JP2004100589A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が燃料噴射を開始する際にも、燃料が途切れることなく安定して供給されるようにした内燃機関の燃料噴射装置を提供する。
【解決手段】今回(時刻t1)の上流側噴射率Rupperがゼロよりも大きく、かつ前回(時刻t0)の上流側噴射率Rupper_1がゼロであれば遅延カウンタTdがカウントを開始する。その後、時刻t4までは上流側噴射率Rupperのみが上昇し、下流側噴射率Rlowerは初期値を維持する。時刻t4において遅延時間が完了すると、下流側燃料噴射弁の噴射率Rlowerが減少を開始する。
【選択図】 図6
【解決手段】今回(時刻t1)の上流側噴射率Rupperがゼロよりも大きく、かつ前回(時刻t0)の上流側噴射率Rupper_1がゼロであれば遅延カウンタTdがカウントを開始する。その後、時刻t4までは上流側噴射率Rupperのみが上昇し、下流側噴射率Rlowerは初期値を維持する。時刻t4において遅延時間が完了すると、下流側燃料噴射弁の噴射率Rlowerが減少を開始する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料噴射装置に係り、特に、スロットルバルブを挟んで上流側と下流側のそれぞれ噴射弁を設けた燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料噴射弁をスロットル弁よりも上流側に設けると、噴射燃料が気化する際に吸入空気から熱を奪うので体積効率が向上する。したがって、燃料噴射弁をスロットル弁よりも下流側に設けた場合に較べてエンジン出力を向上させることができる。その一方、燃料噴射弁を上流側に設けると、その燃料噴射口と燃焼室との距離が必然的に長くなるので、燃料噴射弁をスロットル弁よりも下流側に設けた場合に較べて燃料輸送に応答遅れが生じる。
【0003】
エンジンの出力を向上させ、かつ応答遅れに対処するために、スロットル弁を挟んで吸気管の上流側および下流側のそれぞれに燃料噴射弁を設けた燃料噴射装置が、例えば特開平4−183949号公報、特開平10−196440号公報に開示されている。
【0004】
図8は、2つの燃料噴射弁が配置された従来の内燃機関の主要部の断面図であり、吸気管51のスロットル弁52を挟んで下流側(エンジン側)の側部に下流側燃料噴射弁50aが配置され、上流側(エアクリーナ側)に上流側燃料噴射弁50bが配置されている。吸気管51の下端部は吸気通路52に接続され、この吸気通路52の燃焼室に臨む吸気ポート53は吸気弁54で開閉される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
スロットルバルブを挟んで上流側と下流側のそれぞれに燃料噴射弁を設けたエンジンでは、上流側に設けられた燃料噴射弁の燃料噴射口からシリンダまでの距離が遠くなるために応答遅れが生じる。したがって、例えば下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が噴射を開始する際に、上流側燃料噴射弁の噴射量の増加と同時に下流側燃料噴射弁の噴射量を減じてしまうと、上流側燃料噴射弁から噴射された燃料がシリンダに達するまでの間に燃料不足が生じ、ドライバビリティが低下してしまうという技術課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が燃料噴射を開始する際にも、燃料が途切れることなく安定して供給されるようにした内燃機関の燃料噴射装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、スロットル弁が設けられた吸気管と、このスロットル弁より上流側に設けられた上流側燃料噴射弁と、スロットル弁より下流側に設けられた下流側燃料噴射弁とを備えた内燃機関の燃料噴射装置において、上流側および下流側燃料噴射弁による総噴射量を決定する手段と、前記総噴射量に占める上流側および下流側燃料噴射弁の各噴射比率を決定する手段と、下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が噴射を開始する際の過渡期に下流側燃料噴射弁の噴射比率を補正する手段とを具備し、前記補正手段は、各燃料噴射弁の噴射量の総和が前記総噴射量を上回るように、前記下流側燃料噴射弁の噴射比率を補正することを特徴とする。
【0008】
上記した特徴によれば、下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が噴射を開始する際の過渡期には、常時よりも多めの燃料が供給されるので、上流側燃料噴射弁からの燃料噴射に応答遅れが生じても、シリンダには十分な量の燃料が供給されることになる。したがって、上流側燃料噴射弁からの燃料噴射に応答遅れが生じても、燃料供給不足によるドライバビリティの低下が防止される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である燃料噴射装置の全体構成図であり、エンジン20の燃焼室21には、吸気ポート22および排気ポート23が開口し、各ポート22,23には吸気弁24および排気弁25がそれぞれ設けられるとともに、点火プラグ26が設けられる。
【0010】
吸気ポート22に通じる吸気通路27には、その開度θTHに応じて吸入空気量を調節するスロットル弁28、ならびに前記開度θTHを検出するスロットルセンサ5および吸入負圧PBを検知する負圧センサ6が設けられている。吸気通路27の終端にはエアクリーナ29が設けられている。エアクリーナ29内にはエアフィルタ30が設けられ、このエアフィルタ30を通じて吸気通路27へ外気が取り込まれる。
【0011】
吸気通路27には、スロットル弁28よりも下流側に下流側噴射弁8bが配置され、スロットル弁28よりも上流側のエアクリーナ29には、前記吸気通路27を指向するように上流側噴射弁8aが配置されると共に、吸気(大気)温度TAを検知する吸気温度センサ2が設けられている。
【0012】
エンジン20のピストン31にコンロッド32を介して連結されたクランク軸33には、クランクの回転角度に基づいてエンジン回転数NEを検知するエンジン回転数センサ4が対向配置される。さらに、クランク軸33に連結されて回転するギヤ等の回転体34には、車速Vを検知する車速センサ7が対向配置されている。エンジン20の周りに形成されたウォータジャケットには、エンジン温度を代表する冷却水温度TWを検出する水温センサ3が設けられている。
【0013】
ECU(エンジン制御装置)1は、燃料噴射制御部10および点火タイミング制御部11を含む。燃料噴射制御部10は、前記各センサにより検知された信号(プロセス値)に基づいて、前記上流側および下流側の各噴射弁8a、8bへ噴射信号Qupper、Qlowerを出力する。この噴射信号は噴射量に応じたパルス幅を有するパルス信号であり、各噴射弁8a、8bは、このパルス幅に相当する時間だけ開弁されて燃料を噴射する。点火タイミング制御部11は、点火プラグ26の点火タイミングを制御する。
【0014】
図2は、前記燃料噴射制御部10の機能ブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0015】
総噴射量決定部101は、エンジン回転数NE、スロットル開度θTHおよび吸気圧PBに基づいて、上流側および下流側の各燃料噴射弁8a,8bから噴射する燃料の総量Qtotalを決定する。噴射比率決定部102は、エンジン回転数NEおよびスロットル開度θTHに基づいて噴射比率テーブルを参照し、上流側噴射弁8aの噴射比率Rupperを求める。
【0016】
図3は、噴射比率テーブルの一例を示した図であり、本実施形態では、エンジン回転数NEとして15点(Cne00〜Cne14)、スロットル開度θTHとして10点(Cth0〜Cth9)を基準にして噴射比率マップを構成し、各エンジン回転数NEとスロットル開度θTHとの組み合わせごとに、上流側噴射弁8aの噴射比率Rupperを予め登録している。前記噴射比率決定部102は、検知されたエンジン回転数NEおよびスロットル開度θTHに対応した噴射比率Rupperを、前記噴射比率マップ上で4点補間により求める。
【0017】
図2へ戻り、補正係数算出部103は、吸気負圧PB、吸気温度TAおよび冷却水温度TW等のプロセス値に基づいて、吸気負圧補正係数Kpb、吸気温度補正係数Ktaおよび冷却水温度補正係数Ktw等を算出し、これら全ての補正係数を統合して総補正係数Ktotalを算出する。噴射量決定部105において、上流側噴射量決定部1051は、前記噴射比率Rupperおよび総噴射量Qtotalに基づいて上流側噴射弁8aの噴射量を求め、これに前記総補正係数Ktotalを含む各種の補正係数を乗じて、あるいは加算して上流側噴射弁8aの噴射量Qupperを決定する。下流側噴射量決定部1052は、前記上流側噴射量Qupperおよび総噴射量Qtotalに基づいて、下流側噴射弁8bの噴射量Qlowerを決定する。
【0018】
噴射量補正部104は、加速時やスロットル開度θTHの急閉時等に各噴射弁8a,8bの噴射量を補正する。噴射量補正部104はさらに、噴射開始制御部104aを含み、下流側燃料噴射弁8bのみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁8aが噴射を開始する際の過渡期に、各燃料噴射弁8a,8bの実噴射量の総和(Qupper+Qlower)が前記総噴射量Qtotalを一時的に上回るように、下流側噴射弁8bの噴射比率Rlowerを補正するための「噴射開始制御」を実行する。この「噴射開始制御」に関しては、後に図5のフローチャートおよび図6のタイミングチャートを参照して詳細に説明する。
【0019】
次いで、上記した燃料噴射制御部10の動作を、図4のフローチャートを参照して詳細に説明する。この処理は、所定ステージにおけるクランクパルスによる割り込みで実行される。
【0020】
ステップS10では、エンジン回転数NE、スロットル開度θTH、吸気圧PB、吸気温度TAあるいは冷却水温度TW等のプロセス値が上記各センサにより検知される。ステップS11では、前記総噴射量決定部101において、上流側および下流側の各燃料噴射弁8a,8bから噴射する燃料の総量Qtotalが、エンジン回転数NE、スロットル開度θTHおよび吸気圧PBに基づいて決定される。
【0021】
ステップS12では、前記噴射比率決定部102において、前記エンジン回転数Neおよびスロットル開度θTHに基づいて前記図3の噴射比率テーブルが参照され、上流側噴射弁8aの噴射比率Rupperが決定される。ステップS13では、次式(1)に基づいて噴射比率Rupperが補正される。ここで、変数α、βは他の補正係数を代表する。
Rupper=Rupper×Ktotal×α+β …(1)
ステップS14では、上流側噴射量決定部1051により、次式(2)に基づいて上流側噴射弁8aの噴射量Qupperが算出される。
Qupper=Qtotal ×Rupper …(2)
ステップS15では、下流側燃料噴射弁8bのみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁8aが噴射を開始する際の過渡期に、各燃料噴射弁8a,8bの実噴射量の総和(Qupper+Qlower)が前記総噴射量Qtotalを一時的に上回るように、下流側噴射弁8bの噴射比率Rlowerを補正する「噴射開始制御」が実行される。
【0022】
図5は、前記「噴射開始制御」の処理手順を示したフローチャートであり、図6は、そのタイミングチャートである。
【0023】
図5のステップS31では、前記ステップS13において決定された今回の上流側噴射率Rupperがゼロよりも大きいか否かが判定され、ゼロよりも大きければステップS32へ進む。ステップS32では、前回の上流側噴射率Rupper_1がゼロであったか否かが判定され、ゼロであればステップS33へ進む。
【0024】
ここで、図6に示したように、今回(時刻t1)の上流側噴射率Rupperがゼロよりも大きく、かつ前回(時刻t0)の上流側噴射率Rupper_1がゼロであれば、休止していた上流側燃料噴射弁8aが噴射を開始する過渡期と判断されてステップS33へ進む。ステップS33では、遅延カウンタTdに遅延時間の初期値Cinitがセットされ、遅延準備フラグFpreがセットされ、かつ下流側減量率Rdecがリセット(=0)される。
【0025】
前記遅延時間Cinitは、上流側噴射が開始されてから、この上流側の燃料噴射分を下流側噴射分から減じ始めるまでの遅延時間である。遅延準備フラグFpreは、前記遅延時間の計時が開始されるとセットされる。下流側減量率Rdecには、前記遅延時間の経過後(時刻t4〜t5)、下流側噴射率Rlowerを上流側噴射率Rupperの上昇分だけ漸減させる際の減少率が登録される。
【0026】
ステップS34では、前記遅延準備フラグFpreが参照され、時刻t1の直後であれば、フラグFpre が「1」なのでステップS35へ進む。ステップS35では、前記遅延カウンタTdが参照され、ここでは既に遅延時間Cinitがセットされており、「0」よりも大きいと判定されるのでステップS43へ進む。ステップS43では、前記遅延カウンタTdが「1」だけ減ぜられる。ステップS44では、下流側噴射率Rlowerとして「1.0(100%)」が登録される。
【0027】
図4へ戻り、ステップS16では、前記ステップS13で決定された今回の上流側噴射率Rupperと現在の下流側減量率Rdecとが比較される。ここでは、下流側減量率Rdecが前記図5のステップS33で登録された「0」のままなのでステップS17へ進む。ステップS17では、下流側噴射量決定部1052により、次式(3)に基づいて、下流側噴射弁8bの噴射量Qlowerが算出される。
Qlower=Qtotal ×Rlower …(3)
但し、ここでは下流側噴射率Rlowerが「1.0」なので、下流側噴射量Qlowerとして総噴射量Qtotalがそのまま登録される。
【0028】
時刻t3では、図5のステップS31が肯定、ステップS32が否定なのでステップS42を経てステップS34へ進む。ここでは、遅延準備フラグFpreが「1」と判定されるのでステップS35、S43、S44と進み、前記遅延カウンタTdが更に「1」だけ減ぜられ、下流側噴射率Rlowerとして「1」(100%)が登録される。
【0029】
図4へ戻り、ステップS16は依然として肯定なのでステップS17へ進み、前記と同様に、下流側噴射量Qlowerとして総噴射量Qtotalがそのまま登録される。
【0030】
その後、図6の時刻t4において遅延カウンタTd がゼロに達し、これが図5のステップS35で検知されると、ステップS36では、遅延完了フラグFendがセットされる。ステップS37では、前記下流側減量率Rdecと所定の単位減量率ΔRdecとの和が、新たな下流側減量率Rdecとして更新登録される。ステップS38では、前記ステップS13で決定された今回の上流側噴射率Rupperと前記下流側減量率Rdecとが比較される。
【0031】
ここで、下流側噴射率Rlowerは上流側噴射率Rupperの上昇分(ここでは、上流側噴射率Rupperそのもの)だけ低下させる必要がある。したがって、上流側噴射率Rupperが下流側減量率Rdec を上回っている、すなわち、下流側噴射率Rlowerの減量が不十分である間はステップS39へ進む。ステップS39では、下流側噴射率Rlowerとして、「1」(=100%)から下流側減量率Rdecを減じた値(1−Rdec )が更新登録される。
【0032】
その後、図6の時刻t5において、前記図5のステップS38の判断が否定となり、下流側噴射率Rlowerが、100%から上流側噴射率Rupperを減じた値に達するとステップS45へ進む。ステップS45では、「1.0(100%)」から上流側噴射率Rupperを減じた値(1−Rupper)が下流側噴射率Rlowerとして更新登録される。ステップS46では、終了処理として前記遅延完了フラグFendがセットされ、遅延準備フラグFpreがリセットされる。
【0033】
図4へ戻り、ステップS16ではRupper<Rdecが成立するのでステップS18へ進む。ステップS18では、下流側噴射量決定部1052により、次式(4)に基づいて、下流側噴射弁8bの噴射量Qlowerが算出される。
Qlower=Qtotal −Qupper …(4)
以上のようにして、上流側噴射弁8aの噴射量Qupperおよび下流側噴射弁8bの噴射量Qlowerが決定すると、クランク角度に同期した所定のタイミングで、各噴射弁8a,8bへ前記各噴射量Qupper、Qlowerに応じたパルス幅の噴射信号が出力され、各噴射弁8a,8bから燃料が噴射される。
【0034】
なお、前記ステップS31が否定であればステップS40へ進み、下流側噴射率Rlowerとして「1.0(100%)」が登録される。ステップS41では、前記遅延準備フラグFpreおよび後述する遅延完了フラグFendがリセットされる。また、前記ステップS42が否定であれば、ステップS42において、下流側噴射率Rlowerとして、1(100%)から上流側噴射率Rupperを減じた値(1−Rupper)が登録される。
【0035】
また、上記した実施形態では、下流側燃料噴射弁8bのみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁8aが噴射を開始する際の過渡期に、各燃料噴射弁8a,8bの噴射量の総和(Qupper+Qlower)が総噴射量Qtotalを上回るように、下流側燃料噴射弁8bの噴射量の減少開始タイミングを、上流側燃料噴射弁8aの噴射量の増加タイミングよりも遅延させるものとして説明した。しかしながら、図7に示したように、下流側燃料噴射弁8bの噴射比率Rlowerの減少率ΔRlowerが、上流側燃料噴射弁8aの噴射比率Rupperの増加率ΔRupperよりも低くなるように、各噴射弁8a,8bの噴射比率を制御することによっても、各燃料噴射弁8a,8bの噴射量の総和(Qupper+Qlower)が総噴射量Qtotalを上回るようにできる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が噴射を開始する際の過渡期には、常時よりも多めの燃料が供給されるので、上流側燃料噴射弁からの燃料噴射に応答遅れが生じても、シリンダには十分な量の燃料が供給されることになる。したがって、上流側燃料噴射弁からの燃料噴射に応答遅れが生じても、燃料供給不足によるドライバビリティの低下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である燃料噴射装置の全体構成図である。
【図2】燃料噴射制御部10の機能ブロック図である。
【図3】噴射率テーブルの一例を示した図である。
【図4】燃料噴射の制御手順を示したフローチャートである。
【図5】上流側噴射開始制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】上流側噴射開始制御のタイミングチャートである。
【図7】上流側噴射開始制御の他の実施形態のタイミングチャートである。
【図8】2つの燃料噴射弁が配置された従来の内燃機関の断面図である。
【符号の説明】1…ECU,2…吸気温度(TA)センサ,3…水温(TW)センサ,4…エンジン回転数(NE)センサ,5…スロットル開度(θTH)センサ,6…吸気圧(PB)センサ,8a…上流側噴射弁,8b…下流側噴射弁,10…燃料噴射制御部,20…エンジン,21…燃焼室,22…吸気ポート,23…排気ポート,24…吸気弁,25…排気弁,26…点火プラグ,27…吸気通路,28…スロットル弁,29…エアクリーナ,30…エアフィルタ,31…ピストン,32…コンロッド,33…クランク軸,34…回転体,101…総噴射量決定部,102…噴射比率決定部,103…補正係数算出部,104…噴射量補正部,105…噴射量決定部,1051…上流側噴射量決定部,1052…下流側噴射量決定部
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料噴射装置に係り、特に、スロットルバルブを挟んで上流側と下流側のそれぞれ噴射弁を設けた燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料噴射弁をスロットル弁よりも上流側に設けると、噴射燃料が気化する際に吸入空気から熱を奪うので体積効率が向上する。したがって、燃料噴射弁をスロットル弁よりも下流側に設けた場合に較べてエンジン出力を向上させることができる。その一方、燃料噴射弁を上流側に設けると、その燃料噴射口と燃焼室との距離が必然的に長くなるので、燃料噴射弁をスロットル弁よりも下流側に設けた場合に較べて燃料輸送に応答遅れが生じる。
【0003】
エンジンの出力を向上させ、かつ応答遅れに対処するために、スロットル弁を挟んで吸気管の上流側および下流側のそれぞれに燃料噴射弁を設けた燃料噴射装置が、例えば特開平4−183949号公報、特開平10−196440号公報に開示されている。
【0004】
図8は、2つの燃料噴射弁が配置された従来の内燃機関の主要部の断面図であり、吸気管51のスロットル弁52を挟んで下流側(エンジン側)の側部に下流側燃料噴射弁50aが配置され、上流側(エアクリーナ側)に上流側燃料噴射弁50bが配置されている。吸気管51の下端部は吸気通路52に接続され、この吸気通路52の燃焼室に臨む吸気ポート53は吸気弁54で開閉される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
スロットルバルブを挟んで上流側と下流側のそれぞれに燃料噴射弁を設けたエンジンでは、上流側に設けられた燃料噴射弁の燃料噴射口からシリンダまでの距離が遠くなるために応答遅れが生じる。したがって、例えば下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が噴射を開始する際に、上流側燃料噴射弁の噴射量の増加と同時に下流側燃料噴射弁の噴射量を減じてしまうと、上流側燃料噴射弁から噴射された燃料がシリンダに達するまでの間に燃料不足が生じ、ドライバビリティが低下してしまうという技術課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が燃料噴射を開始する際にも、燃料が途切れることなく安定して供給されるようにした内燃機関の燃料噴射装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、スロットル弁が設けられた吸気管と、このスロットル弁より上流側に設けられた上流側燃料噴射弁と、スロットル弁より下流側に設けられた下流側燃料噴射弁とを備えた内燃機関の燃料噴射装置において、上流側および下流側燃料噴射弁による総噴射量を決定する手段と、前記総噴射量に占める上流側および下流側燃料噴射弁の各噴射比率を決定する手段と、下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が噴射を開始する際の過渡期に下流側燃料噴射弁の噴射比率を補正する手段とを具備し、前記補正手段は、各燃料噴射弁の噴射量の総和が前記総噴射量を上回るように、前記下流側燃料噴射弁の噴射比率を補正することを特徴とする。
【0008】
上記した特徴によれば、下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が噴射を開始する際の過渡期には、常時よりも多めの燃料が供給されるので、上流側燃料噴射弁からの燃料噴射に応答遅れが生じても、シリンダには十分な量の燃料が供給されることになる。したがって、上流側燃料噴射弁からの燃料噴射に応答遅れが生じても、燃料供給不足によるドライバビリティの低下が防止される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である燃料噴射装置の全体構成図であり、エンジン20の燃焼室21には、吸気ポート22および排気ポート23が開口し、各ポート22,23には吸気弁24および排気弁25がそれぞれ設けられるとともに、点火プラグ26が設けられる。
【0010】
吸気ポート22に通じる吸気通路27には、その開度θTHに応じて吸入空気量を調節するスロットル弁28、ならびに前記開度θTHを検出するスロットルセンサ5および吸入負圧PBを検知する負圧センサ6が設けられている。吸気通路27の終端にはエアクリーナ29が設けられている。エアクリーナ29内にはエアフィルタ30が設けられ、このエアフィルタ30を通じて吸気通路27へ外気が取り込まれる。
【0011】
吸気通路27には、スロットル弁28よりも下流側に下流側噴射弁8bが配置され、スロットル弁28よりも上流側のエアクリーナ29には、前記吸気通路27を指向するように上流側噴射弁8aが配置されると共に、吸気(大気)温度TAを検知する吸気温度センサ2が設けられている。
【0012】
エンジン20のピストン31にコンロッド32を介して連結されたクランク軸33には、クランクの回転角度に基づいてエンジン回転数NEを検知するエンジン回転数センサ4が対向配置される。さらに、クランク軸33に連結されて回転するギヤ等の回転体34には、車速Vを検知する車速センサ7が対向配置されている。エンジン20の周りに形成されたウォータジャケットには、エンジン温度を代表する冷却水温度TWを検出する水温センサ3が設けられている。
【0013】
ECU(エンジン制御装置)1は、燃料噴射制御部10および点火タイミング制御部11を含む。燃料噴射制御部10は、前記各センサにより検知された信号(プロセス値)に基づいて、前記上流側および下流側の各噴射弁8a、8bへ噴射信号Qupper、Qlowerを出力する。この噴射信号は噴射量に応じたパルス幅を有するパルス信号であり、各噴射弁8a、8bは、このパルス幅に相当する時間だけ開弁されて燃料を噴射する。点火タイミング制御部11は、点火プラグ26の点火タイミングを制御する。
【0014】
図2は、前記燃料噴射制御部10の機能ブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0015】
総噴射量決定部101は、エンジン回転数NE、スロットル開度θTHおよび吸気圧PBに基づいて、上流側および下流側の各燃料噴射弁8a,8bから噴射する燃料の総量Qtotalを決定する。噴射比率決定部102は、エンジン回転数NEおよびスロットル開度θTHに基づいて噴射比率テーブルを参照し、上流側噴射弁8aの噴射比率Rupperを求める。
【0016】
図3は、噴射比率テーブルの一例を示した図であり、本実施形態では、エンジン回転数NEとして15点(Cne00〜Cne14)、スロットル開度θTHとして10点(Cth0〜Cth9)を基準にして噴射比率マップを構成し、各エンジン回転数NEとスロットル開度θTHとの組み合わせごとに、上流側噴射弁8aの噴射比率Rupperを予め登録している。前記噴射比率決定部102は、検知されたエンジン回転数NEおよびスロットル開度θTHに対応した噴射比率Rupperを、前記噴射比率マップ上で4点補間により求める。
【0017】
図2へ戻り、補正係数算出部103は、吸気負圧PB、吸気温度TAおよび冷却水温度TW等のプロセス値に基づいて、吸気負圧補正係数Kpb、吸気温度補正係数Ktaおよび冷却水温度補正係数Ktw等を算出し、これら全ての補正係数を統合して総補正係数Ktotalを算出する。噴射量決定部105において、上流側噴射量決定部1051は、前記噴射比率Rupperおよび総噴射量Qtotalに基づいて上流側噴射弁8aの噴射量を求め、これに前記総補正係数Ktotalを含む各種の補正係数を乗じて、あるいは加算して上流側噴射弁8aの噴射量Qupperを決定する。下流側噴射量決定部1052は、前記上流側噴射量Qupperおよび総噴射量Qtotalに基づいて、下流側噴射弁8bの噴射量Qlowerを決定する。
【0018】
噴射量補正部104は、加速時やスロットル開度θTHの急閉時等に各噴射弁8a,8bの噴射量を補正する。噴射量補正部104はさらに、噴射開始制御部104aを含み、下流側燃料噴射弁8bのみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁8aが噴射を開始する際の過渡期に、各燃料噴射弁8a,8bの実噴射量の総和(Qupper+Qlower)が前記総噴射量Qtotalを一時的に上回るように、下流側噴射弁8bの噴射比率Rlowerを補正するための「噴射開始制御」を実行する。この「噴射開始制御」に関しては、後に図5のフローチャートおよび図6のタイミングチャートを参照して詳細に説明する。
【0019】
次いで、上記した燃料噴射制御部10の動作を、図4のフローチャートを参照して詳細に説明する。この処理は、所定ステージにおけるクランクパルスによる割り込みで実行される。
【0020】
ステップS10では、エンジン回転数NE、スロットル開度θTH、吸気圧PB、吸気温度TAあるいは冷却水温度TW等のプロセス値が上記各センサにより検知される。ステップS11では、前記総噴射量決定部101において、上流側および下流側の各燃料噴射弁8a,8bから噴射する燃料の総量Qtotalが、エンジン回転数NE、スロットル開度θTHおよび吸気圧PBに基づいて決定される。
【0021】
ステップS12では、前記噴射比率決定部102において、前記エンジン回転数Neおよびスロットル開度θTHに基づいて前記図3の噴射比率テーブルが参照され、上流側噴射弁8aの噴射比率Rupperが決定される。ステップS13では、次式(1)に基づいて噴射比率Rupperが補正される。ここで、変数α、βは他の補正係数を代表する。
Rupper=Rupper×Ktotal×α+β …(1)
ステップS14では、上流側噴射量決定部1051により、次式(2)に基づいて上流側噴射弁8aの噴射量Qupperが算出される。
Qupper=Qtotal ×Rupper …(2)
ステップS15では、下流側燃料噴射弁8bのみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁8aが噴射を開始する際の過渡期に、各燃料噴射弁8a,8bの実噴射量の総和(Qupper+Qlower)が前記総噴射量Qtotalを一時的に上回るように、下流側噴射弁8bの噴射比率Rlowerを補正する「噴射開始制御」が実行される。
【0022】
図5は、前記「噴射開始制御」の処理手順を示したフローチャートであり、図6は、そのタイミングチャートである。
【0023】
図5のステップS31では、前記ステップS13において決定された今回の上流側噴射率Rupperがゼロよりも大きいか否かが判定され、ゼロよりも大きければステップS32へ進む。ステップS32では、前回の上流側噴射率Rupper_1がゼロであったか否かが判定され、ゼロであればステップS33へ進む。
【0024】
ここで、図6に示したように、今回(時刻t1)の上流側噴射率Rupperがゼロよりも大きく、かつ前回(時刻t0)の上流側噴射率Rupper_1がゼロであれば、休止していた上流側燃料噴射弁8aが噴射を開始する過渡期と判断されてステップS33へ進む。ステップS33では、遅延カウンタTdに遅延時間の初期値Cinitがセットされ、遅延準備フラグFpreがセットされ、かつ下流側減量率Rdecがリセット(=0)される。
【0025】
前記遅延時間Cinitは、上流側噴射が開始されてから、この上流側の燃料噴射分を下流側噴射分から減じ始めるまでの遅延時間である。遅延準備フラグFpreは、前記遅延時間の計時が開始されるとセットされる。下流側減量率Rdecには、前記遅延時間の経過後(時刻t4〜t5)、下流側噴射率Rlowerを上流側噴射率Rupperの上昇分だけ漸減させる際の減少率が登録される。
【0026】
ステップS34では、前記遅延準備フラグFpreが参照され、時刻t1の直後であれば、フラグFpre が「1」なのでステップS35へ進む。ステップS35では、前記遅延カウンタTdが参照され、ここでは既に遅延時間Cinitがセットされており、「0」よりも大きいと判定されるのでステップS43へ進む。ステップS43では、前記遅延カウンタTdが「1」だけ減ぜられる。ステップS44では、下流側噴射率Rlowerとして「1.0(100%)」が登録される。
【0027】
図4へ戻り、ステップS16では、前記ステップS13で決定された今回の上流側噴射率Rupperと現在の下流側減量率Rdecとが比較される。ここでは、下流側減量率Rdecが前記図5のステップS33で登録された「0」のままなのでステップS17へ進む。ステップS17では、下流側噴射量決定部1052により、次式(3)に基づいて、下流側噴射弁8bの噴射量Qlowerが算出される。
Qlower=Qtotal ×Rlower …(3)
但し、ここでは下流側噴射率Rlowerが「1.0」なので、下流側噴射量Qlowerとして総噴射量Qtotalがそのまま登録される。
【0028】
時刻t3では、図5のステップS31が肯定、ステップS32が否定なのでステップS42を経てステップS34へ進む。ここでは、遅延準備フラグFpreが「1」と判定されるのでステップS35、S43、S44と進み、前記遅延カウンタTdが更に「1」だけ減ぜられ、下流側噴射率Rlowerとして「1」(100%)が登録される。
【0029】
図4へ戻り、ステップS16は依然として肯定なのでステップS17へ進み、前記と同様に、下流側噴射量Qlowerとして総噴射量Qtotalがそのまま登録される。
【0030】
その後、図6の時刻t4において遅延カウンタTd がゼロに達し、これが図5のステップS35で検知されると、ステップS36では、遅延完了フラグFendがセットされる。ステップS37では、前記下流側減量率Rdecと所定の単位減量率ΔRdecとの和が、新たな下流側減量率Rdecとして更新登録される。ステップS38では、前記ステップS13で決定された今回の上流側噴射率Rupperと前記下流側減量率Rdecとが比較される。
【0031】
ここで、下流側噴射率Rlowerは上流側噴射率Rupperの上昇分(ここでは、上流側噴射率Rupperそのもの)だけ低下させる必要がある。したがって、上流側噴射率Rupperが下流側減量率Rdec を上回っている、すなわち、下流側噴射率Rlowerの減量が不十分である間はステップS39へ進む。ステップS39では、下流側噴射率Rlowerとして、「1」(=100%)から下流側減量率Rdecを減じた値(1−Rdec )が更新登録される。
【0032】
その後、図6の時刻t5において、前記図5のステップS38の判断が否定となり、下流側噴射率Rlowerが、100%から上流側噴射率Rupperを減じた値に達するとステップS45へ進む。ステップS45では、「1.0(100%)」から上流側噴射率Rupperを減じた値(1−Rupper)が下流側噴射率Rlowerとして更新登録される。ステップS46では、終了処理として前記遅延完了フラグFendがセットされ、遅延準備フラグFpreがリセットされる。
【0033】
図4へ戻り、ステップS16ではRupper<Rdecが成立するのでステップS18へ進む。ステップS18では、下流側噴射量決定部1052により、次式(4)に基づいて、下流側噴射弁8bの噴射量Qlowerが算出される。
Qlower=Qtotal −Qupper …(4)
以上のようにして、上流側噴射弁8aの噴射量Qupperおよび下流側噴射弁8bの噴射量Qlowerが決定すると、クランク角度に同期した所定のタイミングで、各噴射弁8a,8bへ前記各噴射量Qupper、Qlowerに応じたパルス幅の噴射信号が出力され、各噴射弁8a,8bから燃料が噴射される。
【0034】
なお、前記ステップS31が否定であればステップS40へ進み、下流側噴射率Rlowerとして「1.0(100%)」が登録される。ステップS41では、前記遅延準備フラグFpreおよび後述する遅延完了フラグFendがリセットされる。また、前記ステップS42が否定であれば、ステップS42において、下流側噴射率Rlowerとして、1(100%)から上流側噴射率Rupperを減じた値(1−Rupper)が登録される。
【0035】
また、上記した実施形態では、下流側燃料噴射弁8bのみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁8aが噴射を開始する際の過渡期に、各燃料噴射弁8a,8bの噴射量の総和(Qupper+Qlower)が総噴射量Qtotalを上回るように、下流側燃料噴射弁8bの噴射量の減少開始タイミングを、上流側燃料噴射弁8aの噴射量の増加タイミングよりも遅延させるものとして説明した。しかしながら、図7に示したように、下流側燃料噴射弁8bの噴射比率Rlowerの減少率ΔRlowerが、上流側燃料噴射弁8aの噴射比率Rupperの増加率ΔRupperよりも低くなるように、各噴射弁8a,8bの噴射比率を制御することによっても、各燃料噴射弁8a,8bの噴射量の総和(Qupper+Qlower)が総噴射量Qtotalを上回るようにできる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が噴射を開始する際の過渡期には、常時よりも多めの燃料が供給されるので、上流側燃料噴射弁からの燃料噴射に応答遅れが生じても、シリンダには十分な量の燃料が供給されることになる。したがって、上流側燃料噴射弁からの燃料噴射に応答遅れが生じても、燃料供給不足によるドライバビリティの低下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である燃料噴射装置の全体構成図である。
【図2】燃料噴射制御部10の機能ブロック図である。
【図3】噴射率テーブルの一例を示した図である。
【図4】燃料噴射の制御手順を示したフローチャートである。
【図5】上流側噴射開始制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】上流側噴射開始制御のタイミングチャートである。
【図7】上流側噴射開始制御の他の実施形態のタイミングチャートである。
【図8】2つの燃料噴射弁が配置された従来の内燃機関の断面図である。
【符号の説明】1…ECU,2…吸気温度(TA)センサ,3…水温(TW)センサ,4…エンジン回転数(NE)センサ,5…スロットル開度(θTH)センサ,6…吸気圧(PB)センサ,8a…上流側噴射弁,8b…下流側噴射弁,10…燃料噴射制御部,20…エンジン,21…燃焼室,22…吸気ポート,23…排気ポート,24…吸気弁,25…排気弁,26…点火プラグ,27…吸気通路,28…スロットル弁,29…エアクリーナ,30…エアフィルタ,31…ピストン,32…コンロッド,33…クランク軸,34…回転体,101…総噴射量決定部,102…噴射比率決定部,103…補正係数算出部,104…噴射量補正部,105…噴射量決定部,1051…上流側噴射量決定部,1052…下流側噴射量決定部
Claims (3)
- スロットル弁が設けられた吸気管と、このスロットル弁より上流側に設けられた上流側燃料噴射弁と、スロットル弁より下流側に設けられた下流側燃料噴射弁とを備えた内燃機関の燃料噴射装置において、
上流側および下流側燃料噴射弁による総噴射量を決定する手段と、
前記総噴射量に占める上流側および下流側燃料噴射弁の各噴射比率を決定する手段と、
下流側燃料噴射弁のみが燃料を噴射している状態から上流側燃料噴射弁が噴射を開始する際の過渡期に、前記下流側燃料噴射弁の噴射比率を補正する手段とを具備し、
前記補正手段は、各燃料噴射弁の噴射量の総和が前記総噴射量を上回るように、前記下流側燃料噴射弁の噴射比率を補正することを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。 - 前記補正手段は、前記下流側燃料噴射弁の噴射比率の減少開始タイミングを、前記上流側燃料噴射弁の噴射比率の増加タイミングよりも遅延させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
- 前記補正手段は、前記下流側燃料噴射弁の噴射比率の減少率を、前記上流側燃料噴射弁の噴射比率の増加率よりも低くしたことを特徴とする請求項1に記載内燃機関の燃料噴射装置。
Priority Applications (1)
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JP2002264175A JP2004100589A (ja) | 2002-09-10 | 2002-09-10 | 内燃機関の燃料噴射装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009215928A (ja) * | 2008-03-10 | 2009-09-24 | Kawasaki Heavy Ind Ltd | 多気筒エンジンの燃料噴射制御機構、それを備える車両及び多気筒エンジンの燃料噴射制御方法 |
-
2002
- 2002-09-10 JP JP2002264175A patent/JP2004100589A/ja active Pending
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