JP4333393B2 - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
この場合、要求噴射量(燃料噴射量の要求値)の一部が管内噴射インジェクタの噴射量として、残りが筒内噴射インジェクタの噴射量として設定されて各インジェクタによる燃料噴射が行われる。
同文献に記載の装置では、エンジンの始動時、要求噴射量の一部を管内噴射インジェクタにより噴射するとともに、同インジェクタの噴射量をエンジンの冷却水の温度に応じて可変設定するようにしている。
(1)請求項1に記載の発明は、燃焼室に燃料を噴射する第1インジェクタ及び吸気通路に燃料を噴射する第2インジェクタを備えるとともに機関運転状態に基づいて要求噴射量を設定するエンジンにおいて前記第1インジェクタの燃料噴射量である第1噴射量及び前記第2インジェクタの燃料噴射量である第2噴射量を調整するものであって、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの双方を用いる噴射形態Aと、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの一方を用いる噴射形態Bとを切り換えて燃料噴射を行うエンジンの燃料噴射制御装置において、前記噴射形態Aを選択しているとき、前記要求噴射量に対する前記第1噴射量の割合を前記要求噴射量に対する前記第2噴射量の割合よりも大きく設定する第1噴射モードと、前記要求噴射量に対する前記第1噴射量の割合を前記要求噴射量に対する前記第2噴射量の割合よりも小さく設定する第2噴射モードとを切り換えるものであって、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタによる燃料噴射が実行される毎にそのときに選択している前記第1噴射モード及び前記第2噴射モードの一方の噴射モードを他方の噴射モードに切り換えて次の燃料噴射を行う制御手段を備えることを要旨としている。
・上記(1)の発明では、第1インジェクタと第2インジェクタとにより燃料の噴射供給を行うとき、第1噴射モードと第2噴射モードとを選択的に切り換えるようにしている。
第1噴射モードを通じて燃料噴射を行う場合、第2噴射モードによる燃料噴射時に比べて要求噴射量(燃料噴射量の要求値)に占める第1インジェクタの燃料噴射量の割合が大きいため、相対的に混合気の燃焼速度が高められるようになる。これにより、シリンダ内の温度上昇にともなって筒内噴射インジェクタの温度の低下が抑制されるため、デポジットの付着量が低減されるようになる。
一方、第2噴射モードを通じて燃料噴射を行う場合、要求噴射量の多くは第2インジェクタを通じて噴射供給されるため、燃焼状態の悪化が抑制されるようになる。
そして、上記構成においては、これら第1噴射モードと第2噴射モードとを選択的に切り換えてエンジンへの燃料噴射を行うようにしているため、燃焼状態の悪化を極力抑制しつつ、筒内噴射インジェクタへのデポジットの付着を低減することができるようになる。
第1噴射モードを通じて燃料噴射を行う場合、第2噴射モードの選択時に比べて要求噴射量に占める第1インジェクタの燃料噴射量の割合が大きいため、相対的に混合気の燃焼速度が高められるようになる。これにより、シリンダ内の温度上昇にともなって筒内噴射インジェクタの温度の低下が抑制されるため、デポジットの付着量が低減されるようになる。
一方、第2噴射モードを通じて燃料噴射を行う場合、第1インジェクタの燃料噴射量の割合としてエンジンの運転状態に基づいて設定された値(基本割合)が採用されるため、燃焼状態の悪化が抑制されるようになる。
そして、上記構成においては、これら第1噴射モードと第2噴射モードとを選択的に切り換えてエンジンへの燃料噴射を行うようにしているため、燃焼状態の悪化を極力抑制しつつ、筒内噴射インジェクタへのデポジットの付着を低減することができるようになる。
これにより、第2噴射モードに比べ燃焼状態の悪化に対する耐性が低い第1噴射モードを通じての燃料噴射が行われるものの、燃焼状態の悪化がエンジンのトルク変動として現れにくくなるため、ドライバビリティの悪化を好適に抑制することができるようになる。
[a]第1グループの気筒に対して第1噴射モードを適用するとき、第2グループの気筒に対して第2噴射モードを適用する。
[b]第1グループの気筒に対して第2噴射モードを適用するとき、第2グループの気筒に対して第1噴射モードを適用する。
従って、上記構成においては、1つの点火サイクル内において、混合気の点火毎に第1噴射モードと第2噴射モードとが交互に行われるようになる。
これにより、第2噴射モードに比べ燃焼状態の悪化に対する耐性が低い第1噴射モードを通じての燃料噴射が行われるものの、燃焼状態の悪化がエンジンのトルク変動として現れにくくなるためドライバビリティの悪化を好適に抑制することができるようになる。
本発明の第1実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
図1に、本実施形態の適用対象となるV型6気筒ガソリンエンジンの概略構造を示す。
第1バンク11には、第1シリンダC1、第3シリンダC3及び第5シリンダC5が設けられている。
各シリンダC1〜C6には、吸気管21が接続されている。
吸気管21の支管21bには、各シリンダC1〜C6のそれぞれの吸気ポート23へ燃料を噴射するポート噴射インジェクタPI(管内噴射インジェクタ)が設けられている。
電子制御装置9は、主に筒内噴射インジェクタDI及びポート噴射インジェクタPIの駆動態様をエンジン1の運転状態等に基づいて制御する。なお、制御手段は、電子制御装置9を備えて構成される。
シリンダC内には、ピストン31の頂面とシリンダCの壁面とにより燃焼室32が区画形成されている。
吸気管21は、吸気ポート23を介して燃焼室32に接続されている。
吸気ポート23には、同吸気ポート23を開閉することにより吸気管21(支管21a)と燃焼室32との接続状態を変更する吸気バルブ33が配設されている。
排気管24は、排気ポート25を介して燃焼室32に接続されている。
燃焼室32の頂部には、燃料と空気とにより形成された混合気を火花着火するイグニッションプラグ35が配設されている。
シリンダCの周囲には、ウォータジャケット36が形成されている。
燃料系4は、燃料タンク41、フィードポンプ42、高圧燃料ポンプ43及び高圧燃料配管44を備えて構成されている。
フィードポンプ42と高圧燃料ポンプ43とは、第2燃料配管45bにより接続されている。
筒内噴射インジェクタDIと高圧燃料ポンプ43とは、高圧燃料配管44により接続されている。
高圧燃料ポンプ43は、フィードポンプ42により圧送された燃料をさらに加圧する。
電子制御装置9は、エンジン制御にかかる演算処理を実行するCPU、エンジン制御に必要なプログラムや情報の記憶するためのメモリ、外部との信号の入出力を行うための入力ポート及び出力ポートを備えて構成される。
回転速度センサ51は、エンジン1のクランクシャフトの回転速度(エンジン回転速度Ne)を検出する。
エアフロメータ53は、エンジン1の吸入空気量(吸入空気量GA)を検出する。
電子制御装置9の出力ポートには、筒内噴射インジェクタDI、ポート噴射インジェクタPI及びイグニッションプラグ35等が接続されている。
筒内噴射インジェクタDIによる燃料噴射(筒内噴射)は、出力や燃費の向上を図ることができるが、シリンダ内でのみ空気と燃料との混合が行われるため、燃料が気化され難い状況のとき、空気と燃料とが良好に混合されないことにより、燃焼状態の悪化をまねくことがある。
また、エンジン1の温間時(冷却水の温度が判定温度以上のとき)であっても、燃料噴射量が比較的少量となることにより均質な混合気を形成することが困難な低回転低負荷時には、筒内噴射インジェクタDIとポート噴射インジェクタPIとを通じて燃料噴射を行うようにしている。これより、燃焼状態の悪化の抑制を図りつつも筒内噴射の利点を得ることができるようになる。
図3は、エンジン1の冷間時に使用されるマップを示す。
これらマップにおいては、エンジン1の各運転領域で使用するインジェクタが次のように設定されている。
第1領域R1:ポート噴射インジェクタPI
第2領域R2:ポート噴射インジェクタPI+筒内噴射インジェクタDI
第3領域R3:筒内噴射インジェクタDI
第4領域R4:筒内噴射インジェクタDI
ところで、筒内噴射インジェクタDIの先端部は燃焼ガスに直接さらされるため、先端部へのデポジットの付着による噴射性能の低下が懸念される。デポジットは、インジェクタ先端部に残留している液状燃料から生成されるため、インジェクタ先端部の温度が低いとき(先端部に液状燃料が残留しやすいとき)には、デポジットの付着が促進される傾向にある。
図5を参照して、「燃料噴射処理」について説明する。なお、以降では、電子制御装置9を通じて、筒内噴射インジェクタDIに対して設定される燃料噴射量の指令値を筒内噴射量FiD、ポート噴射インジェクタPIに対して設定される燃料噴射量の指令値をポート噴射量FiPとする。
[ステップS100]以下の(a)及び(b)の処理を通じて、燃料噴射量の要求値(要求噴射量reqFi)を算出する。
(a)エンジン回転速度Ne及びアクセル操作量Accpなどに基づいてエンジン1の負荷(エンジン負荷Le)を算出する。なお、エンジン負荷Leは、最大エンジン負荷に対する現在の負荷の割合を示す。また、エンジン負荷Leは、予め設定されたマップを通じて算出することができる。
(b)エンジン負荷Leに基づいて要求噴射量reqFiを算出する。なお、要求噴射量reqFiは、予め設定されたマップを通じて算出することができる。
THw≧THwX
が満たされているか否かを判定する。
[ステップS300]エンジン1が冷間状態にあるとき、図3に示すマップへエンジン回転速度Ne及びエンジン負荷Leを適用し、燃料噴射に用いるインジェクタを選択する。
reqFi=FiP
により示される。
reqFi=FiD+FiP
により示される。
reqFi=FiD
により示される。
[ステップS600]第2噴射形態が選択されているとき、筒内噴射インジェクタDIとポート噴射インジェクタPIとの燃料噴射量の比率を設定する噴射比率設定処理(図6)を行う。同処理の詳細については、後述する。
(a)「冷却水温度THwが判定温度THwX未満」のとき、ポート噴射インジェクタPIにより燃料噴射を行う。
(b)「冷却水温度THwが判定温度THwX以上」、且つ「エンジン1の運転状態が低回転低負荷」のとき、筒内噴射インジェクタDIとポート噴射インジェクタPIとにより燃料噴射を行う。各インジェクタDI,PIの燃料噴射量は、噴射比率設定処理(図6)を通じて設定する。
(c)「冷却水温度THwが判定温度THwX以上」、且つ「エンジン1の運転状態が高回転及び高負荷の少なくとも一方」のとき、筒内噴射インジェクタDIにより燃料噴射を行う。
本処理の概要について説明する。なお、以降では、要求噴射量reqFiに対する筒内噴射量FiDの割合を筒内噴射比率RD、要求噴射量reqFiに対するポート噴射量FiPの割合をポート噴射比率RPとする。
RD=(FiD/reqFi)×100 [%]
により示すことができる。
RP=(FiP/reqFi)×100 [%]
により示すことができる。
第1噴射モードでは、筒内噴射比率RDをポート噴射比率RPよりも大きく設定する。また、要求噴射量reqFiに相当する割合(100%)よりも小さく設定する。
第1噴射モードにおいて、筒内噴射比率RDを第1筒内噴射比率RD1、ポート噴射比率RPを第1ポート噴射比率RP1とすると、これら各噴射比率は以下の関係式
100>RD1>RP1>0 [%]
により示される。
100>RP2>RD2>0 [%]
により示される。
第1シリンダ群CA:第1シリンダC1、第3シリンダC3、第5シリンダC5
第2シリンダ群CB:第2シリンダC2、第4シリンダC4、第6シリンダC6
そして、これら各シリンダ群CA,CBに対して異なる噴射モード(第1噴射モード及び第2噴射モードのいずれか)をそれぞれ適用するようにしている。
(a)第1シリンダ群CAに対して第1噴射モードを適用するとき、第2シリンダ群CBに対して第2噴射モードを適用する。
(b)第1シリンダ群CAに対して第2噴射モードを適用するとき、第2シリンダ群CBに対して第1噴射モードを適用する。
[ステップS601]前回の処理の終了から現在までにエアフロメータ53を通じて検出された吸入空気量GAを積算して吸入空気量積算値GATを算出する。即ち、下記計算
GAT←GAT+GA
が検出データ(前回処理の終了から現在までの検出データ)の数に応じて繰り返し実行されて吸入空気量積算値GATが算出される。
GAT≧GATX
が満たされているか否かを判定する。
第1筒内噴射比率RD1≒第2ポート噴射比率RP2
第2筒内噴射比率RD2≒第1ポート噴射比率RP1
[ステップS605]吸入空気量積算値GATをクリアする。即ち、下記処理
GAT←0
を行う。なお、燃料噴射形態が第1噴射形態からその他の噴射形態へ変更されたときも吸入空気量積算値GATがクリアされる。
「噴射比率設定処理」の制御態様の要約を以下に示す。
(a)第1シリンダ群CAと第2シリンダ群CBとに異なる噴射モードを適用するとともに、吸入空気量GAの積算が開始されてから吸入空気量積算値GATが判定積算値GATX以上となるまでの間、各シリンダ群CA,CBのそれぞれにおいて同じ噴射モードを継続して適用する。
(b)吸入空気量積算値GATが判定積算値GATX以上となったとき、第1シリンダ群CAと第2シリンダ群CBとのそれぞれに適用する噴射モードをそれまで適用していた噴射モードからもう一方の噴射モードへ切り換える。
図7を参照して、本実施形態の作用効果について説明する。
図7(a)は、第1シリンダ群CAに対して第1噴射モードを、第2シリンダ群CBに対して第2噴射モードを適用したときの筒内噴射インジェクタDI及びポート噴射インジェクタPIの燃料噴射比率を示す。
第1シリンダ群CAにおいては、第2噴射モードによる燃料噴射時に比べて筒内噴射比率RDが大きいため、相対的に混合気の燃焼速度が大きくなる。これにより、シリンダ内の温度が上昇するため、筒内噴射インジェクタDIの先端部の温度が高められるようになる。
〔b〕「噴射状態[2]について」
第1シリンダ群CAにおいては、第1噴射モードによる燃料噴射時に比べてポート噴射比率RPが大きいため、良好な燃焼状態が得られるようになる。一方で、燃焼速度が小さくなるため、筒内噴射インジェクタDIの先端部の温度が低下するものの、「GAT≧判定積算値GATX」の条件が満たされるまで噴射状態[1]が継続されているため、先端部の平均温度は基準温度THd以上に維持される。
図8を参照して、「燃料噴射処理」及び「噴射比率設定処理」による制御態様の一例について説明する。
[イ]時刻t81は、エンジン1の運転が開始された時刻を示す。
[ロ]時刻t82は、エンジン運転領域が第2領域R2に移行した時刻を示す。
[ハ]時刻t83は、「GAT≧GATX」となった時刻を示す。
[ニ]時刻t84は、「GAT≧GATX」となった時刻を示す。
[ホ]時刻t85は、「GAT≧GATX」となった時刻を示す。
[へ]時刻t86は、エンジン運転領域が第3領域R3に移行した時刻を示す。
時刻t81から時刻t82の期間は、エンジン運転領域が第1領域R1であること基づいて、ポート噴射インジェクタPIのみを通じて燃料噴射が行われる。
[第1シリンダ群CA] RD:RP=0:100
[第2シリンダ群CB] RD:RP=0:100
時刻t82から時刻t83の期間は、エンジン運転領域が第2領域R2であること基づいて、筒内噴射インジェクタDIとポート噴射インジェクタPIとにより燃料噴射が行われる。ここでは、第1シリンダ群CAに対して第1噴射モードが、第2シリンダ群CBに対して第2噴射モードがそれぞれ適用されたとする。
[第1シリンダ群CA] RD:RP=RD1:RP1(RD1>RP1)
[第2シリンダ群CB] RD:RP=RD2:RP2(RD2<RP2)
時刻t84においては、吸入空気量積算値GATが判定積算値GATX以上となったこと基づいて、第1シリンダ群CAに対して第2噴射モードが、第2シリンダ群CBに対して第1噴射モードがそれぞれ適用される。
[第1シリンダ群CA] RD:RP=RD2:RP2(RD2<RP2)
[第2シリンダ群CB] RD:RP=RD1:RP1(RD1>RP1)
時刻t85においては、吸入空気量積算値GATが判定積算値GATX以上となったこと基づいて、第1シリンダ群CAに対して第1噴射モードが、第2シリンダ群CBに対して第2噴射モードがそれぞれ適用される。
このとき、筒内噴射比率RDとポート噴射比率RPとの比は、次のように示される。
[第1シリンダ群CA] RD:RP=100:0
[第2シリンダ群CB] RD:RP=100:0
なお、時刻t86以降においては、エンジン運転領域が遷移するたびに、上記に準じた態様をもって各インジェクタDI,PIによる燃料噴射が行われる。
以上詳述したように、この第1実施形態にかかるエンジンの燃料噴射制御装置によれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
(2)本実施形態によれば、第1噴射モードを通じての燃料噴射により燃焼状態の悪化が生じた場合にあっても、こうした燃焼状態の悪化がエンジン1のトルク変動として現れにくくなるため、ドライバビリティの悪化を好適に抑制することができるようになる。
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
本発明の第2実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。
本実施形態では、筒内噴射インジェクタDIとポート噴射インジェクタPIとにより燃料噴射を行う際にエンジン1の運転状態(ここでは冷却水温度)に基づいて筒内噴射比率RD及びポート噴射比率RPを設定するエンジン1に対して本発明を適用した場合を想定している。
図9を参照して、燃料噴射処理について説明する。
ステップS200までの処理は前記第1実施形態と同様の態様をもって行われる。
[ステップT400]冷却水温度THwが判定温度THwX未満のとき、筒内噴射インジェクタDIとポート噴射インジェクタPIとを通じて燃料噴射を行う第2噴射形態を選択する。
[ステップT600]第2噴射形態が選択されているとき、冷却水温度THwに基づいて、筒内噴射比率RD及びポート噴射比率RPを算出する。なお、以降では、この処理を通じて設定された筒内噴射比率RDを基本筒内噴射比率RDbase(エンジン1の運転状態に基づいて設定された基本割合に相当)、ポート噴射比率RPを基本ポート噴射比率RPbaseとする。
本処理の概要について説明する。
本処理では、シリンダに対して次の第3噴射モード及び第4噴射モードのいずれかを適用するとともに、適用する噴射モードを選択的に切り換えるようにしている。
第3噴射モードにおいて、筒内噴射比率RDを第3筒内噴射比率RD3、ポート噴射比率RPを第3ポート噴射比率RP3とすると、これら各噴射比率は以下の関係式
100>RD3>RDbase [%]
0 <RP3<RPbase [%]
により示される。
RD4=RDbase [%]
RP4=RPbase [%]
により示される。
具体的には、以下のように各噴射モードの適用が行われる。
(a)第1シリンダ群CAに対して第3噴射モードを適用するとき、第2シリンダ群CBに対して第4噴射モードを適用する。
(b)第1シリンダ群CAに対して第4噴射モードを適用するとき、第2シリンダ群CBに対して第3噴射モードを適用する。
[ステップT701]前回の処理の終了から現在までにエアフロメータ53を通じて検出された吸入空気量GAを積算して吸入空気量積算値GATを算出する。
[ステップT703]第4噴射モードが選択されているシリンダ群において、適用する噴射モードを第4噴射モードから第3噴射モードへ切り換える。
RD3←RDbase+α
RP3←RPbase−α
を通じて第3筒内噴射比率RD3及び第3ポート噴射比率RP3の算出が行われる。
[ステップT704]第3噴射モードが選択されているシリンダ群において、適用する噴射モードを第4噴射モードへ切り換える。
ステップT705の処理の終了後、「燃料噴射処理」(図5)のステップS700へ復帰する。
第3噴射モードを通じて燃料噴射を行う場合、第4噴射モードによる燃料噴射時に比べて筒内噴射比率RDが大きいため、相対的に混合気の燃焼速度が高められるようになる。これにより、シリンダ内の温度上昇にともなって筒内噴射インジェクタDIの温度の低下が抑制されるため、デポジットの付着量が低減されるようになる。
以上詳述したように、この第2実施形態にかかるエンジンの燃料噴射制御装置によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(4)の効果に準じた効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
なお、上記第2実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
[ステップT720]燃焼室温度THcが判定燃焼室温度THcX以上か否かを判定する。即ち、下記条件
THc≧THcX
が満たされているか否かを判定する。
燃焼室温度THcが判定燃焼室温度THcX未満のとき、ステップT701の処理(図10)へ移行する。
その他、上記各実施形態に共通して変更することができる要素を以下に列挙する。
・上記各実施形態では、図3及び図4に例示したマップに基づいて、燃料噴射に用いるインジェクタを選択する構成としたが、これら各マップの構成は例示した内容に限られるものではない。要するに、筒内噴射インジェクタとポート噴射インジェクタとにより燃料噴射を行う運転領域を含めて構成されたマップであれば、適宜のマップを採用することができる。
Claims (5)
- 燃焼室に燃料を噴射する第1インジェクタ及び吸気通路に燃料を噴射する第2インジェクタを備えるとともに機関運転状態に基づいて要求噴射量を設定するエンジンにおいて前記第1インジェクタの燃料噴射量である第1噴射量及び前記第2インジェクタの燃料噴射量である第2噴射量を調整するものであって、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの双方を用いる噴射形態Aと、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの一方を用いる噴射形態Bとを切り換えて燃料噴射を行うエンジンの燃料噴射制御装置において、
前記噴射形態Aを選択しているとき、前記要求噴射量に対する前記第1噴射量の割合を前記要求噴射量に対する前記第2噴射量の割合よりも大きく設定する第1噴射モードと、前記要求噴射量に対する前記第1噴射量の割合を前記要求噴射量に対する前記第2噴射量の割合よりも小さく設定する第2噴射モードとを切り換えるものであって、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタによる燃料噴射が実行される毎にそのときに選択している前記第1噴射モード及び前記第2噴射モードの一方の噴射モードを他方の噴射モードに切り換えて次の燃料噴射を行う制御手段を備える
ことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - 燃焼室に燃料を噴射する第1インジェクタ及び吸気通路に燃料を噴射する第2インジェクタを備えるとともに機関運転状態に基づいて要求噴射量を設定するエンジンにおいて前記第1インジェクタの燃料噴射量である第1噴射量及び前記第2インジェクタの燃料噴射量である第2噴射量を調整するものであって、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの双方を用いる噴射形態Aと、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの一方を用いる噴射形態Bとを切り換えて燃料噴射を行うエンジンの燃料噴射制御装置において、
前記噴射形態Aを選択しているとき、前記要求噴射量に対する前記第1噴射量の割合について機関運転状態に基づいて設定されるものを基本割合として、前記要求噴射量に対する前記第1噴射量の割合を前記基本割合よりも大きく設定する第1噴射モードと、前記要求噴射量に対する前記第1噴射量の割合を前記基本割合に設定する第2噴射モードとを切り換えるものであって、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタによる燃料噴射が実行される毎にそのときに選択している前記第1噴射モード及び前記第2噴射モードの一方の噴射モードを他方の噴射モードに切り換えて次の燃料噴射を行う制御手段を備える
ことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - 請求項1または2に記載のエンジンの燃料噴射制御装置において、
前記制御手段は、前記第1噴射モードと前記第2噴射モードとの切り換えを気筒毎に行う
ことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジンの燃料噴射制御装置において、
前記制御手段は、エンジンに設けられる複数の気筒を第1グループ及び第2グループに区分し、これらグループのそれぞれに対して前記第1噴射モード及び前記第2噴射モードのうちの互いに異なる噴射モードを適用し、前記第1噴射モードと前記第2噴射モードとを切り換える条件が成立する毎に前記第1グループ及び前記第2グループのそれぞれに適用する噴射モードをそのときに適用している一方の噴射モードから他方の噴射モードに切り換える
ことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - 請求項4に記載のエンジンの燃料噴射制御装置において、
前記制御手段は、点火順序が奇数の番号となるシリンダを前記第1グループに設定し、点火順序が偶数の番号となるシリンダを前記第2グループに設定する
ことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。
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