JP2011248262A - ディスプレイ用フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】
ガラス基板、導電性フィルム、及びディスプレイパネルに貼合するための粘着剤層をこの順に有するディスプレイ用フィルターにおいて、ディスプレイパネルとの密着強度が良好で、かつ時間経過による変色が抑制されたディスプレイ用フィルターを提供する。
【解決手段】
ガラス基板、導電性フィルム及び粘着剤層をこの順に有し、
前記粘着剤層がディスプレイ用フィルターをディスプレイパネルに直接貼合するための粘着剤層であり、水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂を含有し、厚みが50μm以上であり、かつ導電性フィルムに接触しないように配置されていることを特徴とする、ディスプレイ用フィルター
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ用フィルターに関し、詳細には、ディスプレイパネルとの密着性に優れ、かつ変色の起こらないディスプレイ用フィルターに関する。
有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのディスプレイは、明瞭なフルカラー表示が可能な表示装置である。これらのディスプレイには、通常、外光の反射防止、ディスプレイから発生する電磁波の遮蔽、ディスプレイの保護などを目的としたディスプレイ用フィルターがディスプレイパネルの視認側に配置されている。
特にプラズマディスプレイはその構造や動作原理上、強度な電磁波が発生するために、電磁波を遮蔽する機能と、外光の反射やギラツキを防止するための、反射防止機能や防眩機能が付与されたディスプレイ用フィルターが通常用いられている。
上記ディスプレイ用フィルターの構成としては、ガラス基板の一方の面に反射防止フィルム、他方の面(ディスプレイパネル側の面)に導電性フィルム(電磁波遮蔽フィルム)が積層された構成が一般的に知られている。このガラス基板を含むディスプレイ用フィルターは、通常、ディスプレイパネルに対して数mmの空間を介して配置されているが、ディスプレイパネルとディスプレイ用フィルターの間に空間が介在すると、表示画像の二重映り現象が発生し、表示画質を低下させるという問題があった。
一方、ディスプレイパネル上に、ガラス基板を含まないディスプレイ用フィルターを直接貼着することが知られている。しかし、このディスプレイ用フィルターは、耐衝撃性が低いという問題があり、そこで、耐衝撃性粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターが提案されている(例えば特許文献1〜3)。
特開2006−171261号公報 特開2007−182557号公報 特開2007−254705号公報
しかしながら、ガラス基板を含まないディスプレイ用フィルターは、ディスプレイパネルに貼着された状態で表面に大きなうねりが見られ、表示品位が著しく低下するという懸念があり、また、外部からの衝撃に対して十分な強度(耐衝撃性)が得られないという懸念がある。
一方、上述したように構成中にガラス基板を含むディスプレイ用フィルターも従来からよく知られており、このガラス基板を含むディスプレイ用フィルターを用いることによって、上記の表示品位低下及び耐衝撃性の課題は改善される。また、ガラス基板を含むディスプレイ用フィルターを、空間を介してディスプレイパネルに配置することによる二重映りの問題は、直接にディスプレイパネルに貼着することによって改善される。
しかし、構成中にガラス基板を含むディスプレイ用フィルターは質量が大きくなり、該ディスプレイ用フィルターをディスプレイパネル(表示パネル)に粘着剤層を介して貼着した場合、ディスプレイパネルからディスプレイ用フィルターがずれ落ちる危険性がある。この課題を回避するために、密着強度の比較的大きい粘着剤層を用いることが好ましい。
粘着剤層の密着強度を高くするためには、粘着剤層を構成する樹脂として水酸基もしくはカルボキシ基を有する樹脂を用いることが好ましく、更に粘着剤層の厚みも大きくすることが好ましい。
しかしながら、粘着剤層に水酸基もしくはカルボキシ基を有する樹脂を用いると、導電性フィルム(電磁波遮蔽フィルム)に粘着剤層が接触することによって、時間経過とともに、粘着剤層が変色することが判明した。この粘着剤層の変色は、粘着剤層の厚みが大きいほど目立ちやすくなり、結果的にディスプレイ用フィルターが変色するという問題を招いた。
従って、本発明の目的は、上記課題に鑑み、ガラス基板、導電性フィルム、及びディスプレイパネルに貼合するための粘着剤層をこの順に有するディスプレイ用フィルターにおいて、ディスプレイパネルとの密着強度が良好で、時間経過による変色が抑制され、かつ二重映りが改善されたディスプレイ用フィルターを提供することにある。本発明の他の目的は、更に耐衝撃性に優れたディスプレイ用フィルターを提供することにある。
本発明の上記目的は、基本的に以下の発明によって達成された。
1) ガラス基板、導電性フィルム及び粘着剤層がこの順に配置され、
該粘着剤層がディスプレイ用フィルターをディスプレイパネルに直接貼合するための粘着剤層であり、水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂を含有し、厚みが50μm以上であり、かつ導電性フィルムに接触しないように配置されている、ディスプレイ用フィルター。
2) 前記導電性フィルムが基材フィルム上に導電層が設けられたものであり、該導電層が前記粘着剤層側になるように該導電性フィルムが配置されている、前記1)のディスプレイ用フィルター。
3) 前記導電性フィルムと粘着剤層との間に、接着層及びプラスチックフィルムが介在している、前記1)または2)のディスプレイ用フィルター。
4) 前記粘着剤層が水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタン系樹脂を含有する、前記1)〜3)のいずれかのディスプレイ用フィルター。
5) 前記粘着剤層がウレタン系紫外線硬化型粘着剤層である、前記1)〜4)のいずれかのディスプレイ用フィルター。
6) 前記ガラス基板の前記導電性フィルムがある側の面とは反対面に光学フィルムが積層されている、前記1)〜5)のいずれかのディスプレイ用フィルター。
7) 前記光学フィルムが近赤外線吸収色素及び/または可視光に吸収を有する色素を含有する接着層で前記ガラス基板に積層されている、前記6)のディスプレイ用フィルター。
本発明によれば、ディスプレイパネルとの密着強度が良好で、時間経過による変色が抑制され、かつ二重映りが改善されたディスプレイ用フィルターを提供することができる。また、本発明によれば、更に耐衝撃性に優れたディスプレイ用フィルターを提供することができる。また更に、本発明によれば、ディスプレイパネルにディスプレイ用フィルターを貼着したときのうねりがない、表示品位の良好なディスプレイ用フィルターを提供することができる。
本発明のディスプレイ用フィルターの一例を示す模式断面図である。
本発明にかかるディスプレイ用フィルターは、ガラス基板、導電性フィルム及びディスプレイパネルに直接貼合するための粘着剤層(以下、パネル貼合用粘着剤層とする)がこの順に配置されたディスプレイ用フィルターであり、このパネル貼合用粘着剤層が水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂を含有し、厚みが50μm以上であり、かつ導電性フィルムに接触しないように配置されていることを特徴とする。
図1は、本発明のディスプレイ用フィルターの一例の模式断面図である。ガラス基板1の一方の面(ディスプレイパネル側)に、導電性フィルム3が接着層2で貼り合わされており、更に導電性フィルム3とパネル貼合用粘着剤層4とが接着層5とプラスチックフィルム6を介して貼り合わされている。ガラス基板1の他方の面には、光学フィルム7が接着層8を介して貼り合わされている。
本発明の特徴は、導電性フィルム3とパネル貼合用粘着剤層4とが接触しないように配置されていることであり、図1の態様では、導電性フィルム3とパネル貼合用粘着剤層4との間に接着層5とプラスチックフィルム6が介在しており、導電性フィルム3とパネル貼合用粘着剤層4とは接触しないように配置されている。
導電性フィルム3は、基材フィルム31上に導電層32が設けられたものである。本発明において、導電性フィルムとパネル貼合用粘着剤層とが接触しないように配置されるとは、導電性フィルムを構成する導電層とパネル貼合用粘着剤層とが接触しないように配置される態様、及び導電性フィルムを構成する基材フィルムとパネル貼合用粘着剤層が接触しないように配置される態様を含む。
つまり、導電性フィルムの一般的な製造工程では、長尺状の基材フィルムの一方の面に導電層を形成した後、一旦ロール状に巻き取られるが、このロール状態では、基材フィルムの導電層とは反対面と導電層とが接触しており、基材フィルムの反対面にも導電層の成分が転写されることがあり、基材フィルム側にパネル貼合用粘着剤層が接触すると、パネル貼合用粘着剤層が変色するという問題が起こりうる。
本発明においては、特に導電性フィルムの導電層とパネル貼合用粘着剤層とが接触しないように配置されることが好ましい。
図1は、導電性フィルム3の導電層32側にパネル貼合用粘着剤層4が配置された態様であるが、導電性フィルム3を表裏反対にして配置することもできる。導電性フィルム3を表裏反対にして配置した場合、基材フィルム31側にパネル貼合用粘着剤層4が配置されるが、この場合、基材フィルム31とパネル貼合用粘着剤層との間には、図1と同様に接着層5とプラスチックフィルム6が介在することが好ましい。
本発明において、導電層32の周辺部からのアース電極の取り出すときの作業性の観点から、図1の態様が好ましい。即ち、導電性フィルムを構成する導電層がパネル貼合用粘着剤層側になるように配置されることであり、具体的には、ガラス基板、導電性フィルムを構成する基材フィルム、導電性フィルムを構成する導電層、及びパネル貼合用粘着剤層がこの順に積層され、かつ導電層とパネル貼合用粘着剤層とが接触しないように両者の間に他の層(図1では粘着剤層5とプラスチックフィルム6)を介在する態様であることが好ましい。
[導電性フィルムとパネル貼合用粘着剤層との間に介在させる層]
導電性フィルムとパネル貼合用粘着剤層とが直接に接触しないように両者の間に介在させる層は、特に限定されないが、接着層又はプラスチックフィルムのいずれかの少なくとも1つの層であることが好ましい。特に、導電性フィルムとパネル貼合用粘着剤層との間に、接着層とプラスチックフィルムの両方を介在させることが好ましい。
接着層は、接着剤や粘着剤で構成される層であり、その厚みは50μm未満であることが好ましく、40μm未満がより好ましい。下限の厚みは5μm以上が好ましく、10μm以上が好ましい。接着層の厚みが50μm以上になると、変色した場合に目立ちやすくなる。
接着層に好ましく用いられる粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられ、これらの中でもアクリル系粘着剤が特に好ましく用いられる。
接着層にアクリル系粘着剤を用いる場合は、該粘着剤を構成するアクリル系樹脂の全組成中に含まれるカルボキシ基含有モノマーと水酸基含有モノマーの合計の比率は、全組成100質量%に対して10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることが好ましく、特に6質量%以下であることが好ましい。また、粘着剤中のカルボキシ基や水酸基と反応する架橋剤を含有させることによって、粘着剤層の密着強度が向上するとともに、粘着剤層中のカルボキシ基や水酸基の含有量が減少するので好ましい。
かかる架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマーなどが挙げられるが、これらの中でもポリイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
導電性フィルムとパネル貼合用粘着剤層との間に介在させるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、アートン樹脂フィルム、エポキシ樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリエーテルイミド樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリスルフォン樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂フィルム、ポリエーテルスルフォン樹脂フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂フィルム及びセルロース樹脂フィルムが好ましく、特にポリエステル樹脂フィルムが好ましく用いられる。
プラスチックフィルムの厚みは、30〜200μmの範囲が適当であり、50〜150μmの範囲が好ましい。
上記プラスチックフィルムは、パネル貼合用粘着剤層を塗工形成するための基材フィルムとして用いることができる。通常、粘着剤層は離型フィルムに塗工、積層されるが、この離型フィルムの代わりに、上記プラスチックフィルムを用いることによって、そのまま本発明のディスプレイ用フィルターに適用することができる。
[パネル貼合用粘着剤層]
本発明にかかるパネル貼合用粘着剤層は、水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂を含み、かつ厚みが50μm以上である。このパネル貼合用粘着剤層によって、ディスプレイパネルとディスプレイ用フィルターとの十分な密着強度が得られ、また耐衝撃性も向上する。
水酸基及び/またはカルボキシル基を有する樹脂としては、公知のものが用いられる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられ、これらの中でも、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂が好ましく、特に、ウレタン系樹脂が好ましい。ウレタン系樹脂を含む粘着剤層は、良好な耐衝撃性が得られることから好ましい。
パネル貼合用粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化せしめた粘着剤(活性エネルギー線硬化型粘着剤)で形成されていることが好ましい。ここで活性エネルギー線とは、紫外線、可視光線、赤外線等の電磁波、電子線等の放射線等のエネルギー線を指し、これらの中でも生産設備や生産工程の面から紫外線が好ましく用いられる。また、活性エネルギー線硬化性組成物とは、上記活性エネルギー線を照射することにより化学反応が起こり硬化する組成物を指す。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、本発明のような厚みが50μm以上という比較的厚みが大きい粘着剤層を製造するのに有効である。
さらに、耐衝撃性を考慮すると、活性エネルギー線硬化性組成物としては、ウレタン系樹脂を含む活性エネルギー線硬化性組成物が好ましい。ウレタン系樹脂を含む活性エネルギー線硬化性組成物は、後述する無溶剤型であっても比較的粘度を低いために、塗工・硬化工程に有利であり、本発明のように厚みが50μmという比較的厚みの大きい粘着剤層の製造に有効である。
パネル貼合用粘着剤層は、水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂を含むことが重要であり、特に水酸基を有する樹脂を含むことが好ましい。かかる樹脂は、1)予め分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有していてもよいし、あるいは、2)活性エネルギー線照射による硬化過程で、分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基が導入されたものであってもよく、また、3)上記両者の組み合わせであってもよい。好ましくは、粘着剤層を構成する樹脂として、少なくとも上記の1)の予め分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂を用いることである。
上記1)の予め分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂としては、分子の末端及び/または側鎖に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するポリマーが挙げられる。好ましくは、少なくとも分子の片末端あるいは両末端に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するポリマーであり、より好ましくは、分子の片末端のみあるいは両末端のみに水酸基及び/またはカルボキシ基を有するポリマーである。上記ポリマーは、重合性のプレポリマー(オリゴマーを含む)であってもよい。
上記2)の活性エネルギー線照射による硬化過程で、樹脂の分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を導入する場合は、重合性のプレポリマーと、水酸基及び/またはカルボキシ基を有する重合性モノマーとを活性エネルギー線硬化性組成物中に含有させればよい。
また、上記3)の上記1)及び上記2)の2つの態様を組み合わせる場合は、(i)予め分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するポリマー、及び、予め分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有する重合性のプレポリマーからなる群の中から選ばれる少なくとも一種と、(ii)重合性のプレポリマーと、(iii)水酸基及び/またはカルボキシ基を有する重合性モノマーとを活性エネルギー線硬化性組成物中に含有(つまり、(i)、(ii)、及び(iii)を活性エネルギー線硬化性組成物中に含有)させればよい。
上記した水酸基及び/またはカルボキシ基を有する重合性のプレポリマーとは、水酸基及び/またはカルボキシ基を有し、さらに分子中にエチレン性不飽和基を有するポリマーである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。
アクリル系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物としては、分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するアクリル系ポリマー、重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマー、並びに重合開始剤を含む組成物が挙げられる。以下、アクリル系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物に好適な各成分について説明する。
分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するアクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル)のモノマーと、カルボキシル基及び/または水酸基を有するモノマーとを共重合したアクリル系ポリマーを挙げることができる。活性エネルギー線硬化性組成物における分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するアクリル系ポリマーの使用量は、活性エネルギー線硬化性組成物100質量%に対して10〜80質量%の範囲が好ましく、20〜60質量%の範囲がより好ましい。
また更に、上記の分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するアクリル系ポリマーに加えて、側鎖にエチレン性不飽和基を有する重合性アクリル系プレポリマーを用いることができる。側鎖にエチレン性不飽和基を有する重合性アクリル系プレポリマーの使用量は、上記分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するアクリル系ポリマー100質量部に対して5〜500質量部の範囲が好ましく、10〜300質量%の範囲がより好ましい。
上記の分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するアクリル系ポリマー及び側鎖にエチレン性不飽和基を有する重合性アクリル系プレポリマーの重量平均分子量としては1万〜50万の範囲が好ましく、2万〜40万の範囲がより好ましい。
上記の分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するアクリル系ポリマー及び側鎖にエチレン性不飽和基を有する重合性アクリル系プレポリマーの使用量は、粘着剤層の原料である活性エネルギー線硬化性組成物100質量%に対して30〜95質量%の範囲が好ましい。
重合性モノマーとしては、例えば2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロイソフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロテレフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルイソフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルテレフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO付加物(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、シクロステアリル(メタ)アクリレート、シクロラウリル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリシクロデカル(メタ)アクリレート、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エチレンオキサイド付加(メタ)アクリレート、水転ビスフェノールA型エチレンオキサイド付加(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル等が挙げられる。これらの中でも、単官能の(メタ)アクリレート化合物が好ましく用いられる。
重合性オリゴマーとしては、ウレタン系オリゴマー、ポリエーテル系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、ポリカーボネート系オリゴマー、ポリブタジエン系オリゴマーなどが挙げられる。
重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマーの使用量(重合性モノマーと重合性オリゴマーを併用する場合は両者の合計量)は、アクリル系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物100質量%に対して、1〜30質量%の範囲が好ましく、2〜20質量%の範囲がより好ましい。
重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等のベンゾフェノン系、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のヒドロキシアルキルフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチル等のアミン系が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、アクリル系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物100質量%に対して、0.05〜5質量%の範囲が適当である。
前述したように、パネル貼合用粘着剤層としては、ウレタン系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物が特に好ましく用いられる。以下、ウレタン系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物について説明する。
かかる組成物に用いられるウレタン系樹脂として、分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタンポリマー(A1)あるいは分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマー(A2)が好ましい。ここで、ウレタンプレポリマー(A2)は、重合性ポリマーを意味し、より具体的には分子中にエチレン性不飽和基を有するポリマーを意味する。上記のエチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。
前記ウレタンポリマー(A1)の中でも、分子片末端もしくは両末端に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタンポリマーが好ましく、分子の両末端に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタンポリマーがより好ましく、特に分子の両末端にのみ水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタンポリマーがより好ましい。
前記ウレタンプレポリマー(A2)の中でも、分子末端に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマーが好ましく、分子の片末端に水酸基及び/またはカルボキシ基を有し、もう一方の末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマーがより好ましく、特に分子の片末端にのみ水酸基及び/またはカルボキシ基を有し、もう一方の末端にのみエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマーがより好ましい。
分子末端に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタンポリマー(A1)あるいはウレタンプレポリマー(A2)の重量平均分子量としては、1万〜10万の範囲が好ましく、2〜8万の範囲がより好ましく、特に2〜5万の範囲が好ましい。
上記の分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタンポリマー(A1)及び分子中に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマー(A2)を総称して、以降、単にウレタンプレポリマー(A)という。
ウレタン系樹脂を含む活性エネルギー線硬化性組成物において、上記のウレタンプレポリマー(A)と組み合わせて、その他のウレタン系樹脂として分子末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマー(B)を用いることが好ましい。
上記のウレタンプレポリマー(B)として、分子の片末端もしくは両末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマーが挙げられるが、分子の両末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマーが好ましく用いられる。上記のエチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。上記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、1万〜10万の範囲が好ましく、2〜8万の範囲がより好ましく、特に2〜5万の範囲が好ましい。
上記のウレタンプレポリマー(A)とウレタンプレポリマー(B)の使用比率は、質量比で、9:1〜1:9の範囲が好ましく、8:2〜2:8の範囲がより好ましい。これによって、表示パネルあるいはディスプレイ用フィルターの基材との密着性が良好で、かつ耐衝撃性に優れた粘着剤層を形成することができる。
活性エネルギー線硬化性組成物におけるウレタン系樹脂の使用量は、該組成物100質量%に対して、30〜95質量%の範囲が好ましく、40〜95質量%の範囲がより好ましく、特に50〜95質量%の範囲が好ましい。
上記のウレタンプレポリマー(A)は、例えば、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)のイソシアネート基と、多価カルボン酸、オキシカルボン酸、多価アルコールとを反応させることによって得ることができる。
また、上記ウレタンプレポリマー(B)は、例えば、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)のイソシアネート基と、該イソシアネート基と反応しうる官能基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等)と(メタ)アクリレート基とを有する化合物とを反応させることによって得ることができる。
分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)は、ポリオールとイソシアネート化合物とを反応させて合成することができる。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられるが、これらの中でもポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカプロラクトンポリオールが好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸と多価アルコールをエステル化反応させて得ることができる。かかる多価カルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、乳酸、ダイマー酸等が挙げられ、中でもアジピン酸、セバシン酸、ピロリメット酸、ダイマー酸が好ましい。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等を用いることができ、中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の2官能アルコールが好ましい。
上記ポリエーテルポリオールは多価アルコールをエーテル化反応させて得ることができる。ここで用いる多価アルコールとしては、上記ポリエステルポリオールの製造に用いる多価アルコールと同様のものを用いることができる。
上記ポリカプロラクトンポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール,1,9−ノナンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド,もしくはプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等公知慣用の多価アルコールのε−カプロラクトン付加物等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる多価アルコールとホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前記多価アルコールとジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)の合成に用いられるイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(A)及びウレタンプレポリマー(B)の合成に用いられる分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)としては、分子の両末端にイソシアネート基を有するものが好ましい。
前述したようにウレタンプレポリマー(A)は、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)のイソシアネート基と、多価カルボン酸、オキシカルボン酸、多価アルコールとを反応させることによって得ることができるが、ここで用いられる、多価カルボン酸、オキシカルボン酸、多価アルコールを以下に例示する。
上記の多価カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ダイマー酸、エタン−1,1,2−トリカルボン酸、ヘキサン−2,3,5−トリカルボン酸等公知慣用の有機酸が好適に用いられるが、他の成分との相溶性の面からジカルボン酸が好ましい。
上記のオキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、トリオキシ酪酸、トリオキシ吉草酸、トリオキシヘキサン酸、グルコン酸等公知慣用の有機酸が好適に用いられる。
上記の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールを好ましく用いることができる。中でも、他の成分との相溶性や吸水安定性の面から1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール等のジオールが特に好ましい。
前述したようにウレタンプレポリマー(B)は、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)のイソシアネート基と、該イソシアネート基と反応しうる官能基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等)と(メタ)アクリレート基とを有する化合物とを反応させることによって得ることができるが、ここで用いられる、イソシアネート基と反応しうる官能基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等)と(メタ)アクリレート基とを有する化合物について、以下に例示する。
上記のイソシアネート基と反応しうる官能基と(メタ)アクリレート基とを有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、特にヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物が好ましく用いられる。
また、本発明において、ウレタン系樹脂として、上記のウレタンプレポリマー(A)とウレタンプレポリマー(B)とを1つの合成過程で同時に合成して得られたウレタンプレポリマー(C)を用いることも好ましい。
上記のウレタンプレポリマー(C)は、例えば、前述の分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)に、多価カルボン酸、オキシカルボン酸および多価アルコールから選ばれる少なくとも一種と、イソシアネート基と反応しうる官能基と(メタ)アクリレート基を有する化合物とを1つの反応系で反応させることによって得ることができる。ここで使用する、多価カルボン酸、オキシカルボン酸、多価アルコール、イソシアネート基と反応しうる官能基と(メタ)アクリレート基とを有する化合物としては、前述と同様の化合物が用いられる。
上記ウレタンプレポリマー(C)の中には、前述の、分子の片末端に水酸基及び/またはカルボキシ基を有し、もう一方の末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマー(A2)、及び分子の両末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマー(B)が少なくとも含まれる。前述の分子両末端に水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタンポリマー(A1)も、合成方法を調整することによって含ませることが可能である。
上記ウレタンプレポリマー(C)において、分子末端アクリレート比率は、全てのウレタン分子の全末端の50〜90%であるのが好ましい。上記分子末端アクリレート比率は、多価カルボン酸、オキシカルボン酸、及び多価アルコールから選ばれる少なくとも一種と、イソシアネート基と反応しうる官能基と(メタ)アクリレート基とを有する化合物との仕込み比率を調整することによって、あるいは仕込み順序と仕込み時間を調整することによって、調製することができる。
上記の分子末端アクリレート比率は、ウレタンプレポリマー(C)の酸価もしくは水酸基価を滴定法等で求め、得られた酸価もしくは水酸基価と分子量から算出することができる。
ウレタン系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物には、更に重合性モノマーとして、(メタ)アクリレート化合物やビニル化合物を用いることが好ましい。
かかる重合性モノマーとしては、例えば2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロイソフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロテレフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルイソフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルテレフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO付加物(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、シクロステアリル(メタ)アクリレート、シクロラウリル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリシクロデカル(メタ)アクリレート、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エチレンオキサイド付加(メタ)アクリレート、水転ビスフェノールA型エチレンオキサイド付加(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル等が挙げられる。これらの中でも、単官能の(メタ)アクリレート化合物が好ましく用いられる。特に、ウレタン系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物の硬化過程で、ウレタン系樹脂に水酸基あるいはカルボキシ基を導入するという観点から、水酸基あるいはカルボキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレート化合物が好ましく用いられる。
上記した重合性モノマーの使用量は、ウレタン系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物100質量%に対して、1〜50質量%の範囲が好ましく、2〜30質量%の範囲が好ましい。
また、上記の水酸基あるいはカルボキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレート化合物の使用量は、前述したウレタンプレポリマー(A2)とウレタンプレポリマー(B)の合計量100質量部に対して、2〜20質量部の範囲が好ましく、特に3〜15質量部の範囲が好ましい。
ウレタン系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物には、更に重合開始剤を含有させることが好ましい。かかる重合開始剤としては市販のものを広く使用することができるが、以下に示すような重合開始剤が好ましく用いられる。例えば、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等のベンゾフェノン系、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のヒドロキシアルキルフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチル等のアミン系が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、ウレタン系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物100質量%に対して、0.05〜5質量%の範囲が適当である。
前述したウレタン系樹脂あるいはアクリル系樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物は、実質的に有機溶剤を含まない、所謂、無溶剤型であることが好ましく、無溶剤型のウレタン系紫外線硬化性組成物であることがより好ましい。ここで、活性エネルギー線硬化性組成物が実質的に有機溶剤を含まないとは、活性エネルギー線硬化性組成物100質量%に含まれる有機溶剤の量が5質量%以下であることを意味し、好ましくは有機溶剤量が3質量%以下であり、より好ましくは有機溶剤量が1質量%以下であり、特に好ましくは有機溶剤を全く含まないことである。
上記有機溶剤は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸ブチル、エタノール、メタノールなどの揮発性の高い有機溶剤を対象とし、特に、沸点が130℃以下の有機溶剤を対象とする。
上記有機溶剤には、液状の重合性モノマー(例えば反応性希釈剤として用いられるような低分子のアクリレートモノマー等)は含まれない。
前述の活性エネルギー線硬化性組成物を無溶剤型とすることで、溶剤を比較的多量に含む粘着剤組成物を用いる場合に比べて、溶剤分の塗工量が低減されるので塗工速度や乾燥速度が向上するという利点、製造工程における安全性や環境性が改善されるという利点、及び粘着剤層の残存溶剤の大幅な低減が図られるという利点がある。
本発明にかかるパネル貼合用粘着剤層には、更に変色の抑制効果を高めるために、酸化防止剤や光安定剤を含有させることが好ましい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましく用いられる。光安定剤としては、立体障害ピペリジル基とエチレン性不飽和基とを有する単量体が好ましく用いられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート〕、ヘキサメチレン−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、ジエチル〔(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ホスフェート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−sec−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−ネオペンチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、p−クロロメチルスチレンとp−クレゾールの重縮合物、p−クロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの重縮合物、p−クレゾールとジビニルベンゼン重縮合物のイソブチレン反応物、などが挙げられる。
上記化合物の中でも、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート〕、ヘキサメチレン−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のプロピオネート化合物が好ましく用いられる。
リン系酸化防止剤としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスホナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリールジホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライル(オクタデシルホスファイト)、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、水添ビスフェノールAホスファイトポリマー、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイトなどが挙げられる。
これらの中でも、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト等のトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、モノフェニルジアルキルホスファイトが好ましく用いられる。
本発明に用いることができる、立体障害ピペリジル基とエチレン性不飽和基とを有する単量体、について説明する。係る単量体における立体障害ピペリジル基とは、ピペリジル基の2位と6位にそれぞれ1乃至2個のアルキル基を有するものであり、エチレン性不飽和基とは、アクリル基(アクリロイル基)、メタクリル基(メタクリロイル基)、クロトノイル基、ビニル基、アリル基等であり、エチレン性不飽和基が立体障害ピペリジル基の1位および/または4位に、直接もしくは酸素原子やイミノ基等の連結基を介して結合した化合物である。
本発明に好ましく用いられる立体障害ピペリジル基とエチレン性不飽和基とを有する単量体は、下記一般式(1)および(2)で表すことができる。
Figure 2011248262
(式中、R は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子またはシアノ基を表し、R、Rはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子またはイミノ基を表す。)
Figure 2011248262
(式中、R12〜R15はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を表し、R16は水素原子またはシアノ基を表し、R17〜R20はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子またはイミノ基を表す。)
前記一般式(1)で表される化合物としては、例えば4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
上記した化合物の中でも、一般式(1)で表される化合物が好ましく、特に4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンが好ましく用いられる。
上記したヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、および立体障害ピペリジル基とエチレン性不飽和基とを有する単量体の、それぞれの含有比率は、水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂を含有する粘着剤層の全成分(有機溶剤は含まない)100質量%に対して0.05〜5質量%の範囲が好ましく、それぞれの含有比率が0.1〜3質量%の範囲がより好ましい。
本発明にかかる水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂を含有する粘着剤層には必要に応じて可塑剤を加えることもできる。かかる可塑剤としては、安息香酸ベンジル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチルベンジル、フタル酸ジオクチル、ブチルフタリルブチルグリコレートなどのフタル酸系化合物、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブトキシエチルなどのアジピン酸系化合物、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸系化合物、リン酸トリエチレン、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル、リン酸クレジルフェニルなどのリン酸化合物、ジオクチルセバケート、メチルアセチルリシノレートなどの脂肪酸系化合物、ジイソデシル−4,5−エポキシテトラヒドロフタレートなどのエポキシ系化合物、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリn−オクチル、トリメリット酸トリイソデシルなどのトリメリット酸系化合物、その他オレイン酸ブチル、塩素化パラフィン、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリブテン、ポリイソブチレンなどが挙げられる。
上記可塑剤の使用量は、粘着剤層の全成分(有機溶剤は含まない)100質量%に対して、1〜30質量%の範囲が好ましい。
さらに、本発明にかかる水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂を含有する粘着剤層には、必要に応じて各種の重合禁止剤を添加することもできる。かかる重合禁止剤としてはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジブチル−4−メチルフェノール等を用いることができる。
また、必要に応じて、上記以外の各種添加剤、たとえば、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、顔料等を用いることもできる。
本発明のパネル貼合用粘着剤層の厚みは50μm以上であるが、好ましくは75μm以上であり、より好ましくは125μm以上であり、特に好ましくは150μm以上である。パネル貼合用粘着剤層の厚みを50μm以上とすることにより、ディスプレイパネルとの密着強度が向上するとともに、耐衝撃性も向上する。
また、ガラス基板を含むディスプレイ用フィルターを用いることによって、該ディスプレイ用フィルターをディスプレイパネルに貼着したときのうねりが軽減され表示品位は改善されるが十分ではなく、厚みが50μm以上のパネル貼合用粘着剤層を用いることによって、上記表示品位は更に改善される。
パネル貼合用粘着剤層の厚みの上限は、塗布適性、硬化速度等の生産性、及びディスプレイの表示画像の視認性を考慮して、2000μm以下が好ましく、1000μm以下がより好ましい。
[導電性フィルム]
本発明にかかる導電性フィルムは、基材フィルム上に導電層が設けられたものである。導電性フィルムを構成する基材フィルムとしては、プラスチックフィルムが好ましく用いられる。かかるプラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びセルロース樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
基材フィルムの厚みは、50〜300μmの範囲が適当であり、80〜250μmの範囲が特に好ましい。
基材フィルムは、導電層との密着性(接着強度)を強化するための易接着層(プライマー層)を有することが好ましい。
基材フィルム上に設けられる導電層は、従来から公知の導電層を用いることができる。例えば、導電性薄膜や導電性メッシュなどが挙げられる。導電層の表面抵抗値としては、3Ω/□以下が適当であるが、電磁波遮蔽の観点からは、1Ω/□以下が好ましく、0.5Ω/□以下がより好ましい。表面抵抗値は低いほど電磁波遮蔽性が向上するために好ましいが、現実的な下限は0.01Ω/□程度と考えられる。導電層の厚みは、0.5〜20μmの範囲が適当であり、1〜15μmの範囲が好ましい。
導電層に用いられる導電性薄膜としては、金属薄膜や酸化物半導体膜、あるいはそれらの積層体が挙げられる。金属薄膜の材料としては、銀、金、パラジウム、銅、インジウムおよびスズから選ばれた金属や、銀とそれ以外の金属の合金などが用いられる。金属薄膜の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、メッキ等の公知の方法を用いることができる。酸化物半導体膜の材料としては、亜鉛、チタン、インジウム、スズ、ジルコニウム、ビスマス、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウム等の酸化物または硫化物、またはこれら酸化物の混合物などが用いられる。酸化物半導体の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト、真空蒸着、湿式塗工等の公知の方法を用いることができる。
導電層に用いられる導電性メッシュとしては、例えば合成繊維または金属繊維のメッシュに金属被覆した繊維メッシュ、金属をメッシュパターン化した金属メッシュなどが挙げられる。
本発明の導電性フィルムに用いられる導電層としては、導電性メッシュを含む導電層が好ましい。導電性メッシュを含む導電層の構成は、例えば、導電層の全域がメッシュパターンで構成された態様、あるいは導電層を有するディスプレイ用フィルターをディスプレイに設置したときに、ディスプレイの画像表示領域に相当する部分の導電層がメッシュパターンで構成され、その外周(非画像表示領域)に相当する部分の導電層が金属ベタ部で構成された態様が挙げられる。
導電性メッシュを含む導電層を基材フィルム上に形成して導電性フィルムを製造する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、1)基材フィルム上に金属箔を接着剤で貼り合わせた後にパターニングする方法、2)基材フィルム上に気相製膜法あるいはメッキ法により金属薄膜を形成した後にパターニングする方法、3)基材フィルム上にメッキ触媒核を含むインキでパターン印刷した後にメッキを施す方法、4)基材フィルム上に導電性インキをパターン状に印刷する方法、5)導電性繊維を用いる方法、6)感光性銀塩を用いる方法、及び7)基材フィルム上に積層した金属薄膜をレーザーアブレーションする方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記の導電性メッシュの製造方法の中でも、特に1)、2)及び3)の製造方法で製造された導電性メッシュが好ましく用いられる。
導電性メッシュのメッシュパターンの形状(開口部の形状)は、例えば、正方形、長方形、菱形等の4角形からなる格子状メッシュパターン、三角形、5角形、6角形、8角形、12角形のような多角形からなるメッシュパターン、円形、楕円形からなるメッシュパターン、前記の複合形状からなるメッシュパターン、及びランダムメッシュパターンが挙げられる。上記の中でも、4角形からなる格子状メッシュパターン、6角形からなるメッシュパターンが好ましく、更に規則的なメッシュパターンが好ましく用いられる。
メッシュ状導電層の厚みは、0.5〜10μmの範囲が適当であり、1〜8μmの範囲が好ましく、特に1〜6μmの範囲が好ましい。
導電性メッシュの線幅は、3〜50μm程度が適当であり、5〜40μmの範囲が好ましく、6〜30μmの範囲がより好ましく、特に8〜25μmの範囲が好ましい。導電性メッシュのピッチ(隣接する細線部と細線部との距離)は、50〜500μmの範囲が適当であり、75〜450nmの範囲が好ましく、100〜350μmの範囲が更に好ましい。
[ガラス基板]
本発明のディスプレイ用フィルターを構成するガラス基板としては、特に限定されず、当分野で公知の一般的なガラスを用いることができる。ガラス基板の厚みは、0.5〜5mmの範囲が好ましく、0.8〜4mmの範囲がより好ましく、特に1〜3mmの範囲が好ましい。
[ガラス基板と導電性フィルムの貼合用接着層]
ガラス基板と導電性フィルムは、図1に示すように、接着層2で貼合することができる。かかる接着層としては、前述した導電性フィルムとパネル貼合用粘着剤層との間に介在させる接着層5と同様のものを用いることができる。
[光学フィルム]
本発明のディスプレイ用フィルターは、ガラス基板の導電性フィルムがある側の面とは反対面に光学フィルムが積層されていることが好ましい。かかる光学フィルムは、反射防止機能、防眩機能、ハードコート機能、及び防汚機能の中から選ばれる少なくとも1つの機能層を有することが好ましい。
光学フィルムは、具体的には、反射防止フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム等であり、特に基材フィルム(導電性フィルムの基材フィルと同様なプラスチックフィルムが用いられる)の一方の面にハードコート層と反射防止層が積層された反射防止フィルムが好ましく用いられる。更に、上記反射防止フィルムの反射防止層とは反対面に、近赤外線遮蔽機能及び/または色調調整機能を有する層が積層されていることが好ましい。
近赤外線遮蔽機能は、層中に近赤外線吸収色素(例えば、フタロシアニン系色素、ジイモニウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、シアニン系色素等)を含有させることによって付与することができる。また、色調調整機能は、層中に可視光に吸収を有する色素(テトラアザポルフィリン系、フタロシアニン系、シアニン系、スクアリリウム系、インドール化合物系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系、アゾ系、キノン系、アズレニウム系、ピリリウム系、クロコニウム系、ピロメテン系、ポルフィリン系等)を含有させることによって付与することができる。
光学フィルムはガラス基板に接着層を介して積層される。かかる接着層は特に限定されず、公知の接着剤や粘着剤を用いることができる。接着層の厚みは、5〜40μmの範囲が適当であり、10〜30μmの範囲が好ましい。また、この接着層に、上記近赤外線遮蔽機能及び/または色調調整機能を付与することが好ましい。接着層に上記近赤外線吸収色素及び/または上記の可視光に吸収を有する色素を含有させることによって、接着層に近赤外線遮蔽機能及び/または色調調整機能を付与することができる。
[ディスプレイ用フィルターの製造方法]
本発明のディスプレイ用フィルターは、以下のようにして製造されることが好ましい。かかる製造方法について、図1を用いて説明する。
まず、ガラス基板1に接着層8を介して光学フィルム7を貼合する。次にガラス基板1の光学フィルム7が貼合された面とは反対面に接着層2を介して導電性フィルム3を貼合する。このとき導電性フィルム3の基材フィルム31とガラス基板1が対向するように貼合する。更に導電性フィルム3の導電層32上に接着層5を介してプラスチックフィルム6を貼合する。この積層状態の段階で加熱加圧処理を行い、導電層31に接着層5を介してプラスチックフィルム6を貼合したときに発生する微細な気泡を消失させる。ここで用いられる加熱加圧処理の加圧処理は、流体加圧であることが好ましい。
流体加圧処理は、積層体を収納でき、窒素などの不活性気体、圧縮空気または不活性液体などの流体で加圧できる容器内で行うことができる。特にコンプレッサーなどによる空気または窒素による加圧方式であることが好ましい。このような流体加圧処理は一回で多量の処理が可能であり、また、積層体に圧力が均一に加えられるため、内部歪が生じにくく処理後の反りなどを防止することができるとともに、気泡および異物の残存を極めて小さくできるので好ましい。流体加圧処理は、0.3〜1.0MPaの範囲で行うのが好ましく、0.4〜0.8MPaの範囲で行うのがより好ましい。加熱加圧処理の加熱条件は、40〜100℃の範囲が好ましく、50〜80℃の範囲がより好ましい。加熱加圧処理の処理時間は、30〜150分間の範囲が好ましく、40〜120分間の範囲がより好ましい。
加熱加圧処理が完了した後、予め製造された離型フィルムとパネル貼合用粘着剤層4の積層体(離型フィルム/パネル貼合用粘着剤層4/離型フィルム)の一方の離型フィルムを剥離して、パネル貼合用粘着剤層4をプラスチックフィルム6上に貼合する。
以下に、実施例を具体的に挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ウレタン系樹脂の合成>
先ず、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)を以下のようにして合成した。
<分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を装備したフラスコに、ポリプロピレングリコール(旭硝子ウレタン(株)製「エクセノール3020」、数平均分子量3200)97.98質量部、ジラウリル酸ジブチルすず0.11質量部を仕込んだ。
次に窒素ガスを吹き込みながら系内を70℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート8.65質量部を加え、3時間攪拌しながら保温して30分ごとのGPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5で一定であることを確認し反応を終了し、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
<分子末端に水酸基を有するウレタンポリマー(A1)の合成>
上記のウレタンプレポリマー(a)を撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに200質量部仕込み、次に系内を70℃まで昇温し、窒素ガスを吹き込みながら1,3−ブタンジオール2.6質量部を加え、攪拌しながら保温(70℃)し、IR測定にてイソシアネート基が完全に消失したことを確認し反応を終了させて、ウレタンプレポリマー(A1)(重量平均分子量24000)を得た。
<分子末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマー(B)の合成>
上記のウレタンプレポリマー(a)を撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに200質量部仕込み、次に系内を80℃まで昇温し、2−ヒドロキエチルアクリレート3.69質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.22質量部を加え、攪拌しながら保温(80℃)し、IR測定にてイソシアネート基が完全に消失したことを確認し反応を終了させてウレタンプレポリマー(B)(重量平均分子量24000)を得た。
<ウレタンプレポリマー(C)の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を装備したフラスコに、ポリプロピレングリコール(旭硝子ウレタン(株)製「エクセノール3020」、数平均分子量3200)97.98質量部、ジラウリル酸ジブチルすず0.11質量部を仕込んだ。次に窒素ガスを吹き込みながら系内を70℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート8.65質量部を加え、3時間攪拌しながら保温した。その後、酸素ガス、窒素ガスを吹き込みながら、2−ヒドロキシエチルアクリレート1.09質量部を加え、次いで1,3−ブタンジオール0.56質量部を加えて、3時間攪拌しながら保温して30分ごとの分子量測定の結果、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5で一定であることを確認し反応を終了し、ウレタンプレポリマー(C)(重量平均分子量24000)を得た。このウレタンプレポリマー(C)のアクリレート末端比率は60%であった。このウレタンプレポリマー(C)には、分子の片末端に水酸基を有し、もう一方の末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマー(A2)、及び分子の両末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマー(B)が含まれる。
<重量平均分子量の測定>
上記で合成したウレタンポリマー(A1)、ウレタンプレポリマー(B)及びウレタンプレポリマー(C)の重量平均分子量をGPCにより測定した。測定にはWALTERS GPC−150CPlus(日本WALTERS社製)を用い下記条件にて測定した。
・検出器:WALTERS 2410
・溶媒:テトラヒドロフラン
・カラム:HR4 2本、HR4E 1本(7.5mm×300mm)
・温度:40℃
・濃度:0.2%
・注入量:100μl
流速:1.0m/m
・n数:3。
<アクリレート末端比率>
ウレタンプレポリマー(C)のアクリレート末端比率は、JISK−1557に準拠し、樹脂をクロロホルム中に溶解させ、無水酢酸を添加しKOHで滴定することにより水酸基価を算出し、水酸基価と重量平均分子量からアクリレート末端比率を算出した。
(実施例1)
以下の要領で、パネル貼合用粘着剤層を含む積層体を作製した。
<無溶剤型の紫外線硬化性組成物の調製>
前記ウレタンポリマー(A1)を35質量部、前記ウレタンプレポリマー(B)を55質量部、反応性希釈剤(重合性モノマー)として4−ヒドロキシブチルアクリレートを10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを2質量部、および重合開始剤としてヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュアー184、以下IC184と表記)を0.5質量部加えて均一に混合することにより紫外線硬化性組成物を調製した。
<パネル貼合用粘着剤層の作製>
厚みが75μmの離型フィルム(東レフィルム加工(株)製 セラピール(登録商標)BX)を使用し、該離型フィルム上に上記の紫外線硬化性組成物をスリットダイコーターで塗布し、紫外線(メタルハライドランプ)を照射(積算光量1600mJ/cmを照射)して、厚みが150μmのパネル貼合用粘着剤層を形成した。更に、このパネル貼合用粘着剤層の面に、厚みが38μmの離型フィルム(東レフィルム加工(株)製 セラピール(登録商標)MD)を積層して、離型フィルム/パネル貼合用粘着剤層/離型フィルムの積層体を得た。
<導電性フィルムの作製>
厚み100μmのPETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標))に、厚み10μm銅箔をドライラミネート用2液タイプ接着剤(東洋モートン(株)製 主剤AD−76P1/硬化剤CAT−10L)を用いてラミネートし、銅箔ラミネートフィルムを得た。
次いで、この銅箔の表面にアルカリ現像型ネガレジストフィルムを積層し、格子状パターンのフォトマスクを介して紫外線露光し、炭酸ナトリウムを1質量%含有する現像液を用いて現像処理を行った。次いで、塩化第2鉄溶液によりエッチング処理を行った後、3質量%水酸化ナトリウム水溶液で処理してレジスト層を剥離して、線幅12μm、線ピッチ300μm、厚みが10μmの導電性メッシュからなる導電層を得た。次いで、酸化処理剤(メルテックス(株)製 エンプレート MB―438A/B/純水=8/13/79の割合で調整)を用いて、導電性メッシュを黒化処理した。
<光学フィルムの作製>
基材フィルム(厚み100μmのPETフィルム(東レ(株)製のルミラー;登録商標))の一方の面に、下記のハードコート層と反射防止層(低屈折率層)を順次積層し、基材フィルムの他方の面に下記の粘着剤層(近赤外線遮蔽機能及びNe光カット機能を有する粘着剤層)を積層して光学フィルムを作製した。
<ハードコート層の積層>
ペルノックス(株)製の帯電防止性の高屈折率ハードコート塗料(XJC−0357;屈折率1.66)を、PETフィルム上にグラビアコーターで塗工し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させ、厚みが約1.7μmの帯電防止性の高屈折率ハードコート層を設けた。
<低屈折率層の積層>
市販の低屈折率塗料(JSR(株)製TU2180:屈折率1.37)に、メチルイソブチルケトンとプロピレングリコールモノブチルエーテルを1:1の比率で加えて、固形分濃度が3質量%の低屈折率層形成用塗布液を調製した。この低屈折率層形成用塗布液を、上記でPETフィルム上に積層された高屈折率ハードコート層上に、グラビアコーターで塗工し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させ、厚み約0.1μmの低屈折率層を形成した。
<粘着剤層の積層>
アクリル系粘着剤200質量部(粘着剤成分に換算した量として)に、ジイモニウム系近赤外線吸収色素を3質量部、フタロシアニン系近赤外線吸収色素を1質量部、570〜610nmに極大吸収波長を有するネオン光カット色素としてテトラアザポルフィリン(三井化学(株)製、商品名「PD−320」)0.3質量部を混合したものを乾燥厚みが25μmとなるように、離型フィルム(東レフィルム加工(株)製 セラピール(登録商標)MD)上にスロットダイコーターで塗工し、乾燥して粘着剤層(近赤外線遮蔽機能及びNe光カット機能を有する粘着剤層)を形成した。次に、この離型フィルムに塗工された粘着剤層を、上記反射防止層が積層されたPETフィルムの反射防止層とは反対面に積層した。
<ディスプレイ用フィルターの作製>
ガラス基板(厚み2.8mmのソーダガラス)の一方の面に、上記光学フィルムを該光学フィルムの粘着剤層(離型フィルムを剥離後)を介して積層し、次いで、ガラス基板の他方の面に、上記導電性フィルムを該導電性フィルムの基材側が対向するように、厚み25μmのアクリル系粘着剤層を介して貼合した。次いで、ガラス基板に貼合された導電性フィルムの導電層側に、厚み25μmのアクリル系粘着剤層を介してプラスチックフィルム(厚み100μmのPETフィルム(東レ(株)製のルミラー;登録商標))を貼合した。
上記の積層状態で、減圧容器内で加熱加圧処理を行った。減圧条件は0.6MPa、加熱条件は60℃、処理時間は60分である。
加熱加圧処理が終了後、上記積層体のプラスチックフィルム面に、上記で作製した離型フィルム/パネル貼合用粘着剤層/離型フィルムの積層体の一方の離型フィルムを剥離してパネル貼合用粘着剤層を貼合して、本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
<評価>
上記で作製されたディスプレイ用フィルターについて、以下のようにして、変色、ディスプレイパネルとの密着性、及び耐衝撃性を評価した。その結果を表1に示す。
<ディスプレイ用フィルターの変色>
ディスプレイ用フィルターを、60℃−90%(RH)の環境下に7日間放置後、ディスプレイ用フィルターの変色の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:変色がない。
×:変色がある。
<密着性>
42インチサイズ(550mm×960mm)に作製したディスプレイ用フィルターを、該ディスプレイ用フィルターのパネル貼合用粘着剤層を介してプラズマディスプレイパネルに貼合し、1日経過した後、ディスプレイ用フィルターがパネルからずれ落ちているかどうかを以下の基準で評価した。
○;全くずれていない。
×;5mm以上ずれ落ちている。
<耐衝撃性>
厚みが約3cmのステンレス板上に、ディスプレイ用フィルターを該ディスプレイ用フィルターのパネル貼合用粘着剤層を介して貼り付けた後、ディスプレイ用フィルター上に質量が約229gの鋼球を高さ45cmから自由落下させ、ディスプレイ用フィルターを構成するガラス基板が割れるかどうかを以下の基準で評価した。
○:全く割れない。
×:ひび割れもしくは割れが認められる。
(実施例2)
実施例1のパネル貼合用粘着剤層の作製において、紫外線硬化型組成物の調製に用いたウレタンポリマー(A1)及びウレタンプレポリマー(B)に代えて、ウレタンプレポリマー(C)を90質量部用いる以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化性組成物を調製し、該紫外線硬化型組成物を用いる以外は実施例1と同様にしてパネル貼合用粘着剤層を作製した。
上記パネル貼合用粘着剤層を用いる以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
(実施例3)
実施例2のパネル貼合用粘着剤層の厚みを200μmに変更する以外は、実施例2と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
(実施例4)
実施例2のパネル貼合用粘着剤層の厚みを300μmに変更する以外は、実施例2と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
(比較例1)
実施例1のパネル貼合用粘着剤層の作製において、紫外線硬化型組成物の調製に用いたウレタンポリマー(A1)及びウレタンプレポリマー(B)に代えて、ウレタンプレポリマー(B)を90質量部用い、更に、4−ヒドロキシブチルアクリレート10質量部に代えて2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート10質量部を用いる以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化型組成物を調製し、該紫外線硬化型組成物を用いる以外は実施例1と同様にしてパネル貼合用粘着剤層を作製した。
上記パネル貼合用粘着剤層を用いる以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
(比較例2)
実施例1のパネル貼合用粘着剤層の厚みを25μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
(比較例3)
実施例1のディスプレイ用フィルターの構成において、導電性フィルムの導電層上に、アクリル系粘着剤層とプラスチックフィルムを介在せずに直接にパネル貼合用粘着剤層を積層する以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
<評価>
実施例2〜4及び比較例1〜3のディスプレイ用フィルターについて、実施例1と同様に、ディスプレイ用フィルターの変色、密着性、及び耐衝撃性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2011248262
表1の結果より、本発明の実施例は、水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂(ウレタン系樹脂)を含むパネル貼合用粘着剤層が導電性フィルムと接触しないように配置されているので、変色が起こらないことが分かる。また、本発明のパネル貼合用粘着剤層は、水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂(ウレタン系樹脂)を含み、かつ厚みが50μm以上であるので、ディスプレイパネルとの密着性及び耐衝撃性が優れていることが分かる。
一方、比較例1は、パネル貼合用粘着剤層として水酸基及びカルボキシ基を有しない樹脂が用いられているので、ディスプレイパネルとの密着性が劣っている。
比較例2は、パネル貼合用粘着剤層の厚みが50μm未満であるので、密着性と耐衝撃性が劣っている。
比較例3は、水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂(ウレタン系樹脂)を含むパネル貼合用粘着剤層が導電性フィルムと直接に接触しているので変色を起こしている。また、比較例3は、導電性フィルムとパネル貼合用粘着剤層の間に接着層とプラスチックフィルムが介在していないので、耐衝撃性が劣っている。
1 ガラス基板
2、5、8 接着層
3 導電性フィルム
4 パネル貼合用粘着剤層
6 プラスチックフィルム
7 光学フィルム
31 導電性フィルムを構成する基材フィルム
32 導電性フィルムを構成する導電層

Claims (7)

  1. ガラス基板、導電性フィルム及び粘着剤層がこの順に配置され、
    前記粘着剤層がディスプレイ用フィルターをディスプレイパネルに直接貼合するための粘着剤層であり、水酸基及び/またはカルボキシ基を有する樹脂を含有し、厚みが50μm以上であり、かつ導電性フィルムに接触しないように配置されている、ディスプレイ用フィルター。
  2. 前記導電性フィルムが基材フィルム上に導電層が設けられたものであり、該導電層が前記粘着剤層側になるように該導電性フィルムが配置されている、請求項1のディスプレイ用フィルター。
  3. 前記導電性フィルムとパネル貼合用粘着剤層との間に、接着層及びプラスチックフィルムが介在している、請求項1または2のディスプレイ用フィルター。
  4. 前記粘着剤層が水酸基及び/またはカルボキシ基を有するウレタン系樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれかのディスプレイ用フィルター。
  5. 前記粘着剤層がウレタン系紫外線硬化型粘着剤層である、請求項1〜4のいずれかのディスプレイ用フィルター。
  6. 前記ガラス基板の前記導電性フィルムがある側の面とは反対面に光学フィルムが積層されている、請求項1〜5のいずれかのディスプレイ用フィルター。
  7. 前記光学フィルムが近赤外線吸収色素及び/または可視光に吸収を有する色素を含有する接着層で前記ガラス基板に積層されている、請求項6のディスプレイ用フィルター。
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WO2014132866A1 (ja) * 2013-02-28 2014-09-04 山本化成株式会社 熱線遮蔽中間膜、及びこれを用いた自動車用合わせガラス
JP5974313B1 (ja) * 2015-11-12 2016-08-23 東洋インキScホールディングス株式会社 再剥離型粘着剤
JP2017032939A (ja) * 2015-08-06 2017-02-09 株式会社Kalbas 表示装置の保護カバー

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