JP5011172B2 - 多気筒エンジンの燃料噴射制御機構、及びそれを備える乗り物 - Google Patents

多気筒エンジンの燃料噴射制御機構、及びそれを備える乗り物 Download PDF

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Description

本発明は各燃焼室及びそれに連なる吸気流路の下流側及び上流側にそれぞれ設けられる下流側燃料噴射手段及び上流側燃料噴射手段の燃料噴射を制御する多気筒エンジンの燃料噴射制御機構、それを備える車両及び燃料噴射制御方法に関する。「燃料噴射量の配分を制御する」ことは、下流側燃料噴射手段及び上流側燃料噴射手段の燃料噴射量の配分を直接的に制御するだけでなく、下流側燃料噴射手段及び上流側燃料噴射手段の燃料噴射する時間を制御することにより間接的に前記燃料噴射量の配分を制御することも含む。
外部の空気を燃焼室へと導く吸気流路において、その上流側と下流側にインジェクタがそれぞれ配置された多気筒エンジンが実用に供されている。この多気筒エンジンでは、吸気流路に2つのスロットルバルブが設けられており、この2つのスロットルバルブのうち下流側に配置されたスロットルバルブを挟むようにして2つのインジェクタが上流側及び下流側にそれぞれ配置されている。このように配置された2つのインジェクタにおいて、下流側のインジェクタは、燃焼室側に指向するように配置され、上流側のインジェクタは、上流側のスロットルバルブに指向するように配置されている。このようにして配置されているため、下流側のインジェクタから燃料を噴射すると、燃焼室に到達する時間が短くエンジン出力の過渡応答性が良好となり、上流側のインジェクタから燃料を噴射すると、前記燃料が上流側のスロットルバルブに衝突し霧化することにより混合気濃度の偏りが低減し、エンジン出力の向上と排気の浄化を実現することができる。
これら2つのインジェクタの燃料噴射量の配分は、エンジン回転数に応じて変えられ、エンジン回転数が低い場合、下流側のインジェクタだけで燃料を噴射させ、エンジン回転数が高くなるに従い上流側のインジェクタにおける燃料噴射量の割合が増加するように制御されている。これにより低回転時において、エンジン出力の過渡応答性が良好になり、高回転時において、混合気濃度の偏りが低減し、エンジン出力の向上と排気の浄化を実現することができる。(例えば特許文献1参照)
特開2004−100458号公報
しかし前述のように各吸気流路に2つのインジェクタが設けられた場合において、前記2つのインジェクタの燃料噴射量の配分を、吸気流路毎にどのように変えるかについて、特許文献1には何ら開示されていない。切替方法としては、2つのインジェクタの燃料噴射量の配分を全ての吸気流路に対し同時に変える方法が考えられるが、この方法では、各燃焼室における出力の過渡応答が同時に発生する。前記多気筒エンジンでは、全ての燃焼室の出力が重畳されたものがエンジンの出力として現れる。そのため各燃焼室における出力の過渡応答が抑制されているとは言え、僅かな過渡応答が重畳されていくと、エンジン出力に大きな過渡応答、つまりエンジン出力に急激な変動として現れてしまう。このようにエンジン出力に急激な変動が運転者に不快感を与えることがある。
本発明の目的は、各燃焼室に対し複数の燃料噴射手段が配置され、前記複数の燃料噴射手段の燃料噴射量が相互に対応付けて制御する多気筒エンジンの燃料噴射制御機構において、前記燃料噴射手段の燃料噴射量の配分を変えてもエンジン出力に急激な変動を生じることがなく、運転者が快適に操作できる燃料噴射制御機構を提供することである。
本発明の多気筒エンジンの燃料噴射制御機構は、各燃焼室及びそれに連なる吸気流路の下流側及び上流側にそれぞれ設けられる下流側燃料噴射手段と上流側燃料噴射手段とを有する複数の燃料噴射手段群と、前記各燃料噴射手段群の下流側燃料噴射手段及び前記各上流側燃料噴射手段の燃料噴射量配分を変える燃料噴射制御装置とを備え、前記燃料噴射制御装置は、少なくとも1つの前記燃料噴射手段群の前記配分の変化の態様が他の前記燃料噴射手段群の配分の変化の態様と異なるように、各燃料噴射手段群の前記配分を変えるように構成されるものである。
本発明に従えば、燃料噴射量の配分を変える際、全ての燃料噴射手段群の前記配分が同じ態様で変化することがない。これによって全ての燃焼室における空燃比の変動が同じ態様で変化することがなく、少なくとも1つの燃焼室の出力変動が他の燃焼室の出力変動と異なるようにすることができる。全燃焼室の出力を重畳したものがエンジン出力となる。そのため出力変動を異ならせることが可能になることにより、何れかの燃焼室で急激な出力変動を生じても、他の燃焼室の出力変動が安定するように設定することにより緩衝される。これによりエンジン出力の変動は滑らかなものとなる。従って操作者は、エンジン出力の急激な変動を感ずることなく快適に操作を行うことができる。
上記発明において、前記燃料噴射制御装置は、前記少なくとも1つの燃料噴射手段群の燃料噴射量の配分を変更するタイミングと、前記他の燃料噴射手段群の燃料噴射量の配分を変更するタイミングとを変えることで、前記変化の態様を異ならせるように構成されることが好ましい。
この構成に従えば、複数の燃焼室のうち少なくとも1つの燃焼室において、急激な出力変動が生じるタイミングを他の燃焼室と異ならせることができる。これによって燃料噴射量の配分が変えられて出力が急激に変動している燃焼室と、燃料噴射量の配分が変えられず出力が変動しない燃焼室とを共存させることができる。そのため両者の出力が重畳したエンジン出力の変動は、滑らかなものとなり、操作者は出力の急激な変動を感ずることなく快適に操作を行うことができる。
上記発明において、前記複数の燃料噴射手段群の燃料噴射量の配分を変更するタイミングの各々が、互いに違うことが好ましい。この構成に従えば、配分を変えるタイミングが、全ての燃焼室において異なる。これにより急激な出力変動を生じる燃焼室に対する出力変動が安定した燃焼室の数が増え、エンジン出力の変動がより滑らかなものとなる。
上記発明において、前記タイミングは、エンジン回転数及びスロットルバルブの開度に応じて規定されていることが好ましい。エンジン回転数及びスロットルバルブの開度とエンジン出力の急激な変動の発生とは関連性を有している。そのため前述の構成に従えば、その関連性を考慮しながら変更開始条件を設定することができるので、エンジン出力の急激な変動が発生しないような変更開始条件に設定することが容易である。
上記発明において、前記燃料噴射制御装置は、前記少なくとも1つの燃料噴射手段群の燃料噴射量の配分の変化の勾配と、前記他の燃料噴射手段群の燃料噴射量の配分の変化の勾配とを変えることで、前記変化の態様を異ならせるように構成されることが好ましい。
この構成に従えば、複数の燃料噴射手段群のうち少なくとも1つの燃料噴射手段群の配分の変化の勾配が異なる。これにより燃料噴射量の配分の変化の勾配が急なため急激な出力変動を生じる燃焼室と、燃料噴射量の配分の変化の勾配が緩やかなため出力変動が安定している燃焼室とを共存させることができる。そのため両者の出力を重畳させることで、エンジン出力の変動は滑らかなものとなり、操作者は出力の急激な変動を感ずることなく快適に操作を行うことができる。
上記発明において、前記勾配は、エンジン回転数及びスロットル開度に応じて規定されていることが好ましい。エンジン回転数及びスロットルバルブの開度とエンジン出力の急激な変動の発生とは関連性を有している。そのため前述の構成に従えば、その関連性を考慮しながら勾配を設定することができるので、エンジン出力の急激な変動が発生しないような勾配に設定することができる。
本発明の乗り物は、複数の燃焼室と前記複数の燃焼室の各々に連なる吸気流路とを有する多気筒エンジンを備える車両であって、上記発明の多気筒エンジンの燃料噴射制御機構を備えるものである。この構成に従えば、運転者が快適に操作可能な乗り物を実現することができる。
本発明の多気筒エンジンの燃料噴射制御装置は、前記多気筒エンジンの複数の燃料噴射手段群の各々に備わる、各燃焼室及びそれに連なる吸気流路の下流側及び上流側にそれぞれ設けられる下流側及び上流側燃料噴射手段の燃料噴射量の配分を変え、少なくとも1つの前記燃料噴射手段群の前記配分の変化の態様が他の前記燃料噴射手段群の前記配分の変化の態様と異なるように、各燃料噴射手段群の前記配分を変えるように構成されるものである。
この構成に従えば、全ての燃料噴射手段群の前記配分が同じ態様で変化することがない。これによって全ての燃焼室における空燃比の変動もまた同じ態様で変化することがなく、少なくとも1つの燃焼室の出力変動が他の燃焼室の出力変動と異なるようにすることができる。全燃焼室の出力を重畳したものがエンジン出力となる。そのため出力変動を異ならせることが可能になることにより、何れかの燃焼室で急激な出力変動を生じても、出力変動がない他の燃焼室の出力により急激な変動を生じる出力が緩衝される。これによりエンジン出力の変動は滑らかなものとなる。従って操作者は、エンジン出力の急激な変動を感ずることなく快適に操作を行うことができる。
本発明の多気筒エンジンの燃料噴射制御方法は、複数の燃料噴射手段群の各々に含まれ、各燃焼室及びそれに連なる吸気流路の下流側及び上流側にそれぞれ設けられる下流側及び上流側燃料噴射手段の燃料噴射量の配分を変える燃料噴射制御工程を有し、少なくとも1つの前記燃料噴射手段群の前記配分を、その変化の態様が他の前記燃料噴射手段群の前記配分の変化の態様と異なるように変える方法である。
この構成に従えば、全ての燃料噴射手段群の前記配分が同じ態様で変化することがない。これによって全ての燃焼室における空燃比の変動もまた同じ態様で変化することがなく、少なくとも1つの燃焼室の出力変動が他の燃焼室の出力変動と異なるようにすることができる。全燃焼室の出力を重畳したものがエンジン出力となる。そのため出力変動を異ならせることが可能なことにより、何れかの燃焼室で急激な出力変動を生じても、出力変動がない他の燃焼室の出力により急激な変動を生じる出力が緩衝される。これによりエンジン出力の変動は滑らかなものとなる。従って操作者は、エンジン出力の急激な変動を感ずることなく快適に操作を行うことができる。
上記発明において、前記変化の態様の違いとしては、前記配分を変えるタイミングがあり、複数の燃料噴射手段群は、前記タイミングが規定される複数の変更開始条件のうちいずれかの変更開始条件に対応付けられ、前記燃料噴射制御工程は、前記複数の変更開始条件を充足するか否かを判断する判断工程と、前記判断工程にて変更開始条件を充足すると判断した勾配に対応付けられる燃料噴射手段群の前記配分を変える配分変更工程とを有し、前記複数の燃料噴射手段群のうち少なくとも1つの燃料噴射手段群が他の前記燃料噴射手段群の前記変更開始条件と異なる前記変更開始条件に対応付けられることが好ましい。
本発明に従えば、複数の燃焼室のうち少なくとも1つの燃焼室において、急激な出力変動が生じるタイミングを他の燃焼室と異ならせることができる。これによって燃料噴射量の配分が変えられて出力が急激に変動している燃焼室と、燃料噴射量の配分が変えられず出力が変動しない燃焼室とを共存させることができる。そのため両者の出力が重畳したエンジン出力の変動は、滑らかなものとなり、操作者は出力の急激な変動を感ずることなく快適に操作を行うことができる。
本発明によれば、エンジン出力に急激な変動を生じることがなく、運転者が快適に操作できる。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料噴射制御機構20を備える自動二輪車1を示す側面図である。図1に示す自動二輪車1は、運転者が上体を前傾させて搭乗するロードスポーツタイプのものを示している。以下の説明で用いる方向の概念は、図1に示す自動二輪車1に搭乗したライダー(図示せず)が、自動二輪車1の進行方向を前方Fとして見たときの方向の概念と一致するものとする。具体的には、図1の紙面左方が前方Fであり、紙面右方が後方であり、紙面奥行き方向が左右方向である。以下に、自動二輪車1についてさらに詳細に説明する。
自動二輪車1は、前輪2及び後輪3を備えている。前輪2は、略上下方向に延びるフロントフォーク5の下端部にて回転自在に支持されている。フロントフォーク5は、その上端部に設けられているアッパーブラケット(図示せず)とアッパーブラケットの下方に設けられているアンダーブラケット(図示せず)を介してステアリングシャフト(図示せず)に支持されている。ステアリングシャフトは、ヘッドパイプ6によって回動自在に支持されている。アッパーブラケットには、左右へ延びるバー型のステアリングハンドル4が取り付けられている。運転者は、ステアリングシャフトを回動軸として、このステアリングハンドル4を時計回り又は反時計回りに回動することによって、前輪2を所望の方向へ転向させることができる。またステアリングハンドル4の右端部には、スロットルグリップ(図示せず)が回動可能に設けられている。このスロットルグリップは、後述する下流側に設けられたスロットルバルブ22A(図2参照)にワイヤを介して連結されている。
ヘッドパイプ6からは、左右一対のメインフレーム7が若干下方に傾斜しながら後方へ延びており、これら一対のメインフレーム7の後部に左右一対のピボットフレーム8が接続されている。このピボットフレーム8には、略前後方向に延びるスイングアーム9の前端部が枢着されている。スイングアーム9の後端部には、駆動輪である後輪3が回転自在に支持されている。ステアリングハンドル4の後方には、燃料を貯留する燃料タンク10がメインフレーム7に支持されて設けられている。この燃料タンク10の後方には、運転者騎乗用のシート11がメインフレーム7やリヤフレーム17等に支持されて設けられている。
前輪2と後輪3との間には、並列四気筒のエンジン12がメインフレーム7及びピボットフレーム8等に支持されている。エンジン12の燃焼室35(図2)の各々には、排気ポート41及び吸気ポート40が形成されている。排気ポート41には、排気管44(図2)を介してマフラー(図示せず)が接続されており、吸気ポート40には、メインフレーム7の内側に配設されている四連のスロットル装置13が接続されている。
このスロットル装置13は、エンジン12の吸気ポート40の各々に連なる吸気管42(図2)と、これら吸気管42内の吸気流路45(図2)に設けられて前記吸気流路45を開閉する2つのスロットルバルブ22(図2)とを備えている。2つのスロットルバルブ22は、上流側及び下流側に離して吸気流路45にそれぞれ設けられている。スロットル装置13の吸気管42の上流側には、燃料タンク10の下方に配設されているエアクリーナボックス43が接続され、前方からの走行風圧(ラム圧)を利用して外気を取り込む構成となっている。
エンジン12はその出力軸であるクランクシャフト32(図2)を有し、クランクシャフト32は変速機(図示せず)及びチェーン19等を介して後輪3に接続されている。エンジン12は、並列四気筒エンジンに限られず、V型4気筒エンジンであってもよく、並列6気筒エンジンであってもよく、多気筒エンジンであればよい。自動二輪車1には、このエンジン12を含む車体前部から車体両側にわたる部分を覆うようにカウリング16が設けられている。そして自動二輪車1の各構成は、燃料噴射手段であるECU23(図2)によって電子制御されている。
図2は、エンジン12の構成の概略を示すブロック図である。図2を参照しつつ、エンジン12の構成について更に詳細に説明する。なお図2では、ECU23に接続される信号線を1点鎖線にて示している。エンジン12は、4つのシリンダ34が形成されたシリンダブロック30を有し、各シリンダ34内にピストン31が往復運動可能に挿入されている。シリンダブロック30の下端には内方にクランク室36が形成されたクランクケース38が設けられており、このクランク室36にはクランクシャフト32が回転可能に収納されている。
クランクシャフト32は、コンロッド37を介して全てのピストン31に連結されており、ピストン31が往復運動することによってクランクシャフト32が回転するように構成されている。クランクシャフト32の一端部は、変速機(図示せず)に連結されており、他端部には、エンジン回転数を検出するべくクランク角センサ39(エンジン回転数検出手段)が設けられている。クランク角センサ39は、ECU23に電気的に接続されている。また変速機には、連結しているギアのポジション、つまりギアポジションを検出すべくギアポジションセンサ56が設けられている。ギアポジションセンサ56は、ECU23に電気的に接続されている。
シリンダブロック30の上端には、シリンダ34の開口を閉塞するようにシリンダヘッド29が設けられ、このシリンダヘッド29には燃焼室35が形成される。またこの燃焼室35に先端が表出するように、シリンダヘッド29には点火プラグ33が装着される。さらにこの点火プラグ33は、ECU23や図示しない電源(バッテリ)に電気的に接続され、その先端から火花を発生して燃焼室35の燃料や空気から成る混合気を燃焼させるように構成されている。点火プラグ33の点火時期はECU23によって制御されている。
さらにシリンダヘッド29には、前述した吸気ポート40と排気ポート41とが燃焼室35に開口するように形成されている。前述した通り、吸気ポート40は、吸気管42を介してエアクリーナボックス43に接続され、排気ポート41は、排気管44を介してマフラー(図示せず)に接続されている。吸気ポート40及び排気ポート41には、各々のポート40,41を開閉するべく吸気バルブ46及び排気バルブ47がそれぞれ配置されている。吸気バルブ46及び排気バルブ47は、クランクシャフト32に連動して各々のポート40,41を開閉するように構成されている。
吸気ポート40に連なる吸気管42内の吸気流路45には、上述の通り上流側及び下流側に隔てて2つのスロットルバルブ22が配置されている。以下では、何れか一方のスロットルバルブ22を説明する場合、下流側のものを下流側スロットルバルブ22Aといい、上流側のものを上流側スロットルバルブ22Bという。上流側スロットルバルブ22Bは、ECU23に接続されたモータにより開閉される。ECU23は、エンジン12の運転状態に応じて上流側スロットルバルブ22Bを開閉して、吸気流路45の開度を調整する。また下流側スロットルバルブ22Aは、前述した通りスロットルグリップ(図示しない)にワイヤ(図示せず)を介して連結され、前記スロットルグリップに連動して吸気流路45の開度を調整するように構成されている。
これら2つのスロットルバルブ22A,22Bにより、前述した通りスロットル装置13を構成している。このスロットル装置13は、スロットルグリップに連動して、吸気流路45の開度を制御するものである。本実施の形態ではスロットル装置13を機械式のスロットル装置で構成しているが、スロットルグリップの開度を検出するグリップポジションセンサを設けて、このグリップポジションセンサの検出結果に基づいて、ECU23が下流側スロットルバルブ22Aを開閉して吸気流路45の開度を制御する電子制御スロットル装置であってもよい。また各スロットルバルブ22には、その開度を検出するためのスロットルポジションセンサ54(バルブ角センサ,スロットル開度検出手段)が設けられている。
また各々の吸気管42には、吸気流路45に燃料を噴射する燃料噴射手段である2つのインジェクタ48が設けられており、これら2つのインジェクタ48によってインジェクタ群55を構成する。2つのインジェクタ48のうち一方は、燃焼室35に指向させて下流側スロットルバルブ22Aよりさらに下流側に配置され、他方は、燃焼室35に指向させて上流側スロットルバルブ22Bよりさらに上流側に配置されている。以下では、2つのインジェクタ48のうち何れか一方のインジェクタ48を説明する場合、下流側に配置されるインジェクタ48を下流側インジェクタ48Aといい、上流側に配置されるインジェクタ48を上流側インジェクタ48Bという。
これら2つのインジェクタ48は、燃料パイプ50を介して燃料供給ポンプ51(フューエルポンプ)に接続されている。燃料供給ポンプ51は、燃料タンク10に接続されており、燃料タンク10に貯留されている燃料を燃料供給ポンプ51を介して各インジェクタ48に供給するためのポンプである。つまり2つのインジェクタ48は、燃料供給ポンプ51から供給された燃料を吸気流路45に噴射するように構成されている。そしてこの燃料噴射のタイミングおよび燃料の噴射量(又は噴射時間)は、2つのインジェクタに電気的に接続されるECU23によって制御されている。
なお下流側インジェクタ48Aは、上流側インジェクタ48Bに比べて、燃料噴射量の分解能が高いが一度に燃料噴射できる量が少ない。また上流側インジェクタ48Bは、その配置位置について図2に詳細に描かれていないが、燃料を噴射する方向と吸気管42が延びる方向とが略平行になるように配置されている。これによって上流側インジェクタ48Bで噴射したとき、より多くの燃料を燃焼室に噴き込むことができる。さらに吸気管42には、その吸気圧力を検出すべく、吸気圧センサ57が設けられている。この吸気圧センサ57もまた、他のセンサと同様にECU23に電気的に接続されている。
自動二輪車1の各構成を制御するECU23は、演算処理装置であるCPU52と、CPU52が実行すべきプログラム等を記憶するメモリ53とを備えている。メモリ53は、前述の通りプログラムと共に、各種センサ39,54,56,57で検出された検出結果を記憶するように構成され、またCPU52は、メモリ53に記憶されたプログラムを実行して、前記検出結果に基づいて自動二輪車1の各構成を制御するように構成されている。
このような構成を有するエンジン12は、2つのスロットルバルブ22が開いた状態において、エアクリーナボックス43を介して外部から各吸気流路45に空気を取り込み、この空気を各燃焼室35へと導いている。空気が燃焼室35に導かれる途中で少なくとも一方のインジェクタ48から吸気流路45に燃料が噴射され、前記空気と燃料とが混合されて混合気が生成される。この混合気は、吸気バルブ46が開くことで、燃焼室35に導かれる。その後、吸気バルブ46により吸気ポート40が閉じられて、ECU23により点火プラグ33が点火され、燃焼室35内の混合気が爆発(燃焼)する。このときの爆発力(各々の燃焼室35の出力に相当)によりピストン31が下方に押圧される。
爆発(燃焼)後、排気ポート41が開けられると共に下方まで押し下げられたピストン31がクランクシャフト32の慣性力により押し上げられて、燃焼室35の排気ガスを排気ポート41に排気する。そして排気ポート41が排気バルブ47により閉じられると共に吸気ポート40が開くと、再び混合気が燃焼室35に導かれる。このような往復運動が複数のピストン31において行われることで、これらピストン31に連結するクランクシャフト32が回転する。
燃料噴射制御機構20は、基本的に、ECU23と、燃焼室35毎に設けられた4つのインジェクタ群55と、クランク角センサ39と、バルブ角センサ54とを有する。ECU23は、クランク角センサ39と、バルブ角センサ54からエンジン回転数及びスロットル開度を取得しつつ、同一のインジェクタ群55における2つのインジェクタ48を相互に関連付けて制御すると共に、これらのインジェクタ48を他のインジェクタ群55における2つのインジェクタ48と独立して制御するように構成されている。
図3は、ECU23による変更制御のフローを示すフローチャートである。図4は、スロットル開度及びエンジン回転数の時間変化と、各インジェクタ群55における2つのインジェクタ48の燃料噴射量の相対的な割合の時間変化を示すグラフである。図5は、各インジェクタ群55の上流側インジェクタ48Bの燃料噴射量の割合とエンジン回転数との関係を示すグラフである。以下では、ECU23の制御について、図3及び図4を参照しつつ説明する。
ECU23は、エンジン回転数及びスロットル開度等により、各インジェクタ群55により噴射すべき燃料の噴射量(以下、「規定燃料噴射量」)を常時演算している。またECU23は、エンジン回転数及びスロットル開度等に応じて各インジェクタ群55における2つのインジェクタ48に前記規定燃料噴射量をどのような配分で噴射させるかが規定された変更前燃料噴射条件を予め記憶しており、その記憶する変更前燃料噴射条件に基づいて前記2つのインジェクタ48の燃料噴射量の配分を制御している。前記変更前燃料噴射条件は、図4の時刻t1までに示されているように、例えば下流側インジェクタ48Aが噴射する割合が規定燃料噴射量の100%であり、上流側インジェクタ48Bが噴射する割合が規定燃料噴射量の0%である。ただし変更前燃料噴射条件に含まれる割合は、上述した割合に限定するものではなく、上流側インジェクタ48Bが少量噴射するようにしてもよい。
ECU23は、このような状態を所定の条件を充足するまで維持する。そしてECU23は、前記所定の条件を充足すると、各インジェクタ群55の2つのインジェクタ48の燃料噴射量の配分を変える。このときにおける2つのインジェクタ48の燃料噴射量の配分の変化の態様は、インジェクタ群55毎に異なる。その変化の態様の違いとしては、配分を変更するタイミングの違い、及び配分の増減の勾配の違いがある。本実施の形態では、ECU23に記憶されている複数の変更開始条件のうち何れかの変更開始条件を充足するまで前記燃料噴射量の配分を一定に保持する制御が行われる。
複数の変更開始条件は、各インジェクタ群55における2つのインジェクタ48の燃料噴射量の配分を変えるタイミングを規定するものであり、そのタイミングが相互に異なっている。また各インジェクタ群55は、それら複数の変更開始条件のうちの何れかの変更開始条件に対応付けられている。本実施の形態では、4つの変更開始条件があり、各インジェクタ群55が各々一対一で対応付けられている。つまり各インジェクタ群55毎に変更開始条件が決められている。また本実施の形態において、変更開始条件には、エンジン回転数に関するものとスロットル開度に関するものが含まれる。つまり前記タイミングは、エンジン回転数及びスロットル開度に応じて規定されている。
更に詳細に説明すると、第3インジェクタ群55及び第4インジェクタ群55の変更開始条件は、エンジン回転数がE1(rpm)以上、スロットル開度がθ1(rad)以上であり、また第1インジェクタ群55の変更開始条件は、エンジン回転数がE2(rpm)以上、スロットル開度がθ1(rad)以上であり、第2インジェクタ群55の変更開始条件は、エンジン回転数がE3(rpm)以上、スロットル開度がθ1(rad)以上である。ここでエンジン回転数E1,E2,E3の関係は、E1<E2<E3である。
なお4つの燃焼室35は、前方から見て右から順に第1、第2、第3及び第4燃焼室35A,35B,35C,35Dといい、第1乃至第4インジェクタ群55は、第1乃至第4燃焼室35に対応付けてそれぞれ設けられたものである。ただし第1乃至第4インジェクタ群55が前方から見て右から順に配置されるものに限定しない。
ECU23は、このような変更開始条件に基づいて、前記2つのインジェクタ48の燃料噴射量の配分をインジェクタ群55毎に独立して変える。つまりECU23は、エンジンの始動後、規定燃料噴射量の演算と共に、前記クランク角センサ39及びバルブ角センサ54の検出結果に基づいてエンジン回転数及びスロットル開度を演算し、第1乃至第4インジェクタ群55の変更開始条件が充足していないかを判断する(ステップS1)。図4に示すようにエンジン回転数がE1(rpm)を越え、スロットル開度がθ1(rad)を越えると(図4の時刻t1参照)、ECU23は、第3及び第4インジェクタ群55の変更開始条件を充足していると判断し、第3及び第4インジェクタ群55の燃料噴射量の配分を変える(ステップS2)。このときECU23は、予め定められて記憶された変更条件に基づいて、第3及び第4インジェクタ群55における2つのインジェクタ48の燃料噴射量の割合を変化させる。
変更条件とは、2つのインジェクタ48の各々の燃料噴射量の割合をどのように変更させるかを示すものである。本実施形態では、インジェクタ群55毎に定められているけれども、例えば2つの変更条件を記憶しておき、4つのインジェクタ群55をどちらかの変更条件に対応付けるようにしておいてもよい。例えば、第1乃至第3インジェクタ群55を1つの変更条件に対応付け、第4インジェクタ群55をもう1つの変更条件に対応付ける。
また本実施の形態において変更条件では、前記2つのインジェクタ48の燃料噴射量の配分がスロットル開度及びエンジン回転数に応じて規定されている。具体的には、変更条件は、スロットル開度θ及びエンジン回転数Eのとき、2つのインジェクタ48の燃料噴射量の割合がx%と(1−x)%というように規定されている。なお変更条件が異なるとは、スロットル開度及びエンジン回転数と2つのインジェクタ48の燃料噴射量の配分との対応関係が異なることを意味している。具体的には、スロットル開度とエンジン回転数とからインジェクタ48の燃料噴射量の配分を一義的に決めるマップが異なることを意味している。変更条件が異なることで、各インジェクタ群55の配分の増減の勾配が変わる。
スロットル開度をθ1以上で一定に保持した時のエンジン回転数Eと各インジェクタ群55における下流側インジェクタ48Aの燃料噴射量の割合との関係を図5に示す。図5に示すとおり第1乃至第4インジェクタ群55の変更条件は互いに異なっている。更に詳細に説明すると第1乃至第3インジェクタ群55の変更条件に対し第4インジェクタ群55の変更条件が特に大きく異なっている。第4インジェクタ群55は、第1乃至第3インジェクタ群55に比べて配分の変更が行われるエンジン回転数Eの範囲が広範囲である(図4も参照)。また細かい点について説明すると、第3インジェクタ群55の燃料噴射量の配分の変化が時間に対して曲線的であるのに対し、第1、第2及び第4インジェクタ群55の燃料噴射量の配分の変化が時間に対して直線的である。ただし各インジェクタ群55の燃料噴射量の配分は、前述した通り、スロットル開度とエンジン回転数とで決まるものであり、スロットル開度及びエンジン回転数の上昇の度合いが変われば、時間に対する配分の増減の勾配は異なる。
ECU23は、第3インジェクタ群55の変更条件に応じて第3インジェクタ群55の燃料噴射量の配分を変え、第4インジェクタ群55の変更条件に応じて第4インジェクタ群55の燃料噴射量の配分を変化させる。やがて第3及び第4インジェクタ群55における2つのインジェクタ48の燃料噴射量の配分が予め定められた配分(変更後燃料噴射条件)になったとECU23が判断すると(ステップS3)、ECU23はその変更制御を停止して前記2つのインジェクタ48の各々の燃料噴射量の割合を変更後燃料噴射条件で維持し続ける(ステップS4)。前記変更後燃料噴射条件は、図4に示されているように、例えば下流側インジェクタ48Aが噴射する割合が規定燃料噴射量の95%であり、上流側インジェクタ48Bが噴射する割合が規定燃料噴射量の5%である。ただし変更後燃料噴射条件は、上述した割合に限定するものではない。
ECU23は、第3及び第4インジェクタ群55に関して前記ステップS1乃至ステップS4の変更制御を行っている間も、第1及び第2インジェクタ群55の変更開始条件を充足していないかを判断し続けている(ステップS1)。そして図4に示すようにエンジン回転数がE2(rpm)を越え、スロットル開度がθ1(rad)を越えると(図4の時刻t2参照)、ECU23は、第1インジェクタ群55の変更開始条件を充足していると判断し、第3及び第4インジェクタ群55と同様に、第1インジェクタ群55の燃料噴射量の配分を第1インジェクタ群55の変更条件に応じて変える(ステップS2)。そしてECU23は、前記2つのインジェクタ48の各々が変更後燃料噴射条件を充足すると、その変更制御を停止し(ステップS3)、その割合を維持し続ける(ステップS4)。
これらの変更制御は、エンジン回転数がE3(rpm)を越え、スロットル開度がθ1(rad)を越えたとき(図4の時刻t3参照)にも、第2インジェクタ群55において行われる。これにより第1乃至第4インジェクタ群55の全てにおいて、それらの燃料噴射量の配分が変更される(例えば図4の時刻t4参照)。つまりECU23は、第1乃至第4インジェクタ群55に対し互いに独立して(並行して)上述のような変更制御を行っている。
図6は、第1乃至第4燃焼室35の平均空燃比の時間変化とエンジン12の出力トルクの時間変化を示すグラフであり、図6(a)が平均空燃比、図6(b)が平均トルクである。図6(a)及び(b)には、本実施の形態の変更制御により得られた結果が破線で示され、後述する各インジェクタ群55の変更制御を同期させたときに得られた結果が実線で示されている。さらに図6(a)には、目標空燃比(車両により異なるが約12.3)が1点鎖線で示されている。
前述したとおり各インジェクタ群55の変更制御は、同期させることなく独立して行われており、各インジェクタ群55の変更制御の開始のタイミング及び燃料噴射量の配分の増減の勾配(変更条件)は、他のインジェクタ群55のものと異なっている。そのため各インジェクタ群55の燃料噴射量の配分を変える際、全てのインジェクタ群55における燃料噴射量の配分が同じ態様で変化しない。これによって全ての燃焼室35における空燃比の変動もまた同じ態様で変化することがなく、一部の燃焼室35(例えば第3燃焼室35C)の出力変動が他の燃焼室(例えば第1,2及び4燃焼室35A,B,D)の出力変動と異なるようにすることができる。全燃焼室35の出力が重畳されたものがエンジン12の出力(トルク)となる。そのため出力変動を異ならせることにより、前記一部の燃焼室35の出力に急激な変動が生じても、出力変動が安定した残余の燃焼室35の出力より前記一部の燃焼室35の出力が緩衝される。これにより前記エンジン12の出力の変動は滑らかなものとなる。特に変更開始条件及び変更条件が異なっているインジェクタ群55の数が多ければ多いほど、急激な出力変動を生じている燃焼室35に対する出力変動が安定している燃焼室35の数が多くなり、エンジン12の出力変動がより滑らかになる。以下では、エンジン12の出力変動が滑らかになったことを、各インジェクタ群55の変更制御を同期させた場合のものと比較して説明する。
図7は、各インジェクタ群55の変更制御を同期させた場合のスロットル開度及びエンジン回転数の時間変化と、4つのインジェクタ群55における2つのインジェクタ48の噴射量の相対的な割合を示すグラフである。まず図7に示すような各インジェクタ群55の変更制御を同期させた場合について説明する。ECU23は、エンジン回転数がE4(rpm)を越え、スロットル開度がθ1(rad)を超えていると判断すると(図7の時刻t5参照)、第1乃至第4インジェクタ群55における2つのインジェクタ48の各々の燃料噴射量の割合を予め定められた共通の変更条件で変える。このとき第1乃至第4インジェクタ群55の変更制御は、同期するように制御されている。
このような各インジェクタ群55の変更制御を同期させた場合、図6(a)に示すように変更制御後に空燃比が大きくかつ急激に変動する。その結果、図6(b)に示すようにエンジン12の出力(トルク)も大きくかつ急激に変動している。この大きくかつ急激なトルク変動が運転者に不快感を与えることがある。それに対し本実施形態の場合、図6(a)に示すように、同期させた場合に比べて空燃比の変動が滑らかであり、目標空燃比の近傍で推移している。その結果、図6(b)に示すようにエンジン12の出力(トルク)も滑らかな変動となる。そのため運転者が急激なトルク変動を感ずることなく快適に運転することができる。
また「エンジン回転数及びスロットルバルブの開度」と「エンジン出力の急激な変動の発生」とは関連性を有している。そのため変更開始条件をエンジン回転数及びスロットルバルブの開度に応じて規定することで、前記関連性を考慮しながら変更開始条件を設定することができる。これによりエンジン出力の急激な変動が発生しないような変更開始条件に設定することが容易である。
また変更開始条件を規定することで、第1乃至第4燃焼室35A〜35Dにおいて急激な出力変動が生じるタイミングをそれぞれ異ならせることができる。これによって燃料噴射量の配分が変えられて出力が急激に変動している燃焼室35と、燃料噴射量の配分が変えられず出力が変動しない燃焼室35とを共存させることができる。そのため両者の出力が重畳したエンジン出力の変動は、滑らかなものとなり、操作者は出力の急激な変動を感ずることなく快適に操作を行うことができる。
また前記各インジェクタ群55の燃料噴射量の配分の増減の勾配を異ならせることで、少なくとも1つの燃焼室35における空燃比の変動を緩やかにすることができる。つまり前記燃焼室の出力変動を安定した状態にすることができる。これによって急激な出力変動の燃焼室35と出力が安定している燃焼室35とを共存させることができる。両者を重畳させることで、スロットルグリップの動作に対するエンジン出力の即応性を確保しつつ、エンジン出力の変動を滑らかにすることができる。
図8は、他の制御方法で各インジェクタ群55の変更制御を行った場合における、スロットル開度及びエンジン回転数の時間変化と、4つのインジェクタ群55における各インジェクタ48の燃料噴射量の割合を示すグラフである。以下では、前述した制御方法と別の制御方法で各インジェクタ群55の変更制御を行った場合について説明する。具体的には、第1乃至第4インジェクタ群55の各々の変更開始条件は同一であるが、第1乃至第4インジェクタ群55の変更条件が全て異なっている。
ECU23は、エンジン回転数がE5(rpm)を越え、スロットル開度がθ3(rad)を越えると(図8の時刻t6参照)、変更開始条件を充足したと判断し、第1乃至第4インジェクタ群55の変更制御を開始する。変更条件は、第1乃至第4インジェクタ群55毎に異なっており、スロットル開度及びエンジン回転数に応じて規定されている。具体的には、変更条件は、第1実施形態と同様に、スロットル開度θ及びエンジン回転数Eのとき、2つのインジェクタ48の燃料噴射量の割合がx%と(1−x)%というように規定されている。そのためECU23は、第1インジェクタ群55の変更制御をエンジン回転数E6で終了し(図8の時刻t7参照)、第2インジェクタ群55の変更制御をエンジン回転数E7で終了し(図8の時刻t8参照)、第3インジェクタ群55の変更制御をエンジン回転数E8で終了し(図8の時刻t9参照)、第4インジェクタ群55の変更制御をエンジン回転数E9で終了する(図8の時刻t10参照)。つまり、各インジェクタ群55の配分の増減の勾配が異なる。このような変更制御を行うことによっても、前述した制御方法と同様に、エンジン12の出力変動を滑らかにすることができる。なお変更制御中にエンジン回転数が減少した場合、ECU23は、そのエンジン回転数の減少に応じて、各インジェクタ群55の2つのインジェクタの燃料噴射量の配分の変更を行う。
変更条件は、上述したようなもの以外であってもよく、例えば変更制御の途中で燃料噴射量の割合の変動を止めるようにしてもよく、又は段階的に燃料噴射量の割合を変化させるようにしてもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。また変更条件は、2つのインジェクタ48の燃料噴射量の割合により規定しているが、単に燃料噴射量により規定してもよく、燃料噴射時間により規定してもよい。いずれにしても燃料噴射量の配分が変更されるべく制御されたものであればよい。
また変更開始条件は、エンジン回転数及びスロットル開度に関するものでなくともよく、スロットルバルブ22の開閉動作の加速度、吸気圧力及び吸気圧力の変化率、並びにギアのポジションに関するものであってもよい。スロットルバルブ22の開閉動作の加速度は、得られたスロットル開度を利用してECU23により演算することにより得られる。吸気圧力は、吸気圧センサ57から得られる。吸気圧力の変化率は、前記吸気圧力を利用してECU23により演算することにより得られる。ギアのポジションは、ギアポジションセンサ56から得られる。また本実施の形態では、インジェクタ群55に含まれるインジェクタは、2つであるが3つ以上であってもよい。更に具体的に説明すると、下流側及び上流側インジェクタ48A,48Bの何れか一方が2以上設けられて、インジェクタ群55に3つ以上のインジェクタ48が含まれてもよく、また下流側及び上流側インジェクタ48A,48Bの各々が2つ以上設けられて、インジェクタ群55に4つ以上のインジェクタ48が含まれてもよい。
以上のように、各燃焼室及びそれに連なる吸気流路の上流側及び下流側にそれぞれ燃料噴射手段が設けられ、これら燃料噴射手段の燃料噴射量が相互に対応付けて変えられるエンジンに適している。
本発明の実施形態に係る燃料噴射装置を備える自動二輪車を示す側面図である。 エンジンの構成の概略を示すブロック図である。 ECUによる変更制御のフローを示すフローチャートである。 スロットル開度及びエンジン回転数の時間変化と、各インジェクタ群における各インジェクタの燃料噴射量の相対的な割合の時間変化を示すグラフである。 各インジェクタ群の上流側インジェクタの燃料噴射量の割合とエンジン回転数との関係を示すグラフである。 第1乃至第4燃焼室の平均空燃比の時間変化とエンジンの出力トルクの時間変化を示すグラフである。 各インジェクタ群の変更制御を同期させた場合における、スロットル開度及びエンジン回転数の時間変化と、各インジェクタ群における各インジェクタの燃料噴射量の相対的な割合の時間変化を示すグラフである。 他の制御方法で各インジェクタ群の変更制御を行った場合における、スロットル開度及びエンジン回転数の時間変化と、各インジェクタ群における各インジェクタの燃料噴射量の相対的な割合の時間変化を示すグラフである。
符号の説明
1 自動二輪車
12 エンジン
20 燃料噴射制御機構
23 ECU
35 燃焼室
39 クランク角センサ
45 吸気流路
48 インジェクタ
54 バルブ角センサ
55 インジェクタ群

Claims (7)

  1. 多気筒エンジンの燃料噴射制御機構であって、
    各燃焼室及びそれに連なる吸気流路の下流側及び上流側にそれぞれ設けられ、同一種類の燃料を噴射する下流側燃料噴射手段と上流側燃料噴射手段とを有する複数の燃料噴射手段群と、
    前記各燃料噴射手段群の下流側燃料噴射手段及び上流側燃料噴射手段の燃料噴射量の配分を変える燃料噴射制御装置とを備え、
    前記燃料噴射制御装置は、少なくとも1つの前記燃料噴射手段群の前記配分の変化の態様が他の前記燃料噴射手段群の前記配分の変化の態様と異なるように、各燃料噴射手段群の前記配分を変えるように構成されることを特徴とする多気筒エンジンの燃料噴射制御機構。
  2. 前記燃料噴射制御装置は、前記多気筒エンジンの出力の急激な変動の発生に基づいて前記各燃料噴射手段群の前記配分の変化の態様を変えることを特徴とする請求項1に記載の多気筒エンジンの燃料噴射制御機構。
  3. 前記燃料噴射制御装置は、エンジン回転数及びスロットルバルブの開度に応じて前記各燃料噴射手段群の前記配分の変化の態様を変えることを特徴とする請求項1又は2に記載の多気筒エンジンの燃料噴射制御機構。
  4. 前記燃料噴射制御装置は、エンジン回転数及びスロットルバルブの開度に応じて前記燃料噴射手段群の燃料噴射量の配分を変えるように構成されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の多気筒エンジンの燃料噴射制御機構。
  5. 前記燃料噴射制御装置は、前記少なくとも1つの燃料噴射手段群の燃料噴射量の配分を変更するタイミングと、前記他の燃料噴射手段群の燃料噴射量の配分を変更するタイミングとを変えることで、前記変化の態様を異ならせるように構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の多気筒エンジンの燃料噴射制御機構。
  6. 前記燃料噴射制御装置は、前記少なくとも1つの燃料噴射手段群の燃料噴射量の配分の変化の勾配と、前記他の燃料噴射手段群の燃料噴射量の配分の変化の勾配とを変えることで、前記変化の態様を異ならせるように構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の多気筒エンジンの燃料噴射制御機構。
  7. 複数の燃焼室と前記複数の燃焼室の各々に連なる吸気流路とを有する多気筒エンジンを備える乗り物であって、
    請求項1乃至の何れか1つに記載の多気筒エンジンの燃料噴射制御機構を備えることを特徴とする乗り物。
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