタリング位置の中心を前記タイヤまたはスタックタイヤの先端部が通過することをセンサにより検出し、前記センタリング位置の中心から前記タイヤまたはスタックタイヤの先端部を前記タイヤまたはスタックタイヤの半径分だけ送り出すことにより前記タイヤまたはスタックタイヤをセンタリング位置に配置することを特徴とする、請求項6に記載のセンタリング装置。
  8. センタリング装置のセンタリング位置にタイヤまたはスタックタイヤを配置する工程、および前記センタリング位置に配置されたタイヤまたはスタックタイヤをセンタリングする工程を含むタイヤまたはスタックタイヤをセンタリングする方法であって、
    前記センタリング位置に複数のフリーベアリング、並びに複数のオムニホイール、および/または複数のトランスホイール、および/または複数のキャスターが配置されており、
    前記フリーベアリング、並びにオムニホイール、および/またはトランスホイール、および/またはキャスターを用いてその上に載置されたタイヤまたはスタックタイヤをセンタリングすることを特徴とし、
    前記フリーベアリングはタイヤの外周部であるタイヤショルダー部および/または前記タイヤショルダー部に隣接するタイヤのサイドウォール部に接触するように配置され、
    前記オムニホイール、および/またはトランスホイール、および/またはキャスターは少なくともタイヤ外周部の内側のサイドウォール部に接触するように配置されていることを特徴とする、
    タイヤまたはスタックタイヤをセンタリングする方法。
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