JP2011239143A - 記録システム、車載機及び携帯機 - Google Patents
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Abstract
【課題】携帯機での異常発生原因を特定するのに有用な情報を提供できるようにする。
【解決手段】車載機は、携帯機と通信可能に接続されると、接続された携帯機のIDコードを取得し(S120)、当該IDコードに対応したログファイルを開き(S140)、このログファイルに、車内環境等を記述したレコードを登録する。具体的には、温度センサ、湿度センサ及び振動センサの計測値に基づき、車内が異常な環境下(高温環境下又は低温環境下又は高湿環境下又は強振動環境下)にある場合には、その継続時間を記したレコードをログファイルに登録する(S170〜S190)。また、携帯機に動作異常が発生した場合や車内が異常な環境下にある場合には、携帯機の動作状態を記したレコードをログファイルに登録し(S210)、更には、接続機と車載機との接続解除時に、携帯機と車載機との接続時間を記したレコードをログファイルに登録する(S250)。
【選択図】図3
【解決手段】車載機は、携帯機と通信可能に接続されると、接続された携帯機のIDコードを取得し(S120)、当該IDコードに対応したログファイルを開き(S140)、このログファイルに、車内環境等を記述したレコードを登録する。具体的には、温度センサ、湿度センサ及び振動センサの計測値に基づき、車内が異常な環境下(高温環境下又は低温環境下又は高湿環境下又は強振動環境下)にある場合には、その継続時間を記したレコードをログファイルに登録する(S170〜S190)。また、携帯機に動作異常が発生した場合や車内が異常な環境下にある場合には、携帯機の動作状態を記したレコードをログファイルに登録し(S210)、更には、接続機と車載機との接続解除時に、携帯機と車載機との接続時間を記したレコードをログファイルに登録する(S250)。
【選択図】図3
Description
本発明は、特定種のデータを記録する記録システム、並びに、このシステムを構成する車載機及び携帯機に関する。
携帯電話等の携帯型の情報機器(以下「携帯機」とも表現する。)には、近年、手帳機能や音楽再生機能、ゲーム機能等の様々な機能が搭載され、携帯機は、生活に欠かせないツールになりつつある。この種の携帯機は、ユーザによって常に携帯されるケースが多く、ユーザの移動に応じて様々な環境で使用される。
更に、近年では、携帯機及び車載機の機能を組み合わせることによって、自動車内で利便性の高い機能をユーザに提供することが考えられている。例えば、携帯機が有する無線通信機能を通じて車載機向けのデータをダウンロードする機能や、携帯機が再生する音楽を、車載機を通じて車内のスピーカシステムに出力する機能等をユーザに提供することが考えられている。
一方、車載機としては、故障原因を調査するためのプログラムをセンタからダウンロードし、このプログラムの実行により車載機の故障原因を調査し、その調査結果をセンタへ送信する機能を有するものが知られている。この種の車載機に対しては、サーバから故障原因等を遠隔操作で診断することが可能である(例えば特許文献1参照)。
ところで、携帯機は携帯されて様々な環境で利用されることから、非携帯型機器と比較して故障しやすく、仕様に適合しない過酷な環境下に晒されることで、故障するケースが非携帯型機器と比較して多い。現在普及している携帯機は、人が常に持ち歩くことを前提とした設計となっているため、自動車内での利用を考えた場合には、車両特有の過酷な環境によって故障する可能性がある。一方、携帯機の故障原因を特定するための技術は十分に開発されておらず、過酷な環境下での使用が原因で携帯機が故障しても、故障原因を故障後の携帯機から特定することは容易ではない。
このため、現在のところ携帯機に対する保証サービスは、十分に確立されておらず、ユーザが満足するような保証サービスを提供することは、現状できていない。また、故障原因の特定が困難であるので、故障情報を、携帯機への開発に十分に役立てることができない現状がある。即ち、故障情報に基づいて車内環境に強い携帯機を低コストに開発したいといったニーズに対し、開発に役立つ故障情報を提供できていない現状がある。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、携帯機での異常の発生原因を特定するのに有用な情報を提供可能なシステム並びに当該システムを構成可能な携帯機及び車載機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明(請求項1記載)の記録システムは、携帯機と車載機とを有する。車載機は、経時変化する車内環境に関する物理量を計測可能な計測機器による当該物理量の計測データを取得可能な計測データ取得手段を備えた構成にされ、携帯機及び車載機の夫々は、互いに通信可能な通信手段を備える。尚、通信手段は、車内で携帯機及び車載機が互いに通信可能なものであればよく、有線通信及び無線通信(近距離無線通信)のいずれの形態で通信を行うものであっても構わない。
このシステムにおいて、携帯機及び車載機の少なくとも一方は、記憶媒体と、記憶媒体が記憶する車内環境を表すデータを出力する出力手段とを備える。更に、携帯機及び車載機の少なくとも一方は、車内環境を表すデータを記憶媒体に書き込む書込制御手段を備え、通信手段を通じて携帯機と車載機とが通信可能に接続されたことを契機に、計測データ取得手段が取得した計測データに基づき、携帯機と車載機とが通信可能に接続された状態での車内環境を表すデータを記憶媒体に書き込む。
即ち、このシステムでは、通信手段を通じて携帯機と車載機とが通信可能に接続されたことを契機に、車内環境を表すデータを記憶媒体に書き込むことで、おおよそ、携帯機が車内に持ち込まれたことを契機に車内環境を表すデータを記憶媒体に書き込む動作を実現し、必要に応じて、この車内環境を表すデータを出力する。出力先としてはディスプレイや故障診断装置等を挙げることができる。
従って、このシステムによれば、車内環境を原因とする携帯機の異常の発生原因を特定するのに有用な情報(車内環境を表すデータ)を、記憶媒体に蓄積して、ユーザに提供することができる。即ち、このシステムを利用すれば、ユーザは、出力手段を通じて得られる車内環境を表すデータに基づき、携帯機が車内において如何なる環境で使用されていたかを分析でき、車内環境を原因として携帯機で生じた異常(故障)の特定に役立てることができる。よって、この記録システムによれば、車内環境に十分耐えうる携帯機の開発や携帯機の保証サービスの開発に役立つ。
尚、書込制御手段は、携帯機及び車載機の内、車内環境を表すデータを書き込む対象の記憶媒体を内蔵する機器とは接続関係にある機器の識別コードを当該記憶媒体に書き込み、この識別コードに関連付けて、車内環境を表すデータを記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項2)。携帯機と車載機との組合せが一通りではない場合には、車内環境を表すデータのみを記録媒体に書き込んでも、そのデータが、どの携帯機と車載機との組合せに対応したデータであるのか特定することができない。一方、書込制御手段のように識別コードを、車内環境を表すデータに関連付ければ、このような問題を解消することができる。
特に、このような動作は、車載機の記憶媒体に車内環境を表すデータを書き込む際に特に有効である。この場合には、一の車載機に複数の携帯機が接続されうる環境下でも、各携帯機の異常の発生原因を特定するのに有用な情報(車内環境を表すデータ)を車載機の記憶媒体に記録することができる。
また、書込制御手段は、携帯機と車載機とが通信可能に接続された状態での携帯機の動作状態を表すデータを、車内環境を表すデータに関連付けて記憶媒体に書き込む構成にされると好ましい(請求項3)。この記録システムによれば、記憶媒体に記憶されたデータに基づき、車内環境と携帯機の動作状態との対応関係を把握することができるので、一層、携帯機の異常発生原因の特定を容易にすることができる。
また、書込制御手段は、携帯機と車載機とが通信可能に接続された状態での車載機の動作状態を表すデータを、車内環境を表すデータに関連付けて記憶媒体に書き込む構成にされると好ましい(請求項4)。携帯機と車載機とが互いに通信可能な状態では、互いが相手側機器の動作に影響を及ぼすため、携帯機の異常発生原因が車載機に起因するものである可能性もある。従って、このように記録システムを構成すれば、記憶媒体に記憶されたデータに基づき、携帯機での異常発生原因が車内環境によるものなのか車載機によるものなのか等を容易に把握することができ、一層携帯機の異常発生原因の特定を容易にすることができる。
この他、書込制御手段は、携帯機と車載機とが通信可能に接続されている期間において定期的に、その時点での車内環境を表すデータを記憶媒体に書き込む構成することもできるし(請求項5)、携帯機と車載機とが通信可能に接続されている期間において、携帯機の仕様に適合しない異常な車内環境を検知し、車内環境を表すデータとして、異常な車内環境の発生内容を記したデータを記憶媒体に書き込む構成にすることもできる(請求項7)。
定期的に車内環境を表すデータを記憶媒体に書き込む場合には、記憶媒体に書き込むデータ量が多くなるが、記憶媒体に蓄積されたデータに基づき、後日詳細に車内環境を分析することができる。
一方、車内環境を表すデータとして異常な車内環境の発生内容を記したデータを記憶媒体に書き込む場合には、記憶媒体に書き込むデータ量を抑えて、効率的に携帯機の異常発生原因の特定に有用なデータを記憶媒体に書き込むことができる。尚、書込制御手段は、前者及び後者の両動作を実行して車内環境を表すデータを記憶媒体に書き込む構成にされてもよい。
また、書込制御手段は、車内環境を表すデータとして、携帯機の異常発生原因となりやすい車内温度、車内湿度、及び、車内の振動レベル(の少なくとも一つ)に関するデータを記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項6,請求項8〜請求項10)。
具体的に、書込制御手段は、車内温度が携帯機の仕様に適合しない温度範囲にある環境を異常な車内環境として検知し、異常な車内環境の発生内容として、車内温度が携帯機の仕様に適合しない温度範囲にあった時間を記したデータを記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項8)。
この他、書込制御手段は、車内湿度が携帯機の仕様に適合しない湿度範囲にある環境を異常な車内環境として検知し、異常な車内環境の発生内容として、車内湿度が携帯機の仕様に適合しない湿度範囲にあった時間を記したデータを記憶媒体に書き込む構成(請求項9)や、車内が携帯機の仕様に適合しない異常な振動下にある状態を異常な車内環境として検知し、異常な車内環境の発生内容として、車内が携帯機の仕様に適合しない異常な振動下にあった時間を記したデータを記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項10)。
また、書込制御手段は、携帯機と車載機とが通信可能に接続されている期間において定期的に、その時点での携帯機の動作状態を表すデータを、その時点での車内環境を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込む構成にされてもよいが(請求項15)、次のよう構成にされると一層好ましい。即ち、書込制御手段は、携帯機と車載機とが通信可能に接続されている期間において、携帯機の仕様に適合しない異常な車内環境を検知したことを契機に、異常な車内環境の発生時における携帯機の動作状態を表すデータを、当該異常な車内環境の発生時の車内環境を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込む構成にされるとよい(請求項11)。
同様に、書込制御手段は、携帯機と車載機とが通信可能に接続されている期間において定期的に、その時点での携帯機及び車載機の動作状態を表すデータを、その時点での車内環境を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込む構成にされてもよいが(請求項16)、携帯機と車載機とが通信可能に接続されている期間において、携帯機の仕様に適合しない異常な車内環境を検知したことを契機に、異常な車内環境の発生時における携帯機及び車載機の動作状態を表すデータを、当該異常な車内環境の発生時の車内環境を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込む構成にされるとよい(請求項12)。
このように書込制御手段を構成すれば、携帯機の異常発生原因の特定に有用なデータを効率的に記憶媒体に書き込むことができる。
この他、書込制御手段は、携帯機と車載機とが通信可能に接続されている期間において、携帯機の異常を検知する度に、当該異常発生時の携帯機の動作状態を表すデータを、当該異常発生時の車内環境を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込む構成(請求項13)や、携帯機の異常を検知する度に、当該異常発生時の携帯機及び車載機の動作状態を表すデータを、当該異常発生時の車内環境を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項14)。
この他、書込制御手段は、携帯機と車載機とが通信可能に接続されている期間において、携帯機の異常を検知する度に、当該異常発生時の携帯機の動作状態を表すデータを、当該異常発生時の車内環境を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込む構成(請求項13)や、携帯機の異常を検知する度に、当該異常発生時の携帯機及び車載機の動作状態を表すデータを、当該異常発生時の車内環境を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項14)。
このように、携帯機の異常を検知する度に、携帯機(及び車載機)の動作状態を表すデータを、車内環境を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込めば、携帯機の異常発生原因が車内環境を原因とするものであるのかを特定するために有用な情報を効率的に記憶媒体に書き込むことができる。
また、車載機及び携帯機が連携動作するシステムにおいて、書込制御手段は、車載機及び携帯機の連携動作についての動作状態を表すデータを記憶媒体に書き込む構成にすることができる。
また、書込制御手段は、上記車内環境を表すデータを、車内環境の発生日時を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込む構成にすることができ(請求項17)、上記動作状態を表すデータを、当該動作状態の発生日時を表すデータと関連付けて記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項18)。
この他、携帯機及び車載機の少なくとも一方が自機の現在位置を検出可能な位置検出手段を備える場合、書込制御手段は、この位置検出手段の検出結果に基づき、車内環境を表すデータに関連付けて、このデータが表す車内環境に対応する時刻に携帯機及び車載機が位置していた場所を表す位置データを、記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項19)。このように構成された記録システムによれば、位置データに基づき、一層正確に携帯機の異常発生原因を特定することができる。
また、書込制御手段は、通信手段を通じた携帯機と車載機との接続が開始された時点及び携帯機と車載機との接続が解除された時点の各日時を表すデータを記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項20)。この他、書込制御手段は、携帯機と車載機との接続時間を表すデータを記憶媒体に書き込む構成にされてもよい。
また、上記記録システムを構成するために、車載機は、例えば、次のように構成することができる。即ち、車載機は、携帯機と車内において有線通信又は近距離無線通信可能な通信手段と、経時変化する車内環境に関する物理量を計測可能な計測機器による当該物理量の計測結果を表す計測データを取得可能な計測データ取得手段と、通信手段を通じて自機と携帯機とが通信可能に接続されたことを契機に、計測データ取得手段が取得した計測データに基づき、自機と携帯機とが通信可能に接続された状態での車内環境を表すデータを、自機の記憶媒体に書き込む書込制御手段と、記憶媒体が記憶する車内環境を表すデータを出力する出力手段と、を備えた構成にすることができる(請求項21)。
このように構成された車載機を用いれば、上述の記録システムを構成することができ、車載機内の記憶媒体に書き込まれた車内環境を表すデータに基づき、携帯機が晒されていた車内環境を特定することができる。よって、この車載機によれば、携帯機の異常発生原因の特定に役立つ。
尚、書込制御手段は、自機と接続関係にある携帯機の識別コードを、通信手段を通じて携帯機から取得して記憶媒体に書き込み、この識別コードに関連付けて、車内環境を表すデータを記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項22)。
また、書込制御手段は、自機と携帯機とが通信可能に接続された状態での携帯機の動作状態を表すデータを、通信手段を通じて携帯機から取得し、当該取得した携帯機の動作状態を表すデータを、車内環境を表すデータに関連付けて記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項23)。更に、書込制御手段は、自機と携帯機とが通信可能に接続された状態での自機の動作状態を表すデータを、車内環境を表すデータに関連付けて記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項24)。
この他、上記記録システムを構成するために、携帯機は、例えば、次のように構成することができる。即ち、携帯機は、車載機と車内において有線通信又は近距離無線通信可能な通信手段と、通信手段を通じて自機と車載機とが通信可能に接続されたことを契機に、車載機から通信手段を通じて上記計測データを取得し、この計測データに基づき、自機と車載機とが通信可能に接続された状態での車内環境を表すデータを、自機の記憶媒体に書き込む書込制御手段と、記憶媒体が記憶する車内環境を表すデータを出力する出力手段と、を備えた構成にすることができる(請求項25)。
また、書込制御手段は、通信手段を通じて自機と接続関係にある車載機の識別コードを車載機から取得して記憶媒体に書き込み、識別コードに関連付けて、車内環境を表すデータを記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項26)。更に、書込制御手段は、自機と車載機とが通信可能に接続された状態での自機の動作状態を表すデータを、車内環境を表すデータに関連付けて記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項27)。この他、書込制御手段は、自機と車載機とが通信可能に接続された状態での車載機の動作状態を表すデータを、通信手段を通じて車載機から取得し、当該取得した車載機の動作状態を表すデータを、車内環境を表すデータに関連付けて記憶媒体に書き込む構成にすることができる(請求項28)。
また、上述した各手段としての機能は、プログラムによりコンピュータに実現させることができ、これらの機能を実現するためのプログラムは、磁気ディスクや光ディスク(DVD等)、公衆回線を通じて、ユーザに提供することができる。
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。本実施例の記録システム1は、図1及び図2に示すように、携帯機10と、車内に固定配置された車載機50とを構成要素とするシステムである。携帯機10は、例えば、図1(a)に示すように車載機50に装着されて、車載機50と有線にて通信可能に接続される。別例として、携帯機10は、図1(b)に示すように、車載機50から延びるケーブル3の先端に設けられたクレードル4に装着されることで、車載機50と有線にて通信可能に接続される。以下では、記録システム1として、携帯機10と車載機50とが有線にて通信可能に接続される例を説明するが、記録システム1は、携帯機10と車載機50とが無線通信可能に接続される構成にされてもよい。例えば、記録システム1は、携帯機10と車載機50とがブルートゥース(登録商標)等の短距離無線通信方式により、車内において無線通信可能に接続される構成にすることができる。
続いて、携帯機10及び車載機50の詳細構成を図2を用いて説明する。本実施例の携帯機10は、電話機能及び音楽再生機能及び経路案内機能(ナビゲーション機能)等を有した携帯型の情報機器であり、機器全体を統括制御する制御回路11と、セルラー網を通じて外部装置と通信可能な通信インタフェースである外部通信インタフェース13と、ユーザに向けて各種情報を表示する液晶ディスプレイ等で構成される表示部15と、スピーカ等で構成される音声出力部17と、メカニカルなキースイッチやタッチパネル等で構成される操作部19と、GPS衛星からの衛星電波(GPS信号)に基づいて現在位置を検出するGPS受信機21と、車載機50を通信可能に接続するためのコネクタCN1を備えた通信インタフェース23とを備える。
制御回路11は、CPU11aと、CPU11aにより実行されるプログラム等を記憶するROM11bと、CPU11aによるプログラム実行時に作業領域として使用されるRAM11cと、電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリであるNVRAM11d(例えばフラッシュメモリ)と、を備え、ROM11bが記憶するプログラムをCPU11aにて実行することにより、機器全体を統括制御し、電話機能及び音楽再生機能及び経路案内機能等の各種機能を実現する。
例えば、制御回路11は、操作部19を通じて入力される指令に従ってNVRAM11dに保存された音楽データの再生音を音声出力部17から出力する(音楽再生機能)。また、セルラー網を通じて外部サーバから地図データを取得し、取得した地図データと、GPS受信機21により検出された現在位置の情報とに基づき、操作部19を通じて指定された目的地までの経路を、音声出力部17を通じた音声案内及び表示部15を通じた経路表示により案内する(経路案内機能)。
また、制御回路11は、自機(携帯機10)が車載機50と通信可能に接続された場合、音楽データの再生音が車内のスピーカ71から出力されるように、車載機50と通信する。この他、車載機50を通じて車両速度や進行方向等の車両の運転情報を取得し、この運転情報に基づき、運転者の運転にあわせた選曲動作を行う。更には、運転情報に基づき、GPS信号に基づき検出した現在位置を補正し、GPS信号を受信できない場合には、運転情報から現在位置を推定する処理を行う。
また、車載機50と通信可能に接続された場合には、操作部19(特にタッチパネル)を通じて、携帯機10のみならず車載機50や車内LAN内の機器に対する操作も受け付け、車載機50や車内LAN内の機器に対する操作内容については、これを通信インタフェース23を通じて車載機50に入力することで、操作部19を通じた車載機50や車内LAN内の機器に対する操作を実現する。この他には、車載機50と通信し、車内環境を表すデータである車内環境データを、NVRAM11dに保存する(詳細後述)。この車内環境データは、携帯機10の異常発生原因(故障原因)を特定するために使用される。
一方、車載機50は、車載機50全体を統括制御する制御回路51と、携帯機10を通信可能に接続するためのコネクタCN2を備えた通信インタフェース53と、メカニカルなキースイッチで構成される操作部55と、マイクロフォン等で構成される音声入力部57と、車内LAN内の各ノードと通信可能な通信インタフェースであるLANインタフェース59とを備える。
制御回路51は、CPU51aと、CPU51aにより実行されるプログラム等を記憶するROM51bと、CPU51aによるプログラム実行時に作業領域として使用されるRAM51cと、電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリであるNVRAM51d(例えばフラッシュメモリ)と、を備え、CPU51aにてROM51bが記憶する各種プログラムを実行することにより、各種機能を実現する。
例えば、制御回路51は、車内LANに接続された情報系ECU(電子制御装置)に対するユーザインタフェースとして車載機50を機能させるための処理を実行する。即ち、操作部55を通じて入力された指令を、LANインタフェース59を通じて、車内LANに接続された当該指令に対応する情報系ECUに入力することで、ユーザが情報系ECUを操作できるようにする。情報系ECUとしては、例えば、オーディオ機能を有したオーディオECU70等を挙げることができる。また、制御回路51は、音声入力部57を通じて入力された音声を認識して入力音声に対応した指令を、指令に対応する車内LAN内の電子制御装置に入力する。この動作により、車載機50は、音声操作可能なユーザインタフェースとして機能する。
この他、制御回路51は、携帯機10が通信可能に接続された場合、音声入力部57を通じて車載機50や車内LAN内の機器に対する音声操作だけではなく携帯機10に対する音声操作も受け付ける。そして、携帯機10に対する操作内容については、これを、通信インタフェース53を通じて携帯機10に入力することで、音声入力部57を通じた携帯機10の音声操作を実現する。
また、制御回路51は、車内LANに接続されたECU80を通じて、経時変化する車内環境を表す物理量を計測する計測機器から、この物理量の計測値を表す計測データを取得し、この計測データに基づき、車内環境データをNVRAM51dに保存する。具体的には、ECU80に接続された温度センサ81から車内温度の計測値を表す温度計測データを取得し、ECU80に接続された湿度センサ83から車内湿度の計測値を表す湿度計測データを取得し、ECU80に接続された振動センサ85から車内の振動レベルを表す振動計測データを取得する。
続いて、車内環境データを保存するために車載機50及び携帯機10が実行する処理について説明する。以下では、車載機50が図3に示す主記録処理を実行し、携帯機10が図9に示す副記録処理を実行する例を説明するが、本実施例の記録システム1は、携帯機10が図3に示す主記録処理を実行し、車載機50が図9に示す副記録処理を実行する構成にされてもよい。車載機50が図3に示す主記録処理を実行し、携帯機10が図9に示す副記録処理を実行する場合と、携帯機10が図3に示す主記録処理を実行し、車載機50が図9に示す副記録処理を実行する場合の構成上の差異については、後に補足説明する。尚、これから説明する記録システム1において車載機50は、イグニッションスイッチのオン/オフに関わらず、繰返し主記録処理を実行するものとする。
車載機50の制御回路51は、CPU51aでのプログラム実行により図3に示す主記録処理を開始すると、通信インタフェース53のコネクタCN2及び通信インタフェース23のコネクタCN1同士が接続されることで、車載機50と携帯機10とが通信可能に接続されるまで待機する(S110)。そして、車載機50と携帯機10とが通信可能に接続されると(S110でYes)、接続相手から当該接続相手のIDコード(識別コード)を取得する(S120)。
即ち、制御回路51は、通信インタフェース53を通じて接続相手である携帯機10から当該携帯機10のIDコードを取得する。尚、本実施例において、車載機50及び携帯機10の夫々には、固有のIDコードが割り当てられているものとする。記録システム1は、IDコードを車載機50及び携帯機10の夫々において、ハードウェア的に又はソフトウェア的に記憶保持する構成にすることができる。
この処理を終えると、制御回路51は、取得したIDコードに対応する機器の接続時に用いるべきログファイルがNVRAM51dに既に登録されているか否かを判断する(S130)。尚、ログファイルは、ヘッダ情報として、当該ログファイルに対応する機器のIDコードが記述された構成にされている。制御回路51は、取得したIDコードと一致するIDコードがヘッダ情報として記述されたログファイルがNVRAM51dに既に登録されている場合、S130で肯定判断し、それ以外の場合には、否定判断する。
ここで、肯定判断すると(S130でYes)、制御回路51は、S140に移行して、該当するログファイルをRAM51cに読み込んで新規レコードの追加対象に設定する。一方、否定判断すると(S130でNo)、制御回路51は、S145に移行して、今回取得したIDコードをヘッダ情報として記述した新規ログファイルをNVRAM51dに生成し、このログファイルをRAM51cに読み込んで新規レコードの追加対象に設定する。
この処理を終えると、制御回路51は、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「接続開始」を表すイベントコードを記述したレコードを生成し、これを上記追加対象に設定したログファイルに追加登録する(S160)。尚、ログファイルに格納されるレコードは、イベント日時が記述されるフィールドX1、イベント種類が記述されるフィールドX2、詳細データの種類が記述されるフィールドX3、及び、イベントの詳細内容を表す詳細データが格納されるフィールドX4を有した構成を採る。フィールドX3,X4には、必要に応じて該当データが格納される。
その後、制御回路51は、車載機50と携帯機10との接続が解除されるまで、S170〜S220の処理ループを定期的に繰返し実行する。尚、処理ループの実行周期としては、イグニッションスイッチがオンにされて車両が運転されている期間と、イグニッションスイッチがオフにされて車両が停止している期間とで、異なる周期を割り当てることができる。具体的には、車両が停止している期間の実行周期は、車両が運転されている期間よりも長い周期に設定することができる。
処理ループについて詳述すると、S170では、図4に示す温度情報書込制御処理を実行する。温度情報書込制御処理において、制御回路51は、温度センサ81から車内温度の計測値を表す温度計測データをLANインタフェース59を通じて取得する(S310)。その後、書込モードが、定期書込モードに設定されているか否かを判断する(S320)。
本実施例では、車内環境データ等の書込モードとして、定期書込モードの他に、車内環境の異常発生時及び携帯機10の異常発生時に選択的に車内環境データ等を書き込むモードである異常時書込モードが用意されている。そして、ユーザの操作によって定期書込モード及び異常時書込モードのいずれか一方に、書込モードを切替可能に、車載機50及び携帯機10は構成されている。即ち、S320では、自機の書込モードが定期書込モードに設定されているか、それとも異常時書込モードに設定されているかを判断する。
そして、定期書込モードに設定されていると判断すると(S320でYes)、S335に移行し、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「定期書込」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「温度」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、温度計測データが示す車内温度の計測値(現在温度)を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、温度情報書込制御処理を終了する。
一方、書込モードが異常時書込モードに設定されていると判断すると(S320でNo)、制御回路51は、携帯機10に動作異常が発生しているか否かを判断する(S330)。携帯機10に動作異常が発生しているか否かの判断は、動作状態書込制御処理(図8参照)によってオン/オフが切り替えられる携帯機異常発生フラグFcに基づいて行う。携帯機10に動作異常が発生している場合には、携帯機異常発生フラグFcがオンに設定され、携帯機10に動作異常が発生していない場合には、携帯機異常発生フラグFcがオフに設定される。尚、携帯機異常発生フラグFcの初期値は「オフ」である。
この携帯機異常発生フラグFcに基づき、携帯機10に動作異常が発生していると判断すると(S330でYes)、S335に移行し、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「携帯機異常」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「温度」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、温度計測データが示す車内温度の計測値を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、温度情報書込制御処理を終了する。
一方、定期書込モードでもなく(S320でNo)、携帯機10にも動作異常が発生していない場合(S330でNo)には、S340に移行し、温度計測データが示す車内温度の計測値が、予め定められた閾値Th1を超えているか否かを判断する。本実施例の記録システム1は、携帯機10の異常発生原因を特定するためのレコードをログファイルに記録することを目的としており、異常時書込モードでは、車内温度が、携帯機10の仕様に適合しない温度範囲にあるとき、これを示すレコードをログファイルに記録する。このような動作を実現するため、閾値Th1については、予めシステムの設計者が、仕様上「携帯機10を使用可能な温度範囲」の上限値を基準に定める。具体的に、閾値Th1は、携帯機10の製造元が仕様として開示している「携帯機10を使用可能な温度範囲」の上限値と同一温度に設定されてもよいし、上限値よりも一定度低い温度に設定されてもよい。
そして、閾値Th1を超えている場合には(S340でYes)、高温フラグF1がオフに設定されているか否かを判断し(S350)、高温フラグF1がオフにされている場合には(S350でYes)、高温フラグF1をオンに設定後(S360)、S365に移行して、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「高温環境開始」を表すイベントコードを記述したレコードをログファイルに追加登録する。その後、温度情報書込制御処理を終了する。尚、高温フラグF1は、車内環境が携帯機10にとって異常な高温環境下にあることを示すフラグである。
一方、温度計測データが示す車内温度の計測値が閾値Th1を超えており(S340でYes)高温フラグF1がオンに設定されている場合には(S350でNo)、車内温度が閾値Th1を超えている状態が継続していることを示しているので、S335に移行して、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「温度異常」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「温度」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、温度計測データが示す車内温度の計測値を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。この動作によって、異常時書込モードであっても、車内温度が閾値Th1を超えている高温環境下では、定期的に、現在の車内温度を記述したレコードを、ログファイルに書き込む。その後、温度情報書込制御処理を終了する。
これに対し、温度計測データが示す車内温度の計測値が閾値Th1以下である場合には(S340でNo)、高温フラグF1がオンに設定されているか否かを判断することにより、車内の高温環境が終了したか否かを判断し(S370)、高温フラグF1がオンに設定されている場合には(S370でYes)、S375に移行して、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「高温環境終了」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「高温環境詳細」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、高温環境の継続時間(高温時間)T1を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、高温フラグF1をオフに設定して(S380)、S400に移行する。
尚、高温時間T1は、高温環境開始時から終了時までの時間(高温フラグF1がオンされてからオフされるまでの時間)に対応し、高温環境開始時に登録されたレコードのイベント日時と、高温環境終了時である現在日時との差分の時間に対応する。
また、温度計測データが示す車内温度の計測値が閾値Th1以下であり(S340でNo)高温フラグF1がオフに設定されている場合には(S370でNo)、車内が高温環境下でもなく高温環境の終了直後でもないため、何らレコード登録することなくS400に移行する。
S400では、温度計測データが示す車内温度の計測値が、予め定められた閾値Th2未満であるか否かを判断することによって車内が低温環境下にあるか否かを判断する。尚、閾値Th2は、閾値Th1と同様、仕様上の「携帯機10を使用可能な温度範囲」を基準に定めることができる。具体的に、閾値Th2は、「携帯機10を使用可能な温度範囲」の下限値を基準に、その下限値に一致する値や下限値よりも一定度高い値に定められる。S400では、この閾値Th2との車内温度の計測値との比較により、間接的には、車内が携帯機10にとって異常な低温下にあるか否かを判断する。
そして、温度計測データが示す車内温度の計測値が閾値Th2未満であると判断すると(S400でYes)、低温フラグF2がオフに設定されているか否かを判断し(S410)、低温フラグF2がオフに設定されている場合には(S410でYes)、低温フラグF2をオンに設定後(S420)、S425に移行して、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「低温環境開始」を表すイベントコードを記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、温度情報書込制御処理を終了する。尚、低温フラグF2は、車内環境が携帯機10にとって異常な低温環境下にあることを示すフラグである。
一方、温度計測データが示す車内温度の計測値が閾値Th2未満であり(S400でYes)低温フラグF2がオンに設定されている場合には(S410でNo)、車内温度が閾値Th2未満である状態が継続していることを示しているので、S335に移行し、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「温度異常」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「温度」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、温度計測データが示す車内温度の計測値を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、温度情報書込制御処理を終了する。このようにして異常時書込モードであっても車内温度が閾値Th2未満である低温環境下では、定期的に、現在の車内温度を記述したレコードを、ログファイルに書き込む。
また、温度計測データが示す車内温度の計測値が閾値Th2以上であり(S400でNo)低温フラグF2がオンに設定されている場合には(S430でYes)、S440に移行し、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「低温環境終了」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「低温環境詳細」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、低温環境の継続時間(低温時間)T2を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、低温フラグF2をオフに設定して(S445)、温度情報書込制御処理を終了する。尚、低温時間T2は、低温環境開始時から終了時までの時間(低温フラグF2がオンされてからオフされるまでの時間)に対応し、低温環境開始時に登録されたレコードのイベント日時と、低温環境終了時である現在日時との差分の時間に対応する。
一方、温度計測データが示す車内温度の計測値が閾値Th2以上であり(S400でNo)低温フラグF2がオフに設定されている場合には(S430でNo)、車内温度が携帯機10の仕様に対して適切な温度範囲にあるため、異常時書込モードでは、レコードを何ら登録することなく、温度情報書込制御処理を終了する。
このようにして温度情報書込制御処理を実行すると、制御回路51は、S180に移行し、図5に示す湿度情報書込制御処理を実行する。尚、湿度情報書込制御処理では、温度情報書込制御処理と同様の思想により車内湿度の情報をログファイルに記録する。
湿度情報書込制御処理を開始すると、制御回路51は、湿度センサ83から車内湿度の計測値を表す湿度計測データを取得し(S510)、定期書込モードである場合又は携帯機10の動作異常が発生している場合には(S520でYes又はS530でYes)、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「定期書込」又は「携帯機異常」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「湿度」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、湿度計測データが示す車内湿度の計測値(現在湿度)を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する(S535)。その後、湿度情報書込制御処理を終了する。
一方、書込モードが異常時書込モードに設定されており(S520でNo)携帯機10の動作異常が発生していない場合には(S530でNo)、湿度計測データが示す計測値が、携帯機10の仕様に基づいて予め定められた閾値Th3を超えているか否か等を判断する(S540,S550)。尚、閾値Th3は、仕様上「携帯機10を使用可能な湿度範囲」の上限値を基準に定められる。そして、湿度の計測値が閾値Th3を超えており(S540でYes)高湿フラグF3がオフに設定されている場合には(S550でYes)、高湿フラグF3をオンに設定後(S560)、S565に移行して、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「高湿環境開始」を表すイベントコードを記述したレコードをログファイルに追加登録する。その後、湿度情報書込制御処理を終了する。
一方、湿度計測データが示す計測値が閾値Th3を超えており(S540でYes)高湿フラグF3がオンに設定されている場合には(S550でNo)、S535に移行し、イベント種類として「湿度異常」を表すイベントコードを記述する他は定期書込時と同様のレコードをログファイルに追加登録する。この動作によって、異常時書込モードでは、湿度が閾値Th3を超えている高湿環境下において、定期的に現在の湿度を記述したレコードを、ログファイルに書き込む。その後、湿度情報書込制御処理を終了する。
これに対し、湿度計測データが示す計測値が閾値Th3以下で(S540でNo)高湿フラグF3がオンに設定されている場合には(S570でYes)、S575に移行して、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「高湿環境終了」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「高湿環境詳細」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、高湿環境の開始時から終了時までの高湿環境の継続時間(高湿時間)T3を記述したレコードをログファイルに追加登録する。その後、高湿フラグF3をオフに設定して(S580)、湿度情報書込制御処理を終了する。
また、湿度計測データが示す計測値が閾値Th3以下で(S540でNo)高湿フラグF3がオフに設定されている場合には(S570でNo)、車内が高湿環境下でもなく高湿環境の終了直後でもないため、レコード登録することなく湿度情報書込制御処理を終了する。
この湿度情報書込制御処理の終了後、制御回路51は、S190に移行し、図6に示す振動情報書込制御処理を実行する。尚、振動情報書込制御処理は、温度情報書込制御処理及び湿度情報書込制御処理と同様の思想により、車内の振動レベルをログファイルに記録するものである。
振動情報書込制御処理を開始すると、制御回路51は、振動センサ85から車内振動レベルの計測値を表す振動計測データを取得し(S610)、定期書込モードである場合又は携帯機10の動作異常が発生している場合には(S620でYes又はS630でYes)、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「定期書込」又は「携帯機異常」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「振動レベル」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、振動計測データが示す車内振動レベルの計測値(現在振動レベル)を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する(S635)。その後、当該振動情報書込制御処理を終了する。
一方、書込モードが異常時書込モードに設定されており(S620でNo)携帯機10の動作異常も発生していない場合には(S630でNo)、振動計測データが示す計測値が、携帯機10の仕様に基づいて予め定められた閾値Th4を超えているか否か等を判断する(S640,S650)。尚、閾値Th4は、仕様上の「携帯機10を使用可能な振動レベルの範囲」の上限値を基準に定められる。
そして、振動レベルの計測値が閾値Th4を超えており(S640でYes)強振動フラグF4がオフに設定されている場合には(S650でYes)、強振動フラグF4をオンに設定後(S660)、S665に移行して、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「強振動環境開始」を表すイベントコードを記述したレコードをログファイルに追加登録する。その後、振動情報書込制御処理を終了する。
一方、振動計測データが示す計測値が閾値Th4を超えており(S640でYes)強振動フラグF4がオンに設定されている場合には(S650でNo)、S635に移行し、イベント種類として「振動異常」を表すイベントコードを記述する他は定期書込時と同様のレコードをログファイルに追加登録する。この動作によって、異常時書込モードでは、振動レベルが閾値Th4を超えている強振動環境下において、定期的に現在の振動レベルを記述したレコードを、ログファイルに書き込む。その後、振動情報書込制御処理を終了する。
これに対し、振動計測データが示す計測値が閾値Th4以下で(S640でNo)強振動フラグF4がオンに設定されている場合には(S670でYes)、S675に移行して、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「強振動環境終了」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「強振動環境詳細」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、強振動環境開始時から強振動環境終了時までの強振動環境の継続時間(強振動時間)T4を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、強振動フラグF4をオフに設定して(S680)、振動情報書込制御処理を終了する。
また、振動計測データが示す計測値が閾値Th4以下で(S640でNo)強振動フラグF4がオフに設定されている場合には(S670でNo)、車内が強振動環境下でもなく強振動環境の終了直後でもないため、レコード登録することなく振動情報書込制御処理を終了する。
この振動情報書込制御処理を終了すると、次に制御回路51は、図7に示す位置情報書込制御処理を実行する(S200)。位置情報書込制御処理を開始すると、制御回路51は、現在位置の座標データを、通信インタフェース53を通じて、GPS受信機21を有する携帯機10から取得し(S710)、書込モードが定期書込モードに設定されているか否かを判断する(S720)。
そして定期書込モードに設定されている場合には(S720でYes)、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「定期書込」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「位置座標」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、取得した座標データが示す現在位置座標を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する(S750)。その後、位置情報書込制御処理を終了する。
一方、書込モードが定期書込モードではなく異常時書込モードである場合には(S720)、携帯機10又は車内環境に異常が発生している場合に限って(S730でYes又はS740でYes)、S750に移行し、イベント種類として「携帯機異常」又は「環境異常」を記述する他は、定期書込モードと同様のレコードをログファイルに登録する(S750)。
具体的には、携帯機異常発生フラグFcに基づき携帯機10に動作異常が発生しているか否かを判断し(S730)、携帯機10に動作異常が発生している場合には、S750に移行して、イベント種類として「携帯機異常」を記述したレコードをログファイルに登録する(S750)。一方、携帯機10に動作異常が発生していない場合には(S730でNo)、フラグF1,F2,F3,F4に基づき、車内環境に異常が発生しているか否かを判断し(S740)、フラグF1,F2,F3,F4のいずれか一つでもオンに設定されている場合には、車内環境に異常が発生していると判断して(S740でYes)、イベント種類として「環境異常」を記述したレコードをログファイルに登録する(S750)。この他、フラグFcがオフに設定され且つフラグF1,F2,F3,F4の全てがオフに設定されている場合には(S730及びS740でNo)、携帯機10及び車内環境の両者に異常が発生していないので、異常時書込モードでは、何らレコードを書き込むことなく、位置情報書込制御処理を終了する。
このようにして位置情報書込制御処理を終了すると、制御回路51は、S210に移行して、図8に示す動作状態書込制御処理を実行する。
動作状態書込制御処理を開始すると、制御回路51は、携帯機10の動作状態を表す情報を、通信インタフェース53を通じて携帯機10から取得し(S810)、この取得情報に基づき、携帯機10で動作異常が発生しているか否かを判断する(S820)。
動作状態書込制御処理を開始すると、制御回路51は、携帯機10の動作状態を表す情報を、通信インタフェース53を通じて携帯機10から取得し(S810)、この取得情報に基づき、携帯機10で動作異常が発生しているか否かを判断する(S820)。
具体的に、S810では、携帯機10の動作状態を表す情報として、携帯機10におけるCPU使用量及びメモリ使用量、CPU11aが実行するプロセスのリスト、各プロセスのCPU使用量及びメモリ使用量、エラーコードを出力しているプロセスの当該エラーコード、並びに、コンピュータウィルスのチェックを行うセキュリティソフトウェアのウィルス検知状態を表す情報を取得する。
そして、S820では、取得した携帯機10の動作状態を表す情報に基づき、エラーコードを出力するプロセスが存在する場合又はセキュリティソフトウェアによりウィルスが検知された場合には、携帯機10に動作異常が発生したと判断する。この他、携帯機10がコネクタCN2に接続されているにも関わらず、携帯機10からの応答がなく動作状態を表す情報を取得することができない場合(携帯機10がフリーズしている場合)にも、携帯機10に動作異常が発生したと判断する。一方、フリーズしておらず、ウィルスが検知されてもおらず、エラーコードを出力する実行プロセスも存在しない場合には、携帯機10に動作異常は発生していないと判断する。
そして、動作異常が発生していると判断すると(S820でYes)、携帯機10の動作異常の有無を表す携帯機異常発生フラグFcをオンに設定した後(S830)、S840に移行し、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「携帯機異常」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「携帯機異常詳細」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、携帯機10の動作異常の詳細を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。
具体的に、詳細データとしては、S820で肯定判断する原因となった異常の種類を表す情報として、フリーズの発生又はエラーコードの種類又は検知されたウィルスの種類を表す情報を記述すると共に、S810で取得した動作状態を表す情報に基づき、現状の動作状態として、携帯機10におけるCPU使用量及びメモリ使用量、CPU11aが実行するプロセスのリスト、並びに、各プロセスのCPU使用量及びメモリ使用量を表す情報を記述する。
また、この処理後には、車載機50の動作状態を表す情報として、車載機50におけるCPU使用量及びメモリ使用量、CPU51aが実行するプロセスのリスト、並びに、各プロセスのCPU使用量及びメモリ使用量の情報を取得し(S850)、車載機50の動作状態を記したレコードをログファイルに追加登録する(S855)。即ち、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「携帯機異常」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「車載機動作詳細」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、S850で取得した車載機50の動作状態を表す情報を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、動作状態書込制御処理を終了する。尚、S855では、更に、携帯機10と車載機50との間で送受信中のデータのリストをレコードに記述してもよい。
一方、携帯機10に動作異常が発生していないと判断すると(S820でNo)、制御回路51は、携帯機10の異常有無を表す携帯機異常発生フラグFcをオフに設定する(S860)。また、書込モードが定期書込モードに設定されているか否かを判断し(S870)、定期書込モードに設定されている場合には(S870でYes)、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「定期書込」を表すイベントコードを記述し、詳細データの種類として「携帯機動作詳細」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、携帯機の動作状態を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する(S880)。
具体的に、S880では、S810で取得した動作状態を表す情報に基づき、詳細データとして、携帯機10におけるCPU使用量及びメモリ使用量、CPU11aが実行するプロセスのリスト、並びに、各プロセスのCPU使用量及びメモリ使用量を表す情報を記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。
更に、制御回路51は、S850での処理と同様に、車載機50の動作状態を表す情報を取得し(S890)、S855での処理と同様に、車載機50の動作状態を記したレコードをログファイルに追加登録する(S895)。但し、S870で肯定判断した場合のS895では、イベント種類として「定期書込」を表すイベントコードを記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、動作状態書込制御処理を終了する。
この他、携帯機10に動作異常が発生していない場合であって(S820でNo)書込モードが異常時書込モードに設定されている場合には(S870でNo)、S740での処理と同様の手法で、車内環境に異常が発生しているか否かを判断する(S875)。そして、車内環境に異常が発生していると判断すると(S875でYes)、定期書込モードと同様に、S880,S890,S895の処理を実行する。但し、S875で肯定判断した場合のS880及びS895では、イベント種類として「環境異常」を表すイベントコードを記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、動作状態書込制御処理を終了する。
この他、携帯機10に動作異常が発生していない場合であって(S820でNo)書込モードが異常時書込モードに設定されている場合には(S870でNo)、S740での処理と同様の手法で、車内環境に異常が発生しているか否かを判断する(S875)。そして、車内環境に異常が発生していると判断すると(S875でYes)、定期書込モードと同様に、S880,S890,S895の処理を実行する。但し、S875で肯定判断した場合のS880及びS895では、イベント種類として「環境異常」を表すイベントコードを記述したレコードを、ログファイルに追加登録する。その後、動作状態書込制御処理を終了する。
また、携帯機10に動作異常が発生しておらず(S820でNo)書込モードが異常時書込モードに設定されており(S870でNo)車内環境に異常も発生していない場合には(S875でNo)、何らレコードを登録することなく、動作状態書込制御処理を終了する。
このようにして動作状態書込制御処理を終了すると、制御回路51は、車載機50と携帯機10との接続が解除されたか否かを判断し(図3:S220)、接続が解除されていない場合には(S220でNo)、S170に移行することで、上述した処理ループを接続が解除されるまで繰返し実行する。
また、接続が解除されると(S220でYes)、当該接続解除が正当な手続きを経ずにコネクタCN2から携帯機10が取り外された異常な接続解除であるか否かを判断し(S230)、異常な接続解除である場合には(S230でYes)、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「異常接続解除」を表すイベントコードを記述し、データ種類として「接続情報詳細」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、接続開始時から現在日時までの経過時間である接続時間及び接続解除に関する異常の種類を表すエラー情報を記述したレコードを生成し、これをログファイルに追加登録する(S240)。その後、編集したログファイルのNVRAM51dへの書込動作(NVRAM51dに登録されたログファイルの更新動作)を行いつつ、このログファイルを閉じて(S260)、主記録処理を終了する。
一方、接続解除が正当な手続きを経た正常な接続解除である場合には(S230でNo)、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「接続解除」を表すイベントコードを記述し、データ種類として「接続情報詳細」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、接続開始時から現在日時までの経過時間である接続時間を記述したレコードを生成し、これをログファイルに追加登録する(S250)。その後、上述したS260の処理を実行後、主記録処理を終了する。
続いて、携帯機10が実行する図9に示す副記録処理について説明する。携帯機10の制御回路11は、自機の電源がオンに設定されている期間、図9に示す副記録処理を繰返し実行する。
制御回路11は、CPU11aでのプログラム実行により副記録処理を開始すると、通信インタフェース23のコネクタCN1及び通信インタフェース53のコネクタCN2同士が接続されて、携帯機10と車載機50とが通信可能に接続されるまで待機し(S910)、携帯機10と車載機50とが通信可能に接続されると(S910でYes)、接続相手(車載機50)から当該接続相手のIDコードを取得する(S920)。
更に、S130での処理と同様の手法により、取得したIDコードに対応するログファイルがNVRAM11dに既に登録されているか否かを判断し(S930)、既に登録されている場合には(S930でYes)、S940に移行し、該当するログファイルをRAM11cに読み込んで新規レコードの追加対象に設定する。一方、否定判断した場合には(S930でNo)、S945に移行し、今回取得したIDコードをヘッダ情報として記述した新規ログファイルをNVRAM11dに生成する。また、このログファイルをRAM11cに読み込んで新規レコードの追加対象に設定する。
その後、制御回路11は、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「接続開始」を表すイベントコードを記述したレコードを生成し、これを上記追加対象に設定したログファイルに追加登録する(S960)。尚、ログファイルに登録されるレコードの構成は、上述した通りである。
S960の処理実行後、制御回路11は、車載機50との接続が解除されるまで、車載機50におけるレコードの登録動作に同期して、車載機50がログファイルに登録するレコードと同内容のレコードを、自機のログファイルに追加登録する(S970)。このようにして本実施例では車載機50及び携帯機10で同内容のレコードをログファイルに保持する。尚、車載機50がログファイルに登録するレコードの内容については、通信インタフェース23を通じて車載機50から該当情報を取得すればよい。
そして、車載機50との接続が解除されると(S980でYes)、この接続解除が正当な手続きを経ずにコネクタCN1から車載機50が取り外された異常な接続解除であるか否かを判断し(S990)、異常な接続解除である場合には(S990でYes)、S240での処理と同様に、イベント日時として現在日時を記述し、イベント種類として「異常接続解除」を表すイベントコードを記述し、データ種類として「接続情報詳細」を表す種類コードを記述し、詳細データとして、接続開始時から現在日時までの接続時間及びエラー情報を記述したレコードを生成し、これをログファイルに追加登録する(S1000)。その後、編集したログファイルのNVRAM11dへの書込動作(NVRAM11dに登録されたログファイルの更新動作)を行いつつ、このログファイルを閉じて(S1020)、副記録処理を終了する。
一方、接続解除が正当な手続きを経た正常な接続解除である場合には(S990でNo)、S250で登録されるレコードと同内容のレコードをログファイルに追加登録し(S1010)、S1020の処理実行後、当該副記録処理を終了する。
以上に主記録処理及び副記録処理について説明したが、これらの処理によりNVRAM11d,51dに記憶保持されるログファイルは、各機器から必要に応じて外部に出力される。例えば、車載機50は、図10(a)に示すように、車両診断装置90が車内LANにコネクタCN3(図2参照)を通じて車外から接続されると(S1110でYes)、LANインタフェース59を通じて車両診断装置90と通信し、当該車両診断装置90から出力対象データの指定操作を受け付けて(S1120)、車両診断装置90から指定されたデータを、ログファイルから読み出して車両診断装置90に出力する(S1130)。例えば、指定されたIDコードのログファイルから指定された日時のレコードをログファイルから読み出して出力する。
一方、携帯機10は、図10(b)に示すように、操作部19を通じてログファイルの出力指示が入力されると(S1210)、出力指示されたIDコードのログファイルの内容を、表示部15の画面上に表示出力する(S1220)。
以上に、車載機50が実行する主記録処理及び携帯機10が実行する副記録処理の詳細について説明したが、上述したように、主記録処理は、携帯機10にて実行されてもよく、副記録処理は、車載機50にて実行されてもよい。
携帯機10が主記録処理を実行する場合には、車載機50からIDコードを取得し(S120)、このIDコードに対応するログファイルをNVRAM11d内で探索して該当ログファイルをRAM11cに展開し、このログファイルにS160以降の処理でレコードを登録する。また、コネクタCN1から車載機50が取り外されたか否かを判断し(S220)、取り外された場合には、異常な接続解除であるか否かを判断して(S230)、正常/異常な接続解除に対応したレコードをログファイルに登録し(S250,S240)、編集後のログファイルをNVRAM11dに書き込んで(S260)、NVRAM11dのログファイルを更新する。また、S170,S180,S190では、温度計測データ、湿度計測データ及び振動計測データの夫々を、通信インタフェース23を通じて、車載機50が有する各センサから取得する。同じく、動作状態書込制御処理では、車載機50の動作状態を表す情報を、通信インタフェース23を通じて、車載機50から取得する。尚、携帯機10にて主記録処理を実行する場合でも、動作状態書込制御処理のS820では、携帯機10の動作異常の有無を判断する。S330,S530,S630,S730の処理も同様である。
また、車載機50が副記録処理を実行する場合には、携帯機10からIDコードを取得し(S910)、このIDコードに対応するログファイルをNVRAM51d内で探索して該当ログファイルをRAM51cに展開し、このログファイルに、携帯機10と同内容のレコードを登録する(S960,S970)。また、コネクタCN2から携帯機10が取り外されたか否かを判断し(S980)、取り外された場合には、異常な接続解除であるか否かを判断して(S990)、正常/異常な接続解除に対応したレコードをログファイルに登録し(S1010,S1000)、この編集後のログファイルをNVRAM51dに書き込んで(S1020)、NVRAM51dのログファイルを更新する。
以上、記録システム1の構成について説明したが、この記録システム1によれば、携帯機10と車載機50とがコネクタCN1,C2を通じて通信可能に接続されたことを契機に、車内環境データを記憶媒体(NVRAM11d,51d)に書き込むことで、おおよそ携帯機10が車内に持ち込まれたことを契機に車内環境データを記憶媒体に書き込む。従って、この記録システム1によれば、車内環境を原因とする携帯機10の異常の当該発生原因を特定するのに有用な情報を記憶媒体に蓄積して、ユーザに提供することができる。即ち、本実施例によれば、ログファイルの内容に基づき、携帯機10が車内において如何なる環境で使用されたかを分析でき、車内環境を原因として携帯機10で生じた異常(故障)の特定に役立てることができる。よって、この記録システム1によれば、車内環境に十分耐えうる携帯機10の開発や携帯機10の保証サービスの開発に役立つ。
保証サービスについて説明すれば、本実施例の記録システム1を用いることで、車内環境と携帯機10の故障原因との関係を統計的に分析することができ、車内環境を原因とする携帯機10の故障率を正確に算出することができる。従って、どの程度の保証料で保証サービスを提供するのが適切かを見積もることができ、保証サービスの開発に役立つ。
尚、車内環境を原因とする故障も保証範囲に入れた保証サービスを提供する場合には、携帯機10が故障した場合、携帯機10が記憶保持するログファイルや、この携帯機10が搭載された車載機50のログファイルを分析することにより、例えば、保証範囲の使用によって携帯機10が故障したものであるのかを判断する。真夏下での車内置き忘れ等によって異常な高温下で長期間放置されていた場合には保証しないが、そうでなければ保証するといった具合である。
また、車内環境に十分耐えうる携帯機10の開発について言及すれば、本実施例の記録システム1を用いることで、車内環境と携帯機10の故障との関係を分析することができるので、発生しやすい故障原因に対して重点的に耐久性を上げることができ、効率的に車内環境に強い携帯機10を開発することができる。
特に、本実施例の記録システム1によれば、ログファイルに接続相手のIDコードを書き込むので、ログファイルのレコードが、どの携帯機10及び車載機50の接続時のものかを容易に判断することができ、車載機50に複数ユーザの携帯機10が接続される場合にも、各携帯機10の故障原因を正確に特定することができる。
また、本実施例の記録システム1によれば、携帯機10に異常が発生した場合には、車内環境並びに携帯機10の動作状態及び車載機50の動作状態をログファイルに記録するので、携帯機10の故障が車内環境によるものなのか、車載機50との通信によるものなのかを判断することも可能であり、携帯機10の故障と車内環境との対応関係を一層適切に判断することが可能である。
また、本実施例によれば、携帯機10が外部からコンピュータウィルスを取り込んだ場合にも、携帯機10及び車載機50の動作状態をログファイルに記録するので、携帯機10の故障のみならず、コンピュータウィルス等を原因として車載機50が故障した場合の当該車載機50の故障原因等も特定可能である。
即ち、本実施例の記録システム1によれば、携帯機10の動作状態と共に車載機50の動作状態を記録するので、携帯機10と車載機50との通信を原因とした異常についても、その原因を特定することができる。
また、本実施例では、書込モードとして定期書込モードと異常時書込モードとを切替可能に記録システム1を構成したが、定期書込モードによれば、NVRAM11d,51dに記録するデータ量が増加するものの、データ量が多いため、故障原因を正確に特定しやすいといった利点がある。但し、大容量の記憶媒体(NVRAM11d,51d)を搭載しなければ、レコードを記憶保持できる期間が短くなるといった短所もある。これに対し異常時書込モードによれば、異常発生原因の特定に必要な情報を効率的に記録媒体(NVRAM11d,51d)に蓄積することが可能である。
また、本実施例によれば、携帯機10の動作異常が発生した際や車内環境に異常が発生した際には、その時点での現在位置座標をログファイルに記録する。従って、この記録システム1によれば、一層正確に、携帯機10の環境を推定して異常発生原因を精度良く特定することができる。
尚、「特許請求の範囲」記載の各手段と上記実施例の記録システム1との対応関係は次の通りである。即ち、携帯機10及び車載機50が備える通信手段は、通信インタフェース23,53に対応する。また、計測機器は、温度センサ81、湿度センサ83、及び振動センサ85に対応し、車載機が備える計測データ取得手段は、制御回路51が実行するS310,S510,S610等の処理により実現されている。また、出力手段は、S1130,S1220の処理により実現され、書込制御手段は、S145,S160,S170〜S210,S240〜S260の処理により実現されている。具体的に「接続関係にある機器の識別コードを記憶媒体に書き込む」動作は、S145において、ログファイルに接続相手のIDコードを書き込む動作に対応する。
また、識別コードと車内環境を表すデータとの関連付けは、車内環境を表すデータ(レコード)を、上記ヘッダ情報を有するログファイルに格納することにより実現され、車内環境を表すデータと動作状態を表すデータとの関連付けは、各データ(各レコード)の同一ログファイルへの格納動作及びイベント日時等の書込動作によって実現されている。この他、異常な車内環境の検知動作は、上記閾値Th1,Th2,Th3,Th4と対応するセンサの計測値との比較動作によって実現され、位置検出手段は、GPS受信機21に対応する。
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例では、異常時書込モードにおいて車内環境の異常発生中(高温時、低温時、高湿時、強振動時)に定期的に車内環境(温度、湿度、振動レベル)を記したレコードをログファイルに登録するようにしたが、主記録処理では、このようなレコード登録動作を止めて、環境異常の発生開始時及び終了時に限ってレコードを登録してもよい。即ち、S350で否定判断した場合やS410で否定判断した場合には、S335に移行せずに、温度情報書込制御処理を終了するように、主記録処理を構成してもよい。湿度情報書込制御処理及び振動情報書込制御処理についても同様である。このように主記録処理を構成すれば、異常発生時のレコード登録量を抑えることができる。
この他、上記実施例では、振動センサ85が車載機50に搭載された例について説明したが、振動センサ85は携帯機10にも搭載される場合が多い。従って、携帯機10に振動センサ85が取り付けられていることを前提とした場合、車載機50は、携帯機10から振動計測データを取得する構成にされてもよい。また、振動センサ85やGPS受信機21等については、車載機50及び携帯機10の両者に、これらの機器が搭載されているケースも考えられる。このように車載機50及び携帯機10の両者に、同一種のセンサやGPS受信機が搭載されている場合には、いずれのセンサ(GPS受信機)をレコードの登録に使用するのかをユーザが選択できるように、記録システム1を構成することができる。
また、上記記録システム1は、車載機50からの携帯機10の異常取外回数をログファイルに記録する構成にされてもよい。このように記録システム1を構成すれば、異常な取外しによる故障を特定することができる。
1…記録システム、4…クレードル、10,50…携帯機、11,51…制御回路、11a,51a…CPU、11b,51b…ROM、11c,51c…RAM、11d、51d…NVRAM、13…外部通信インタフェース、15…表示部、17…音声出力部、19,55…操作部、21…GPS受信機、23,53…通信インタフェース、50…車載機、57…音声入力部、59…LANインタフェース、81…温度センサ、83…湿度センサ、85…振動センサ、90…車両診断装置、CN1,CN2,CN3…コネクタ
Claims (28)
- 携帯型の情報機器である携帯機と、
経時変化する車内環境に関する物理量を計測可能な計測機器が計測した前記物理量の計測結果を表す計測データを取得可能な計測データ取得手段を備える車載機と、
を有したシステムであって、
前記携帯機及び車載機の夫々は、車内で互いに通信可能な通信手段を備え、
前記携帯機及び車載機の少なくとも一方は、
前記車内環境を表すデータを記憶するための記憶媒体と、
前記記憶媒体が記憶する前記車内環境を表すデータを出力する出力手段と、
を備え、更に、
前記携帯機及び前記車載機の少なくとも一方は、前記通信手段を通じて前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続されたことを契機に、前記計測データ取得手段が取得した前記計測データに基づき、前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続された状態での前記車内環境を表すデータを、前記記憶媒体に書き込む書込制御手段を備えること
を特徴とする記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記携帯機及び前記車載機の内、前記車内環境を表すデータを書き込む対象の前記記憶媒体を内蔵する機器とは接続関係にある機器の識別コードを前記記憶媒体に書き込み、前記識別コードに関連付けて、前記車内環境を表すデータを前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項1記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、更に、前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続された状態での前記携帯機の動作状態を表すデータを、前記車内環境を表すデータに関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項1又は請求項2記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、更に、前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続された状態での前記車載機の動作状態を表すデータを、前記車内環境を表すデータに関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項3記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続されている期間において定期的に、その時点での前記車内環境を表すデータを前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記車内環境を表すデータとして、車内温度、車内湿度及び車内の振動レベルの少なくとも一つに関するデータを前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続されている期間において前記携帯機の仕様に適合しない異常な車内環境を検知し、前記車内環境を表すデータとして、前記異常な車内環境の発生内容を記したデータを前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、車内温度が前記携帯機の仕様に適合しない温度範囲にある環境を前記異常な車内環境として検知し、前記異常な車内環境の発生内容として、車内温度が前記携帯機の仕様に適合しない温度範囲にあった時間を記したデータを前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項7記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、車内湿度が前記携帯機の仕様に適合しない湿度範囲にある環境を前記異常な車内環境として検知し、前記異常な車内環境の発生内容として、車内湿度が前記携帯機の仕様に適合しない湿度範囲にあった時間を記したデータを前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項7又は請求項8記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、車内が前記携帯機の仕様に適合しない異常な振動下にある状態を前記異常な車内環境として検知し、前記異常な車内環境の発生内容として、車内が前記携帯機の仕様に適合しない異常な振動下にあった時間を記したデータを前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続されている期間において前記携帯機の仕様に適合しない異常な車内環境を検知し、前記異常な車内環境を検知したことを契機に、前記異常な車内環境の発生時における前記携帯機の動作状態を表すデータを、当該異常な車内環境の発生時の前記車内環境を表すデータと関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項3記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記異常な車内環境を検知したことを契機に、前記異常な車内環境の発生時における前記車載機の動作状態を表すデータを、更に、当該異常な車内環境の発生時の前記車内環境を表すデータと関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項11記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続されている期間において、前記携帯機の異常を検知する度に、当該異常発生時の前記携帯機の動作状態を表すデータを、当該異常発生時の前記車内環境を表すデータと関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項3記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続されている期間において、前記携帯機の異常を検知する度に、当該異常発生時の前記携帯機及び前記車載機の動作状態を表すデータを、当該異常発生時の前記車内環境を表すデータと関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項13記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続されている期間において定期的に、その時点での前記携帯機の動作状態を表すデータを、その時点での前記車内環境を表すデータと関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項3記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、更に、前記携帯機と前記車載機とが通信可能に接続されている期間において定期的に、その時点での前記車載機の動作状態を表すデータを、その時点での前記車内環境を表すデータと関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項15記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記車内環境を表すデータを、当該車内環境の発生日時を表すデータと関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、前記動作状態を表すデータを、当該動作状態の発生日時を表すデータと関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項3及び請求項4及び請求項11〜請求項16のいずれか1項に記載の記録システム。 - 前記携帯機及び前記車載機の少なくとも一方は、自機の現在位置を検出可能な位置検出手段を備え、
前記書込制御手段は、前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記車内環境を表すデータに関連付けて、このデータが表す前記車内環境に対応する時刻に前記携帯機及び前記車載機が位置していた場所を表す位置データを、前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の記録システム。 - 前記書込制御手段は、更に、前記携帯機と前記車載機との接続が開始された時点及び前記携帯機と前記車載機との接続が解除された時点の各日時を表すデータを前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項1〜請求項19のいずれか1項に記載の記録システム。 - 携帯型の情報機器である携帯機と車内において有線通信又は近距離無線通信可能な通信手段と、
経時変化する車内環境に関する物理量を計測可能な計測機器が計測した前記物理量の計測結果を表す計測データを取得可能な計測データ取得手段と、
前記通信手段を通じて自機と前記携帯機とが通信可能に接続されたことを契機に、前記計測データ取得手段が取得した前記計測データに基づき、自機と前記携帯機とが通信可能に接続された状態での前記車内環境を表すデータを、自機の記憶媒体に書き込む書込制御手段と、
前記記憶媒体が記憶する前記車内環境を表すデータを出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする車載機。 - 前記書込制御手段は、自機と接続関係にある前記携帯機の識別コードを前記通信手段を通じて前記携帯機から取得して前記記憶媒体に書き込み、前記識別コードに関連付けて、前記車内環境を表すデータを前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項21記載の車載機。 - 前記書込制御手段は、更に、自機と前記携帯機とが通信可能に接続された状態での前記携帯機の動作状態を表すデータを前記通信手段を通じて前記携帯機から取得し、当該取得した前記携帯機の動作状態を表すデータを、前記車内環境を表すデータに関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項21又は請求項22記載の車載機。 - 前記書込制御手段は、更に、自機と前記携帯機とが通信可能に接続された状態での自機の動作状態を表すデータを、前記車内環境を表すデータに関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項23記載の車載機。 - 経時変化する車内環境に関する物理量を計測可能な計測機器が計測した前記物理量の計測結果を表す計測データを取得可能な車載機と車内において有線通信又は近距離無線通信可能な通信手段と、
前記通信手段を通じて自機と前記車載機とが通信可能に接続されたことを契機に、前記車載機から前記通信手段を通じて前記計測データを取得し、この計測データに基づき、自機と前記車載機とが通信可能に接続された状態での前記車内環境を表すデータを、自機の記憶媒体に書き込む書込制御手段と、
前記記憶媒体が記憶する前記車内環境を表すデータを出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする携帯機。 - 前記書込制御手段は、前記通信手段を通じて自機と接続関係にある前記車載機の識別コードを前記車載機から取得して前記記憶媒体に書き込み、前記識別コードに関連付けて、前記車内環境を表すデータを前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項25記載の携帯機。 - 前記書込制御手段は、更に、自機と前記車載機とが通信可能に接続された状態での自機の動作状態を表すデータを、前記車内環境を表すデータに関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項25又は請求項26記載の携帯機。 - 前記書込制御手段は、更に、自機と前記車載機とが通信可能に接続された状態での前記車載機の動作状態を表すデータを、前記通信手段を通じて前記車載機から取得し、当該取得した前記車載機の動作状態を表すデータを、前記車内環境を表すデータに関連付けて前記記憶媒体に書き込むこと
を特徴とする請求項27記載の携帯機。
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