JP2011246637A - 接着剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着強度が高く、可撓性および耐水性に優れた接着剤を提供すること。
【解決手段】内層および外層を有するエマルション粒子を含む樹脂エマルションを含有してなる接着剤であって、前記内層が環構造を有する単量体85〜100重量%および当該環構造を有する単量体と共重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体成分Aを乳化重合させてなる重合体(I)で形成され、前記外層がカルボキシル基含有単量体6〜35重量%および当該カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体65〜94重量%を含有する単量体成分Bを乳化重合させてなり、ガラス転移温度が40℃以下である重合体(II)で形成されていることを特徴とする接着剤およびその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、例えば、不織布などの繊維同士の結着などの用途に有用な接着剤およびその製造方法に関する。本発明の接着剤は、例えば、工場内などの熱乾燥ラインなどで建築材料、電池材料などの各種工業用材料を接着する際に好適に使用することができる。
近年、環境保護の観点から、ホルムアルデヒドなどの有機溶媒を含有しないバインダーとして、水性樹脂分散体からなる不織布製造用バインダーや(例えば、特許文献1参照)、水性樹脂およびエポキシシランカップリング剤を含有するバインダー(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、これらのバインダーには、接着強度などを付与するためにガラス転移温度を高くする必要があることから、接着強度と可撓性とのバランスに劣るという欠点がある。
特開2000−110059号公報 特開2003−166162号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、接着強度が高く、可撓性(接着剤層の伸び)および耐水性に優れた接着剤を提供することを課題とする。
本発明は、
(1)内層および外層を有するエマルション粒子を含む樹脂エマルションを含有してなる接着剤であって、前記内層が環構造を有する単量体85〜100重量%および当該環構造を有する単量体と共重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体成分Aを乳化重合させてなる重合体(I)で形成され、前記外層がカルボキシル基含有単量体6〜35重量%および当該カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体65〜94重量%を含有する単量体成分Bを乳化重合させてなり、ガラス転移温度が40℃以下である重合体(II)で形成されていることを特徴とする接着剤、
(2)重合体(I)と重合体(II)との重量比〔重合体(I)/重合体(II)〕が25/75〜75/25である前記(1)に記載の接着剤、
(3)エマルション粒子における重合体(I)と重合体(II)との合計含有量が50〜100重量%である前記(1)または(2)に記載の接着剤、
(4)エマルション粒子を構成している重合体に原料として使用されている全単量体成分における環構造を有する単量体の含有量が70〜85重量%であり、当該環構造を有する単量体と共重合可能な単量体の含有量が15〜30重量%である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の接着剤、
(5)環構造を有する単量体と共重合可能な単量体が、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有単量体、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体および窒素原子含有単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の接着剤、
(6)カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体が、環構造を有する単量体、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体および窒素原子含有単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の接着剤、
(7)エマルション粒子が、ガラス転移温度が70〜200℃である重合体からなる樹脂層を含有する前記(1)〜(6)のいずれかに記載の接着剤、
(8)樹脂エマルションの最低造膜温度が−5〜70℃である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の接着剤、
(9)架橋性を有する前記(1)〜(8)のいずれかに記載の接着剤、
(10)オキサゾリン基含有化合物、イソシアネート基含有化合物およびアミノプラスト樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の架橋剤を含有する前記(9)に記載の接着剤、
(11)その用途が熱乾燥ラインである前記(1)〜(10)のいずれかに記載の接着剤、
(12)内層および外層を有するエマルション粒子を含む樹脂エマルションを含有する接着剤の製造方法であって、環構造を有する単量体85〜100重量%および当該環構造を有する単量体と共重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体成分Aを乳化重合させ、得られた重合体(I)からなる内層を形成させた後、当該内層の表面にカルボキシル基含有単量体6〜35重量%および当該カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体65〜94重量%を含有する単量体成分Bを乳化重合させ、ガラス転移温度が40℃以下である重合体(II)からなる外層を形成させることを特徴とする接着剤の製造方法、
(13)重合体(I)と重合体(II)との重量比〔重合体(I)/重合体(II)〕を25/75〜75/25に調整する前記(12)に記載の接着剤の製造方法、および
(14)エマルション粒子における重合体(I)および重合体(II)の含有量が50〜100重量%となるように重合体(I)および重合体(II)の量を調整する前記(12)または(13)に記載の接着剤の製造方法
に関する。
本発明によれば、接着強度が高く、可撓性(接着剤層の伸び)および耐水性に優れた接着剤が提供される。
本発明の接着剤は、前記したように、内層および外層を有するエマルション粒子を含む樹脂エマルションを含有するものである。
本発明の接着剤に用いられる樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子の内層は、環構造を有する単量体85〜100重量%および当該環構造を有する単量体と共重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体成分Aを乳化重合させることによって得られる重合体(I)〔以下、単に重合体(I)という〕で形成され、その外層は、カルボキシル基含有単量体6〜35重量%および当該カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体65〜94重量%を含有する単量体成分Bを乳化重合させることによって得られ、そのガラス転移温度が40℃以下である重合体(II)〔以下、単に重合体(II)という〕で形成されている。
なお、本発明においては、本発明の目的が阻害されない範囲内であれば、エマルション粒子には前記内層および前記外層以外の層が形成されていてもよい。
前記内層を形成する重合体(I)は、環構造を有する単量体85〜100重量%および当該環構造を有する単量体と共重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体成分Aを乳化重合させることによって得られる。
単量体成分Aにおける環構造を有する単量体の含有量は、接着強度を高くし、可撓性(接着剤層の伸び)および耐水性を向上させる観点から、85〜100重量%である。したがって、単量体成分Aは、環構造を有する単量体のみで構成されていてもよい。また、単量体成分Aには、重合安定性を向上させる観点から、0〜15重量%の範囲内で、環構造を有する単量体と共重合可能な単量体が含有されていてもよい。
本明細書において、環構造を有する単量体と共重合可能な単量体は、具体的には、前記環構造を有する単量体以外の単量体であって、前記環構造を有する単量体と共重合可能な単量体を意味する。
環構造を有する単量体としては、例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレートなどの環構造を有する(メタ)アクリレート、スチレン系単量体、エポキシ基含有単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの環構造を有する単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および/または「メタクリル」を意味する。
シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル基の炭素数が好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのシクロアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。シクロアルキル(メタ)アクリレートのなかでは、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル基の炭素数が好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10のシクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのシクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アリール(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、キシリル(メタ)アクリレート、ビフェニリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、アントリル(メタ)アクリレート、フェナントリル(メタ)アクリレートなどの炭素数が6〜18のアリール基を有するアリール(メタ)アクリレートが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアリール(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数が7〜18のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアラルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのスチレン系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ基含有単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。エポキシ基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
環構造を有する単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。本明細書にいうエチレン性不飽和単量体は、環構造を有しないエチレン性不飽和単量体であって、環構造を有する単量体と共重合可能な単量体を意味する。
エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体、カルボキシル基含有単量体、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体、窒素原子含有単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18の水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有脂肪族系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのカルボキシル基含有単量体のなかでは、エマルション粒子の分散安定性を向上させる観点から、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸が好ましく、アクリル酸およびメタクリル酸がより好ましい。
オキソ基含有単量体としては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどの(ジ)エチレングリコール(メトキシ)(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なお、本願明細書において、「(ジ)エチレン」は、「エチレン」および/または「ジエチレン」を意味し、「(メトキシ)」は、メトキシ基を有する場合とメトキシ基を有しない場合の双方を意味する。
フッ素原子含有単量体としては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が2〜6のフッ素原子含有アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
窒素原子含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物、N−ビニルピロリドンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
環構造を有する単量体と共重合可能な単量体のなかでは、耐水性を向上させる観点から、エチレン性不飽和単量体が好ましく、(メタ)アクリル系単量体がより好ましく、アルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、エステル基の炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレートがより一層好ましく、tert−ブチル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
単量体成分Aを乳化重合させる方法としては、例えば、メタノールなどの低級アルコールなどの水溶性有機溶媒と水とを含む水性媒体、水などの媒体中に乳化剤を溶解させ、撹拌下で単量体成分Aおよび重合開始剤を滴下させる方法、乳化剤および水を用いてあらかじめ乳化させておいた単量体成分を水または水性媒体中に滴下させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。なお、媒体の量は、得られる樹脂エマルションに含まれる不揮発分量を考慮して適宜設定すればよい。
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤などが挙げられ、これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸−ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合生成物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレートなどのポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらの重合体を構成する単量体のうちの1種類以上を共重合成分とする共重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、前記乳化剤として、耐水性を向上させる観点から、重合性基を有する乳化剤、すなわち、いわゆる反応性乳化剤が好ましく、環境保護の観点から、非ノニルフェニル型の乳化剤が好ましい。
反応性乳化剤としては、例えば、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩〔例えば、三洋化成工業(株)製、商品名:エレミノールRS−30など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10など〕、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンKH−10など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSE−10など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10、SR−30など〕、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート塩〔例えば、日本乳化剤(株)製、商品名:アントックスMS−60など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER−20など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンRN−20など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープNE−10など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
乳化剤の量は、単量体成分A100重量部あたり、重合安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは2重量部以上、特に好ましくは3重量部以上であり、耐水性を向上させる観点から、好ましくは10重量部以下、より好ましくは6重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下、特に好ましくは4重量部以下である。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤の量は、単量体成分A100重量部あたり、重合速度を高め、未反応の単量体成分Aの残存量を低減させる観点から、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、耐水性を向上させる観点から、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。
重合開始剤の添加方法は、特に限定されない。その添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。また、重合反応の終了時期を早める観点から、単量体成分Aを反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
また、反応系内には、必要により、例えば、tert−ドデシルメルカプタンなどのチオール基を有する化合物などの連鎖移動剤、pH緩衝剤、キレート剤、造膜助剤などの添加剤を添加してもよい。添加剤の量は、その種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、単量体成分A100重量部あたり、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。
単量体成分Aを乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合反応効率を高める観点から、窒素ガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
単量体成分Aを乳化重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜95℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
単量体成分Aを乳化重合させる重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2〜9時間程度である。
以上のようにして単量体成分Aを乳化重合させることにより、内層を形成する重合体(I)がエマルション粒子の形態で得られる。
なお、重合体(I)は、架橋構造を有していてもよい。重合体(I)の重量平均分子量は、重合体(I)が架橋構造を有する場合および架橋構造を有しない場合のいずれの場合であっても、耐水性を向上させる観点から、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、さらに好ましくは55万以上、特に好ましくは60万以上である。重合体(I)の重量平均分子量の上限値は、架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することが困難なため、特に限定されないが、架橋構造を有しない場合には、接着強度を高める観点から、500万以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー〔東ソー(株)製、品番:HLC−8120GPC、カラム:TSKgel G−5000HXLとTSKgel GMHXL−Lとを直列に使用〕を用いて測定された重量平均分子量(ポリスチレン換算)を意味する。
次に、重合体(I)からなる内層を形成させた後、当該内層の表面にカルボキシル基含有単量体6〜35重量%および当該カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体65〜94重量%を含有する単量体成分Bを乳化重合させ、ガラス転移温度が40℃以下である重合体(II)からなる外層を形成させる。なお、カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体は、具体的には、前記カルボキシル基含有単量体以外の単量体であって、前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体を意味する。
単量体成分Bを乳化重合させる際には、重合体(I)の重合反応率が90%以上、好ましくは95%以上に到達した後に単量体成分Bを乳化重合させることが、エマルション粒子内で層分離構造を形成させる観点から好ましい。
なお、重合体(I)からなる内層を形成させた後、重合体(II)からなる外層を形成させる前に、本発明の目的が阻害されない範囲内で、必要により、他の重合体からなる層が形成されていてもよい。したがって、本発明の接着剤の製造方法においては、重合体(I)からなる内層を形成させた後、重合体(II)からなる外層を形成させる前に、本発明の目的が阻害されない範囲内で、必要により、他の重合体からなる層を形成させる操作が含まれていてもよい。
単量体成分Bに用いられるカルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有脂肪族系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのカルボキシル基含有単量体のなかでは、エマルション粒子の分散安定性を向上させる観点から、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸が好ましく、アクリル酸およびメタクリル酸がより好ましい。
単量体成分Bにおけるカルボキシル基含有単量体の含有量は、接着性を向上させる観点から、6重量%以上、好ましくは10重量%以上であり、耐水性を向上させる観点から、35重量%以下、好ましくは25重量%以下である。
単量体成分Bに用いられるカルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、前記単量体成分Aに用いられる環構造を有する単量体、前記単量体成分Aに用いられる環構造を有する単量体と共重合可能な単量体で例示された、カルボキシル基含有単量体以外のエチレン性不飽和単量体などが挙げられる。より具体的には、前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、前記環構造を有する単量体、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体、窒素原子含有単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体成分Bにおけるカルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体の含有量は、耐水性を向上させる観点から、65重量%以上、好ましくは75重量%以上であり、接着性を向上させる観点から、94重量%以下、好ましくは90重量%以下である。
単量体成分Bを乳化重合させる方法および重合条件は、前記単量体Aを乳化重合させる方法および重合条件と同様であればよい。
以上のようにして単量体成分Bを乳化重合させることにより、外層を形成する重合体(II)が前記内層の表面に形成されたエマルション粒子を得ることができる。なお、重合体(II)からなる外層の表面上には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、必要により、他の重合体からなる表面層がさらに形成されていてもよい。
なお、重合体(II)は、架橋構造を有していてもよい。重合体(II)の重量平均分子量は、重合体(II)が架橋構造を有する場合および架橋構造を有しない場合のいずれの場合であっても、耐水性を向上させる観点から、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、さらに好ましくは55万以上、特に好ましくは60万以上である。重合体(II)の重量平均分子量の上限値は、架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することが困難なため、特に限定されないが、架橋構造を有しない場合には、接着強度を高める観点から、500万以下であることが好ましい。
重合体(II)のガラス転移温度は、可撓性を向上させる観点から、40℃以下、好ましくは30℃以下である。なお、重合体(II)のガラス転移温度は、接着強度を高める観点から、好ましくは−20℃以上、より好ましくは0℃以上である。重合体(II)のガラス転移温度は、単量体成分に使用される単量体の組成を調整することにより、容易に調節することができる。
なお、本明細書において、重合体のガラス転移温度は、当該重合体を構成する単量体成分に使用されている単量体の単独重合体のガラス転移温度を用いて、式:
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分における単量体mの含有率(重量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度を意味する。
重合体のガラス転移温度は、例えば、スチレンの単量体の単独重合体では100℃、2−エチルヘキシルアクリレートの単独重合体では−70℃、アクリル酸の単独重合体では95℃、メチルメタクリレートの単独重合体では105℃、シクロヘキシルメタクリレートの単独重合体では83℃、イソボルニルメタクリレートの単独重合体では180℃、ブチルアクリレートの単独重合体では−56℃、メタクリル酸の単独重合体では130℃、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの単独重合体では55℃、N−n−ブトキシメチルアクリルアミドの単独重合体では163℃である。
重合体のガラス転移温度は、前記フォックス(Fox)の式に基づいて求められた値であるが、重合体のガラス転移温度の実測値は、前記フォックス(Fox)の式に基づいて求められた値と同じであることが好ましい。重合体のガラス転移温度の実測値は、例えば、その示差走査熱量の測定によって求めることができる。
示差走査熱量の測定装置としては、例えば、セイコーインスツル(株)製、品番:DSC220Cなどが挙げられる。また、示差走査熱量を測定する際、示差走査熱量(DSC)曲線を描画する方法、示差走査熱量(DSC)曲線から一次微分曲線を得る方法、スムージング処理を行なう方法、目的のピーク温度を求める方法などには特に限定がない。例えば、前記測定装置を用いた場合には、当該測定装置を用いることによって得られたデータから作図すればよい。その際、数学的処理を行なうことができる解析ソフトウェアを用いることができる。当該解析ソフトウェアとしては、例えば、解析ソフトウェア〔セイコーインスツル(株)製、品番:EXSTAR6000〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、このようにして求められたピーク温度には、上下5℃程度の作図による誤差が含まれることがある。
なお、エマルション粒子を構成する複数の樹脂層のいずれかには、接着強度を高める観点および可撓性を向上させる観点から、ガラス転移温度が70〜200℃である重合体からなる樹脂層が含まれていることが好ましい。この重合体のガラス転移温度は、接着強度を高める観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上であり、可撓性を向上させる観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。この樹脂層は、エマルション粒子の内層に形成されていることが、接着強度と可撓性との両者を向上させる観点から好ましい。
また、エマルション粒子自体のガラス転移温度は、接着強度を高める観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上であり、可撓性を向上させる観点から、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは55℃以下である。
重合体(II)の溶解パラメーター(以下、SP値ともいう)は、重合体(I)のSP値よりも高いことが、エマルション粒子内で層分離構造を形成させる観点から好ましい。また、重合体(I)のSP値と重合体(II)のSP値の差は、エマルション粒子内で層分離構造を形成させる観点から、大きいことが好ましい。本発明では、エマルション粒子は、SP値が低い環構造を有する単量体が多量で使用されている重合体(I)と、SP値が高いカルボキシル基含有単量体が使用されている重合体(II)で構成されているので、内層と外層とが明確に分離されているという理想的な構造を有する。
SP値は、ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論によって定義される値であり、2成分系溶液の溶解度の目安にもなっている。一般に、SP値が近い物質同士は互いに混ざりやすい傾向がある。したがって、SP値は、溶質と溶媒との混ざりやすさを判断する目安にもなっている。
重合体(I)と重合体(II)との重量比〔重合体(I)/重合体(II)〕は、接着強度を高める観点から、好ましくは25/75以上、より好ましくは35/65以上であり、可撓性を向上させる観点から、好ましくは75/25以下、より好ましくは65/35以下である。
エマルション粒子における重合体(I)と重合体(II)との合計含有量は、接着強度を高め、可撓性(接着剤層の伸び)および耐水性を向上させる観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは65重量%以上であり、エマルション粒子における重合体(I)と重合体(II)との合計含有量が多いほど好ましく、その上限値は100重量%である。
本発明においては、エマルション粒子を構成している重合体に原料として使用されている全単量体成分における環構造を有する単量体の含有量は、耐水性を向上させる観点から、好ましくは70重量%以上であり、可撓性を向上させる観点から、好ましくは85重量%以下である。したがって、エマルション粒子を構成している重合体に原料として使用されている全単量体成分における環構造を有する単量体と共重合可能な単量体の含有量は、可撓性を向上させる観点から、好ましくは15重量%以上であり、耐水性を向上させる観点から、好ましくは30重量%以下である。
エマルション粒子の平均粒子径は、エマルション粒子の貯蔵安定性を向上させる観点から、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは70nm以上であり、耐水性を向上させる観点から、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下である。
なお、本明細書において、エマルション粒子の平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定器〔パーティクル・サイジング・システムズ(Particle Sizing SyStemS)社製、商品名:NICOMP Model 380)を用いて測定された体積平均粒子径を意味する。
本発明の接着剤における不揮発分量は、生産性を向上させる観点から、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
なお、本明細書において、接着剤における不揮発分量は、接着剤1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔接着剤における不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔接着剤1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
本発明の接着剤に用いられる樹脂エマルションの最低造膜温度は、接着強度を高める観点から、好ましくは−5℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは20℃以上であり、可撓性を向上させる観点から、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。
なお、本明細書において、接着剤に用いられる樹脂エマルションの最低造膜温度は、熱勾配試験機の上に置いたガラス板上に樹脂エマルションを厚さが0.2mmとなるようにアプリケーターで塗工して乾燥させ、クラックが生じたときの温度を意味する。
以上のようにして得られる本発明の接着剤は、接着強度が高く、可撓性(接着剤層の伸び)および耐水性に優れているので、例えば、不織布などの繊維同士の結着などの用途に有用である。
なお、本発明の接着剤は、架橋性を有するものであることが好ましい。本発明の接着剤として、自己架橋性を有するものは、エマルション粒子内に水酸基および/または水酸基と反応し得る官能基を導入することによって得られる。自己架橋性を有するエマルション粒子は、粒子間および/または粒子内で架橋することにより、架橋構造が形成されることから、本発明の接着剤の接着強度を高め、耐水性を向上させることができる。
エマルション粒子内に水酸基または水酸基と反応し得る官能基を導入するためには、通常、水酸基を有する単量体、水酸基と反応し得る官能基を有する単量体などの架橋性単量体が用いられる。これらの単量体は、通常、単量体成分(B)に用いられる。
前記水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチルアクリレート、α−ヒドロキシメチルメチルアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、4−メチロールシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基を有する単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記水酸基と反応し得る官能基を有する単量体において、水酸基と反応し得る官能基は、加熱硬化時に水酸基と反応して架橋構造を形成する官能基であることが好ましく、アルコキシアルキルアミド基およびブロック化されたイソシアネート基であることがより好ましい。
前記アルコキシアルキルアミド基を有する単量体としては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの架橋性(メタ)アクリルアミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記ブロック化されたイソシアネート基を有する単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどにブロック化剤を反応させたものなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記ブロック化剤としては、例えば、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタム、ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾール、イミダゾールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのブロック化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのブロック化剤なかでは、160℃以下の温度、好ましくは150℃以下の温度で開裂するものが望ましい。好適なブロック化剤としては、例えば、ブタノンオキシム、シクロへキサノンオキシム、3,5−ジメチルピラゾールなどが挙げられ、ブタノンオキシムがより好ましい。
重合体(II)の水酸基価は、接着強度を高める観点から、好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは40mgKOH/g以上であり、取扱い性を向上させる観点から、好ましくは180mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下である。単量体成分(B)における架橋性単量体の量は、重合体(II)の水酸基価が前記範囲内となるように調整することが好ましい。
本発明の接着剤には、架橋剤を含有させることにより、架橋性を付与することができる。架橋剤としては、常温で架橋反応を開始するものであってもよく、熱により架橋反応を開始するものであってもよい。本発明の接着剤に架橋剤を含有させることにより、耐水性を向上させ、接着強度を高めることができる。
好適な架橋剤としては、例えば、オキサゾリン基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、アミノプラスト樹脂などが挙げられる。これらの架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
オキサゾリン基含有化合物は、単量体成分として用いられるカルボキシル基含有単量体が官能基として有するカルボキシル基と反応し得るオキサゾリン基を分子中に2個以上有する化合物である。
オキサゾリン基含有化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド、オキサゾリン環含有重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのオキサゾリン基含有化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。オキサゾリン基含有化合物のなかでは、反応性を向上させる観点から、水溶性のオキサゾリン基含有化合物が好ましく、水溶性のオキサゾリン環含有重合体がより好ましい。
オキサゾリン環含有重合体は、付加重合性オキサゾリンを必須成分として含み、必要に応じて付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体を含む単量体成分を重合させることにより、容易に調製することができる。
付加重合性オキサゾリンとしては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの付加重合性オキサゾリンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの付加重合性オキサゾリンのなかでは、入手が容易であることから、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが好ましい。
付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、2−アミノエチル(メタ)アクリレートおよびその塩、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、(メタ)アクリル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウムなどの(メタ)アクリル酸塩;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン含有α,β−不飽和脂肪族炭化水素化合物;スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウムなどのα,β−不飽和芳香族炭化水素化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
オキサゾリン基含有化合物は、例えば、(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、エポクロスWS−700、エポクロスK−2010、エポクロスK−2020、エポクロスK−2030などとして商業的に容易に入手することができる。これらのなかでは、反応性を向上させる観点から、(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、エポクロスWS−700などの水溶性を有するオキサゾリン基含有化合物が好ましい。
イソシアネート基含有化合物は、単量体成分として用いられる水酸基含有単量体が官能基として有する水酸基と反応し得るイソシアネート基を含有する化合物である。
イソシアネート基含有化合物としては、例えば、水分散型(ブロック)ポリイソシアネートなどが挙げられる。なお、(ブロック)ポリイソシアネートとは、ポリイソシアネートおよび/またはブロックポリイソシアネートを意味する。
水分散型ポリイソシアネートとしては、例えば、ポリエチレンオキシド鎖によって親水性が付与されたポリイソシアネートをアニオン性分散剤またはノニオン性分散剤で水に分散させたものなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート;これらのジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体などのポリイソシアネートの誘導体(変性物)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのポリイソシアネートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
水分散型ポリイソシアネートは、例えば、日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:アクアネート100、アクアネート110、アクアネート200、アクアネート210など;住化バイエルウレタン(株)製、商品名:バイヒジュールTPLS−2032、SUB−イソシアネートL801など;三井武田ケミカル(株)製、商品名:タケネートWD−720、タケネートWD−725、タケネートWD−220など;大日精化工業(株)製、商品名:レザミンD−56などとして商業的に容易に入手することができる。
水分散型ブロックポリイソシアネートは、水分散型ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化剤でブロックさせたものである。ブロック化剤としては、例えば、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタム、ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾール、イミダゾールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのブロック化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのブロック化剤なかでは、160℃以下の温度、好ましくは150℃以下の温度で開裂するものが望ましい。好適なブロック化剤としては、例えば、ブタノンオキシム、シクロへキサノンオキシム、3,5−ジメチルピラゾールなどが挙げられる。これらのなかでは、ブタノンオキシムがより好ましい。
水分散型ブロックポリイソシアネートは、例えば、三井武田ケミカル(株)製、商品名:タケネートWB−720、タケネートWB−730、タケネートWB−920など;住化バイエルウレタン(株)製、商品名:バイヒジュールBL116、バイヒジュールBL5140、バイヒジュールBL5235、バイヒジュールTPLS2186、デスモジュールVPLS2310などとして商業的に容易に入手することができる。
エマルション粒子に含まれている重合体(II)の官能基(オキサゾリン基含有化合物に対する官能基:カルボキシル基、イソシアネート基含有化合物に対する官能基:水酸基)と、オキサゾリン基含有化合物、イソシアネート基含有化合物などの架橋剤の官能基(オキサゾリン基含有化合物の官能基:オキサゾリン基、イソシアネート基含有化合物の官能基:イソシアネート基)との当量比〔重合体(II)の官能基/架橋剤の官能基〕は、通常、好ましくは0.1〜2.5、より好ましくは0.2〜2、さらに好ましくは0.3〜1.8である。
アミノプラスト樹脂は、メラミン、グアナミンなどのアミノ基を有する化合物とホルムアルデヒドとの付加縮合物であり、アミノ樹脂とも呼ばれている。
アミノプラスト樹脂としては、例えば、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、完全アルキル型メチル化メラミン、完全アルキル型ブチル化メラミン、完全アルキル型イソブチル化メラミン、完全アルキル型混合エーテル化メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール基型混合エーテル化メラミン、イミノ基型混合エーテル化メラミンなどのメラミン樹脂;ブチル化ベンゾグアナミン、メチル/エチル混合アルキル化ベンゾグアナミン、メチル/ブチル混合アルキル化ベンゾグアナミン、ブチル化グリコールウリルなどのグアナミン樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアミノプラスト樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アミノプラスト樹脂は、例えば、三井サイテック(株)製、商品名:マイコート506、マイコート1128、サイメル232、サイメル235、サイメル254、サイメル303、サイメル325、サイメル370、サイメル771、サイメル1170などとして商業的に容易に入手することができる。
アミノプラスト樹脂の量は、通常、エマルション粒子に含まれている重合体の固形分とアミノプラスト樹脂の固形分との重量比〔重合体の固形分/アミノプラスト樹脂の固形分〕が60/40〜99/1となるように調整することが好ましい。
なお、本発明においては、前記した架橋剤以外にも、例えば、カルボジイミド化合物;ジルコニウム化合物、亜鉛化合物、チタニウム化合物、アルミニウム化合物などに代表される多価金属化合物などの架橋剤を本発明の目的が阻害されない範囲内で用いることができる。
以上のようにして本発明の接着剤が得られるが、本発明の接着剤には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、顔料、染料、紫外線吸収剤、紫外線防止剤、充填剤、レベリング剤、分散剤、増粘剤、湿潤剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤などの添加剤が適量で含まれていてもよい。
本発明の接着剤は、接着強度が高く、可撓性(接着剤層の伸び)および耐水性に優れていることから、例えば、不織布などの繊維同士の結着などの用途などに好適に使用することができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りがない限り、「部」は「重量部」を意味し、「%」は「重量%」を意味する。
製造例1
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水780部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水145部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液60部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、スチレン440部およびアクリル酸10部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全重合性単量体成分の総量の5%にあたる71部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部を添加し、重合を開始した。次に、滴下用プレエマルションの残部との3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液30部を、120分間をかけて均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて、脱イオン水145部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液60部、2−エチルヘキシルアクリレート160部、メチルメタクリレート125部、スチレン160部およびアクリル酸55部からなる2段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液30部とを120分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で120分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調整し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュ(JISメッシュ、以下同じ)の金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
製造例2
滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水780部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水205部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液80部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、スチレン665部およびアクリル酸15部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全重合性単量体成分の総量の5%にあたる71部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部を添加し、重合を開始した。次に、滴下用プレエマルションの残部と3.5%過硫酸アンモニウム水溶液57部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部とを150分間をかけて均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて、脱イオン水85部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート150部、スチレン110部およびアクリル酸40部からなる2段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部とを90分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で120分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調整し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
製造例3
製造例1において、表1に示す単量体成分を用いて重合させたことを除き、製造例1と同様にして水性樹脂分散体を得た。
製造例4
製造例2において、表1に示す単量体成分を用いて重合させたことを除き、製造例2と同様にして水性樹脂分散体を得た。
製造例5
滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水780部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水100部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート10部、メチルメタクリレート10部、スチレン315部およびアクリル酸5部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全重合性単量体成分の総量の5%にあたる71部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに室素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部を添加し、重合を開始した。次に、滴下用プレエマルションの残部と3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部を、90分間をかけて均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水100部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート125部、スチレン200部およびアクリル酸5部からなる2段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部とを90分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水100部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート100部、スチレン190部およびアクリル酸40部からなる3段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部とを90分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で120分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調整し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
製造例6および7
製造例5において、表1に示す単量体成分を用いて重合させたことを除き、製造例5と同様にして水性樹脂分散体を得た。
製造例8
滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水780部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水70部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、スチレン245部およびアクリル酸5部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全重合性単量体成分の総量の5%にあたる71部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部を添加し、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部と3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部とを60分間をかけて均一に滴下した。滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水140部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルへキシルアクリレート145部、スチレン300部およびアクリル酸5部からなる2段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部とを120分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて、脱イオン水85部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート95部、スチレン170部およびアクリル酸35部からなる3段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部とを90分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で120分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調整し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
製造例9および10
製造例5において、表1に示す単量体成分を用いて重合させたことを除き、製造例5と同様にして水性樹脂分散体を得た。
製造例11
製造例1において、表2に示す単量体成分を用いて重合させたことを除き、製造例1と同様にして水性樹脂分散体を得た。
製造例12〜16
製造例5において、表2に示す単量体成分を用いて重合させたことを除き、製造例5と同様にして水性樹脂分散体を得た。
製造例17
滴下ロート、攪絆機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水780部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水60部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、スチレン180部およびアクリル酸5部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全重合性単量体成分の総量の5%にあたる71部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部を添加し、重合を開始した。次に、滴下用プレエマルションの残部と3.5%過硫酸アンモニウム水溶液17部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液12部とを60分間をかけて均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて、脱イオン水195部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート280部、スチレン310部およびアクリル酸10部からなる2段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液49部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液38部とを120分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて、脱イオン水60部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート130部、スチレン50部およびアクリル酸20部からなる3段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液20部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部とを60分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で120分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調整し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
製造例18
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水780部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水35部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液20部、2−エチルヘキシルアクリレート4部、メチルメタクリレート4部、スチレン120部およびアクリル酸2部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全重合性単量体成分の総量の5%にあたる71部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部を添加し、重合を開始した。次に、滴下用プレエマルションの残部と3.5%過硫酸アンモニウム水溶液9部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6部とを30分間をかけて均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水95部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート125部、スチレン200部およびアクリル酸5部からなる2段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液26部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液18部とを90分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水160部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液60部、2−エチルヘキシルアクリレート165部、スチレン310部、アクリル酸40部およびメタクリル酸25部からなる3段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液52部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液36部とを120分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で120分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調整し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
製造例19
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水780部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水95部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート125部、スチレン200部およびアクリル酸5部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全重合性単量体成分の総量の5%にあたる71部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部を添加し、重合を開始した。次に、滴下用プレエマルションの残部と3.5%過硫酸アンモニウム水溶液25部と2.5%亜硫酸一水素ナトリウム水溶液18部を、90分間をかけて均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて、脱イオン水160部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液60部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、メチルメタクリレート15部、スチレン500部、アクリル酸10部からなる2段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液52部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液36部を120分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水35部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液20部、2−エチルヘキシルアクリレート40部、メチルメタクリレート74部およびアクリル酸16部からなる3段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液9部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6部を60分間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、80℃で120分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調整し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
接着剤を構成する樹脂エマルションに用いられた単量体成分の組成を表1〜2に示す。なお、以下の各表に記載の略号は、以下のことを意味する。
〔表中の略号の意味〕
St:スチレン
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
AA:アクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
IB−X:イソボルニルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
MAA:メタクリル酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
N−BMAM:N−n−ブトキシメチルアクリルアミド
また、以下の各表において、層1〜層5は、その順序で重合させて層を形成させたことを示している。表中の単量体成分において、「−」は、その層が形成されていないことを意味する。
また、各製造例で得られた水性樹脂分散体の性質を表3〜4に示す。なお、各表に記載の用語は、以下のことを意味する。
〔層の数〕
形成されている層の数
〔内層中の環構造単量体量〕
内層の原料として使用されている単量体成分Aにおける環構造を有する単量体の含有率(%)
〔外層中のカルボン酸量〕
外層の原料として使用されている単量体成分Bにおけるカルボキシル基含有単量体の含有率(%)
〔層構成比〕
内層を構成している重合体(I)と外層を構成している重合体(II)との重量比[重合体(I)/重合体(II)]
〔内外層合計量〕
エマルション粒子における重合体(I)と重合体(II)との合計含有率(%)
〔外層Tg〕
外層を構成している重合体(II)のガラス転移温度(℃)
〔内層Tg〕
内層を構成している重合体(I)のガラス転移温度(℃)
〔トータルTg〕
エマルション粒子自体のガラス転移温度(℃)
〔トータル環構造単量体量〕
エマルション粒子を構成している重合体に原料として使用されている全単量体成分における環構造を有する単量体の含有率(%)
〔MFT〕
樹脂エマルションの最低造膜温度(℃)
〔不揮発分量〕
樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率(%)
〔平均粒子径〕
エマルション粒子の平均粒子径(nm)
比較製造例1
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水780部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、2−エチルヘキシルアクリレート130部、メチルメタクリレート50部、スチレン800部およびアクリル酸20部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全重合性単量体成分の総量の5%にあたる71部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部を添加し、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部と3.5%過硫酸アンモニウム水溶液86部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液60部とを240分間をかけて均一に滴下した。滴下終了後、80℃で120分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調整し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
比較製造例2
比較製造例1において、表5に示す単量体成分を用いて重合させたことを除き、比較製造例1と同様にして水性樹脂分散体を得た。
比較製造例3および4
製造例5において、表5に示す単量体成分を用いて重合させたことを除き、製造例5と同様にして水性樹脂分散体を得た。
比較製造例5
滴下ロート、攪絆機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水780部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水30部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液20部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、スチレン80部およびアクリル酸5部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全重合性単量体成分の総量の5%にあたる71部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部を添加し、重合を開始した。次に、滴下用プレエマルションの残部と3.5%過硫酸アンモニウム水溶液9部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6部とを30分間をかけて均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて、脱イオン水100部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液40部、2−エチルヘキシルアクリレート155部、スチレン115部およびアクリル酸30部からなる2段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液26部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液18部を90分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水180部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液60部、2−エチルヘキシルアクリレート90部、スチレン505部およびアクリル酸5部からなる3段目のプレエマルションと3.5%過硫酸アンモニウム水溶液52部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液36部とを120分間にわたって均一に滴下した。
滴下終了後、80℃で120分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調整し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
接着剤を構成する樹脂エマルションに用いられた単量体成分の組成および当該接着剤の性質を表5に示す。
実施例1
製造例1で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例2
製造例2で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例3
製造例3で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例4
製造例4で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例5
製造例5で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例6
製造例5で得られた水性樹脂分散体100gに水を添加し、固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例7
製造例5で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕8gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整し、接着剤を調製した。
実施例8
製造例6で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例9
製造例7で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例10
製造例8で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例11
製造例9で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例12
製造例10で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例13
製造例11で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例14
製造例12で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例15
製造例13で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例16
製造例14で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例17
製造例15で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤として水分散型ポリイソシアネート〔三井武田ケミカル(株)製、商品名:タケネートWD−725、イソシアネート含有率:16.5重量%、固形分含量:100%〕を水酸基/イソシアネート基(当量比)が1/1.5となるように添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例18
製造例15で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤として水溶性メラミン樹脂〔三井サイテック(株)製、商品名:サイメル370、固形分含量:88%〕を水性分散体の固形分量/架橋剤の固形分量(重量比)が9/1となるように添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例19
製造例16で得られた水性樹脂分散体100gに水を添加し、固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例20
製造例17で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例21
製造例18で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実施例22
製造例19で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
比較例1
比較製造例1で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
比較例2
比較製造例2で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
比較例3
比較製造例3で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
比較例4
比較製造例4で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
比較例5
比較製造例5で得られた水性樹脂分散体100gに架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、固形分含量:40%〕4gを添加し、水を添加して固形分濃度を20重量%に調整することにより、接着剤を調製した。
実験例
ポリエステル製ニードルパンチ不織布(坪量:120g/m2)を各実施例または各比較例で得られた接着剤中に浸漬し、ニップロールで過剰の接着剤を除去することにより、接着剤を固形分量で25%付着させた後、熱風乾燥機で130℃の温度で20分間乾燥させることにより、試験片を作製し、以下の物性を調べた。その結果を表6に示す。
(1)耐水性
試験片を4cm×4cmの大きさに切断し、25℃の水中に浸漬させ、24時間経過後に引き上げ、水分を拭き取った後、その重量を測定し、式:
〔吸水率(%)〕
=[〔24時間経過後の試験片の重量〕−〔試験前の試験片の重量〕]×100
に基づいて吸水率を求め、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、吸水率が低いほど、耐水性に優れている。
〔評価基準〕
A:吸水率が3%未満
B:吸水率が3%以上6%未満
C:吸水率が6%以上10%未満
D:吸水率が10%以上15%未満
E:吸水率が15%以上
(2)接着剤層の強度および伸び(接着剤層の可撓性)
試験片を20cm×3cmの大きさに切断し、引張試験機〔(株)島津製作所製、商品名:インストロン〕を用い、グリップ間距離が10cmとなるように取り付け、試験温度20℃、引張速度10cm/minで試験片が破断するまで引っ張り、最大荷重(N:ニュートン)および破断時の伸び率を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
なお、破断時の伸び率は、式:
〔破断時の伸び率(%)〕
=[〔破断時の試験片の長さ−試験片の元の長さ(10cm)〕
÷〔試験片の元の長さ(10cm)〕]×100
に基づいて求めた。
〔接着剤層の強度の評価基準〕
A:最大荷重が100N以上
B:最大荷重が80N以上100N未満
C:最大荷重が60N以上80N未満
D:最大荷重が40N以上60N未満
E:最大荷重が40N未満
〔接着剤層の伸びの評価基準〕
A:伸び率が25%以上
B:伸び率が15%以上25%未満
C:伸び率が10%以上15%未満
D:伸び率が5%以上10%未満
E:伸び率が5%未満
(4)接着強度
試験片を凍結融解試験機〔(株)マルイ製、型番:MIT−682−1−11〕を用い、大気中で凍結(−20℃で2時間)させ、次いで水中で融解(20℃で2時間)させる操作を1サイクルとし、この操作を200サイクル行なった後、試験後の試験片にカッターナイフで2mm角の100マスの切り込みを入れ、セロハン粘着テープ〔ニチバン(株)製、セロテープ(登録商標)、品番:CT405AP−18〕を用いて剥離試験を行ない、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
A:100マス中95マス以上が残存
B:100マス中85〜94マスが残存
C:100マス中65〜84マスが残存
D:100マス中50〜64マスが残存
E:100マス中49以下のマスが残存
(5)環境に対する負荷
接着剤の最低造膜温度を調整する際には造膜助剤が使用されているが、造膜助剤は揮発性物質であるため、環境負荷を軽減させる観点から、その造膜助剤の使用量を極力低減させることが望まれる。そこで、造膜助剤として、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕とブチルセロソルブとを等重量で混合することによって得られた混合溶液を用い、各実施例または各比較例で得られた接着剤の最低造膜温度が5℃となるようにするために必要とされる混合溶液の量を測定し、その量によって環境に対する負荷を評価した。その評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
A:接着剤における造膜助剤の含有量が3%未満
B:接着剤における造膜助剤の含有量が3%以上5%未満
C:接着剤における造膜助剤の含有量が5%以上8%未満
D:接着剤における造膜助剤の含有量が8%以上10%未満
E:接着剤における造膜助剤の含有量が10%以上
なお、物性において「E」の評価が1つでもある接着剤は、不合格であると判定される。
表6に示された結果から、各実施例で得られた接着剤は、いずれも、接着強度が高く、可撓性(接着剤層の伸び)および耐水性に優れた接着剤層を形成することがわかる。

Claims (14)

  1. 内層および外層を有するエマルション粒子を含む樹脂エマルションを含有してなる接着剤であって、前記内層が環構造を有する単量体85〜100重量%および当該環構造を有する単量体と共重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体成分Aを乳化重合させてなる重合体(I)で形成され、前記外層がカルボキシル基含有単量体6〜35重量%および当該カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体65〜94重量%を含有する単量体成分Bを乳化重合させてなり、ガラス転移温度が40℃以下である重合体(II)で形成されていることを特徴とする接着剤。
  2. 重合体(I)と重合体(II)との重量比〔重合体(I)/重合体(II)〕が25/75〜75/25である請求項1に記載の接着剤。
  3. エマルション粒子における重合体(I)と重合体(II)との合計含有量が50〜100重量%である請求項1または2に記載の接着剤。
  4. エマルション粒子を構成している重合体の原料として使用されている全単量体成分における環構造を有する単量体の含有量が70〜85重量%であり、当該環構造を有する単量体と共重合可能な単量体の含有量が15〜30重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤。
  5. 環構造を有する単量体と共重合可能な単量体が、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有単量体、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体および窒素原子含有単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体である請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤。
  6. カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体が、環構造を有する単量体、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体および窒素原子含有単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体である請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤。
  7. エマルション粒子が、ガラス転移温度が70〜200℃である重合体からなる樹脂層を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤。
  8. 樹脂エマルションの最低造膜温度が−5〜70℃である請求項1〜7のいずれかに記載の接着剤。
  9. 架橋性を有する請求項1〜8のいずれかに記載の接着剤。
  10. オキサゾリン基含有化合物、イソシアネート基含有化合物およびアミノプラスト樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の架橋剤を含有する請求項9に記載の接着剤。
  11. その用途が熱乾燥ラインである請求項1〜10のいずれかに記載の接着剤。
  12. 内層および外層を有するエマルション粒子を含む樹脂エマルションを含有する接着剤の製造方法であって、環構造を有する単量体85〜100重量%および当該環構造を有する単量体と共重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体成分Aを乳化重合させ、得られた重合体(I)からなる内層を形成させた後、当該内層の表面にカルボキシル基含有単量体6〜35重量%および当該カルボキシル基含有単量体と共重合可能な単量体65〜94重量%を含有する単量体成分Bを乳化重合させ、ガラス転移温度が40℃以下である重合体(II)からなる外層を形成させることを特徴とする接着剤の製造方法。
  13. 重合体(I)と重合体(II)との重量比〔重合体(I)/重合体(II)〕を25/75〜75/25に調整する請求項12に記載の接着剤の製造方法。
  14. エマルション粒子における重合体(I)および重合体(II)の含有量が50〜100重量%となるように重合体(I)および重合体(II)の量を調整する請求項12または13に記載の接着剤の製造方法。
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