JP2007189782A - 回転電機のステータ、そのステータの製造方法、そのステータ用分割コア、及びそのステータに用いるハウジング - Google Patents

回転電機のステータ、そのステータの製造方法、そのステータ用分割コア、及びそのステータに用いるハウジング Download PDF

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Abstract

【課題】分割コアの周方向への移動防止を安価かつ簡単な構造により行い、かつ小型高出力に耐え得るステータとする。
【課題手段】ハウジング11内に圧紛製分割コア12を配置し、その各分割コアのバックヨーク12bの上下凹部14にハウジング11上下のT字状の挟持片15a、15bを嵌め、その両挟持片によって分割コア12を筒状ハウジングに取付ける。この分割コアの周方向への移動防止構造は、簡単であり、安価なものである。圧紛コアは、高周波性能が良く、小型高出力化に向いており、通常、成形によって製作されるため、バックヨークの凹部の形成も容易である。円環状分割コア12の中に治具を配置し、バックヨーク12bに対向する筒状ハウジング11の平行な切り欠き内を押し出して突起17を形成し、その突起17の押し出しによって、分割コア12の内面を治具20に当接させて、分割コアの内面の位置決めをする。
【選択図】図1

Description

この発明は、ハイブリッド自動車用、燃料電池自動車用等の回転電機(モータ)のステータ、そのステータ用分割コア及びハウジング、並びにそのステータの製造方法に関するものである。
回転電機のステータSは、図5に示すように、通常、筒状ハウジング1内にその内面に沿って円環状に分割コア(ティース)2を配置し、その各分割コア2にそれぞれにコイル3を巻回した構成であり、その中に同一心にロータ4を装填し、前記各コイル3に3相交流電源を供給して各コア2に磁場を形成して前記ロータ4を回転させるものである(特許文献1参照)。
特開平11−308830号公報
このステータSにおいて、円環状分割コア2の固定は、円環状に並んだ分割コア2の外周面にハウジング1を焼き嵌めする手段が一般的である。しかし、この焼き嵌めによる固定は、十分な固定力を得ようとすれば、勢い、その焼き嵌め力を大きく設定し過ぎとなり、図5に示す、分割コア2のバックヨーク2aのコーナ部aに大きな応力が掛かり、そのコーナ部aの破損を招く恐れがある。
このため、各分割コア2の下面をハウジング1の内面から内方に突出する爪で支持すると共に、分割コア2の上面にリングを設けて、このリングと前記爪により分割コア2を挟持し、さらに、リングと分割コア2にピンを挿し込み、そのピンにより、分割コア2の周方向への移動を防止した技術がある(特許文献1参照)。
ところで、今日、環境問題の点から、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車が開発され、これらの自動車は、回転電機を補助駆動源又は主駆動源とし、その回転電機は当然のこととして小型化が要求される。その回転電機の小型化への一手段として、ステータの小型化がある。
また、例えば、ハイブリッド自動車では、バッテリーからの直流をインバータで3相交流に変換し、その3相交流電源を上記各コイルに供給する。今日、その3相交流には約500V程度の高電圧が使用されて回転電機の高出力化が図られている。
この回転電機の小型高出力化を図るためには、回転数の増大(高周波化)が考えられるが、高周波化により、ステータSのコア2内に発生する渦電流損失が増大し、鉄損が大きくなって回転効率の低下が起こる。
このような実情の下、従来の電磁鋼板製の分割コアに比べ、高周波での鉄損が低い圧紛製分割コアの開発が進められている。この圧紛コアは、粒子内の渦電流を閉じ込めるため、本質的に渦電流を抑制でき、高周波性能が良いものである。
上記ピンによる分割コアの周方向への移動を防止した技術は、そのピンの挿し込み、リングの装着などの作業工程が多いとともに、部品点数も多く、ステータのコストダウン化には適していない。
特に、分割コア2を圧紛製とした場合、コア2にピン孔を形成することは煩雑である。
この発明は、以上の状況に鑑み、分割コアの周方向への移動の防止を安価かつ簡単な構造により行うことを第1の課題とし、それに加えて、小型高出力に耐え得るステータとし得ることを第2の課題とする。
上記第1の課題を達成するために、この発明は、分割コアのバックヨークに凹部を形成し、その凹部にハウジング内面の突片を嵌めて、その突片と凹部の嵌合により、分割コアの周方向への移動を防止する(回り止め)こととしたのである。
この分割コアの回り止め構造は、簡単であり、安価なものである。
つぎに、上記第2の課題を達成するために、この発明は、分割コアを、圧紛により形成することとしたのである。
圧紛コアは、上述のように、高周波性能が良いものであって、小型高出力化に向いており、通常、成形によって製作されるため、バックヨークの凹部の形成も容易であり、第1の課題を併せて容易に達成できるものと言える。
この発明は、以上のように、突片と凹部の嵌合により、分割コアの周方向への移動を防止することとしたので、安価なステータを得ることができる。
また、圧紛コアの採用により、小型高出力のステータとすることができる。
この発明の実施形態としての分割コアは、コイルの巻回されたコア本体の後面にバックヨークを有し、そのバックヨークに上記挟持片が嵌る嵌合凹部が形成されている構成を採用できる。
また、この発明の実施形態としての筒状ハウジングは、その内面に、上記各分割コアの上下面を挟持する内方に突出する上下の挟持片を有し、その両挟持片の少なくとも一方は、前記分割コアのバックヨークの嵌合凹部に嵌り込んでその分割コアの位置決めを行う構成を採用できる。
この発明の実施形態としての回転電機のステータは、筒状ハウジング内にその内面に沿って円環状に分割コアを配置し、その各分割コアにそれぞれにコイルを巻回し、その各分割コアをその上下面を筒状ハウジングの内面から内方に突出する上下の挟持片により挟持して、その両挟持片によって分割コアを筒状ハウジングに取付け、両挟持片の少なくとも一方は、分割コアのバックヨークの嵌合凹部に嵌り込んでその分割コアの周方向の位置決めを行っている構成を採用することができる。
この構成では、上記挟持片が上記ハウジングの内面突片に相当する。このとき、上下の挟持片のどちらか一方のみをバックヨークの凹部に嵌め込めば良いが、両者を嵌め込むことが好ましい。
その挟持片は、上記筒状ハウジングに片を溶接等によって別途に設けても良いが、ハウジングの切り起しにより形成すると安価である。
また、その嵌合凹部に嵌り込む挟持片は、その先端に横方向の係止突起を設けて、その突起を上記バックヨークの内面に係止するようにすれば、ハウジングと分割コアの一体性が向上して、分割コアの周方向への移動防止効果が向上する。また、その突起は、分割コアの前側への位置決め効果も期待できる。
これらのステータにおいて、円環状に配置された分割コア内には、ロータが装填され、その円環状分割コアにより形成される円筒状内面とそのロータ外周面の間隙は、全周に亘って均一である必要がある。
このため、バックヨークに対向する筒状ハウジングの内面に、そのバックヨークの背面に当接する突起を設けて、この突起により分割コアの内面を位置決めすると良い。この突起は、各分割コアの全てに対して設けることもできるが、各分割コアの所要等個数毎に設けることもできる。円環状配置の分割コアの一つでも押せば、その押し込み力は周方向への力を発生させるため、その点を考慮して、突起の数・位置を適宜に設定する。位置は周方向に等間隔が好ましい。
その突起は、上記筒状ハウジングを押し出すことにより形成することができ、その押し出し量を調整することにより、分割コアの内面位置を所要値に設定する。このとき、挟持片の先端突起により、その分割コアの内方への移動量を制限して、そのコア内面位置を所要値に設定するとともに、その先端突起と押し出し突起により、分割コアを内外面で挟持するようにすることもできる。
分割コアは、この発明を実施できる限りにおいて、電磁鋼板製でも良いが、圧粉製とすることが、小型高出力化の面から好ましい。
以上の回転電機のステータは種々の方法で製作できるが、例えば、そのステータの上記筒状ハウジングの上側挟持片がその筒状ハウジングの切り起しにより形成されるものであり、前記筒状ハウジング内に、上記円環状に配置した分割コアの内周面を位置決めする筒状外周面を有する治具を同心に設置し、その治具と前記筒状ハウジングの間に上記分割コアを、前記筒状ハウジングの下側挟持片に載置して前記上側挟持片を内側に起こしてその上下の挟持片により挟持して前記筒状ハウジングに取付けるとともに、前記治具によりその分割コアの内面を位置決めして、各分割コアを筒状ハウジング内にその内面に沿って円環状に配置する構成を採用することができる。
このとき、上記治具による分割コアの内面の位置決めを、上記分割コアのバックヨークに対向する筒状ハウジングを押し出して突起を形成すると共に、その突起を前記バックヨークの背面に当接させて分割コアを押し、その押しにより前記分割コアの内面を上記治具に当接させてその分割コアの内面を位置決めするようにすると良い。
また、筒状ハウジング内に、全ての分割コアを円環状に配置した後、その中に、治具を配置し、上側の挟持片を押し倒して分割コアの上面に当接させて上下の挟持片により分割コアを挟持するとともに、バックヨークに対向する筒状ハウジングを押し出して突起を形成し、その突起の押し出しによって、分割コアの内面を治具に当接させるようにすることもできる。
一実施例を図1〜図4に示し、この実施例は、燃料電池自動車用回転電機やハイブリッド自動車用回転電機のステータSに係り、従来と同様に、筒状ハウジング11内にその内面に沿って円環状に分割コア12を配置し、その各分割コア12にそれぞれにコイル13を巻回したものである。通常、コイル13は、分割コア12をハウジング11内に配置する前にそのコア12に巻回する。
その分割コア12は、圧紛製であって、その成形時に、図3に示すように、コイル13の巻回されるコア本体12aの後面にバックヨーク12bを有し、そのバックヨーク12bの上下に嵌合凹部14が形成される。
筒状ハウジング11は、図2、図4に示すように、その内面に、上記各分割コア12の上下面を挟持する内方に突出する上下の挟持片15a、15bが切り起こしにより形成されている。その上側の挟持片15aは、分割コア12の配置前は、図4に示すように起こされていない状態とされる。
また、その両挟持片15a、15bはその先端は側方に伸びた突起16を有して、平面視T字状をなす。突起16は、先端両側に設けず、一方のみでも良く、また、両挟持片15a、15bに設けず、一方のみでも良い。
上記分割コア12のバックヨーク12bに対向する筒状ハウジング11の内面には、切り起こしにより突起17が形成される。この突起17は、分割コア12がハウジング11内に配置される前は、図4に示すように、平行な切り欠き線の状態とされる。また、この突起17は、各分割コア2の全てに対して設けても良いが、この実施例では、2つの分割コア2毎に設けている。
この実施例は以上の構成であり、このステータSは、まず、図4に示すように、筒状ハウジング11内に、円環状に配置した分割コア12の内周面を位置決めする筒状外周面を有する治具20を同心に設置し、その治具20と前記筒状ハウジングの間に分割コア12を、前記筒状ハウジング11の下側挟持片15bに載置し、その後、上側挟持片15aを内側に起こしてその上下の挟持片15a、15bにより挟持して筒状ハウジング11に取付ける。
つぎに、分割コア12のバックヨーク12bに対向する筒状ハウジング11の平行な切り欠き内を押し出して突起17を形成すると共に(図2参照)、その突起17をバックヨーク12bの背面に当接させて分割コア12を押し、その押しにより分割コアの内面を治具20に当接させてその分割コア12の内面を位置決めする。
全ての分割コア12の筒状ハウジング11への位置決め固定が終了すれば、治具20を取り出し、ステータSの製作が完了する。
このとき、筒状ハウジング11内に、全ての分割コア12を円環状に配置した後、その中に、治具20を配置し、上側の挟持片15aを押し倒して分割コア12の上面に当接させて上下の挟持片15a、15bにより分割コア12を挟持し、つづいて、バックヨーク12bに対向する筒状ハウジング11の平行な切り欠き内を押し出して突起17を形成し、その突起17の押し出しによって、分割コア12の内面を治具20に当接させるようにすることもできる。
なお、この発明は、実施例の燃料電池自動車用又はハイブリッド自動車用回転電機のステータSに限らず、その他の大小を問わず各種の回転電機のステータに採用できることは勿論である。
一実施例の概略斜視図 同実施例の要部拡大一部切り欠き斜視図 同実施例の分割コアの斜視図 同実施例の組み立て説明図 従来例の平面図
符号の説明
1、11 筒状ハウジング
2、12 分割コア
2a、12b コアのバックヨーク
3、13 コイル
14 嵌合凹部
15a 上側挟持片
15b 下側挟持片
16 挟持片の先端突起
17 分割コア押し出し用突起
20 治具
S ステータ

Claims (11)

  1. 筒状ハウジング11内にその内面に沿って円環状に分割コア12を配置し、その各分割コア12にそれぞれにコイル13を巻回した回転電機のステータSにおいて、
    各分割コア12をその上下面を上記筒状ハウジング11の内面から内方に突出する上下の挟持片15a、15bにより挟持して、その両挟持片15a、15bによって前記分割コア12を前記筒状ハウジング11に取付け、前記両挟持片15a、15bの少なくとも一方は、分割コア12のバックヨーク12bの嵌合凹部14に嵌り込んでその分割コア12の周方向の位置決めを行っていることを特徴とする回転電機のステータ。
  2. 上記挟持片15a、15bを上記筒状ハウジング11の切り起しにより形成したことを特徴とする請求項1に記載の回転電機のステータ。
  3. 上記分割コア12が圧粉からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機のステータ。
  4. 上記嵌合凹部14に嵌り込む挟持片15a、15bの先端に横方向の係止突起16を設けて、その突起16を上記バックヨーク12bの内面に係止したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回転電機のステータ。
  5. 上記分割コア12のバックヨーク12bに対向する筒状ハウジング11の内面に、そのバックヨーク12bの背面に当接する突起17を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の回転電機のステータ。
  6. 上記突起17は、上記筒状ハウジング11が内面側に押し出されたものであることを特徴とする請求項5に記載の回転電機のステータ。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の回転電機のステータS用分割コア12であって、上記コイル13の巻回されたコア本体12aの後面にバックヨーク12bを有し、そのバックヨーク12bに上記挟持片15a、15bが嵌る嵌合凹部14が形成されていることを特徴とする回転電機のステータ用分割コア。
  8. 請求項1乃至6の何れかに記載の回転電機のステータに用いるハウジングであって、その内面に、上記各分割コア12の上下面を挟持する内方に突出する上下の挟持片15a、15bを有し、その両挟持片15a、15bの少なくとも一方は、前記分割コア12のバックヨーク12bの嵌合凹部14に嵌り込んでその分割コア12の周方向の位置決めを行うことを特徴とする回転電機のステータに用いるハウジング。
  9. 請求項1乃至6の何れかに記載の回転電機のステータSの製造方法であって、そのステータSの上記筒状ハウジング11の上側挟持片15aがその筒状ハウジング11の切り起しにより形成されるものであり、前記筒状ハウジング11内に請求項7記載の分割コア12の全てをその筒状ハウジング11の下側挟持片15bに載置して円環状に配置した後、その中に、その円環状に配置した分割コア12の内周面を位置決めする筒状外周面を有する治具20を同心に設置した後、前記筒状ハウジング11の上側挟持片15aを内側に起こして上下の挟持片15a、15bにより分割コア12を挟持して筒状ハウジング11に取付けるとともに、前記治具20によりその分割コア12の内面を位置決めして、各分割コア12を筒状ハウジング11内にその内面に沿って円環状に配置することを特徴とする回転電機のステータの製造方法。
  10. 請求項1乃至6の何れかに記載の回転電機のステータSの製造方法であって、そのステータSの上記筒状ハウジング11の上側挟持片15aがその筒状ハウジング11の切り起しにより形成されるものであり、前記筒状ハウジング11内に、上記円環状に配置した分割コア12の内周面を位置決めする筒状外周面を有する治具20を同心に設置し、その治具20と前記筒状ハウジング11の間に請求項7記載の分割コア12を、前記筒状ハウジング11の下側挟持片15bに載置して前記上側挟持片15aを内側に起こしてその上下の挟持片15a、15bにより挟持して前記筒状ハウジング11に取付けるとともに、前記治具20によりその分割コア12の内面を位置決めして、各分割コア12を筒状ハウジング11内にその内面に沿って円環状に配置することを特徴とする回転電機のステータの製造方法。
  11. 上記治具20による分割コア12の内面の位置決めを、上記分割コア12のバックヨーク12bに対向する筒状ハウジング11を押し出して突起17を形成すると共に、その突起17を前記バックヨーク12bの背面に当接させて分割コア12を押し、その押しにより前記分割コア12の内面を上記治具20に当接させてその分割コア12の内面を位置決めすることを特徴とする請求項9又は10に記載の回転電機のステータの製造方法。
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