JP2011246859A - 抗菌、抗ウイルスおよび抗アレルゲン機能を有する繊維布帛 - Google Patents

抗菌、抗ウイルスおよび抗アレルゲン機能を有する繊維布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、優れた抗菌、抗ウイルス性能を発揮すると同時に、抗アレルゲン機能を発揮し、しかも繊維布帛の変色発生を抑制した繊維布帛を提供することを目的とする。
【解決手段】抗菌、抗ウイルスおよび抗アレルゲン機能を有する繊維布帛は、銀系、銅系、亜鉛系の中から選択される少なくとも1種を含む無機抗菌抗ウイルス剤と、無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤と、キレート錯体とが、バインダー樹脂により少なくとも一部に固着していることを特徴とする繊維布帛。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌性能、抗ウイルス性能および抗アレルゲン機能を付与された繊維布帛に関するものである。
近年、生活環境のなかで、有害微生物の抑制に対する関心や、新型インフルエンザの流行などを背景に、ウイルスの抑制に対する関心が高まっている。また、住宅の高気密化にともない、ハウスダストといわれる塵が室内にこもりやすい構造の住宅になっており、これらの塵がアレルギーを引き起こす原因であるアレルゲンとなり、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の症状を多く発症しているといわれている。また、花粉の季節には、扉を開放した時や屋外から人に付着した花粉が、室内に入り込んでアレルギー疾患の症状の原因になるといわれている。
例えば特許文献1では、抗菌性を有する銀、銀塩等を担体に坦持させた無機系抗菌剤を含む水溶液等を用いて、繊維製品に処理して抗菌性を付与する方法が開示されている。しかしながら、銀系抗菌剤は変色を引き起こし易いという問題があった。
さらに特許文献2では、酸化ジルコニウムの無機微粒子化合物、アレルゲン不活化性能のある他の無機化合物、ならびにナノAg微粒子、アミノ酸系界面活性剤を配合し、粒子径が10μm未満の、pHを7.5〜11.5の間に調整した加工剤で繊維製品を加工して、花粉が付着しにくく、また付着したとしても簡単に落ちやすく、残った花粉に対してアレルゲンの不活化が図れる加工剤が開示されている。しかしながら、この方法では、アレルギー疾患の原因物質には有効であるが、抗菌能力は劣るものであった。
特開平6―212562公報 特開2006−57212号公報
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、優れた抗菌、抗ウイルス性能を発揮すると同時に、抗アレルゲン機能を発揮し、しかも繊維布帛の変色発生を抑制した繊維布帛を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を達成するために、以下の手段を提供する。
[1]銀系、銅系、亜鉛系の中から選択される少なくとも1種を含む無機抗菌抗ウイルス剤と、無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤と、キレート錯体とが、バインダー樹脂により少なくとも一部に固着していることを特徴とする繊維布帛。
[2]前記無機抗菌抗ウイルス剤が0.1〜10質量%、前記アレルゲン吸着剤が0.05〜3質量%、前記キレート錯体が0.05〜1質量%固着している前項1に記載の繊維布帛。
[3]無機抗菌抗ウイルス剤の平均粒径が0.1〜20μm、前記アレルゲン吸着剤の平均粒径が0.1〜50μmである前項1または2に記載の繊維布帛。
[1]の発明では、銀系、銅系、亜鉛系の中から選択される少なくとも1種を含む無機抗菌抗ウイルス剤が繊維布帛にバインダー樹脂により固着されているのでブドウ球菌等の雑菌の繁殖を抑制することができると同時に、インフルエンザウイルス等の繁殖を抑制することができる繊維布帛とすることができる。また、無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤が繊維布帛にバインダー樹脂により固着されているので繊維布帛に接触した、例えば、花粉、ダニ、ハウスダスト等のアレルゲンは、無機層状鉱物内の細孔に取り込まれ不活性化される。キレート錯体が繊維布帛にバインダー樹脂により固着されているので繊維布帛の変色を抑制することができる。前記無機抗菌抗ウイルス剤と、前記アレルゲン吸着剤と、前記キレート錯体とが、バインダー樹脂により繊維布帛に強固に固着されるので、洗濯などを行ったとしても持続的にその効果を継続する繊維布帛とすることができる。
[2]の発明では、前記無機抗菌抗ウイルス剤が0.1〜10質量%固着しているので、雑菌の繁殖と同時にウイルスの繁殖をより効率よく抑制することができる。さらに、前記無機層状鉱物が0.05〜3質量%固着しているので、アレルゲンに対して十分なアレルゲン低減化効果をうる繊維布帛とすることができる。また、前記キレート錯体が0.05〜1質量%固着しているので、より効果的に繊維布帛の変色を抑制する繊維布帛とすることができる。
[3]の発明では、前記銀系、銅系、亜鉛系の無機抗菌抗ウイルス剤の平均粒径が0.1〜20μmであるので、繊維布帛に均一に付与することができるので、繊維布帛の風合いに影響を与えることなく十分な抗菌、抗ウイルス効果をうる繊維布帛とすることができる。そして、前記無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤の平均粒径が0.1〜50μmであるので、分散性が良いことから繊維布帛に均一に付与することができるので、繊維布帛の風合いに影響を与えることなく十分なアレルゲン低減効果をうる繊維布帛とすることができる。
次に、本発明の抗菌、抗ウイルスおよび抗アレルゲン機能を有する繊維布帛の実施の形態について詳しく説明する。この実施形態の抗菌、抗ウイルスおよび抗アレルゲン機能を有する繊維布帛は、銀系、銅系、亜鉛系の中から選択される少なくとも1種を含む無機抗菌抗ウイルス剤と、無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤と、キレート錯体とが、バインダー樹脂により少なくとも一部に固着している繊維布帛である。
繊維布帛は多岐に亘っており、例えば、ベットや布団や枕のカバー、シーツ、テーブルクロスや、縫いぐるみ、ソファー、椅子、カーペットの表皮材等多くのものが繊維布帛で作られている。これらの繊維布帛に、優れた抗菌、抗ウイルス機能および抗アレルゲン機能を同時に付与した繊維布帛である。
本発明に係わる繊維布帛は、(a)銀系、銅系、亜鉛系の中から選択される少なくとも1種を含む無機抗菌抗ウイルス剤と、(b)無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤と、(c)キレート錯体とを、バインダー樹脂により少なくとも一部に固着していることを特徴とするものである。
(a)銀系、銅系、亜鉛系の中から選択される少なくとも1種を含む無機抗菌抗ウイルス剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、銀系無機抗菌抗ウイルス剤として、銀ゼオライト、銀担持三酸化二硼素、銀担持リン酸ジルコニウム、酸化銀等を挙げることができる。銅系無機抗菌抗ウイルス剤としては、銅ゼオライト、銅担持三酸化二硼素等を挙げることができる。また、亜鉛系無機抗ウイルス抗菌剤としては、酸化亜鉛、亜鉛担持三酸化二硼素等を挙げることができる。また、前記無機抗菌抗ウイルス剤の繊維製品への固着量は0.1〜10.0質量%が好ましい。固着量が0.1質量%未満では十分な抗菌、抗ウイルス機能のある繊維布帛が得られない。また、また、10.0質量%を超えても大きな抗菌抗ウイルス性能の向上はなく、徒にコストを増大することになり好ましくない。より好ましくは0.5〜8.0質量%がよい。
(b)無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤としては、ベントナイト、モンモリロナイト、ハイデライト、ヘクトライト、雲母、タルクから選ばれる少なくとも1種を含むアレルゲン吸着剤が好ましい。これらの無機層状鉱物は、吸湿性能に優れ、空気中の水分を吸収するのと同様に花粉、ダニ、ハウスダスト等のアレルゲンを吸着し無機層状鉱物の細孔にとりこむ。アレルゲン性を有する蛋白質は水に溶ける性質があり、無機層状鉱物の細孔にとりこまれたアレルゲンは不活化されることになる。
無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤は、無機系なのでフェノール系のアレルゲン低減化剤と比較し耐熱性に優れ、200℃を超える高温で加工する繊維製品に固着さしても、性能低下することなく、繊維製品を変色させないで加工することができる。
無機層状鉱物は、保水性に優れ化粧品としてもよく使われるものでもあるが、中でも、モンモリロナイトは、層状ケイ酸塩鉱物の一種に分類される無機層状鉱物で、結晶構造はケイ酸四面体層−アルミナ八面体層−ケイ酸四面体層の三層が重なっており、その単位層は厚さ約10Å、広がり0.1〜1μmのアスペクト比の高い板状構造で構成され、何層も重なり合った状態で存在することから、極めて大きな表面積を有し、吸着能に優れ、アレルゲン吸着剤として好適である。また、ベントナイトは、モンモリロナイトを主成分とし、他に石英、雲母、長石、ゼオライト等の鉱物を含み、モンモリロナイトのもつ特異な物性が、そのままベントナイトの物性となっている。
無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤の繊維布帛への固着量は0.05〜3.0質量%であるのが好ましい。0.05質量%を下回ると、十分なアレルゲン吸着機能のある繊維布帛が得られない。また、3.0質量%を超えて塗布しても、徒に塗布量を増やすだけで、塗布量の増加に見合った効果が得られるわけではない。
(c)キレート錯体としては、クエン酸、ヘキサメタリン酸、リンゴ酸、グルコン酸、シュウ酸、エチレンジアミン四酢酸液、有機スルフォン酸から選ばれる少なくとも1種を含むキレート錯体が好ましい。これらのキレート錯体は、銀系、銅系、亜鉛系の中から選択される少なくとも1種を含む無機抗菌抗ウイルス剤の金属イオンと結合して酸化を抑えるので、繊維布帛の変色を抑制することができる。キレート錯体の繊維布帛への固着量は0.05〜1.0質量%であるのが好ましい。0.05質量%を下回ると、変色が十分抑制された繊維布帛が得られない。また、1.0質量%を超えて塗布しても、徒に塗布量を増やすだけで、塗布量の増加に見合った効果が得られるわけではない。
バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリルシリコン系樹脂、グリオキザール樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合体樹脂等を挙げることができる。これら樹脂を2種類以上混合してバインダー樹脂としてもよい。
本発明において、無機抗菌抗ウイルス剤とアレルゲン吸着剤とキレート錯体とを繊維布帛に担持するには、予め無機抗菌剤と、アレルゲン吸着剤とキレート錯体を水に分散させておき、さらに、バインダー樹脂を配合し処理液を作成する。次に、こうして作られた処理液を繊維布帛に、スプレー法や、ロールコーター法、プリント加工等で塗布し、120〜200℃で乾燥してもよいし、繊維布帛を処理液に浸漬し、絞ったあと乾燥して担持させてもよい。例えば、カーペットのようなパイルのある繊維布帛については、スプレー法や、プリント加工等でパイルの表面に処理液を塗布し乾燥するのが効果的である。また、シーツやカーテンのように厚みの薄い繊維製品については、処理液に浸漬し、絞ったあと乾燥して繊維布帛全体に、無機抗菌抗ウイルス剤とアレルゲン吸着剤とキレート錯体とを担持させるのが好ましい。
本発明の繊維布帛の繊維としては特に限定されるものではなく、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、レ−ヨン繊維等の繊維からなるもの等を使用でき、その他麻、綿、羊毛等の天然繊維からなるもの等も使用できるが、特にセルロース系繊維を含んでいるのがより好ましい。セルロース系繊維は、吸湿性に優れていることから、人が直接接触するシーツ等に使用すると、アレルゲン吸着剤の補助的な役割をなして、アレルゲン低減化の効果を向上することができる。
次に、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例のものに特に限定されるものではない。各種性能試験および評価方法は次の通りである。
<抗菌性能試験>
繊維製品の抗菌試験方法JIS L1902統一法に準拠して抗菌性能を評価した。試験菌体としては黄色ブドウ球菌を用いた。評価基準は次ぎの基準に従った。(Mb−Ma)≧1.0の条件下で、(Mb−Ma)−(Mc−Mo)を静菌活性値とし、静菌活性値が2.2以上である場合を評価「◎」とし合格とした。ただし、Mbは、無加工繊維布帛の18時間培養した後の3検体生菌数の常用対数の平均値、Maは、無加工繊維布帛の前記試験菌体を注加し、注加直後の3検体の生菌数の常用対数の平均値、Mcは、加工繊維布帛に前記試験菌体を注加し、18時間培養した後の3検体生菌数の常用対数の平均値、Moは、抗菌試験布に前記試験菌体を注加し、注加直後の3検体の生菌数の常用対数の平均値とした。
<制菌性能試験>
繊維製品の抗菌試験方法JIS L1902統一法に準拠して抗菌性能を評価した。試験菌体としてはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」という。)を用いた。評価基準は次ぎの基準に従った。(Mb−Ma)≧1.0の条件下で、(Ma−Mc)を殺菌活性値とし、殺菌活性値が0以上である場合を評価「◎」とし合格とした。ただし、Maは、無加工繊維布帛に前記試験菌体を注加し、注加直後の3検体の生菌数の常用対数の平均値、Mbは、加工繊維布帛に前記試験菌体を注加し、18時間培養した後の3検体生菌数の常用対数の平均値とした。
<抗ウイルス性能試験>
繊維製品の菌液吸収法JIS L1902に準拠して抗ウイルス性能を評価した。試験ウイルスとしてA型インフルエンザウイルス(H1N1)を用いた。加工繊維布帛を0.4g採取し、50mLのチューブにいれ、前記試験ウイルスを0.2mL吸収させ、直後(0時間)と24時間経過後のウイルスの量を測定し、除去率(%)=100×(ウイルス量(0時間)−ウイルス量(24時間))/ウイルス量(0時間)で算出した。除去率が80%以上を評価「◎」とし合格とした。
<アレルゲン低減性能試験>
ELISA法のサンドイッチ法にて測定し、生成した発色物質の吸光度を吸光度計で読み取り、濃度既知の標準品を用いて作成した標準曲線から、サンプル中のアレルゲン量を定量して、アレルゲン低減化率を算出し、下記の4段階で評価し、評価「◎」と「○」を合格とした。
(判定基準)
「◎」・・アレルゲンの汚染はない。(アレルゲン低減化率80%以上)
「○」・・ややアレルゲンに汚染されている程度である。(アレルゲン低減化率60%以上80%未満)
「△」・・アレルゲンに汚染されている。(アレルゲン低減化率40%以上60%未満)
「×」・・非常にアレルゲンに汚染されている。(アレルゲン低減化率40%未満)
<耐変色性能試験>
加工繊維布帛を室温及び温度70℃、湿度90%雰囲気下に1週間放置したものと、無加工繊維布帛とを目視で比較し、明らかに変色しているものを「×」、やや変色しているものを「○」、全く変色していないものを「◎」と評価した。「◎」を合格とした。
<液安定性能試験>
処理液を作成してから、30分間放置し、容器の底に沈殿物がある場合を「×」、沈殿物のない場合を「○」、処理液を45℃で24時間放置し沈殿物のない場合を「◎」と評価した。「◎」を合格とした。
<実施例1>
ポリエステル繊維布帛(目付435質量%)を用意した。次に平均粒径5μmの銀坦持リン酸ジルコニウム20質量部と、平均粒径1μmのベントナイト5質量部と、クエン酸5質量部とを100質量部の水に加えた後、攪拌機により攪拌を行ない、分散液を得た。この分散液にさらにウレタン系バインダー樹脂(固形分50%)20質量部を加え、よく攪拌して均一な処理液を得た。こうして得られた処理液の「液安定性能試験」の結果は、「◎」で合格であった。また、次に、前記処理液中に、前記ポリエステル繊維布帛を浸漬し、マングルで絞った後、130℃、15分間乾燥させ、加工繊維布帛を得た。こうして得られた加工繊維布帛の各種性能試験を行った結果と評価を表1に記載した。加工繊維布帛への固着量を表3に記載した。
<実施例2〜5、比較例1〜7>
実施例1において、処理液の組成を表2のようにし、マングルでの絞り率を調整した以外は実施例1と同様にして加工繊維布帛を得た。各種組成の加工繊維布帛への固着量を表3に、各種性能試験を行った結果と評価を表1に記載した。
Figure 2011246859
Figure 2011246859
Figure 2011246859

Claims (3)

  1. 銀系、銅系、亜鉛系の中から選択される少なくとも1種を含む無機抗菌抗ウイルス剤と、無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤と、キレート錯体とが、バインダー樹脂により少なくとも一部に固着していることを特徴とする繊維布帛。
  2. 前記無機抗菌抗ウイルス剤が0.1〜10質量%、前記アレルゲン吸着剤が0.05〜3質量%、前記キレート錯体が0.05〜1質量%固着している請求項1に記載の繊維布帛。
  3. 無機抗菌抗ウイルス剤の平均粒径が0.1〜20μm、前記アレルゲン吸着剤の平均粒径が0.1〜50μmである請求項1または2に記載の繊維布帛。
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