JP2011253781A - 加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射率等の調理容器固有の情報を求める精度を向上することができる加熱調理器を得る。
【解決手段】トッププレート2と、鍋12を加熱する加熱コイル15と、加熱コイル15を駆動する駆動部16と、駆動部16の動作を制御する制御部17と、トッププレート2の温度を検出する接触式温度検知手段13と、鍋12から放射される赤外線を検出する赤外線検知手段14と、赤外線検知手段14の検出値から鍋12の温度を求める計算部18と、鍋12の内容物が空の状態でキャリブレーション機能を実行させる操作がされる操作部4とを備え、キャリブレーション機能が実行されたとき、内容物が空の状態の鍋12を所定の電力以下の電力で加熱し、キャリブレーション機能の実行時における所定のタイミングで得られた接触式温度検知手段13および赤外線検知手段14の検出値に基づき、鍋固有の情報を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、加熱調理器に関するものである。
従来の加熱調理器においては、トッププレートに置かれた鍋等の調理容器の温度を、トッププレートの下面に接触するサーミスタ等の感熱素子で検出するものがある。しかし、調理容器である鍋の底面が反ってトッププレートから浮いていると感熱素子に鍋の温度が正しく伝わらないため、正確に温度を制御することが困難であるという課題があった。また、あらかじめ温度が上がっている鍋がトッププレート上に載置された場合、感熱素子に鍋の温度が伝わるまで時間を要するため、その間は正確に温度を制御することが困難であるという課題もあった。
従来の加熱調理器において、上記のような課題を解決するために調理容器から放射される赤外線を検出することで温度を検出するものがある。例えば、「本体の調理容器載置部裏面に設けた第一の感熱素子と、調理容器載置部の一部に設けた赤外線透過材と、調理容器内に設けた第二の加熱素子である赤外線センサーと、前記第一の感熱素子と第二の感熱素子の温度情報を受けて加熱量を制御する制御手段とを備え、調理容器から調理容器載置部に伝達される温度を第一の感熱素子で検知し、同時に第二の感熱素子である赤外線センサーで赤外線透過材を介して調理容器の温度変化を検出する」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第2897306号公報(請求項1)
調理容器から放射される赤外線を検出することで温度を検出する場合、当該調理容器の放射率(または反射率)が既知であれば、赤外線の検出値を放射率等に応じて補正することで温度検出精度が向上することが知られている。
しかしながら、調理容器の放射率(または反射率)は、調理容器の色や材質等により異なるため、加熱調理に使用する調理容器固有の放射率等(調理容器固有の情報)を求めることが望まれている。
調理容器固有の放射率を求めるには、例えば、調理容器内に水を入れた状態で加熱し、内部の水が沸騰して温度が安定した際、赤外線センサの検出値が100℃での検出値として当該調理容器の放射率等を推定することが考えられる。
しかし、水が沸騰する100℃前後においては、調理容器から放射される赤外線波長はトッププレートによる吸収量が大きく、また調理容器から放射される赤外線エネルギー量自体が小さい。このため、放射率等を精度よく求めることができないという問題点があった。
したがって、赤外線の検出値の補正精度が低く、赤外線による温度検出の精度が低いという問題点があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、放射率等の調理容器固有の情報を求める精度を向上することができる加熱調理器を得るものである。
また、赤外線による温度検出の精度を向上することができる調理容器を得るものである。
本発明に係る加熱調理器は、調理容器が載置されるトッププレートと、トッププレートの下方に設置され、調理容器を加熱する加熱手段と、加熱手段を駆動する駆動部と、駆動部の動作を制御する制御部と、トッププレートの下面と接触し、該トッププレートの温度を検出する接触式温度検知手段と、調理容器から放射される赤外線を検出する赤外線検知手段と、赤外線検知手段の検出値から調理容器の温度を求める計算部と、調理容器の内容物が空の状態でキャリブレーション機能を実行させる操作がされる操作部とを備え、制御部は、キャリブレーション機能が実行されたとき、内容物が空の状態の調理容器を所定の電力以下の電力で加熱し、計算部は、キャリブレーション機能の実行時における所定のタイミングで得られた接触式温度検知手段および赤外線検知手段の検出値に基づき、調理容器固有の情報を求めるものである。
本発明は、内容物が空の状態の調理容器を所定の電力以下の電力で加熱し、所定のタイミングで得られた接触式温度検知手段および赤外線検知手段の検出値に基づき、調理容器固有の情報を求める。このため、調理容器固有の情報を求める精度を向上することができる。
本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の上面図である。 本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の正面図である。 本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の正面概略断面図である。 トッププレートの透過率特性を示す図である。 黒体放射と波長―温度の関係を示す図である。 本発明の実施の形態1に係るキャリブレーション機能実施時のフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る鍋記憶操作時の表示の一例である。 本発明の実施の形態1に係るキャリブレーション機能実施時の各種センサ出力図である。 本発明の実施の形態2に係る誘導加熱調理器の斜視図である。 本発明の実施の形態2に係る正面図である。 本発明の実施の形態2に係るキャリブレーション機能実施時フローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る重量センサを4箇所設置時の上面図である。 本発明の実施の形態2に係る重量センサを3箇所設置時の上面図である。 本発明の実施の形態2に係る重量センサを4箇所設置時の計算図(負荷1個時)である。 本発明の実施の形態2に係る重量センサを4箇所設置時の計算図(負荷2個時)である。 本発明の実施の形態3に係る自動調理モード重量情報活用時フローチャートである。 本発明の実施の形態4に係るε補正制御フローチャートである。
以下、本発明の加熱調理器を誘導加熱調理器に適用した実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の斜視図である。
図2は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の上面図である。
図3は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の正面図である。
図4は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の正面概略断面図である。
図1〜図4に示すように、誘導加熱調理器は、本体1と、筐体20の上に設けられ、鍋12が載置されるトッププレート2と、トッププレート2の下方に設置され、鍋12を誘導加熱する加熱コイル15と、インバータ回路により構成され加熱コイル15に高周波電流を供給し、加熱コイル15を駆動する駆動部16と、駆動部16の動作を制御して鍋12への投入電力(火力)の大きさを制御する制御部17と、トッププレート2の下面と接触し、該トッププレート2の温度を検出する接触式温度検知手段13と、鍋12から放射される赤外線を検出する赤外線検知手段14と、赤外線検知手段14の検出値から鍋12の温度を求める計算部18と、使用者からの操作を入力する操作部4と、例えばEEPROMなどの書込み・消去が可能である不揮発性のメモリ等により構成され、後述する鍋固有の情報などが記憶される記憶部19と、動作状態や操作部4からの入力・操作内容等を表示する表示部3と、を備える。
また、本体1前面には、誘導加熱調理器の電源をオンオフする電源スイッチ5と、対応する加熱コイル15の火力調節等の操作入力を行う調節ダイヤル6と、本体1前面に配置され、加熱調理制御における調理時間等を設定入力するための加熱タイマー7とが設けられている。
また、本体1の中央下部には魚等の調理を行うためのグリル部8が設けられている。
また、本体1の上面後方には、本体1内部と連通し、本体1内部に外気を取り込むための吸込み口9と、本体1内部に取り込んだ空気を吹き出し排出するための排気口10とが設けられている。
なお、「表示部3」は、本発明における「報知手段」に相当する。
なお、「鍋12」は、本発明における「調理容器」に相当する。
なお、「加熱コイル15」は、本発明における「加熱手段」に相当する。
トッププレート2は、例えば耐熱性のガラス等の赤外線を透過する素材により構成される。また、トッププレート2は、裏面または表面に塗装または印刷等が施されている。なお、赤外線検知手段14の上方の位置に対応する部分については、赤外線を透過させ易くするため、塗装または印刷等を施さない、または赤外線が透過できる程度の塗装または印刷を施すようにする。
赤外線検知手段14は、鍋12から放射されトッププレート2を透過した赤外線量(放射エネルギー量)を検知して計算部18に出力する。
接触式温度検知手段13は、例えばサーミスタなどの感熱素子により構成される。また、接触式温度検知手段13は、トッププレート2下部に1または複数個設けられ、上方に予圧されてトッププレート2に接触する。接触式温度検知手段13はトッププレート2の温度を検知して計算部18に出力する。
操作部4は、例えばトッププレート2と同一面の手前側に配置される。また、操作部4は図2に示すように、キャリブレーションボタン11を有する。このキャリブレーションボタン11は、鍋12の内容物が空の状態でキャリブレーション機能を実行させる操作を行うためのものである。
なお、ここではキャリブレーションボタン11を押下することでキャリブレーション機能を実行する場合を説明するが、本発明はこれに限るものではなく、任意の操作によりキャリブレーション機能を実行させるようにしても良い。例えば任意の操作キーを長押しすることでキャリブレーション機能を実行させるようにしても良い。
なお、本体1前面のグリル部8の横に、開閉可能な操作スイッチを設けるようにしても良い。
制御部17は、キャリブレーション機能が実行されたとき、内容物が空の状態の鍋12を所定の電力以下の電力で加熱する。
計算部18は、キャリブレーション機能の実行時における所定のタイミングで得られた接触式温度検知手段13および赤外線検知手段14の検出値に基づき、鍋固有の情報を求める。この鍋固有の情報は、鍋12の放射率、反射率、および熱容量の少なくとも1つの情報である。また、計算部18は、求めた鍋固有の情報を記憶部19に記憶させる。
また、計算部18は、鍋12の放射率および反射率の少なくとも一方に基づき、赤外線検知手段14の検出値から求めた鍋12の温度を補正する。
なお、「鍋固有の情報」は、本発明における「調理容器固有の情報」に相当する。
赤外線検知手段14の検出値による温度の補正は、温度検知の対象となる鍋12の放射率または反射率(放射率=1−反射率)を推定し、赤外線検知手段14の検出値に放射率または反射率に応じた補正値を掛けるにより行う。鍋12の放射率または反射率は、実際の鍋12の温度と赤外線量に基づく温度との乖離幅(温度差)により推定することができる。
また、実際の鍋12の温度は、接触式温度検知手段13により求めることができる。但し、接触式温度検知手段13は、トッププレート2の下面に接触して温度を検知しており、鍋12と接触式温度検知手段13との間には、数ミリの厚みを有したトッププレート2を介している。このため、接触式温度検知手段13による検出温度には、トッププレート2によって所定の時定数を有することになる。つまり、鍋12への投入電力(火力)を大きくした場合は、鍋12の温度が急激に上昇し、実際の鍋12の温度と接触式温度検知手段13の検知温度とに温度差が生じることとなる。
このため、本実施の形態におけるキャリブレーション機能を実行する際には、鍋12に対して所定の電力以下の電力(例えば200〜800W程度)を投入し、ゆっくりと鍋12の温度を上昇させていく。このような低火力によって加熱速度を遅くすることで、実際の鍋12の温度と、接触式温度検知手段13の検知温度(出力値を温度換算した結果)とがほぼ同一となる。
次に、トッププレート2の赤外線透過率、および黒体放射と波長―温度の関係を説明する。
図5はトッププレートの透過率特性を示す図である。
図6は黒体放射と波長―温度の関係を示す図である。
図5に示すように、4μm以上の波長の赤外線は透過率が低いことがわかる。また、図6に示すように、温度検知の対象物の温度が上昇するほどピークとなる赤外線波長は短くなり、エネルギー量も増えていくことがわかる。
このことから、被加熱物である鍋12の温度が高いほど、鍋12から放射される赤外線の放射エネルギー量が大きくなり、トッププレート2の透過率が高い波長の赤外線が鍋12から放射される。よって、鍋12の温度を上昇させることで、赤外線検知手段14の出力が向上し、温度検知精度が向上することがわかる。
例えば、鍋12の内容物として水を装填した場合には、100℃近傍で温度上昇は停止し、一定値で安定状態となる。この場合には、上記より、鍋12の温度が100℃では得られる赤外線量が少ないことがわかる。一方、鍋12の内容物を空とすることで鍋12の温度は100℃を超えて上昇していく。
このため、本実施の形態におけるキャリブレーション機能を実行する際には、鍋12の内容物が空の状態とし、鍋12の温度が100℃以上に加熱された際の赤外線量に基づいて補正量を求めることで、温度検知精度を向上させる。
次に、本実施の形態におけるキャリブレーション機能の動作を具体的に説明する。
図7は本発明の実施の形態1に係るキャリブレーション機能実施時のフローチャートである。
図8は本発明の実施の形態1に係る鍋記憶操作時の表示の一例である。
図9は本発明の実施の形態1に係るキャリブレーション機能実施時の各種センサ出力図である。
以下、図7の各ステップに基づき図8および図9を参照しつつ説明する。
(S1)
使用者により、誘導加熱調理器の電源スイッチ5がオンされる。誘導加熱調理器の各構成部はスタンバイ状態となる。
(S2)
使用者により、操作部4のキャリブレーションボタン11が押下されると、各構成部は、キャリブレーションスタンバイ状態になる。なお、キャリブレーションボタン11の押下に代えて、表示部3にキャリブレーションを行う旨の操作メニューを表示して操作メニューの選択・決定操作等を行うようにしても良い。
(S3)
表示部3は、鍋12の内容物が空の状態でトッププレート2に載置する旨の情報を表示する。なお、鍋12を載置後にキャリブレーションボタン11を再度押下することによりキャリブレーション機能を実行する旨を表示するようにしても良い。
なお、ここでは表示により使用者に報知する場合を説明するが、本発明はこれに限らず、任意の報知手段により鍋12の内容物が空の状態でトッププレート2に載置する旨を報知するようにしても良い。例えば、音声や警報音等でも良い。
(S4)
使用者は、内容物が空の状態の鍋12をトッププレート2上に載置する。
(S5)
使用者により、キャリブレーションボタン11が再度押下されると、各構成部は、キャリブレーション機能を実行する。
(S6)
まず、制御部17は、鍋12の材質を判定するため、鍋12に一定の電力W1を投入するように駆動部16を制御する。
(S7)
制御部17は、電力W1を投入した際のコイル電流等により抵抗値情報を取得し、この抵抗値情報からトッププレート2上に載置されている鍋12の材料を判定する。この材質判定の動作は周知の方法により行うことができる。
制御部17は、判定した材質が抵抗値の低く誘導加熱に不適切な材質(例えば銅やアルミ)であるか否かを判断する。
(S8)
鍋12の材質が誘導加熱に不適切な材質であると判断した場合、駆動部16の出力を停止する。このとき、鍋12の材質が誘導加熱に不適切でありキャリブレーション機能を停止した旨を表示部3に表示するようにしても良い。
(S9)
一方、鍋12の材質が誘導加熱に不適切な材質でないと判断した場合、制御部17は、内容物が空の状態の鍋12に所定の電力以下の電力(例えば200〜800W)を投入する。
このようにキャリブレーション機能の実行時においては、鍋12に対して200〜800W程度の低電力を投入し、ゆっくりと温度を上昇させていく。これにより、鍋12の底表面温度と、接触式温度検知手段13による検知温度とがほぼ同一となる。
(S10)
計算部18は、所定のタイミングで、接触式温度検知手段13による検知温度(接触式温度検知手段出力温度Ta)および赤外線検知手段14による検知温度(赤外線温度検知手段出力温度Tb)を取得し、これに基づき鍋固有の情報としての放射率ε1を求める。この所定のタイミングとしては、例えば一定の時間周期とする。なお、所定のタイミングはこれに限らず、例えば使用者から任意の操作入力がされたとき放射率を求めるようにしても良い。
計算部18は、接触式温度検知手段出力温度Taと赤外線温度検知手段出力温度Tbとの乖離幅(温度差)を求め、該温度差に基づき鍋12の放射率ε1を求める。なお、反射率を求めても良い。
(S11)
計算部18は、接触式温度検知手段出力温度Taおよび赤外線温度検知手段出力温度Tbの少なくとも一方が所定の温度以上であるか否かを判断する。例えば、接触式温度検知手段出力温度Taが予め定められた所定の温度T1を超えたか否か、または、赤外線温度検知手段出力温度Tbが予め定められた所定の温度T2を超えたか否かを判断する。なお、温度T1、T2は、それぞれ異なる温度でも良いし同一の温度でも良い。例えば温度T1、T2ともに200℃とする。なお、上記図5および図6により説明したように、温度T1、T2は、トッププレート2の透過率が大きい波長の赤外線の放射量が多くなる温度以上であるのが望ましい。
(S12)
計算部18は、接触式温度検知手段出力温度Taまたは赤外線温度検知手段出力温度Tbが所定の温度以上でない場合、ステップS10に戻り上記動作を繰り返す。このように、接触式温度検知手段13または赤外線検知手段14による検知温度が所定の温度を超えていない場合には、所定のタイミングごとに繰り返し放射率ε1を求める。
これにより、接触式温度検知手段13および赤外線検知手段14の少なくとも一方の検出温度が所定の温度以上の状態において、放射率ε1を求めることができる。よって、鍋12の温度が高く、トッププレート2を透過してくる赤外線量が多い状態で放射率ε1を算出することが可能となる。
さらに、計算部18は、接触式温度検知手段13の検出温度または赤外線検知手段14の検出温度の所定時間における温度変化量と、所定時間における鍋12への投入電力量の積算値とに基づき、鍋12の熱容量を鍋固有の情報として求める。つまり、上記ステップS12の繰り返し動作により、所定のタイミングで得られる接触式温度検知手段出力温度Taの傾きが分かる。また、計算部18は、制御部17による投入電力を積算することで、加熱開始からの積算投入電力量が分かる。そして、鍋12の熱容量は、鍋12に入力されたエネルギー量(積算投入電力量)を温度変化量で除することにより求めることができる。
(S13)
上記ステップS12において、接触式温度検知手段出力温度Taまたは赤外線温度検知手段出力温度Tbが所定の温度以上の場合、制御部17は駆動部16の出力を停止し、鍋12への電力投入をオフにする。
(S14)
計算部18は、電力オフ時における、接触式温度検知手段13による検知温度(接触式温度検知手段最終出力温度Ta’)および赤外線検知手段14による検知温度(赤外線温度検知手段最終出力温度Tb’)を取得し、これに基づき放射率ε2を求める。
(S15)
計算部18は、放射率ε1とε2とが同一(または近似)するか否かを判断する。
(S16)
放射率ε1とε2とが同一(または近似)でない場合、鍋12への電力投入のオフの際に、接触式温度検知手段13および赤外線検知手段14の出力挙動に所定以上の差異があったと判断し、キャリブレーション不可である旨を表示部3に表示する。なお、表示に限らず、音声や警報音などの任意の報知手段により、キャリブレーション不可である旨を報知するようにしても良い。
このように電力投入のオフ時における出力挙動の変動の有無を判断することで、例えば、誘導加熱によって鍋12に浮力が生じてトッププレート2から僅かに浮いていた場合など、温度検知が適切に行われていない場合には、キャリブレーション不可とすることができる。
(S17)
計算部18は、放射率ε1とε2とが同一(または近似)である場合、ステップS10またはS14で求めた放射率を鍋12の放射率ε12として決定する。
(S18)
表示部3は、鍋12を識別する情報としての鍋名称を入力するよう旨の表示をする。
使用者は、操作部4のボタンや調節ダイヤル6等により、例えば1文字ずつ入力を行い、鍋名称の情報を入力する。鍋名称を登録する表示部画面の一例を図8に示す。
なお、鍋名称を入力の際はトッププレート2上に設けられた操作部4のボタン、もしくは本体1前面に載置されている調節ダイヤル6を用いて1文字ずつ入力を行い登録する。なお、鍋12の画像情報なども記憶をしてもよい。
(S19)
計算部18は、入力された鍋12を識別する情報(鍋名称の情報)と共に、鍋固有の情報としての放射率ε12および熱容量を記憶部19に記憶させる。
このように、鍋名称と共に鍋固有の情報を記憶させることで、使用者が登録した鍋12を簡単に呼び出せるように鍋12の固有名称も入力し記憶部19に記憶させることが可能となる。
上記において、ステップS9〜S14までの流れの一例を図9に示す。
ステップS9において、キャリブレーション電力Onしたのち、所定のタイミング(t=α)で接触式温度検知手段13および赤外線検知手段14の出力を比較する(S10)。この際に所定の温度に達していなければ繰り返し所定の間隔をあけ繰り返す(t=β、γ・・・)(S12)。接触式温度検知手段13の出力温度もしくは赤外線検知手段14の出力温度が所定の温度に達した場合には電力をOffする(t=ζ)(S13)。一定時間後に接触式温度検知手段13の出力温度と赤外線検知手段14の出力温度を比較する(t=η)。
以上がキャリブレーション機能の動作である。なお、上記フローは一例であり、これに限ったものではない。
以降、鍋12に食材等を投入して加熱調理(例えば設定温度や自動調理の調理メニュー等)を行う場合、使用者は、操作部4により、記憶部19に記憶された当該鍋12の識別情報(鍋名称)を選択する操作をする。
なお、鍋12の識別情報(鍋名称)を選択する操作は、操作部4に限らず、調節ダイヤル6や、グリル部8の横に設けられた図示しない開閉可能な操作スイッチを用いても良い。例えば、鍋固有の情報を呼び出すため、使用者が記憶させた鍋名称を表示部3により表示し、調節ダイヤル6を操作して鍋名称を選択するようにしても良い。これによりボタンの数を減らすことが可能となる。
計算部18は、選択された識別情報の鍋固有の情報を記憶部19から取得し、該鍋固有の情報に基づき、赤外線検知手段14の検出値から求めた鍋12の温度を補正する。
また、制御部17は、鍋12の熱容量に応じて、鍋12への投入電力を制御する。例えば、鍋固有の熱容量によって熱容量の小さい鍋に対しては急加熱を行わないなどの制御を加える。
以上のように本実施の形態においては、鍋12が載置されるトッププレート2と、トッププレート2の下方に設置され、鍋12を加熱する加熱コイル15と、加熱コイル15を駆動する駆動部16と、駆動部16の動作を制御する制御部17と、トッププレート2の下面と接触し、該トッププレート2の温度を検出する接触式温度検知手段13と、鍋12から放射される赤外線を検出する赤外線検知手段14と、赤外線検知手段14の検出値から鍋12の温度を求める計算部18と、鍋12の内容物が空の状態でキャリブレーション機能を実行させる操作がされる操作部4とを備え、制御部17は、キャリブレーション機能が実行されたとき、内容物が空の状態の鍋12を所定の電力以下の電力で加熱し、計算部18は、キャリブレーション機能の実行時における所定のタイミングで得られた接触式温度検知手段13および赤外線検知手段14の検出値に基づき、鍋固有の情報を求める。
このため、鍋12から放射される赤外線の放射エネルギー量が大きくなり、トッププレート2の透過率が高い波長の赤外線が鍋12から放射される。よって、放射率等の調理容器固有の情報を求める精度を向上することができる。
これによって、鍋12の色や材質に関わらず、鍋12の温度検出の精度を向上することができる。よって、鍋12の温度を目的の温度に正確にコントロールすることができる。
また、鍋12を所定の電力以下の電力で加熱することで、鍋12の変形や塗装の剥れといった不具合が起きる可能性を低減しつつ、鍋12の温度を上昇させることができる。
また、計算部18は、接触式温度検知手段13および赤外線検知手段14の少なくとも一方の検出温度が所定の温度以上の状態において、接触式温度検知手段13の検出温度と赤外線検知手段14の検出温度との温度差を求め、該温度差に基づき鍋12の放射率および反射率の少なくとも一方を鍋固有の情報として求める。
このため、鍋12から放射される赤外線の放射エネルギー量が大きくなり、トッププレート2の透過率が高い波長の赤外線が鍋12から放射される。よって、放射率等の調理容器固有の情報を求める精度を向上することができる。
また、計算部18は、鍋12の放射率および反射率の少なくとも一方に基づき、赤外線検知手段14の検出値から求めた鍋12の温度を補正する。
このため、鍋12の色や材質に関わらず、鍋12の温度検出の精度を向上することができる。よって、鍋12の温度を目的の温度に正確にコントロールすることができる。
また、計算部18は、接触式温度検知手段13の検出温度または赤外線検知手段14の検出温度の所定時間における温度変化量と、所定時間における鍋12への投入電力量の積算値とに基づき、鍋12の熱容量を鍋固有の情報として求める。
このため、鍋12の内容物が空の状態で熱容量の算出を行うことができ、鍋12の熱容量を精度良く求めることができる。
また、制御部は、鍋12の熱容量に応じて、鍋12への投入電力を制御する。
このため、鍋12固有の熱容量によって、熱容量の小さい鍋に対しては急加熱を行わないなどの制御を加えることが可能となる。よって、熱容量の小さい鍋に大電力を投入することで鍋12の変形や、内部被加熱物が少ない際に急激な温度上昇をしてしまうといった危険性を回避することが可能となる。
鍋12を識別する情報と共に、鍋固有の情報が記憶される記憶部19を備えた。
このため、複数の鍋12のキャリブレーションを行った場合であっても、鍋12ごとに鍋固有の情報を記憶することができる。
また、鍋12を識別する情報は、操作部4から入力される。
このため、使用者により鍋名称などの任意の名称を入力でき、複数の鍋12について鍋固有の情報が記憶された場合であっても、当該情報を使用者が識別し易くすることができる。
また、操作部4は、記憶部19に記憶された鍋12の識別情報を選択する操作がされ、計算部18は、選択された識別情報の鍋固有の情報を記憶部19から取得し、該鍋固有の情報に基づき、赤外線検知手段14の検出値から求めた鍋12の温度を補正する。
このため、使用する鍋12の鍋固有の情報を選択することができ、加熱調理制御時において、使用する鍋12の鍋固有の情報によって、赤外線検知手段14の検出温度を補正することができる。よって、鍋12の温度検出の精度を向上することができる。
また、記憶部19から読み込んだ鍋固有の情報により温度を補正するため、加熱調理時に放射率等を算出する必要が無く、鍋12の温度を高速で検出することができる。
また、使用者により入力した鍋名称等の識別情報を選択するため、記憶された鍋固有の情報を容易に呼び出すことができる。
また、キャリブレーション機能が実行されたとき、鍋12の内容物が空の状態でトッププレート2に載置する旨を報知する表示部3を備えた。
このため、使用者に対して、鍋12の内容物が空の状態でトッププレート2に載置することを促すことができる。
実施の形態2.
図10は本発明の実施の形態2に係る誘導加熱調理器の斜視図である。
図11は本発明の実施の形態2に係る正面図である。
図10および図11に示すように、本実施の形態における誘導加熱調理器は、トッププレート2上に載置された載置物の重量を検出する重量検知手段21を備えている。
計算部18は、重量検知手段21の検出値に基づき、トッププレート2上に載置された鍋12の重量を鍋固有の情報として求める。
なお、その他の構成は上記実施の形態1と同様であり、同一の構成には同一の符号を付する。
重量検知手段21は、複数の重量センサ21a、21b、21c、21d(以下、単に重量センサともいう。)を備えている。
図に示すように、本体1の筐体20はトッププレート2を支持するフランジ部が形成されている。また、誘導加熱調理器は、キッチン台22に収納配置される。
各重量センサは、筐体20のフランジ部と、キッチン台22における筐体20のフランジ部を受ける面との間に配設される。
この重量検知手段21を構成する各重量センサは、一例としてひずみゲージを用いている。
上記実施の形態1で説明したように、キャリブレーション機能を実行する際には、鍋12の内容物が空の状態で行う。このため、キャリブレーション機能の実行時に、鍋12の重量を計測することで、鍋12自体の重量を精度良く計測することが可能となる。
本実施の形態2では、鍋固有の情報として、上述した放射率(または反射率)および熱容量に加え、鍋12自体の重量を計測する。
以下、本実施の形態におけるキャリブレーション機能の動作を具体的に説明する。
図12は本発明の実施の形態2に係るキャリブレーション機能実施時フローチャートである。
以下、図12の各ステップに基づき、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
ステップS20、S21は、実施の形態1のステップS1、S2と同様である。
(S22)
ステップS21によりキャリブレーションボタン11が押下されると、計算部18は、ゼロ補正操作がされたと判断して、重量検知手段21による検出値を基準値として取得する。つまり、これまで載置されている重量物の影響をなくす為に出力をゼロにするようリセットをかける。
なお、ここではキャリブレーションボタン11がゼロ点補正操作とする場合を説明するが、本発明はこれに限るものではなく、例えば操作部4の任意のボタンにより、重量検知手段21による検出重量のゼロ点を補正するゼロ補正操作をするようにしても良い。
ステップS23〜S25は、実施の形態1のステップS3〜S5と同様である。
(S26)
内容物が空の鍋12が載置され、キャリブレーション機能を実行すると、計算部18は、重量検知手段21により検知された重量を鍋12の重量W1として求める。この重量の算出は、ゼロ点補正時の基準値からの変化量により鍋12の重量を求める。そして、求めた重量W1を鍋固有の情報として記憶部19に記憶させる。
ステップS27〜S34は、実施の形態1のステップS6〜S13と同様である。
(S35)
ステップS34により電力オフされた後、再度、計算部18は、重量検知手段21により検知された重量を鍋12の重量W2として求める。
ステップS36は、実施の形態1のステップS14と同様である。
(S37)
計算部18は、放射率ε1とε2とが同一(または近似)するか否か、または、重量W1とW2とが同一(または近似)するか否かを判断する。
(S38)
実施の形態1のステップS16の動作に加え、重量W1とW2とが同一(または近似)でない場合、鍋12の内容物が空の状態でないと判断し、キャリブレーション不可である旨の警告を表示部3に表示する。なお、表示に限らず、音声や警報音などの任意の報知手段により、キャリブレーション不可である旨の警告を行うようにしても良い。さらに、キャリブレーション機能の実行を停止させるようにしても良い。
このように重量W1とW2とを比較することで、例えば、鍋12内部に水や食材等の被加熱物が装填されている場合には、水分の蒸発もしくは途中で食材等が取り出したことにより、また途中で内容物を入れたことにより重量が変動したと判断でき、内容物が有ることが分かる。
一方、重量W1とW2とが同一(または近似)である場合、鍋12の内容物が空であると判断して、ステップS39に進む。
ステップS39、S40は、実施の形態1のステップS17、S18と同様である。
(S41)
実施の形態1のステップS19の動作に加え、計算部18は、入力された鍋12を識別する情報(鍋名称の情報)と共に、鍋固有の情報としての重量W1の情報を記憶部19に記憶させる。
以上が本実施の形態2におけるキャリブレーション機能の動作である。なお、上記フローは一例であり、これに限ったものではない。
以降、鍋12に食材等を投入して加熱調理(例えば設定温度や自動調理の調理メニュー等)を行う場合、使用者は、操作部4により、記憶部19に記憶された当該鍋12の識別情報(鍋名称)を選択する操作をする。
計算部18は、選択された識別情報の鍋固有の情報を記憶部19から取得し、加熱調理制御の開始以後における鍋12の重量から、鍋固有の情報に含まれる当該鍋12の重量を減算して、当該鍋12の内容物の重量を求める。
また、制御部17は、鍋12の内容物の重量に応じて、鍋12への投入電力を制御する。例えば、内容物の量が少ない際は大電力を投入しないなど、安全性の高い制御を行うことが可能となる。
さらに、上記動作に加え、計算部18は、複数の重量センサのトッププレート2に対する相対位置と、各重量センサの検出値とに基づき、鍋12の載置位置を求めるようにしても良い。
これにより、キャリブレーション途中で他の重量物がトッププレート2上に載ったとしても、特定位置のみの重量をキャリブレーション前後で比較することで、キャリブレーション対象の鍋12の重量変動の有無を判断できる。
以下、具体的に説明する。
図13は本発明の実施の形態2に係る重量センサを4箇所設置時の上面図である。
図14は本発明の実施の形態2に係る重量センサを3箇所設置時の上面図である。
図13および図14に示すように、重量検知手段21は複数の重量センサを用いている。図13では、それぞれ隣り合う重量センサとの線分が対向する線分と平行をなすように配置されている。図14では、3つの重量センサが本体1中心部奥を基準点にした2等辺3角形をなすように配置されている。
重量検知手段21を複数個の重量センサにより構成することで、各重量センサの配置されている範囲内であれば位置情報まで割り出すことが可能である。
一例として図13の4箇所重量検知手段21設置について位置情報の割り出し方について図15および図16を用いて説明を記載する。
図15は本発明の実施の形態2に係る重量センサを4箇所設置時の計算図(負荷1個時)である。
図16は本発明の実施の形態2に係る重量センサを4箇所設置時の計算図(負荷2個時)である。
図15に示す重量センサ21aを原点(0.0)として、正面から奥行方向へ設置している重量センサ21bまでの距離をY(mm)とする。同様に重量センサ21aより幅方向に設置している重量センサ21cまでの距離をX(mm)とする。各重量センサに座標をつけて表すと以下のように表すことが出来る。
重量センサ21a=(0.0)、21b=(0.Y)、21c=(X.0)、21d=(X.Y)
重量M1(g)の被加熱物(鍋12と内容物とを含む)が、トッププレート2上のW(X1.Y1)の位置に設置された場合に、重量センサ21a〜21dより得られる出力を用いて被加熱物総重量、載置位置を検知する計算式を下記に示す。
なお、重量センサ21aの出力:Ma(g)、21b出力:Mb(g)、21c出力:Mc(g)、21d出力:Md(g)として計算を行う。
被加熱物の総重量 :M1=Ma+Mb+Mc+Md
被加熱物の幅方向位置 :X1=X×(Mc+Md)/M1
被加熱物の奥行方向位置:Y1=Y×(Mb+Md)/M1
以上の計算より、被加熱物の総重量、載置位置が算出できることが分かる。
また、被加熱物が複数個載置された場合でも、先に載置された被加熱物との重量比で差分を計算することで、後に載置された被加熱物についても重量、載置位置を検知することが出来る。このような検知方法の計算式を以下に示す。
図16に示すように、重量M1(g)の被加熱物12aがW1(X1.Y1)の位置に載置されている。続けて、W2(X2.Y2)の位置に重量M2(g)の被加熱物12bを載置した場合に、以下の計算よりW2の重量、載置位置を検知することができる。
被加熱物12aと被加熱物12bのベクトル計算を行うと重量検知手段21より得られる出力から仮の点Wn(Xn.Yn)、重量Mnを与える。ここで言う仮の点Wnは重量M1、M2を2個載置させた時の重心に相当する。
重量センサ21a〜21dの出力総和は被加熱物12aと被加熱物12bの総重量であり、Mn=M1+M2となる。
被加熱物12bの重量は、M2=Mn−M1である。
重量センサ21aの出力:Ma2(g)、21b出力:Mb2(g)、21c出力:Mc2(g)、21d出力:Md2(g)として、被加熱物12bの載置位置は以下の式で表せる。
被加熱物12aと被加熱物12bとの総重量:Mn=Ma2+Mb2+Mc2+Md2
仮の点Wnの幅方向位置:Xn=X×(Mc2+Md2)/Mn
仮の点Wnの奥行方向位置:Yn=Y×(Mb2+Md2)/Mn
被加熱物12b幅方向位置:X2=(Mn×Xn−M1×X1)/M2
被加熱物12b奥行方向位置:Y2=(Mn×Yn−M1×Y1)/M2
上記は計算例であるが、該計算方法により、載置される被加熱物が複数個となっても各被加熱物の重量、載置位置の検知が可能といった効果もある。
上記のように各被加熱物の重量検知が可能である為に、キャリブレーション途中で他の重量物が載ったとしても特定位置のみの重量をキャリブレーション前後で比較する為、キャリブレーション位置にて重量変動で問題となることがない。
また、総重量を計測/記憶させることで通常使用時に鍋12を呼び出し、載置された際に計測された総重量W3は、鍋12と内容物とのあわせた重量である為、呼び出した際に呼び出される重量情報はあくまで鍋12のみであるため、差し引いた重量が内容物の量であることが分かる。内容物の量が分かれば量に適した加熱を行うことが出来る。例えば、内容物が少ない場合には、一気に大きな電力を投入すると焦げてしまうため火力を落とし、逆に内容物が多い場合は火力が大きくするというような制御を行う。
以上のように本実施の形態においては、トッププレート2上に載置された載置物の重量を検出する重量検知手段21を備え、計算部18は、重量検知手段21の検出値に基づき、トッププレート2上に載置された鍋12の重量を鍋固有の情報として求める。
このため、上記実施の形態1の効果に加え、鍋12の重量を求めることができる。よって、さらに詳細な鍋固有の情報を得ることができ、さらに高精度の加熱制御が可能となる。
また、鍋12の重量を鍋固有の情報として求め、上述したように記憶部19に記憶させるので、重量情報も加味した制御を行うことが可能となる。つまり、加熱調理制御において、鍋12内に投入された内容物の量を予め推測することが可能であり、内容物の量が少ない際は大電力を投入しないなど、安全性の高い制御を行うことが可能となる。
また、計算部18は、キャリブレーション機能が実行されたとき、重量検知手段21により検知された重量を鍋12の重量として求める。
キャリブレーション機能を実行する際には、鍋12の内容物が空の状態で行うため、キャリブレーション機能の実行時に、鍋12の重量を計測することで、鍋12自体の重量を精度良く計測することが可能となる。
また、操作部4は、重量検知手段21による検出重量のゼロ点を補正するゼロ補正操作がされ、計算部18は、ゼロ補正操作がされたとき、重量検知手段21による検出値を基準値として取得し、基準値からの変化量により鍋12の重量を求める。
このため、トッププレート2上に、鍋12等の被加熱物以外の載置物や、汚れや水滴などにより初期重量が変動している場合であっても、キャリブレーション機能を行う際は、重量検知手段の出力をリセットする零点補正を行うことができる。よって、鍋12の重量を精度良く検出することができる。
また、キャリブレーションボタン11を押下したときにゼロ補正をするので、鍋12が載置される直前のタイミングでゼロ点補正をすることができ、より正確な重量を検出する。
また、計算部18は、キャリブレーション機能の実行時において、鍋12の重量が変化した場合、キャリブレーションが不可である旨の警告をし、またはキャリブレーション機能の実行を停止させる。
このため、鍋12内部に内容物が装填されており、蒸発もしくは途中で取り出したことにより、また内容物が入れられたことにより重量が変動したと考えられ、重量の検出が正確に得ることができない場合には、使用者に警告することができる。またはキャリブレーション機能を停止することができる。よって、鍋12の重量として誤った情報が登録されることを防ぎ、正確な情報を得ることが可能となる。
また、重量検知手段21は、複数の重量センサを備え、計算部18は、複数の重量センサのトッププレート2に対する相対位置と、各重量センサの検出値とに基づき、鍋12の載置位置を求める。
これにより、トッププレート2上のどの位置に被加熱物が載置されているかを割り出すことができる為、キャリブレーションを行っている鍋12のみの重量が検知可能となる。
また、操作部4は、加熱調理制御に関する操作、および記憶部19に記憶された鍋12の識別情報を選択する操作がされ、計算部18は、選択された識別情報の鍋固有の情報を記憶部19から取得し、加熱調理制御の開始以後における鍋12の重量から、鍋固有の情報に含まれる当該鍋12の重量を減算して、当該鍋12の内容物の重量を求める。
このため、加熱開始時の重量より、呼び出された鍋12の重量データを差し引いた重量が、加熱初期に装填されている内容物の重量となり、内容物の重量情報が得られれば重量物の量に応じた加熱制御を行うことが可能となり、より内容物に適した加熱調理が可能となる。
実施の形態3.
使用者がてんぷら調理などの油調理モードを選択した場合には、油は水や食材に比べ比熱容量が略半分ほど小さく加熱速度が速いため、放射率設定を高めに設定することで、油調理に関して安全性の高い調理を行うことが出来る。
本実施の形態では、選択された調理メニューが、てんぷら調理などの油を加熱する所定の調理メニューである場合、補正された鍋12の温度が、所定の調理メニュー以外の調理メニューより高くなるように更に補正する。
なお、本実施の形態3における構成は上記実施の形態2と同様であり、同一の構成には同一の符号を付する。
図17は本発明の実施の形態3に係る自動調理モード重量情報活用時フローチャートである。以下、本実施の形態における動作の一例を図17により説明する。
(S50)
鍋12を載置してある状態から自動調理モードを使用者が選択する。
(S51)
使用者は、記憶部19に記憶された鍋12の識別情報(鍋名称)を選択する操作を行う。
(S52)
計算部18は、選択された識別情報の鍋固有の情報を記憶部19から取得する。そして、該鍋固有の情報に基づき、赤外線検知手段14の検出値から求めた鍋12の温度を補正する。
(S53)
使用者は、加熱調理制御に関する複数の調理メニューの選択操作を行う。
(S54)
制御部17は、選択された調理メニューに従い調理開始をする。
このとき、計算部18は、選択された調理メニューが、てんぷら調理などの油を加熱する所定の調理メニューである場合、補正された鍋12の温度が、所定の調理メニュー以外の調理メニューより高くなるように、赤外線検知手段14の検出値から求めた鍋12の温度を、更に補正する。
(S55)
計算部18は、トッププレート2上の加熱口に載置されている被加熱物(内容物を含む鍋12)の重量W2を計測する。
(S56)
S52で呼び出した鍋12の重量情報と上記重量W2との差異を計測し、それぞれのモードで、予め与えている重量(X、Y、Z)よりも重いか、軽いかで投入火力量を変更する。煮物モードでは重量Xとの比較を行う。炒め物モードでは重量Yとの比較を行う。てんぷらモードでは重量Zとの比較を行う。
(S57、S58)
煮物モードの場合、内容物量が重量Xより多い場合は大電力で加熱を行い、少ない場合は電力を下げて火力を投入する。
(S59、60)
焼き物モードの場合、内容物が重量Yよりも多い場合には、高温度で焼くことで失敗のない調理を実現する。内容物が重量Yよりも少ない場合は、底に油が少量ひかれている場合があり、安全に配慮し小さい火力から投入するようにする。
(S61、S62)
油を使ったてんぷら調理の場合、油は先に説明したとおり比熱が小さく加熱速度が速いため、内容物が重量Zより重くても電力は小さめ(火力中)に設定する。さらに内容物が重量Zより少なければより低電力で加熱を行うこととする。
以上が重量検知手段を用いた場合の調理への適用例である。
以上のように本実施の形態においては、操作部4は、記憶部19に記憶された鍋12の識別情報を選択する操作、および加熱調理制御に関する複数の調理メニューの選択操作がされ、計算部18は、選択された識別情報の鍋固有の情報を記憶部19から取得し、該鍋固有の情報に基づき、赤外線検知手段14の検出値から求めた鍋12の温度を補正し、選択された調理メニューが油を加熱する所定の調理メニューである場合、補正された鍋12の温度が、所定の調理メニュー以外の調理メニューより高くなるように更に補正する。
このため、てんぷら調理モード等の油加熱モードを選択した場合は、赤外線検知手段14の補正値を通常よりも高めに補正をかけることにより安全性を向上させることができる。
実施の形態4.
本実施の形態4では、加熱調理中に接触式温度検知手段13の出力と赤外線検知手段14の出力を読み出した鍋12固有の放射率で補正した温度とを比較し、所定の温度以上乖離があるようであれば、読み出した鍋12の鍋固有の情報が誤っているとして、予め放射率が低く設定された補正値で前記赤外線検知手段14の出力を補正し、接触式温度検知手段13の出力温度と比較して、高い温度を示す方を参照して制御に使用する。
なお、本実施の形態4における構成は上記実施の形態2と同様であり、同一の構成には同一の符号を付する。
図18は本発明の実施の形態4に係るε補正制御フローチャートである。
以下、本実施の形態における動作の一例を図18により説明する。
(S70)
使用者により加熱モード、火力を設定する。
(S71)
表示部3に鍋12の選択を促す表示をする。使用者は、操作部4等により、記憶部19に記憶された当該鍋12の識別情報(鍋名称)を選択する操作をする。
(S72)
計算部18は、選択された識別情報の鍋固有の情報を記憶部19から取得する。
(S73)
使用者により加熱開始の操作を行う。制御部17は、選択された調理メニューに従い調理開始をする。
(S74)
計算部18は、加熱開始時の接触式温度検知手段13の温度出力をTa、赤外線検知手段14の温度出力をTbとする。
(S74)
キャリブレーションにより既知となっている鍋の放射率εから計算される補正値をTbにかけ、該出力温度をTb’とする。
(S76)
計算部18は、TaとTb’との温度乖離(温度差)が所定の値(A)以上であるか否かを判断する(|Ta−Tb’|>A)。
(S77)
TaとTb’との温度乖離(温度差)が所定の値(A)以上離れた場合(|Ta−Tb’|>A)、設定された鍋12の鍋固有の情報が誤っているか、または何か不具合が生じていると判断して、放射率を予め設定していた放射率ε0としてTbにかける補正値を設定する。この補正をかける放射率は例えばε=0.06程度の低い設定とし、補正後の温度出力をTb’’とする。
(S78)
一方、温度乖離が所定値(A)以内であれば加熱を継続する。
(S79)
そして、TaもしくはTb’が所望の温度に達するまでステップS76の確認を繰り返す。
(S81、S82)
また、補正値をε0とした場合にも同様にTaもしくはTb’’が所望の温度に達するまで繰り返す。
(S80)
上記ステップS79またはS82で、所望の温度が得られた場合には加熱を終了、もしくは一定時間温度維持を行う。
以上のように本実施の形態においては、計算部18は、鍋固有の情報に基づき補正した、赤外線検知手段14の検出値から求めた鍋12の温度と、接触式温度検知手段13の検出温度との温度差が、所定の値以上の場合、予め設定された標準補正値の情報に基づき、赤外線検知手段14の検出値から求めた鍋12の温度を補正し、制御部17は、標準補正値で補正された赤外線検知手段14の検出値から求めた鍋12の温度と、接触式温度検知手段13の検出温度とを比較して、高い方の温度に基づき加熱コイル15を制御する。
このため、上記実施の形態1〜3の効果に加え、読み出した鍋12の鍋固有の情報が誤っている場合であっても、補正をかける放射率は例えばε=0.06程度の低い設定とし、補正後の温度出力をより低い温度となるようにすることができる。よって、制御により誤って高温度になることがない安全な制御が可能となる。
1 本体、2 トッププレート、3 表示部、4 操作部、5 電源スイッチ、6 調節ダイヤル、7 加熱タイマー、8 グリル部、9 吸込み口、10 排気口、11 キャリブレーションボタン、12 鍋、13 接触式温度検知手段、14 赤外線検知手段、15 加熱コイル、16 駆動部、17 制御部、18 計算部、19 記憶部、20 筐体、21 重量検知手段、21a 重量センサ、21b 重量センサ、21c 重量センサ、21d 重量センサ、22 キッチン台。

Claims (19)

  1. 調理容器が載置されるトッププレートと、
    前記トッププレートの下方に設置され、前記調理容器を加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段を駆動する駆動部と、
    前記駆動部の動作を制御する制御部と、
    前記トッププレートの下面と接触し、該トッププレートの温度を検出する接触式温度検知手段と、
    前記調理容器から放射される赤外線を検出する赤外線検知手段と、
    前記赤外線検知手段の検出値から前記調理容器の温度を求める計算部と、
    前記調理容器の内容物が空の状態でキャリブレーション機能を実行させる操作がされる操作部と
    を備え、
    前記制御部は、
    前記キャリブレーション機能が実行されたとき、内容物が空の状態の前記調理容器を所定の電力以下の電力で加熱し、
    前記計算部は、
    前記キャリブレーション機能の実行時における所定のタイミングで得られた前記接触式温度検知手段および前記赤外線検知手段の検出値に基づき、前記調理容器固有の情報を求める
    ことを特徴とする加熱調理器。
  2. 前記調理容器固有の情報は、前記調理容器の放射率、反射率、および熱容量の少なくとも1つの情報である
    ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
  3. 前記計算部は、
    前記接触式温度検知手段および前記赤外線検知手段の少なくとも一方の検出温度が所定の温度以上の状態において、前記接触式温度検知手段の検出温度と前記赤外線検知手段の検出温度との温度差を求め、該温度差に基づき前記調理容器の放射率および反射率の少なくとも一方を前記調理容器固有の情報として求める
    ことを特徴とする請求項1または2記載の加熱調理器。
  4. 前記計算部は、
    前記調理容器の放射率および反射率の少なくとも一方に基づき、前記赤外線検知手段の検出値から求めた前記調理容器の温度を補正する
    ことを特徴とする請求項3記載の加熱調理器。
  5. 前記計算部は、
    前記接触式温度検知手段の検出温度または前記赤外線検知手段の検出温度の所定時間における温度変化量と、前記所定時間における前記調理容器への投入電力量の積算値とに基づき、前記調理容器の熱容量を前記調理容器固有の情報として求める
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の加熱調理器。
  6. 前記制御部は、
    前記調理容器の前記熱容量に応じて、前記調理容器への投入電力を制御する
    ことを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
  7. 前記調理容器を識別する情報と共に、前記調理容器固有の情報が記憶される記憶部を備えた
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の加熱調理器。
  8. 前記調理容器を識別する情報は、前記操作部から入力される
    ことを特徴とする請求項7記載の加熱調理器。
  9. 前記操作部は、
    前記記憶部に記憶された前記調理容器の識別情報を選択する操作がされ、
    前記計算部は、
    選択された識別情報の前記調理容器固有の情報を前記記憶部から取得し、該調理容器固有の情報に基づき、前記赤外線検知手段の検出値から求めた前記調理容器の温度を補正する
    ことを特徴とする請求項7または8記載の加熱調理器。
  10. 前記キャリブレーション機能が実行されたとき、前記調理容器の内容物が空の状態で前記トッププレートに載置する旨を報知する報知手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の加熱調理器。
  11. 前記計算部は、前記キャリブレーション機能の実行時において、前記加熱手段への電力投入をやめた時点での前記調理容器固有の情報と、その直前に取得していた電力投入時の前記調理容器固有の情報とを比較し、所定以上の差異があった場合にはキャリブレーション不可である旨の警告をする
    ことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の加熱調理器。
  12. 前記トッププレート上に載置された載置物の重量を検出する重量検知手段を備え、
    前記計算部は、
    前記重量検知手段の検出値に基づき、前記トッププレート上に載置された前記調理容器の重量を前記調理容器固有の情報として求める
    ことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の加熱調理器。
  13. 前記計算部は、
    前記キャリブレーション機能が実行されたとき、前記重量検知手段により検知された重量を前記調理容器の重量として求める
    ことを特徴とする請求項12記載の加熱調理器。
  14. 前記操作部は、
    前記重量検知手段による検出重量のゼロ点を補正するゼロ補正操作がされ、
    前記計算部は、
    前記ゼロ補正操作がされたとき、前記重量検知手段による検出値を基準値として取得し、前記基準値からの変化量により前記調理容器の重量を求める
    ことを特徴とする請求項12または13記載の加熱調理器。
  15. 前記計算部は、
    前記キャリブレーション機能の実行時において、前記調理容器の重量が変化した場合、
    キャリブレーションが不可である旨の警告をし、または前記キャリブレーション機能の実行を停止させる
    ことを特徴とする請求項12〜14の何れか1項に記載の加熱調理器。
  16. 前記重量検知手段は、複数の重量センサを備え、
    前記計算部は、
    前記複数の重量センサの前記トッププレートに対する相対位置と、各重量センサの検出値とに基づき、前記調理容器の載置位置を求める
    ことを特徴とする請求項12〜15の何れか1項に記載の加熱調理器。
  17. 前記操作部は、
    加熱調理制御に関する操作、および前記記憶部に記憶された前記調理容器の識別情報を選択する操作がされ、
    前記計算部は、
    選択された識別情報の前記調理容器固有の情報を前記記憶部から取得し、
    前記加熱調理制御の開始以後における前記調理容器の重量から、前記調理容器固有の情報に含まれる当該調理容器の重量を減算して、当該調理容器の内容物の重量を求める
    ことを特徴とする請求項12〜16の何れか1項に記載の加熱調理器。
  18. 前記操作部は、
    前記記憶部に記憶された前記調理容器の識別情報を選択する操作、および前記加熱調理制御に関する複数の調理メニューの選択操作がされ、
    前記計算部は、
    選択された識別情報の前記調理容器固有の情報を前記記憶部から取得し、該調理容器固有の情報に基づき、前記赤外線検知手段の検出値から求めた前記調理容器の温度を補正し、
    選択された前記調理メニューが油を加熱する所定の調理メニューである場合、
    補正された前記調理容器の温度が、前記所定の調理メニュー以外の調理メニューより高くなるように更に補正する
    ことを特徴とする請求項7〜17の何れか1項に記載の加熱調理器。
  19. 前記計算部は、
    前記調理容器固有の情報に基づき補正した、前記赤外線検知手段の検出値から求めた前記調理容器の温度と、前記接触式温度検知手段の検出温度と、の温度差が、所定の値以上の場合、
    予め設定された標準補正値の情報に基づき、前記赤外線検知手段の検出値から求めた前記調理容器の温度を補正し、
    前記制御部は、
    前記標準補正値で補正された前記赤外線検知手段の検出値から求めた前記調理容器の温度と、前記接触式温度検知手段の検出温度とを比較して、高い方の温度に基づき前記加熱手段を制御する
    ことを特徴とする請求項9〜18の何れか1項に記載の加熱調理器。
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