JP6688718B2 - 燃料電池用シール部材 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用構成部材をシールするために用いられる燃料電池用シール部材に関するものである。
燃料電池は、ガスの電気化学反応により電気を発生させ、発電効率が高く、排出されるガスがクリーンで環境に対する影響が極めて少ない。なかでも固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動させることができ、大きな出力密度を有する。このため、上記固体高分子型燃料電池は、発電用、自動車用電源等、種々の用途が期待される。
固体高分子型燃料電池においては、膜電極接合体(MEA)等をセパレータで挟持したセルが発電単位となる。MEAは、電解質となる高分子膜(電解質膜)と、電解質膜の厚さ方向両面に配置された一対の電極触媒層(燃料極(アノード)触媒層、酸素極(カソード)触媒層)と、からなる。一対の電極触媒層の表面には、さらにガスを拡散させるための多孔質層が配置される。燃料極側には水素等の燃料ガスが、酸素極側には酸素や空気等の酸化剤ガスがそれぞれ供給される。供給されたガスと電解質と電極触媒層との三相界面における電気化学反応により、発電が行われる。固体高分子型燃料電池は、上記セルを多数積層したセル積層体を、セル積層方向の両端に配置したエンドプレート等により締め付けて構成される。
セパレータには、各々の電極に供給されるガスの流路や、発電の際の発熱を緩和するための冷媒の流路が形成される。例えば、各々の電極に供給されるガスが混合すると、発電効率が低下する等の問題が生じる。また、電解質膜は、水を含んだ状態でプロトン導電性を有する。このため、作動時には、電解質膜を湿潤状態に保つ必要がある。したがって、ガスの混合、ガスおよび冷媒の漏れを防止すると共に、セル内を湿潤状態に保持するためには、MEAおよび多孔質層の周囲や、隣り合うセパレータ間のシール性を確保することが重要となる。これらの構成部材をシールするシール部材としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)等からなるシール部材(ゴムガスケット)が提案されている(特許文献1、2参照)。
特開2009−94056号公報 特開2010−146781号公報
ところで、上記のような燃料電池用シール部材の材料であるゴム組成物中に、架橋剤として硫黄を用いた場合、燃料電池の発電が阻害されるおそれがあることから、通常、上記ゴム組成物中の架橋剤には有機過酸化物が用いられる。しかしながら、有機過酸化物は、硫黄と異なり、ゴムを低分子に分解する性質がある。そして、上記のように分解された低分子ゴムは、燃料電池用シール部材を金型成形するに際し、金型表面(金型内周面)にくっつきやすく、その結果、金型汚染を引き起こすといった問題がある。
上記のような金型汚染の問題を解決するため、例えば、金型表面に離型剤を塗布することが考えられる。しかしながら、燃料電池用シール部材は、燃料電池の発電性、シール部材の接着性、シール部材の寸法精度に悪影響を与えないよう、離型剤無しで(もしくは離型性を少なくして)金型成形することが望まれる。
一方、燃料電池用シール部材の材料であるゴム組成物中に、金型離型性を高める性質の化合物を添加することも検討されている。しかしながら、燃料電池用シール部材に要求される機械的物性(引張り強さ、破断伸び等)や耐ヘタリ性を維持しながら、金型離型性を向上させることが可能な化合物は、未だ充分に検討がなされていない。さらに、金型離型性を高めるような性質を示す化合物は、ブリードアウトもしやすいことから、シール部材の接着性を妨げる要因となりやすい。つまり、このような性質を示す化合物は、接着層を介し、上記シール部材の加硫接着あるいは後接着を行うことにより、上記シール部材をセパレータ等の部材(燃料電池用構成部材)と一体化させる際において、支障をきたすおそれがある。これらのことから、燃料電池用シール部材の材料であるゴム組成物中に、金型離型性を高める性質の化合物を添加することを検討するうえで、未だ改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、シール部材に要求される機械的物性と耐ヘタリ性を維持しながら、燃料電池用構成部材との接着性を妨げずに、金型離型性に優れる燃料電池用シール部材の提供を、その目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、燃料電池の構成部材をシールするために用いられる燃料電池用シール部材であって、下記の(A)〜(C)成分を含有するゴム組成物の架橋体からなる燃料電池用シール部材を、その要旨とする。
(A)エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムおよびエチレン−ブテン−ジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つのゴム成分。
(B)有機過酸化物からなる架橋剤。
(C)脂肪酸カリウムおよび脂肪酸ナトリウムの少なくとも一方。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、燃料電池用シール部材のゴム成分として優れた特性を示す、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴムといったゴム成分を用いるとともに、燃料電池の発電が阻害されることのないよう、有機過酸化物を、その架橋剤として用いることを検討した。しかしながら、上記特定のゴム成分と有機過酸化物との組合せによる、先に述べたような金型汚染の問題が生じることから、このことに鑑み、さらに研究を行った。その結果、燃料電池用シール部材の材料であるゴム組成物中に、脂肪酸カリウムおよび脂肪酸ナトリウムの少なくとも一方(C)を配合したところ、金型表面に離型剤を塗布しなくとも金型離型性が向上するようになることを突き止めた。しかも、上記(C)成分の配合に伴う燃料電池用シール部材の機械的物性や耐ヘタリ性の低下も殆どみられず、さらに上記(C)成分がシール部材の接着性に悪影響を及ぼすといった問題も殆どみられなかったことから、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
本発明の燃料電池用シール部材は、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムおよびエチレン−ブテン−ジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つのゴム成分(A)と、有機過酸化物からなる架橋剤(B)と、脂肪酸カリウムおよび脂肪酸ナトリウムの少なくとも一方(C)と、を含有するゴム組成物の架橋体からなる。このことから、本発明の燃料電池用シール部材は、シール部材に要求される機械的物性と耐ヘタリ性を維持しながら、燃料電池用構成部材との接着性を妨げずに、金型離型性に優れた効果を奏する。
特に、上記(C)成分が脂肪酸カリウムのみからなると、金型離型性により優れた効果を奏する。
また、上記ゴム組成物における(C)成分の含有量が、上記ゴム成分(A)100重量部に対し0.5〜10重量部の範囲であると、シール部材に要求される機械的物性と耐ヘタリ性を維持しつつ、燃料電池用構成部材との接着性を妨げずに、金型離型性により優れた効果を奏する。
また、燃料電池用シール部材が、上記(A)〜(C)成分とともに、パラフィンオイルおよびポリαオレフィン化合物の少なくとも一方(D)を含有するゴム組成物の架橋体からなると、よりブリードアウトを抑制する。
本発明の燃料電池シール体の一例を示す断面図である。 本発明の燃料電池用シール部材を使用した一例を示す断面図である。
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
本発明の燃料電池用シール部材(以下、単に「シール部材」という場合がある。)は、燃料電池の構成部材をシールするために用いられるものであって、先に述べたように、下記の(A)〜(C)成分を含有するゴム組成物の架橋体からなる。
(A)エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムおよびエチレン−ブテン−ジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つのゴム成分。
(B)有機過酸化物からなる架橋剤。
(C)脂肪酸カリウムおよび脂肪酸ナトリウムの少なくとも一方。
上記ゴム成分(A)は、上記ゴム組成物の主成分であって、通常、ゴム組成物全体の過半を占める。そして、上記のように、ゴム成分(A)としては、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、およびエチレン−ブテン−ジエンゴムが、単独であるいは二種以上併せて用いられる。
上記特定のゴム成分(A)におけるエチレン含有量は、極低温下におけるシール性の向上の観点から、60重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは53重量%以下である。一方で、上記エチレン含有量が少なすぎると、ゴム物性が低下し、シール部材に必要な伸びや引張り特性を確保することが困難となることから、上記エチレン含有量が40重量%以上であることが好ましい。
そして、燃料電池の作動環境における耐酸性および耐水性の観点から、上記ゴム成分(A)としては、EPDMを用いることが好ましい。特に、上記EPDM中のジエン量が多くなれば、それに比例して架橋体であるシール部材の架橋密度が高くなり、より一層低温シール性が向上することとなる。このようなことから、上記EPDM中のジエン量(ジエン成分の質量割合)は、1〜20重量%の範囲が好ましく、より好ましくは3〜15重量%の範囲が好ましい。
上記EPDMのジエン成分としては、例えば、炭素数5〜20のジエン系モノマーが好ましく、具体的には、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCP)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン等があげられる。
上記特定のゴム成分(A)の架橋剤(B)は、有機過酸化物からなるものである。上記有機過酸化物としては、例えば、パーオキシケタール、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。このような有機過酸化物のなかでも、例えば、1時間半減期温度が160℃以下の有機過酸化物からなるものが好ましく用いられ、シール部材と電解質膜とを接着させるためには、1時間半減期温度が130℃以下の有機過酸化物を用いることが好ましい。さらには、130℃程度の温度で架橋しやすく、架橋剤を加えて混練したゴム組成物の取扱性にも優れるという理由から、1時間半減期温度が100℃以上のパーオキシケタールおよびパーオキシエステルの少なくとも一方が好ましく、特に好ましくは、1時間半減期温度が110℃以上のものが好適である。また、パーオキシエステルを用いると、より短時間で架橋を行うことができる。
本発明において、上記架橋剤(B)での、1時間半減期温度が160℃以下の有機過酸化物における「半減期」とは、有機過酸化物の濃度(活性酸素量)が初期値の半分になるまでの時間である。よって、「半減期温度」は、有機過酸化物の分解温度を示す指標となる。上記「1時間半減期温度」は、半減期が1時間となる温度である。つまり、1時間半減期温度が低いほど、有機過酸化物は低温で分解しやすい。例えば、1時間半減期温度が160℃以下の有機過酸化物を用いることにより、架橋をより低温(具体的には150℃以下)で、かつ短時間で行うことができる。したがって、例えば、固体高分子型燃料電池の電解質膜の近傍においても、本発明の燃料電池シール体を使用することができる。
上記パーオキシケタールとしては、例えば、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン等があげられる。
上記パーオキシエステルとしては、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネートがあげられる。
これらのうち、上記特定のゴム成分(A)との反応が比較的速いという理由から、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートが好適である。なかでも、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを用いると、より短時間で架橋を行うことができる。
上記特定の架橋剤(B)(純度100%の原体の場合)の配合量は、上記特定のゴム成分(A)100重量部に対して0.4〜12重量部の範囲が好ましい。上記特定の架橋剤(B)の配合量が少なすぎると、架橋反応を充分に進行させることが困難となる傾向がみられ、上記特定の架橋剤(B)の配合量が多すぎると、架橋反応時に架橋密度が上昇して、伸びの低下を招く傾向がみられる。
上記特定のゴム成分(A)および架橋剤(B)とともに、本発明のシール部材に使用するゴム組成物には、脂肪酸カリウムおよび脂肪酸ナトリウムの少なくとも一方(C)が配合される。特に、上記(C)成分が脂肪酸カリウムのみからなると、金型離型性により優れた効果を奏するため、好ましい。
上記脂肪酸カリウムおよび脂肪酸ナトリウムの炭素数は、特に限定はないが、炭素数が8〜22の範囲であることが、金型離型性の観点から好ましく、同様の観点から、炭素数が12〜18の範囲であることが、より好ましい。なお、金型離型性の観点において、上記脂肪酸カリウムおよび脂肪酸ナトリウムにおける「脂肪酸」は、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよい。
上記脂肪酸カリウムとしては、具体的には、カプリル酸カリウム(C8の飽和脂肪酸塩)、カプリン酸カリウム(C10の飽和脂肪酸塩)、ラウリン酸カリウム(C12の飽和脂肪酸塩)、ミリスチン酸カリウム(C14の飽和脂肪酸塩)、パルミチン酸カリウム(C16の飽和脂肪酸塩)、ステアリン酸カリウム(C18の飽和脂肪酸塩)、オレイン酸カリウム(C18の不飽和脂肪酸塩)、ベヘニン酸カリウム(C22の飽和脂肪酸塩)等が、単独であるいは二種以上併せて用いられる。また、上記脂肪酸ナトリウムとしては、具体的には、カプリル酸ナトリウム(C8の飽和脂肪酸塩)、カプリン酸ナトリウム(C10の飽和脂肪酸塩)、ラウリン酸ナトリウム(C12の飽和脂肪酸塩)、ミリスチン酸ナトリウム(C14の飽和脂肪酸塩)、パルミチン酸ナトリウム(C16の飽和脂肪酸塩)、ステアリン酸ナトリウム(C18の飽和脂肪酸塩)、オレイン酸ナトリウム(C18の不飽和脂肪酸塩)、ベヘニン酸ナトリウム(C22の飽和脂肪酸塩)等が、単独であるいは二種以上併せて用いられる。なお、上記「C**」は、炭素数を示す。
本発明のシール部材に使用するゴム組成物における、脂肪酸カリウムおよび脂肪酸ナトリウムの少なくとも一方(C)の含有量は、上記特定のゴム成分(A)100重量部に対し0.5〜10重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1〜3重量部の範囲である。すなわち、このような範囲であると、シール部材に要求される機械的物性と耐ヘタリ性を維持しつつ、燃料電池用構成部材との接着性を妨げずに、金型離型性により優れた効果を奏するからである。
なお、本発明のシール部材に使用するゴム組成物には、上記(A)〜(C)成分以外に、パラフィンオイルおよびポリαオレフィン化合物の少なくとも一方(D)や、軟化剤(可塑剤)、架橋助剤、補強剤、老化防止剤、粘着付与剤、加工助剤等の、各種添加剤を配合しても差し支えない。
また、ポリαオレフィン化合物の場合、低温でのシール性の観点から、100℃における動粘度が8mm2/s以下にするのが好ましい。更に、上記ポリαオレフィン化合物の100℃における動粘度は、低温でのシール性の観点から、より好ましくは、2〜8mm2/sの範囲である。ポリαオレフィン化合物の動粘度は、JIS K 2283に準拠して測定されたものである。
なお、上記(D)成分の配合量は、上記特定のゴム成分(A)100重量部に対して5〜40重量部であることが、ブリードアウトを抑制する観点から好ましい。
前記軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、ワセリン等の石油系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、ファクティス、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等があげられる。これら軟化剤は、ブリードアウトを抑制できる範囲内の量で、配合されることが好ましい。
上記軟化剤の配合量は、上記特定のゴム成分(A)100重量部に対して通常5〜40重量部の範囲である。
前記架橋助剤としては、例えば、マレイミド化合物、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、架橋密度や強度の向上効果が大きいという理由から、マレイミド化合物を用いることが好ましい。
上記架橋助剤の配合量は、上記特定のゴム成分(A)100重量部に対して0.1〜3重量部の範囲が好ましい。上記架橋助剤の配合量が少なすぎると、架橋反応を充分に進行させることが困難となる傾向がみられ、上記架橋助剤の配合量が多すぎると、架橋密度が大きくなり過ぎて、接着力が低下する傾向がみられる。
前記補強剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ等があげられる。上記カーボンブラックのグレードは、特に限定されるものではなく、SAF級、ISAF級、HAF級、MAF級、FEF級、GPF級、SRF級、FT級、MT級等から適宜選択すればよい。
上記補強剤の配合量は、上記特定のゴム成分(A)100重量部に対して、通常10〜150重量部の範囲である。
前記老化防止剤としては、フェノール系、イミダゾール系、ワックス等があげられる。上記老化防止剤の配合量は、上記特定のゴム成分(A)100重量部に対して、通常0.5〜10重量部の範囲である。
〈燃料電池用シール部材の作製〉
本発明の燃料電池用シール部材は、例えば、前記(A)〜(C)成分、および必要に応じて、前記(D)成分等の各種添加剤を含有するゴム組成物を調製した後、これを架橋することにより作製することができる。なお、上記シール部材の架橋成形は、通常、金型内で行われる。本発明においては、金型表面に離型剤を塗布しなくとも良好な金型離型性が発現されるが、必要に応じ、離型剤を塗布してもよい。
上記シール部材は、シール部の形状に応じて、所定形状に成形しておくことが好ましい。例えば、フィルム状に成形すると、燃料電池の各種構成部材にシール部材を、接着剤により貼り付けて、利用に供することができる。なお、本発明のシール部材は、燃料電池の各種構成部材間に接着せずに配置するといった使用態様であってもよい。また、本発明のシール部材は、その加硫成形されたものを接着剤により貼り付ける(後接着する)他、接着剤の塗布面に対し、本発明のシール部材を加硫成形(加硫接着)することにより、後述のように、燃料電池のMEA、セパレータ等の構成部材と、本発明のシール部材とを、金型内で一体成形することも可能である。
〈燃料電池シール体〉
本発明の燃料電池シール体としては、燃料電池用構成部材と、それをシールするシール部材(本発明の燃料電池用シール部材)とが、接着層を介して接着されてなるもの等があげられる。
本発明のシール部材によりシールされる燃料電池用構成部材は、燃料電池の種類、構造等により様々であるが、例えば、セパレータ(金属セパレータ等)、ガス拡散層(GDL)、MEA(電解質膜、電極)等があげられる。
本発明の燃料電池シール体の一例を図1に示す。図1は、複数枚のセルが積層されてなる燃料電池における単一のセル1を主として示したものであり、セル1は、MEA2と、ガス拡散層(GDL)3と、シール部材4aと、セパレータ5と、接着層6を備えている。
本発明の燃料電池シール体としては、例えば、図1に示すように、セパレータ5とシール部材4aとが接着層6を介して接着されてなるもの、MEA2とシール部材4aとが接着層6を介して接着されてなるもの、ガス拡散層3とシール部材4aとが接着層6を介して接着されてなるもの、隣接するシール部材4a同士が接着層6を介して接着されてなるもの等があげられる。
MEA2は、図示しないが、電解質膜と、電解質膜を挟んで積層方向両側に配置されている一対の電極からなる。電解質膜および一対の電極は、矩形薄板状を呈している。上記MEA2を挟んで積層方向両側には、ガス拡散層3が配置されている。上記ガス拡散層3は、多孔質層で、矩形薄板状を呈している。
上記セパレータ5は、チタン等の金属製のものが好ましく、導通信頼性の観点から、DLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)やグラファイト膜等の炭素薄膜を有する金属セパレータが特に好ましい。上記セパレータ5は、矩形薄板状を呈しており、長手方向に延在する溝が合計六つ凹設されており、この溝により、セパレータ5の断面は、凹凸形状を呈している。セパレータ5は、ガス拡散層3の積層方向両側に、対向して配置されている。ガス拡散層3とセパレータ5との間には、凹凸形状を利用して、電極にガスを供給するためのガス流路7が区画されている。
上記シール部材4aは、矩形枠状を呈している。そして、上記シール部材4aは、接着層6を介して、MEA2やガス拡散層3の周縁部、およびセパレータ5に接着され、MEA2やガス拡散層3の周縁部を封止している。なお、図1の例において、シール部材4aは、上下に分かれた2個の部材を使用しているが、両者を合わせた単一のシール部材であっても差し支えない。
固体高分子型燃料電池等の燃料電池の作動時には、燃料ガスおよび酸化剤ガスが、各々ガス流路7を通じて供給される。ここで、MEA2の周縁部は、接着層6を介して、シール部材4aによりシールされている。このため、ガスの混合や漏れは生じない。
本発明の燃料電池シール体は、例えば、つぎのようにして作製することができる。まず、前述のように、本発明の燃料電池用シール部材を作製する。
つぎに、金属セパレータ等の燃料電池用構成部材、およびこれをシールするシール部材のいずれか一方もしくは双方に、上記接着層形成材料(接着剤)を塗布することにより、金属セパレータ等の燃料電池用構成部材と、シール部材とが、接着層を介して接着されてなる、本発明の燃料電池シール体を得ることができる。
上記接着層形成材料(接着剤)としては、例えば、ゴム糊、常温(23℃)で液状のゴム組成物、プライマー等が用いられる。上記液状のゴム組成物としては、ゴム成分、有機過酸化物(架橋剤)等を含有するゴム組成物があげられる。上記ゴム成分の一例としては、液状を呈するゴムがあげられ、具体的には、液状EPM、液状EPDM、液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム(液状NBR)、液状水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(液状H−NBR)等が、単独であるいは二種以上併せて用いられる。上記プライマーとしては、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤と、ビニル基含有シランカップリング剤との共重合オリゴマーを含有するプライマー等があげられる。
上記接着層形成材料の塗布方法としては、例えば、ディスペンサー塗布等があげられ、通常は常温の条件下で塗布すればよい。
本発明の燃料電池シール体における接着層の厚みは、上記液状ゴム組成物を用いる場合、通常、0.01〜0.5mmであり、好ましくは0.05〜0.3mmである。また、上記プライマーを用いる場合、接着層の厚みは、通常、10〜500nmであり、好ましくは30〜200nmである。
また、シール部材の加硫接着により、燃料電池用構成部材とシール部材とを一体化して、燃料電池シール体を製造するのであれば、以下のようにして製造することができる。すなわち、シール部材の成形用金型内に、接着層が形成された燃料電池用構成部材を配置し、上記金型内で、シール部材形成用のゴム組成物を、燃料電池構成部材に接触させた状態で架橋成形するといった製造方法である。
さらに、本発明の燃料電池用シール部材を用いた他の使用例を図2に示す。図2は、矩形薄板状を呈し、長手方向に延在する溝が合計六つ凹設された、上述の断面凹凸形状を呈するセパレータ5の周縁部に、接着層6を介して、矩形状で断面凸部形状のリップ4bが設けられてなる部材である。そして、上記リップ4bとして、本発明の燃料電池シール部材が用いられる。なお、セパレータ5形成材料、接着層6形成材料としては、いずれも先に述べた材料と同様のものが用いられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示すゴム組成物の材料を準備した。
〔EPDM(A成分)〕
エチレン−プロピレン−ジエンゴム(JSR社製、EP342)
〔EPM(A成分)〕
エチレン含量51重量%のエチレン−プロピレンゴム(三井化学社製、EPT 0045)
〔EBT(A成分)〕
エチレン含量50重量%,ジエン含量7.6重量%の、エチレン−ブテン−ジエンゴム(三井化学社製、K−4030M)
〔カーボンブラック〕
東海カーボン社製、シースト116
〔パラフィンオイル(D成分)〕
日本サン石油社製、Sunper 110
〔PAO(D成分)〕
100℃における動粘度が8mm2/sのポリαオレフィン化合物(Chevron Phillips社製、Synfluid PAO 8cSt)
〔カプリル酸カリウム(C成分)〕
日油社製、カプリル酸カリウム
〔ラウリン酸カリウム(C成分)〕
日油社製、ノンサールLK−2
〔ステアリン酸カリウム(C成分)〕
日油社製、ノンサールSK−1
〔オレイン酸カリウム(C成分)〕
日油社製、ノンサールOK−2
〔ベヘニン酸カリウム(C成分)〕
日油社製、ベヘニン酸カリウム
〔ステアリン酸ナトリウム(C成分)〕
日油社製、ノンサールSN−1
〔ステアリン酸マグネシウム〕
日油社製、マグネシウムステアレート
〔ステアリン酸亜鉛〕
日油社製、ジンクステアレート
〔ステアリン酸カルシウム〕
日油社製、カルシウムステアレート
〔パーオキサイド(B成分)〕
日油社製、パーヘキサC−40
[実施例1〜12、比較例1〜7]
(シール部材用の加硫ゴムの作製)
後記の表1〜表5に示す各成分を、同表に示す割合で配合し、バンバリーミキサーおよびオープンロールを用いて混練することにより、ゴム組成物を調製した。そして、得られたゴム組成物を、160℃で10分間保持することにより加硫し、所定の厚さの加硫ゴムを作製した。
上記のようにして得られた加硫ゴムに関し、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。その結果を、後記の表1〜表5に併せて示した。
<引張り強さ>
得られた加硫ゴムを用い、つぎのようにして引張り強さ(TS)を測定した。すなわち、JIS5号ダンベルにて上記加硫ゴムを打ち抜き、JIS K 6251に準拠して、引張り強さ(MPa)を測定した。
なお、表1、表2には、比較例1品である加硫ゴムの引張り強さを基準(100)とした時の各加硫ゴムの引張り強さの指数を示す。また、表3には、比較例5品である加硫ゴムの引張り強さを基準(100)とした時の各加硫ゴムの引張り強さの指数を示す。また、表4には、比較例6品である加硫ゴムの引張り強さを基準(100)とした時の各加硫ゴムの引張り強さの指数を示す。また、表5には、比較例7品である加硫ゴムの引張り強さを基準(100)とした時の各加硫ゴムの引張り強さの指数を示す。
すなわち、引張り強さの指数は、下記の式により算出した。
引張り強さ指数=(各加硫ゴムの引張り強さ(MPa))/(基準となる加硫ゴムの引張り強さ(MPa))×100
なお、後記の表1〜表5において、上記引張り強さ指数が90以上の場合を○と評価した。
<切断時伸び>
得られた加硫ゴムを用い、つぎのようにして切断時伸び(破断伸び(Eb))を測定した。すなわち、JIS5号ダンベルにて上記加硫ゴムを打ち抜き、JIS K 6251に準拠して、切断時伸び(破断伸び)(%)を測定した。
なお、表1、表2には、比較例1品である加硫ゴムの切断時伸びを基準(100)とした時の各加硫ゴムの切断時伸びの指数を示す。また、表3には、比較例5品である加硫ゴムの切断時伸びを基準(100)とした時の各加硫ゴムの切断時伸びの指数を示す。また、表4には、比較例6品である加硫ゴムの切断時伸びを基準(100)とした時の各加硫ゴムの切断時伸びの指数を示す。また、表5には、比較例7品である加硫ゴムの切断時伸びを基準(100)とした時の各加硫ゴムの切断時伸びの指数を示す。
すなわち、切断時伸びの指数は、下記の式により算出した。
切断時伸び指数=(各加硫ゴムの切断時伸び(%))/(基準となる加硫ゴムの切断時伸び(%))×100
なお、後記の表1〜表5において、上記切断時伸び指数が90以上の場合を○と評価した。
<圧縮永久歪み>
得られた加硫ゴムについて、JIS K 6262に準拠した高温での圧縮永久歪み試験を行った。すなわち、上記加硫ゴムを、圧縮率25%で圧縮し、その状態で150℃×24時間の加熱を行った後、解放し、室温(25℃)下で30分経過した後の加硫ゴムの厚みを測定して、圧縮永久歪み(%)を算出した。
なお、表1、表2には、比較例1品である加硫ゴムの圧縮永久歪みを基準(100)とした時の各加硫ゴムの圧縮永久歪みの指数を示す。また、表3には、比較例5品である加硫ゴムの圧縮永久歪みを基準(100)とした時の各加硫ゴムの圧縮永久歪みの指数を示す。また、表4には、比較例6品である加硫ゴムの圧縮永久歪みを基準(100)とした時の各加硫ゴムの圧縮永久歪みの指数を示す。また、表5には、比較例7品である加硫ゴムの圧縮永久歪みを基準(100)とした時の各加硫ゴムの圧縮永久歪みの指数を示す。 すなわち、圧縮永久歪みの指数は、下記の式により算出した。
圧縮永久歪み指数=(各加硫ゴムの圧縮永久歪み(%))/(基準となる加硫ゴムの圧縮永久歪み(%))×100
なお、後記の表1〜表5において、上記圧縮永久歪み指数が110以下の場合を○と評価し、圧縮永久歪み指数が110より大きい場合を×と評価した。
<離型力>
金型の代替として鉄製の板を用意し、その板の上で、前記加硫ゴム形成用のゴム組成物を加硫(160℃×10min)し、幅25mm×厚み5mmのサンプル(加硫ゴム)を作製した。そして、JIS K 6256−2に準拠し、上記の板を固定した状態で加硫ゴムを引張して90°剥離し、その離型力の最大強度(N)を測定した。
なお、表1、表2には、比較例1品である加硫ゴムの離型力の最大強度を基準(100)とした時の各加硫ゴムの離型力の最大強度の指数を示す。また、表3には、比較例5品である加硫ゴムの離型力の最大強度を基準(100)とした時の各加硫ゴムの離型力の最大強度の指数を示す。また、表4には、比較例6品である加硫ゴムの離型力の最大強度を基準(100)とした時の各加硫ゴムの離型力の最大強度の指数を示す。また、表5には、比較例7品である加硫ゴムの離型力の最大強度を基準(100)とした時の各加硫ゴムの離型力の最大強度の指数を示す。
すなわち、離型力の最大強度の指数は、下記の式により算出した。
離型力指数=(各加硫ゴムの離型力の最大強度(N))/(基準となる加硫ゴムの離型力の最大強度(N))×100
なお、後記の表1〜表5において、上記離型力指数が90未満の場合を○と評価し、離型力指数が90以上の場合を×と評価した。
<接着性>
セパレータの代替として鉄製の板を用意し、その板の上にプライマーを塗布(25mm×25mm角)し、さらにその上に、前記加硫ゴム形成用のゴム組成物を加硫(160℃×10min)し、幅25mm×厚み5mmのサンプル(加硫ゴム)を作製した。そして、JIS K 6256−2に準拠し、上記の板を固定した状態で加硫ゴムを引張して90°剥離した。そして、上記剥離時において、加硫ゴムが破壊する場合を○と評価し、加硫ゴムと鉄製の板との界面で剥離する場合を×と評価した。
≪総合評価≫
上記各特性の評価において全て○の場合を、総合評価○とし、各特性の評価において一つでも×がある場合を、総合評価×とした。
Figure 0006688718
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Figure 0006688718
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上記表1および表2の結果から、実施例の加硫ゴム(シール部材)は、EPDMをポリマーとし、パーオキサイド(有機過酸化物)により架橋されたものであり、さらに、脂肪酸カリウムや脂肪酸ナトリウムを、その材料中に含むものである。そのため、機械的物性(TS、Eb)を維持しつつ、圧縮永久歪み(耐ヘタリ性)も良好であり、さらに、離型力も小さいことから、金型離型性の問題も解消できるものであることがわかる。しかも、プライマー使用時の接着性も良好である。
これに対し、比較例1の加硫ゴム(シール部材)は、EPDMをポリマーとし、パーオキサイド(有機過酸化物)により架橋されたものであるが、脂肪酸カリウムや脂肪酸ナトリウムを、その材料中に含んでおらず、離型力が大きいことから、金型離型性の問題が生じた。
比較例2〜4の加硫ゴム(シール部材)も、EPDMをポリマーとし、パーオキサイド(有機過酸化物)により架橋されたものであるが、脂肪酸カリウムや脂肪酸ナトリウムを、その材料中に含んでおらず、代わりに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムといったものが含まれている。そして、いずれも、離型力が大きいことから、金型離型性の問題が生じた。また、比較例2では、ステアリン酸マグネシウムのブリードアウトにより、プライマーを使用しても良好な接着性が得られなかった。比較例3,4では、圧縮永久歪み(耐ヘタリ性)評価においても劣る結果となった。
なお、上記表3の結果から、(D)成分のオイルとして、パラフィンオイルに代えてPAOを使用した場合も、上記表1および表2の結果と略同等程度の評価結果が得られた。
また、上記表4の結果から、シール部材形成材料であるゴム組成物中のEPDMに代えてEPMを使用した場合も、上記表1および表2の結果と略同等程度の評価結果が得られた。
また、上記表5の結果から、シール部材形成材料であるゴム組成物中のEPDMに代えてエチレン−ブテン−ジエンゴムを使用した場合も、上記表1および表2の結果と略同等程度の評価結果が得られた。
本発明の燃料電池用シール部材は、金属セパレータ等の燃料電池用構成部材と、それをシールするゴム製のシール部材とが接着層を介して接着されてなる燃料電池シール体、もしくは上記シール部材同士が接着層を介して接着されてなる燃料電池シール体の上記シール部材に用いられる。
1 セル
2 MEA
3 ガス拡散層
4a シール部材
4b リップ
5 セパレータ
6 接着層
7 ガス流路

Claims (4)

  1. 燃料電池の構成部材をシールするために用いられる燃料電池用シール部材であって、下記の(A)〜(C)成分を含有するゴム組成物の架橋体からなることを特徴とする燃料電池用シール部材。
    (A)エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムおよびエチレン−ブテン−ジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つのゴム成分。
    (B)有機過酸化物からなる架橋剤。
    (C)脂肪酸カリウムおよび脂肪酸ナトリウムの少なくとも一方。
  2. 上記(C)成分が脂肪酸カリウムのみからなる、請求項1記載の燃料電池用シール部材。
  3. 上記ゴム組成物における(C)成分の含有量が、上記ゴム成分(A)100重量部に対し0.5〜10重量部の範囲である、請求項1または2記載の燃料電池用シール部材。
  4. 上記ゴム組成物が、上記(A)〜(C)成分とともに、下記の(D)成分を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池用シール部材。
    (D)パラフィンオイルおよびポリαオレフィン化合物の少なくとも一方。
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