JP2011252696A - 複合耐火物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐火層2と断熱層4とを焼成によらず一体化した複合耐火物1であって、該耐火層2が塩基性耐火物からなり、該断熱層4が0.2〜1W/m・kの低熱伝導性を有する不定形材料からなり、両層の熱膨張係数差が0〜6×10−6/Kである。
【選択図】図1
Description
該耐火層が塩基性耐火物からなり、該断熱層が0.2〜1W/m・kの低熱伝導性を有する不定形材料からなり、
耐火層と断熱層との熱膨張係数差が0〜6×10−6/Kであることを特徴とするものである。
図1〜図2において、1は複合耐火物、2は耐火層、3は中間コート層、4は断熱層、5はロータリーキルンの円筒状シェルを示している。図1に示すように、本実施形態の複合耐火物1は略矩形状のブロック形状を有し、被焼成物が移動する炉内側に耐火層2、炉壁側に断熱層4、耐火層2と断熱層4の中間に中間コート層を有する三層構造からなる。耐火層2は塩基性耐火物から構成され、断熱層4は、酸性または中性原料を構成成分とし、かつ、0.2〜1W/m・kの低熱伝導性を有する不定形材料から構成される。
耐火層2は、プレス施工または流し込み施工された塩基性不定形材料または塩基性煉瓦のいずれであってもよく、波形の境界面の波頭部がシェル方向であっても、軸方向であってもよい。
断熱層4は、Al2O3、SiO2、MgO、のうち少なくとも何れかを構成成分とする不定形材料である。断熱層4は、0.2〜1W/m・kの低熱伝導性とするために、中空原料と多孔質原料との一方または双方を、合計量で全原料中10〜60質量%の範囲で添加するか、この中空原料および多孔質原料とともに、あるいは単独で、繊維状原料を全原料中1〜20質量%の範囲で添加して形成することが好ましい。ここで中空原料としては例えばムライトバブル、シャモットバブルなどを使用することができ、多孔質原料としては例えば軽量煉瓦屑、パーライトなどを使用することができる。また繊維状原料としては例えばセピオライトなどを使用することができる。添加量が上記の範囲を下回ると0.2〜1W/m・kの低熱伝導性を確保することができにくくなり、逆に多すぎると強度が低下してしまう。
耐火層2と断熱層4の間にAl2O3、MgO・Al2O3、ZrO2、SiO2のうち少なくとも何れかを構成成分とする中間コート層3を形成することにより、断熱層4と耐火層2間の熱膨張差を緩和することにより、耐食性および各層間の固着力の更なる向上を図ることが好ましい。中間コート層3の厚さは、0.1〜2mmとすることが好ましい。
◎ :優
○ :良
△ :可
× :不可
耐火層2の外周形状に相当する型枠内に、表1に示す各組成の断熱キャスタブル材料を流し込み、波形形状の押し型でその上面に波形を形成した。断熱材の層がある程度固化した後、その上に表1に示す中間コート層を設置し、中間コート層がある程度固化した後に、更に、表1に示す各組成の耐火キャスタブル材料を流し込み、固化させて後脱型を行って、焼成によらない一体化により、JISR2103に規定されている寸法の複合耐火物サンプルを作成し、以下の評価項目について評価を行った。表1には、下記項目に関する評価および各層の化学組成の他、断熱層の物性(断熱層の熱伝導率、耐火層と断熱層の熱膨張差) を示している。なお、表1において、耐火層の残部、断熱層の残部、および中間コート層の残部は、バインダー成分である。なお、各キャスタブル材料の組成は、表1に示す各組成とした。
[実施例11]
予め各々、成形された耐火層と断熱層とを接着原料で貼り付け、焼成によらない一体化により、JISR2103に規定されている寸法の複合耐火物サンプルを作成し、以下の評価項目について評価を行った。表1には、下記項目に関する評価および各層の化学組成の他、断熱層の物性(断熱層の熱伝導率、耐火層と断熱層の熱膨張差) を示している。該接着原料としては、Al2O3、MgO・Al2O3、ZrO2、SiO2の何れかを構成成分とする原料を使用した。なお、実施例11においては、耐火層は焼成により成形したレンガ、断熱層は非焼成により成形したキャスタブルを使用しているが、耐火層と断熱層とを予め各々成形する方法は、特に限定されず、何れも焼成によるものであっても、非焼成によるものであってもよい。
キャスタブル材において流動性が悪いと、成形を型通りに行うことができず、例えば「キレ」のような問題を生じる。そこで、所定の施工水分を各キャスタブル材料に添加して、型に流し込み、その後離形型を取り外したあとの外観確認により各層の成形性を評価した。なお、実施例11における成形性評価は、断熱層の成形性を評価したものである。
一体化した複合耐火物サンプルの断熱層を切り出し、JISR2553に準拠して強度を評価した。
一体化した複合耐火物サンプルの耐火/断熱層の接着部を切り出し、JISR2553に準拠して強度を評価した。
一体化した複合耐火物サンプルの耐火/断熱層の接着部を切り出し、1300℃にて焼成後接着部の反応状況を評価した。
一体化した複合耐火物サンプルの断熱層を切り出し、JISR2214に準拠して侵食試験を行い評価した。
中間コート層に関する考察:
実施例1、実施例2、実施例5、実施例8、実施例10はいずれも中間コート層を有さず、他の実施例は中間コート層を有している。これらの比較から、中間コート層を有することにより、耐火/断熱接着性および耐反応性の向上効果が確認される。
中空原料および多孔質原料または繊維状原料の添加量に関する考察:
実施例2は中空原料および多孔質原料を上限量添加した例であり、成形性および強度の観点から他の実施例に比べて劣ることが確認される。
比較例1は中空原料・多孔質原料、および、繊維状原料の添加量が少ない例であり、比較例3は中空原料・多孔質原料、および、繊維状原料の何れも添加しない例である。この場合、本発明の断熱層の熱膨張係数差(「耐火層と断熱層の熱膨張係数差が0〜6×10−6/K」)および熱伝導性(「0.2〜1W/m・kの低熱伝導性」)が得られない。比較例3のように、熱膨張係数差が6×10−6/Kを超過すると、充分な耐火/断熱接着性が得られない。
(比較例2)
熱膨張係数差が6×10−6/Kを超過する例であり、充分な耐火/断熱接着性が得られない。
(比較例4)
断熱層の熱伝導性が1W/m・kを超過する例であり、充分な耐火/断熱接着性が得られない。
中空原料・多孔質原料を過剰に添加した例であり、使用には耐えうるが、耐火/断熱接着性が低レベルに留まる。
(実施例13、実施例14)
中間コート層の厚さが2mmを超過する例であり、使用には耐えうるが、耐火/断熱接着性が低レベルに留まる。
(実施例15)
繊維状原料を過剰に添加した例であり、使用には耐えうるが、耐火/断熱接着性が低レベルに留まる。
2 耐火層
3 中間コート層
4 断熱層
5 シェル
11 正面
Claims (6)
- 耐火層と断熱層とを、プレキャスト技術により、または、接着原料での貼り付けにより一体化した複合耐火物であって、
該耐火層が塩基性耐火物からなり、該断熱層が0.2〜1W/m・kの低熱伝導性を有する不定形材料からなり、
耐火層と断熱層との熱膨張係数差が0〜6×10−6/Kであることを特徴とする複合耐火物。 - 断熱層は、Al2O3、SiO2、MgOの何れかを構成成分としたものであることを特徴とする請求項1記載の複合耐火物。
- 断熱層は、製造原料として中空原料と多孔質原料との一方または双方を合計量で、該製造原料中10〜60質量%の範囲で添加して形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の複合耐火物。
- 断熱層は、製造原料として、繊維状原料を、該製造原料中1〜20質量%の範囲で添加して形成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の複合耐火物。
- 耐火層と断熱層の間に、Al2O3、MgO・Al2O3、ZrO2、SiO2の何れかを構成成分とする0.1〜2mmの中間コート層を有することを特徴とする請求項1に記載の複合耐火物。
- 耐火層と断熱層との境界面を凹凸形状としたことを特徴とする請求項1に記載の複合耐火物。
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