JP2011250757A - 生体試料中の核酸検出方法 - Google Patents

生体試料中の核酸検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】糞便等の生体試料から核酸を効率よくかつ簡便に検出する方法の提供。
【解決手段】生体試料中の核酸を検出する方法であって、(A)生体試料を、水溶性有機溶媒を有効成分とする核酸安定化剤溶液に混合させた後、得られた懸濁液を所定時間保存する工程と、(B)前記工程(A)により得られた懸濁液の一部を鋳型溶液として用いて、逆転写反応及び/又は核酸増幅反応を行い、当該懸濁液中の核酸を検出する工程と、を有することを特徴とする、生体試料中の核酸検出方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、生体試料中の核酸を、十分な精度で簡便に検出する方法に関する。
近年の遺伝子解析技術の発展により、生体試料中の核酸を解析し、疾患の診断や治療等に役立てようとする試みがなされている。糞便や血液等の生体試料中の核酸を用いることにより、内視鏡検査等の他の臨床検査に比べて、より侵襲性が低く、患者への負担が小さい、という利点がある。また、核酸解析により、疾患に関連する遺伝子を直接検査するため、信頼性の高い結果が得られるという利点もある。例えば、糞便中や血液中のがん細胞の有無やがん細胞由来遺伝子の有無を調べることにより、がんの早期発見や進行の度合いを調べることができる。
糞便中に含まれている核酸を検出する方法としては、例えば特許文献1には、糞便を無処理のままDNA増幅法に供することにより、糞便中の目的核酸を検出する方法が開示されている。当該方法により、コレラ菌等の病原菌への感染の有無を簡便に調べることができる。しかしながら、糞便や血液等の生体試料には核酸以外にも多種多様な物質が含まれているため、核酸は非常に分解され易いという問題がある。このため、無処理のまま糞便を用いた場合には、DNA増幅反応が行われる前に分解等により核酸が損なわれ、実際には生体試料中にがん細胞が含まれていたにも関わらず、がん細胞由来核酸が検出されず、擬陰性となる可能性が高い。よって、生体試料中に極微量にしか含まれていないがん細胞由来核酸を検出するためには、生体試料から検査に供する核酸含有試料を調製する際に、生体試料中の核酸の分解を防止し、検査操作時まで安定して保存し得るようにすることが重要である。
生体試料を核酸抽出前に安定して保存するための方法としては、例えば特許文献2には、生体試料を、試料中の蛋白質分解物質の蛋白質分解活性や核酸分解物質の核酸分解活性に必要な微量金属に結合する、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、及びEDTAのようなキレート剤を含む組成物に暴露する方法が開示されている。当該方法では、生体試料を、キレート剤を含む組成物と混合させることにより、保存中の核酸の分解を抑制している。
また、生体試料中のDNAの安定的な保管とPCR等に使用するための前処理とを同時に行う方法として、例えば、特許文献3には、生物学的サンプルを、アルカリ、グリコール、アルコール及びそれらの混合物を含む群から選択される有機溶媒を含む保管試薬とを混合して、約−80℃〜約50℃の範囲の温度で保管する方法が開示されている。当該方法では、グリコールやアルコールにより生体試料中のDNAを安定化させると同時に、アルカリ処理により、生体試料を溶解させて、DNAを放出させる。つまり、当該方法では、DNAの保存と、生体試料からのDNA抽出とを同時に行っている。
一方で、生体試料から核酸を回収した場合には、元々生体試料中に含まれていた夾雑物(核酸以外の物質)のキャリーオーバー(持ち込み)が多くなり、十分な純度の核酸を回収することが困難である場合が多い。生体試料から回収された核酸の純度が不十分である場合には、この回収された核酸を用いて検査・解析を行ったとしても、回収効率が悪い場合と同様、得られた結果の信頼性が低いという問題がある。そこで、糞便等の生体試料から核酸を抽出・精製する際に、生体試料中の阻害物質のキャリーオーバーを抑制するための方法も幾つか開示されている。例えば、特許文献4には、有機溶媒で被検試料を洗浄して核酸の酵素的増幅反応を阻害する物質を除去し、該被検試料中に含まれる細胞の核酸を酵素的に増幅させることを含む、核酸の酵素的増幅方法が開示されている。
特開平5−103672号公報 特開2004−159648号公報 特表2008−526226号公報 国際公開第00/08136号パンフレット
上記特許文献2に記載の実施例では、比較的夾雑物の少ない尿を生体試料としており、キレート剤を含む組成物により尿中の淋菌DNAを安定して保存し得ることが示されている。しかしながら、糞便のように夾雑物の多い生体試料では、キレート剤のみを有効成分とする組成物では、十分に核酸を安定化することは困難である。
また、特許文献3に記載の方法では、アルカリの保管試薬を用いて、保存と生体試料からの核酸抽出とを同時に行っており、保管試薬中に抽出された状態で核酸は保存される。つまり、アルカリ溶液中で核酸は保存されるため、保存期間中に核酸が分解され易いという問題がある。
一方、特許文献4に記載の方法では、阻害物質のキャリーオーバーを抑制するために、糞便等の生体試料を有機溶媒で洗浄する、という固液分離処理を行う必要がある。固液分離処理には、一般的に遠心分離法やフィルター濾過等が行われるが、このような処理工程が増えることにより、操作が煩雑になる上に、生体試料に由来する汚染等が拡大するおそれがある。
本発明は、煩雑な操作を必要とせずに、糞便等の生体試料から核酸を、十分な精度で検出し得る方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、採取された生体試料を、水溶性有機溶媒を有効成分とする核酸安定化剤溶液に混合させることによって懸濁液を調製した後、当該懸濁液若しくは当該懸濁液を希釈して得られた懸濁液を直接、逆転写反応や核酸増幅反応に用いることにより、核酸の抽出や精製を行うことなく、生体試料中の核酸を十分な精度で検出し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1) 生体試料中の核酸を検出する方法であって、
(A)生体試料を、水溶性有機溶媒を有効成分とする核酸安定化剤溶液に混合させた後、得られた懸濁液を所定時間保存する工程と、
(B)前記工程(A)により得られた懸濁液の一部を鋳型溶液として用いて、逆転写反応及び/又は核酸増幅反応を行い、当該懸濁液中の核酸を検出する工程と、
を有することを特徴とする、生体試料中の核酸検出方法、
(2) 前記工程(B)において、前記工程(A)により得られた懸濁液を希釈した後、希釈された懸濁液の一部を鋳型溶液として用いることを特徴とする前記(1)記載の生体試料中の核酸検出方法、
(3) 前記核酸安定化剤溶液が、前記水溶性有機溶媒として、水溶性アルコール、ケトン類、及びアルデヒド類からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の生体試料中の核酸検出方法、
(4) 前記水溶性有機溶媒が、前記水溶性アルコールとして、エタノール、プロパノール、及びメタノールからなる群より選ばれる1種以上を含むことを特徴とする前記(3)記載の生体試料中の核酸検出方法、
(5) 前記水溶性有機溶媒が、前記ケトン類として、アセトン及び/又はメチルエチルケトンを含むことを特徴とする前記(3)記載の生体試料中の核酸検出方法、
(6) 前記核酸安定化剤溶液のpHが2〜6.5であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の生体試料中の核酸検出方法、
(7) 前記工程(A)において、前記懸濁液を保存する時間が1時間以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の生体試料中の核酸検出方法、
(8) 前記工程(B)において、前記懸濁液に、pHが2以上である酸性緩衝液、前記核酸安定化剤溶液、及び精製水からなる群より選択される1種を添加することにより希釈することを特徴とする前記(2)〜(7)のいずれか一つに記載の生体試料中の核酸検出方法、
(9) 前記酸性緩衝液が、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝系、クエン酸/水酸化ナトリウム緩衝系、及び乳酸/乳酸ナトリウム緩衝系からなる群より選択される緩衝液であることを特徴とする前記(8)記載の生体試料中の核酸検出方法、
(10) 前記核酸安定化剤溶液が、さらに、プロテアーゼ阻害剤及びポリカチオンからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の生体試料中の核酸検出方法、
(11) 前記生体試料が、糞便、血液、又は尿であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれか一つに記載の生体試料中の核酸検出方法、
(12) 前記生体試料中に含まれている哺乳細胞由来の核酸を検出することを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれか一つに記載の生体試料中の核酸検出方法、
(13) 前記哺乳細胞が、消化管細胞又は大腸剥離細胞であることを特徴とする前記(12)記載の生体試料中の核酸検出方法、
(14) 前記哺乳細胞由来の核酸が、新生物性転化を示すマーカー又は炎症性消化器疾患を示すマーカーであることを特徴とする前記(12)又は(13)記載の生体試料中の核酸検出方法、
(15) 前記哺乳細胞由来の核酸が、Cox−2遺伝子由来核酸であることを特徴とする前記(12)又は(13)記載の生体試料中の核酸検出方法、
を提供するものである。
本発明の生体試料中の核酸検出方法により、生体試料から核酸の抽出や精製を行うことなく、生体試料中の核酸を十分な精度で検出することができる。本発明の生体試料中の核酸検出方法は、特に、糞便等のような比較的夾雑物が多く含有されており、かつ核酸が損なわれ易い生体試料中の核酸の検出に好適である。
実施例1において、MDR1遺伝子の発現量の定量結果を示した図である。 実施例2において、GAPDH遺伝子の発現量の相対値を算出した結果を示した図である。 参考例1において、GAPDH遺伝子の発現量の相対値を算出した結果を示した図である。
本発明及び本願明細書において、阻害物質とは、核酸を基質とする酵素反応に対して阻害的に作用する物質を意味する。当該酵素反応としては、核酸を基質とする酵素反応であれば特に限定されるものではなく、例えば、逆転写反応や核酸増幅反応等の核酸解析において一般的に用いられる酵素反応等が挙げられる。ここで、核酸増幅反応とは、ポリメラーゼ又はリガーゼによる塩基鎖の伸長反応を利用して核酸を増幅する反応を意味する。ポリメラーゼによる塩基鎖伸長反応としては、PCR(polymerase chain reaction)、リアルタイムPCR、SDA(Standard Displacement Amplification)等が挙げられる。リガーゼによる塩基鎖伸長反応としては、LCR(ligase chain reaction)等が挙げられる。
該阻害物質としては、具体的には、胆汁酸、胆汁酸塩等が挙げられる。
本発明の生体試料中の核酸検出方法(以下、「本発明の核酸検出方法」ということがある。)は、生体試料中の核酸を検出する方法であって、下記工程(A)〜(B)を有することを特徴とする。
(A)生体試料を、水溶性有機溶媒を有効成分とする核酸安定化剤溶液に混合させた後、得られた懸濁液を所定時間保存する工程と、
(B)前記工程(A)により得られた懸濁液の一部を鋳型溶液として用いて、逆転写反応及び/又は核酸増幅反応を行い、当該懸濁液中の核酸を検出する工程。
本発明の核酸検出方法は、生体試料中に含まれている核酸を、抽出・精製することなく、水溶性有機溶媒を有効成分とする核酸安定化剤溶液に懸濁させた状態で、逆転写反応や核酸増幅反応の鋳型として用いることを特徴とする。逆転写反応や核酸増幅反応において、生体成分由来の不溶物(固形成分)が反応系に存在していると、反応が阻害され、信頼できる結果が得られ難い。特に、糞便等のように阻害物質を多く含む生体試料の場合、不溶物と共に大量の阻害物質が反応系に持ち込まれてしまう。これに対して、本発明の核酸検出方法においては、生体試料を、水溶性有機溶媒を有効成分とする核酸安定化剤溶液に混合させた懸濁液を所定時間保存した後、当該懸濁液を反応液に添加することにより、生体試料から抽出・精製された核酸と同様に、逆転写反応や核酸増幅反応によって所望の反応産物を良好に得ることができる。
本発明の核酸検出方法において、生体試料から抽出・精製することなく、逆転写反応や核酸増幅反応により生体試料中の核酸を精度よく検出し得る理由は明らかではないが、水溶性有機溶媒の核酸安定化効果と阻害物質溶出効果によると推察される。水溶性有機溶媒の核酸安定化効果により、核酸安定化剤溶液と生体試料とからなる懸濁液を長時間保存した場合でも、当該懸濁液中の核酸を安定して保存することができる。そして、水溶性有機溶媒を含む核酸安定化剤溶液に生体試料を所定の時間浸漬させることにより、生体試料中の固形成分から阻害物質を溶出させることができる。よって、生体試料を十分量の核酸安定化剤溶液と混合させることにより、核酸が存在する固形成分自体に含まれる阻害物質量を、逆転写反応等の反応に影響を及ぼさない程度にまで低減させた懸濁液を調製することができる。これにより、固形成分を含んだ状態の懸濁液を反応液に添加した場合に、固形成分から過剰な阻害物質が持ち込まれることを防止することができ、安定に保存されていた核酸を、精度よく検出することができる。
以下工程ごとに説明する。
まず、工程(A)として、生体試料を、水溶性有機溶媒を有効成分とする核酸安定化剤溶液に混合させた後、得られた懸濁液を所定時間保存する。生体試料を、水溶性有機溶媒を有効成分とする核酸安定化剤溶液に混合させることにより、生体試料中の核酸を安定して保存することができる。このように、予め生体試料中の核酸を安定化するため、生体試料中の核酸の分子学的プロファイリングに対する経時的な変化を最小限に抑えつつ、微生物や酵素等の夾雑物の多い生体試料中の核酸を精度よく検出することができる。
水溶性有機溶媒と混合することにより、生体試料中の核酸が安定して保存し得る理由は明らかではないが、水溶性有機溶媒成分が有する脱水作用により、生体試料中に含まれている哺乳細胞や微生物等の細胞活性が顕著に低下するため、及び、水溶性有機溶媒成分が有するタンパク質変性作用により、生体試料中のプロテアーゼ、DNase、RNase等の各種分解酵素の活性が顕著に低下するために得られると推察される。
本発明及び本願明細書において、水溶性有機溶媒とは、水に対する溶解度が高い又は水と任意の割合で混合可能な有機溶媒を意味する。糞便等の生体試料は、通常多量の水分を含有しており、このため、水に対する溶解度が高い溶媒や水と任意の割合で混合可能である溶媒である水溶性有機溶媒を核酸安定化剤溶液の有効成分として用いることにより、生体試料と核酸安定化剤溶液とを速やかに混合することができる。
核酸安定化剤溶液の有効成分として用いられる水溶性有機溶媒としては、具体的には、アルコール類、ケトン類、又はアルデヒド類であって、直鎖構造を有し、室温付近、例えば15〜40℃において液状である溶媒を意味する。直鎖構造を有する水溶性有機溶媒を有効成分とすることにより、ベンゼン環等の環状構造を有する有機溶媒を有効成分とするよりも、生体試料との混合を素早く行うことができる。環状構造を有する有機溶媒は、一般的に水と分離しやすいため、例えば糞便等の生体試料と混合しにくく、高い核酸安定化効果を得ることは難しい。たとえ水にある程度溶解する溶媒であったとしても、糞便等の生体試料を均一に分散させるためには、激しく混合したり、加温する必要があることが多いためである。なお、生体試料と環状構造を有する有機溶媒とを混合しやすくするために、予め有機溶媒と水の混合溶液を作製した後、生体試料と該混合溶液を混合させることも考えられる。しかしながら、該混合溶液を作製するためには、環状構造を有する有機溶媒と水を激しく混合したり、加温する必要がある場合が多く好ましくない。
核酸安定化剤溶液の有効成分としては、水に対する溶解度が12重量%以上の水溶性有機溶媒であることが好ましく、水に対する溶解度が20重量%以上の水溶性有機溶媒であることがより好ましく、水に対する溶解度が90重量%以上の水溶性有機溶媒であることがさらに好ましく、水と任意の割合で混合可能である水溶性有機溶媒であることが特に好ましい。水と任意の割合で混合可能である水溶性有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、ホルムアルデヒド等がある。
核酸安定化剤溶液の有効成分として用いられる水溶性有機溶媒は、上記定義を充足するものであって、核酸高回収効果を奏することができる溶媒であれば特に限定されるものではない。該水溶性有機溶媒として、例えば、アルコール類としては、水溶性アルコールであるメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メルカプトエタノール等があり、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン(水に対する溶解度90重量%)等があり、アルデヒド類としては、アセトアルデヒド(アセチルアルデヒド)、ホルムアルデヒド(ホルマリン)、グルタールアルデヒド、パラフォルムアルデヒド、グリオキサール(glyoxal)等がある。プロパノールは、n−プロパノールであってもよく、2−プロパノールであってもよい。また、ブタノールは、1−ブタノール(水に対する溶解度20重量%)であってもよく、2−ブタノール(水に対する溶解度12.5重量%)であってもよい。本発明において用いられる水溶性有機溶媒としては、水溶性アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ホルムアルデヒドであることが好ましい。水に対する溶解度が十分に高いためである。入手容易性、取り扱い性、安全性等の点から、水溶性アルコールであることがより好ましく、エタノール、プロパノール、メタノールであることがさらに好ましい。特にエタノールは、最も安全性が高く、家庭内でも容易に扱うことが可能であるため、定期健診等のスクリーニング検査において特に有用である。
核酸安定化剤溶液中の水溶性有機溶媒の濃度は、核酸の安定化効果を奏することができる濃度であれば、特に限定されるものではなく、水溶性有機溶媒の種類等を考慮して、適宜決定することができる。核酸安定化剤溶液中の水溶性有機溶媒濃度が充分に高濃度であることにより、生体試料と核酸安定化剤溶液を混合した場合に、生体試料全体に水溶性有機溶媒成分が迅速に浸透し、上記効果を速やかに奏することができる。
例えば、水溶性アルコールやケトン類を用いる場合には、核酸安定化剤溶液中の水溶性有機溶媒濃度は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、50〜80%であることがさらに好ましく、60〜70%であることが特に好ましい。水溶性有機溶媒濃度が高い程、水分含量の多い糞便に対しても少量の核酸安定化剤溶液を用いることによって、充分な効果を得ることができる。
また、アセトン、メチルエチルケトンを用いる場合には、核酸安定化剤溶液中の水溶性有機溶媒濃度は30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。その他、有効成分として、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、パラフォルムアルデヒド、グリオキサールを用いる場合には、核酸安定化剤溶液中の水溶性有機溶媒濃度は0.01〜30%であることが好ましく、0.03〜10%であることがより好ましく、3〜5%であることがさらに好ましい。アルデヒド類は、アルコール類やケトン類よりも低濃度においても効果を奏することができる。
その他、本発明において用いられる核酸安定化剤溶液は、1種類の水溶性有機溶媒のみを含有していてもよく、2種類以上の水溶性有機溶媒の混合溶液であってもよい。例えば、2種類以上のアルコールの混合溶液であってもよく、アルコールと他種類の水溶性有機溶媒との混合溶液であってもよい。核酸安定化効果がより改善されるため、アルコールとアセトンの混合溶液であることも好ましい。
本発明において用いられる核酸安定化剤溶液は、水溶性有機溶媒を適当な溶媒で希釈することにより、所望の濃度に調整することができる。水溶性有機溶媒の希釈に用いる溶媒としては、水溶性有機溶媒による効果を損なわないものであれば、特に限定されるものではない。例えば、水であってもよく、PBS等の緩衝液であってもよい。
本発明において用いられる核酸安定化剤溶液としては、水溶性有機溶媒を、pHが2〜7.5である緩衝液で希釈した溶液であることが好ましく、pHが2以上の範囲内に維持されるような緩衝作用を有する酸性緩衝液で希釈した溶液であることがより好ましい。当該酸性緩衝液のpHは2〜6.5であることが好ましく、3〜6であることがより好ましく、3.5〜5.5であることがさらに好ましく、4.0〜5.0であることが特に好ましい。生体試料を酸性条件下で保持することにより、生体試料中の核酸の加水分解をより効果的に抑制することができる。
核酸安定化剤溶液の調製の際に、水溶性有機溶媒の希釈に用いられる酸性緩衝液としては、有機酸と当該有機酸の共役塩基とを含有するものであって、当該有機酸とその共役塩基とにより緩衝作用を奏するものであることが好ましい。中でも、クエン酸/水酸化ナトリウム緩衝系、乳酸/乳酸ナトリウム緩衝系、及び酢酸/酢酸ナトリウム緩衝系からなる群より選択される緩衝液であることが好ましい。このような緩衝液は、例えば、水や適当な溶媒に、有機酸と当該有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩とを添加することにより、所望のpHに調整することにより調製できる。その他、水や適当な溶媒に有機酸を添加した後に、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物を用いてpHを調整してもよい。
その他、水溶性有機溶媒の希釈に用いられる酸性緩衝液としては、有機酸と鉱酸の双方を含む溶液であって、適当な緩衝作用を有するものであってもよい。例えば、グリシン/HCl緩衝系、カコジル酸Na/HCl緩衝系、又はフタル酸HK/HCl緩衝系等の、酸性側で緩衝作用を有する緩衝系であってもよい。
なお、本発明及び本願明細書において、酸性緩衝液のpHは、ガラス電極法を測定原理としたpHメーター(例えば東亜ディーケーケー社製)を、フタル酸塩標準液と中性リン酸塩標準液によって校正した後に、測定して得られた値である。
本発明において用いられる核酸安定化剤溶液には、水溶性有機溶媒による核酸安定化効果を損なわない限り、その他の成分を添加することができる。このような成分として、例えば、プロテアーゼ阻害剤やポリカチオン、塩類等が挙げられる。
通常、生体試料中の核酸は、細胞内に含まれた状態で存在している。その後、生体試料中に含まれているプロテアーゼにより細胞膜のタンパク質等が分解される結果、細胞膜に生じた孔等から細胞外へと流出し、この細胞外へ流出した核酸等の細胞由来成分は、やはり生体試料中に多量に存在する核酸分解酵素等の働きにより分解されてしまう。そこで、核酸安定化剤溶液の有効成分としてプロテアーゼ阻害剤を用いることにより、生体試料中の細胞膜タンパク質の分解を効果的に抑制し、核酸等の細胞由来成分を、分解酵素等が比較的少量な細胞内に維持することにより、細胞由来成分の保存性を向上させることができる。
核酸安定化剤溶液に添加されるプロテアーゼ阻害剤としては、プロテアーゼ(protease、ペプチド結合の加水分解を触媒し得る酵素)の酵素活性を阻害し得るものであれば、特に限定されるものではなく、プロテイナーゼ(proteinase)阻害剤であってもよく、ペプチダーゼ(peptidase)阻害剤であってもよい。また、セリンプロテアーゼを阻害し得るものであってもよく、システインプロテアーゼを阻害し得るものであってもよく、アスパラギン酸プロテアーゼ(酸性プロテアーゼ)(aspatric protease)を阻害し得るものであってもよく、金属プロテアーゼ(metallo protease)を阻害し得るものであってもよい。
核酸安定化剤溶液に添加されるプロテアーゼ阻害剤としては、公知のプロテアーゼ阻害剤の中から適宜選択して用いることができる。本発明において用いられるプロテアーゼ阻害剤としては、例えば、AEBSF、Aprotinin、Bestain、CalpainInhibitor l、Calpain Inhibitor II、Chymostatin、3,4−Dichloroisocoumain、E−64、Lactacystin、Leupeptin、MG−115、MG−132、PepstatinA、PMSF、Proteasome Inhibitor、TLCK、TPCK、Trypsin Inhibitor等が挙げられる。その他、一般に「プロテアーゼ阻害剤カクテル」と呼ばれる、複数種類のプロテアーゼ阻害剤を組合せたものを使用することもできる。
また、核酸安定化剤溶液に添加される前述のプロテアーゼ阻害剤の濃度は、生体試料中のプロテアーゼを阻害するために十分な濃度であれば、特に限定されるものではなく、添加されるプロテアーゼ阻害剤の種類や、生体試料との混合比、生体試料と混合して調製された懸濁液のpHや温度等を考慮して適宜決定することができる。表1に、生体試料と混合して調製された懸濁液中における各プロテアーゼ阻害剤の好ましい濃度を記載する。
Figure 2011250757
核酸安定化剤溶液に添加されるプロテアーゼ阻害剤としては、上記のようなペプチド系プロテアーゼ阻害剤であってもよく、還元剤であってもよく、タンパク質変性剤であってもよく、キレート剤であってもよい。なお、本発明及び本願明細書において、「ペプチド系プロテアーゼ阻害剤」とは、プロテアーゼと相互作用をすることにより、プロテアーゼ活性を阻害し得るペプチド、又はその修飾体を意味する。
キレート剤としてはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、O,O’−ビス(2−アミノフェニルエチレングリコール)エチレンジアミン四酢酸(BAPTA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、トランスー1,2−ジアミノシクロヘキサンーエチレンジアミン四酢酸(CyDTA)、1,3−ジアミノー2−ヒドロキシブロパンーエチレンジアミン四酢酸(DPTA−OH)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二プロバン酸塩酸塩(EDDP)、エチレンジアミン二メチレンホスホン酸1水和物(EDDPO)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸(EDTPO)、O,O’−ビス(2−アミノエチル)エチレングリコール四酢酸(EGTA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸(HBED)、1,6−ヘキサメチレンジアミン四酢酸(HDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、イミノ二酢酸(IDA)、1,2−ジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ニトリロ三プロパン酸(NTP)、ニトリロ三メチレンホスホン酸三ナトリウム塩(NTPO)、エチレンジアミン四(2−ピリジルメチル)(TPEN)、及びトリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)等が挙げられる。
プロテアーゼ阻害剤として生体試料に添加されるキレート剤の濃度は、生体試料中のプロテアーゼを阻害するために十分な濃度であれば、特に限定されるものではなく、キレート剤の種類等を考慮して適宜決定することができる。好ましくは、生体試料と混合して調製された懸濁液中における最終濃度が0.1mM〜1Mとなるように、各キレート剤を添加する。
還元剤としては、DTT(ジチオスレイトール)、βメルカプトエタノール等が挙げられる。
プロテアーゼ阻害剤として生体試料に添加される還元剤の濃度は、生体試料中のプロテアーゼを阻害するために十分な濃度であれば、特に限定されるものではなく、還元剤の種類等を考慮して適宜決定することができる。好ましくは、生体試料と混合して調製された懸濁液中における最終濃度が0.1mM〜1Mとなるように、各還元剤を添加する。
タンパク質変性剤としては、尿素、グアニン、グアニジン塩等が挙げられる。
プロテアーゼ阻害剤として生体試料に添加されるタンパク質変性剤の濃度は、生体試料中のプロテアーゼを阻害するために十分な濃度であれば、特に限定されるものではなく、タンパク質変性剤の種類等を考慮して適宜決定することができる。好ましくは、生体試料と混合して調製された懸濁液中における最終濃度が0.1mM〜10Mとなるように、各タンパク質変性剤を添加する。
なお、核酸安定化剤溶液には、水溶性有機溶媒に加えて、1種類のプロテアーゼ阻害剤のみを添加してもよく、2種類以上のプロテアーゼ阻害剤を添加してもよい。また、AEBSF等のペプチド系のプロテアーゼ阻害剤を複数種類組み合わせて用いてもよく、ペプチド系プロテアーゼ阻害剤とキレート剤、ペプチド系プロテアーゼ阻害剤と還元剤のように、異なる種類のプロテアーゼ阻害剤を用いてもよい。
本発明においては、核酸安定化剤溶液の有効成分として、水溶性有機溶媒以外にも、ポリカチオンを用いることも好ましい。生体試料をポリカチオンと混合させることにより、生体試料中に含まれている夾雑物による核酸分解・合成反応を効率よく低減させることができる。また、生体試料中には阻害物質も多く含まれているが、生体試料をポリカチオンと混合させることにより、阻害物質による阻害作用を低減させることもできる。
本発明及び本願明細書において、ポリカチオンとは、陽イオン性官能基を含有した繰り返し構造を持つ高分子化合物およびその塩を意味する。陽イオンとしては、例えば、アミノ基等がある。具体的には、下記式(1)に示されるポリリジン等の側鎖に陽イオン性官能基を有するポリペプチドや、ポリアクリルアミド等の陽イオン性官能基を側鎖に含むモノマーを重合して得られるポリマー等が挙げられる。なお、これらのポリペプチドやポリマーは、分子全体として電気的に陽性であればよく、全ての繰り返し単位(アミノ酸やモノマー)の側鎖に陽イオン性官能基を有している必要はないが、全ての繰り返し単位の側鎖に陽イオン性官能基を有していることが好ましい。このようなポリカチオンとして、具体的には、ポリリジンやポリアクリルアミドに加えて、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチルアミン、ポリメタリルアミン、ポリビニルメチルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリアルギニン、キトサン、1,5−ジメチル−1,5−ジアザウンデカメチレン−ポリメトブロマイド、ポリ(2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート)、ポリジメチルアミノメチルスチレン、ポリトリメチルアンモニウムメチルスチレン、ポリオルニチン、及びポリヒスチジン等が挙げられる。本発明においては、ポリカチオンとして、ポリリジン又はポリアクリルアミドであることが好ましく、ポリリジンであることがより好ましい。なお、核酸安定化剤溶液にポリカチオンを添加する場合、1種類のポリカチオンのみを用いてもよく、2種類以上のポリカチオンを用いてもよい。
Figure 2011250757
生体試料に添加されるポリカチオンの濃度は、生体試料中に含まれている阻害物質による阻害作用を低減させる効果(阻害作用低減効果)が得られるために十分な濃度であれば、特に限定されるものではなく、ポリカチオンの種類や、生体試料の種類、核酸安定化剤溶液のpH、核酸安定化剤溶液と生体試料との混合比等を考慮して適宜決定することができる。例えば、ポリカチオンとしてポリリジンを含有する場合には、核酸安定化剤溶液のポリリジン濃度は、0.01〜1.0m重量%であることが好ましく、0.0125〜0.8m重量%であることがより好ましく、0.05〜0.4m重量%であることがさらに好ましい。なお、本願明細書中、「m重量%」は「×10−3重量%」を意味する。
さらに、核酸安定化剤溶液として、高塩濃度溶液を用いてもよい。高塩濃度溶液が核酸安定化剤溶液として好適である理由は明らかではないが、塩析により各種分解酵素が析出してしまうため、高濃度の塩成分が有する脱水作用により、哺乳細胞や腸内常在菌等のバクテリアの細胞活性が顕著に低下して経時的な変化が抑制されるため、及び、最適塩濃度から外れたため、糞便中のプロテアーゼ、DNase、RNase等の各種分解酵素の活性が顕著に低下するためと推察される。
核酸安定化剤溶液に有効成分として含まれる塩としては、生体試料を調製又は解析する際に通常用いられている塩の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、塩酸塩であってもよく、硫酸塩であってもよく、酢酸塩であってもよい。また、有効成分としては、1種類の塩を用いてもよく、2種類以上の塩を組み合わせて用いてもよい。本発明において用いられる核酸安定化剤溶液としては、有効成分として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸セシウム、硫酸カドミウム、硫酸セシウム鉄(II)、硫酸クロム(III)、硫酸コバルト(II)、硫酸銅(II)、塩化リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、及び硫酸亜鉛からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。中でも、入手容易性、取り扱い性、安全性等の点から、塩化ナトリウム及び/又は硫酸アンモニウムを含む溶液であることが好ましい。特に塩化ナトリウムは、最も安全性が高く、家庭内でも容易に扱うことが可能であるため、定期健診等のスクリーニング検査において特に有用である。
核酸安定化剤溶液中の有効成分として含まれる塩の濃度(以下、単に「塩濃度」ということがある。)は、核酸安定化剤として機能する濃度であれば特に限定されるものではなく、用いる塩や溶媒の種類等を考慮して、適宜決定することができる。なお、各塩において、塩濃度の上限値は飽和濃度である。一方、下限値は、用いる塩の種類により異なるものの、当業者であれば予め実験的に求めることが可能である。
例えば、下限値は以下のようにして求めることができる。まず、飽和濃度以下の複数の濃度の塩溶液を調製し、これらの塩溶液に所定期間浸漬させた糞便から核酸を回収する。
この回収された核酸量が、塩溶液未処理の糞便から回収された核酸量よりも多くなる場合の最低塩濃度値を、有効成分として含まれる塩の塩濃度の下限値とすることができる。また、例えば、生体試料として糞便を用いる場合には、糞便に代えて模擬糞便試料として、バクテリアの培養液や、哺乳細胞培養株の培養液とバクテリアの培養液との混合溶液を用いることもできる。
本発明においては、より高い核酸安定化効果を得るためには、塩の種類に関わらず、核酸安定化剤溶液の塩濃度は、有効成分とする塩の飽和濃度の1/2以上の濃度であることが好ましく、飽和濃度の4/5以上の濃度であることがより好ましく、飽和濃度に近いことがさらに好ましく、実質的に飽和濃度であることが特に好ましい。塩濃度が充分に高濃度であることにより、糞便を高塩濃度の核酸安定化剤溶液に混合した場合、糞便に成分が迅速に浸透し、核酸を速やかに安定化することができる。加えて、塩濃度が高い程、水分含量の多い糞便に対して少量の核酸安定化剤溶液を用いた場合であっても、充分な効果を奏することができる。なお、「飽和濃度の1/2倍以上の濃度の溶液」や「飽和濃度の4/5倍以上の濃度の溶液」は、例えば、常法により調製した飽和溶液を溶媒で適宜希釈することにより調製することができる。
例えば、有効成分として塩化ナトリウムを用いる場合には、塩濃度は13%(wt/wt)以上であることが好ましく、20%(wt/wt)以上であることがより好ましく、26%(wt/wt)以上であることがさらに好ましく、26%(wt/wt)から飽和濃度までの濃度であることが特に好ましい。硫酸アンモニウムを用いる場合には、塩濃度は20%(wt/wt)以上であることが好ましく、30%(wt/wt)以上であることがより好ましく、30〜46%(wt/wt)であることがさらに好ましい。
本発明において用いられる核酸安定化剤溶液には、水溶性有機溶媒による核酸安定化効果を損なわない限り、その他にも、例えば、カオトロピック塩、界面活性剤、着色剤等を添加してもよい。
核酸安定化剤溶液にカオトロピック塩や界面活性剤を添加することにより、生体試料中の細胞活性や各種分解酵素の酵素活性をより効果的に阻害することができる。核酸安定化剤溶液に添加させ得るカオトロピック塩として、例えば、塩酸グアニジン、グアニジンイソチオシアネート、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、及びトリクロロ酢酸ナトリウム等がある。核酸安定化剤溶液に添加させる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。該非イオン性界面活性剤として、例えば、Tween80、CHAPS(3−[3−コラミドプロピルジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート)、Triton X−100、Tween20等がある。カオトロピック塩や界面活性剤の濃度は、核酸安定化効果が得られる濃度であれば、特に限定されるものではなく、生体試料量やその後の核酸回収・解析方法等を考慮して、適宜決定することができる。
核酸安定化剤溶液、若しくは生体試料と核酸安定化剤溶液を混合させて得られた懸濁液に着色剤を添加することにより、誤飲防止、生体試料の色が緩和される等の効果が得られる。該着色剤としては、食品添加物として使用される着色料であることが好ましく、青色や緑色等が好ましい。例えば、ファストグリーンFCF(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)等が挙げられる。また、複数の着色剤を混合して添加してもよく、単独で添加しても良い。
本発明の核酸検出方法に供される生体試料としては、細胞や組織片等の不溶物(固形成分)を含む生体試料であれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、糞便、尿、血液、骨髄液、リンパ液、喀痰、唾液、精液、胆汁、膵液、腹水、滲出液、羊膜液、腸管洗浄液、肺洗浄液、気管支洗浄液、又は膀胱洗浄液等が挙げられる。その他、培養細胞等の培養物であってもよい。本発明の核酸検出方法に供される生体試料としては、特に、糞便、血液、尿、又は培養細胞等の培養物であることが好ましい。また、生体試料は、生物から採取されたものであれば特に限定されるものではないが、哺乳動物由来のものであることが好ましく、ヒト由来のものであることがより好ましい。例えば、定期健診や診断等のためにヒトから採取された生体試料であることが好ましいが、家畜や野生動物等の生体試料であってもよい。また、採取後一定期間保存されたものであってもよいが、採取直後のものであることが好ましい。生体試料が糞便である場合には、本発明の核酸検出方法に供される糞便は、排泄直後のものであることが好ましいが、排泄後時間を経たものであってもよい。
本発明の核酸検出方法に供される生体試料の量は特に限定されるものではなく、生体試料の種類、核酸の検出に用いる反応の種類等を考慮して、適宜決定することができる。例えば糞便の場合には、10mg〜1gであることが好ましい。糞便量があまりに多くなってしまうと、採取作業に手間がかかり、採便容器も大きくなってしまうため、取り扱い性等が低下するおそれがある。逆に糞便量があまりに少量である場合には、糞便中に含まれる大腸剥離細胞等の哺乳細胞数が少なくなりすぎるため、必要な核酸量を回収できず、目的の核酸解析の精度が低下するおそれがある。また、糞便はヘテロジニアスである、つまり、多種多様な成分が不均一に存在しているため、哺乳細胞の局在の影響を避けるために、採糞時には、糞便の広範囲から採取することが好ましい。
糞便等の固形成分の多い生体試料である場合には、採取された生体試料と混合させる核酸安定化剤溶液の容量は、特に限定されるものではないが、生体試料と核酸安定化剤溶液との混合比率は、生体試料容量1に対して核酸安定化剤溶液容量が1以上であることが好ましい。生体試料と等量以上の核酸安定化剤溶液を用いることにより、生体試料の全表面を核酸安定化剤溶液に浸らせることができ、生体試料に水溶性有機溶媒等の有効成分を十分に作用させることが可能となるためである。特に、生体試料に対して、5倍以上の容量の核酸安定化剤溶液を混合させることにより、核酸安定化剤溶液中への生体試料の分散を迅速かつ効果的に行うことができ、さらに、生体試料に含有されている水分による水溶性有機溶媒濃度の低下の影響を抑えることもできる。一方、生体試料と核酸安定化剤溶液との混合物の総量は比較的少量であるほうが、取り扱いが容易となって好ましい場合も多い。例えば、糞便を用いる場合には、予め核酸安定化剤溶液を備えた採便容器に糞便を採取し、当該容器内で混合物を調製することができるが、この場合に、例えば、糞便と核酸安定化剤溶液が等量である場合には、核酸安定化剤溶液入り採便容器の軽量化・小型化が可能となる。このように、生体試料及び得られる懸濁液の取り扱い性と、生体試料の核酸安定化剤溶液への分散性とを、バランス良く向上させることが可能となるため、生体試料が糞便である場合には、生体試料と核酸安定化剤溶液の混合比率が、1:1〜1:20であることがより好ましく、1:3〜1:10であることがさらに好ましく1:5程度であることがより好ましい。
工程(A)における生体試料と核酸安定化剤溶液との混合は、生体試料を核酸安定化剤溶液に浸漬させ、特段の攪拌操作を行わないものであってもよい。本発明で用いられる核酸安定化剤溶液は、水分含有量の多い糞便等の生体試料に対しても非常に馴染みやすいため、混合する生体試料の量や状態によっては、単に核酸安定化剤溶液に浸漬させて特段の攪拌操作を行わない場合であっても、生体試料中に十分に浸透し、十分な核酸安定化効果が奏されるためである。
生体試料と核酸安定化剤溶液との混合は、生体試料を核酸安定化剤溶液に投入して浸漬させた後に攪拌してもよい。攪拌することにより、生体試料を十分に核酸安定化剤溶液に分散させ、懸濁させることができる。生体試料を投入した核酸安定化剤溶液を攪拌して懸濁液を調製する場合には、該攪拌は、速やかに行われることが好ましい。生体試料を速やかに核酸安定化剤溶液中に分散させることにより、迅速に、生体試料中の細胞に水溶性有機溶媒等の有効成分を浸透させたり、生体試料中の夾雑物に対し水溶性有機溶媒等を作用させることができ、より優れた核酸安定化効果が得られるためである。
なお、生体試料と核酸安定化剤溶液を混合し懸濁液を調製する方法は、物理的手法により混合する方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、予め核酸安定化剤溶液を入れておいた密閉可能な容器に、採取された生体試料を投入して密閉した後、該容器を上下に転倒させることにより、混合してもよく、該容器をボルテックス等の振とう機にかけることにより混合してもよい。また、生体試料と核酸安定化剤溶液を、混合用粒子の存在下で混合してもよい。速やかに混合させることができるため、振とう機を用いる方法や、混合用粒子を用いる方法であることが好ましい。特に、予め混合用粒子を含有させた採取用容器を用いることにより、家庭等の特殊な装置のない環境においても迅速に混合することができる。
混合用粒子としては、核酸安定化剤溶液による核酸安定化効果を損なわない組成物であって、糞便等の生体試料にぶつかることにより、生体試料を迅速に核酸安定化剤溶液中に分散させ得る硬度や比重を有する粒子であれば、特に限定されるものではなく、1種類の材質からなる粒子であってもよく、2種類以上の材質からなる粒子であってもよい。このような混合用粒子として、例えば、ガラス、セラミックス、プラスチック、ラテックス、金属等からなる粒子がある。その他、混合用粒子は、磁性粒子であってもよく、非磁性粒子であってもよい。
工程(A)では、生体試料と核酸安定化剤溶液との混合により得られた懸濁液を、所定時間保存する。懸濁液を保存することにより、生体試料を十分に水溶性有機溶媒に暴露することができ、高い核酸安定化効果を得ることができる。と同時に、生体試料を核酸安定化剤溶液に混合させた状態で所定時間保存することにより、生体試料に含まれていた阻害物質を、核酸安定化剤溶液に効率よく溶出することができる。
水溶性有機溶媒によるこのような阻害物質溶出効果は、水溶性有機溶媒に対する阻害物質と核酸の溶解性の差によるものと推察される。すなわち、胆汁酸等の阻害物質は、アルコール等の水溶性有機溶媒には溶解しやすいが、非極性有機溶媒に溶けにくい。一方、核酸はアルコール中では塩の効果で不溶化し、アルコール等の水溶性有機溶媒には溶解しにくい。したがって、糞便等の生体試料をアルコール等の水溶性有機溶媒に混合させると、阻害物質を水溶性有機溶媒中に溶出させ、水溶性有機溶媒成分に不溶な核酸との分離が可能となると推察される。
懸濁液を保存する時間は、核酸安定化効果及び阻害物質溶出効果を奏し得る時間であれば、特に限定されるものではなく、水溶性有機溶媒の種類や濃度、生体試料と核酸安定化剤溶液との混合比、保存温度等を考慮して適宜決定することができる。本発明の核酸検出方法においては、1時間以上保存することが好ましく、12時間以上保存することがより好ましく、24時間以上保存することがさらに好ましく、72時間以上保存することが特に好ましい。また、168時間以上保存してもよい。
水溶性有機溶媒による核酸安定化効果及び阻害物質溶出効果は、懸濁液中に充分量の水溶性有機溶媒が存在する限り、特に温度条件に影響を受けるものではない。したがって、本発明の核酸検出方法は、糞便等の生体試料の採取が通常行われる温度、すなわち、室温において行う場合であっても、生体試料中の核酸の損失を抑えることができる。但し、該懸濁液の保存は、50℃以下で行うことが好ましい。高温条件下で長期間保存することにより、揮発等により、該混合物中の水溶性有機溶媒の濃度が、効果を奏するに充分な濃度よりも低下するおそれがあるためである。
水溶性有機溶媒による阻害物質溶出効果は、生体試料を保存する温度が低温の場合よりもむしろ温度が高いほうが高い効果が得られる。具体的には、本発明においては、工程(A)における懸濁液の保存温度は、4℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。
本発明の核酸検出方法においては、工程(A)における懸濁液の保存温度は、4℃以上であれば核酸安定化効果及び阻害物質溶出効果を奏し得る。すなわち、懸濁液の保存は、恒温装置等を用いて温度制御された環境下で行ってもよいが、温度制御された特別な環境を必要とせず、室温で行ってもよい。また、通常糞便の採取や糞便試料の輸送等が行われる温度で行うこともできる。したがって、例えば、工程(A)において調製された懸濁液を温度非制御下で輸送する場合には、この輸送期間を保存期間とすることができる。より具体的には、定期健診等の場合のように、採便者が糞便試料を調製する場所と核酸検出操作を行う場所とが離れており、調製された懸濁液が核酸検出操作を行う場所に輸送される場合に、輸送時の温度が4〜50℃であれば、温度制御の有無にかかわらず、この輸送時間を工程(A)における保存時間とすることができる。
次いで、工程(B)として、工程(A)により得られた懸濁液の一部を鋳型溶液として、逆転写反応及び/又は核酸増幅反応を行い、当該懸濁液中の核酸を検出する。懸濁液を逆転写反応等の反応液に添加する際、懸濁状態のまま反応液に添加する、すなわち、懸濁液中の不溶物(固形成分)を反応液に添加する。生体試料中の核酸の大部分は、もともと細胞等の固形成分中に存在しているが、本発明においては、固形成分中の核酸を積極的に溶出させる操作を行ってはいない。このため、大部分の核酸は固形成分内若しくは固形成分の表面に接着した状態で存在していると推察される。よって、懸濁液中の固形成分を反応液に添加することにより、核酸を効率よく反応液に添加することができる。
なお、工程(A)における懸濁液の調製において、生体試料と核酸安定化剤溶液との混合比によっては、得られた懸濁液の阻害物質濃度が高く、当該懸濁液をそのまま反応液に添加した場合には、持ち込まれた阻害物質が逆転写反応や核酸増幅反応に影響を及ぼしてしまう場合がある。また、核酸安定化剤溶液の組成によっては、当該懸濁液をそのまま反応液に添加した場合には、持ち込まれた核酸安定化剤溶液の有効成分自体が反応に影響を及ぼしてしまうおそれがある。これらの場合には、工程(A)により得られた懸濁液を、希釈した後、得られた希釈後の懸濁液の一部を鋳型溶液として用いることができる。
懸濁液の希釈倍率は、逆転写反応又は核酸増幅反応の反応液に添加した際に、持ち込まれた阻害物質が反応に影響しない程度にまで、希釈後の懸濁液の阻害物質の濃度を低減できる範囲内の希釈倍率であれば、特に限定されるものではなく、生体試料の種類や阻害物質の含有量、水溶性有機溶媒の種類、生体試料と核酸安定化剤溶液との混合比等を考慮して、適宜決定することができる。
希釈するために懸濁液に添加される溶媒としては、水溶性有機溶媒による核酸安定化効果及び阻害物質溶出効果を損なわないものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、核酸安定化剤溶液の調製において、水溶性有機溶媒の希釈に用いられる溶媒として挙げられたものを挙げることができる。また、核酸安定化剤溶液を用いてもよい。本発明においては、懸濁液に、pHが2以上である酸性緩衝液、核酸安定化剤溶液、又は精製水を添加することにより希釈することが好ましい。
懸濁液又は希釈後の懸濁液(以下、単に「懸濁液」ということがある。)は、均一化した後に、その一部を分取して反応液に添加することが好ましい。予め均一化処理を行うことにより、懸濁液から反応液に添加する核酸量のばらつきが抑制されるため、より再現性・信頼性に優れた検出結果を得ることができる。懸濁液の均一化処理としては、懸濁液中の固形成分を十分に分散させることができる処理であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ボルテックス等を用いた攪拌操作や、ピペット等を用いたピペッティング操作等が挙げられる。
逆転写反応又は核酸増幅反応の反応液に添加される懸濁液の量は、懸濁液から核酸と共に持ち込まれる阻害物質や水溶性有機溶媒が、それぞれの反応に与える影響が無視し得る程度にまで抑えられる範囲内となるように、適宜設定することができる。例えば、核酸安定化剤溶液の水溶性有機溶媒としてエタノール等のアルコールやアセトン等のケトン類を用いている場合には、反応液中のアルコール濃度やケトン類濃度が1%以下となるように、反応液に添加する懸濁液の量を調整することが好ましい。アルコールとケトン類の両方を用いている場合には、反応液中のアルコールとケトン類を合計した濃度が1%以下となるように、反応液に添加する懸濁液の量を調整することが好ましい。また、水溶性有機溶媒としてホルムアルデヒド等のアルデヒド類を用いている場合には、反応液中のアルデヒド類濃度が0.01%以下となるように、反応液に添加する懸濁液の量を調整することが好ましい。
懸濁液中には、DNAとRNAの両方が含まれ得る。例えば、懸濁液中のDNAを鋳型として、PCR等の核酸増幅反応を行うことにより、標的の核酸を検出することができる。同様に、懸濁液中のRNAを鋳型として、NASBA等の核酸増幅反応を行うことにより、標的の核酸を検出することもできる。また、懸濁液中のRNAを鋳型として逆転写反応を行った後、得られたcDNAを鋳型として核酸増幅反応を行うことにより、標的の核酸を検出することができる。逆転写反応により得られたcDNAを、核酸増幅反応以外の公知の核酸解析法に供することによって、標的の核酸を検出してもよい。なお、逆転写反応及び核酸増幅反応は、当該分野において公知の方法により行うことができる。
懸濁液中のDNAを検出対象とする場合には、例えば、核酸増幅反応を利用して、DNA上の変異解析やエピジェネティック変化解析を行うことができる。変異解析としては、例えば、塩基の挿入、欠失、置換、重複、又は逆位の解析等が挙げられる。また、エピジェネティック変化解析としては、例えば、メチル化や脱メチル化の解析等が挙げられる。また、マイクロサテライトを含む塩基配列領域等の遺伝的変異の有無を検出することにより、がんの発症の有無を調べることができる。一方、懸濁液中のRNAを検出対象とする場合には、例えば、RNA上の塩基の挿入、欠失、置換、重複、逆位、又はスプライシングバリアント(アイソフォーム)等の変異を検出することができる。その他、機能性RNA(ノンコーディングRNA)解析、例えば、転移RNA(transfer RNA、tRNA)、リボソームRNA(ribosomalRNA、rRNA)、microRNA(miRNA、マイクロRNA)等の解析を行うことができる。その他、RNA発現量を検出し解析することもできる。特に、mRNAの発現解析、K−ras遺伝子の変異解析、及びDNAのメチル化の解析等を行うことが好ましい。なお、これらの解析は、当該分野において公知の方法により行うことができる。
本発明の核酸検出方法では、目的に応じて、生体試料中に含まれているいずれの生物種由来の核酸を検出してもよいが、哺乳細胞由来の核酸を検出することが好ましい。また、生体試料として糞便を用いた場合には、当該糞便を排泄した哺乳動物の消化管細胞や大腸剥離細胞由来の核酸を検出することが好ましい。
工程(C)における核酸の検出では、特に、新生物性転化を示すマーカーや炎症性消化器疾患を示すマーカーを検出することが好ましい。該新生物性転化を示すマーカーとして、例えば、がん胎児性抗原(CEA)、シアリルTn抗原(STN)等の公知のがんマーカーや、APC遺伝子、p53遺伝子、K−ras遺伝子等の変異の有無等がある。また、p16、hMLHI、MGMT、p14、APC、E−cadherin、ESR1、SFRP2等の遺伝子のメチル化の検出も、大腸疾患の診断マーカーとして有用である(例えば、Lind et al.、「A CpG island hypermethylation profile of primary colorectal carcinomas and colon cancer cell lines」、Molecular Cancer、2004年、第3巻第28章参照。)。その他、糞便試料中のヘリコバクターピロリ菌由来のDNAが、胃がんマーカーとして用いられ得ることが既に報告されている(例えばNilsson et al.、Journal of Clinical Microbiology、2004年、第42巻第8号、第3781〜8ページ参照。)。一方、炎症性消化器疾患を示すマーカーとして、例えば、Cox−2遺伝子由来核酸等がある。なお、Cox−2遺伝子由来核酸は、新生物性転化を示すマーカーとしても用いられる。例えば、本発明の核酸検出方法を用いることにより、生体試料として糞便を用い、工程(C)における核酸の検出でCox−2遺伝子由来核酸を検出することができる。こうして得られた検出結果は、大腸癌の検出に利用することができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に記載が無い場合には、「%」は「体積%」を意味する。また、培養細胞であるCaco−2細胞及びHeLa細胞は、常法により培養した。
[実施例1]
大腸がん患者擬似糞便を生体試料とし、本発明の核酸検出方法により、大腸がん患者擬似糞便中に含まれるMDR1(multidrug resistance1)遺伝子に由来する核酸を検出した。
健常人の糞便0.5gに対し、MDR1(multidrug resistance1)遺伝子を高発現しているヒト大腸がん由来培養細胞Caco−2細胞を5.0×10 cells混合させたものを、大腸がん患者擬似糞便とした。
また、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝系の緩衝液によって酸性に調整された70%エタノール溶液(pH5.0)を、核酸安定化剤溶液として用いた。
具体的には、該大腸がん患者擬似糞便を、15mLのポリプロピレンチューブ2本にそれぞれ0.5gずつ分取し、10mLの核酸安定化剤溶液をそれぞれ混合して懸濁液を調製した。調製した懸濁液を、室温(25℃)の恒温インキュベータにおいて3日間保存した。
保存後、2本のポリプロピレンチューブのうちの1本の中の懸濁液に対して下記調整法1により逆転写反応の鋳型溶液(RT鋳型溶液)を調製し、残る1本の中の懸濁液に対して下記調整法2によりRT鋳型溶液を調製した。つまり、いずれの調整法によっても、糞便試料からRNAを抽出・精製することなく、RT鋳型溶液を調製した。
調製法1:
懸濁液を、15000rpmで10分間遠心分離処理し、上清の大部分を除去した。その後、沈殿を含む懸濁物から1μLを10回分取し、それぞれをRT鋳型溶液とした。
調製法2:
遠心分離処理を行うことなく、懸濁液をボルテックスで30秒間混合した後、均一化された懸濁液から1μLを10回分取し、それぞれをRT鋳型溶液とした。
2種類の調製法から得られた計20種のRT鋳型溶液をそれぞれ鋳型としてRT反応を行い、得られたcDNAを鋳型としてPCRを行うことにより、MDR1遺伝子の転写産物であるmRNAの検出を試みた。
RT反応は、SuperScript(登録商標)First−Strand Synthesis System for RT−PCR(インビトロジェン社製)を用いて、RT鋳型溶液1μLをcDNAに逆転写した。具体的には、表2に示す組成のRT反応液を調製し、25℃で10分間、次いで42℃で50分間、さらに70℃で15分間の熱処理を行い、RT反応を行った。
Figure 2011250757
RT反応後の溶液20μL中1μLをリアルタイムPCRの鋳型とし、ヒトMDR1遺伝子の検出を行った。PCRのプライマーとして、アプライドバイオシステム社製のMDR1プライマープローブMIX(カタログNo:Hs00184500_m1)を用いた。具体的には、0.2mLの96ウェルPCRプレートに、得られたcDNAを1μLずつそれぞれ分取した。その後、各ウェルに8μLの超純水と10μLの核酸増幅(塩基鎖伸長)試薬「TaqMan GeneExpression Master Mix」(アプライドバイオシステム社製)を添加し、さらに、1μLのMDR1プライマープローブMIX(アプライドバイオシステム社製)をそれぞれ添加して混合し、PCR反応溶液を調製した。該PCRプレートを、ABIリアルタイムPCR装置に設置し、95℃で10分間処理した後、95℃で15秒、60℃で1分間の熱サイクルを40サイクル行い、サイクルごとに蛍光強度を計測しながらPCRを行った。蛍光強度の計測結果を分析して、各糞便試料中のMDR1遺伝子の発現量を定量した。なお、発現量決定のための検量線にはMDR1プラスミドを用いた。
Figure 2011250757
MDR1遺伝子の発現量の定量結果を表3及び図1に示す。調製法1により調製されたRT鋳型溶液を用いた場合には、発現量の平均値は高いもののばらつきが非常に大きく、安定した結果は得られなかった。これに対して、調製法2により調製されたRT鋳型溶液を用いた場合には、発現量のばらつきが小さく、精度の高いデータを得ることができた。これは、調製法1では遠心後の沈殿を鋳型として用いているため、遠心による濃縮で鋳型の量は調整法2よりも多くなるが、沈澱が不均一なために発現量が安定して得られなかったと考えられる。調製法2では、均一に分散させた後の懸濁液を鋳型として用いているため、均一な結果が得られたと考えられる。
遺伝子検査に限らず、臨床検査では再現性が重要である。調整法1では結果のばらつきが大きいため、場合によって検査結果の誤判定を招いてしまう。よって、調整法2のような、すなわち、本発明の核酸検出方法で用いているように、再現性の高い調製方法が有用であると考えられる。
[実施例2]
生体試料として阻害物質が多く含まれている糞便と、阻害物質がほとんど含まれていない培養細胞の培養物とを用いて、核酸検出における阻害物質の影響を比較した。
70%エタノール溶液(pH5.5)を、核酸安定化剤溶液として用いた。
糞便試料として、健常人1名より採取された糞便を、2本の15mLのポリプロピレンチューブに1gずつ分取し、各糞便に対して核酸安定化剤溶液を各10mL加えて混合し、懸濁液を調製した。
一方で、細胞試料として、常法により培養したHeLa細胞を、2本の15mLのポリプロピレンチューブに1×10個ずつ分取し、各細胞溶液に対して核酸安定化剤溶液を各10mL加えて混合し、懸濁液を調製した。
各試料を25℃で1日間保存した後、糞便試料と細胞試料の各1本ずつに対して、2000rpmで10分間遠心分離処理し、上清を除去した後、得られた沈殿にそれぞれ10mLの0.1Mクエン酸/NaoHバッファー(pH5.0)と混合し、洗浄済み懸濁液を調製した。
このように調製した4種類の懸濁液(未洗浄の糞便試料、洗浄済み糞便試料、未洗浄の細胞試料、洗浄済み細胞試料)を測定サンプルとした。各懸濁液をそれぞれ3倍4段階希釈し、希釈倍率が×1〜×27までの懸濁液を調製し、これらをRT鋳型溶液とした。
各RT鋳型溶液1μLを用いて、実施例1と同様にしてRT反応を行い、RT反応後の溶液20μL中1μLをリアルタイムPCRの鋳型とし、1μLのGAPDHプライマープローブMIX(アプライドバイオシステム社製、カタログNo:Hs02786624_gl)を用いて、実施例1と同様にしてリアルタイムRT−PCRを行い、ヒトGAPDH遺伝子の検出を行った。
蛍光強度の計測結果を分析し、発現量の相対値基準として、洗浄済み糞便試料の27倍希釈液の発現量(図2(A)中、「洗浄済み糞便試料×27」)を1とし、GAPDH遺伝子の発現量の相対値を算出した。算出結果を図2に示す。図2(A)は未洗浄の糞便試料及び洗浄済み糞便試料の希釈後の懸濁液をRT鋳型溶液とした場合の結果を、図2(B)は未洗浄の細胞試料及び洗浄済み細胞試料の希釈後の懸濁液をRT鋳型溶液とした場合の結果を、それぞれ示す。
図2(A)に示すように、未洗浄の糞便試料と洗浄済み糞便試料のいずれにおいても、9倍希釈液(×9)までは、希釈倍率が高いほど、GAPDH遺伝子の発現量が上昇していた。これは、希釈倍率が高いほど、糞便試料中に含まれていた阻害物質のRT反応液やその後のPCR反応液への持ち込み量が減少するため、反応液に添加された核酸量が減少したにもかかわらず、発現量の上昇が観察されたと考えられる。RT鋳型溶液1μLであり、RT反応液の総量が20μLであることから、1倍希釈液(×1)のRT鋳型溶液を用いた場合には、RT反応液中の阻害物質量は、RT鋳型溶液の20分の1であるが、それでもRT反応が阻害されていることがわかった。一方で、27倍希釈液(×27)では、阻害物質の持ち込み量が十分に低減され、阻害作用は軽減しているため、希釈による鋳型量の減少を反映して発現量が減少した。
一方で、細胞試料の場合には、図2(B)に示すように、未洗浄の細胞試料と洗浄済み細胞試料のいずれにおいても、希釈倍率が高いほど、GAPDH遺伝子の発現量が減少していた。これは、細胞試料では、糞便試料と異なり、反応が阻害なく起こっているため、発現量は反応系に添加した鋳型となる核酸量に依存することを示している。
これらの結果から、糞便のように阻害物質を多く含む生体試料であっても、調製された懸濁液を適宜希釈することにより、核酸を抽出・精製することなく、生体試料中の核酸を検出し得ることが明らかである。
[参考例1]
精製した核酸を鋳型として使用し、RT反応及びPCRに対する、反応液中に混入される水溶性有機溶媒(エタノール、アセトン、ホルムアルデヒド)の影響を調べた。
常法により培養したHeLa細胞からRNAをRNeasy mini kit(キアゲン社製)により抽出したサンプルを鋳型RNAとした。
RT反応は、high capacity RNA−to−cDNA kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて行った。RT反応液に有機溶媒の最終濃度が、1、5、10、若しくは30%のエタノール、1、5、10、若しくは30%のアセトン、又は、0.01、0.1、1、若しくは10%のホルムアルデヒドとなるように調製した。対照として、水溶性有機溶媒を添加しないRT反応液も調製した。
具体的には、0.2mL PCRチューブに、1μLの鋳型RNA、10μLの2×RT buffer、1μLの20×Enzyme MIX、及び8μLの水溶性有機溶媒含有精製水を混合した後、37℃で60分間、次いで95℃で5分間の熱処理を行い、cDNAを合成した。その後、RT反応後の溶液20μL中1μLをリアルタイムPCRの鋳型とし、1μLのGAPDHプライマープローブMIX(アプライドバイオシステム社製、カタログNo:Hs02786624_gl)を用いて、実施例1と同様にしてリアルタイムRT−PCRを行い、ヒトGAPDH遺伝子の検出を行った。
蛍光強度の計測結果を分析し、発現量の相対値基準として、水溶性有機溶媒を添加しなかったRT反応液の結果を1とし、GAPDH遺伝子の発現量の相対値を算出した。算出結果を図3に示す。図3(A)はエタノールを混入した場合の結果を、図3(B)はアセトンを混入した場合の結果を、図3(C)はホルムアルデヒドを混入した場合の結果を、それぞれ示す。図中、「X%」は各水溶性有機溶媒の混入割合を示す。
図3(A)及び(B)に示すように、RT反応液にエタノールやアセトンを混入させた場合には、最終濃度が30%では発現量が全く得られず、反応が阻害されているのが分かった。また、10%から濃度が下がるにつれ発現量が上昇しており、1%では0%(水溶性有機溶媒の添加なし)と同等となり、水溶性有機溶媒の混入による影響(阻害作用)が全く見られなくなった。
一方で、図3(C)に示すように、ホルムアルデヒドでは、RT反応液への混入割合が0.1%以下の場合に発現量が得られ、0.01%で水溶性有機溶媒の混入による影響(阻害作用)が全く見られなくなった。
つまり、生体試料と核酸安定化剤溶液との懸濁液をRT反応に用いる場合、RT反応液における水溶性有機溶媒の最終濃度を考慮し、添加する懸濁液量を決定するとよいこと好ましく、特に、RT反応液における最終濃度が、エタノールやアセトンでは10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下となるように、またホルムアルデヒドでは、0.1%以下、好ましくは0.01%以下となるように、添加する懸濁液量を決定すると良いと考えられる。
本発明の核酸検出方法により、煩雑な操作を必要とせずに、糞便等の生体試料から核酸を、十分な精度で検出することができるため、特に生体試料を用いた定期健診等の臨床検査等の分野において利用が可能である。

Claims (15)

  1. 生体試料中の核酸を検出する方法であって、
    (A)生体試料を、水溶性有機溶媒を有効成分とする核酸安定化剤溶液に混合させた後、得られた懸濁液を所定時間保存する工程と、
    (B)前記工程(A)により得られた懸濁液の一部を鋳型溶液として用いて、逆転写反応及び/又は核酸増幅反応を行い、当該懸濁液中の核酸を検出する工程と、
    を有することを特徴とする、生体試料中の核酸検出方法。
  2. 前記工程(B)において、前記工程(A)により得られた懸濁液を希釈した後、得られた希釈後の懸濁液の一部を鋳型溶液として用いることを特徴とする請求項1記載の生体試料中の核酸検出方法。
  3. 前記核酸安定化剤溶液が、前記水溶性有機溶媒として、水溶性アルコール、ケトン類、及びアルデヒド類からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の生体試料中の核酸検出方法。
  4. 前記水溶性有機溶媒が、前記水溶性アルコールとして、エタノール、プロパノール、及びメタノールからなる群より選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項3記載の生体試料中の核酸検出方法。
  5. 前記水溶性有機溶媒が、前記ケトン類として、アセトン及び/又はメチルエチルケトンを含むことを特徴とする請求項3記載の生体試料中の核酸検出方法。
  6. 前記核酸安定化剤溶液のpHが2〜6.5であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の生体試料中の核酸検出方法。
  7. 前記工程(A)において、前記懸濁液を保存する時間が1時間以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の生体試料中の核酸検出方法。
  8. 前記工程(B)において、前記懸濁液に、pHが2以上である酸性緩衝液、前記核酸安定化剤溶液、及び精製水からなる群より選択される1種を添加することにより希釈することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の生体試料中の核酸検出方法。
  9. 前記酸性緩衝液が、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝系、クエン酸/水酸化ナトリウム緩衝系、及び乳酸/乳酸ナトリウム緩衝系からなる群より選択される緩衝液であることを特徴とする請求項8記載の生体試料中の核酸検出方法。
  10. 前記核酸安定化剤溶液が、さらに、プロテアーゼ阻害剤及びポリカチオンからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の生体試料中の核酸検出方法。
  11. 前記生体試料が、糞便、血液、又は尿であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の生体試料中の核酸検出方法。
  12. 前記生体試料中に含まれている哺乳細胞由来の核酸を検出することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の生体試料中の核酸検出方法。
  13. 前記哺乳細胞が、消化管細胞又は大腸剥離細胞であることを特徴とする請求項12記載の生体試料中の核酸検出方法。
  14. 前記哺乳細胞由来の核酸が、新生物性転化を示すマーカー又は炎症性消化器疾患を示すマーカーであることを特徴とする請求項12又は13記載の生体試料中の核酸検出方法。
  15. 前記哺乳細胞由来の核酸が、Cox−2遺伝子由来核酸であることを特徴とする請求項12又は13記載の生体試料中の核酸検出方法。
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