JP2011245642A - 二軸配向多層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合したポリエステルからなるフィルムに、湿度などの環境変化に対する優れた寸法安定性を保持させつつ、さらにクリープを低減させたフィルムの提供。
【解決手段】多層フィルムを採用し、各フィルム層を構成するポリエステルの、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合と固有粘度とを特定の範囲にする。
【選択図】なし
【解決手段】多層フィルムを採用し、各フィルム層を構成するポリエステルの、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合と固有粘度とを特定の範囲にする。
【選択図】なし
Description
本発明は、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合した芳香族ポリエステルを少なくとも一方のフィルム層に有する二軸配向多層フィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)に代表される芳香族ポリエステルは、機械的特性、寸法安定性および耐熱性に優れフィルムなどに幅広く使用されている。特にポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、それらの要求の厳しい用途、例えば高密度磁気記録媒体などのベースフィルムなどに使用されている。しかしながら、近年の高密度磁気記録媒体などでの寸法安定性の要求はますます高くなってきており、さらなる特性の向上が求められている。
このような要求に対し、特許文献1では、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合したポリエステルからなるフィルム層を有する積層フィルムが湿度などの環境変化に対して優れた寸法安定性を発現できることを見出し、提案した。
しかしながら、前述の特許文献1の積層フィルムは、共重合されたポリエステルからなるフィルム層を有することから、共重合成分を実質的に含まないポリエチレン−2,6−ナフタレートやポリエチレンテレフタレートからなるフィルムに比べ、保管状態でのフィルムの経時的な寸法変化が大きい、すなわちクリープが大きいという問題が新たに見出された。
しかしながら、前述の特許文献1の積層フィルムは、共重合されたポリエステルからなるフィルム層を有することから、共重合成分を実質的に含まないポリエチレン−2,6−ナフタレートやポリエチレンテレフタレートからなるフィルムに比べ、保管状態でのフィルムの経時的な寸法変化が大きい、すなわちクリープが大きいという問題が新たに見出された。
本発明の課題は、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合したポリエステルからなるフィルムに、湿度などの環境変化に対する優れた寸法安定性を保持させつつ、さらにクリープを低減させたフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決しようと鋭意研究した結果、前記特許文献1に記載の多層フィルムを採用し、各フィルム層を構成するポリエステルの、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合と固有粘度とを特定の範囲にすることで、驚くべきことにクリープを低減できることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、フィルム層(A)とフィルム層(B)とを合計10層以上積層した二軸配向多層フィルムであって、
フィルム層(B)は、下記式(I)で表される繰り返し単位の割合が、5モル%以上40モル%以下で、下記式(II)で表される繰り返し単位の割合が60モル%以上95モル%以下であるポリエステル(B)からなり、
フィルム層(A)は、下記式(II)で表される繰り返し単位の割合が95モル%を超えるポリエステル(A)からなり、
ポリエステル(A)と(B)とは、固有粘度が0.53〜0.59dl/gの範囲にある二軸配向多層フィルムが提供される。
フィルム層(B)は、下記式(I)で表される繰り返し単位の割合が、5モル%以上40モル%以下で、下記式(II)で表される繰り返し単位の割合が60モル%以上95モル%以下であるポリエステル(B)からなり、
フィルム層(A)は、下記式(II)で表される繰り返し単位の割合が95モル%を超えるポリエステル(A)からなり、
ポリエステル(A)と(B)とは、固有粘度が0.53〜0.59dl/gの範囲にある二軸配向多層フィルムが提供される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、ポリエステル(A)の固有粘度からポリエステル(B)の固有粘度を差し引いた値が、−0.02〜0.04dl/gの範囲であること、前記式(I)で表される繰り返し単位の割合が、ポリエステル(A)に対して、ポリエステル(B)は5〜35モル%多いこと、二軸配向多層フィルムは、その融点から15℃低い温度で測定した溶融比抵抗が2.0×109Ω・cm以下であること、二軸配向多層フィルムの厚みが、1〜10μmの範囲にあること、磁気記録媒体のベースフィルムに用いることの少なくともいずれか一つを具備する二軸配向多層フィルムも提供される。
本発明の二軸配向多層フィルムは、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合したポリエステルからなるフィルムが有する湿度などの環境変化に対する優れた寸法安定性を具備しつつ、さらにクリープも低減されることから、長期間の保管による影響も少ない。そのため、高密度磁気記録テープなどのベースフィルムなどに好適に使用できる。
本発明は、フィルム層(A)とフィルム層(B)とを合計10層以上積層した二軸配向多層フィルムであって、フィルム層(B)は、前記式(I)で表される繰り返し単位の割合が、5モル%以上40モル%以下で、前記式(II)で表される繰り返し単位の割合が60モル%以上95モル%以下であるポリエステル(B)からなり、フィルム層(A)は、前記式(II)で表される繰り返し単位の割合が95モル%を超えるポリエステル(A)からなる。
以下、本発明の二軸配向多層フィルムについて、繰り返し単位(I)および(II)、ポリエステル(A)および(B)、フィルム層(A)および(B)、層構成などにわけて、それぞれ説明する。
<繰り返し単位(I)>
本発明における繰り返し単位(I)は、前記式(I)で表される構造を有する。前記式(I)において、RAおよびRCは炭素数2〜8のアルキレン基である。炭素数2〜8のアルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、ブチレン基等が挙げられる。
本発明における繰り返し単位(I)は、前記式(I)で表される構造を有する。前記式(I)において、RAおよびRCは炭素数2〜8のアルキレン基である。炭素数2〜8のアルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、ブチレン基等が挙げられる。
前記式(I)における具体的な酸成分としては、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分などが挙げられ、これらの中でも本発明の効果の点からは、式(I)におけるRAの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が好ましい。
また、前記式(I)における具体的なグリコール成分としては、エチレングリコール成分、トリメチレングリコール成分、テトラメチレンブチレングリコール成分が好ましく挙げられ、これらの中でも本発明の効果の点からは、式(I)におけるRCの炭素数が偶数のものが好ましく、特にエチレングリコール成分が好ましい。
<繰り返し単位(II)>
本発明における繰り返し単位(II)は、前記式(II)で表される構造を有する。前記式(II)において、RCは前述の繰り返し単位(I)で説明したのと同様なことが言える。また、RBは、フェニレン基またはナフタレンジイル基が挙げられる。
本発明における繰り返し単位(II)は、前記式(II)で表される構造を有する。前記式(II)において、RCは前述の繰り返し単位(I)で説明したのと同様なことが言える。また、RBは、フェニレン基またはナフタレンジイル基が挙げられる。
前記式(I)における具体的な酸成分としては、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、2,7−ナフタレンジカルボン酸成分が挙げられ、これらの中でも本発明の効果の点からは、テレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましく、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましい。
また、前記式(II)における具体的なグリコール成分としては、エチレングリコール成分、トリメチレングリコール成分、テトラメチレンブチレングリコール成分が好ましく挙げられ、これらの中でも本発明の効果の点からは、式(II)におけるRCの炭素数が偶数のものが好ましく、特にエチレングリコール成分が好ましい。
<ポリエステル(A)>
本発明におけるポリエステル(A)は、前記式(II)で表される繰り返し単位の割合が95モル%を超える。前記式(II)で表される繰り返し単位の割合が95モル%以下では、クリープの向上効果が乏しくなる。
本発明におけるポリエステル(A)は、前記式(II)で表される繰り返し単位の割合が95モル%を超える。前記式(II)で表される繰り返し単位の割合が95モル%以下では、クリープの向上効果が乏しくなる。
また、本発明におけるポリエステル(B)は、前記式(I)で表される繰り返し単位の割合が5モル%以上40モル%以下であり、前記式(II)で表される繰り返し単位の割合が60モル%以上95モル%以下である。上記範囲を外れると、湿度膨張係数の低減効果が乏しくなったり、製膜が困難になったり、クリープの向上効果が乏しくなる。
さらにまた、本発明におけるポリエステル(A)および(B)のフィルムにしたときの、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度は、0.53〜0.59dl/gの範囲にあることが必要である。上記範囲を外れると、やはりクリープの向上効果が乏しくなる。
ところで、本発明の二軸配向多層フィルムは、製膜する際にシート状物に静電荷を析出させ、該シートを移動冷却体に密着させたときに、十分な静電荷をシート状物に負荷させるために、その融点から15℃低い温度で測定した溶融比抵抗が2.0×109Ω・cm以下であることが好ましい。このような溶融比抵抗を具備することで、良好な表面性がえられるといった利点がある。
そして、このような溶融比抵抗を具備させるには、前述のポリエステル(A)または(B)の溶融比抵抗を小さくなるようなそれ自体公知の添加剤を含有させたり、共重合したりすればよい。具体的な添加剤としては、スルホン酸金属塩やスルホン酸4級ホスホニウム塩が挙げられる。また、その含有量は、ポリエステル(A)または(B)を構成する繰り返し単位のモル数を基準として、0.01〜8mmol%、さらに0.05〜7mmol%、特に1〜7mmol%が好ましい。
本発明におけるスルホン酸4級ホスホニウム塩としては、ポリエステルの分子鎖中に共重合されたものが好ましく、例えば3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩などのスルホン酸塩化合物を、ポリエステルの反応段階に共存させればよい。
<フィルム層(A)および(B)>
本発明における、フィルム層(A)は前述のポリエステル(A)、またフィルム層(B)は前述のポリエステル(B)からなるフィルム層である。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、これらフィルム層(A)および(B)は、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などそれ自体公知の添加剤を必要に応じて配合しても良い。
本発明における、フィルム層(A)は前述のポリエステル(A)、またフィルム層(B)は前述のポリエステル(B)からなるフィルム層である。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、これらフィルム層(A)および(B)は、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などそれ自体公知の添加剤を必要に応じて配合しても良い。
例えば、二軸配向多層フィルムの走行性と表面の平坦性とを制御するため、フィルムの表面を適度に粗すために、フィルム層に不活性粒子を含有させることは好ましい。含有させる不活性粒子としては、(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルなどからなる粒子)、(2)金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど)、金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンドなど)および粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトなど)などのような無機化合物からなる粒子、さらに(3)異なる素材を例えばコアとシェルに用いたコアシェル型などの複合粒子など粒子の状態で添加する外部添加粒子や(4)触媒などの析出によって形成する内部析出粒子などを挙げることができる。
これらの中で特に、架橋シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、カオリン及びクレーからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましい。特に架橋シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレンおよび二酸化ケイ素(但し、多孔質シリカなどは除く)からなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが、粒子の粒径のバラツキを小さくしやすいことから好ましい。もちろん、これらは2種以上を併用しても良い。
走行性の観点からは、フィルム層に含有させる不活性粒子の平均粒径は、好ましくは0.05〜1.0μm、より好ましくは0.1〜0.8μmの範囲である。磁気記録媒体として用いる場合、不活性粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。また、フィルム層に含有させる不活性粒子の含有量は、該フィルム層の重量を基準として、好ましくは0.005〜1.0重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲である。
また、他種熱可塑性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルイミド、ポリイミド、液晶樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ガラス転移温度を高くできるポリエーテルイミドや液晶樹脂をブレンドすること(例えば、特開2000−355631号公報、特開2000−141475号公報および特開平11−1568号公報などを参照)は、好ましい態様である。
<層構成>
本発明の二軸配向多層フィルムは、前述のとおり、フィルム層(A)とフィルム層(B)とを合計10層以上積層積層したものである。好ましい積層数は、層構成の均一性と効果の発現性の点から、フィルム層(A)とフィルム層(B)の合計層数で20〜10000の範囲、さらに30〜1000の範囲である。積層数が下限未満では、クリープを抑制しがたくなる。なお、積層数の上限は特に制限されないが、積層構造を維持しやすい点から、10000以下であることが好ましい。また、フィルム層(A)の1層あたり厚みは、0.1〜1000nmの範囲、さらに1〜100nmの範囲にあることが層構成の均一性と効果の発現性の点から好ましい。もちろん、本発明の効果を損なわない範囲で、他のフィルム層を積層したり、塗膜層を設けたりしても良い。また、表面に位置するフィルム層を厚くして、二軸多層フィルムのそれぞれの表面の表面粗さに差を付与することは、好ましい態様である。
本発明の二軸配向多層フィルムは、前述のとおり、フィルム層(A)とフィルム層(B)とを合計10層以上積層積層したものである。好ましい積層数は、層構成の均一性と効果の発現性の点から、フィルム層(A)とフィルム層(B)の合計層数で20〜10000の範囲、さらに30〜1000の範囲である。積層数が下限未満では、クリープを抑制しがたくなる。なお、積層数の上限は特に制限されないが、積層構造を維持しやすい点から、10000以下であることが好ましい。また、フィルム層(A)の1層あたり厚みは、0.1〜1000nmの範囲、さらに1〜100nmの範囲にあることが層構成の均一性と効果の発現性の点から好ましい。もちろん、本発明の効果を損なわない範囲で、他のフィルム層を積層したり、塗膜層を設けたりしても良い。また、表面に位置するフィルム層を厚くして、二軸多層フィルムのそれぞれの表面の表面粗さに差を付与することは、好ましい態様である。
なお、芳香族ポリエステル(A)からなるフィルム層(A)と芳香族ポリエステル(B)からなるフィルム層(B)の厚みは、それぞれの層の合計の厚みの比(フィルム層(A)/フィルム層(B))が、10/90〜90/10、さらに20/80〜80/20、特に30/70〜70/30の範囲にあることが、より湿度変化に対する寸法安定性を向上させつつ、加工時の伸びやクリープを抑えやすいことから好ましい。
ところで、本発明の二軸配向多層多層積層フィルムは、一方の表面粗さ(Ra)は1nm〜20nm、更に好ましくは2nm〜10nmであることが好ましい。
通常フィルムの表面粗さを粗くするには、フィルム層に前述のような不活性粒子を含有させたりして、突起を形成すればよい。
ところで、本発明の二軸配向多層多層積層フィルムは、一方の表面粗さ(Ra)は1nm〜20nm、更に好ましくは2nm〜10nmであることが好ましい。
通常フィルムの表面粗さを粗くするには、フィルム層に前述のような不活性粒子を含有させたりして、突起を形成すればよい。
<二軸配向多層フィルム>
本発明の二軸配向多層フィルムの好ましい態様について、さらに詳述する。
本発明の二軸配向多層フィルムは、磁気テープなどのベースフィルムとして用いたとき、ベースフィルムが伸びないようにフィルム面方向における少なくとも一方向は、ヤング率が6.0GPa以上という高いヤング率を有することが好ましい。しかも、このようにヤング率を高くすることで、より湿度膨張係数を小さくすることができる。ヤング率の上限は制限されないが、通常11GPaである。好ましいヤング率は、フィルムの長手方向が4〜11GPa、さらに5〜10GPa、特に5.5〜9GPaの範囲であり、フィルムの幅方向が5〜11GPa、さらに6〜11GPa、さらに7〜10GPa、特に8〜10GPaの範囲である。
本発明の二軸配向多層フィルムの好ましい態様について、さらに詳述する。
本発明の二軸配向多層フィルムは、磁気テープなどのベースフィルムとして用いたとき、ベースフィルムが伸びないようにフィルム面方向における少なくとも一方向は、ヤング率が6.0GPa以上という高いヤング率を有することが好ましい。しかも、このようにヤング率を高くすることで、より湿度膨張係数を小さくすることができる。ヤング率の上限は制限されないが、通常11GPaである。好ましいヤング率は、フィルムの長手方向が4〜11GPa、さらに5〜10GPa、特に5.5〜9GPaの範囲であり、フィルムの幅方向が5〜11GPa、さらに6〜11GPa、さらに7〜10GPa、特に8〜10GPaの範囲である。
本発明の二軸配向多層フィルムは、幅方向の湿度膨張係数が3〜7ppm/%RH、3〜6ppm/%RHの範囲にあることが、特に磁気記録テープにしたときのトラックずれなどを極めて抑制できることから好ましい。なお、本発明において、フィルムの幅方向とは、フィルムの製膜方向(長手方向、縦方向と称することもある。)に直交する方向であり、横方向と称することもある。
また、本発明の二軸配向多層積層ポリエステルフィルムは、幅方向の温度膨張係数が−10〜10ppm/℃、−6〜6ppm/℃、特に−5〜3ppm/℃の範囲にあることが、特に磁気記録テープにしたときの寸法安定性を向上でき、トラックずれなどを極めて抑制できるので好ましい。
このような湿度膨張係数や温度膨張係数は、前述の層構成を採用しつつ、幅方向の分子鎖が十分に配向するように延伸倍率を高めたり、延伸温度を過度に高くならないようにすることなどで調整できる。
このような湿度膨張係数や温度膨張係数は、前述の層構成を採用しつつ、幅方向の分子鎖が十分に配向するように延伸倍率を高めたり、延伸温度を過度に高くならないようにすることなどで調整できる。
ところで、本発明は、冒頭に述べたとおり、前記式(I)で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を少なくとも芳香族ポリエステル(A)に共重合することで湿度膨張係数をヤング率対比低くできたものであるが、さらに固有粘度が前述の範囲となる芳香族ポリエステル(A)からなるフィルム層(A)と固有粘度が前述の範囲となる芳香族ポリエステル(B)からなるフィルム層(B)とを合計10層以上積層したことにより、フィルム全体で見たとき、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を、同じ割合で共重合した芳香族ポリエステルからなる単層フィルムとか2層や3層の積層フィルムに比べ、同じヤング率ならより低い湿度膨張係数を発現しつつ、クリープを抑制することができたものである。そのような観点から、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を少なくとも芳香族ポリエステル(A)に共重合することと、固有粘度と、積層構造とは、湿度膨張係数およびクリープの点において、有機的な結合によって予想されなかった効果を奏している。
<芳香族ポリエステルの製造方法>
本発明における6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合している芳香族ポリエステルおよび6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合していない芳香族ポリエステルは、特許文献1に記載されたような、それ自体公知の方法で製造できる。
本発明における6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合している芳香族ポリエステルおよび6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合していない芳香族ポリエステルは、特許文献1に記載されたような、それ自体公知の方法で製造できる。
<フィルムの製造方法>
本発明の二軸配向多層積層ポリエステルフィルムは、製膜方向と幅方向に延伸してそれぞれの方向の分子配向を高めたものであり、例えば以下のような方法で製造することが、製膜性を維持しつつ、ヤング率を向上させやすいことから好ましい。
まず、芳香族ポリエステル(A)と(B)とを原料として用意し、これらを乾燥後、溶融状態、好ましくはそれぞれの層を形成するポリエステルの融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度でダイ内において積層してからフィルム状に押出し、急冷固化して積層未延伸フィルムとし、さらに該積層未延伸フィルムを二軸延伸する。
本発明の二軸配向多層積層ポリエステルフィルムは、製膜方向と幅方向に延伸してそれぞれの方向の分子配向を高めたものであり、例えば以下のような方法で製造することが、製膜性を維持しつつ、ヤング率を向上させやすいことから好ましい。
まず、芳香族ポリエステル(A)と(B)とを原料として用意し、これらを乾燥後、溶融状態、好ましくはそれぞれの層を形成するポリエステルの融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度でダイ内において積層してからフィルム状に押出し、急冷固化して積層未延伸フィルムとし、さらに該積層未延伸フィルムを二軸延伸する。
なお、本発明で規定する両方向のヤング率、さらにαtやαhを満足させるには、その後の延伸を進行させやすくすることから、冷却ドラムによる冷却を非常に速やかに行うことが好ましい。そのような観点から、冷却ドラムの温度は、特許文献3に記載されるような80℃といった高温ではなく、20〜60℃という低温で行うことが好ましい。このような低温で行うことで、未延伸フィルムの状態での結晶化が抑制され、その後の延伸をよりスムーズに行うことができる。
二軸延伸としては、逐次二軸延伸でも同時二軸延伸でもよい。
ここでは、逐次二軸延伸で、縦延伸、横延伸および熱処理をこの順で行う製造方法を一例として挙げて説明する。まず、最初の縦延伸は芳香族ポリエステル(A)もしくは(B)のどちらか高いほうのガラス転移温度(Tg:℃)ないし(Tg+40)℃の温度で、3〜10倍に延伸し、次いで横方向に先の縦延伸よりも高温で(Tg+10)〜(Tg+50)℃の温度で3〜10倍に延伸し、さらに熱処理としてポリマーの融点以下の温度でかつ(Tg+50)〜(Tg+150)℃の温度で1〜20秒、さらに1〜15秒熱固定処理するのが好ましい。特に、熱固定処理の温度は180〜220℃、さらに好ましくは190〜210℃の範囲で行うことが好ましい。
ここでは、逐次二軸延伸で、縦延伸、横延伸および熱処理をこの順で行う製造方法を一例として挙げて説明する。まず、最初の縦延伸は芳香族ポリエステル(A)もしくは(B)のどちらか高いほうのガラス転移温度(Tg:℃)ないし(Tg+40)℃の温度で、3〜10倍に延伸し、次いで横方向に先の縦延伸よりも高温で(Tg+10)〜(Tg+50)℃の温度で3〜10倍に延伸し、さらに熱処理としてポリマーの融点以下の温度でかつ(Tg+50)〜(Tg+150)℃の温度で1〜20秒、さらに1〜15秒熱固定処理するのが好ましい。特に、熱固定処理の温度は180〜220℃、さらに好ましくは190〜210℃の範囲で行うことが好ましい。
前述の説明は逐次二軸延伸について説明したが、本発明の二軸配向多層積層ポリエステルフィルムは縦延伸と横延伸とを同時に行う同時二軸延伸でも製造でき、例えば先で説明した延伸倍率や延伸温度などを参考にすればよい。
本発明の二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの厚みは、用途に応じて適宜決めればよく、磁気記録テープのベースフィルムに用いる場合は、2〜10μm、さらに3〜7μm、特に4〜6μmの範囲が好ましい。
なお、粒子を含有させる方法については、それ自体公知の方法を採用でき、例えばポリエステルの製造工程において、反応系に添加しても良いし、ポリエステルに溶融混練によって添加してもよい。粒子の分散性の点から、好ましくはポリエステルの反応系に添加して、粒子濃度の高いポリエステル組成物をマスターポリマーとして製造し、それを粒子を含まないか、粒子濃度低いポリエステル組成物と混ぜ合わせる方法が好ましい。
本発明によれば、本発明の上記二軸配向多層積層ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、その平坦面側の表面に非磁性層および磁性層がこの順で形成され、走行面側の表面にバックコート層を形成することなどで磁気記録テープとすることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
(1)固有粘度
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
(2)ガラス転移点および融点
ガラス転移点および融点は、それぞれの層に用いる芳香族ポリエステル(A)と(B)とを用意し、DSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal Analyst2920)により、昇温速度20℃/minで測定した。
ガラス転移点および融点は、それぞれの層に用いる芳香族ポリエステル(A)と(B)とを用意し、DSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal Analyst2920)により、昇温速度20℃/minで測定した。
(3)共重合量
グリコール成分については、それぞれの層に用いる芳香族ポリエステル(A)と(B)とを用意し、試料10mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに80℃で溶解した。イソプロピルアミンを加えて、十分に混合した後に600MHzの1H−NMR(日本電子製 JEOL A600)にて80℃で測定し、それぞれのグリコール成分量を測定した。
また、芳香族ジカルボン酸成分については、それぞれの層に用いる芳香族ポリエステル(A)と(B)とを用意し、試料50mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、100MHz 13C−NMR(日本電子製 JEOL A600)にて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を測定した。
グリコール成分については、それぞれの層に用いる芳香族ポリエステル(A)と(B)とを用意し、試料10mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに80℃で溶解した。イソプロピルアミンを加えて、十分に混合した後に600MHzの1H−NMR(日本電子製 JEOL A600)にて80℃で測定し、それぞれのグリコール成分量を測定した。
また、芳香族ジカルボン酸成分については、それぞれの層に用いる芳香族ポリエステル(A)と(B)とを用意し、試料50mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、100MHz 13C−NMR(日本電子製 JEOL A600)にて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を測定した。
(4)ヤング率
得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算した。
得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算した。
(5)湿度膨張係数(αh)
得られたフィルムを、幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度30%RHと湿度70%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαh(ppm/%RH)とした。
αh=(L70−L30)/(L30×△H)
ここで、上記式中のL30は30%RHのときのサンプル長(mm)、L70は70%RHのときのサンプル長(mm)、△H:40(=70−30)%RHである。
得られたフィルムを、幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度30%RHと湿度70%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαh(ppm/%RH)とした。
αh=(L70−L30)/(L30×△H)
ここで、上記式中のL30は30%RHのときのサンプル長(mm)、L70は70%RHのときのサンプル長(mm)、△H:40(=70−30)%RHである。
(6)温度膨張係数(αt)
得られたフィルムを、幅方向が測定方向となるようにそれぞれ長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、60℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5×10−6
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5は石英ガラスの温度膨張係数(ppm/℃)である。
得られたフィルムを、幅方向が測定方向となるようにそれぞれ長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、60℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5×10−6
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5は石英ガラスの温度膨張係数(ppm/℃)である。
(7)多層フィルムおよび各フィルム層の厚み
得られたフィルムを層間の空気を排除しながら10枚重ね、JIS規格のC2151に準拠し、(株)ミツトヨ製ダイヤルゲージMDC−25Sを用いて、10枚重ね法にて厚みを測定し、1枚当りのフィルム厚みを計算する。この測定を10回繰り返して、その平均値を1枚あたりの積層フィルムの全体の厚みとした。
一方、フィルム層(A)およびフィルム層(B)の厚みは、フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向および厚み方向に平行に切断する)を作成する。この超薄切片の試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察しその境界をからフィルム層(A)とBの厚みを求めた。
得られたフィルムを層間の空気を排除しながら10枚重ね、JIS規格のC2151に準拠し、(株)ミツトヨ製ダイヤルゲージMDC−25Sを用いて、10枚重ね法にて厚みを測定し、1枚当りのフィルム厚みを計算する。この測定を10回繰り返して、その平均値を1枚あたりの積層フィルムの全体の厚みとした。
一方、フィルム層(A)およびフィルム層(B)の厚みは、フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向および厚み方向に平行に切断する)を作成する。この超薄切片の試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察しその境界をからフィルム層(A)とBの厚みを求めた。
(8)中心面平均粗さ(Ra)
Zygo社製、非接触三次元表面構造解析顕微鏡(NewView5022)を用いて測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm2)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトにより中心面平均粗さRaを以下の式より求めた。
Zygo社製、非接触三次元表面構造解析顕微鏡(NewView5022)を用いて測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm2)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトにより中心面平均粗さRaを以下の式より求めた。
(9)データストレージ(磁気テープ)の作成および塗布斑の測定
ダイコーターで、20MPaの張力条件で、幅500mmにスリットされた長さ850mのフィルムの一方の表面に、下記組成の非磁性塗料、磁性塗料を同時に、乾燥後の非磁性層および磁性層の厚みが、それぞれ1.2μmおよび0.1μmとなるように膜厚を変えて塗布し、磁気配向させて120℃×30秒の条件で乾燥させる。さらに、小型テストカレンダ−装置(スチ−ルロール/ナイロンロール、5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダ−処理した後、70℃、48時間キュアリングする。
そして、得られた磁性層付フィルムについて、目視判定により、以下の基準で塗布斑を評価した。なお、目視判定は、フィルムの裏側に蛍光灯を設置し、磁性層の抜けによる光の漏れをカウントすることで行ない、この磁性層付フィルムを必要に応じてバックコート層などを設けた上で、幅12.65mmにスリットし、カセットに組み込みことで磁気記録テープにできる。
○:塗布抜けが2個/250m2未満
△:塗布抜けが2個/250m2以上10個/250m2未満
×:塗布抜けが10個/250m2以上
次に、その磁性層の反対面に下記組成のバックコートを固形分の厚みが0.5μmとなるように塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理し、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ幅にスリットし、それをLTO用のケースに組み込み、長さが850mのデータストレージカートリッジを作成した。
ダイコーターで、20MPaの張力条件で、幅500mmにスリットされた長さ850mのフィルムの一方の表面に、下記組成の非磁性塗料、磁性塗料を同時に、乾燥後の非磁性層および磁性層の厚みが、それぞれ1.2μmおよび0.1μmとなるように膜厚を変えて塗布し、磁気配向させて120℃×30秒の条件で乾燥させる。さらに、小型テストカレンダ−装置(スチ−ルロール/ナイロンロール、5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダ−処理した後、70℃、48時間キュアリングする。
そして、得られた磁性層付フィルムについて、目視判定により、以下の基準で塗布斑を評価した。なお、目視判定は、フィルムの裏側に蛍光灯を設置し、磁性層の抜けによる光の漏れをカウントすることで行ない、この磁性層付フィルムを必要に応じてバックコート層などを設けた上で、幅12.65mmにスリットし、カセットに組み込みことで磁気記録テープにできる。
○:塗布抜けが2個/250m2未満
△:塗布抜けが2個/250m2以上10個/250m2未満
×:塗布抜けが10個/250m2以上
次に、その磁性層の反対面に下記組成のバックコートを固形分の厚みが0.5μmとなるように塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理し、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ幅にスリットし、それをLTO用のケースに組み込み、長さが850mのデータストレージカートリッジを作成した。
(非磁性塗料の組成)
・非磁性無機質粉末(α−酸化鉄:平均長軸長:0.15μm,平均針状比:7,BET比表面積:52m2/g):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体:10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック(平均粒子径:20nm): 2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
(磁性塗料の組成)
・磁性粉(戸田工業株式会社製、商品名:NF30x):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体):10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック(平均粒子径:20nm): 2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10重量部
・αアルミナ : 0.1重量部
・変成ポリウレタン : 20重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
・シクロヘキサノン : 200重量部
・メチルエチルケトン : 300重量部
・トルエン : 100重量部
・非磁性無機質粉末(α−酸化鉄:平均長軸長:0.15μm,平均針状比:7,BET比表面積:52m2/g):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体:10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック(平均粒子径:20nm): 2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
(磁性塗料の組成)
・磁性粉(戸田工業株式会社製、商品名:NF30x):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体):10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック(平均粒子径:20nm): 2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10重量部
・αアルミナ : 0.1重量部
・変成ポリウレタン : 20重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
・シクロヘキサノン : 200重量部
・メチルエチルケトン : 300重量部
・トルエン : 100重量部
(10)溶融比抵抗
得られた二軸配向多層フィルムを粉砕し、融点以上に加熱して溶融状態にする。そして、融点以上に加熱溶融されたポリエステル中に2本の電極(ステンレス針金)を置き、120Vの電圧を印加した時の電流(io)を温度を変えて測定し、融点から15℃低い温度での電圧を測定する。そして、得られた電圧を次式に当てはめて、比抵抗値Si(Ω・cm)を算出した。
Si(Ω・cm)=(A/L)×(V/io)
[A:電極間面積(cm2)、L=電極間距離(cm)、V=電圧(V)]
得られた二軸配向多層フィルムを粉砕し、融点以上に加熱して溶融状態にする。そして、融点以上に加熱溶融されたポリエステル中に2本の電極(ステンレス針金)を置き、120Vの電圧を印加した時の電流(io)を温度を変えて測定し、融点から15℃低い温度での電圧を測定する。そして、得られた電圧を次式に当てはめて、比抵抗値Si(Ω・cm)を算出した。
Si(Ω・cm)=(A/L)×(V/io)
[A:電極間面積(cm2)、L=電極間距離(cm)、V=電圧(V)]
(11)クリープ
得られたフィルムを、長手方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、50℃湿度20%RHの窒素雰囲気下で、厚み5μm当り21.2gの荷重を負荷して、6時間後のクリープ量を測定した。荷重印加前と6時間後におけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にてクリープを算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、3回測定し、その平均値をクリープ(ppm)とした。
クリープ=(L6−L0)/(L0)×106
ここで、上記式中のL6は荷重印加6時間後のサンプル長(mm)、L0は荷重印加前のときのサンプル長(mm)である。
得られたフィルムを、長手方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、50℃湿度20%RHの窒素雰囲気下で、厚み5μm当り21.2gの荷重を負荷して、6時間後のクリープ量を測定した。荷重印加前と6時間後におけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にてクリープを算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、3回測定し、その平均値をクリープ(ppm)とした。
クリープ=(L6−L0)/(L0)×106
ここで、上記式中のL6は荷重印加6時間後のサンプル長(mm)、L0は荷重印加前のときのサンプル長(mm)である。
[実施例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコールおよびスルホン酸塩化合物(3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)を、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応させ、さらに引き続いて重縮合反応を行い、固有粘度が0.58dl/gのフィルム層(A)用の樹脂(A−1)を得た。なお、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(A−1)には、重縮合反応前に得られる樹脂組成物の重量を基準として、平均粒径0.15μmのシリカ粒子を0.1重量%含有させた。
また、樹脂(A−1)と含有させる不活性粒子を、平均粒径0.3μmのシリカ粒子0.15重量%、平均粒径0.15μmのシリカ粒子0.10重量%に変更したほかは同様にして、固有粘度が0.58dl/gのフィルム層(B)用の樹脂(B−1)を得た。また、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステル、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物(3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応させ、さらに引き続いて重縮合反応を行い、酸成分の30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の70モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分である固有粘度が0.58dl/gのフィルム層(B)用の芳香族ポリエステル(B−2)を得た。なお、樹脂(B−2)にも樹脂(B−1)と同じ不活性粒子を含有させた。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコールおよびスルホン酸塩化合物(3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)を、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応させ、さらに引き続いて重縮合反応を行い、固有粘度が0.58dl/gのフィルム層(A)用の樹脂(A−1)を得た。なお、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(A−1)には、重縮合反応前に得られる樹脂組成物の重量を基準として、平均粒径0.15μmのシリカ粒子を0.1重量%含有させた。
また、樹脂(A−1)と含有させる不活性粒子を、平均粒径0.3μmのシリカ粒子0.15重量%、平均粒径0.15μmのシリカ粒子0.10重量%に変更したほかは同様にして、固有粘度が0.58dl/gのフィルム層(B)用の樹脂(B−1)を得た。また、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステル、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物(3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応させ、さらに引き続いて重縮合反応を行い、酸成分の30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の70モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分である固有粘度が0.58dl/gのフィルム層(B)用の芳香族ポリエステル(B−2)を得た。なお、樹脂(B−2)にも樹脂(B−1)と同じ不活性粒子を含有させた。
このようにして得られた樹脂(B−1)と樹脂(B−2)の混合物と、樹脂(A−1)とを、それぞれ別の押し出し機に供給して295℃で表1に示す積層構成となるようA−B−A−B・・・・A−B−A−Bの順に交互にダイ内で積層し、溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸積層フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が140℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、145℃で横方向(幅方向)に延伸倍率6.8倍で延伸し、その後210℃で5秒間熱固定処理を行った後、160℃で幅方向に1%弛緩させて、厚さ5.1μmの二軸配向多層フィルムを得た。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例2]
樹脂(A−1)、樹脂(B−1)および樹脂(B−2)の固有粘度を、それぞれ0.61dl/g、0.61dl/gおよび0.59dl/gに変更したこと、スルホン酸塩化合物をそれぞれ2mmol%になるように変更したこと、表1に示すように合計積層数が200層となるように変更したこと、そして、製膜方向の延伸倍率を4.3倍、幅方向の延伸倍率を6.7倍、熱固定処理後の幅方向の弛緩を1.2%に変更したこと、そして、表1に示す厚さになるように未延伸フィルムの厚みを調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
樹脂(A−1)、樹脂(B−1)および樹脂(B−2)の固有粘度を、それぞれ0.61dl/g、0.61dl/gおよび0.59dl/gに変更したこと、スルホン酸塩化合物をそれぞれ2mmol%になるように変更したこと、表1に示すように合計積層数が200層となるように変更したこと、そして、製膜方向の延伸倍率を4.3倍、幅方向の延伸倍率を6.7倍、熱固定処理後の幅方向の弛緩を1.2%に変更したこと、そして、表1に示す厚さになるように未延伸フィルムの厚みを調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例3]
樹脂(A−1)、樹脂(B−1)および樹脂(B−2)の固有粘度を、それぞれ0.56dl/g、0.56/gおよび0.57dl/gに変更したこと、スルホン酸塩化合物をそれぞれ6mmol%になるように変更したこと、表1に示すANA割合になるように樹脂(B−1)と樹脂(B−2)の割合を変更したこと、そして、製膜方向の延伸温度を135℃、延伸倍率を4.6倍、幅方向の延伸温度を140℃、延伸倍率を7.0倍、熱固定処理後の幅方向の弛緩を1.3%に変更したこと、そして、表1に示す厚さになるように未延伸フィルムの厚みを調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
樹脂(A−1)、樹脂(B−1)および樹脂(B−2)の固有粘度を、それぞれ0.56dl/g、0.56/gおよび0.57dl/gに変更したこと、スルホン酸塩化合物をそれぞれ6mmol%になるように変更したこと、表1に示すANA割合になるように樹脂(B−1)と樹脂(B−2)の割合を変更したこと、そして、製膜方向の延伸温度を135℃、延伸倍率を4.6倍、幅方向の延伸温度を140℃、延伸倍率を7.0倍、熱固定処理後の幅方向の弛緩を1.3%に変更したこと、そして、表1に示す厚さになるように未延伸フィルムの厚みを調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例4]
樹脂(A−1)、樹脂(B−1)および樹脂(B−2)の固有粘度を、それぞれ0.60dl/g、0.60dl/gおよび0.61dl/gに変更したこと、スルホン酸塩化合物をそれぞれ3mmol%になるように変更したこと、表1に示すANA割合になるように樹脂(B−1)と樹脂(B−2)の割合を変更したこと、製膜方向の延伸温度を130℃、延伸倍率を4.6倍、幅方向の延伸温度を135℃、延伸倍率を7.0倍、熱固定処理温度を200℃、熱固定処理後の幅方向の弛緩を1.2%に変更したこと、そして、表1に示す厚さになるように未延伸フィルムの厚みを調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
樹脂(A−1)、樹脂(B−1)および樹脂(B−2)の固有粘度を、それぞれ0.60dl/g、0.60dl/gおよび0.61dl/gに変更したこと、スルホン酸塩化合物をそれぞれ3mmol%になるように変更したこと、表1に示すANA割合になるように樹脂(B−1)と樹脂(B−2)の割合を変更したこと、製膜方向の延伸温度を130℃、延伸倍率を4.6倍、幅方向の延伸温度を135℃、延伸倍率を7.0倍、熱固定処理温度を200℃、熱固定処理後の幅方向の弛緩を1.2%に変更したこと、そして、表1に示す厚さになるように未延伸フィルムの厚みを調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
樹脂(A−1)、樹脂(B−1)および樹脂(B−2)の固有粘度を、それぞれ0.62dl/g、0.62dl/gおよび0.68dl/gに変更したこと、スルホン酸塩化合物を加えなかったこと、熱固定処理後の幅方向の弛緩を0.5%に変更したこと、表1に示すように合計積層数が200層となるように変更したこと、また表1に示す厚さになるように未延伸フィルムの厚みを調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
樹脂(A−1)、樹脂(B−1)および樹脂(B−2)の固有粘度を、それぞれ0.62dl/g、0.62dl/gおよび0.68dl/gに変更したこと、スルホン酸塩化合物を加えなかったこと、熱固定処理後の幅方向の弛緩を0.5%に変更したこと、表1に示すように合計積層数が200層となるように変更したこと、また表1に示す厚さになるように未延伸フィルムの厚みを調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
[比較例2]
樹脂(A−1)の固有粘度を、0.62dl/gに変更し、樹脂(B−1)および樹脂(B−2)によるフィルム層(B)を形成しない単層フィルムにしたこと、製膜方向の延伸温度を145℃、幅方向の延伸温度を150℃、延伸倍率を5.5倍、熱固定処理後の幅方向の弛緩を0.5%に変更したこと、そして、厚さが4.5μmになるように未延伸フィルムの厚みを調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
樹脂(A−1)の固有粘度を、0.62dl/gに変更し、樹脂(B−1)および樹脂(B−2)によるフィルム層(B)を形成しない単層フィルムにしたこと、製膜方向の延伸温度を145℃、幅方向の延伸温度を150℃、延伸倍率を5.5倍、熱固定処理後の幅方向の弛緩を0.5%に変更したこと、そして、厚さが4.5μmになるように未延伸フィルムの厚みを調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層フィルムの特性を表1に示す。
表1中のANA割合は、前記式(1)で表される繰り返し単位のモル数、Tgはガラス転移温度、Tmは融点、厚さの欄にある表層、中層および平均とは、それぞれ表層に位置するフィルムの厚さと表層に位置しないフィルム層の平均の厚さと表層と中層の含めた平均の厚さを意味し、表面粗さのA面とB面とは、それぞれ表面粗さのより平坦な表面とより粗い表面とを意味し、MDとTDとはフィルムの製膜方法および幅方向を意味する。
本発明の二軸配向積層フィルムは、優れた寸法安定性と高温での加工時に伸びが生じにくいことから、さまざまな用途に利用でき、特に高密度磁気記録媒体の支持体として好適に利用できる。
Claims (6)
- フィルム層(A)とフィルム層(B)とを合計10層以上積層した二軸配向多層フィルムであって、
フィルム層(B)は、下記式(I)で表される繰り返し単位の割合が、5モル%以上40モル%以下で、下記式(II)で表される繰り返し単位の割合が60モル%以上95モル%以下であるポリエステル(B)からなり、
フィルム層(A)は、下記式(II)で表される繰り返し単位の割合が95モル%を超えるポリエステル(A)からなり、
ポリエステル(A)と(B)とは、固有粘度が0.53〜0.59dl/gの範囲にあることを特徴とする二軸配向多層フィルム。
- ポリエステル(A)の固有粘度からポリエステル(B)の固有粘度を差し引いた値が、−0.02〜0.04dl/gの範囲である請求項1記載の二軸配向多層フィルム。
- 前記式(I)で表される繰り返し単位の割合が、ポリエステル(A)に対して、ポリエステル(B)は5〜35モル%多い請求項1記載の二軸配向多層フィルム。
- 二軸配向多層フィルムは、その融点から15℃低い温度で測定した溶融比抵抗が2.0×109Ω・cm以下である請求項1記載の二軸配向多層フィルム。
- 二軸配向多層フィルムの厚みが、1〜10μmの範囲にある請求項1に記載の二軸配向多層フィルム。
- 磁気記録媒体のベースフィルムに用いる請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向多層フィルム。
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JP2010118379A JP2011245642A (ja) | 2010-05-24 | 2010-05-24 | 二軸配向多層フィルム |
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- 2010-05-24 JP JP2010118379A patent/JP2011245642A/ja active Pending
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