JP2011251885A - 炭化ケイ素単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 単結晶全体で均一な不純物の含有濃度を有する炭化ケイ素単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】 炭化ケイ素を含有する炭化ケイ素含有原料に所定の不純物25を添加して昇華用原料13を作製し、昇華用原料13を坩堝7内に収容したのち、昇華用原料13を加熱して発生させた昇華ガスによって炭化ケイ素からなる種結晶23上に、不純物25を含む単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法である。炭化ケイ素含有原料に対する不純物25の添加量を変えて不純物の含有濃度が異なる複数の昇華用原料13a,13bを作製するステップと、複数の昇華用原料のうち含有濃度が低い昇華用原料13bを加熱温度が高い坩堝7内の高温部Hに配置し、含有濃度が高い昇華用原料13aを加熱温度が低い坩堝7内の低温部Lに配置するステップとを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】 炭化ケイ素を含有する炭化ケイ素含有原料に所定の不純物25を添加して昇華用原料13を作製し、昇華用原料13を坩堝7内に収容したのち、昇華用原料13を加熱して発生させた昇華ガスによって炭化ケイ素からなる種結晶23上に、不純物25を含む単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法である。炭化ケイ素含有原料に対する不純物25の添加量を変えて不純物の含有濃度が異なる複数の昇華用原料13a,13bを作製するステップと、複数の昇華用原料のうち含有濃度が低い昇華用原料13bを加熱温度が高い坩堝7内の高温部Hに配置し、含有濃度が高い昇華用原料13aを加熱温度が低い坩堝7内の低温部Lに配置するステップとを含む。
【選択図】 図1
Description
本発明は、炭化ケイ素単結晶の製造方法に関する。
炭化ケイ素単結晶を製造する方法として昇華法が知られている。この昇華法において、炭化ケイ素単結晶に所定値の抵抗値を付与する場合など単結晶の物性を変える場合は、昇華用原料にドーパントと呼ばれる不純物を添加して昇華ガス中に不純物を添加することにより、成長する単結晶中に不純物を含ませるドーピングが行われている(例えば、特許文献1参照)。ここで、一般には、不純物は昇華用原料中に均一に添加する。
しかしながら、昇華用原料に添加された不純物は、加熱によって徐々に濃度が低くなるため、単結晶の成長初期には不純物の濃度が高いが、成長後期には不純物の濃度が低くなるという特性がある。従って、成長した単結晶における種結晶近傍の部位は、不純物の濃度が高く、成長後期に形成された部位(種結晶から離れた部位)では不純物濃度が低くなり、単結晶全体で不純物の濃度を均一にすることは困難であった。
そこで、本発明の目的は、単結晶全体で均一な不純物の濃度を有する炭化ケイ素単結晶の製造方法を提供することにある。
前述した課題を解決するため、本発明は次のような特徴を有している。本発明の第1の特徴は、所定の不純物(不純物25)を含む昇華用原料(昇華用原料13)を作製し、該昇華用原料を坩堝(坩堝7)内に収容したのち、前記昇華用原料を加熱して発生させた昇華ガスによって炭化ケイ素からなる種結晶(種結晶23)上に、前記不純物を含む単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、前記不純物の含有濃度が異なる複数の昇華用原料を作製するステップと、前記複数の昇華用原料のうち不純物の含有濃度が低い昇華用原料(含有濃度が低い昇華用原料13b)を加熱温度が高い坩堝内の高温部(高温部H)に配置し、前記不純物の含有濃度が高い昇華用原料(含有濃度が高い昇華用原料13a)を加熱温度が低い坩堝内の低温部(低温部L)に配置するステップと、を含むことを要旨とする。
従って、成長した単結晶中における不純物の含有濃度も、全部位においてほぼ一定に保持される。すなわち、不純物は加熱によって徐々に濃度が低下するが、単結晶の成長初期は、高温部に配置された不純物の含有濃度が低い昇華用原料から主に昇華ガスが発生するため、昇華ガス中の不純物の含有濃度の上昇が抑えられる。一方、単結晶の成長後期では、高温部の昇華用原料が消失するか又はほとんどなくなるため、低温部に配置された不純物の含有濃度が高い昇華用原料から主に昇華ガスが発生する。しかし、成長後期は、成長初期から一定の時間が経過しているため、昇華用原料中の不純物の含有濃度が低くなっており、昇華ガス中の含有濃度の上昇が抑えられる。従って、成長初期から中間期を経て成長後期に至るまで、昇華ガス中の不純物の含有濃度および成長した単結晶中における不純物の含有濃度は、ほぼ一定に保たれる。
本発明の第2の特徴は、前記坩堝の内側面は円筒状に形成され、この坩堝内に前記昇華用原料を収容し、前記坩堝の外側から前記昇華用原料を加熱する炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、前記複数の昇華用原料のうち不純物の含有濃度が低い昇華用原料を前記坩堝内の内周面側に円筒状に配置し、不純物の含有濃度が高い昇華用原料を前記坩堝内の中央部に円柱状に配置することを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、前記不純物の含有濃度が高い昇華用原料と前記不純物の含有濃度が低い昇華用原料とを仕切り部材(仕切り部材27)を介して分離することを要旨とする。
本発明に係る炭化ケイ素単結晶の製造方法によれば、不純物の含有濃度が単結晶全体で均一な炭化ケイ素単結晶を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造方法の詳細を図面に基づいて説明する。具体的には、(1)炭化ケイ素単結晶の製造装置の全体構成、(2)本実施形態に係る昇華用原料、(3)変更例、(4)実施例、(5)作用効果、(6)その他の実施形態について説明する。図面は模式的なものであり、各材料層の厚みやその比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
(1)炭化ケイ素単結晶の製造装置1の全体構成
本実施形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造装置1の全体構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造装置を示す断面図である。
炭化ケイ素単結晶の製造装置1は、蓋体3および坩堝本体5を有する坩堝7と、坩堝7を覆う断熱材9と、断熱材9の外側に巻回された誘導加熱コイル11とを備える。
本実施形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造装置1の全体構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造装置を示す断面図である。
炭化ケイ素単結晶の製造装置1は、蓋体3および坩堝本体5を有する坩堝7と、坩堝7を覆う断熱材9と、断熱材9の外側に巻回された誘導加熱コイル11とを備える。
坩堝本体5は、上端部が開口されて、開口が蓋体3によって塞がれている。おり、坩堝本体5の材質は、黒鉛である。底部15には、炭化ケイ素の粉体と後述する不純物とを混合させた昇華用原料13が収容されている。また、坩堝本体5の内側面17は、円筒状に形成されている。
蓋体3は、坩堝本体5の上端部の開口を封鎖するように、坩堝本体5の上端部に螺合されている。蓋体3の材質は、黒鉛である。蓋体3の下面の中央部には、下方に突出する円盤状の種結晶取付部21が一体形成されている。なお、蓋体3の材質は、黒鉛であり、種結晶取付部21の下面に種結晶23が取り付けられている。
誘導加熱コイル11は、断熱材9および断熱材9に覆われた坩堝7の全体の外周側に螺旋状に巻回されている。この誘導加熱コイル11に電流を流すと、誘導電流が坩堝7の側壁を流れるため、この側壁を介して内部の昇華用原料13および種結晶23が加熱される。
(2)本実施形態に係る昇華用原料13
次に、本実施形態に係る昇華用原料13を図2,3を用いて説明する。図2は、図1の昇華用原料を示す斜視図、図3は、図2のA−A線による断面図である。
次に、本実施形態に係る昇華用原料13を図2,3を用いて説明する。図2は、図1の昇華用原料を示す斜視図、図3は、図2のA−A線による断面図である。
図2,3に示すように、本実施形態に係る昇華用原料13は、円柱状に形成されており、中央部には円柱状の昇華用原料13aが配置され、内周面側には円筒状の昇華用原料13bが配置されている。これらの昇華用原料13a,13bは、炭化ケイ素を含む粉体と不純物とを混合させた混合粉体であり、中央部の昇華用原料13aの方が内周面側の昇華用原料13bよりも不純物の含有率が高い。なお、図1〜3において、昇華用原料13a,13bのドットは、不純物25を示す。従って、点が密の部位は、不純物25の濃度が高く、点が疎の部位は、不純物25の濃度が低いことを示す意味する。
不純物25として、例えば、タングステンやバナジウムなどの遷移金属を好適に適用できる。特に、融点又は沸点の高い元素を用いることが好ましい。なお、窒素などの遷移金属以外の元素も不純物として適用可能である。また、昇華用原料13aにおける不純物25の含有濃度は、例えば、0.05体積%(vol%)であり、昇華用原料13bにおける不純物25の含有濃度は、例えば、0.02体積%(vol%)である。
次に、本実施形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造方法を簡単に説明する。まず、炭化ケイ素を含有する炭化ケイ素含有原料に所定の不純物25を添加する。ここで、炭化ケイ素含有原料に対する不純物25の添加量を変えることによって、不純物の含有濃度が異なる複数の昇華用原料を作製することができる。本実施形態では、2種類の昇華用原料とする。
そして、図1〜3に示すように、2種類の昇華用原料のうち不純物の含有濃度が低い昇華用原料13bを坩堝7内の内周面側に配置し、不純物の含有濃度が高い昇華用原料13aを坩堝7の中央部に配置する。即ち、不純物の含有濃度が低い昇華用原料13bは、内周面側の円筒状に配置し、不純物の含有濃度が高い昇華用原料13aは、中央部に配置することにより、昇華用原料全体としては円柱状に形成される。
ここで、図4に示すように、坩堝7の内側面17は円筒状に形成されており、坩堝7の外側に誘導加熱コイル11が螺旋状に配置されているため、坩堝7内における高温部Hは細かいピッチのハッチングを付けた内周面側の円筒部の部位であり、低温部Lは、粗いピッチのハッチングを付けた中央部の円柱部の部位である。そして、坩堝7内の高温部Hには、不純物の含有濃度が低い昇華用原料13bが配置され、低温部Lには、不純物の含有濃度が高い昇華用原料13aが配置される。
この後、誘導加熱コイル11に電流を流して坩堝7内の昇華用原料13および種結晶23を加熱すると昇華ガスが発生する。坩堝7内には、上述のように高温部Hと低温部Lとが形成されるため、高温部Hに配置された昇華用原料13bから昇華ガスが多く発生し、低温部Lに配置された昇華用原料13aからは、昇華用原料13bから発生する昇華ガスよりも少量のガスが発生する。高温部Hの昇華用原料13bが消失した後は、低温部Lの昇華用原料13aのみから昇華ガスが発生する。
上述のように、不純物25の濃度は、加熱によって徐々に低下するが、単結晶の成長初期には、高温部Hに配置された不純物の含有濃度が低い昇華用原料13bから主に昇華ガスが発生する。このため、昇華ガス中の不純物の含有濃度上昇が抑えられる。一方、単結晶の成長後期には、高温部Hの昇華用原料13bが消失するため、低温部Lに配置された不純物の含有濃度が高い昇華用原料13aから昇華ガスが発生する。
しかし、成長後期では、成長初期から一定の時間が経過しているため、昇華用原料中の不純物の含有濃度が低くなっており、昇華ガス中の不純物の含有濃度の上昇が抑えられる。従って、成長初期から中間期を経て成長後期に至るまで、昇華ガス中の不純物の含有濃度は、ほぼ一定に保たれる。昇華ガスは、種結晶23の上に堆積して単結晶が成長するため、成長した単結晶中における不純物の含有濃度も、全部位においてほぼ一定に保持される。
(3)変更例
次に、変更例に係る製造装置を用いた昇華用原料113の配置状態について図5〜7を用いて説明する。図5は、本発明の変更例に係る製造装置を用いた昇華用原料113の配置状態を示す斜視図、図6は、図5のB−B線による断面図、及び図7は、図6のC−C線による断面図である。
次に、変更例に係る製造装置を用いた昇華用原料113の配置状態について図5〜7を用いて説明する。図5は、本発明の変更例に係る製造装置を用いた昇華用原料113の配置状態を示す斜視図、図6は、図5のB−B線による断面図、及び図7は、図6のC−C線による断面図である。
変更例に係る製造装置では、不純物の含有濃度が高い昇華用原料113aと不純物の含有濃度が低い昇華用原料113bとを分離する仕切り部材27が坩堝7内に設けられている。仕切り部材27は、黒鉛からなると共に円筒状に形成されており、坩堝本体5の底部15に固定されている。そして、図2〜図3に示したような昇華用原料113について、不純物の含有濃度が低い昇華用原料113bを仕切り部材27の外方に配置し、不純物の含有濃度が高い昇華用原料113aを仕切り部材27の内方に配置する。
(4)実施例
(4−1)実施例
次いで、実施例を通して本発明を更に具体的に説明する。まず、タンタルの含有濃度の異なる原料粉を2種類作製した。具体的には、炭化ケイ素からなる原料粉にタンタルの粉末を添加してタンタル濃度が0.05%の原料粉Aと、炭化ケイ素からなる原料粉にタンタルの粉末を添加してタンタル濃度が0.02%の原料粉Bとを作製した。タンタル濃度において、原料粉A>原料粉Bとした。それぞれの原料粉A,Bにおいては、タンタル粉末が炭化ケイ素粉末に対して均一に混合された。
(4−1)実施例
次いで、実施例を通して本発明を更に具体的に説明する。まず、タンタルの含有濃度の異なる原料粉を2種類作製した。具体的には、炭化ケイ素からなる原料粉にタンタルの粉末を添加してタンタル濃度が0.05%の原料粉Aと、炭化ケイ素からなる原料粉にタンタルの粉末を添加してタンタル濃度が0.02%の原料粉Bとを作製した。タンタル濃度において、原料粉A>原料粉Bとした。それぞれの原料粉A,Bにおいては、タンタル粉末が炭化ケイ素粉末に対して均一に混合された。
図5〜図7に示したように、原料粉Aを仕切り部材の内周側に封入し、原料粉Bを仕切り部材の内周面側に封入した。この仕切り部材は、厚さ1mmの黒鉛から形成されており、それぞれの封入量は、体積比で1:1とした。
この後、昇華用原料および種結晶を加熱して昇華ガスを発生させ、種結晶上に単結晶を成長させて得られた単結晶をスライスした。その結果、成長開始直後のウエハ中における不純物の含有濃度は、8×1015/cm3であり、成長末期におけるウエハの不純物の含有濃度は、1×1015/cm3であった。
(4−2)比較例
次に、比較例に係る結晶成長を行った。原料粉Bのみを坩堝内に充填し、実施例と同一条件(加熱温度や時間等)で結晶成長を行った。成長結晶の大きさは、実施例とほぼ同一であり、成長結晶を切り出したウエハ中の不純物の含有濃度を調べたところ、成長開始直後のウエハ中における不純物の含有濃度は、1×1016/cm3であり、成長末期におけるウエハの不純物の含有濃度は、3×1014/cm3であった。
次に、比較例に係る結晶成長を行った。原料粉Bのみを坩堝内に充填し、実施例と同一条件(加熱温度や時間等)で結晶成長を行った。成長結晶の大きさは、実施例とほぼ同一であり、成長結晶を切り出したウエハ中の不純物の含有濃度を調べたところ、成長開始直後のウエハ中における不純物の含有濃度は、1×1016/cm3であり、成長末期におけるウエハの不純物の含有濃度は、3×1014/cm3であった。
これらの結果より、実施例の方が比較例よりも不純物の含有濃度の変化(差異)が小さくなることが判明した。
(5)作用・効果
本実施形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造方法によれば、所定の不純物25を含有する昇華用原料13を作製し、昇華用原料13を坩堝7内に収容したのち、昇華用原料13を加熱して発生させた昇華ガスによって炭化ケイ素からなる種結晶23上に、不純物25を含む単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、不純物の含有濃度が異なる複数の昇華用原料13a,13bを作製するステップと、複数の昇華用原料のうち不純物の含有濃度が低い昇華用原料13bを加熱温度が高い坩堝7内の高温部Hに配置し、不純物の含有濃度が高い昇華用原料13aを加熱温度が低い坩堝7内の低温部Lに配置するステップとを含む。
本実施形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造方法によれば、所定の不純物25を含有する昇華用原料13を作製し、昇華用原料13を坩堝7内に収容したのち、昇華用原料13を加熱して発生させた昇華ガスによって炭化ケイ素からなる種結晶23上に、不純物25を含む単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、不純物の含有濃度が異なる複数の昇華用原料13a,13bを作製するステップと、複数の昇華用原料のうち不純物の含有濃度が低い昇華用原料13bを加熱温度が高い坩堝7内の高温部Hに配置し、不純物の含有濃度が高い昇華用原料13aを加熱温度が低い坩堝7内の低温部Lに配置するステップとを含む。
従って、成長した単結晶中における不純物の含有濃度も、全部位においてほぼ一定に保持される。すなわち、不純物25は加熱によって徐々に濃度が低下するが、単結晶の成長初期は高温部Hに配置された不純物の含有濃度が低い昇華用原料13bから主に昇華ガスが発生するため、昇華ガス中の不純物の含有濃度の上昇が抑えられる。一方、単結晶の成長後期には、高温部Hの昇華用原料13bが消失するため、低温部Lに配置された不純物の含有濃度が高い昇華用原料13aから昇華ガスが発生する。
成長後期は、成長初期から一定の時間が経過しているため、昇華用原料中の不純物の含有濃度が低くなっており、昇華ガス中の不純物の含有濃度が抑えられる。従って、成長初期から中間期を経て成長後期に至るまで、昇華ガス中の不純物の含有濃度及び成長した単結晶中における不純物の含有濃度がほぼ一定に保たれる。
本実施形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造方法は、坩堝7の内側面17は円筒状に形成され、この坩堝7内に昇華用原料13を収容し、坩堝7の内周面側から昇華用原料13を加熱する炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、複数の昇華用原料のうち不純物の含有濃度が低い昇華用原料13bを坩堝7内の内周面側に円筒状に配置し、不純物の含有濃度が高い昇華用原料13aを坩堝7内の中央部に円柱状に配置する方法である。
このように、不純物の含有濃度が低い昇華用原料13bと不純物の含有濃度が高い昇華用原料13aとが坩堝7の中心を基準として同心円状に配置されている。また、坩堝7の内周面側から加熱するため、坩堝7の内部では、内周面側が高温部Hで内周側が低温部Lに構成されている。従って、不純物の含有濃度が低い昇華用原料13bを坩堝7内の高温部Hに確実に配置し、不純物の含有濃度が高い昇華用原料13aを確実に低温部Lに配置することができる。
本実施形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造方法は、不純物の含有濃度が高い昇華用原料113aと不純物の含有濃度が低い昇華用原料113bとを仕切り部材27を介して分離する方法である。このように、仕切り部材27を用いるため、昇華用原料113a,113bが粉体の状態でも両者を確実に分離して配置することができる。
すなわち、仕切り部材27がない場合、昇華用原料113a,113bを粉体にするとそれぞれの形状を円柱状、円筒状に形成することができない。従って、昇華用原料113a,113bを加圧成形して仮焼等することにより所定の硬度を保持する必要がある。この点、仕切り部材27がある場合は、加圧成形や仮焼等の必要がない。
(6)その他の実施形態
前述した実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
前述した実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
本実施形態においては、不純物の含有濃度が高い昇華用原料と含有濃度が低い昇華用原料の2種類に分けたが、これに限定されず、異なった3種類以上の含有濃度の昇華用原料に分けても良い。また、不純物の含有濃度を変える場合は、原料粉に不純物を直接添加し、この添加量を変えても良いが、不純物からなる粉末または不純物を含む化合物の粉末を原料粉に混合させ、この混合量を適宜変えても良い。さらに、実施形態では、高温部Hは坩堝内の内周面側で、低温部Lは坩堝内の中央部としたが、これに限定されず、加熱手段の配置等をかえることによって高温部と低温部の位置を変更することができる。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…炭化ケイ素単結晶の製造装置、 3…蓋体、 5…坩堝本体、 7…坩堝、 9…断熱材、 11…誘導加熱コイル、 13…昇華用原料、 13a,13b…昇華用原料、 15…底部、 17…内側面、 21…種結晶取付部、 23…種結晶、 25…不純物、 27…部材、 113…昇華用原料、 113a,113b…昇華用原料、 A,B…原料粉、 H…高温部、 L…低温部
Claims (3)
- 所定の不純物を含む昇華用原料を作製し、前記昇華用原料を坩堝内に収容し、前記昇華用原料を加熱して発生させた昇華ガスによって、炭化ケイ素からなる種結晶上に前記不純物を含む単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、
前記不純物の含有濃度が異なる複数の昇華用原料を作製するステップと、
前記複数の昇華用原料のうち不純物の含有濃度が低い昇華用原料を加熱温度が高い坩堝内の高温部に配置し、前記不純物の含有濃度が高い昇華用原料を加熱温度が低い坩堝内の低温部に配置するステップと、
を含む炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 前記坩堝の内側面が円筒状に形成されており前記昇華用原料を前記坩堝内に収容し、前記坩堝の内周面側から前記昇華用原料を加熱する炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、
前記複数の昇華用原料のうち不純物の含有濃度が低い昇華用原料を前記坩堝内の内周面側に円筒状に配置し、不純物の含有濃度が高い昇華用原料を前記坩堝内の中央部に円柱状に配置する請求項1に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 前記不純物の含有濃度が高い昇華用原料と前記不純物の含有濃度が低い昇華用原料とを仕切り部材を介して分離する請求項1または2に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
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