JP2011248083A - 液体現像剤、液体現像装置、湿式画像形成装置及び湿式画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、有機高分子化合物を含有し、かつ測定温度25℃における粘度が30〜400mPa・sである液体現像剤を用いる。
【選択図】図1
Description
本実施形態に係る液体現像剤は、基本的構成として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有する。この液体現像剤は有機高分子化合物を含有し、かつ測定温度25℃における粘度が30〜400mPa・sであることを特徴とする。この粘度(測定温度25℃)は、より好ましくは40〜300mPa・sであり、さらに好ましくは50〜250mPa・sである。
一般に、電気絶縁性のキャリア液は液体キャリアの役割を果たし、得られる液体現像剤の電気絶縁性を高めることを目的として用いられる。電気絶縁性のキャリア液としては、例えば、25℃における体積抵抗が1012Ω・cm以上(換言すれば導電率が1.0pS/cm以下)の電気絶縁性有機溶剤が好ましい。さらに前記物性に加えて、後述の有機高分子化合物を溶解させることができるもの(有機高分子化合物の溶解度が相対的に高いもの)が好ましく用いられる。
本実施形態では、着色粒子として、顔料を結着樹脂に分散させた公知のトナーを用いてもよいが、好ましくは顔料そのものを用いる。本発明に係る液体現像剤を用いることにより、顔料そのものを液体現像剤に含めることができ、それにより画像形成において結着樹脂を含むトナーを用いる場合のような加熱定着工程を経る必要がなくなるからである。つまり、熱エネルギーや光エネルギーを消費することなく、着色粒子としての顔料を記録媒体に定着させることができるため、湿式画像形成装置における消費エネルギーの削減が図られる。
本実施形態に係る液体現像剤は、液体現像剤中の粒子の分散を促進し安定化するための分散安定剤を含有していてもよい。本実施形態で使用し得る分散安定剤としては、例えば、ビックケミー社製の「BYK−116」等が好適である。その他、ルーブリゾール社製の「ソルスパース9000」、「ソルスパース11200」、「ソルスパース13940」、「ソルスパース16000」、「ソルスパース17000」、「ソルスパース18000」や、ISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」、「Antaron(登録商標)V−220」等も好ましく用いられ得る。
本実施形態に係る液体現像剤は、有機高分子化合物を含有する。後述の実施例において示すように、液体現像剤の粘度を上げるだけではにじみの発生を十分に抑制できず、さらに有機高分子化合物を含有することによって、十分な効果を達成できる。
環状オレフィン共重合体は、環状オレフィン骨格を主鎖に有し、環境負荷物質を含まない、非晶性で熱可塑性のオレフィン系樹脂であり、透明性、軽量性、低吸水性等に優れたものである。より詳しくは、本実施形態においては、環状オレフィン共重合体は、主鎖が炭素−炭素結合からなり、主鎖の少なくとも一部に環状炭化水素構造を有する高分子化合物である。この環状炭化水素構造は、ノルボルネンやテトラシクロドデセンに代表されるような、環状炭化水素構造中に少なくとも一つのオレフィン性二重結合を有する化合物(環状オレフィン)を単量体として用いることで導入される。
(a)シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン;
(b)シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の1環の環状オレフィン;
(c)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;
(d)トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;
(e)トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンとの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;
(f)5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の3環の環状オレフィン;
(g)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセン)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等の4環の環状オレフィン;
(h)8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;
(i)テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセン);
(j)ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;
(k)シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィン;等が挙げられる。これらの環状オレフィンは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態で使用できるスチレン系エラストマーとしては、従来公知のものを特に限定なく使用することができる。その具体例としては、例えば、芳香族ビニル化合物と、オレフィン系化合物又は共役ジエン化合物とからなるブロック共重合体等が挙げられる。前記ブロック共重合体としては、例えば、芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックをAとし、オレフィン系化合物又は共役ジエン化合物からなる重合体ブロックをBとしたときに、式1で表される構造を有するブロック共重合体等が挙げられる。
セルロースエーテルは、セルロース分子内の水酸基がアルコキシ基に置換された高分子である。置換率は、45〜49.5%が好ましい。また、アルコキシ基のアルキル部分が例えばヒドロキシル基等によって置換されていてもよい。セルロースエーテルの被膜は、強靭性、熱安定性等に優れている。
本実施形態において使用できるポリビニルブチラール(ブチラール樹脂:アルキルアセタール化ポリビニルアルコール)は、式3に示すように、水酸基を有し、親水性のビニルアルコール単位と、ブチラール基を有し、疎水性のビニルアセタール単位と、アセチル基を有し、ビニルアルコール単位とビニルアセタール単位との中間の性質の酢酸ビニル単位との共重合体である。本実施形態に係る液体現像剤においては、ブチラール化度(親水性部と疎水性部との割合を定めたもの)が60〜85mol%のポリビニルブチラールが被膜形成能(造膜性)に優れる点で好ましい。ポリビニルブチラールは、非極性溶剤に対して溶解性を示すビニルアセタール単位と、紙等の記録媒体に対して結着性を向上させるビニルアルコール単位とを有するため、キャリア液及び記録媒体の両方に対して親和性が高いものである。
本実施形態に係る液体現像剤は、キャリア液、顔料、有機高分子化合物、及び、状況に応じて分散安定剤を、例えば、ボールミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ロッキングミル等を用いて(ジルコニアビーズ等を用いるメディア分散型機でもよい)、状況に応じて数分〜10数時間かけて、十分に溶解又は混合・分散させることにより、製造することができる。
次に、図面を参照して、本実施形態に係る液体現像装置及び湿式画像形成装置を説明する。なお、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を表す用語は、単に説明の明瞭化を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。また、以下の説明で用いられる「シート」という用語は、例えば、上質普通紙、プリント専用紙、コピー用紙、トレーシングペーパ、厚紙、OHPシート等、画像を形成することが可能なあらゆる記録媒体を意味する。
前記湿式画像形成装置1Aを用いてシートに画像を形成することにより、本実施形態に係る湿式画像形成方法が達成される。すなわち、本実施形態に係る湿式画像形成方法は、感光体ドラム10の表面を帯電させる帯電工程と、帯電された感光体ドラム10の表面に静電潜像を形成させる露光工程と、液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、有機高分子化合物を含有し、粘度(測定温度25℃)が30〜400mPa・sである液体現像剤を用いて感光体ドラム10表面の静電潜像を現像する現像工程と、現像された画像をシートに転写する転写工程と、画像が転写されたシートを排出部6に排出する排出工程とを有する。本実施形態に係る湿式画像形成方法では、前記液体現像剤を用いることにより、画像形成におけるにじみの発生を抑制でき、高品質な画像を得ることが可能となる。
1.液体現像剤の製造
(液体現像剤A〜E、G〜K)
キャリア液1としての流動パラフィン(松村石油研究所社製の「モレスコホワイトP−55」)72質量部に、着色粒子としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)20質量部と、分散安定剤としてのISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」8質量部とを、ロッキングミル(セイワ技研社製 RM-10)を用いて、駆動周波数60Hzにて、1時間、室温(25℃)において混合・分散させることにより、高濃度顔料分散体を調製した。なお、この混合・分散過程において発熱が見られたが温度調整は行っていない。顔料分散体中の顔料の平均粒子径(D50)は0.5μmであった。
キャリア液としてのひまし油(伊藤製油社製の精製ひまし油「LAV」)36.5質量部にポリビニルブチラール(積水化学工業社製の「エスレック(登録商標)BL−S」)3.8質量部を溶解し、樹脂溶液を作製した。樹脂溶液40.3部とキャリア液としてのカネダ株式会社製の植物油ベースソルベント「ベジソルMT」54.7質量部に、着色粒子としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)5質量部とを、ロッキングミル(セイワ技研社製 RM-10)を用いて、駆動周波数60Hzにて、1時間、混合・分散(室温25℃において、発熱が見られたが温度調整せず)させることにより、液体現像剤F(実施例6)を調製した。なお、液体現像剤F中の顔料の平均粒子径(D50)は0.4μmであった。
(液体現像剤の粘度測定)
25℃の環境下、20mlの容器に15mlの液体現像剤を入れ、振動式粘度計(CBC社製 VISCOMATE VM−10A−L)で粘度を測定した。結果を表3に示す。
図1に示された、定着部を備えていない湿式画像形成装置(カラープリンタ)1A(京セラミタ社製の湿式画像形成装置の実験機、線速:116mm/s)を用い、シアンの画像形成ユニットFCにシアンの液体現像剤A〜Eを仕込んで、シートとしてのプリント専用紙(三菱製紙社製の湿式現像専用紙「EP−L」:128g/m2)上に、顔料載り量で0.026mg/cm2相当の均一塗りつぶしの正方形のソリッド画像(5cm×5cm)を形成した。その場合に、現像ローラ141の周面上における液体現像剤層の厚みを6μmに設定した。また、画像データに基づいた画像を感光体ドラム10の表面に形成するときに現像ローラ141に印加する現像電界を400Vとした。そして、排出部6に排出されたシートを画像評価に供した。その他の画像形成条件を以下に示す。
・現像ローラ帯電装置147による現像コロナチャージのバイアス電位:4000V
・中間転写ベルト21:ポリイミド製
・感光体ドラム10の暗電位:+550V
・感光体ドラム10の明電位:+10V
・一次転写ローラ20による一次転写電圧:300V(定電圧制御)
・二次転写部4における二次転写電流:40μA(定電流制御)
上記のソリッド画像を中間転写ベルトに形成する(2次転写する前に実験機の駆動を停止させる)。ソリッド画像の後端部における画像部と非画像部の境界部分にテープ(住友スリーエム社製 メンディングテープ(CAT.NO.810−1−18))を貼り付け指で押圧し中間転写ベルトの画像をテープに転写させる。転写後のテープを白紙(三菱製紙社製の湿式現像専用紙「EP−L」:128g/m2)に貼り、画像部と非画像部の境界部分を目視で観察する。境界部分の画像部と非画像部のコントラストがはっきりしている場合は「○」とし、コントラストがはっきりせず滲んだものを「×」と判定した。また画像がこすれたような状態でコントラストがはっきりしないものも「×」と判定した。
3.結果考察
表3から明らかなように、キャリア液中に顔料が分散された液体現像剤において、有機高分子化合物を含有し、かつ粘度が30〜400mPa・sである液体現像剤A〜F(実施例1〜6)は、にじみが発生しなかった。
2 画像形成部
4 二次転写部(転写装置)
6 排出部
7 シート搬送部
10 感光体ドラム
11 帯電装置
12 露光装置
14 液体現像装置
20 一次転写ローラ(転写装置)
21 中間転写ベルト
141 現像ローラ
142 供給ローラ(アニロックスローラ)
147 現像ローラ帯電装置
Claims (8)
- 電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有する液体現像剤であって、
有機高分子化合物を含有し、
測定温度25℃における粘度が30〜400mPa・sであることを特徴とする液体現像剤。 - 有機高分子化合物が、環状オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、セルロースエーテル、ポリビニルブチラールから選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の液体現像剤。
- 有機高分子化合物の含有量が1〜10質量%である、請求項1又は2に記載の液体現像剤。
- キャリア液の体積抵抗率が1012Ω・cm以上である、請求項1から3のいずれかに記載の液体現像剤。
- 着色粒子が顔料である、請求項1〜4のいずれかに記載の液体現像剤。
- 液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する液体現像装置であって、
液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、有機高分子化合物を含有し、かつ測定温度25℃における粘度が30〜400mPa・sである液体現像剤を用いる液体現像装置。 - 感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、帯電された感光体ドラムの表面に静電潜像を形成させる露光装置と、液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する液体現像装置と、現像された画像を記録媒体に転写する転写装置とを備える湿式画像形成装置であって、
液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、有機高分子化合物を含有し、かつ測定温度25℃における粘度が30〜400mPa・Sである液体現像剤を用いることを特徴とする湿式画像形成装置。 - 感光体ドラムの表面を帯電させる帯電工程と、帯電された感光体ドラムの表面に静電潜像を形成させる露光工程と、液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、有機高分子化合物を含有し、かつ測定温度25℃における粘度が30〜400mPa・sである液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する現像工程と、現像された画像を記録媒体に転写する転写工程と、画像が転写された記録媒体を排出部に排出する排出工程とを有することを特徴とする湿式画像形成方法。
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