JP2011242683A - レンズ鏡筒及びそれを有する撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 固定カム環の光軸方向の長さが短く、カムフォロアがカム溝部の一部と係合しない非係合領域を有する場合であっても、光軸に対する移動筒の倒れや偏芯を軽減することができるレンズ鏡筒を得ること。
【解決手段】 複数のカム溝部が形成された固定カム環と、複数のカム溝部に係合する複数のカムフォロアが設けられ、該固定カム環に対して移動する駆動カム環と、該駆動カム環を回動駆動する駆動手段と、該駆動カム環と一体で移動する直進案内筒と、該固定カム環は1つのカム溝部の一部を通過して光軸方向に延びており、該1つのカム溝部は、それと対となり係合する1つのカムファロアが係合する係合領域と、それに続いて係合しない非係合領域、それに続いて係合する係合領域を有し、該1つのカムフォロアが該非係合領域に位置するときは、該1つのカム溝部と異なる別のカム溝部と係合する別のカムフォロアが該駆動カム環に設けられていること。
【選択図】 図12
【解決手段】 複数のカム溝部が形成された固定カム環と、複数のカム溝部に係合する複数のカムフォロアが設けられ、該固定カム環に対して移動する駆動カム環と、該駆動カム環を回動駆動する駆動手段と、該駆動カム環と一体で移動する直進案内筒と、該固定カム環は1つのカム溝部の一部を通過して光軸方向に延びており、該1つのカム溝部は、それと対となり係合する1つのカムファロアが係合する係合領域と、それに続いて係合しない非係合領域、それに続いて係合する係合領域を有し、該1つのカムフォロアが該非係合領域に位置するときは、該1つのカム溝部と異なる別のカム溝部と係合する別のカムフォロアが該駆動カム環に設けられていること。
【選択図】 図12
Description
本発明は、多段伸縮構造のレンズ鏡筒及びそれを有する撮像装置に関し、例えばデジタルカメラ、TVカメラ等に好適なものである。
デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置では、撮影レンズの高倍率化(高ズーム比化)が求められる一方、撮影レンズを収容するレンズ鏡筒の小型化が求められている。
小型のレンズ鏡筒として、いわゆる1段伸縮構造や2段伸縮構造を有するレンズ鏡筒が知られている(特許文献1〜3)。特許文献1の沈胴タイプのレンズ鏡筒では、モータからの回転が円筒ギアを介して回転カム環(移動筒)に伝達されている。回転カム環が回転すると、回転カム環の周壁部に形成された3本のカム溝部に係合する3つのカムフォロワを有した直進筒が光軸方向に移動する。また、回転カム環に設けられた3つのカムフォロワが固定カム環の周壁部に形成された3本のカム溝部に係合することで、回転カム環は回転しながら光軸方向に移動する。これにより、直進筒と回転カム環とが固定カム環(つまりは撮像装置本体)に対して光軸方向に繰り出したり繰り込んだりする2段伸縮構造のレンズ鏡筒が実現されている。
特許文献2のズームレンズ鏡筒には、いわゆる1段伸縮構造を有するレンズ鏡筒が開示されている。このズームレンズ鏡筒では、モータからの回転が定位置回転カム環に伝達され、定位置回転カム環が回転する。そうすると、定位置回転カム環の周壁部に形成されたカム溝部に係合するカムフォロワを有した直進筒が、カム溝部に沿って光軸方向に移動する。この時、伸縮構造の最短状態から最長状態へのレンズ作動において、沈胴領域と撮影領域では2つの異なるカム溝部とカムフォロワの対によって、カムが乗り移っていることによって小型のズームレンズ鏡筒が達成されている。
特許文献3には、いわゆる多段伸縮構造を有するレンズ鏡筒のカム機構が開示されている。このレンズ鏡筒のカム機構では、回転カム環の周壁部の周方向に位相が異なるよう配置された複数のカム溝部の一端が互いに干渉する構成よりなっている。そのため、一方のカム溝を光軸方向に2本配置とする事で、それぞれの脱落するタイミングをずらし、カムフォロワが滑らかにカムに追従するよう構成している。これにより移動筒の安定支持を確保し、レンズ鏡筒の伸縮作動が達成されている。
特許文献1にて開示された沈胴タイプのレンズ鏡筒では、固定カム環の周壁部に円筒ギアを配置するための貫通溝部が形成されている。そして、前述した固定カム環の3本のカム溝部を該貫通溝部を避けるようにして該固定カム環の周壁部に周方向等間隔で形成するために、固定カム環の光軸方向の長さが長くなっている。
固定カム環の光軸方向の長さを短くするために、例えば3本のカム溝部のうち1本のカム溝部の一部領域が該貫通溝部によって欠損するように形成することも可能である。しかしながら、その欠損領域(非係合領域)においてカムフォロアがカム溝部から脱落した状態においては、いくら他の2本のカム溝部にカムフォロアが係合していても、回転カム環に光軸に対する倒れや偏芯が発生するおそれがある。
特許文献2にて開示されたズームレンズ鏡筒では、沈胴状態からTELE状態(鏡筒全長最長状態)へ移動する間に、第1のカムから対となるカムフォロワが脱落し、第2のカムと対となるカムフォロワによって移動筒を支持、作動する構成より成っている。しかし、沈胴状態から最繰り出し状態に至る間、第1のカムにカムフォロワが復帰する事は無く、特許文献2にて記載の欠損領域に対して、有効な移動筒支持を達成する事は困難である。
特許文献3にて開示されたレンズ鏡筒のカム機構では、カム溝が光軸方向に配置されている為、カム環の、ひいては撮像装置の全長の短縮が困難である。
本発明は、固定カム環の光軸方向の長さが短く、カムフォロアがカム溝部の一部と係合しない非係合領域を有する場合であっても、光軸に対する移動筒の倒れや偏芯を軽減することができるレンズ鏡筒及びそれを有する撮像装置の提供を目的とする。
本発明のレンズ鏡筒は、周方向に位相が異なる複数のカム溝部が形成され、撮像装置本体に対して固定された固定カム環と、前記複数のカム溝部に係合する複数のカムフォロアが設けられ、該カムフォロアの光軸周りの回動により、該固定カム環に対して光軸方向に移動する駆動カム環と、該駆動カム環を回動駆動する駆動手段と、該駆動カム環と一体で移動する直進案内筒と、該固定カム環は該カムフォロアと該カム溝部の光軸方向の相対移動に際して、該直進案内筒に設けた移動ギアの光軸方向の移動に関してスペースを確保するための移動ギア用溝部を有し、該移動ギア用溝部は該複数のカム溝部のうち1つのカム溝部の一部を通過して光軸方向に延びており、該1つのカム溝部は、それと対となり係合する1つのカムファロアが係合する係合領域と、それに続いて係合しない非係合領域、それに続いて係合する係合領域を有し、該1つのカムフォロアが該非係合領域に位置するときは、該1つのカム溝部と異なる別のカム溝部と係合する別のカムフォロアが該駆動カム環に設けられていることを特徴としている。
本発明によれば、固定カム環の光軸方向の長さが短く、カムフォロアがカム溝部の一部と係合しない非係合領域を有する場合であっても、光軸に対する移動筒の倒れや偏芯を軽減することができるレンズ鏡筒が得られる。
以下に本発明の好ましい実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。本発明のレンズ鏡筒は、周方向に位相が異なる複数のカム溝部15a、15eが形成され、撮像装置本体に対して固定された固定カム環(固定筒)(第1のカム筒)15を有する。更に複数のカム溝部15a、15eに係合する複数のカムフォロア(カムピン)7b、7cが設けられ、カムフォロア7bの光軸周りの回動により、固定カム環15に対して光軸方向に移動する駆動カム環(移動筒)7を有する。更に駆動カム環7を回動駆動する駆動手段(ズームモータ)17とを有する。
駆動カム環7のカムギア7aとかみ合う移動ギア19が設けられ、駆動手段17からの駆動力で駆動カム環7と一体で移動する直進案内筒9を有する。固定カム環15はカムフォロア7bとカム溝部15aの光軸方向の相対移動に際して直進案内筒9に設けた移動ギア19の光軸方向の移動に関してスペースを確保するための移動ギア用溝部(穴)15dを有している。
移動ギア用溝部15dは複数のカム溝部15a、15eのうち1つのカム溝部15aの一部を通過して光軸方向に延びている。1つのカム溝部15aは、それと対となり係合する1つのカムファロア7bが係合する係合領域と、それに続いて係合しない非係合領域151、それに続いて係合する係合領域を有している。1つのカムフォロア7bが非係合領域151に位置するときは、1つのカム溝部15aと異なる別のカム溝部15eと係合する別のカムフォロア7cが駆動カム環7に設けられている。固定カム環15に設けた1つのカム溝部15aの非係合領域151は駆動カム環7と固定カム環15との光軸方向の相対的移動によって撮影を行う撮影カム領域の外側に設けられている。
ここで別のカム溝部15eと対となる別のカムフォロア7cはカム溝部15eに対しカム溝部15aの非係合領域に相当する領域において係合し、それ以外の領域においては非係合である。そしてカム溝部15eのうち、カム溝部15aの非係合領域に相当する領域のカム溝部のカム幅15fとカム深さの少なくとも一方はそれ以外の領域に比べて小さい。また固定カム環15のカム溝部15aの非係合領域151はカム溝部15aの軌跡が固定カム環15の穴(移動ギア用溝部15d)を通過することによって形成されている。そしてこの固定カム環15の穴(移動ギア用溝部15d)には駆動カム環7と一体で光軸方向へ移動する移動ギア19が配置されている。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施例であるデジタルスチルカメラ(撮像装置)の多段(2段)伸縮構造のレンズ鏡筒の分解斜視図である。図2、図3および図4は、図1のレンズ鏡筒の沈胴状態、広角端状態および望遠端状態での断面図である。図2および図3において、100はカメラ本体(撮像装置本体)を示し、101はレンズ鏡筒内の撮影光学系により形成された被写体像を光電変換するCCD等の撮像素子を示している。
図1において、L1は第1レンズユニットであり、L2は第2レンズユニットである。L3は光軸に直交する平面内でシフトしてカメラが振動したときに生ずる像振れの補正を行う防振光学系としての第3レンズユニットである。L4は第4レンズユニットであり、L5は光軸方向に移動してフォーカシングを行う第5レンズユニットである。第1〜第5レンズユニットL1〜L5および後述する絞りシャッターユニット6によって撮影光学系の一部を構成している。
1は第1レンズユニットL1を保持する第1鏡筒である。2は第2レンズユニットL2を保持する第2保持枠である。3は第3レンズユニットL3を光軸に直交する平面内でシフトさせるシフトユニットである。4は第4レンズユニットL4を保持する第4保持枠である。5は第5レンズユニットL5を保持する第5保持枠である。
第1レンズユニットL1を保持した第1鏡筒1を、第1の光学ユニットともいう。また、第2レンズユニットL2を保持した第2保持枠2、絞りシャッターユニット6、シフトユニット3および第4レンズユニットL4を保持した第4保持枠4をそれぞれ、第2の光学ユニットともいう。6は光量を調節する絞りシャッターユニットである。11はCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子101やズームモータユニット17が取り付けられた撮像素子ホルダである。
8a,8bは第5保持枠5を光軸方向にガイドする棒状のガイド部材としてのガイドバーである。ガイドバー8aには第5保持枠5に形成されたスリーブ部が光軸方向に移動可能に係合し、ガイドバー8bには第5保持枠5に形成されたU溝部が光軸方向に移動可能に係合する。U溝部がガイドバー8bに係合することで、第5保持枠5のガイドバー8a回りでの回転が阻止される。16は第5保持枠5を光軸方向に移動させる駆動源としてのフォーカスモータである。フォーカスモータ16の出力軸にはリードスクリューが形成されており、該リードスクリューには第5保持枠5に取り付けられたラック5aが噛み合っている。これにより、リードスクリューの回転が第5保持枠5の直進移動に変換される。
35は第5保持枠5の初期位置を検出するためのフォトインタラプタであり、第5保持枠5に形成された遮光部がフォトインタラプタ35の発光部と受光部との間に入り込むことで第5保持枠5が初期位置に移動したことが検出される。13は撮像素子ホルダ11に固定された後部鏡筒であり、フォーカスモータ16およびフォトインタラプタ35がビス止めされている。ガイドバー8a,8bは撮像素子ホルダ11によって一端が支持されている。
15は固定筒であるところの固定カム環(固定筒、第1のカム筒)であり、周方向に位相が異なる複数のカム溝部が形成され、撮像素子ホルダ11に複数のビスにより固定されている。7は光軸回りで回転可能であるとともに、光軸方向に移動可能な駆動カム環(回転筒、第2のカム筒)である。固定カム環15の周壁部の内周面には、駆動カム環7を光軸方向に移動させるための複数のカム溝部であるところの複数のカム溝部(固定カム)15a、15eが形成されている。なお、本実施例ではカム溝部15aが4本形成されているが、これを5本以上形成してもよい。
4本のカム溝部15a、15eは、図9に示すように互いに同じ形状(軌跡)を有する。また、固定カム環15の周壁部の後端には、駆動カム環7に設けられた複数のカムフォロワであるところの4本のカムピン(カムフォロワ)7b、7cをカム溝部15a、15e内に導入するためのカムピン挿入口15cが形成されている。
カム溝部、カムピンがそれぞれ4本形成されている理由については後述する。図10に示すように、ズームモータユニット17の出力ギア17aは、ナルトギア17bに噛み合ってこれに回転を伝達する。ナルトギア17bは、駆動カム環7に形成されたカムギア7aに噛み合ったギア部品であるところの移動ギア19に噛み合ってこれに回転を伝達する。これにより、駆動カム環7が光軸回りで回転する。
駆動カム環7の3本のカムピン7bは固定カム環15の3本のカム溝部15aに係合している。駆動カム環7が回転すると、沈胴位置、広角端位置および望遠端位置にこの順およびこれとは逆の順で光軸方向に移動する。沈胴位置は、固定カム環15(つまりは撮像装置であるところのカメラ本体100)に対して駆動カム環7が収納される収納位置である。広角端位置は、カメラ本体100の電源が投入されたときに、駆動カム環7が固定カム環15(カメラ本体100)から前方に突出して停止することで撮影(ズーム動作)を待機する撮影待機位置でもある。
駆動カム環7は、直進筒としての直進案内筒9の外周面によって光軸回りで回転可能に支持されている。また、駆動カム環7は、直進案内筒9の前端部(被写体側の部分)に取り付けられたキーリング12と直進案内筒9の後端部(像面側の部分)に形成されたフランジ部とによって直進案内筒9に対する光軸方向の移動が阻止されている。直進案内筒9の後端部にはバーホルダ10が固定されている。
直進案内筒9、駆動カム環7、キーリング12およびバーホルダ10により、駆動カム環7(カムピン7b)の光軸回りでの回転に伴って全体として光軸方向に移動可能な移動筒(移動筒ユニット)が構成される。バーホルダ10における周方向に120°で等間隔の3箇所には、被支持部としての直進キー10aが形成されている。直進キー10aは、固定カム環15の内周面における周方向に120°で等間隔の3箇所に形成された支持部としての直進溝部15bに光軸方向に移動可能に係合している。直進キー10aと直進溝部15bとの係合により、直進案内筒9および駆動カム環7が光軸に対して偏芯しないように、これら直進案内筒9および駆動カム環7の径方向位置が決められる。
移動ギア19は、バーホルダ10に対して移動ギア押え板20によって取り付けられている。駆動カム環7は、回転しながら直進案内筒9、バーホルダ10、キーリング12および移動ギア19と一体となって、カム溝部15aによって決められる光軸方向位置に移動する。移動ギア19は、レンズ鏡筒の繰り出しおよび繰り込み時に常にナルトギア17bと噛み合っており、ナルトギア17bはこの噛み合いが維持される光軸方向長さを有する。
ナルトギア17bは、固定カム環15と撮像素子ホルダ11とによって挟み込まれたナルトギアシャフト18を軸として定位置で回転する。ズームモータユニット17は、撮像素子ホルダ11に複数のビスによって固定されている。ズーム初期位置の検出は、駆動カム環7に形成された不図示の遮光部が撮像素子ホルダ11に固定されたフォトインタラプタ26の発光部と受光部との間に入り込んだことを検出することによって行われる。
駆動カム環7の周壁部の外周面には、図7に示すように、第1鏡筒1用のカム溝部(外周カム)21が周方向60°等間隔で6本形成されている。なお、これら6本のカム溝部21のうち3本が第1鏡筒1を光軸方向に移動させるために使用される(これについては後に詳しく説明する)。また、カム溝部21の本数である6本は例であり、他の本数であってもよい。また、駆動カム環7の周壁部の内周面には、図8に示すように、第2保持枠2、絞りシャッターユニット6、シフトユニット3および第4保持枠4を光軸方向に移動させるためのカム溝部(内周カム)22,23,24,25が1本ずつ形成されている。カム溝部22,23,24,25の本数としての1本は例であり、他の本数であってもよい。
固定カム環15に形成されたカム溝部15aには、前述したように、駆動カム環7に設置されたカムピン7bが係合している。駆動カム環7が光軸回りで回転しながら固定カム環15に対して光軸方向に移動し、駆動カム環7の回転によって第1鏡筒1、第2保持枠2、絞りシャッターユニット6、シフトユニット3および第4保持枠4が光軸方向に相対的に移動する。これにより、図3に示した広角端の状態と図4に示した望遠端の状態との間で変倍(ズーム動作)が行われ、またレンズ鏡筒を広角端の状態から図2に示す沈胴状態に収納可能とする。
図9に示すように、固定カム環15の周壁部の前端から中間位置にかけて、駆動カム環7と一体で光軸方向に移動する移動ギア19の移動スペースを確保するための穴としての移動ギア用溝部15dが形成されている。第2保持枠2、絞りシャッターユニット6、シフトユニット3および第4保持枠4の支持構造について、図5および図6を用いて説明する。
図5に示すように、キーリング12にバー受け部12b〜12eが形成されており、該バー受け12b〜12eには棒状のガイド部材としてのガイドバー14a〜14dの一端が保持されている。また、バーホルダ10にもバー受け部10b〜10eが形成されており、該バー受け部10b〜10eにはガイドバー14a〜14d(14)の他端が保持されている。
図6(a),(b)に示すように、第2保持枠2のスリーブ部2cはガイドバー14dに、U溝部2bはガイドバー14bにそれぞれ光軸方向に移動可能に係合している。絞りシャッターユニット6のスリーブ部6cはガイドバー14bに、U溝部6bはガイドバー14dにそれぞれ光軸方向に移動可能に係合している。このように、本実施例では、互いに隣接する第2保持枠2と絞りシャッターユニット6とで、スリーブ部2c,6cが係合するガイドバーを反対にしている。また、シフトユニット3のスリーブ部3cはガイドバー14cに、不図示のU溝部はガイドバー14aにそれぞれ光軸方向に移動可能に係合している。さらに、第4保持枠4のスリーブ部4cはガイドバー14aに、U溝部4bはガイドバー14cにそれぞれ光軸方向に移動可能に係合している。このように、シフトユニット3と第4保持枠4とで、スリーブ部3c,4cが係合するガイドバーを反対にしている。
第2保持枠2におけるスリーブ部2cの近傍には、カムフォロアとしてのカムピン2aが設けられている。絞りシャッターユニット6におけるスリーブ部6cの近傍には、カムピン6aが設けられている。また、シフトユニット3におけるスリーブ部3cの近傍には、カムピン3aが設けられている。さらに、第4保持枠4におけるスリーブ部4cの近傍には、カムピン4aが設けられている。
これらカムピン2a,3a,6a,4aはそれぞれ、直進案内筒9の周壁部に光軸方向に延びるように形成された4本の直進溝部9eを貫通する。そして、図8に示す第2保持枠用カム溝部22、絞りシャッターユニット用カム溝部23、シフトユニット用カム溝部24および第4保持枠用カム溝部25に係合している。これにより、駆動カム環7が光軸回り(直進案内筒9の回り)で回転することで、第2保持枠2、絞りシャッターユニット6、シフトユニット3および第4保持枠4がカム溝部22〜25のリフトによって光軸方向に駆動される。
71、72、85、88はフレキシブルプリント基板である。なお、本実施例では4本のガイドバー14a〜14dによって4つの第2の光学ユニット(第2保持枠2、絞りシャッターユニット6、シフトユニット3および第4保持枠4)を光軸方向にガイドする場合について説明する。しかし、これら4つの第2の光学ユニットを光軸方向にガイドするガイドバーは必ずしも4本設ける必要はなく、3本以下のガイドバーのみを設けてもよい。例えば、第2保持枠2のスリーブ部2cと第4保持枠4のスリーブ部4cとを同じガイドバーに係合させてもよい。
次に、第1鏡筒1の支持構造を説明する。図1に示すように、直進案内筒9の前端部(第1レンズユニットL1側)に固定されたキーリング12の外周における周方向3箇所(120°等間隔位置)には、キー12aが形成されている(図5(B)参照)。キー12aは、第1鏡筒1の周壁部の内周面における周方向3箇所に形成された不図示の直進溝部に係合しており、第1鏡筒1が光軸に対して偏芯しないようにその径方向位置を決めながら該第1鏡筒1を光軸方向にガイドする。なお、キーリング12およびバーホルダ10はいずれも直進案内筒9とは別部材であるが、直進案内筒9に一体に固定されるので、キー12aおよびバー受け部12b〜12e、10b〜10eは直進案内筒9に設けられているとみなすことができる。
図1および図2に示すように、第1鏡筒1の内周面の後端における周方向6箇所(60°等間隔位置)にはカムフォロアとしてのカムピン1aが設けられている。そして各カムピン1aは、前述したように駆動カム環7の外周面に形成された各カム溝部21に係合している(図7)。これにより、駆動カム環7が直進案内筒9の回りで回転することで、第1鏡筒1はカム溝部21のリフトによって光軸方向に駆動される。第1鏡筒1、第2保持枠2、絞りシャッターユニット6、シフトユニット3および第4保持枠4の光軸方向位置は、固定カム環15のカム溝部15aによる駆動カム環7の駆動量と駆動カム環7のカム溝部21〜25によるそれらの駆動量との合成により決まる。
なお、カムピン1a,2a,6a,4aはそれぞれ、第1鏡筒1、第2保持枠2、絞りシャッターユニット6および第4保持枠4に一体成形されてもよいし、それらとは別部材として製作されて圧入もしくは接着によって固定されてもよい。ただし、本実施例では、後述するように、カムピン3aは、シフトユニット3に対して別部材として製作する必要がある。
図3、図4に示すように本実施例では、広角端状態(図3)に比べて、望遠端状態(図4)では第1レンズユニットL1と第2レンズユニットL2との間の光軸方向間隔が非常に大きくなる。そして第1レンズユニットL1を保持する第1鏡筒1が直進案内筒9および駆動カム環7に対して大きく前方に繰り出す。このため、例えば第1鏡筒1に保持させたガイドバーによって第2保持枠2を支持させるような構成では、非常に長いガイドバーが必要となる。
そのため本実施例では、第1鏡筒1は直進案内筒9の外周前端部(キーリング12)に設けられたキー12aと第1鏡筒1の内周面に形成された直進溝部との係合により光軸方向にガイドする。そして、他の4つの光学ユニット2,6,3,4は、直進案内筒9(およびバーホルダ10)によって直進案内筒9の内側にて保持されたガイドバー14a〜14dによって光軸方向にガイドする。これにより、長いガイドバーの使用に伴うレンズ鏡筒の大型化や、第1鏡筒1および第2保持枠2の偏芯や倒れによる光学性能の低下を回避できる。なお、本実施例では、第1鏡筒1と他の4つの光学ユニット2,6,3,4との偏芯および倒れに関する一定の精度(偏芯および倒れを許容範囲内に収めること)が必要である。このため、第1鏡筒1内には、不図示の偏芯/倒れ調整機構を設けて、その精度を確保できるようにしている。
また、ガイドバー14a〜14dによって支持された4つの第2の光学ユニット2,6,3,4にも偏芯および倒れに対する高い精度が要求される。本実施例においてガイドバー14a〜14dを支持する部品は、直進案内筒9を挟んで、キーリング12とバーホルダ10という3部品と少ない。したがって、偏芯および倒れに関する精度をきわめて高くしながら4つの第2の光学ユニット2,3,4,6を光軸方向に移動可能に支持することができる。なお、本実施例では、ガイドバー14a〜14dを直進案内筒9に固定されたキーリング12とバーホルダ10とによって保持する場合について説明した。しかし、バーホルダ10に相当する部分を直進案内筒に一体形成し、その直進案内筒のみによりガイドバー14a〜14dを保持してもよい。
次に第2保持枠用、絞りシャッターユニット用、シフトユニット用および第4保持枠用のカム溝部22,23,24,25について図8を用いて説明する。図8において、下側が像面側(後側)に相当し、上側が被写体側(前側)に相当する。駆動カム環7の内周面には、前述したように、第2保持枠用のカム溝部22、絞りシャッターユニット用のカム溝部23、シフトユニット用のカム溝部24および第4保持枠用のカム溝部25が1本ずつ形成されている。各カム溝部は、対応する光学ユニットを沈胴位置、広角端位置および望遠端位置にこの順およびこれとは逆の順で光軸方向に移動させるための形状(軌跡)を有する。
駆動カム環7の周壁部の後端には、カムピン2a,6a,4aをそれぞれ第2保持枠用のカム溝部22、絞りシャッターユニット用のカム溝部23および第4保持枠用のカム溝部25に導入するためのカムピン導入口22a,23a,25aが形成されている。カムピン導入口22a,23a,25aはこれらカム溝部22,23,25における望遠端位置側(沈胴位置側とは反対側)に接続されている。
また、駆動カム環7の周壁部を貫通するように、シフトユニット3のカムピン3aをシフトユニット用カム溝部24に導入するための貫通穴としてのカムピン導入口24aが形成されている。カムピン導入口24aは、カム溝部24における沈胴位置側(望遠端位置側とは反対側)に接続されている。シフトユニット3を駆動カム環7の内側に組み込んだ後に、カムピン導入口24aを通してカムピン3aをシフトユニット3に形成された穴部に圧入することで、カムピン3aをシフトユニット3に固定するとともにカム溝部24に導入する。
ここで、カム溝部22,23,24,25における沈胴位置、広角端位置および望遠端位置はそれぞれ、カムピン2a,6a,3a,4aが周方向に45°等間隔で設けられているのに対応して、周方向に45度ずつ位相が異なるように形成されている。
次に第1鏡筒用のカム溝部21について図7を用いて説明する。図7において、下側が像面側(後側)に相当し、上側が被写体側(前側)に相当する。駆動カム環7の外周面には、前述したように、第1鏡筒用のカム溝部21が6本形成されており、これらカム溝部21にはそれぞれ第1鏡筒1に設けられた6つのカムピン1aが係合している。ただし、この6本のカム溝部21のうち120°間隔の3本の駆動用カム溝部が第1鏡筒1を沈胴位置、広角端位置および望遠端位置にこの順およびこれとは逆の順で光軸方向に移動させるために使用される。他の3本のカム溝部21は、第1鏡筒1が像面方向等に向かって衝撃を受けたときに駆動用カム溝部からカムピン1aが外れるのを阻止するための耐衝撃保持を行うための耐衝撃用カム溝部である。耐衝撃用カム溝部は、通常動作時にはカムピン1aに対して所定のクリアランスが設けられるように形成されている。第1鏡筒1に設けられたカムピン1aは、駆動カム環7の前端面に形成されたカムピン導入口21aからカム溝部21に導入される。カムピン導入口21aはカム溝部21における望遠端位置側(沈胴位置側とは反対側)に接続されている。
図9に示した固定カム環15において、移動ギア用溝部15dは、3本のカム溝部15aのうち1本のカム溝部15aにおける沈胴位置と広角端位置(WIDE)との間の一部を通過して光軸方向に延びるように形成されている。該1本のカム溝部15aにおける移動ギア用溝部15dが通過する部分は、このカム溝部15aのうちカムピン7bが一旦係合しない非係合領域としての欠損領域151となる。この欠損領域151(図12参照)では、駆動カム環7のカムピン7bがカム溝部15aから脱落する。その間、4本目のカム溝部15eに移動筒であるところの駆動カム環7の4本目のカムピン7cとが係合し、脱落中に駆動カム環7の支持が不安定にならないようにする。固定カム環15のカム溝部15a、15eと駆動カム環7のカムピン7b、7cの係合状態を図12の模式図を用いて説明する。
図12紙面下側が沈胴位置方向であり、上側が広角端位置方向である。沈胴状態から、動き始めた初期状態では、固定カム環15の3本のカム溝部15aと駆動カム環7のカムピン7bが係合し、駆動カム環7を支持する。その時、駆動カム環7のカムピン7cに比べ、固定カム環15のカム溝部15eの幅が大きく、深さも深く形成されている為、それぞれは係合していない。しかし、欠損領域151に至るその直前から、カム溝部15eのカム幅は幅15g⇒幅15fのように徐々に細くなる。また、図11のカム溝断面図のように、カム溝15eの深さが、カム深さ28分だけ徐々に浅くなり、カム溝15eとカムピン7cが係合するようになる。それとほぼ同時にカム溝部15aの1本からカムピン7bが脱落する。そしてさらに広角端位置方向へ進むと、脱落したカムピン7bが、カム溝部15aに復帰するが、それとほぼ同時にカム溝部15eのカム幅は幅15f⇒幅15gのように徐々に太くなり、元の幅に戻る。またカム溝深さが、カム深さ28分だけ徐々に深くなり、元の深さになり再度カム溝部15eとカムピン7cが係合しない状態となる。15hはカム溝部15eの除変部であり、カム溝部15eの深さや幅の少なくとも一方が徐々に変化するカム溝部15eの一部分である。
本実施例では非係合領域151のカム溝部はカム幅とカム深さの少なくとも一方が、それ以外の領域に比べて小さければ良い。即ち非係合領域151のカム溝部の面積が、それ以外の領域の面積に比べて小さければ良い。このように、カムピン7bがカム溝部15aに係合−非係合そして再度係合となる脱落部(非係合領域)151では駆動カム環7のひいては、第1鏡筒1のガタつき等が予測される。よって、カム溝部15aの欠損領域151は、本実施例のように、撮影領域(撮影カム領域)ではない外側の沈胴位置と広角端位置(WIDE)の間に配置するのが望ましい。しかしながら、設計上必要であれば、撮影領域となる広角端位置と望遠端位置の間に配置しても構わない。また、欠損領域151を持つカム溝が2本以上あった場合は、その間に駆動カム環7を保持するカム溝部とカムピンを、欠損するカム溝部の本数に応じて設置すれば、同様の作動を維持できる。
図9のように、固定カム環15のカム溝部15aの1本と、カム溝部15eは、互いの軌跡が固定カム環15の周壁面上で重なる部分がある。しかしながら図11のように、それぞれのカム溝部15aとカム溝部15eの深さは深さ27分だけ差があり、カム溝部15aと、深さの差27の範囲で、カムピン7bとが係合する。このため、重なる部分でカムピン7bがカム溝部15eによる段差に引っ掛かるような事は無い。また、カムピン7cは欠損領域151以外の領域で、カム溝部15eと係合する事はないので、同様に引っ掛かりなど、作動へ影響はない。
図1に示す植毛紙51は、固定カム環15の内周面における周方向3領域に分けて配置されている。植毛紙51に対して、カメラの外観となる第1鏡筒1の外周面と近接している。このため、植毛紙51としてクッション性(弾性)の高い材質を採用して、上記ズーム作動によって、万が一、互いが接したとしても、第1鏡筒1の外周面にキズが付かないようにすることが望ましい。
本発明によれば、カム溝設計の制限を極力減らし、かつ大型化を招くことなく、カムフォロアがカム溝部における非係合領域を通過する際に生じやすい、光軸に対する駆動カム環(移動筒)の倒れや偏芯を抑えることができる。以上説明した実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
1 第1鏡筒 7 駆動カム環 7b カムピン 7c カムピン 15 固定カム環
15a カム溝部 15d 移動ギア用溝部 15e カム溝部 19 移動ギア
151 欠損領域
15a カム溝部 15d 移動ギア用溝部 15e カム溝部 19 移動ギア
151 欠損領域
Claims (7)
- 周方向に位相が異なる複数のカム溝部が形成され、撮像装置本体に対して固定された固定カム環と、前記複数のカム溝部に係合する複数のカムフォロアが設けられ、該カムフォロアの光軸周りの回動により、該固定カム環に対して光軸方向に移動する駆動カム環と、該駆動カム環を回動駆動する駆動手段と、該駆動カム環と一体で移動する直進案内筒と、該固定カム環は該カムフォロアと該カム溝部の光軸方向の相対移動に際して、該直進案内筒に設けた移動ギアの光軸方向の移動に関してスペースを確保するための移動ギア用溝部を有し、該移動ギア用溝部は該複数のカム溝部のうち1つのカム溝部の一部を通過して光軸方向に延びており、該1つのカム溝部は、それと対となり係合する1つのカムファロアが係合する係合領域と、それに続いて係合しない非係合領域、それに続いて係合する係合領域を有し、該1つのカムフォロアが該非係合領域に位置するときは、該1つのカム溝部と異なる別のカム溝部と係合する別のカムフォロアが該駆動カム環に設けられていることを特徴とするレンズ鏡筒。
- 前記固定カム環に設けた1つのカム溝部の非係合領域は前記駆動カム環と該固定カム環との光軸方向の相対的移動によって撮影を行う撮影カム領域の外側に設けられていることを特徴とする請求項1のレンズ鏡筒。
- 前記別のカム溝部と対となる別のカムフォロアは該別のカム溝部に対し前記1つのカム溝部の前記非係合領域に相当する領域において係合し、それ以外の領域においては非係合であることを特徴とする請求項1又は2のレンズ鏡筒。
- 前記別のカム溝部のうち、前記1つのカム溝部の前記非係合領域に相当する領域のカム溝部のカム幅とカム深さの少なくとも一方はそれ以外の領域に比べて小さいことを特徴とする請求項1、2又は3のレンズ鏡筒。
- 前記固定カム環の1つのカム溝部の非係合領域は該1つのカム溝部の軌跡が該固定カム環の移動ギア用溝部を通過することによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項のレンズ鏡筒。
- 前記固定カム環の移動ギア用溝部には前記駆動カム環と一体で光軸方向へ移動する移動ギアが配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項のレンズ鏡筒。
- 請求項1乃至6のいずれか1項のレンズ鏡筒を有することを特徴とする撮像装置。
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