JP2011245677A - タイヤの製造方法、タイヤ成型用金型に用いるサイプ刃、およびタイヤ成型用金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タイヤを加硫成型するとき、以下のタイヤ成型用金型を用いる。タイヤ加硫金型は、その内表面に、タイヤトレッド部にサイプあるいは溝を成型するための第1のサイプ刃あるいは溝成型用凸部に沿って並行するように突設した第2のサイプ刃を備え、前記第1のサイプ刃あるいは前記溝成型用凸部に対向する前記第2のサイプ刃の対向面に、前記第2のサイプ刃の基部から突出方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部が設けられている。
【選択図】 図3
Description
一般的に、上記サイプに、少なくとも一方の端が溝等に開口したオープンサイプを用いた場合、オープンサイプは、ブロック剛性を大きく低下させてヒール・トウ摩耗の発生の原因となり易い他、氷上性能を低下させる場合もある。このため、スタッドレスタイヤ等の氷雪上性能を向上させたタイヤでは、サイプの両端がブロック内で閉塞したクローズドサイプが用いられる。
タイヤの製造方法は、タイヤ成型用金型であって、該タイヤ成型用金型の内表面には、タイヤトレッド部にサイプあるいは溝を成型するための第1のサイプ刃あるいは溝成型用凸部に沿って並行するように突設した第2のサイプ刃を備え、前記第1のサイプ刃あるいは前記溝成型用凸部に対向する前記第2のサイプ刃の対向面に、前記第2のサイプ刃の基部から突出方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部が設けられているタイヤ成型用金型を用意するステップと、
前記タイヤ成型用金型を用いて、未成型タイヤを成型することで、パターン付きタイヤを作製するステップと、を有する。
タイヤ成型のための金型本体と、
前記金型本体の成型用内表面に、タイヤトレッド部にサイプあるいは溝を成型するための第1のサイプ刃あるいは溝成型用凸部に沿って並行するように突設した第2のサイプ刃と、を有する。
前記第1のサイプ刃あるいは前記成型用凸部に対向する前記第2のサイプ刃の対向面に、前記第2のサイプ刃の基部から突出方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部が設けられている。
以下、本発明のタイヤの製造方法、タイヤ成型用金型に用いるサイプ刃、およびタイヤ成型用金型について説明する。
図1(a)は、本実施形態のタイヤの製造方法に用いるタイヤ成型用金型10の例を示す図である。タイヤ成型用金型10は、ブロックパターンをトレッド部に形成するように、タイヤ成型金型10の内表面に、ブロックを区画するラグ溝および周方向溝を形成するためのリブ状凸部、およびブロック内にクローズドサイプを形成するためのサイプ刃が設けられている。
図1(b)中の未加硫状態のタイヤ14では、インナーライナゴム層14a、カーカス層14b、ベルト層14c、およびトレッドゴム14dが積層されている。
以降、部分金型12a2,・・・,12anの代表として部分金型12a1を用いて説明をする。
クローズドサイプ18,20との間の領域の、クローズドサイプ18,20の幅方向延長部分には、微小突起部21が形成されている。タイヤ成型時、タイヤ成型用金型10に設けられたベントホール12fから、タイヤ成型用金型10とタイヤ14の間に残留する空気を排気するが、この空気の排気後、拡張するタイヤ14の流動状態のトレッドゴムの一部がベントホール12fに流れ込む。上記微小突起部21は、このベントホール12fに流れ込んで形成されるトレッドゴム14の突出部を、加硫工程後に行われる検査工程で切り落としたときの突出部の痕跡である。
図3(a)に示すように、第2のサイプ刃12cに対向する第1のサイプ刃12bの対向面に、第1のサイプ刃12bの基部から突出方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部22が多数設けられている。また、第1のサイプ刃12bに対向する第2のサイプ刃12cの対向面にも、第2のサイプ刃12cの基部から突出方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部24が設けられている。
第1のサイプ刃12b、第2のサイプ12cの表面に複数のリブ状凹部22が設けられるのは、流動状態にあるドレッドゴムと第1のサイプ刃12b、第2のサイプ12cの表面との接触面積を低減させることでトレッドゴムが受ける摩擦力を低減し、従来のトレッドゴムの流動の阻止を抑制するためである。第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cにおける複数のリブ状凹部22の配置間隔cは、リブ状凹部22の第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cの幅方向の位置に応じて疎密ができるように、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cの幅方向において変化していることが好ましい。リブ状凹部22の疎密により、トレッドゴムの流動形態を定めることができ、ベントホール12fからの空気の排気を促すことができる。より具体的には、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cにおけるリブ状凹部22の配置間隔は、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cの幅方向の中心から少なくとも幅方向の一方の端部に行くにしたがって長くなっていることが好ましい。上記配置間隔が長くなる方向にベントホール12fが設けられることが好ましい。配置間隔cは、例えば、幅方向の中心では1.0mmであり、端部では5.0mmである。
本実施形態では、複数のリブ状凹部22がサイプ刃の面に設けられるので、トレッドゴムがサイプ刃と接触する接触面積は小さくなり、トレッドゴムがサイプ刃の表面から受ける摩擦力は平滑面のサイプ刃に比べて小さい。このため、サイプ刃間のトレッドゴムは流動し易く、部分金型の内表面とトレッドゴムの間に空気が残留し難い。
幅aが0.1mm未満であると、リブ状凹部22,24が存在しない平滑面と同様に、クローズドサイプ表面の摩擦の影響を受けてトレッドゴムの流動が阻止され、空気がタイヤ14とタイヤ成型用金型10の内表面との間に残留して、トレッドゴムの加硫が進行しない。幅aが1.0mmより大きいと、サイプ刃の表面積の増加に伴って摩擦力が増加してトレッドゴムの流動が阻止される。このため、空気がタイヤ14とタイヤ成型用金型10の内表面との間に残留して、加熱されたタイヤ成型用金型10の内表面と接触しないトレッド部が生じ、トレッドゴムの加硫が進行しない。
突出高さdが大きいほど、すなわちサイプ18,20の深さが深いほど、トレッドゴムとの間で生じる摩擦力が大きくなるため、配置間隔cは小さくして多くのリブ状凹部22,24を設ける必要がある。配置間隔c(mm)の下限は、実用性の点で10/dである。
このような複数のリブ状凹部22,24が第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cに設けられるのは、以下の理由による。
まず、タイヤ14の拡張により、トレッド部のトレッドゴムが第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cとの当接を開始する。
図5(a)に示すように、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cは、幅方向の中心においてリブ状凹部22,24が密であるため、幅方向の中心においてトレッドゴムが第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cの表面から受ける摩擦力は小さくなり、この結果、トレッドゴムの表面は幅方向の中心近傍においてその周辺に比べて上昇する。
さらに、タイヤ14の拡張が進み、トレッドゴムに第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cが進行したとき、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cの幅方向の中心部ではトレッドゴムが部分金型12a1の内表面に到達する。この状態が徐々に進むと、部分金型12a1の内表面とトレッドゴムの間に存在する空気が、トレッドゴムのなだらかな曲面に沿って、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cの幅方向の中心から幅方向外側に流れる。このように、部分金型12a1の内表面とトレッドゴムの間に存在する空気の流れを、トレッドゴムの表面の上昇によって図5(c)に示す矢印のように規制することにより、幅方向の両端部近くに設けられたベントホール12fから空気を排気させることができる。
すなわち、タイヤ成型用金型の内表面には、タイヤトレッド部にクローズドサイプ18,20を成型するための第1のサイプ刃12bに沿って並行するように突設した第2のサイプ刃12cを備え、第1のサイプ刃12bに対向する第2のサイプ刃12cの対向面に、第2のサイプ刃12cの基部から突出方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部22が設けられているタイヤ成型用金型10が加硫専用機内の所定位置に、専用装置を用いて搬送されて加熱状態に用意される(セットされる)。用意されたタイヤ成型用金型10を用いて、未成型タイヤ14を成型することで、パターン付きタイヤが作製される。
また、本実施形態は、図2に示すような2つのサイプ18,20が設けられるブロックパターンを一例として説明したが、第1のサイプ刃12bおよび第2のサイプ刃12cのいずか一方は、サイプ刃でなくてもよい。例えば、サイプより幅が太い細溝、ラグ溝あるいは周方向溝を形成する、金型の溝成型用凸部であってもよい。この場合、サイプ刃は、溝を成型するための溝成型用凸部に沿って並行するように突設し、溝成型用凸部に対向するサイプ刃の対向面に、そのサイプ刃の基部から突出方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部が設けられる。溝成型用凸部であっても、サイプ刃との間にあるトレッドゴムの流動は、リブ状凹部がなければ阻止されやすい。
上記実施形態では、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cのリブ状凹部の配置間隔は、それぞれのサイプ刃の幅方向の中心から幅方向の両方の端部に行くにしたがって長くなっているが、図6に示すように、配置間隔は一定であってもよい。この場合においても、トレッドゴムが受ける摩擦力は小さくなりトレッドゴムの流動の阻止は抑制される。
上記実施形態では、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cのリブ状凹部の配置間隔は、それぞれのサイプ刃の幅方向の中心から幅方向の両方の端部に行くにしたがって長くなっている。しかし、図7に示すように、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cのリブ状凹部の配置間隔は、それぞれのサイプ刃の幅方向の中心から幅方向の一方の端部に行くにしたがって長くなってもよい。この場合、タイヤ成型用金型の内表面とトレッドゴムとの間にある空気は、リブ状凹部の配置間隔の長い方向に向かって流れるので、ベントホール12fは、配置間隔が長くなっている端の延長方向の側に設けられるとよい。
このように第2のサイプ刃12cにおける複数のリブ状凹部22の配置間隔cは、リブ状凹部22の第2のサイプ刃12cの幅方向の位置に応じて疎密ができるように、第2のサイプ刃12cの幅方向において変化していることが好ましい。
タイヤ成型用金型10の効果を調べるために種々のサイプ刃を用いて実際のタイヤを作製した。
作製したタイヤのサイズは275/80R22.5である。タイヤとして、3枚ベルト層と、1層のスチールカーカス層と、サイドゴムと、ビードフィラーゴム、ビードコア、インナーライナゴム層、リムクッションゴム層等を有する通常のタイヤ構成とした。トレッドパターンは、図2に示すブロック16を有するブロックパターンである。
タイヤを加硫後、タイヤ検査工程で加硫が部分的に行われない、いわゆるライトトレッドが発生したか否かを調べた。一つの実施例あるいは従来例についてタイヤ100本を作製し、作製したタイヤのライトトレッドの発生率(%)を調べた。
実施例1〜3では図3(b)に示すように、リブ状凹部22,24の断面が矩形である。実施例1は、図3(a)に示すように、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cの中心から幅方向の両側の端に向かって、リブ状凹部の配置間隔cが徐々に長くなる形態である。実施例2は、図6に示すように、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cのリブ状凹部の配置間隔cが一定である形態である。実施例3は、図7に示すように、第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cのリブ状凹部の配置間隔cが一方の端から他方の端に向かって徐々に長くなる形態である。
従来例は、図3(a)に示す第1のサイプ刃12b、第2のサイプ刃12cのリブ状凹部が存在しない平滑面でサイプ刃が形成されている。
なお、表2には、表1に示す従来例も比較のために併記している。
なお、表3には、表1に示す従来例も比較のために併記している。
リブ状凹部22,24の断面はいずれも矩形とした。
表4に実施例1の他に、実施例10〜12の仕様と、ライトトレッド率を示す。
表5に実施例1の他に、実施例13,14の仕様と、ライトトレッド率を示す。
表6に実施例1の他に、実施例15,16の仕様と、ライトトレッド率を示す。
12a1,12a2 部分金型
12b 第1のサイプ刃
12c 第2のサイプ刃
12d,12e 凸部
12f ベントホール
14 タイヤ
14a インナーライナゴム層
14b カーカス層
14c ベルト層
14d トレッドゴム
16 ブロック
18,20 クローズドサイプ
21 微小突起部
22,24 リブ状凹部
Claims (12)
- 空気入りタイヤを製造する際、
タイヤ成型用金型であって、該タイヤ成型用金型の内表面には、タイヤトレッド部にサイプあるいは溝を成型するための第1のサイプ刃あるいは溝成型用凸部に沿って並行するように突設した第2のサイプ刃を備え、前記第1のサイプ刃あるいは前記溝成型用凸部に対向する前記第2のサイプ刃の対向面に、前記第2のサイプ刃の基部から突出方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部が設けられているタイヤ成型用金型を用意するステップと、
前記タイヤ成型用金型を用いて、未成型タイヤを成型することで、パターン付きタイヤを作製するステップと、を有することを特徴とするタイヤの製造方法。 - 前記第2のサイプ刃における前記複数のリブ状凹部の配置間隔は、前記リブ状凹部の前記第2のサイプ刃の幅方向の位置に応じて疎密ができるように、前記第2のサイプ刃の幅方向において変化している、請求項1に記載のタイヤの製造方法。
- 前記第2のサイプ刃における前記複数のリブ状凹部の配置間隔は、前記第2のサイプ刃の幅方向の中心から少なくとも幅方向の一方の端部に行くにしたがって長くなっている、請求項2に記載のタイヤの製造方法。
- 前記第2のサイプ刃に対向する、前記第1のサイプ刃の対向面には、前記第1のサイプ刃の基部から突出方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
- 前記タイヤ成型用金型における前記第2のサイプ刃と、前記第1のサイプ刃あるいは前記溝成型用凸部との間の領域の、前記第2のサイプ刃の幅方向延長部分には、ベントホールが設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
- 前記第2のサイプ刃における前記リブ状凹部の配置間隔c(mm)は、前記第2のサイプ刃の突出高さあるいは前記前記成型用凸部の突出高さをd(mm)としたとき、10/dより大きく、50/dより小さい、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
- 空気入りタイヤを作製するタイヤ成型用金型に用いるサイプ刃であって、
前記サイプ刃の少なくとも一方の面には、前記サイプ刃の基部から深さ方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部が設けられている、ことを特徴とするタイヤ成型用金型に用いるサイプ刃。 - 前記複数のリブ状凹部の配置間隔は、前記リブ状凹部の配置に疎密ができるように、前記サイプ刃の幅方向において変化している、請求項7に記載のサイプ刃。
- 前記複数のリブ状凹部の配置間隔は、前記サイプ刃の幅方向の中心から少なくとも幅方向の一方の端部に行くにしたがって長くなっている、請求項8に記載のサイプ刃。
- 前記リブ状凹部の幅aは、0.1mm以上1.0mm以下である、請求項7〜9のいずれか1項に記載のサイプ刃。
- 前記リブ状凹部の深さbは、前記幅a以上である、請求項10に記載のサイプ刃。
- 空気入りタイヤを作製するタイヤ成型用金型であって、
タイヤ成型のための金型本体と、
前記金型本体の成型用内表面に、タイヤトレッド部にサイプあるいは溝を成型するための第1のサイプ刃あるいは溝成型用凸部に沿って並行するように突設した第2のサイプ刃と、を有し、
前記第1のサイプ刃あるいは前記成型用凸部に対向する前記第2のサイプ刃の対向面に、前記第2のサイプ刃の基部から突出方向の先端に向かって延びる複数のリブ状凹部が設けられている、ことを特徴とするタイヤ成型用金型。
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