JP2011250631A - 回転電機および回転電機のステータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電動モータのステータは、複数のコア体が保持される円筒状のステータリング15を備えている。ステータリング15を形成する円筒部151の軸方向の両端部には、それぞれ所定の軸方向の幅を有する端部領域ETが設けられている。また、円筒部151上の端部領域ET同士の間には、端部領域ETよりも幅広の中央領域CTが設けられている。外周フランジ152が接続された側の端部領域ETには、ステータリング15の内外を連通する複数の矩形スリット155が貫通しており、中央領域CTにはステータリング15を貫く貫通孔は形成されていない。矩形スリット155の形成により端部領域ETが円周方向に伸長し、ステータリング15の軸方向端部は半径方向に拡張可能に形成されている。
【選択図】図2
Description
しかしながら、回転電機の各々の部材には寸法上のばらつきがあり、このばらつきによって上述した締め代も変動する。寸法上のばらつきを考慮して、最悪の場合でも上述した所定の締め代が維持されるように各部材の寸法を設定すると、締め代が多めになった場合、保持リングの内周面からコア列の外周面に加えられる面圧が増大する。各々のコアは、構成要素として多数の薄い電磁鋼板が積層されて形成されており、外周面に加えられた面圧によって座屈しやすい。
しかしながら、この方法によっても、冷却後の保持リングとコア列との間の締め代が大きい場合には、外周面に加えられた面圧によって電磁鋼板が座屈しやすい点については、圧入による場合と同様であった。
しかしながら、その反面、貫通孔が形成されることにより保持リングは、その強度が低下する。すなわち、保持リングの強度は、形成される貫通孔の数に応じて低下し、コアが保持リングから受ける面圧を低減することと、保持リングの強度を維持することとは相反する課題であった。
さらに、保持リングの軸方向端部において、コア列の保持リング内への挿入を容易にするためのフランジ部が全周に形成されている場合、当該フランジ部がリインフォースメントの働きをして、保持リングの軸方向端部の剛性が過大となる。このため、コアの端面に位置する電磁鋼板の座屈は、いっそう著しくなる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、保持リングからの面圧によるコアの損傷を低減する回転電機および回転電機のステータを提供することにある。
また、上述した端部領域の所定の幅は、保持リングの各部位の剛性、保持リングとコアとの間の締め代、保持リングに対するコアの位置等を考慮して、適宜、適正な値に決定されるものであり、特定の値に限定されるべきものではない。
また、上述した貫通孔には、円筒部を貫くスリット、穴等の、中央領域の強度を低下させるあらゆる孔を含んでいる。
これにより、保持リングとコアとの間の締め代が大きい場合でも、円筒部の軸方向端部からコアに加わる面圧を低減でき、コア端面の座屈を防止することができる。
また、中央領域に貫通孔が形成されていないため、いっそう円筒部の強度を維持することができる。
また、端部領域に形成された横スリット部により、円筒部のコアと係合している部位と軸方向端部との連続性を断つことができる。したがって、円筒部の軸方向端部の剛性が高くても、コアへの面圧の影響を最小限にすることができる。
これにより、端部領域の円周上において、均等間隔を有する位置に形成されたスリットの形状、数、大きさ等が同一となるため、保持リングの円周上における面圧を均等にして、コアをバランスよく安定して保持することができる。
また、端部領域に形成されたスリットは、貫通孔ほどは保持リングの強度を低下させることはなく、円筒部の軸方向端部の強度の維持とコアに対する面圧の低減を両立させることができる。
また、中央領域に貫通孔が形成されていないため、いっそう円筒部の強度を維持することができる。
図1乃至図7に基づき、本発明の実施形態1による電動モータ1について説明する。電動モータ1(本発明の回転電機に該当する)は、ハイブリッド車両の車輪駆動用の同期モータである。しかしながら、本発明はこれに限定されるべきものではなく、家庭用電器に設けられるモータあるいは一般的な産業用機械を駆動するモータといった、あらゆる電動モータに適用することが可能である。
また、電動モータ1を構成するロータ13とエンジンとの間には、湿式多板クラッチであるノーマリクローズタイプのクラッチ装置3が介装されている。さらに、電動モータ1は、トランスミッションを介して図示しない車両の駆動輪と接続されており、電動モータ1による駆動力が駆動輪に入力される。
また、インプットシャフト32は、クラッチ装置3の係合部33を介して、クラッチアウタ34と接続されている。係合部33が係脱することにより、インプットシャフト32とクラッチアウタ34との間が断続される。
図3および図4に示すように、円筒部151の内周面と対向する各々のティース161の外周面には凹部161bが形成されている。凹部161bは、コイル164に通電することにより発生する磁束が、ティース161外に漏れることを防止するために設けられている。
上述した構成を備えた電動モータ1において、コイル164に例えば三相の交流電流が供給されることによりステータ14において回転磁界が発生し、回転磁界に起因する吸引力または反発力によって、ステータ14に対しロータ13が回転される。
また、外周フランジ152の円周上の3箇所には、それぞれ半径方向外方にさらに延びた取付フランジ153が形成されている。取付フランジ153は、ステータ14をモータハウジング11に取り付けるために形成されており、それぞれ一個あるいは一対の取付穴154が貫通している。ステータリング15において、円筒部151と外周フランジ152および取付フランジ153とが接続された部位は、全周に亘って、所定の大きさの曲率を有する曲面に形成されている。
複数の矩形スリット155は全て同一の形状、大きさで、端部領域ETにおいて、円筒部151の軸方向の端部から同一距離にある位置に形成され、円筒部151の円周上に均等間隔に設けられている。
したがって、コア体16を円環状に並べたコア列CR(図5示)を、焼き嵌め等によってステータリング15に取り付けた場合に、コア列CRとステータリング15との間の締め代(コア列CRの外径−ステータリング15の円筒部151の内径)が大きくても、円筒部151からコア体16の回転軸方向の端部に加えられる面圧を低減することができる。
尚、後述するように、取付フランジ153は、取付穴154においてモータハウジング11に固定されているが、ステータリング15自体が弾性力を有しているため、取付穴154の固定により円筒部151が拡張することが妨げられることはない。
コア列CRが円筒部151内に挿入された後、ステータリング15は冷却されて収縮し、各々のコア体16を強固に保持することができる。
また、コア体16をステータリング15内に取り付ける方法として、常温における圧入を適用してもよい。さらに、圧入によりコア体16をステータリング15内に保持させる場合、コア体16と円筒部151との間に接着剤を介在させ、その保持力を増大させてもよい。
一方、円筒部151の軸方向の両端部は、コア体16のティース161と当接していないため半径方向内方へと撓んでいる。
尚、図6および図7において、円筒部151の半径方向内方への撓み量は誇張して示されている。
これにより、ステータリング15とコア体16との間の締め代が大きい場合でも、円筒部151の軸方向端部からコア体16に加わる面圧を低減でき、コア体16の端面161cの座屈を防止することができる。
また、中央領域CTに貫通孔が形成されていないため、いっそう円筒部151の強度を維持することができる。
また、矩形スリット155は外周フランジ152が接続された側の端部領域ETに設けられたことにより、ステータリング15の軸方向端部のうち、外周フランジ152の形成により剛性が増大された側の面圧を低減することができる。
また、端部領域ETに形成された横スリット部155bにより、円筒部151のコア体16と係合している部位と軸方向端部との連続性を断つことができる。したがって、外周フランジ152の存在により、円筒部151の軸方向端部の剛性が高くても、コア体16への面圧の影響を最小限にすることができる。
次に、図8および図9に基づき、実施形態2によるステータリング15Aについて説明する。本実施形態によるステータリング15Aの円筒部151には、実施形態1による場合と同様に、端部領域ETおよび中央領域CTが設けられている。
また、図8に示すように、外周フランジ152側の端部領域ETには、複数のニードルスリット157(本発明のスリットに該当する)が円筒部151を貫通している。一方、実施形態1のものと同様に、中央領域CTには、ステータリング15Aを貫く貫通孔は一切形成されていない。複数のニードルスリット157はすべて同一の形状、大きさで、円筒部151の軸方向の端部から同一距離にある位置に形成され、円筒部151の円周上に均等間隔に設けられている。
円筒部151に形成されたニードルスリット157は、円周方向に伸長可能に形成されており、これにより、円筒部151は半径方向に拡張可能となっている。したがって、コア体16を円環状に並べたコア列CRを、焼き嵌め等によってステータリング15Aに取り付けた場合に、コア列CRとステータリング15Aとの間の締め代が大きくても、円筒部151からコア体16に加えられる面圧を低減することができる。
また、当該円周上の位置において、軸方向に隣接したニードルスリット157のどの端部同士も軸方向に重なりあっており、これらの重なり合った端部同士は、いずれも同じ所定間隔P2を有している。
これにより、端部領域ETの円周上において、均等間隔を有する位置に形成されたニードルスリット157の形状、数、大きさ等が同一となるため、ステータリング15の円周上における面圧を均等にして、コア体16をバランスよく安定して保持することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
矩形スリット155あるいはニードルスリット157は、円筒部151に形成された双方の端部領域ETに設けられてもよいし、外周フランジ152が形成されていない側の端部領域ETのみに設けられてもよい。
矩形スリット155およびニードルスリット157の形成個数は、ステータリング15の円筒部151上において必要な拡張量を考慮して、適宜決めればよい。
また、本発明による電動モータ1は、同期モータ、誘導モータ、直流モータあるいはそれ以外のあらゆる回転電機に適用可能である。
Claims (5)
- ハウジングに取り付けられたステータと、
前記ステータと半径方向に対向して設けられ、前記ステータに対し回転可能なロータと、
を備え、
前記ステータは、
円筒部を有する保持リングと、
各々コイルが巻回されるとともに、円環状に並んだ状態で前記円筒部の内周面に圧入または焼き嵌めにより取り付けられた複数のコアと、
により形成された回転電機において、
前記円筒部の軸方向の両端部には、それぞれ所定の幅を有する円環状の端部領域が形成され、
前記円筒部上の前記端部領域同士の間には、中央領域が設けられており、
前記端部領域のうちの少なくとも一方には、前記保持リングの内外を連通する複数のスリットが形成されるとともに、前記中央領域には、前記保持リングを貫く貫通孔が形成されておらず、
前記端部領域は、
前記スリットが設けられたことにより円周方向に伸長し、半径方向に拡張可能であることを特徴とする回転電機。 - 前記円筒部の軸方向の一側の端部には、半径方向外方に延びるフランジ部が接続されており、
前記スリットは、
前記フランジ部が接続された側の前記端部領域に設けられたことを特徴とする請求項1記載の回転電機。 - 複数の前記スリットは、
前記端部領域において、前記円筒部の軸方向の端部から同一距離にある円周上に均等間隔に設けられ、
各々の前記スリットは、
前記円筒部の軸方向の端部から、前記中央領域に向かって軸方向に延びる一対の縦スリット部と、
前記縦スリット部の前記中央領域側にある端点同士を繋ぎ、前記円筒部の円周上に延びる横スリット部と、
を有しており、
各々の前記スリットが貫通することにより、前記円筒部上には前記中央領域側が自由端である複数の係止片が形成され、
それぞれの前記自由端は、前記円筒部の軸方向の端部から同一距離にある円周上に位置しており、
前記コアを前記円筒部に取り付ける場合、前記コアの軸方向の両端面のうち、前記スリットが形成された側の端面を前記係止片よりも前記中央領域側に位置させることにより、前記端面が前記自由端と係合することを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。 - 複数の前記スリットは、
すべて同一形状に形成されるとともに、前記端部領域において、前記円筒部の軸方向の端部から同一距離にある円周上に均等間隔に設けられ、
各々の前記スリットは、
前記円筒部上を、軸心に対する斜め方向に直線状に延びており、
隣接した前記スリットのいずれの端部同士も、同じ所定間隔を有して軸方向に重なりあっていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。 - 円筒部を有する保持リングと、
各々コイルが巻回されるとともに、円環状に並んだ状態で前記円筒部の内周面に圧入または焼き嵌めにより取り付けられた複数のコアと、
を備えた回転電機のステータにおいて、
前記円筒部の軸方向の両端部には、それぞれ所定の幅を有する円環状の端部領域が形成され、
前記円筒部上の前記端部領域同士の間には、中央領域が設けられており、
前記端部領域のうちの少なくとも一方には、前記保持リングの内外を連通するスリットが形成されるとともに、前記中央領域には、前記保持リングを貫く貫通孔が形成されておらず、
前記端部領域は、
前記スリットが設けられたことにより円周方向に伸長し、半径方向に拡張可能であることを特徴とする回転電機のステータ。
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