JP2011241718A - エンジン制御装置および車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】過給器付エンジンにおいて、少ない適合作業で正確な空燃比制御を実現する。
【解決手段】エンジン5は、過給器34を備えている。過給器34は、吸気経路32Aに配置されたコンプレッサ341を含む。エンジン5は、コンプレッサ341の下流に順に配置されたサージタンク38、スロットル弁35、および燃料噴射装置36を含む。ECU60のメモリ62は、全開吸入空気流量マップM1および流量割合マップM2を記憶している。全開吸入空気流量マップM1には、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度を変化させて予め求められた全開吸入空気流量が格納されている。流量割合マップM2には、スロットル開度およびエンジン回転速度を変化させて予め求められた流量割合が格納されている。ECU60のマイクロコンピュータ61は、マップM1,M2から全開吸入空気流量および流量割合を読み出して、燃料噴射量を決定する。
【選択図】図3

Description

この発明は、過給器を備えたエンジン(内燃機関)のための制御装置およびそれを備えた車両に関する。
特許文献1には、ターボチャージャを備えたエンジンが開示されている。このエンジンは、ターボチャージャのコンプレッサ、サージタンク、スロットル弁、スロットル弁開度センサ、吸気管内圧力センサ、および噴射弁を含む。これらは、吸気経路の上流側から下流側に向かって順に配置されている。噴射弁から噴射される燃料の噴射量は、基本燃料噴射量を吸気密度補正係数で補正することによって求められる。基本燃料噴射量は、エンジン回転速度、スロットル弁下流の吸気管内圧力、およびスロットル開度に応じて決定される。吸気密度補正係数は、スロットル弁下流の吸気管内圧力および吸気温度、ならびにコンプレッサ上流の大気圧および吸気温度に応じて決定される。
基本燃料噴射量の演算には、2つの方式が併用されている。第1の方式は、エンジン回転速度および吸気管内圧力をパラメータとして燃料噴射量を求める方式である。第2の方式は、エンジン回転速度およびスロットル開度をパラメータとして燃料噴射量を求める方式である。これらの2つの方式に対応した2つの燃料噴射量マップが備えられている。これらの2つの燃料噴射量マップは、スロットル開度が所定の設定値よりも大きいか否かに応じて使い分けられる。
一方、特許文献2には、過給器を備えていないエンジンが開示されている。このエンジンは、スロットル弁、サージタンクおよび燃料噴射弁を備えている。これらは、吸気通路の上流側から下流側に向かって順に配置されている。特許文献2の先行技術では、燃料噴射量を決定するために、吸入空気量が推定される。吸入空気量は、第1関数、第2関数および定常吸入空気量を用いて推定される。第1関数は、スロットル弁の下流側および上流側の圧力比を変数とする関数である。第2関数は、第1関数において下流側圧力を定常下流側圧力とした関数である。定常下流側圧力とは、スロットル弁の開口面積が一定に保持される定常時においてスロットル弁下流側で観測される吸気管内圧力であり、スロットル弁の開口面積または開度に依存する。定常吸入空気量は、現在のスロットル弁の開口面積または開度に対応する定常下流側圧力を用いた一次関数で与えられる。吸入空気量は、第1関数と、定常吸入空気量および第2関数の比との積で与えられる。こうして求められた吸入空気量を用いて燃料噴射量が決定される。
定常下流側圧力は、特定の機関状態に対してだけ、スロットル弁の開口面積または開度の複数の値に対して予め設定される。また、定常吸入空気量を求めるための一次式も、特定の機関状態に適合した式である。そして、現在のスロットル弁の開口面積または開度に対して設定された定常下流側圧力が、現在の機関状態に拘わらず、第2関数および定常吸入空気量の算出に用いられる。これが妥当であるのは、定常吸入空気量と第2関数との比が、機関状態によって変化しないからである。したがって、定常下流側圧力を機関状態毎に適合させる必要がないので、機関状態に応じた適合値を設定する場合に比較して、設定作業工数を低減できる。
特開昭58−211537号公報 特開2005−42573号公報
特許文献1の先行技術では、吸入空気量の測定または推定が行われていない。そのため、正確な空燃比制御を行うことができないから、トルクの低下またはドライバビリティの悪化が懸念される。
特許文献2の先行技術は、あるスロットル開度に対する定常状態が一意に定まることを前提としている。そのため、特許文献1に開示されているような、スロットル弁の上流にサージタンクが配置される過給器付エンジンに有効に適用することができない。なぜなら、過給器のコンプレッサからの空気の供給によってサージタンク内の圧力が変動し、その結果、サージタンク内の圧力に応じて定常状態が変動するからである。つまり、同じスロットル開度であっても、サージタンク内の圧力によって定常状態が異なる。そのため、特許文献2の先行技術は、特許文献1に開示されているような過給器付エンジンには適用できない。
特許文献1に開示されているような過給器付エンジンにおいては、スロットル弁の上流にサージタンクが配置されており、これにより、スロットル弁から燃焼室に至る吸気経路長の短縮が図られている。これにより、スロットル開度の変化に対するエンジン出力の応答が速くなる。その結果、たとえば、自動二輪車その他の鞍乗り型車両に適用した場合に、そのドライバビリティが向上する。
吸入空気量を求めるための一つの方式は、スピードデンシティ方式である。スピードデンシティ方式とは、スロットル弁下流の吸気管内圧力およびエンジン回転速度をパラメータとして吸入空気量を推定する方式である。しかし、過給器付きエンジンの運転条件は、吸気管内圧力およびエンジン回転速度によって一意には定まらず、サージタンク内圧力およびスロットル開度にも依存する。
吸入空気量を求めるための他の方式は、スロットルスピード方式である。スロットルスピード方式とは、スロットル開度およびエンジン回転速度をパラメータとして吸入空気量を推定する方式である。しかし、やはり、過給器付きエンジンの運転条件は、スロットル開度およびエンジン回転速度によって一意に定まるわけではなく、サージタンク内圧力にも依存する。
いずれの方式を用いる場合にも、運転条件を左右する全てのパラメータの組合せに対する適合値を予め設定することによって全ての運転条件に対応する吸入空気量を推定することは、理論的には可能である。しかし、現実には、膨大な適合作業を要するため、限られた開発期間内に適合作業を完了することは困難である。とくに、多種類のエンジンに対して同様の適合作業を行うのは、極めて大きな困難を伴う。
そこで、この発明の目的は、膨大な適合作業を伴うことなく正確な空燃比制御を実現できる過給器付エンジンの制御装置を提供することである。
また、この発明の他の目的は、このようなエンジン制御装置を備えた車両を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、過給器付エンジンのためのエンジン制御装置であって、前記エンジンが、吸気経路に配置された前記過給器のコンプレッサと、前記吸気経路において前記コンプレッサの下流に配置されたサージタンクと、前記吸気経路において前記サージタンクの下流に配置されたスロットル弁と、前記吸気経路において前記スロットル弁の下流に配置された燃料噴射装置と、前記サージタンク内の圧力を検出するサージタンク圧力センサと、エンジン回転速度を検出するエンジン回転速度センサと、前記スロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサとを含み、前記エンジン制御装置が、前記サージタンク圧力センサによって検出されるサージタンク圧力と前記エンジン回転速度センサによって検出されるエンジン回転速度とに応じて、前記スロットル弁を全開にしたときの吸入空気流量を表す全開吸入空気流量を生成する全開吸入空気流量生成手段と、前記スロットル開度センサによって検出されるスロットル開度と前記エンジン回転速度検出手段によって検出されるエンジン回転速度に応じて、前記スロットル弁を通して吸入される吸入空気流量と全開吸入空気流量との比である流量割合を生成する流量割合生成手段と、前記全開吸入空気流量生成手段によって生成される全開吸入空気流量および前記流量割合生成手段によって生成される流量割合に基づいて、前記燃料噴射装置の燃料噴射量を決定する燃料噴射量決定手段とを含む、エンジン制御装置である。
このエンジン制御装置は、スロットル弁の上流にサージタンクが配置され、さらにその上流に過給器のコンプレッサが配置されたエンジンに適用される。このようなエンジンでは、スロットル弁を通ってエンジンに供給される吸入空気の流量は、サージタンク内の圧力に大きく依存する。そこで、サージタンク内圧力を考慮に入れることにより、吸入空気流量を正確に求めることができる。正確な吸入空気流量を用いることによって、目標とする空気対燃料比(空燃比)を実現するための燃料噴射量を正確に決定できる。
エンジン制御装置は、全開吸入空気流量生成手段と、流量割合生成手段とを含む。全開吸入空気流量は、スロットル弁が全開のときの吸入空気流量であり、サージタンク圧力とエンジン回転速度とに応じて生成される。流量割合とは、任意のスロットル開度および任意のエンジン回転速度に対応した吸入空気流量と全開吸入空気流量との比である。この流量割合は、スロットル開度およびエンジン回転速度に応じて生成される。吸入空気流量は、流量割合と全開吸入空気流量とを乗じることによって推定できるから、流量割合および全開吸入空気量を用いれば、目標とする空燃比に対応した燃料噴射量を決定できる。
サージタンク内圧力、エンジン回転速度およびスロットル開度の3つのパラメータに基づいて吸入空気流量を求めるために、たとえば、3次元マップを作成することが考えられる。しかし、3次元マップを作成するための適合値を求める作業(適合作業)は、3つのパラメータをそれぞれ様々な値に設定した膨大な組合せに対する適合値を見いだす作業であり、多大な時間と労力を要する。
そこで、この発明では、全開吸入空気流量と、流量割合とがそれぞれ求められる。全開吸入空気流量は、サージタンク内圧力とエンジン回転速度との2つのパラメータによって求めることができる。流量割合は、サージタンク内圧力に依存しないので、スロットル開度およびエンジン回転速度との2つのパラメータによって求めることができる。そのため、全開吸入空気流量生成手段および流量割合生成手段は、たとえば、いずれも2次元マップで構成することができる。このような2次元マップを作成するための適合作業は、比較的短時間で終えることができる負荷の少ない作業である。
全開吸入空気流量および流量割合生成手段は、いずれか一方または両方がマップの形態を有していてもよい。そのほか、全開吸入空気流量および流量割合生成手段は、いずれか一方または両方が、数学的なモデルの形態を有していてもよい。
前記エンジンに備えられる過給器は、ターボチャージャであってもよいし、スーパーチャージャであってもよい。
請求項2記載の発明は、前記全開吸入空気流量生成手段が、前記スロットル弁を全開にしたときの吸入空気流量を表す全開吸入空気流量を格納した全開吸入空気流量マップを記憶した第1記憶手段を含み、前記全開吸入空気流量マップには、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度を変化させて求められた全開吸入空気流量が、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度に対応付けて格納されており、前記燃料噴射量決定手段が、前記サージタンク圧力センサおよび前記エンジン回転速度センサの出力に応じて前記全開吸入空気流量マップから対応する全開吸入空気流量を読み出し、前記読み出された全開吸入空気流量および前記流量割合生成手段によって生成される流量割合を用いて燃料噴射量を決定するように構成されている、請求項1記載のエンジン制御装置である。
この構成によれば、全開吸入空気流量マップによって、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度に対応した全開吸入空気流量が生成される。全開吸入空気流量マップには、たとえば、予め行う適合実験によって、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度を様々な値に設定し、かつ、スロットル開度を全開にしたときの全開吸入空気流量の計測値(適合値)が格納される。適合実験は、サージタンク内圧力、エンジン回転速度およびスロットル開度を一定に保持した運転状態(定常状態)でエンジンを運転しながら、スロットル弁の下流側での吸入空気流量を計測することによって行われることが好ましい。マップの作成時に変化させるべきパラメータは、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度の2つであるので、マップ作成のための適合作業の際の負担が少ない。
請求項3記載の発明は、前記流量割合生成手段が、前記スロットル弁の任意開度での吸入空気流量と全開吸入空気流量との比である流量割合を格納した流量割合マップを記憶した第2記憶手段を含み、前記流量割合マップには、スロットル開度およびエンジン回転速度を変化させて求められた流量割合が、スロットル開度およびエンジン回転速度に対応付けて格納されており、前記燃料噴射量決定手段が、前記スロットル開度センサおよび前記エンジン回転速度センサの出力に応じて前記流量割合マップから対応する流量割合を読み出し、前記読み出された流量割合および前記全開吸入空気流量生成手段によって生成される全開吸入空気流量を用いて燃料噴射量を決定するように構成されている、請求項1記載のエンジン制御装置である。
この構成によれば、流量割合マップによって、スロットル開度およびエンジン回転速度に対応した流量割合が生成される。流量割合マップの作成に際しては、たとえば、予め行う適合実験によって、サージタンク内圧力を一定に保持し、スロットル開度およびエンジン回転速度を様々な値に設定したときの、吸入空気流量の計測値(適合値)が求められる。この吸入空気流量(計測値)と全開吸入空気流量との比(流量割合)が流量割合マップに格納される。適合実験は、スロットル開度およびエンジン回転速度を一定に保持した運転状態(定常状態)でエンジンを運転しながら、スロットル弁の下流側での吸入空気流量を計測することによって行われることが好ましい。流量割合は、サージタンク内圧力に依存しないので、マップの作成時に変化させるべきパラメータは、スロットル開度およびエンジン回転速度の2つである。そのため、マップ作成のための適合作業の負担が少ない。
請求項4記載の発明は、前記全開吸入空気流量生成手段が、前記スロットル弁を全開にしたときの吸入空気流量を表す全開吸入空気流量を格納した全開吸入空気流量マップを記憶した第1記憶手段を含み、前記全開吸入空気流量マップには、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度を変化させて求められた全開吸入空気流量が、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度に対応付けて格納されており、前記流量割合生成手段が、前記スロットル弁の任意開度での吸入空気流量と全開吸入空気流量との比である流量割合を格納した流量割合マップを記憶した第2記憶手段を含み、前記流量割合マップには、スロットル開度およびエンジン回転速度を変化させて求められた流量割合が、スロットル開度およびエンジン回転速度に対応付けて格納されており、前記燃料噴射量決定手段が、前記サージタンク圧力センサおよび前記エンジン回転速度センサの出力に応じて前記全開吸入空気流量マップから対応する全開吸入空気流量を読み出し、前記スロットル開度センサおよび前記エンジン回転速度センサの出力に応じて前記流量割合マップから対応する流量割合を読み出し、前記読み出された全開吸入空気流量および流量割合を用いて燃料噴射量を決定するように構成されている、請求項1記載のエンジン制御装置である。
この構成によれば、全開吸入空気流量および流量割合が、いずれもマップを用いて生成される。これらのマップの内容および作成例は、前述のとおりである。全開吸入空気流量マップおよび流量割合マップは、いずれも2つのパラメータを変化させることによって作成できる。そのため、これらの2つのマップを作成するときの作業負担は、3つ以上のパラメータを変化させて適合値を求める作業よりもはるかに少ない。
前記第1および第2記憶手段は、個別のメモリで構成してもよいし、一つのメモリの異なる記憶領域で構成してもよい。
請求項5記載の発明は、前記燃料噴射量決定手段が、前記全開吸入空気流量生成手段によって生成される全開吸入空気流量と、前記流量割合生成手段によって形成される流量割合との積により、前記スロットル開度センサによって検出されたスロットル開度に対応する吸入空気流量を演算し、当該演算された吸入空気流量に応じて燃料噴射量を決定するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジン制御装置である。
この構成によれば、全開吸入空気流量と流量割合との積によって、サージタンク内圧力、エンジン回転速度およびスロットル開度に対応した正確な吸入空気流量が求められる。この正確な吸入空気流量を用いることによって、燃料噴射量を適切に決定することができる。したがって、目標とする空燃比を精度良く達成できるから、トルクの低下等を回避できる。
請求項6記載の発明は、車体と、前記車体に搭載されたエンジンと、前記エンジンを制御する請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンジン制御装置とを含む、車両である。
この構成によれば、過大な作業負担を伴うことなく、適切な燃料噴射量を決定できるエンジン制御装置を実現できる。これにより、トルクの低下等を回避できるので、ドライバビリティに優れた車両を提供できる。
前記車両は、自動二輪車その他の鞍乗り型車両であってもよい。とくに、サージタンクがスロットル弁よりも上流側に配置されていて、スロットル弁と燃焼室との間の吸気経路長が短いので、スロットル開度の変化に対してエンジン出力が速やかに応答する。そのうえ、空燃比を正確に制御できるから、すぐれたドライバビリティを実現することができる。
鞍乗り型車両としては、自動二輪車のほかにも、ATV(不整地走行用車両:ALL-TERRAIN VEHICLE)、およびスノーモービルを例示することができる。自動二輪車には、スクータおよびモペットが含まれる。
さらに、この発明のエンジン制御装置は、車両に限らず、船舶にも適用できる。より具体的には、船舶用推進機の駆動源として用いられるエンジンの制御のために、前述のようなエンジン制御装置を用いることができる。船舶用推進機の例としては、船外機および水ジェット推進機を例示できる。水ジェット推進機を搭載した船舶の例は、ジェットボート(スポーツボート)およびパーソナルウォータークラフト(PWC)を含む。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両の構成を示す側面図である。 図2は、前記車両のハンドルの構成を説明するための平面図である。 図3は、前記車両のエンジンに関連する構成を説明するための概念図である。 図4は、前記エンジンを制御するECUによる燃料噴射量の決定に関する制御ブロック図である。 図5は、全開吸入空気流量マップの一例を示す図である。 図6は、流量割合マップの一例を示す図である。 図7は、前記エンジンのスロットル弁の下流における吸気管内圧力と吸入空気流量との関係を示す。 図8は、変数ψと吸気管内圧力Pmと吸入空気流量mtとの関係を示す。 図9は、サージタンク内圧力Psに対する吸気管内圧力Pmの比(圧力比)Pm/Psと変数ψとの関係を示す。 図10は、スピードデンシティ方式による噴射時間演算のための制御ブロック図であり、前記実施形態との比較のために本願発明者が作成した制御モデルを示す。 図11は、この実施形態に対応した制御モデル(図4参照)と、スピードデンシティ方式による制御モデル(図10の比較例)とに対して行った実験結果を示す。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両の構成を示す側面図である。この車両は、自動二輪車1である。自動二輪車1は、車体フレーム2と、シート3と、エンジン5と、前輪6と、後輪7とを含む。シート3は、乗員が車体フレーム2を跨いで着座するように構成されている。車体フレーム2は、ステアリングヘッドパイプ11と、メインフレーム12と、シートフレーム13とを含む。
ステアリングヘッドパイプ11には、ハンドル15と、サスペンション装置16とが、左右に回動可能に支持されている。前輪6は、サスペンション装置16に支持されている。
メインフレーム12は、ステアリングヘッドパイプ11から後方斜め下方に向かって延びている。エンジン5は、メインフレーム12に支持されている。メインフレーム12の後端部には、左右一対のリヤアームブラケット17が設けられている。リヤアームブラケット17は、メインフレーム12の後端部から下向きに突出している。
後輪7は、リヤアーム20の後端部に支持されている。リヤアーム20の前端部は、リヤアームブラケット17に揺動自在に支持されている。リヤアーム20は、さらに、リンク機構18および後輪側サスペンション装置19を介して、車体フレーム2に結合されている。後輪7には、エンジン5から回転駆動力が、伝達機構9を介して伝達される。伝達機構9は、たとえば、チェーンを含む。
シートフレーム13は、メインフレーム12の途中部から後方斜め上方に向かって延びている。シート3は、シートフレーム13に支持されている。シート3の前方には、燃料タンク8が配置されている。燃料タンク8は、シートフレーム13に支持されている。シート3は、燃料タンク8の後方からシートフレーム13の後端部に向かって延びている。
図2は、ハンドル15の構成を説明するための平面図である。ハンドル15は、運転者の右手に握られるように構成された右グリップ21と、運転者の左手で握られるように構成された左グリップ22とを含む。右グリップ21は、運転者がアクセル操作のために操作するアクセルグリップであり、その軸線まわりに回動可能に構成されている。右グリップ21の近傍には、ブレーキレバー23が配置されている。左グリップ22の近傍には、クラッチレバー24が配置されている。右グリップ21および左グリップ22の間には、計器類25が配置されている。
図3は、エンジン5に関連する構成を説明するための概念図である。エンジン5は、エンジン本体31と、吸気管32と、排気管33と、過給器34と、スロットル弁35と、燃料噴射装置(フューエルインジェクタ)36と、電子制御ユニット(ECU)60とを含む。
エンジン本体31は、クランクケース40と、シリンダ41と、ピストン42と、シリンダヘッド43とを含む。クランクケース40内には、クランクシャフト45が回転可能な状態で収容されている。このクランクシャフト45の回転が、伝達機構9(図1参照)を介して後輪7へと伝達される。クランクシャフト45の回転軸線から偏心した位置に配置されたクランクピンには、コンロッド46の一端が結合されている。コンロッド46の他端は、ピストン42に結合されている。ピストン42は、シリンダ41内で往復運動するように構成されている。ピストン42の往復運動がコンロッド46によってクランクシャフト45に伝達され、これにより、クランクシャフト45が回転する。ピストン42と、シリンダ41と、シリンダヘッド43とによって、燃焼室44が区画されている。シリンダヘッド43には、吸気弁47、排気弁48および点火プラグ49が取り付けられている。吸気弁47は、燃焼室44に開口した吸気ポート51を開閉するように構成されている。排気弁48は、燃焼室44に開口した排気ポート52を開閉するように構成されている。点火プラグ49は、燃焼室44内に放電部を有し、この放電部での放電によって燃焼室44の混合気に点火する装置である。点火プラグ49の放電タイミングは、ECU60によって制御される。
吸気管32は、シリンダヘッド43に結合されており、その内部の吸気経路32Aは、吸気ポート51に連なっている。排気管33は、シリンダヘッド43に結合されており、その内部の排気経路33Aは、排気ポート52に連なっている。
燃料噴射装置36は、吸気経路32Aにおいて、吸気ポート51の上流に配置されている。燃料噴射装置36は、たとえば、吸気ポート51に向けて燃料を噴射するように構成されている。燃料噴射装置36による燃料噴射量および燃料噴射タイミングは、ECU60によって制御される。
スロットル弁35は、吸気経路32Aにおいて、燃料噴射装置36の上流に配置されている。スロットル弁35は、アクセルグリップ21(図2参照)の操作に応じて開度が変化するように構成されている。より具体的には、アクセルグリップ21の操作がケーブルその他の伝達手段によってスロットル弁35に伝達され、それによってスロットル弁35の開度が変化するようになっていてもよい。また、いわゆる電子制御スロットルが用いられてもよい。すなわち、アクセルグリップ21の操作量を検出するアクセルセンサと、スロットル弁35を作動させるスロットルアクチュエータとを設け、ECU60がアクセルセンサの出力に応じてスロットルアクチュエータを制御するように構成されていてもよい。スロットル弁35の開度(スロットル開度)は、スロットル開度センサ37によって検出される。スロットル開度センサ37は、スロットル弁35の近傍に設けられており、その出力信号は、ECU60に入力されている。
吸気経路32Aにおいてスロットル弁35よりも上流側には、吸気管32の途中にサージタンク38が配置されている。サージタンク38は、吸気管32よりも大きな流路断面積を有する空気溜めである。サージタンク38は、吸気脈動を防ぐ働きのほか、吸入空気を溜めてその密度を増加させて加速し、吸入効率を高める働きを有している。
サージタンク38には、サージタンク圧力センサ30と、サージタンク温度センサ39とが配置されている。サージタンク圧力センサ30は、サージタンク38内の圧力を検出し、その検出結果をECU60に入力するように構成されている。サージタンク温度センサ39は、サージタンク38内の温度を検出し、その検出結果をECU60に入力するように構成されている。
吸気経路32Aにおいてサージタンク38よりも上流の吸気管32の途中には、過給器34のコンプレッサ341が配置されている。この実施形態では、過給器34は、ターボチャージャである。すなわち、過給器34は、吸気管32に配置されたコンプレッサ341と、排気管33に配置されたタービン342と、これらを結合する軸343とを有している。排気管33を通る排気の圧力によってタービン342が回されると、その回転が軸343によってコンプレッサ341に伝達される。これにより、コンプレッサ341が回転し、吸気管32内の空気を圧縮して、サージタンク38へと送り込む。サージタンク38とコンプレッサ341との間の吸気経路32Aには、インタークーラー29が配置されている。インタークーラー29は、圧縮によって昇温した吸入空気を冷却する。これにより、ノッキングを防止し、かつ、吸入空気の密度が高められる。
吸気管32の吸気入口32aと、コンプレッサ341との間には、エアクリーナ26が配置されている。エアクリーナ26は、吸入空気を濾過して、塵や埃を取り除くように構成されている。
このように、吸気経路32Aには、その上流側から下流側に向かって、順に、エアクリーナ26、コンプレッサ341、インタークーラー29、サージタンク38、スロットル弁35、および燃料噴射装置36が配置されている。
燃料噴射装置36が霧状に燃料を噴射すると、この燃料と吸入空気とが混合して、混合気が生成される。クランクシャフト45の回転に伴ってピストン42が下降するとき、吸気弁47が開かれると、混合気が吸気弁47(吸気ポート51)を通って燃焼室44に流入する(吸気行程)。その後、吸気弁47が閉じられ、クランクシャフト45がさらに回転すると、燃焼室44の容積が減少し、その内部の混合気が圧縮される(圧縮行程)。圧縮された混合気は、点火プラグ49の放電によって燃焼し、ピストン42を押し下げる(爆発行程または膨張行程)。これにより、クランクシャフト45が回転力を発生する。クランクシャフト45の回転によって、ピストン42が上昇するとき、排気弁48が開かれる(排気行程)。これにより、燃焼室44内の燃焼済みのガスが排気弁48(排気ポート52)を通って排気される。以後、吸気行程、圧縮行程、爆発行程および排気行程が繰り返される。
クランクケース40には、クランクシャフト45の回転角を検出するクランク角センサ27が配置されている。クランク角センサ27の出力信号は、ECU60に入力される。ECU60は、クランク角センサ27の出力信号に基づいて、エンジン回転速度(クランクシャフト45の回転速度)を求めるように構成されている。すなわち、クランク角センサ27は、エンジン回転速度センサの一例である。
排気管33には、タービン342を迂回するバイパス管331が接続されている。バイパス管331は、タービン342の上流側において排気管33から分岐し、タービン342の下流側において排気管33に合流するように構成されている。バイパス管331には、ウェイストゲートバルブ28が配置されている。ウェイストゲートバルブ28は、サージタンク38から供給される空気によって作動するアクチュエータ(空気圧シリンダ)28aを備えている。サージタンク38内の空気圧が設定値を上回ると、ウェイストゲートバルブ28が開き、排気の一部は、バイパス管331を通り、タービン342を迂回する。これにより、タービン342の回転速度が低くなるので、サージタンク38内の圧力上昇が抑えられる。
排気管33において、バイパス管331の合流部よりも下流側には、空燃比センサ(酸素濃度センサ)53が配置されている。空燃比センサ53の出力信号は、ECU60に入力されている。
図4は、ECU60による燃料噴射量の決定に関する制御ブロック図である。ECU60は、マイクロコンピュータ61、メモリ62および入出力インタフェースを含む。メモリ62は、全開吸入空気流量マップM1と、流量割合マップM2とを記憶した記憶手段である。マイクロコンピュータ61は、これらのマップM1,M2を用いて燃料噴射装置36による燃料噴射量を決定するための演算を行うようにプログラムされている。つまり、マイクロコンピュータ61は、燃料噴射量決定手段としての機能を有している。
全開吸入空気流量マップM1には、スロットル弁35を全開にしたときの吸入空気流量を表す全開吸入空気流量が格納されている。より具体的には、予め行う適合作業によって、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度を変化させて、全開吸入空気流量が計測される。この計測された全開吸入空気流量が、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度に対応付けられることにより、全開吸入空気流量マップM1が作成される。ECU60は、サージタンク圧力センサ30によって検出されるサージタンク内圧力と、クランク角センサ27の出力信号から求めたエンジン回転速度とに基づいて、全開吸入空気流量マップM1から、対応する全開吸入空気流量値を検索する。
流量割合マップM2には、任意のスロットル開度および任意のエンジン回転速度における吸入空気流量と全開吸入空気流量との比である流量割合が格納されている。より具体的には、予め行う適合作業によって、スロットル開度およびエンジン回転速度を様々な値に変化させて流量割合が求められる。この求められた流量割合が、スロットル開度およびエンジン回転速度に対応付けられることにより、流量割合マップM2が作成される。ECU60は、スロットル開度センサ37によって検出されるスロットル開度およびクランク角センサ27の出力信号から求められるエンジン回転速度に基づいて、流量割合マップM2から、対応する流量割合値を検索する。
マイクロコンピュータ61は、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理ユニットとしての働きを実現している。これらの機能処理ユニットは、第1乗算部65、第2乗算部66、除算部67、第3乗算部68、および加算部69を含む。第1乗算部65は、全開吸入空気流量マップM1から検索された全開吸入空気流量に、流量割合マップM2から検索された流量割合を乗じる。これにより、推定吸入空気流量が求まる。第2乗算部66は、推定吸入空気流量に目標空燃比(「燃料/吸入空気流量」の目標値)を乗じる。これにより、必要燃料量が求まる。除算部67は、必要燃料量をインジェクタQt特性で除算する。これにより、基本噴射時間が求まる。インジェクタQt特性とは、燃料噴射装置36(インジェクタ)の特性であり、噴射時間と噴射量との関係(噴射時間/噴射量)を表す係数である。第3乗算部68は、基本噴射時間に加速補正係数を乗じる。加速補正係数とは、燃料噴射装置36の応答を早めるための係数である。演算のための遅れや燃料噴射装置36の作動応答時間の影響を補償するために、加速補正係数が基本噴射時間に乗じられる。さらに、第3乗算部68の演算結果に対して、無効噴射時間が加算される。これにより、燃料噴射装置36の作動時間である燃料噴射時間が求まる。無効噴射時間とは、燃料噴射装置36が噴射動作を開始してから実際に燃料の噴射が始まるまでの遅れ時間である。
このように、ECU60は、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度に応じた全開吸入空気流量を全開吸入空気流量マップM1から読み出し、スロットル開度およびエンジン回転速度に応じた流量割合を流量割合マップM2から読み出す。ECU60は、それらを乗じることによって、推定吸入空気流量を決定する。したがって、推定吸入空気流量は、サージタンク内圧力、エンジン回転速度およびスロットル開度に対応した正確な値となる。そのため、推定吸入空気流量を用いることによって、目標空燃比を正確に実現するための燃料噴射量(燃料噴射時間)を決定できる。その結果、出力の低下などを回避できるから、優れたドライバビリティを実現できる。
図5は、全開吸入空気流量マップの一例を示す図である。図5では、全開吸入空気流量マップを表形式で表してある。各行の数値は、エンジン回転速度を或る値としたときに、サージタンク内圧力に応じて変化する全開吸入空気流量値を表す。各列の数値は、サージタンク内圧力を或る値としたときに、エンジン回転速度に応じて変化する全開吸入空気流量値を表す。したがって、クランク角センサ27の出力信号から求まるエンジン回転速度に対応した行と、サージタンク圧力センサ30によって検出されるサージタンク内圧力に対応した列との交差位置のセル値が、当該エンジン状態に対応した全開吸入空気流量値である。
適合作業では、スロットル開度を全開とし、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度がそれぞれ定常状態となる定常運転状態において、スロットル弁35の下流の吸気経路32Aにおいて、吸入空気流量が測定される。この適合作業に際しては、エンジン5と同型のエンジンを準備し、そのエンジンのスロットル弁35の下流に空気流量センサが配置される。様々なサージタンク内圧力および様々なエンジン回転速度でスロットル開度を全開として吸入空気流量を測定することにより、全開吸入空気流量マップM1が作成される。このとき、スロットル開度は全開値で一定とされるので、全開吸入空気流量マップM1の作成に際して変動させられるパラメータは、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度の2つである。すなわち、全開吸入空気流量マップM1は、二次元マップであるから、その作成のための適合作業は、比較的労力の少ない短時間の作業となる。
図6は、流量割合マップの一例を示す図である。図6では、流量割合マップを表形式で表してある。各行の数値は、エンジン回転速度を或る値としたときに、スロットル開度に応じて変化する流量割合を表す。各列の数値は、スロットル開度を或る値としたときに、エンジン回転速度に応じて変化する流量割合を表す。したがって、クランク角センサ27の出力信号から求まるエンジン回転速度に対応した行と、スロットル開度センサ37によって検出されるスロットル開度に対応した列との交差位置のセル値が、当該エンジン状態に対応した流量割合の値である。
適合作業では、サージタンク内圧力を一定値とし、スロットル開度およびエンジン回転速度がそれぞれ定常状態となる定常運転状態において、スロットル弁35の下流の吸気経路32Aにおいて、吸入空気流量が測定される。この適合作業に際しては、エンジン5と同型のエンジンを準備し、そのエンジンのスロットル弁35の下流に空気流量センサが配置される。様々なスロットル開度および様々なエンジン回転速度で吸入空気流量が測定される。この測定値を、測定時のサージタンク内圧力およびエンジン回転速度に対応した全開吸入空気流量で除することによって、流量割合が求まり、流量割合マップM2が作成される。この適合作業のための吸入空気流量測定時において、サージタンク内圧力は一定値とされるので、流量割合マップM2の作成に際して変動させられるパラメータは、スロットル開度およびエンジン回転速度の2つである。すなわち、流量割合マップM2は、二次元マップであるから、その作成のための適合作業は、比較的労力の少ない短時間の作業となる。
エンジン5の定常運転状態においてスロットル弁35を通過する空気流量(吸入空気流量)mtは、ベルヌーイの式、連続の式および状態方程式から、次式(1)で与えられる。
Figure 2011241718
Ctはスロットル弁の流量係数、θtはスロットル開度、Atはスロットル弁開口面積、Psはサージタンク内圧力、Pmはスロットル弁下流側の吸気管圧力、κは空気の比熱比、Rは気体定数、Tsはサージタンク温度をそれぞれ表す。
図7は、スロットル弁35の下流における吸気管内圧力Pmと吸入空気流量mtとの関係を示す。複数の曲線は、様々なサージタンク内圧力Psにおける吸気管内圧力Pmと吸入空気流量mtとの関係を示しており、前記式(1)から導き出される。図7には、サージタンク内圧力Psを100kPa〜200kPaの範囲で変化させた例を示す。
ここで、次式(2)で与えられる変数ψを導入する。
Figure 2011241718
図8は、変数ψと吸気管内圧力Pmとの関係を示しており、図7の曲線を変数ψと吸気管内圧力Pmとの関係に書き直した曲線が示されている。複数の曲線は、様々なサージタンク内圧力Psにおける変数ψと吸気管内圧力Pmとの関係を示す。図8には、サージタンク内圧力Psを100kPa〜200kPaの範囲で変化させた例を示す。
図9は、サージタンク内圧力Psに対する吸気管内圧力Pmの比(圧力比)Pm/Psと変数ψとの関係を示しており、図8の曲線を変数ψと圧力比Pm/Psとの関係に書き直すことによって得られる。図9から理解されるとおり、変数ψと圧力比Pm/Psとの関係は、サージタンク内圧力Psに依らずに、一つの関数で表される。エンジン回転速度およびスロットル開度が異なる別の定常運転状態においても、同様の関係が成立する。
一方、定常状態における圧力比Pm/Psは、エンジン回転速度、スロットル開度等のパラメータに依存する。エンジン回転速度およびスロットル開度以外のパラメータの影響は少ないので、変数ψはスロットル開度θtおよびエンジン回転速度Nの関数とみなして差し支えないから、ψ(θt,N)と表すことができる。このことは、圧力比Pm/Psを求めなくとも、スロットル開度θtおよびエンジン回転速度Nに基づいて変数ψが求まることを意味する。
スロットル開度全開時、すなわちθt≒90°のときの定常状態において、スロットル弁35を通過する吸入空気流量(全開吸入空気流量)Mtは、前記式(1)(2)より、次式(3)で与えられる。
Figure 2011241718
吸入空気流量mtと全開吸入空気流量Mtの比mt/Mtが、前述の「流量割合」である。吸入空気流量mtは、サージタンク内圧力Psを固定したときの、任意のスロットル開度における定常状態においてスロットル弁35を通過する空気流量である。全開吸入空気流量Mtは、スロットル弁略全開時における定常状態においてスロットル弁35を通過する空気流量である。
この流量割合mt/Mtは、式(1)(3)より、次式(4)のように表される。
Figure 2011241718
式(4)は、流量割合mt/Mtがサージタンク内圧力Psに依らずに、スロットル開度θtおよびエンジン回転速度Nから求められることを表す。一方、スロットル弁略全開時における定常状態においてスロットル弁35を通過する吸入空気流量Mtは、サージタンク内圧力Psとエンジン回転速度Nとから一意に求めることができる。
よって、スロットル弁35を通過する吸入空気流量mtは、スロットル開度θtおよびエンジン回転速度Nから定まる流量割合mt/Mtと、サージタンク内圧力Psおよびエンジン回転速度Nから定まる全開吸入空気流量Mtとの積により、推定することができる。
図10は、スピードデンシティ方式による噴射時間演算のための制御ブロック図であり、前記実施形態との比較のために本願発明者が作成した制御モデルを示す。この制御モデルでは、燃料噴射時間マップが準備される。燃料噴射時間マップは、スロットル弁下流における吸気管内圧力とエンジン回転速度との様々な組み合わせに対応した基本燃料噴射時間を格納している。この燃料噴射時間マップから、吸気管内圧力およびエンジン回転速度の測定値に応じた基本燃料噴射時間が検索される。したがって、この制御モデルによる制御のためには、スロットル弁35と燃料噴射装置36との間に吸気管内圧力センサを配置する必要がある。一方、エンジン回転速度およびスロットル開度に応じた加速補正係数が求められ、この加速補正係数が基本燃料噴射時間に乗じられる。さらに、その乗算結果に対して無効噴射時間が加算されることにより、燃料噴射時間が求められる。この制御モデルは、サージタンク内圧力の変動に対する考慮がなされていない。
図11は、この実施形態に対応した制御モデル(図4参照)と、スピードデンシティ方式による制御モデル(図10の比較例)とに対して行った実験結果を示す。直線L0は、目標空燃比を示す。曲線L1は、スロットル開度の時間変化を示す。曲線L11は、前記実施形態に対応した制御モデル(図4参照。吸気量推定制御)によって実現された排気空燃比の時間変化を示す。曲線L12は、前記スピードデンシティ方式による制御モデル(図11参照)により実現された排気空燃比の時間変化を示す。
過渡特性の評価を行うため、前記実施形態および比較例の制御モデルでは、いずれも、スロットル開度とエンジン回転速度とに基づいて求めた加速補正係数を用いて、簡易な加速補正を行っている。この加速補正係数は、実機試験により適合された値であり、前記実験では、両制御モデルに対して同一の補正係数を適用している。
図11は、定常運転からの加速と、減速からの加速とを組み合わせた運転パターンに対する実験結果を示す。いずれの制御モデルにおいても、定常運転時の空燃比が14.5となるように適合を行ったマップを用いている。
図11に示す曲線の前半部は、定常運転からの加速に対応する。この期間には、いずれの制御モデルにおいても、空燃比は、加速直後に目標値を外れた後、0.5秒付近で目標値へ収束している。しかし、スピードデンシティ方式による比較例の制御モデルでは、スロットル開度を一定とした緩加速の期間において、空燃比が徐々にリーンになり、目標値に追従できていない。一方、本実施形態における制御モデルでは、急加速後の目標値への収束も迅速であり、緩加速時の目標値との乖離も少ない。
図11に示す曲線の後半部は、減速からの加速に対応する。この期間において、スピードデンシティ方式(比較例の制御モデル)では過大なリーンスパイクが生じる。しかも、スロットル開度が一定となった後も空燃比が安定せず、目標値へ制御されていない。一方、本実施形態における制御モデルでは、スロットル弁急開後にリーンスパイクが生じるものの、絶対値は低く抑えられている。そして、スロットル開度が一定となった後は、過大なリッチ化・リーン化は発生せず、空燃比は目標値へ制御されている。
このように、本実施形態によれば、自動二輪車用過給機付エンジンにおいて、精度のよい空燃比制御を行うことができる。
なお、前記実験では、簡易な加速補正のみを用いているが、より好適には、非同期噴射、空燃比フィードバック補正、燃料付着補正などを行うとよい。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、全開吸入空気流量マップM1および流量割合マップM2が用いられているけれども、これらのいずれか一方または両方を数学的なモデルで構成してもよい。
また、前述の実施形態では、過給器の一例としてターボチャージャを用いた例について説明したけれども、むろん過給器の他の例であるスーパーチャージャを用いたエンジンに対しても、この発明を同様に適用することができる。
さらに、前述の実施形態では、この発明が自動二輪車のエンジンに適用された例を示したけれども、この発明は、たとえば、ATV、スノーモービルその他の鞍乗り型車両にも適用することができる。むろん、鞍乗り型以外の形態の車両にこの発明を適用しても差し支えない。さらに、船舶のための推進機のエンジンに対して、この発明を適用してもよい。船舶用推進機としては、船外機およびジェット推進機を例示できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 自動二輪車
5 エンジン
27 クランク角センサ
29 インタークーラー
30 サージタンク圧力センサ
31 エンジン本体
32 吸気管
32A 吸気経路
33 排気管
33A 排気経路
34 過給器
341 コンプレッサ
342 タービン
343 軸
35 スロットル弁
36 燃料噴射装置
37 スロットル開度センサ
38 サージタンク
39 サージタンク温度センサ
44 燃焼室
47 吸気弁
48 排気弁
49 点火プラグ
51 吸気ポート
52 排気ポート
60 ECU
61 マイクロコンピュータ
62 メモリ
M1 全開吸入空気流量マップ
M2 流量割合マップ

Claims (6)

  1. 過給器付エンジンのためのエンジン制御装置であって、
    前記エンジンが、
    吸気経路に配置された前記過給器のコンプレッサと、
    前記吸気経路において前記コンプレッサの下流に配置されたサージタンクと、
    前記吸気経路において前記サージタンクの下流に配置されたスロットル弁と、
    前記吸気経路において前記スロットル弁の下流に配置された燃料噴射装置と、
    前記サージタンク内の圧力を検出するサージタンク圧力センサと、
    エンジン回転速度を検出するエンジン回転速度センサと、
    前記スロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサとを含み、
    前記エンジン制御装置が、
    前記サージタンク圧力センサによって検出されるサージタンク圧力と前記エンジン回転速度センサによって検出されるエンジン回転速度とに応じて、前記スロットル弁を全開にしたときの吸入空気流量を表す全開吸入空気流量を生成する全開吸入空気流量生成手段と、
    前記スロットル開度センサによって検出されるスロットル開度と前記エンジン回転速度検出手段によって検出されるエンジン回転速度に応じて、前記スロットル弁を通して吸入される吸入空気流量と全開吸入空気流量との比である流量割合を生成する流量割合生成手段と、
    前記全開吸入空気流量生成手段によって生成される全開吸入空気流量および前記流量割合生成手段によって生成される流量割合に基づいて、前記燃料噴射装置の燃料噴射量を決定する燃料噴射量決定手段とを含む、エンジン制御装置。
  2. 前記全開吸入空気流量生成手段が、前記スロットル弁を全開にしたときの吸入空気流量を表す全開吸入空気流量を格納した全開吸入空気流量マップを記憶した第1記憶手段を含み、
    前記全開吸入空気流量マップには、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度を変化させて求められた全開吸入空気流量が、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度に対応付けて格納されており、
    前記燃料噴射量決定手段が、前記サージタンク圧力センサおよび前記エンジン回転速度センサの出力に応じて前記全開吸入空気流量マップから対応する全開吸入空気流量を読み出し、前記読み出された全開吸入空気流量および前記流量割合生成手段によって生成される流量割合を用いて燃料噴射量を決定するように構成されている、請求項1記載のエンジン制御装置。
  3. 前記流量割合生成手段が、前記スロットル弁の任意開度での吸入空気流量と全開吸入空気流量との比である流量割合を格納した流量割合マップを記憶した第2記憶手段を含み、
    前記流量割合マップには、スロットル開度およびエンジン回転速度を変化させて求められた流量割合が、スロットル開度およびエンジン回転速度に対応付けて格納されており、
    前記燃料噴射量決定手段が、前記スロットル開度センサおよび前記エンジン回転速度センサの出力に応じて前記流量割合マップから対応する流量割合を読み出し、前記読み出された流量割合および前記全開吸入空気流量生成手段によって生成される全開吸入空気流量を用いて燃料噴射量を決定するように構成されている、請求項1記載のエンジン制御装置。
  4. 前記全開吸入空気流量生成手段が、前記スロットル弁を全開にしたときの吸入空気流量を表す全開吸入空気流量を格納した全開吸入空気流量マップを記憶した第1記憶手段を含み、
    前記全開吸入空気流量マップには、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度を変化させて求められた全開吸入空気流量が、サージタンク内圧力およびエンジン回転速度に対応付けて格納されており、
    前記流量割合生成手段が、前記スロットル弁の任意開度での吸入空気流量と全開吸入空気流量との比である流量割合を格納した流量割合マップを記憶した第2記憶手段を含み、
    前記流量割合マップには、スロットル開度およびエンジン回転速度を変化させて求められた流量割合が、スロットル開度およびエンジン回転速度に対応付けて格納されており、
    前記燃料噴射量決定手段が、前記サージタンク圧力センサおよび前記エンジン回転速度センサの出力に応じて前記全開吸入空気流量マップから対応する全開吸入空気流量を読み出し、前記スロットル開度センサおよび前記エンジン回転速度センサの出力に応じて前記流量割合マップから対応する流量割合を読み出し、前記読み出された全開吸入空気流量および流量割合を用いて燃料噴射量を決定するように構成されている、請求項1記載のエンジン制御装置。
  5. 前記燃料噴射量決定手段が、前記全開吸入空気流量生成手段によって生成される全開吸入空気流量と、前記流量割合生成手段によって形成される流量割合との積により、前記スロットル開度センサによって検出されたスロットル開度に対応する吸入空気流量を演算し、当該演算された吸入空気流量に応じて燃料噴射量を決定するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
  6. 車体と、
    前記車体に搭載されたエンジンと、
    前記エンジンを制御する請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンジン制御装置とを含む、車両。
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