JP2011239841A - 粒子線照射装置、粒子線照射方法、及び粒子線照射プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粒子線照射装置10において、自然数mで表される被検体内の複数の第mスポットの各々に対応するパラメータを蓄積する蓄積部21と、各々の前記パラメータを目標として偏向磁場付与手段12に出力する電流を切り替えて前記複数の第mスポットに対し荷電粒子線を順番に入射させる励磁部30と、第m−1スポットに入射した荷電粒子線の線量が規定値に達したところで第1信号s1を出力する線量積算部14と、前記第1信号s1の出力に同期して蓄積部21から第m+1スポットに対応する前記パラメータを取得する取得部22と、先に取得部22で取得されている第mスポットに対応する前記パラメータを第1信号s1に同期して励磁部30に出力する切替指示部23と、を備える。
【選択図】 図1
Description
この治療法において、従来から適用される拡大ビーム法と呼ばれる粒子線照射方法は、荷電粒子線径を患部サイズ以上に拡大し、患部形状に合致するように照射領域をコリメータで制限している。
しかし、この拡大ビーム法は、3次元的な患部形状に照射領域を厳密に合致させることが困難で、患部周りの正常細胞への影響を小さくするのに限界がある。
図1に示すように荷電粒子線照射装置10(以下、単に装置10という)は、Z軸方向に荷電粒子を出射する荷電粒子銃11と、この荷電粒子をX方向に偏向させる第1偏向磁場付与手段12x(12)と、この荷電粒子をY方向に偏向させる第2偏向磁場付与手段12y(12)と、この荷電粒子の線量を検出する線量検出部13と、線量積算部14と、荷電粒子銃11から出射される荷電粒子のエネルギーを制御する銃制御部15と、第1偏向磁場付与手段12xに励磁電流を出力する第1励磁部30x(30)と、第2偏向磁場付与手段12yに励磁電流を出力する第2励磁部30y(30)と、これら励磁部30が出力する励磁電流の強度・タイミングを制御する制御部20と、から構成される。
なお、第2励磁部30yの構成は、第1励磁部30xと同じであるために、図面において詳細な記載が省略されている。
ここで、全照射スポット数をn個とし、1≦m≦nで表される自然数nは、任意のスポットを示す変数とする。そして、照射開始時のスポットを第1スポットとして、荷電粒子線が入射する順番に従って、第mスポット(m:自然数)のように連番を割り振る。
荷電粒子線は、被検体内を通過する際に運動エネルギーを失って速度を低下させるとともに、速度の二乗にほぼ反比例する抵抗を受けてある一定の速度まで低下すると急激に停止する。そして、荷電粒子線の停止点近傍では、ブラッグピークと呼ばれる大線量が発生する。
このために、患部領域40を荷電粒子線の出射方向(Z軸)に対して直交するX−Y面に複数のスライス面41,42,43が設定される。そして、銃制御部15により、荷電粒子銃11から出射されるエネルギーを変えることによって、荷電粒子線が入射するスライス面41,42,43の位置を変える。なお、このスライス面41,42,43の位置を変えるその他の方法として、被検体の前にプラスチック板等を挿入して荷電粒子線のエネルギーを落とす方法等もある。
このイオン源で発生したイオン(例えば、陽子イオン(または炭素イオン))はライナックで加速される、さらにシンクロトロンでエネルギーを与えられて加速される。
そして、荷電粒子線は、エネルギーが例えば100〜200MeVまでに高められた後、被検体に出射される。
荷電粒子銃11は、図3の最上段に示されるように、スポット1に安定した荷電粒子線が入射する前からスポットnに荷電粒子線が入射し終わるまで、連続的に荷電粒子線を出射している。
さらに、図示では、荷電粒子線のエネルギー出力は、全期間に亘って一定に記載されているが、スポット毎に異なる最適値に設定してもよい。
そして、この励磁部30に印加する電流の強度を変化させて磁場強度を変化させることにより、荷電粒子線を入射させるスポットの照準を切り替える。
スポットを素早く切り替えることにより、荷電粒子線の強度を上げて短時間で患部領域40への照射を完了することができ、患者への負担を減らすことができ、治療人数を増やすことが可能となる。
このような、スポットの素早い切り替えを実現するには、電流の応答が破線のプロファイルを示すことが望ましいが、現実には図示されるような応答遅れや過渡応答を示すものである。
そして、この第1信号s1の出力と同時に、積算をリセットして再び荷電粒子線の線量が規定値qに到達するまで積算を繰り返す。
この荷電粒子線の線量の規定値qは、図2の二段目に示されるように、各スポット毎に規定され、パラメータの蓄積部21(図1)に収められている。
また第1励磁部30x及び第2励磁部30y(以下、単に励磁部30という)は、偏向磁場付与手段12に電流を供給する電流発生器33と、この供給される電流値を検出する電流検出器35と、供給される電流値と目標値とを対比する比較部36と、供給される電流値を表示用の信号に置き換えるAD変換部37とから構成されている。
そして、励磁部30は、偏向磁場付与手段12に供給する電流を、照準のスポットに対応するパラメータの電流目標値(図2)に切り替える。
ここで、励磁部30の制御定数とは、図3の最下段に示される電流プロファイルにおける立ち上がりの応答遅れや、目標値に到達した後の過渡応答を解消させることを目的にしている。
そして、取得部22は、蓄積部21から取得したパラメータを、その後、切替指示部23が励磁部30に送信するための送信信号p*に演算し、切替指示部23に送信する。
このように、パラメータの取得部22及び切替指示部23が連係することで、スポット照準の切替指示の遅れが解消される。つまり、この取得部22を用い無い場合、取得部22で第1信号s1を受信してから演算を実行して送信信号p*を送信するまでの期間だけ、励磁部30における実際の電流供給が遅延することになる。
本実施形態によれば、切替指示部23においてパラメータを送信信号pに演算する必要がないために、線量積算部14から第1信号s1を受信すると、即座にパラメータの送信信号pを励磁部30に送信することができ、スポットの照準の高速切替に貢献する。
この偏向磁場付与手段12に供給される電流の切り替えは、電流発生器33を構成するスイッチング素子(図示略)の動作により行われる。
比較部36は、この図4の五段目に示されるように、電流検出器35で検出される電流値が、パラメータの送信信号pに含まれる電流目標値(図2)の前後に到達すると、第2信号s2を出力する。
具体的には、図4に示すように、切替指示部23から第mスポットに対するパラメータの送信信号pが出力された後、比較部36からの第2信号s2よりも先に、次の第m+1スポットに対する第1信号s1が出力された場合がある。
このような動作は、図4の六段目に示すように、判定部24において、第1信号s1又は第2信号s2のいずれかを入力する度に、真/偽を交互に示す二値信号を出力し、真の信号に同期してパラメータの送信信号pを励磁部30に出力するようにする。
または、このような場合(第2信号s2よりも先に第1信号s1が出力される場合)は、図面の記載を省略するが、銃制御部15に対し、荷電粒子線の被検体への入射を停止させてもよい。
これにより、照準したスポットに対し的確に荷電粒子線を入射させることができるとともに、患者の被曝量が増すことが懸念される場合は、治療を中断することができる。
このような場合、判定部24は、この次回のパラメータの出力に同期して励磁部30が電流の切り替えを実行しないようにするとともに、銃制御部15に対し、荷電粒子線の被検体への入射を停止させる。
なお、切り替えをする前後の電流目標値が同じである場合や、その他、電流の切り替えがスイッチング素子の負荷を増加させないことが明らかな場合は、必ずしもこの判定を実施する必要はない。また、電流切替の安定動作が保障される間隔vは、スイッチング素子の発熱等の状態に応じて決めたり、適宜変更したりすることができる。
これによれば、電流の高速変換を妨げることなく電流値の読み取りが可能になるとともに、電流の正確な到達値を把握することができる。そして、照準したスポットに対し、荷電粒子線が正確に入射しているか否かを判断することができる。
まず、被検体の患部領域40を確定し、荷電粒子線を入射させるスポットを設定する(S11)。そして、各々のスポットに対し、荷電粒子線の線量の規定値q、励磁部30の電流目標値等のパラメータ(図2)を設定し蓄積部21に収める(S12)。
そして、この照準したスポットに入射した荷電粒子線の線量が線量積算部14において規定値qに到達するまで、励磁部30は電流を供給し続ける(S16:No)。
さらに、第1信号s1の出力される間隔が、電流発生器33の安定動作が保障される間隔vを満たしていれば(S19:Yes)、切替指示部23から次のスポットに対するパラメータの送信信号pが励磁部30に送られる(S20)。
そして、荷電粒子線の照準を次のスポットに合わせ(S22:No,S14:No)、全てのスポットの照射が終わるまで繰り返す(S22:Yes)。
例えば、荷電粒子線照射装置10は、コンピュータによって各手段を各機能プログラムとして実現することも可能であり、各機能プログラムを結合して粒子線照射プログラムとして機能させることも可能である。
Claims (9)
- 自然数mで表される被検体内の複数の第mスポットの各々に対応するパラメータを蓄積する蓄積部と、
各々の前記パラメータを目標として偏向磁場付与手段に出力する電流を切り替えて前記複数の第mスポットに対し荷電粒子線を順番に入射させる励磁部と、
第m−1スポットに入射した荷電粒子線の線量が規定値に達したところで第1信号を出力する線量積算部と、
前記第1信号の出力に同期して前記蓄積部から第m+1スポットに対応する前記パラメータを取得する取得部と、
先に前記取得部で取得されている第mスポットに対応する前記パラメータを前記第1信号に同期して前記励磁部に出力する切替指示部と、を備えることを特徴とする粒子線照射装置。 - 請求項1に記載の粒子線照射装置において、
前記励磁部は、前記出力する電流が入力した前記パラメータに到達したことを示す第2信号を出力する比較部を有し、
前記切替指示部から前回のパラメータが出力された後、前記第2信号よりも先に前記第1信号が出力された場合は、この第1信号よりも後に出力される第2信号に同期して次回のパラメータを出力させる判定部を備えることを特徴とする粒子線照射装置。 - 請求項2に記載の粒子線照射装置において、
前記判定部は、前記第2信号よりも先に前記第1信号が出力された場合は、前記荷電粒子線の前記被検体への入射を停止させることを特徴とする粒子線照射装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粒子線照射装置において、
前記励磁部は、切替指示部から前記パラメータが出力されるのに同期して前記電流の値を示すアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部を備えることを特徴とする粒子線照射装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の粒子線照射装置において、
前記切替指示部から前回のパラメータが出力された後に、前記励磁部における電流切替の安定動作が保障される間隔よりも短い間隔で次回のパラメータが出力される場合、前記励磁部はこの次回のパラメータの出力に同期した前記電流の切り替えを実行しないことを特徴とする粒子線照射装置。 - 請求項5に記載の粒子線照射装置において、
さらに、荷電粒子線の被検体への入射を停止させることを特徴とする粒子線照射装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の粒子線照射装置において、
前記パラメータは、前記励磁部が出力する前記電流の目標値の他に、この励磁部の制御定数又は前記荷電粒子線の線量の規定値が含まれることを特徴とする粒子線照射装置。 - 自然数mで表される被検体内の複数の第mスポットの各々に対応するパラメータを蓄積するステップと、
各々の前記パラメータを目標として偏向磁場付与手段に出力する電流を切り替えて前記複数の第mスポットに対し荷電粒子線を順番に入射させるステップと、
第m−1スポットに入射した荷電粒子線の線量が規定値に達したところで第1信号を出力するステップと、
前記第1信号の出力に同期して前記蓄積部から第m+1スポットに対応する前記パラメータを取得するステップと、
先に取得されている第mスポットに対応する前記パラメータを前記第1信号に同期して前記励磁部に出力するステップと、を含むことを特徴とする粒子線照射方法。 - コンピュータを、
自然数mで表される被検体内の複数の第mスポットの各々に対応するパラメータを蓄積させる手段、
各々の前記パラメータを目標として偏向磁場付与手段に出力する電流を切り替えて前記複数の第mスポットに対し荷電粒子線を順番に入射させる手段、
第m−1スポットに入射した荷電粒子線の線量が規定値に達したところで第1信号を出力する手段、
前記第1信号の出力に同期して前記蓄積部から第m+1スポットに対応する前記パラメータを取得する手段、
先に取得されている第mスポットに対応する前記パラメータを前記第1信号に同期して前記励磁部に出力する手段、として機能させることを特徴とする粒子線照射プログラム。
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