JP2011249283A - 燃料電池用接着性シール部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 燃料電池用接着性シール部材は、以下の(A)〜(E)を含むゴム組成物の架橋物からなる。(A)エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムから選ばれる一種以上のゴム成分、(B)エチレン・α−オレフィン共重合体、(C)1時間半減期温度が130℃以下の有機過酸化物から選ばれる架橋剤、(D)架橋助剤、(E)レゾルシノール系化合物およびメラミン系化合物と、アルミネート系カップリング剤と、シランカップリング剤と、から選ばれる一種以上の接着成分。
【選択図】 なし
Description
(A)エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムから選ばれる一種以上のゴム成分。
(B)エチレン・α−オレフィン共重合体
(C)1時間半減期温度が130℃以下の有機過酸化物から選ばれる架橋剤。
(D)架橋助剤。
(E)レゾルシノール系化合物およびメラミン系化合物と、アルミネート系カップリング剤と、シランカップリング剤と、から選ばれる一種以上の接着成分。
上述したように、本発明の接着性シール部材は、上記(A)〜(E)を含むゴム組成物の架橋物からなる。まず、(A)のゴム成分について説明する。ゴム成分は、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)から選ばれる一種以上である。これらの一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。また、後述するムーニー粘度が異なる二つ以上の同種のゴムを、混合して用いてもよい。
本発明の接着性シール部材は、上記(A)〜(E)および必要に応じて各種添加剤を含むゴム組成物を架橋して製造される。ゴム組成物は、例えば、次のようにして調製すればよい。まず、架橋剤(C)、架橋助剤(D)、接着成分(E)以外の材料を予備混合して、80〜140℃で数分間混練する。次に、得られた混練物を冷却して、架橋剤(C)、架橋助剤(D)、および接着成分(E)を加える。そして、オープンロール等のロール類を用い、ロール温度40〜70℃で5〜30分間混練する。なお、接着成分(E)は、予備混合の段階で配合しても構わない。
本発明の接着性シール部材は、燃料電池の構成部材間をシールするのに好適である。適用対象となる燃料電池は、本発明の接着性シール部材の有機成分(ゴム成分、エチレン・α−オレフィン共重合体)が使用可能な温度で作動するものであればよい。例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)(ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)を含む)が好適である。
下記表1に示す原料を配合して、実施例および比較例の各々のゴム組成物を調製した。表1中、各原料については以下のものを使用した。
(A)ゴム成分
EPDM(1):JSR(株)製「JSR EP27」(ムーニー粘度=105[ML(1+4)100℃]、ジエン量=4.5質量%)。
EPDM(2):JSR(株)製「JSR EP51」(ムーニー粘度=38[ML(1+4)100℃]、ジエン量=5.8質量%)。
EPDM(3):住友化学(株)製「エスプレン(登録商標)501A」(ムーニー粘度=44[ML(1+4)100℃]、ジエン量=4.0質量%)。
EPDM(4):JSR(株)製「JSR EP33」(ムーニー粘度=45[ML(1+4)100℃]、ジエン量=8.1質量%)。
(B)エチレン・α−オレフィン共重合体
エチレン・α−オクテン共重合体:DEX PLASTOMERS製「EXACT(登録商標)0210」
(C)架橋剤
パーオキシエステル:日油(株)製「パーブチル(登録商標)I」(t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1時間半減期温度=118℃)。架橋剤の配合量は、希釈された状態における値ではなく、有機過酸化物を100%とした時の値である。
(D)架橋助剤
マレイミド化合物:大内新興化学工業(株)製「バルノック(登録商標)PM」。
(E)接着成分
レゾルシノール系化合物:田岡化学工業(株)製「タッキロール(登録商標)620」。メラミン系化合物:住友化学(株)製「スミカノール(登録商標)507AP」。
シランカップリング剤:信越化学工業(株)製「KBM303」(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)。
アルミネート系カップリング剤:味の素ファインテクノ(株)製「プレンアクト(登録商標)AL−M」(アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート)。
(F)添加剤
カーボンブラック(GPF級):キャボットジャパン(株)製「ショウブラック(登録商標)IP200」。
パラフィン系プロセスオイル:出光興産(株)製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW380」。
上記ゴム組成物の調製過程において、ゴム成分(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、カーボンブラック、およびパラフィン系プロセスオイルを混練した混練物のムーニー粘度を測定した。ムーニー粘度の測定は、JIS K6300−1(2001)に準じ、試験温度80℃にて行った。測定結果を、上記表1にまとめて示す。なお、表1には、測定結果として、比較例1の混練物のムーニー粘度を基準(100)とした時のムーニー粘度指数を示す。ムーニー粘度指数については、次式(I)により算出した。ムーニー粘度指数が大きいほど、流動性が高いことを示す。
ムーニー粘度指数=(比較例1の混練物のムーニー粘度)/(各混練物のムーニー粘度)×100・・・(I)
比較例1以外の混練物には、ムーニー粘度が小さいEPDM(2)〜(4)を使用した。このため、表1に示すように、比較例1以外の混練物については、いずれも比較例1よりムーニー粘度指数が大きくなった。つまり、流動性が高くなった。したがって、比較例1以外のゴム組成物によると、射出成形、トランスファー成形時の成形性が向上する。
実施例1〜10および比較例2、3のゴム組成物を、130℃で10分間保持することにより架橋して、シール部材を製造した。また、比較例1のゴム組成物を、130℃で20分間保持することにより架橋して、シール部材を製造した。実施例1〜10のシール部材は、本発明の接着性シール部材に含まれる(以下同じ)。
引張り強さ指数=(各シール部材の引張り強さ)/(比較例1のシール部材の引張り強さ)×100・・・(II)
切断時伸び指数=(各シール部材の切断時伸び)/(比較例1のシール部材の切断時伸び)×100・・・(III)
表1に示すように、実施例のシール部材の引張り強さは、比較例1のシール部材の引張り強さと比較して、大きくなった。同様に、実施例のシール部材の切断時伸びも、比較例1のシール部材の切断時伸びと比較して、大きくなった。一方、比較例2、3のシール部材については、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が配合されていない。このため、実施例と同じ条件で架橋すると、引張強さおよび切断時伸びのいずれも小さくなった。以上より、本発明の接着性シール部材は、低温かつ短時間で架橋した場合においても、引張り強さや伸びが低下しにくいことが確認された。
実施例および比較例のシール部材の体積抵抗率を、JIS K6271(2008)に準じて測定した。測定は、直流電圧100Vを印加して行った。測定結果を、上記表1にまとめて示す。表1に示すように、実施例のシール部材の体積抵抗率は、1×1013Ωcmであった。これに対して、比較例のシール部材の体積抵抗率は、1×1012Ωcmであった。つまり、実施例のシール部材の方が、絶縁性が高くなった。これは、樹脂成分であるエチレン・α−オレフィン共重合体の配合効果と考えられる。
JIS K6256−2(2006)に準拠した90°剥離試験を行い、実施例および比較例のシール部材の接着性を評価した。まず、幅25mm、長さ60mm、厚さ5mmの平板状のゴム組成物を、幅25mm、長さ60mm、厚さ2mmのステンレス板の表面に配置した。続いて、ゴム組成物側から押圧しながら130℃で10分間保持して架橋、接着させることより、試験片を作製した。次に、作製した試験片を所定の試験ジグに取り付けて、90°剥離試験を行った。上記表1に、90°剥離試験における各試験片の剥離強さをまとめて示す。なお、表1には、比較例1のシール部材の剥離強さを基準(100)とした時の、各シール部材の剥離強さの比を指数として示す。剥離強さの指数については、次式(IV)により算出した。
剥離強さ指数=(各シール部材の剥離強さ)/(比較例1のシール部材の剥離強さ)×100・・・(IV)
表1に示すように、実施例のシール部材の剥離強さは、いずれも、比較例1のシール部材の剥離強さと同等以上になった。このように、実施例のシール部材によると、低温かつ短時間という架橋条件であっても、充分に架橋反応が進行し、大きな接着力が発現されていることがわかる。一方、比較例2、3のシール部材については、比較例1のシール部材よりも剥離強さが小さくなった。比較例2、3のシール部材については、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が配合されていない。このため、低温かつ短時間で架橋した場合には、引張り強さや伸びが小さくなると共に、所望の接着力も発現しないと考えられる。
3:セパレータ 30:ガス流路 31:冷媒流路 4a、4b:接着性シール部材
C:セル
Claims (9)
- 以下の(A)〜(E)を含むゴム組成物の架橋物からなり、燃料電池の構成部材間をシールする燃料電池用接着性シール部材。
(A)エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムから選ばれる一種以上のゴム成分。
(B)エチレン・α−オレフィン共重合体
(C)1時間半減期温度が130℃以下の有機過酸化物から選ばれる架橋剤。
(D)架橋助剤。
(E)レゾルシノール系化合物およびメラミン系化合物と、アルミネート系カップリング剤と、シランカップリング剤と、から選ばれる一種以上の接着成分。 - 前記(A)のゴム成分のムーニー粘度は、90[ML(1+4)100℃]以下である請求項1に記載の燃料電池用接着性シール部材。
- 前記(A)のゴム成分は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含み、
該エチレン−プロピレン−ジエンゴムのジエン量は、4質量%以上9質量%以下である請求項1または請求項2に記載の燃料電池用接着性シール部材。 - 前記(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体の配合量は、前記(A)のゴム成分100質量部に対して5質量部以上30質量部以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料電池用接着性シール部材。
- 前記(C)の有機過酸化物は、パーオキシケタールおよびパーオキシエステルを含む請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料電池用接着性シール部材。
- 前記(C)の架橋剤の配合量は、前記(A)のゴム成分100質量部に対して1質量部以上10質量部以下である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の燃料電池用接着性シール部材。
- 前記(D)の架橋助剤は、マレイミド化合物を含み、
該架橋助剤の配合量は、前記(A)のゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上3質量部以下である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の燃料電池用接着性シール部材。 - 前記ゴム組成物は、さらに、カーボンブラックを含む請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の燃料電池用接着性シール部材。
- 前記ゴム組成物は、さらに、軟化剤を含む請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の燃料電池用接着性シール部材。
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