JP2011238861A - 基板保持装置、露光装置、及びデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板ホルダのずれとバイメタル作用による基板ホルダの平面度の悪化を防止する。
【解決手段】微動ステージ21の四隅に真空吸着のON/OFFの切り替えが可能な吸着部82を設け、基板ホルダPHが衝撃等によりずれるおそれのあるときには、吸着部82の真空吸着を行い基板ホルダPHのずれを防止し、基板ホルダPHがずれるおそれのないときには吸着部82の真空吸引を停止若しくは弱めることで、バイメタル作用を緩和し、基板ホルダPHの平面度の悪化を防止する。
【選択図】図4
【解決手段】微動ステージ21の四隅に真空吸着のON/OFFの切り替えが可能な吸着部82を設け、基板ホルダPHが衝撃等によりずれるおそれのあるときには、吸着部82の真空吸着を行い基板ホルダPHのずれを防止し、基板ホルダPHがずれるおそれのないときには吸着部82の真空吸引を停止若しくは弱めることで、バイメタル作用を緩和し、基板ホルダPHの平面度の悪化を防止する。
【選択図】図4
Description
本発明は、基板保持装置、露光装置、及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、平板状の基板を保持する保持部材を含む基板保持装置、基板保持装置を備えた露光装置、及び該露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、主として、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
この種の投影露光装置では、表面に感応剤(レジスト)が塗布されたガラスプレート、あるいはウエハなどの基板(以下、基板と総称する)が、基板ステージ装置の基板ホルダ上に載置され、例えば真空吸着などにより基板ホルダに保持される。そして、エネルギビームの照射により、マスク(あるいはレチクル)に形成された回路パターンが、投影レンズ等の光学系を介して基板表面に転写される。このとき、回路パターンを基板の所定の位置に精度良く転写する必要があり、そのため、基板ホルダを用いて露光対象である基板を吸着保持して平面度を確保することが行われている。従って、基板ホルダにおける基板載置面は平面度が高いことが重要であり、基板ホルダをステージ装置のテーブルに固定するときに、基板ホルダを変形させないようにする必要があった。また、基板ホルダは経時的にも変形しないようになっていなければならなかった。
さらには、ステージが暴走したり、緊急停止指令によってテーブルが制限(メカストッパー)に衝突したりして、大きな衝撃を受けたとき、慣性質量の大きな基板ホルダはテーブルに強固に固定しておかなければ慣性力によって位置がずれるおそれがあった。そのため、従来においては、基板ホルダを、ボルトを使ってテーブルに固定することが行われていた。
しかるに、基板ホルダの素材としては、機械加工が容易で熱伝導が良く、軽量、低コストだが線膨張係数の大きなアルミニウム合金(材料記号A5052P)などがよく使われていた。一方、ステージ装置のテーブルは、ステージ装置の位置を精密に計測するための干渉計用バーミラーなどの基準となる部品が取り付くため、経時変化を起こしにくく、比較的剛性も高く低熱膨張率のインバー、鋳鉄、セラミックス、あるいは金属とセラミックスの複合材料(MMC:Metal Matrix Composites)などが、テーブルの素材として多く使われている。このため、基板ホルダをテーブルに固定する際に、多くのボルトを使って多くの位置で締結すると、テーブルと基板ホルダとの熱膨張の違いにより、基板ホルダはいわゆるバイメタル作用により中凸に変形する。従って、従来は、基板ホルダとテーブルのバイメタル作用を避けるために、基板ホルダは中央部の重心付近を短い間隔で複数本のボルトでしっかり締結し、周辺部は基板ホルダとテーブルとの摩擦力よりも熱応力によるすべり力が打ち勝つ弱い力で締結していた。
すなわち、従来の締結方法は、温度変化には強い(基板ホルダの平面度は悪化しない)締結方法であるが、ステージ装置が衝撃を受けると、基板ホルダがテーブルに対して位置ずれを起こすおそれのある、衝撃に弱い締結方法であった。
本発明の第1の態様によれば、一面側に基板を保持する平板状の保持部材と;前記保持部材の他面側の少なくとも中央部の一部を一体的に支持する支持部材と;前記支持部材を前記基板とほぼ平行な所定の二次元平面内で駆動する駆動装置と;を備え、前記保持部材と前記支持部材とは、前記保持部材の中心近傍の少なくとも1箇所が締結部材によって互いに締結されるとともに、前記支持部材の周辺部の複数箇所で補助締結部材によって互いに締結され、前記複数の補助締結部材の少なくとも一部は、締結力の調整が可能である基板保持装置が、提供される。
これによれば、保持部材を支持部材に強固に固定する必要のある場合には、締結力の調整が可能な補助締結部材の締結力を強めることで、保持部材が支持部材からずれることを防止することができる。一方、保持部材を支持部材に強固に固定する必要のない場合には、締結力の調整が可能な補助締結部材の締結力を弱める(ゼロにする)ことにより、保持部材の支持部材周辺部に対するすべりを許容することができ、これにより、保持部材と支持部材との熱膨張係数の相違によるバイメタル作用を抑制することができ、保持部材の平面度の悪化を防止することができる。
本発明の第2の態様によれば、エネルギビームにより基板を露光してパターンを形成する露光装置であって、前記保持部材に基板が保持される請求項1〜13のいずれか一項に記載の基板保持装置と;前記保持部材に保持された前記基板にエネルギビームを照射して露光する露光光学系と;前記少なくとも一部の補助締結部材の締結力を制御する制御装置と;を備える露光装置が、提供される。
これによれば、制御装置が、少なくとも一部の補助締結部材の締結力を適宜制御することにより、基板保持装置によって保持部材の位置ずれ防止と平面度の悪化防止とを両立することができる。これにより、例えば露光時には、保持部材に保持された基板の平面度を良好に維持して、露光光学系によりエネルギビームを照射してその基板を露光することで、パターンを精度良く形成することができる。また、例えば基板保持装置の緊急停止時、加減速時などには、保持装置、ひいては基板の位置ずれを防止することができる。
本発明の第3の態様によれば、本発明の露光装置により基板を露光することと;露光された前記基板を現像することと;を含むデバイス製造方法が、提供される。
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図6に基づいて説明する。
図1には、一実施形態の液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、液晶表示装置の表示パネルに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
液晶露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、マスクステージMST及び投影光学系PLなどが搭載されたボディBD、基板Pを保持する基板ステージ装置PST、及びこれらの制御系等を含んでいる。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。なお、光源としては、超高圧水銀ランプに限らず、例えばエキシマレーザなどのパルスレーザ光源、あるいは固体レーザ装置などを用いることもできる。
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたマスクMが、例えば真空吸着(あるいは静電吸着)により固定されている。マスクステージMSTは、後述するボディBDの一部である鏡筒定盤31の上面に固定された一対のマスクステージガイド35上に、例えば不図示のエアベアリングを介して非接触状態で浮上支持されている。マスクステージMSTは、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系36(図1では不図示、図6参照)により、一対のマスクステージガイド35上で、走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向にそれぞれ適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、マスクステージMSTの端面に形成された反射面に測長ビームを照射するレーザ干渉計を含むマスク干渉計システム38により計測される。マスク干渉計システム38の計測情報は、主制御装置50に供給される(図6参照)。
投影光学系PLは、マスクステージMSTの図1における下方において、鏡筒定盤31に支持されている。本実施形態の投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示された投影光学系と同様の構成を有している。すなわち、投影光学系PLは、マスクMのパターン像の投影領域が、Y軸方向に沿って、いわゆる千鳥状に配列された複数の投影光学系(マルチレンズ投影光学系とも称される)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。以下では、千鳥状に配置された複数の投影領域をまとめて露光領域とも呼ぶ。
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面とがほぼ一致して配置されるマスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される表面にレジスト(感応剤)が塗布された基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向(X軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向(X軸方向)に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターン(マスクパターン)が転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
ボディBDは、例えば米国特許出願公開第2008/0030702号明細書などに開示されているように、一対の基板ステージ架台33(図2参照)と、該一対の基板ステージ架台33上に配置された一対の支持部材32を介して水平に支持された鏡筒定盤31と、を有している。一対の基板ステージ架台33は、それぞれY軸方向を長手方向とする部材から成り、X軸方向に所定間隔で配置されている(図2参照)。一対の基板ステージ架台33は、それぞれその長手方向の両端部が、床面F上に設置された4つの防振機構34それぞれに支持されており、床面Fに対して振動的に分離されている(ただし、−X側かつ+Y側の防振機構34は不図示)。これにより、ボディBDは、床面Fに対して振動的に分離されている。
基板ステージ装置PSTは、一対の基板ステージ架台33上に固定された定盤12と、床面F上に固定された一対のベースフレーム14と、一対のベースフレーム14上に搭載されたX粗動ステージ23Xと、X粗動ステージ23X上に搭載され、X粗動ステージ23Xと共にXY二次元ステージ装置を構成するY粗動ステージ23Yと、Y粗動ステージ23Yの+Z側(上方)に配置された微動ステージ21と、基板Pを保持する基板ホルダPHと、定盤12上で微動ステージ21を支持する重量キャンセル装置60と、基板ホルダPHの上面の平面度を調整する平面度調整装置80(図1では不図示。図2参照)と、を備えている。
定盤12は、例えば石材により形成された平面視で(+Z側から見て)矩形の板状部材から成り、その上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。
一対のベースフレーム14は、一方が定盤12の+Y側、他方が定盤12の−Y側に配置されている。一対のベースフレーム14それぞれは、X軸方向を長手方向とする部材から成り、一対の基板ステージ架台33を跨いだ状態で床面Fに固定されている。なお、図1を含む各図面では不図示であるが、一対のベースフレーム14は、X粗動ステージ23XをX軸方向に直進案内するためのXリニアガイド部材、及びX粗動ステージ23Xを駆動するXリニアモータを構成するX固定子(例えばコイルユニット)などを有している。
X粗動ステージ23Xは、平面視矩形の外形(輪郭)を有する枠状の部材から成り、その中央部にY軸方向を長手方向とする長孔状の開口部23Xa(図2参照)を有している。X粗動ステージ23Xの下面には、図1に示されるように、YZ断面逆U字状に形成されたステージガイド15が一対固定されている。各ステージガイド15は、図1では不図示であるが、ベースフレーム14の有するXリニアガイド部材(不図示)に対してスライド可能に係合するスライド部材、及び、上述したX固定子と共にXリニアモータを構成するX可動子(例えば、磁石ユニット)などを有している。X粗動ステージ23Xは、Xリニアモータを含むX粗動ステージ駆動系56により、一対のベースフレーム14上で、X軸方向に所定ストロークで直進駆動される。また、X粗動ステージ23Xの上面には、図2に示されるように、X軸方向に離間して配置された一対のYリニアガイド28が固定されている。また、各図面では不図示であるが、X粗動ステージ23Xの上面には、Y粗動ステージ23Yを駆動するYリニアモータを構成するY固定子(例えばコイルユニット)が固定されている。
Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23XよりもY軸方向の寸法が短い平面視で矩形の外形形状を有する枠状の部材から成り、その中央部に開口部23Ya(図2参照)を有している。Y粗動ステージ23Yの下面の、例えば四隅部には、XZ断面逆U字状に形成されたスライダ29が固定されている(図1では、−X側の2つのスライダは、+X側の2つのスライダに対して紙面奥側に隠れている)。−X側の2つのスライダ29は、−X側のYリニアガイド28にスライド可能に係合し、+X側の2つのスライダ29は、+X側のXリニアガイド28にスライド可能に係合している。また、各図面では不図示であるが、Y粗動ステージ23Yの下面には、上述したY固定子と共にYリニアモータを構成するY可動子(例えば、磁石ユニット)が固定されている。Y粗動ステージ23Yは、Yリニアモータを含むY粗動ステージ駆動系58(図6参照)により、X粗動ステージ23X上でY軸方向に所定ストロークで駆動される。X粗動ステージ23X、及びY粗動ステージ23Yそれぞれの位置情報は、例えば不図示のリニアエンコーダシステム55(図6参照)により計測される。リニアエンコーダシステム55の計測情報は、主制御装置50に供給されている。なお、X粗動ステージ23X,Y粗動ステージ23YをそれぞれX軸方向、Y軸方向に駆動する駆動方式(アクチュエータ)は、例えば送りねじによる駆動方式、あるいはベルト駆動方式などの他の方式であっても良い。
微動ステージ21は、平面視略正方形の高さの低い箱形(中空の直方体状)の部材から成る。微動ステージ21の−Y側の側面には、図1に示されるように、ミラーベース24Yを介してY軸に直交する反射面を有するY移動鏡(バーミラー)22Yが固定されている。また、微動ステージ21の−X側の側面には、図2に示されるように、ミラーベース24Xを介してX軸に直交する反射面を有するX移動鏡(バーミラー)22Xが固定されている。ミラーベース24X,24Yは、それぞれXY平面に平行な板状の部材から成る(図3参照)。微動ステージ21のXY平面内の位置情報は、Y移動鏡22Y及びX移動鏡22Xそれぞれに測長ビームを照射し、その反射光を受光するレーザ干渉計を含むレーザ干渉計システム39(図1参照)によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。なお、実際には、レーザ干渉計システム39は、Y移動鏡22Y、X移動鏡22Xそれぞれに対応したXレーザ干渉計、Yレーザ干渉計を有しているが、図1では、代表的にYレーザ干渉計のみが図示されている。レーザ干渉計システム39の計測情報は、主制御装置50に供給されている。
微動ステージ21は、例えばY粗動ステージ23Yに固定された不図示の固定子(例えば、コイルユニット)と、微動ステージ21に固定された不図示の可動子(例えば、磁石ユニット)と、から成るボイスコイルモータを含む微動ステージ駆動系59(図6参照)により、Y粗動ステージ23Y上で6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy、θzの各方向)に微少駆動される。これにより、微動ステージ21は、投影光学系PLに対し、XY2軸方向に長ストロークで移動(粗動)可能、かつ6自由度方向に微少移動(微動)可能となっている。なお、ボイスコイルモータは、X軸方向に駆動力を発生するXボイスコイルモータ、Y軸方向に駆動力を発生するYボイスコイルモータ、及びZ軸方向に駆動力を発生するZボイスコイルモータが、それぞれ複数(特にZボイスコイルモータは、同一直線上にない3箇所以上に)設けられている。
基板ホルダPHは、微動ステージ21よりもX軸及びY軸方向の寸法が大きい平面視矩形(例えば、ほぼ正方形)の板状部材から成り、図2に示されるように、微動ステージ21の上面にボルト40により取り付けられている。基板ホルダPHは、例えば図示しない真空吸着装置(又は静電吸着装置)を有しており、その上面に基板P(図1参照)を吸着保持する。なお、図2では、基板ステージ装置PSTから基板Pが除かれている。
ここで、図2に示されるように、微動ステージ21の上面と、基板ホルダPHの下面との間には、所定のクリアランスが形成されている(微動ステージ21と基板ホルダPHとがZ軸方向に離間している)。ただし、微動ステージ21の上面と基板ホルダPHの下面との間に挿入されたスペーサ41を介して、微動ステージ21と基板ホルダPHとは、その中央部において互いに密着している。前述のボルト40は、スペーサ41に形成された不図示の孔部を介して挿入され、微動ステージ21の上壁に形成されたねじ孔に螺合し、基板ホルダPHと微動ステージ21とを、互いの中心位置付近で締結している。基板ホルダPHと微動ステージ21との締結方法等の詳細に関しては後述する。
また、微動ステージ21の上面における外周縁部と基板ホルダPHの下面との間にも、スペーサの役割を兼ねた後述する吸着部82が設けられており、微動ステージ21と基板ホルダPHとのZ軸方向のがたつきが抑制されている。なお、スペーサ41及び吸着部82は、微動ステージ21に一体的に形成されていても良い。
また、図3に示されるように、微動ステージ21の+X側、+Y側、−Y側の各側面(ただし、ミラーベース24Yが設けられている部分を除く)、及び四隅部(角部)には、片持ちのアーム状部材から成る複数(本実施形態では、例えば10本)のホルダサポート46の一端が固定されている。複数のホルダサポート46は、微動ステージ21の中心から略放射状に延設されている。各ホルダサポート46は、図2に+X側の1つを代表的に取りあげて示されるように、他端(先端部)にZ軸方向に弾性を有するバネ46a(圧縮コイルバネ)を有している。バネ46aは、基板ホルダPHの下面における外周縁部に当接しており、基板ホルダPHを+Z方向に押圧することにより、基板ホルダPHの外周縁部の自重による垂れ下がりを抑制している。なお、ホルダサポート46は、バネ46aによる基板ホルダPHの押圧力を調整する不図示の調整装置を有している。
重量キャンセル装置60は、図2に示されるように、Z軸方向に延設された柱状の部材であり、心柱とも称される。重量キャンセル装置60は、筐体61、空気バネ62及びスライド部63等を有している。
筐体61は、+Z側が開口した有底の筒状部材から成り、X粗動ステージ23Xの開口部23Xa、及びY粗動ステージ23Yの開口部23Yaの内部に挿入されている。筐体61は、その下面に取り付けられた複数の非接触スラスト軸受、例えばエアベアリング66により、定盤12上に非接触支持されている。筐体61は、Y粗動ステージ23Yに対して板バネを含む複数の連結装置65(フレクシャ装置とも称される)を介して接続されている。連結装置65は、筐体61の+X側、−X側,+Y側,及び−Y側に配置されており(ただし、+Y側及び−Y側の連結装置は不図示)、筐体61は、Y粗動ステージ23Yと一体的にX軸方向、及び/又はY軸方向に移動する。
また、筐体61の周壁の外面の上端部には、図1及び図2から分かるように、+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向それぞれに延びるアーム部材67が固定されている。4本のアーム部材67それぞれの先端部には、微動ステージ21の下面に測長ビームを照射して筐体61に対する微動ステージ21のZ軸方向の位置情報を計測するレーザ変位計(あるいはレーザ干渉式測長機。以下、Zセンサと称する)68が固定されている。各Zセンサ68の出力は、液晶露光装置10の構成各部を統括制御する主制御装置50に供給される。主制御装置50は、4つのZセンサ68の計測結果を用いることで、微動ステージ駆動系59を介して微動ステージ21のZ軸方向の位置、及びθx方向、θy方向のチルト量を制御する。
空気バネ62は、筐体61の内部の最下部に収容されている。空気バネ62には、気体供給装置52から気体(例えば空気)が供給されており、その内部が外部に比べて気圧の高い陽圧空間に設定されている。重量キャンセル装置60は、空気バネ62が発生する上向き(+Z方向)の力で、微動ステージ21を含む系(具体的には、微動ステージ21、基板ホルダPH、及び基板Pなどから成る系)の重量(重力加速度による下向き(−Z方向)の力)を打ち消すことにより、微動ステージ駆動系59を構成する複数のボイスコイルモータ(図示省略)に対する負荷を低減する。
スライド部63は、筐体61の内部に収容された筒状の部材から成り、空気バネ62の上方に配置されている。重量キャンセル装置60は、空気バネ62の内圧を変化させることにより、スライド部63を上下動させる(Z軸方向に駆動する)ことができようになっており、微動ステージ21(すなわち基板P)をZ軸方向に駆動するアクチュエータとしても機能する。
レベリング装置64は、スライド部63の上方に配置されており、ベース64aと、ボール64bとを含む。ベース64aは、スライド部63の上面に取り付けられた図示しない複数の非接触軸受(例えば、エアベアリング)により、スライド部63に非接触(浮上)支持されている。ベース64aの上面には、凹部が形成されており、その凹部にボール64bの下部が嵌合している。レベリング装置64は、ベース64aの下部を除き、微動ステージ21の下面部中央に形成された円形の開口部21b(図3参照)を介して微動ステージ21の内部に収容されている。また、ボール64bの上部は、微動ステージ21の上壁の内面(天井面)に固定された固定部材21aの下面に形成された凹部に嵌合している。なお、図2ではその図示が省略されているが、ボール64bの外周面とベース64aの凹部を規定する面との間、及びボール64bの外周面と固定部材21aの凹部を規定する面との間には、それぞれ複数のボール(ただし、ボール64bよりも径が小さい)が挿入され、一種の転がり軸受が構成されている。あるいは、ボール64bの外周面とベース64aの凹部を規定する面との間、及びボール64bの外周面と固定部材21aの凹部を規定する面との間には、それぞれ圧縮空気を噴出して一種の空気静圧軸受が構成されている。これらの転がり軸受あるいは空気静圧軸受を介してボール64bが、固定部材21aとベース64aとの間で非接触で支持されている。これにより、微動ステージ21は、レベリング装置64を介して、重量キャンセル装置60にθx方向及びθy方向にチルト自在(揺動自在)な状態で支持される。なお、上記連結装置65(フレクシャ装置)を含み、重量キャンセル装置60の構成は、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書などに開示されている。
次に、基板ホルダPHと微動ステージ21の締結方法について説明する。図4に示されるように、基板ホルダPHの中央部には、ボルト40をそれぞれ挿入可能な段付の座ぐり加工がされた孔(貫通孔)が複数形成されている。また、スペーサ41には複数の貫通孔のそれぞれに対応する孔が形成されている。基板ホルダPH及びスペーサに形成された各孔の内部には、ボルト40の先端部がそれぞれ挿入され、微動ステージ21の上壁に形成されたねじ孔に螺合され、これにより基板ホルダPHと微動ステージ21とが締結されている。複数のボルト40は、図4に示されるように、所定間隔で互いに離間して配置されている。なお、ボルト40は複数である必要はなく、基板ホルダPHの重心付近に1本のみ配置することとしても良い。
また、図5に拡大して示されるように微動ステージ21の四隅の上面(基板ホルダPHと微動ステージ21との間)に、基板ホルダPHを真空吸着する吸着部82が設けられており、該吸着部82の上面には深さの浅い平面溝81が形成されている。平面溝81の平面視の形状は、例えば、円形でも良いし、矩形でも良い。吸着部82の底面には、下方に延びる吸引路が形成され、その下端の吸着口87に、微動ステージ21の上壁に下方から装着された吸引ヘッド88の上端が接続されている。吸引ヘッド88の下端には、微動ステージ21の底壁に形成された開口を通って外部から挿入された配管83の一端が接続されている。配管83の他端は不図示の真空ポンプを内蔵した真空吸引装置54(図6参照)に接続されている。主制御装置50は、真空吸引装置54を制御することで吸着部82の内部を真空状態に設定して基板ホルダPHを真空吸引することができる。ここで、配管83内の真空圧(動作真空度)は例えば主制御装置50によって真空吸引装置54を介して制御可能になっている。この場合、例えば、電空レギュレータによって真空圧を任意に制御できるようにしても良いし、真空吸引動作のON/OFFの切り替えのみとし、真空と大気解放の2つの状態を作り出すようにしても良い。
図6には、液晶露光装置10のステージ制御に関連する制御系の構成がブロック図にて示されている。
上述のようにして構成された本実施形態の液晶露光装置10によると、主制御装置50は、露光動作中などにおける微動ステージ21の移動中、あるいは移動中及び移動開始直前に微動ステージ21の四隅の吸着部82を介して基板ホルダPHを真空吸引して微動ステージ21に高い吸着力で固定する。これにより、ステージが暴走したり緊急停止指令によって微動ステージ21が制限(メカストッパ)に衝突した際など、基板ホルダPHが微動ステージ21の加減速時や緊急停止によって大きな慣性力を受けた場合においても基板ホルダPHが位置ずれを起こすことを防ぐことができる。一方、露光動作中以外などで微動ステージ21が停止している間には、主制御装置50は吸着部82を介した吸着力を弱める(若しくは吸着を解除する)。これにより、基板ホルダPHと微動ステージ21との間の広いスパンでの固定(ホルダ中央部と四隅付近での固定)における固定力が解除若しくは弱められ、基板ホルダPHと微動ステージ21は四隅付近での接触面間のすべりにより、バイメタル作用が緩和される。ここで、上述の露光動作中以外とは、例えば基板交換時、あるいはアライメント計測時などを指す。
このように、基板ホルダPHと微動ステージ21との広いスパンでの固定動作を制御し、ときどき自動的に解除することによって、基板ホルダPHは熱応力による変形、すなわち平面度の悪化を防ぐことができるとともに、微動ステージの加減速あるいは緊急停止等における基板ホルダPHの慣性力によるずれも抑えることができる。
また、本実施形態の基板ステージ装置PSTのように、微動ステージ21とY粗動ステージ23Y(及びX粗動ステージ23X)とがほぼ一定の間隔を保って往復運動をする場合、主制御装置50は、例えば、粗微動ステージ(微動ステージ21と、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xとから成る)のスキャン方向のストローク端付近のみ微動ステージ21と基板ホルダPHとの真空吸着をオンにし(あるいは吸着力を増強し)、ストローク中央付近では、真空吸着をオフにする(若しくは吸着力を弱める)ようにしても良い。ここで、中央付近とは、微動ステージ21が等速移動中のエリアのみであっても良いし、その前後の加減速中のエリアを含んでも良い。
粗微動ステージのスキャン方向のストローク中央付近で基板ホルダPHの吸着を解除している際に、粗微動ステージが緊急停止等した場合、微動ステージ21(テーブル)はY粗動ステージ23Yに設けられたメカストッパ(重心ストッパ)に衝突するが、この衝突する地点がストローク中央付近であるため衝突後に微動ステージ21は粗動ステージ(Y粗動ステージ23YとX粗動ステージ23Xとを含む)を押しながらストローク端まで移動することができる。この移動中の粗動ステージに働く制動力(ガイドの摩擦抵抗力)が行う仕事(摩擦抵抗力×移動距離)によって、微動ステージ21の運動エネルギーを一部(あるいは全部)消失させることができるので、微動ステージ21(テーブル)には大きな衝撃はかからない。従って、基板ホルダPHがずれることはない。また、粗微動ステージのスキャン方向のストローク端では、粗微動ステージが緊急停止すると、粗動ステージがショックアブソーバに衝突して、その衝突の反力が微動ステージ21に作用するが、上述の真空吸着を強い吸着力で行っているため、この場合も、基板ホルダPHがずれることはない。
粗微動ステージのスキャン方向のストローク中央付近かストロークエンドかによって基板ホルダPHの真空吸着のオンオフ等を行う方法は、ステージの移動中と停止中とで基板ホルダPHの真空吸着のオンオフ等を行う前述の方法と比べて、粗微動ステージの移動中においてもスキャン方向のストローク中央部付近では、真空吸着力がオフされる(あるいは弱められ、基板ホルダPHと微動ステージ21との広いスパンでの固定(ホルダ中央部と四隅付近)が解除される時間、すなわちバイメタル作用を起こす時間が減るため、基板ホルダPHの平面度はより安定に保たれる。
また、別の態様として、微動ステージ21の四隅の吸着部82による真空吸引を、吸着力を、バイメタル作用が起きない程度の弱い吸着力に設定し(若しくは吸着を停止し)て常時(露光中から否かを問わず)行い、粗微動ステージが位置制御不能となった場合にのみ、瞬時に吸着力を増して、基板ホルダPHのずれを防止することとしても良い。
また、微動ステージ21の四隅の吸着部82による真空吸着を解除した際に、接触面間に圧縮空気を送り込むことによって、積極的に接触面の摩擦力を減らし、滑り易くしても良い。
次に、微動ステージ21に衝撃がかかった際の、吸着部82を用いた基板ホルダの位置ずれ防止原理について説明する。
一辺が3mの正方形状で質量1000kgの基板ホルダPHを微動ステージ21に固定する場合を考える。粗微動ステージの緊急停止によって、微動ステージ21に2G(≒20m/s2)の衝撃力が作用したとすると、基板ホルダPHの慣性力はF=m・αより、F=1000×20=20000Nとなる。
バイメタル作用を起こし難いように基板ホルダPHの中央付近を、13本のM8ボルトをXY平面上で十字上に小ピッチ間隔で配置して、微動ステージ21に締結する。このときのM8ボルトの締付けトルクTを15N・m、トルク定数Kを0.2、ボルト径dを8mmとすると、締付けトルクT=K・d・Ffの関係式より締付力(直圧力)Ffを概算することができ、締付力FfはFf=T/(K・d)=15×1000/(0.2×8)=9375Nとなる。
ここで、基板ホルダPHと微動ステージ21との間の静摩擦係数μを0.15とすると、基板ホルダPHがずれるために必要な力Faはボルト本数が13本なので、Fa=μ・Ff・13=0.15×9375×13≒18281Nとなる。
以上の結果より、基板ホルダPHの持つ慣性力Fと、基板ホルダPHがずれるために必要な力Faを比較するとF>Faとなるため、このままでは基板ホルダPHは、ずれてしまう。
そこで、前述したように微動ステージ21の四隅それぞれに、1箇所100cm2の吸着面積を有する吸着部82を各1つ設ける。1つの吸着部82の動作真空度Pを−60kPaとすると、1MPa(1000kPa)=10kgf/cm2として全体吸着力FbはFb=100×4×60/0.1=2400Nとなる。
したがって、基板ホルダPHと微動ステージ21との総合締結力FtはFt=Fa+Fb=18281+2400=20681Nとなる。総合締結力Ftと基板ホルダPHの持つ慣性力Fを比較すると、F<Ftとなるため、基板ホルダPHと微動ステージ21との締結力(ボルト締結力+吸着力)は基板ホルダPHに2Gの慣性力が働いても基板ホルダがずれることのない直圧力(垂直方向力)を発生することができる。
以上のように、基板ホルダPHの中央付近に設置したボルト40と、微動ステージ21に設けた吸着部82の真空吸着による総合締結力により、基板ホルダPHのずれを防止する。
基板ホルダPHの重心位置と、基板ホルダPHの中央付近のボルト締結位置がほぼ一致している場合は、上記の説明のように、基板ホルダPHは慣性力によって並進方向にのみずれる場合を考えれば良く、単にボルト40の数を増やすことで、位置ずれを防ぐことができる。しかし、例えばプレートPをトレーを使って搬送するタイプの液晶露光装置などの場合、トレー溝の中で基板ホルダPHと微動ステージ(テーブル)とをボルト締結するが、この場合に、基板ホルダPHの重心位置付近をボルト締結できないなどの制約がある場合がある。かかる場合には、基板ホルダPHには慣性力方向の並進力のほかに、重心に働く慣性力(並進力)のボルト締結位置(Z軸)周りのモーメントが発生する。この回転ずれを抑えるためには、そのモーメントを打ち消すモーメント(以下、反モーメントと呼ぶ)を加える必要があるが、このような場合にも、基板ホルダPHのボルト締結位置から離れた位置(例えば、微動ステージ21の四隅)を吸着(固定)する本実施形態の手法は、有効である。ボルト締結位置から離れた位置で吸着しているので、小さな吸着力で、ボルト締結位置(Z軸)周りの大きな反モーメントを発生することができ、これにより回転ずれを効率良く抑えることができる。
以上説明したように、本実施形態の液晶露光装置10が備える基板ステージ装置PSTによると、基板ホルダPHを微動ステージ21を強固に固定(締結)する必要のある場合には、主制御装置50が、締結力(固定力)、具体的には真空吸着力の調整が可能な吸着部82の真空吸着力を強める(あるいはオンにする)ことで、基板ホルダPHが微動ステージ21からずれることを防止することができる。一方、基板ホルダPHを微動ステージ21に強固に固定する必要のない場合には、主制御装置50が、真空吸引装置54を制御することで4つの吸着部82の真空吸着力を弱める(あるいはオフにする)ことにより、基板ホルダPHの微動ステージ21周辺部に対するすべりを許容することができ、これにより、基板ホルダPHと微動ステージ21との熱膨張係数の相違によるバイメタル作用を抑制することができ、基板ホルダPHの平面度の悪化を防止(ないしは効果的に抑制)することができる。
また、本実施形態の液晶露光装置10によると、主制御装置50が、真空吸引装置54を介して吸着部82の真空吸着力を適宜制御することにより、基板ステージ装置PSTによって基板ホルダPHの位置ずれ防止と平面度の悪化防止とを両立することができる。これにより、例えば露光時には、基板ホルダPHに保持された基板Pの平面度を良好に維持して前述した走査露光を行うことにより、マスクMのパターンを基板P上に精度良く転写することが可能になる。また、例えば粗微動ステージの緊急停止時、加減速時などには、基板ホルダPH、ひいては基板Pの位置ずれを防止することができる。
なお、微動ステージ21の四隅における基板ホルダPHと微動ステージ21との補助的な締結(固定)方法は、上述した真空吸着方法のみに限らず、真空吸着と補助的な締結を併用しても良い。例えば、図7に示されるように、吸着部82にボルト穴86を形成し、そのボルト穴86を介して押さえボルト85を基板ホルダPHの裏面に形成されたねじ孔に螺合して固定する。そして、押さえボルト85の頭部と微動ステージ21の上壁との間に圧縮コイルばね84を配置して、圧縮コイルばね84の弾性力で下方から微動ステージ21を上方に付勢して基板ホルダPHと微動ステージ21とを締結(固定)する。この場合の圧縮コイルばね84の力は、吸着部82による真空吸引を停止した状態で、熱応力により微動ステージ21に対する基板ホルダPHのすべりが起こり、かつ、例えば露光動作中の微動ステージ21の加減速による基板ホルダPH位置ずれを防ぐことができる程度の大きさであることが望ましい。かかる場合には、露光動作中の微動ステージ21の加減速による位置ずれ防止を目的として吸着部82で弱い真空吸引を行う必要がなくなり、真空吸引装置54はON/OFFの切り替えのみ制御できれば十分となる。なお、加減速による位置ずれ防止のために、吸着部82での弱い真空吸引を同時に行っても良い。また、上記の付勢手段(補助的締結力を発生する手段)は圧縮コイルばね84に限らず、同等の付勢力で微動ステージ21と基板ホルダPHとを補助的に締結できる部材であれば良い。
基板ホルダPHと微動ステージ21との補助的な締結方法は、上述の押さえボルト85と付勢手段との組み合わせに限らず、磁石による締結、クランプによる締結など、バイメタル作用による基板ホルダPHと微動ステージ21との相対変位が起こる程度の、弱い固定力で両者を締結できるものであれば良い。
また、微動ステージ21の四隅の吸着部82による真空吸着を用いない補助的な締結方法として、例えば、クランプ機構を用いて基板ホルダPHと微動ステージ21とを締結する方法を用いても良い。図8及び図9のそれぞれに示されるように、圧縮空気と弾性部材を利用した機械式のクランプ機構91又は92を設け、これらのクランプ機構91又は92に供給される圧縮空気の供給圧力をソレノイドバルブを用いて制御するようにしても良い。この場合、真空吸着よりも大きな固定力を得られる。ここで、図8ではクランプ機構91が微動ステージ21を拘束し、図9ではクランプ機構92が基板ホルダPHを拘束する。これらの場合、クランプ機構91、92によるON/OFF(クランプ/アンクランプ)の切り替えが高速で行えるため、例えば、粗微動ステージが位置制御不能になってそのエラー信号を主制御装置50が受け取った際などに、ステージ装置が衝突する前にクランプを働かせることで、基板ホルダPHがずれないように強固に固定することができる。
なお、クランプ機構は露光方向の二辺(X軸に平行な二辺)に設けても良いし、該二辺に直交する二辺(Y軸に平行な二辺)に設けても良いし、若しくは該四辺に設けても良い。
ここで、クランプ機構91,92は、2つの相対移動可能な部品を空気圧と弾性部材を使って、機械的に連結と解除を行わせる装置であり、一般に市販されているもので良く、例えば、ドイツのHEMA社が販売する(InnoTech社が開発し日本では(株)キャプテンインダストリー社が販売)RotoClamp、LinClamp、PClamp、あるいは日本の鍋屋バイテック会社が製造販売するLinearClamper-Zeeなどがある。
上述した、拘束/非拘束の切り替え装置はクランプ装置に限らず、例えば磁石による切り替え方式を用いても良い。
なお、上記実施形態では、4つの吸着部82のすべての吸着力の調整(増減(又はオン/オフ))が常に同時に行われるものとしたが、これに限らず、複数の吸着部82等の締結部の一部についてのみ、締結力の調整を行えるようにしても良い。この場合、締結力を同時に調整する締結部の組合わせを、微動ステージの移動方向に応じて変更するようにしても良い。
また、ステージ装置の位置などに応じて締結力(固定力)を変える考え方は、基板ホルダPHと微動ステージ21との締結のみに限らず、ステージ装置に取り付く位置安定性の要求の高い重要な他の部品、例えば基準指標や干渉計用バーミラーなどの固定にも応用できる。
また、上記実施形態では、基板Pは、水平面に沿って案内されたが、これに限らず水平面に直交する二次元平面(鉛直面)、あるいは水平面に対して傾斜する二次元平面に沿って案内されても良い。また、上記実施形態の微動ステージは、一本の柱状部材から成る重量キャンセル装置により支持されたが、基板ステージ装置としては、重量キャンセル装置を有していなくても良いし、重量キャンセル装置を複数有していても良い。
なお、上記実施形態において、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
また、上記実施形態では、投影光学系PLが、複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。
また、上記実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍の等倍系を用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は拡大系及び縮小系のいずれでも良い。
なお、上記実施形態の液晶露光装置は、サイズ(外径、対角線、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ(FPD)用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。これは、基板の大型化に対応すべく上記各実施形態の露光装置が構成されているからである。
また、上記実施形態では、液晶露光装置がプレートのステップ・アンド・スキャン動作を伴う走査型露光を行う投影露光装置である場合について説明したが、これに限らず、上記実施形態の露光装置は、投影光学系を用いない、プロキシミティ方式の露光装置でも良い。また、上記実施形態の露光装置は、ステッパなどの静止型露光装置でも良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置でも良い。
また、上記実施形態においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、シリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置として、例えば米国特許出願公開第2005/0259234号明細書などに開示される、投影光学系とウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などに適用しても良い。
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも適用することができる。
なお、本発明に係る基板保持装置は、露光装置に限らず、例えばインクジェット式の機能性液体付与装置を備えた素子製造装置にも適用することができる。
以上説明したように、本発明の基板保持装置は、基板を平面度良く保持するのに適している。本発明の露光装置は、基板に所定のパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの生産に適している。
10…液晶露光装置、21…微動ステージ、50…主制御装置、60…重量キャンセル装置、80…平面度調整装置、81…平面溝、82…吸着部、83…配管、84…圧縮コイルばね、85…押さえボルト、91…クランプ機構、92…クランプ機構、P…基板、PH…基板ホルダ、PST…基板ステージ装置。
Claims (19)
- 一面側に基板を保持する平板状の保持部材と;
前記保持部材の他面側の少なくとも中央部の一部を一体的に支持する支持部材と;
前記支持部材を前記基板とほぼ平行な所定の二次元平面内で駆動する駆動装置と;を備え、
前記保持部材と前記支持部材とは、前記保持部材の中心近傍の少なくとも1箇所が締結部材によって互いに締結されるとともに、前記支持部材の周辺部の複数箇所で補助締結部材によって互いに締結され、前記複数の補助締結部材の少なくとも一部は、締結力の調整が可能である基板保持装置。 - 前記支持部材は、矩形板状であり、
前記複数の補助締結部材は、前記支持部材の四隅部にそれぞれ配置された少なくとも4つを含む請求項1に記載の基板保持装置。 - 前記補助締結部材は、前記保持部材を吸着する真空吸引力を前記締結力とする吸着部材を含む請求項1又は2に記載の基板保持装置。
- 前記吸着部材は、前記保持部材に対向する側の端部に平面吸着溝を有する請求項3に記載の基板保持装置。
- 前記締結力の調整は、前記真空吸引力のON/OFFの切り替えを含む請求項3又は4に記載の基板保持装置。
- 前記補助締結部材は、圧縮気体の噴出し圧力を前記保持部材と前記支持部材との間の斥力とする請求項1又は2に記載の基板保持装置。
- 前記締結力の調整は、前記真空吸引力を連続的に又は段階的に調整することを含む請求項3又は4に記載の基板保持装置。
- 前記複数の補助締結部材は、供給される圧縮気体の内部圧力により収縮する弾性部材の変形の際の応力を前記締結力とする機械式のクランプ機構を含む請求項1に記載の基板保持装置。
- 前記弾性中空部材の内部圧力の調整は、ソレノイドバルブの開度調整により行われる請求項8に記載の基板保持装置。
- 前記クランプ機構は、前記保持部材に取り付けられ、前記弾性部材の変形の際の応力により前記支持部材をクランプする請求項8又は9に記載の基板保持装置。
- 前記クランプ機構は、前記支持部材に取り付けられ、前記弾性部材の変形の際の応力により前記保持部材をクランプする請求項5に記載の基板保持装置。
- 前記補助締結部材は、前記保持部材と前記支持部材とを、両者間に作用する熱応力に起因するバイメタル作用による両者の相対変位を許容する程度の締結力で締結する請求項1〜11のいずれか一項に記載の基板保持装置。
- 前記二次元平面は、水平面に平行であり、
前記二次元平面に直交する方向に延びる柱状の部材から成り、前記支持部材及び前記保持部材を含む系の自重を支持し、前記二次元平面に平行な面内で移動する自重支持部材をさらに備える請求項1〜12のいずれか一項に記載の基板保持装置。 - エネルギビームにより基板を露光してパターンを形成する露光装置であって、
前記保持部材に基板が保持される請求項1〜13のいずれか一項に記載の基板保持装置と;
前記保持部材に保持された前記基板にエネルギビームを照射して露光する露光光学系と;
前記少なくとも一部の締結部材の締結力を制御する制御装置と;を備える露光装置。 - 前記制御装置は、前記基板の露光動作時と該露光動作時以外のときとで、前記補助締結部材の締結力を異ならせる請求項14に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記支持部材の移動ストローク範囲における端部とそれ以外の時とで、前記補助締結部材の締結力を異ならせる請求項14又は15に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記支持部材の位置制御が異常となったとき、前記複数の補助締結部材全体の締結力を強めて前記保持部材と前記支持部材とを強固に締結する請求項14〜16のいずれか一項に記載の露光装置。
- 請求項14〜17のいずれか一項に記載の露光装置により基板を露光することと;
露光された前記基板を現像することと;を含むデバイス製造方法。 - 請求項14〜17のいずれか一項に記載の露光装置により基板を露光することと;
露光された前記基板を現像することと;を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。
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