JP2011252483A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素センサの状態を常に監視して故障診断を実行できると共に、故障診断中も良好な空燃比フィードバック制御の継続を可能とする燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】制御ユニットCは、内燃機関Eの通常運転時には、空燃比フィードバック補正係数KO2に対して補正噴射量T1を算出するために使用が許可される上下限値としての通常のリミット範囲L2を設定し、酸素センサ32の出力が所定の状態となったことを検知すると酸素センサ32の故障診断を実行し、故障診断の実行中は、通常のリミット範囲L2より小さい故障時のリミット範囲L3を設定する。制御ユニットCは、酸素センサ32の出力値が略0Vの状態で所定時間経過する、または、酸素センサ32の出力値が略3Vの状態で所定時間経過すると酸素センサ32の故障診断を開始する。酸素センサ32が正常であると判定されると、故障時のリミット範囲L3から通常のリミット範囲L2に戻す。
【選択図】図10

Description

本発明は、燃料噴射制御装置に係り、特に、空燃比センサ出力に基づく空燃比フィードバック制御を行うようにした燃料噴射制御装置に関する。
従来から、内燃機関を理論空燃比(ストイキ)近傍の領域で燃焼させるため、排気管に設けられた空燃比センサ(酸素センサ)で検知される空燃比に基づいて燃料噴射量をフィードバック制御するようにした燃料噴射装置が知られている。このような燃料噴射装置においては、良好な空燃比フィードバック制御を継続するため、内燃機関の運転中に酸素センサの故障診断を行うことが考えられる。
特許文献1には、2気筒エンジンのそれぞれの排気管に酸素センサを備えて気筒毎に空燃比フィードバック制御を行うようにした燃料噴射制御装置において、一方の酸素センサの故障診断を実行している間は、他方の酸素センサの故障診断を行わないようにした構成が開示されている。この技術によれば、2つの酸素センサの故障診断が同時に実行されて2気筒共に空燃比フィードバック制御が不能となる事態を避けることができる。
特開2007−315305号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、酸素センサに逆電圧を印加すると発生する電流を観察することで故障診断を行うものであるため、故障診断は定期的にしか実行できず、酸素センサの状態を常時監視することはできなかった。また、仮に、故障診断を行っている時には空燃比フィードバック補正係数の学習を禁止する構成とすると、故障診断に入る直前の酸素センサの出力値が故障診断中の空燃比フィードバック制御に用いられる可能性が生じることとなり、故障診断に入る直前に酸素センサが故障していた場合には、故障診断中の燃焼状態が過剰なリッチまたはリーンになってしまう可能性があった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、酸素センサの状態を常に監視して故障診断を実行できると共に、故障診断中も良好な空燃比フィードバック制御の継続を可能とする燃料噴射制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、車両の動力源としての内燃機関(E)の排気装置(15)に設けられた酸素センサ(32)の出力に基づいて、目標空燃比を得るためのフィードバック制御に用いる空燃比フィードバック補正係数(KO2)を算出し、該空燃比フィードバック補正係数(KO2)を基本噴射量(T0)に乗算することで補正噴射量(T1)を決定する制御手段(C)を有する燃料噴射制御装置において、前記制御手段(C)は、前記内燃機関(E)の通常運転時には、前記空燃比フィードバック補正係数(KO2)に対して、前記補正噴射量(T1)を算出するために使用が許可される上下限値としての通常のリミット範囲(L2)を設定し、前記酸素センサ(32)の出力が所定の状態となったことを検知すると前記酸素センサ(32)の故障診断を実行し、前記故障診断の実行中は、前記通常のリミット範囲(L2)より小さい故障時のリミット範囲(L3)を設定する点に第1の特徴がある。
また、前記制御手段(C)は、前記酸素センサ(32)の出力値が略0Vの状態で所定時間経過する、または、前記酸素センサ(32)の出力値が略3Vの状態で所定時間経過すると、前記酸素センサ(32)の故障診断を開始する点に第2の特徴がある。
また、前記制御手段(C)は、前記酸素センサ(32)の出力値が略0Vの状態で所定時間経過することで故障診断が開始された場合は、故障診断用の燃料噴射を実行し、この燃料噴射に対する前記酸素センサ(32)の出力変化を検知することで故障判定を行う点に第3の特徴がある。
また、前記制御手段(C)は、前記故障診断によって前記酸素センサ(32)が正常であると判定されると、故障診断を終了すると共に前記故障時のリミット範囲(L3)から前記通常のリミット範囲(L2)に戻す点に第4の特徴がある。
また、前記空燃比フィードバック制御は、前記酸素センサ(32)の目標出力値に対するPID制御によって実行され、前記空燃比フィードバック補正係数(KO2)には、前記酸素センサ(32)の機能限界に対応する上側ゲイン切換閾値(HI)および下側ゲイン切換閾値(LO)が設定されており、前記制御手段(C)は、前記空燃比フィードバック補正係数(KO2)が、前記上側ゲイン切換閾値(HI)を上回る、または、前記下側ゲイン切換閾値(LO)を下回ると、前記PID制御のゲインを小さくする点に第5の特徴がある。
また、前記基本噴射量(T0)は、前記内燃機関(E)の吸気装置(14)に設けられたスロットルバルブ(21)のスロットル開度(TH)と前記内燃機関(E)の回転数(NE)と基本噴射量(T0)との関係を規定する基本噴射量マップ(33)から導出される点に第6の特徴がある。
また、前記通常のリミット範囲(L2)は、基準値(Ba)から所定の上下幅を有しており、前記故障時のリミット範囲(L3)は、前記基準値(Ba)を維持したままで、前記通常のリミット範囲(L2)の上限値(MAXa)および下限値(MINa)を、それぞれ、所定割合で縮小したものである点に第7の特徴がある。
さらに、前記制御手段(C)は、前記故障診断によって酸素センサ(32)が故障であると判定すると、前記故障時のリミット範囲(L3)の間にある所定の空燃比フィードバック補正係数(KO2)を代替値として用いることで、前記補正噴射量(T1)を決定する点に第8の特徴がある。
第1の特徴によれば、制御手段は、内燃機関の通常運転時には、空燃比フィードバック補正係数に対して、補正噴射量を算出するために使用が許可される上下限値としての第2のリミット範囲を設定し、酸素センサの出力が所定の状態となったことを検知すると酸素センサの故障診断を実行し、故障診断の実行中は、第2のリミット範囲より小さい第3のリミット範囲を設定するので、酸素センサ出力を常に監視することで酸素センサの故障を素早く検知することができる。また、故障診断の実行中には、通常時より小さい第3のリミット範囲を用いて燃料噴射量を算出するので、故障診断開始時に酸素センサが故障していた場合でも、故障診断直前の信頼性の低い空燃比フィードバック補正係数が故障診断中に適用されることがなく、故障診断中に過剰なリッチまたはリーン状態となることを防止できる。
第2の特徴によれば、制御手段は、酸素センサの出力値が略0Vの状態で所定時間経過する、または、酸素センサの出力値が略3Vの状態で所定時間経過すると、酸素センサの故障診断を開始するので、酸素センサの出力値に基づいて速やかに故障診断に移行することができる。
第3の特徴によれば、制御手段は、酸素センサの出力値が略0Vの状態で所定時間経過することで故障診断が開始された場合は、故障診断用の燃料噴射を実行し、この燃料噴射に対する酸素センサの出力変化を検知することで故障判定を行うので、酸素センサの故障を簡単に判断することができる。
第4の特徴によれば、制御手段は、故障診断によって酸素センサが正常であると判定されると、故障診断を終了すると共に第3のリミット範囲から前記第2のリミット範囲に戻すので、酸素センサが正常な場合には、速やかに通常の空燃比フィードバック制御に復帰することができる。
第5の特徴によれば、空燃比フィードバック制御は、酸素センサの目標出力値に対するPID制御によって実行され、空燃比フィードバック補正係数には、酸素センサの機能限界に対応する上側ゲイン切換閾値および下側ゲイン切換閾値が設定されており、制御手段は、空燃比フィードバック補正係数が、上側ゲイン切換閾値を上回る、または、下側ゲイン切換閾値を下回ると、PID制御のゲインを小さくするので、通常制御時には、PID制御のゲインを大きくして応答速度の高いフィードバック制御を可能とすると共に、空燃比フィードバック補正係数が大きく振れるときには、PID制御のゲインを小さくすることで応答速度を下げて、万一、酸素センサが故障していた場合に信頼性の低い空燃比フィードバック補正係数が燃焼状態に大きな影響を与えることを防ぐことができる。
第6の特徴によれば、基本噴射量は、内燃機関の吸気装置に設けられたスロットルバルブのスロットル開度と内燃機関の回転数と基本噴射量との関係を規定する基本噴射量マップから導出されるので、吸気圧や大気圧の値を考慮することなく基本噴射量が求められ、吸気圧センサや大気圧センサを有していない車両において有効な空燃比フィードバック制御が可能となる。
第7の特徴によれば、通常のリミット範囲は、基準値から所定の上下幅を有しており、故障時のリミット範囲は、基準値を維持したままで、通常のリミット範囲の上限値および下限値を、それぞれ、所定割合で縮小したものであるので、基準値が順次更新される場合であっても、最新の基準値に基づいて、現在の燃焼状態に応じた故障時のリミット範囲を設定することが可能となる。
第8の特徴によれば、制御手段は、故障診断によって酸素センサが故障であると判定すると、故障時のリミット範囲の間にある所定の空燃比フィードバック補正係数を代替値として用いることで、補正噴射量を決定するので、酸素センサの故障に起因して大きすぎるまたは小さすぎる空燃比フィードバック係数が適用されることがなくなり、過剰なリッチまたはリーン状態が生じることを防ぐことができる。
内燃機関の全体構成を示す図である。 制御ユニットの構成を示すブロック図である。 機関の負荷領域を検索するためのマップである。 空燃比フィードバック領域を示すマップである。 図4および図5を重ねて示す図である。 空燃比フィードバック補正係数に対して設定するリミットの構成を示す概念図である。 酸素センサの出力値と空燃比との関係を示すグラフである。 酸素センサの出力値の一例を示すグラフである。 空燃比フィードバック補正係数に設定されるリミットの推移を示すタイムチャートである。 酸素センサの故障診断時のリミット設定方法を示すグラフである。 酸素センサの出力値、空燃比フィードバック制御の制御ゲイン、空燃比フィードバック補正係数の関係を示すタイムチャートである。 KO2とKBUとの関係を示すグラフである。 酸素センサ故障診断処理の流れを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の燃料噴射制御装置の構成を示すブロック図である。自動二輪車に搭載される水冷式の内燃機関Eのシリンダボア11には、ピストン12が摺動可能に嵌合されている。内燃機関Eのシリンダヘッド16には、ピストン12の頂部を臨ませる燃焼室13に混合気を供給するための吸気装置14と、燃焼室13からの排ガスを排出するための排気装置15とが接続されている。吸気装置14には吸気通路17が形成され、排気装置15には排気通路18が形成されている。シリンダヘッド16には燃焼室13に先端を臨ませる点火プラグ20が取り付けられている。
吸気装置14には、吸気通路17を流通する吸気量を制御するためのスロットル弁21が開閉可能に配設されると共に、スロットル弁21よりも下流側に燃料を噴射するための燃料噴射弁22が付設されている。吸気通路17には、スロットル弁21を迂回するバイパス通路27が接続されており、このバイパス通路27を流通する空気量はアクチュエータ28で調節される。また、排気装置15には、触媒コンバータ25が介設されている。
制御手段としての制御ユニットCは、点火プラグ20による点火タイミング、燃料噴射弁22からの燃料噴射量、およびアクチュエータ28の作動を制御する。制御ユニットCには、スロットル弁21の開度であるスロットル開度を検出するスロットルセンサ26の検出値、ピストン12に連接されたクランク軸29の回転数を検出する回転数センサ30の検出値、エンジン冷却水の水温を検出する水温センサ31の検出値、排気通路18を流通する排ガス中の残存酸素濃度を検出するために触媒コンバータ25よりも下流側で排気装置15に取り付けられる酸素センサ(Oセンサ)32の検出値が入力される。
図2は、制御ユニットCの構成を示すブロック図である。制御ユニットCのうち燃料噴射弁22の噴射量を制御する部分は、回転数センサ30で得られる回転数ならびにスロットルセンサ26で得られるスロットル開度に基づいて基本噴射量マップ33を参照しつつ目標空燃比を得るための基本燃料噴射量を定める基本噴射量算出手段34と、酸素センサ32で得られる酸素濃度に基づいて空燃比を目標空燃比に近づけるためのフィードバック補正係数KO2を算出する空燃比フィードバック補正係数算出手段35と、フィードバック補正係数算出手段35で得られた補正量に基づいて基本燃料噴射量を補正する補正手段36と、補正手段36で得られた最終的な燃料噴射量に対応した燃料噴射時間を求める最終燃料噴射時間算出手段37とを備えている。これにより、制御ユニットCは、吸気圧および大気圧に基づくことなく燃料噴射量を得ることができる。
フィードバック補正係数算出手段35は、酸素センサ32で検出される酸素濃度に基づいて排ガスのリッチ・リーンの程度を判定するリッチ・リーン判定手段38と、このリッチ・リーン判定手段38の判定結果に基づいてフィードバック補正係数KO2および基本燃料噴射量T0を補正するパラメータ算出手段39とを有する。パラメータ算出手段39は、EPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性記憶部40に、所定の周期でパラメータを記憶せしめ、イグニッションキーをオンにしたとき(システム起動時)に、不揮発性記憶部40からパラメータを読み込む。
パラメータ算出手段39は、不揮発性記憶部40に周期的に記憶される空燃比フィードバック補正係数KO2および経時変化対応補正係数KBUによって、酸素センサ32の検出値による空燃比制御のための統合補正係数KTを、KT=KO2×KBUの算出式によって算出する。ここで、経時変化対応補正係数KBUは、内燃機関Eの劣化等の経時変化に応じて変化するように学習しつつ機関負荷毎に定められるものであり、所定の周期で不揮発性記録部40に記録され、車両の電源をオフ(システム停止)した後にも値が保持され、次回のシステム起動時に読み込まれる。
空燃比フィードバック補正係数KO2は、空燃比フィードバック制御を行う際に所定の周期毎に一時的に使用される変数であり、基本的には、この空燃比フィードバック補正係数KO2に基づいてフィードバック制御を行って空燃比を目標空燃比に近づける。空燃比フィードバック補正係数KO2は、リッチ・リーン判定手段38での判定結果に基づいて定められる。
パラメータ算出手段39は、複数の空燃比フィードバック領域にあっては、機関回転数NEおよびスロットル開度THに基づいて各空燃比フィードバック領域毎の経時変化対応補正係数KBUを算出すると共に、この経時変化対応補正係数KBUを用いて統合補正係数KTを算出し、空燃比フィードバック領域以外の機関の負荷領域では、当該負荷領域に隣り合うフィードバック領域の学習値を用いて燃料噴射量を制御する。
図3は、機関の負荷領域を検索するためのマップである。制御ユニットCは、機関回転数NEおよびスロットル開度THに基づいて機関の負荷がどの領域にあるかを検索する。この図では、設定下限スロットル開度THO2Lおよび設定上限スロットル開度THO2Hと、それらの設定下限および上限スロットル開度THO2L,THO2H間の複数の設定スロットル開度THFB0,THFB1,THFB2,THFB3とが、機関回転数NEの増大に応じて大きくなると共に、THO2L<THFB0<THFB1<THFB2<THFB3<THO2Hとなるように予め設定されている。各設定スロットル開度THO2L,THFB0,THFB1,THFB2,THFB3,THO2Hを示す実線は、スロットル開度THを増大させる際に適用される境界値であり、この実線に隣接する破線は、境界を縮小側にまたぐ際にヒステリシスを与えるための値を示している。
図4は、空燃比フィードバック領域を示すマップである。斜線部で示す空燃比フィードバック領域は、設定下限回転数NLOP、設定上限回転数NHOPおよびアイドル領域上限回転数NTHO2Lと、設定下限スロットル開度THO2Lおよび設定上限スロットル開度THO2Hとで定まる領域である。また、アイドル領域上限回転数NTHO2Lは、機関回転数NEの増大側での値が実線で示され、機関回転数NEの減少側での値が破線で示されている。さらに、設定下限スロットル開度THO2Lおよび設定上限スロットル開度THO2Hは、スロットル開度THの増大側での値が実線で示され、スロットル開度THの減少側での値が破線で示され、それぞれヒステリシスを有して設定されている。
図5は、図3および図4で定まる領域を重ねたものである。この図では、機関回転数NEおよびスロットル開度THに基づいて、複数の空燃比フィードバック領域を含む複数の負荷領域が設定されることとなり、本実施形態では、6つの空燃比フィードバック領域が「1」〜「6」の番号を付して示され、空燃比フィードバック領域以外の領域が「0」,「7」〜「11」の番号を付して示される。
図5で示される複数の負荷領域同士の境界は、ヒステリシスを有して定められることとなり、「1」〜「6」で示される空燃比フィードバック領域は、スロットル開度THが小さくなるほど狭くなるように設定されている。そして、エンジンの運転状態が空燃比フィードバックにあるときには、各空燃比フィードバック領域「1」〜「6」のどの領域にあるのかを検知して、それぞれに対応したKBU1〜KBU6が選択され、空燃比フィードバック領域以外の機関の負荷領域「0」,「7」〜「11」では、当該負荷領域に隣り合う空燃比フィードバック領域のKBU1〜KBU6を用いて燃料噴射量を制御する。
基本噴射量算出手段34は、基本噴射量マップ33に基づいて基本燃料噴射量T0を導出し、補正手段36では、補正燃料噴射量T1を(T0×KT)として求める。最終噴射燃料時間算出手段37は、この補正燃料噴射量T1に対応した燃料噴射時間を求め、制御ユニットCは、酸素センサ32の検出値に基づく空燃比を目標空燃比に近づけるための学習制御を行った燃料噴射弁22からの燃料噴射量を制御することになる。
ここで、KBUは、KO2の値が一定の状態で所定時間経過すると、図5に示すマップよりKBU1〜6を選択し、選択したKBUxは、その時のKO2の値を乗じて新しいKBUx'とする(KBUx'=KO2×KBUx)。KO2の値は、KBUxがKBUx'へ更新されると、基準(1.0)に戻される。すなわち、KBUxは、KO2の値が一定の状態で所定時間経過毎に、KBUx'、KBUx''(=KO2×KBUx')…と更新されることとなる。KBUx'、 KBUx''…は、それぞれの更新時における統合補正係数KTと同値となるが、前記したように、KT=KO2×KBUであるので、次にKBUが更新されるまで、KTの値は、KO2の変動に応じて変動することとなる。
図12のグラフを参照して、上記したKO2とKBUとの関係を具体的に説明する。本実施形態に係る空燃比フィードバック制御では、理論空燃比を得るための補正量が大きくなると、これに伴ってKO2が大きな値となるが、演算処理上、KO2は1.0に近い値としておきたい。そこで、本実施形態では、KO2の値が一定の状態で所定時間経過すると、KO2の値を1.0に戻すためにKBUの値を更新するように構成されている。
図12の例では、時刻t1において、酸素センサ出力の低下に応じてKO2が1.0から増加を開始する。次に、時刻t2では、空燃比がストイキ状態となるV1に近づくに伴ってKO2の増加が1.2で止まる。そして、時刻t3では、KO2が一定の状態が所定時間Ta継続したことに伴い、KBUxをKBUx'(1.2=1.2×1.0)と更新することでKO2を1.0に切り下げる。
さらに、図12の例では、時刻t4において、酸素センサ出力の低下に応じてKO2が1.0から再び増加を開始する。次に、時刻t5では、空燃比がストイキ状態に収束するに伴ってKO2の増加が1.2で止まる。そして、時刻t6では、KO2が一定の状態が所定時間Tb継続したことに伴い、KBUx'をKBUx''(1.44=1.2×1.2)と更新することでKO2が再び1.0に切り下げられる。このKBUxの更新値は保持されて、これにより、KO2の値を適切な範囲に収める経時変化対応補正係数として機能することとなる。なお、所定時間Ta,Tbは、任意に設定することができる。
制御ユニットCは、空燃比を目標空燃比とするための基本燃料噴射量をスロットル開度および機関回転数に基づいて定めると共に、酸素センサ32の検出値に応じて定めるフィードバック補正係数KO2と、内燃機関Eの経時変化に応じて変化するように学習しつつ機関負荷毎に定める経時変化対応補正係数KBUとを基本燃料噴射量T0に乗算することで、吸気圧および大気圧に基づくことなく燃料噴射量を制御する。
これにより、燃料噴射制御システムに吸気圧センサおよび大気圧センサを用いることが不要となり、システムのコストダウンおよび部品点数の低減が可能となる。特に、低スロットル開度の領域では、内燃機関Eのフリクション変化、スロットル弁21への煤の付着による吸入量変化等の機関の劣化を捉えた空燃比制御が可能となる。また、スロットルセンサ26の出力ずれの特性がスロットル開度に依存する傾向が高く、高スロットル開度の領域で出力ずれが大きくなる場合でも、適切な空燃比の設定が可能となる。
制御ユニットCは、空燃比フィードバック領域では、空燃比フィードバック補正係数KO2および経時変化対応補正係数KBUを用いた燃料噴射制御を実行する。また、空燃比フィードバック領域が、スロットル開度が小さくなるほど狭くなるように設定されるので、バイパスバルブ等の劣化の影響を受けやすい低スロットル開度領域で細かな学習制御を行うようにして、より適切な空燃比制御を行うことができる。
ところで、空燃比フィードバック制御を適用する際に、何らかの原因で空燃比フィードバック補正係数KO2、すなわち、フィードバック補正量が大きくなりすぎたり小さくなりすぎたりすると、過剰にリッチ化またはリーン化されてしまう可能性があるため、これを防止するため、空燃比フィードバック補正係数KO2にリミット値を設定することが考えられる。一方、吸気圧センサおよび大気圧センサを廃止するため、吸気圧および大気圧に応じた燃料噴射量の補正分をも空燃比フィードバック制御で賄うようにした燃料噴射制御装置では、例えば、2000mを超えるような高地で車両が使用される際にも適正なストイキ燃焼が得られるように、空燃比フィードバック補正量のリミットを広げておく必要が生じる。
さらに、この補正量のリミットは、車両の部品精度や組み付け時のバラツキ等が空燃比に与える影響を考慮した値に設定しておくと、車両が様々な状態にあってもこれに対応したフィードバック補正量を適用して、適正なストイキ燃焼を得ることができる。
本願発明では、この両者、すなわち、空燃比フィードバック補正量にリミットを設けることの利点とリミットを広げておくことの利点とが同時に満たされるように、リミットの設定に工夫を施した点に特徴がある。具体的には、内燃機関(エンジン)を初めて始動する際には空燃比フィードバック補正量のリミットを広めに設定しておき、初回のエンジン始動後、その後の空燃比フィードバック補正係数KO2の予想される変動域を学習すると、リミットを狭めるものである。
図6は、空燃比フィードバック補正係数KO2に対して設定するリミットの構成を示す概念図である。図示左側のグラフは、車両のエンジンを初めて始動する際に適用される第1のリミット範囲L1を示している。一方、図示右側のグラフは、初めて車両の電源をオンにしてエンジンが始動した後、所定条件が満たされると適用が開始される第2のリミット範囲L2(通常のリミット範囲)を示している。
第1のリミット範囲L1および第2のリミット範囲L2は、それぞれ、エンジン運転時の空燃比を理論空燃比に近づけるための補正量である空燃比フィードバック補正係数KO2をエンジン運転中にどの値まで許可するかの範囲、換言すれば、補正噴射量T1を算出するために使用が許可される空燃比フィードバック補正係数KO2の上下限値である。そして、第2のリミット範囲L2の上下限値MAX2,MIN2からなる上下幅は、第1のリミット範囲L1の上下限値MAX1,MIN1からなる上下幅より小さく設定されている。第1のリミット範囲L1は、空燃比フィードバック補正係数KO2の適用範囲においてエンジンの良好な運転状態が期待できなくなるリミット、すなわち、上下の絶対リミットMAXLIM,MINLIMより小さく、かつ第2のリミット範囲L2より大きく設定されている。
なお、エンジンの始動が初めてであるか否かは、制御ユニットC内の不揮発性記憶部40に始動履歴が残っているか否かによって判定される。この始動履歴は、例えば、工場での完成車テスト等は除外され、販売店に入荷された後に初めてエンジンが始動された際に記録されるように設定することができる。本実施形態では、販売店に入荷された後、バッテリを接続して初めて車両の電源をオンにし、エンジンを始動する際に、第1のリミット範囲L1が適用されるように構成されており、一旦、第1のリミット範囲L1から第2のリミット範囲L2に切り換えられると、その後は、第2のリミット範囲L2が継続して適用され、第1のリミット範囲L1が再度適用されることはない。
第1のリミット範囲L1は、理論空燃比状態で検出される酸素センサ32の出力値を基準B1として上下に所定の幅を有しており、部品精度や組立バラツキ等が空燃比に与える影響を考慮した第1の数値S1と、外気温が空燃比に与える影響を考慮した第2の数値S2と、外気圧が空燃比に与える影響を考慮した第3の数値S3と、車両の使用される高度が空燃比に与える影響を考慮した第4の数値S4と、燃料中のアルコール濃度が空燃比に与える影響を考慮した第5の数値S5とを足し合わせてなる。
一方、第2のリミット範囲L2は、第1のリミット範囲L1から第1の数値S1を減じると共に、空燃比フィードバック補正係数KO2の更新条件を設定する第6の数値S6を付加して構成されている。これにより、空燃比フィードバック補正係数の更新条件分だけリミットの上下幅を広げることができる。
本実施形態では、車両の電源をオンしてエンジンを始動した後、酸素センサ32の出力値の変化率が正から負または負から正へ所定回数(例えば、3回)変化すると、第1のリミット範囲L1を第2のリミット範囲L2に切り換えるように設定されている。
図7は、酸素センサ32の出力値と空燃比との関係を示すグラフである。また、図8は、酸素センサ32の出力値の一例を示すグラフである。図7に示すように、本実施形態に係る酸素センサ32は、理論空燃比(ストイキ)状態を境にステップ状の出力を示す。これにより、理論空燃比時に所定電圧Vsを出力する酸素センサ32の出力値は、エンジンを始動後に燃焼状態が理論空燃比λsに近づいてくると、図8に示すように、その振れ幅を小さくしながら所定電圧Vsに収束しようとする。このとき、酸素センサ32の出力値の変化率の正から負または負から正へ変化したことを「出力値が反転」したものとし、その反転回数をカウントすることができる。本実施形態では、エンジン始動後の時刻tsにおいて、酸素センサ32の出力値の反転が3回行われたことが判定されることで、第1のリミット範囲L1から第2のリミット範囲L2に切り換えるように設定されている。
図9は、空燃比フィードバック補正係数KO2に設定されるリミットの推移を示すタイムチャートである。時刻t1では、エンジンを始動するために車両の電源がオンにされ、第1のリミット範囲L1の適用が開始される。これにより、車両が使用される場所の高度や、車両の部品精度や組み付け時のバラツキ等が空燃比に大きな影響を与える場合でも、第2のリミット範囲より広い第1のリミット範囲が設定されているため、大きな空燃比フィードバック補正係数KO2を用いて内燃機関を良好に運転することが可能となる。
次に、エンジンが始動され、時刻t2において酸素センサ32の出力値が3回反転したことが検知されると、その時点での空燃比フィードバック補正係数KO2を基準値B2として上下限値MAX2,MIN2からなる第2のリミット範囲L2の適用が開始される。その後、第2のリミット範囲L2の図示上下方向の位置を決める基準値は、更新条件が満たされる毎に更新される。すなわち、第2のリミット範囲L2の上下幅は基準値の更新後も不変であり、基準値が更新される毎に図示上下方向に移動するのみとなる。
第2のリミット範囲L2に切り換えられた後の基準値の更新は、空燃比フィードバック補正係数KO2の推移を示す曲線(不図示)が、第2リミット範囲L2に対する所定割合以上(例えば、6%以上)の振れ幅でかつ所定回数(例えば、3回)連続して反転した場合に実行される。第2のリミット範囲L2の第6の数値S6は、この基準値の更新条件の許容幅として設定されるものである。この図では、時刻t3において、基準値の1回目の更新が実行されて、基準値がB2からB3となる。なお、説明上、このタイムチャートでは、基準値同士の間を破線でつないでいるが、基準値は次回の更新時まで不変であり、例えば、基準値B2は、時刻t3での更新時まで変動することなく適用される。
時刻t4では、更新条件が満たされて基準値の2回目の更新が実行される。この更新では、基準値がB3からB4に更新されるのに伴い、第2リミット範囲L2の上下限値がMAX4,MIN4となる。この場合、上限値MAX4が上側絶対リミットMAXLIMを超えることとなるが、上側絶対リミットMAXLIMを超える空燃比フィードバック補正係数KO2が算出されても、その値は補正噴射量T1の算出には用いられない。
時刻t5では、更新条件が満たされて基準値の3回目の更新が実行される。この更新では、基準値のB4からB5への更新に伴い、第2リミット範囲L2の上下限値はMAX5,MIN5となる。その後、時刻t6では、車両の電源がオフにされる。
そして、時刻t7で車両の電源が再度オンにされると、時刻t5以降に不揮発性記憶部40に記憶されていた基準値B5が読み出され、この基準値B5を基準とした上下限値MAX5,MIN5からなる第2のリミット範囲L2が設定される。
図10は、酸素センサ32の故障診断時のリミット設定方法を示すグラフである。本実施形態に係る燃料噴射制御装置は、酸素センサ32の出力値が通常ではないことが検知されると、故障診断モードに移行して酸素センサ32の故障診断を行うように構成されている。そして、この故障診断モードに移行した際には、継続適用されている第2のリミット範囲L2に代えて、第2のリミット範囲L2より上下幅の小さい第3のリミット範囲L3(故障時のリミット範囲)を適用するように構成されている。
本実施形態に係る酸素センサ32は、略0〜3Vの出力が可能に構成されているが、正常なフィードバック制御を実行中の通常運転時は、理論空燃比に相当する出力値(例えば、1V)を中心とした小さな振れの範囲(例えば、0.6〜1.5V)に収まっている。
本実施形態では、略3Vのセンサ出力が所定時間継続する、または、略0Vのセンサ出力が所定時間継続すると、通常モードから故障診断モードに切り替えるように構成されている。そして、略3Vのセンサ出力が所定時間継続した場合は、故障診断モードに移行すると共に、その時点で酸素センサ32が故障していると判定され、一方、略0Vのセンサ出力が所定時間継続した場合は、故障診断モードに移行した後、所定時間だけ燃料噴射量を増量して、この増量分に応じた出力値の変化が生じるか否かを検知することによって故障診断が行われる。例えば、エンジンが高回転かつ高負荷状態であり、略0Vが出力されている時に燃料噴射量を増量しても出力値に変化がない場合には、酸素センサ32が故障していると判定する。
(a)のグラフは、第2のリミット範囲L2と第3のリミット範囲L3との関係を示している。時刻t1から継続適用されていた第2のリミット範囲L2は、時刻t2で故障診断モードに突入したことにより第3のリミット範囲L3に置き換えられる。第3のリミット範囲L3は、基準値Baを維持したままで、第2のリミット範囲L2の上限値MAXaおよび下限値MINaを、それぞれ、所定割合で縮小して上限値MAXbおよび下限値MINbとしたものである。
(b)のグラフは、空燃比フィードバック補正係数KO2とリミット範囲との関係を示している。この図の例では、KO2が上昇を続けていたところ、時刻t2で故障診断モードに移行したため、時刻t2以後は、KO2が第3のリミット範囲L3の上限値MAXbに張りつくこととなる。これにより、万一、酸素センサ32の故障によってKO2の算出値が異常な値となる場合でも、故障診断モードに突入している間の補正噴射量T1の算出に適用される値が上限値MAXbおよび下限値MINbを超えることがない。したがって、故障診断中に過剰なリーン化またはリッチ化が起こることを防止できる。
そして、故障診断モードにおける故障診断処理の結果、酸素センサ32が故障していると判定された場合には、第3のリミット範囲L3の範囲内の適切な空燃比フィードバック係数KO2を代替値として適用すると共に、車両のメータ装置等に設けられた警告手段によって警告を行うことができる。一方、酸素センサ32が正常であると判定された場合には、故障診断モードから通常モードへ移行すると共に、第3のリミット範囲L3が第2のリミット範囲L2に戻されることとなる。
ここで、図13のフローチャートを参照して、酸素センサ故障診断処理の流れを整理する。ステップS1では、酸素センサ32の出力が検知され、ステップS2では、3V出力または略0V出力が所定時間以上経過したか否かが判定される。ステップS2で肯定判定されると、ステップS3に進んで、通常モードから故障診断モードへの移行が実施される。一方、ステップS2で否定判定されるとステップS1に戻る。
続くステップS4では、故障診断モードへの移行に伴って、第2のリミット範囲(通常のリミット範囲)L2から第3のリミット範囲(故障時のリミット範囲)L3への切り換えが実行される。そして、ステップS5では、略0V出力に起因して故障診断モードに移行したか否かが判定され、肯定判定されると燃料噴射量の増量が実行される。ステップS7では、酸素センサ32の出力に変化が生じたか否かが判定され、否定判定されると、ステップS8に進む。また、前記ステップS5で否定判定される、すなわち、略3V出力に起因して故障診断モードに移行したと判定されると、ステップS6,7をスキップしてステップS8に進む。ステップS8では、酸素センサ32が故障していると判定され、KO2に代替値を適用して一連の制御を終了する。この代替値は、第3のリミット範囲L3の中の適切な値や理論空燃比に対応する所定値とすることができる。
また、ステップS7で肯定判定される、すなわち、噴射量の増量に対して酸素センサ32の出力に変化が生じた場合には、ステップS9に進んで、酸素センサ32が正常であると判定して故障診断モードから通常モードに戻し、一連の制御を終了する。
図11は、酸素センサ32の出力値、空燃比フィードバック制御の制御ゲイン、空燃比フィードバック補正係数の関係を示すタイムチャートである。本実施形態に係る燃料噴射制御装置では、空燃比フィードバック制御中に、空燃比フィードバック補正係数KO2の算出値が所定値を超えると、通常時に適用していた大きなPID制御ゲインを小さいものに置き換えるように構成されている。
この図の例では、酸素センサ32の出力電圧が時刻t1でVaを超え、これに応じてフィードバック補正係数KO2が上側ゲイン切換閾値HIに向かって上昇を開始する。そして、時刻t2では、空燃比フィードバック補正係数KO2が上側ゲイン切換閾値HIに到達し、これに伴って、制御ゲインがより小さな値に切り換えられる。
制御ゲインが小さくなると、酸素センサ32の出力値に対するフィードバック補正係数KO2の応答速度が下がることとなり、例えば、酸素センサ32が故障して異常な出力値を出力する場合でもフィードバック補正係数KO2に与える影響を低減することが可能となる。すなわち、通常制御時には、大きな制御ゲインを適用して応答速度の高いフィードバック制御を可能とすると共に、空燃比フィードバック補正係数が大きすぎたり小さすぎたりするときには、制御ゲインを小さくすることで応答速度を下げて、万一、酸素センサが故障していた場合に信頼性の低い空燃比フィードバック補正係数KO2が燃焼状態に影響を与えることを防ぐことができる。
なお、制御ゲインの切換は、空燃比フィードバック補正係数KO2が下側ゲイン切換閾値LOを下回った場合にも同様に実行される。この上側ゲイン切換閾値HIおよび下側ゲイン切換閾値LOは、それぞれ、酸素センサ32の機能限界に相当する値に設定されている。そして、酸素センサ32の出力値が故障診断モードへの突入条件を満たした際には、故障診断モードへと移行することとなる。
なお、制御ユニットの構成、酸素センサの構造や形態、第1のリミット範囲および第2のリミット範囲の設定幅等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。本発明に係る燃料噴射制御装置は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両および汎用エンジン等に適用することが可能である。
14…吸気装置、15…排気装置、21…スロットルバルブ、22…燃料噴射弁、26…スロットルセンサ、30…回転数センサ、32…酸素センサ、33…基本噴射量マップ、34…基本噴射量算出手段、35…フィードバック補正係数算出手段、36…補正手段、37…最終燃料噴射時間算出手段、E…内燃機関(エンジン)、C…制御ユニット(制御手段)、KO2…空燃比フィードバック補正係数、L1…第1のリミット範囲、L2…第2のリミット範囲(通常のリミット範囲)、L3…第3のリミット範囲(故障時のリミット範囲)、S1〜S6…第1の数値〜第6の数値

Claims (8)

  1. 車両の動力源としての内燃機関(E)の排気装置(15)に設けられた酸素センサ(32)の出力に基づいて、目標空燃比を得るためのフィードバック制御に用いる空燃比フィードバック補正係数(KO2)を算出し、該空燃比フィードバック補正係数(KO2)を基本噴射量(T0)に乗算することで補正噴射量(T1)を決定する制御手段(C)を有する燃料噴射制御装置において、
    前記制御手段(C)は、前記内燃機関(E)の通常運転時には、前記空燃比フィードバック補正係数(KO2)に対して、前記補正噴射量(T1)を算出するために使用が許可される上下限値としての通常のリミット範囲(L2)を設定し、
    前記酸素センサ(32)の出力が所定の状態となったことを検知すると前記酸素センサ(32)の故障診断を実行し、
    前記故障診断の実行中は、前記通常のリミット範囲(L2)より小さい故障時のリミット範囲(L3)を設定することを特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. 前記制御手段(C)は、前記酸素センサ(32)の出力値が略0Vの状態で所定時間経過する、または、前記酸素センサ(32)の出力値が略3Vの状態で所定時間経過すると、前記酸素センサ(32)の故障診断を開始することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  3. 前記制御手段(C)は、前記酸素センサ(32)の出力値が略0Vの状態で所定時間経過することで故障診断が開始された場合は、故障診断用の燃料噴射を実行し、この燃料噴射に対する前記酸素センサ(32)の出力変化を検知することで故障判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射制御装置。
  4. 前記制御手段(C)は、前記故障診断によって前記酸素センサ(32)が正常であると判定されると、故障診断を終了すると共に前記故障時のリミット範囲(L3)から前記通常のリミット範囲(L2)に戻すことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに燃料噴射制御装置。
  5. 前記空燃比フィードバック制御は、前記酸素センサ(32)の目標出力値に対するPID制御によって実行され、
    前記空燃比フィードバック補正係数(KO2)には、前記酸素センサ(32)の機能限界に対応する上側ゲイン切換閾値(HI)および下側ゲイン切換閾値(LO)が設定されており、
    前記制御手段(C)は、前記空燃比フィードバック補正係数(KO2)が、前記上側ゲイン切換閾値(HI)を上回る、または、前記下側ゲイン切換閾値(LO)を下回ると、前記PID制御のゲインを小さくすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料噴射制御装置。
  6. 前記基本噴射量(T0)は、前記内燃機関(E)の吸気装置(14)に設けられたスロットルバルブ(21)のスロットル開度(TH)と前記内燃機関(E)の回転数(NE)と基本噴射量(T0)との関係を規定する基本噴射量マップ(33)から導出されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料噴射制御装置。
  7. 前記通常のリミット範囲(L2)は、基準値(Ba)から所定の上下幅を有しており、
    前記故障時のリミット範囲(L3)は、前記基準値(Ba)を維持したままで、前記通常のリミット範囲(L2)の上限値(MAXa)および下限値(MINa)を、それぞれ、所定割合で縮小したものであることを特徴とする請求項1ないし6いずれかに記載の燃料噴射制御装置。
  8. 前記制御手段(C)は、前記故障診断によって酸素センサ(32)が故障であると判定すると、前記故障時のリミット範囲(L3)の間にある所定の空燃比フィードバック補正係数(KO2)を代替値として用いることで、前記補正噴射量(T1)を決定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の燃料噴射制御装置。
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