先ず、本願発明に係る撮像装置の概念について説明する。図1は、本願発明に係る撮像装置10を車載カメラとして用いて構成した後方視認支援機構80を説明するための説明図である。図2は、撮像装置10の概略的な構成を説明するための説明図であり、図3は、撮像装置10において最も物体側に位置する光学素子(レンズ14a)を説明するために模式的に示す説明図である。図4は、比較例としての撮像装置10´を示す図2と同様の説明図であり、図5は、撮像装置10´において最も物体側に位置する光学素子(レンズ14a)を説明するための図3と同様の説明図である。図6は、撮像装置10´により取得した一例としての画像P1を示す説明図であり、図7は、撮像素子13の位置の調整前の撮像装置10により取得した一例としての画像P2を示す説明図である。図8は、撮像装置10における撮像素子13の位置の調整の説明のための説明図であり、(a)は撮像素子13の中心と撮影光軸OAとが一致している様子を示し、(b)は撮像素子13の中心が撮影光軸OA上とされた状態において遮蔽領域SAが設けられた様子を示し、(c)は撮影光軸OAに対して撮像素子13が位置調整された様子を示している。
撮像装置10は、この例では、図1に示すように、乗員特に運転手による車両後方の視認の支援のための後方視認支援機構80を構成すべく用いられており、車両Cに適用されている。この後方視認支援機構80では、撮像装置10は、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象とすべく、車両Cの後端位置(図示の例ではトランクリッドの後端面の上部)で車両Cの後方斜め下側へ向けて設けられている。すなわち、撮像装置10は、撮影対象を車両Cの後方斜め下側で固定するように、設置位置となる車両C(その後端位置)に対する撮影光軸OAの方向(位置関係)が変動しないように、車両Cに固定的に設置されている。
後方視認支援機構80は、図1に示すように、撮像装置10に接続された制御部81と、その制御部81を介して撮像装置10と接続されたモニタ82と、を有する。この後方視認支援機構80では、制御部81が撮像装置10から出力された電気信号(画像データ)に基づいて、車両後方の画像をモニタ82に表示させる。制御部81は、図示は略すが、車両Cの変速ギア(図示せず)がバック(リバース)へと切り換えられたときや、車両後方の画像を表示する旨の信号が入力されたときに、撮像装置10で取得された車両後方の画像をモニタ82に表示させる。モニタ82は、車両Cの車室内において、乗員特に運転手による視認を容易とする位置に設けられた表示部である。このモニタ82は、図示は略すがナビゲーションシステムの表示部としての機能を兼用するものであってもよい。このため、乗員特に運転手は、車両Cの後方確認が必要なときに、モニタ82の画像により車両Cの後方を容易に認識することができるので、後方視認支援機構80は、車両後方の視認の支援をすることができる。
次に、本発明に係る撮像装置10の概略的な構成を、図2および図3を用いて説明する。撮像装置10は、取付壁部11に撮像光学系12が取り付けられ、その撮像光学系12の結像位置に撮像素子13(その受光面13a)が配置されて大略構成されている。
この撮像光学系12は、画像取得のために任意の位置に結像させるものであり、少なくとも1つ以上の光学素子を有し、撮像装置10(撮像光学系12)において求められる光学性能に応じて適宜構成される。撮像光学系12は、複数の光学素子から為る光学素子群14が筒状の鏡筒15に収容されて構成されている。その光学素子群14は、この例では、被写体(物体)側から順に、レンズ14a、レンズ14b、レンズ14c、レンズ14d、絞り14e、レンズ14f、レンズ14gおよびレンズ14hを有する。このため、光学素子群14では、レンズ14aが最も被写体(物体)側に位置する対物レンズとなる。以下では、撮像光学系12における光学的な軸線、すなわち光学素子群14(鏡筒15)の中心軸位置となる各レンズ14b〜14h(絞り14eを含む)の回転対称軸を、撮像光学系12すなわち撮像装置10の撮影光軸OAとする。
取付壁部11は、少なくとも撮像光学系12の対物レンズ(この例ではレンズ14a)すなわち鏡筒15の一端部の撮影光軸OAに直交する方向(以下では、径方向ともいう)で見た周囲を取り囲む外表面Sを形成するものであり、撮像装置10の所望の箇所への取り付けを可能とするものである。この例では、取付壁部11は、車両Cの後端位置への取り付け箇所となる。なお、撮像装置10が車両Cの外部に露出するように当該車両Cに取り付けられる場合、取付壁部11は、後述するように、筐体16の後側を構成する後側筐体部17に結合することにより、撮像光学系12および撮像素子13を筐体16の内方に収容する構成(図9および図10参照)として、封止性能を有するものとする。
撮像素子13は、CCDイメージセンサである固体撮像素子で構成されており、撮像光学系12(光学素子群14)を通して受光面13a上に結像された被写体像を電気信号(画像データ)に変換して出力する。この撮像素子13から出力された電気信号は、被写体像に対応したデジタル画像データに生成されて、制御部81(図1参照)へと出力される。撮像素子13は、撮像光学系12(光学素子群14)として設定された光学性能を効率よく発揮させるべく、その撮像光学系12(光学素子群14)により形成された被写体像が、実質的な受光領域を形成する受光面13a上に適切に位置するように、撮像光学系12(その鏡筒15)に対する位置が設定されて設けられている。
撮像装置10では、車両Cに搭載されることから、光学的な性能を確保しつつ小型化することが求められている。このような撮像装置では、その全体の大きさ寸法において光学素子としての各レンズの大きさ寸法が大きな割合を占めている。このため、光学素子群14すなわち各レンズ14a〜14h(絞り14eを含む)の大きさ寸法を小さくすることが考えられるが、単純に光学素子群14(各レンズ14a〜14h)の大きさ寸法を小さくすると、光学素子群14(撮像光学系12)すなわち撮像装置10における光学性能の低下を招いてしまう。このため、本発明に係る撮像装置10では、基本的に、光学素子群14の厚さ寸法(撮影光軸OAに直交する方向で見た大きさ寸法)の抑制することで、光学素子群14における光学性能を維持しつつその大きさ寸法を低減する。
ここで、撮像装置10では、対物レンズとなるレンズ14a(その表面14a1)が、撮像光学系12(光学素子群14)における入射面を規定している。この撮像光学系12では、入射面を規定する対物レンズとなる光学素子群14のレンズ14aの大きさ寸法、特にレンズ14aにおける撮影光軸OAと直交方向の大きさ寸法(レンズ14aの径寸法)が、全体の大きさ寸法において大きな割合を占めている。このため、本発明に係る撮像装置10では、撮像光学系12(光学素子群14)の入射面を規定している対物レンズとなるレンズ14aの径寸法(撮影光軸OAと直交方向の大きさ寸法)を低減することで、光学素子群14の厚さ寸法を抑制する。
本発明では、レンズ14aに、撮影光軸OAと直交方向で見た一方の周縁部を撮影光軸OAと平行な平面で面取り加工する、いわゆるDカット加工を施している(図3参照)。これにより、撮像光学系12(光学素子群14)において、撮影光軸OA方向で見てレンズ14aが円形状であるときの基本的な光学的性能を維持しつつ厚さ寸法を低減することを実現している。このため、撮像装置10では、光学素子群14を収容する鏡筒15およびその一端部を取り囲む取付壁部11が、Dカット加工が施されたレンズ14aの外形形状に適合するものとされており、撮像光学系12(光学素子群14)の厚さ寸法の低減に伴って全体としての厚さ寸法が低減されている。
この撮像光学系12(光学素子群14)において、レンズ14aにDカット加工が施されていることによる作用を、図2ないし図7を用いて以下で説明する。なお、図2および図4では、外方からレンズ14a(14a´)(その表面14a1(14a1´))に入射する光が光学素子群14((14´))内を経て撮像素子13(その受光面13a)へと進行する様子を説明するために、撮影光軸OAを含む同一面上に位置する複数の光の出射点を符号l1〜l7で示し、各出射点l1〜出射点l7からの光束が進行する様子を符号L1〜L7で示している。この出射点l4は、撮影光軸OA上に位置しており、出射点l1、l2、l3と出射点l7、l6、l5とは、撮影光軸OAに関して線対称とされている。
比較例としての撮像装置10´は、図4および図5に示すように、撮像光学系12´(光学素子群14´)において、対物レンズとしてDカット加工を施していないレンズ14a´を用いていることを除くと、上述した撮像装置10と同様の構成とされている。この撮像装置10´では、各出射点l1〜l7からの光束L1〜L7のすべてを、撮像素子13へと導くことができる。
これに対し、本発明に係る撮像装置10では、図2に示すように、取付壁部11の上端部分11a(鏡筒15において上端部分11aに相当する箇所)により、出射点l1からの光束L1が撮像素子13へと到達することが防止されている。このように、撮像装置10では、レンズ14aにDカット加工を施したことにより、撮影光軸OAに直交する面で見て、レンズ14aの外方からの入射光に対して実質的に撮像素子13で受光可能な領域が狭まることとなり、撮影光軸OA周りで見た特定方向の画角が小さくなる。この様子を示したのが図6および図7である。この図6および図7では、後方視認支援機構80を構成すべく互いに等しく車両Cに設置され互いに等しい条件下において、撮像装置10´または撮像装置10で画像(P1(図6)、P2(図7))を取得している。この図6および図7に示すように、撮像装置10で取得した画像P2(図7参照)では、撮像装置10´で取得した画像P1(図6参照)に比較して、上下方向で見て上端位置から所定の領域が遮蔽されている。これを、画像P2における遮蔽領域SAとする。この画像P2での遮蔽領域SAは、図2および図3に示すように、撮像光学系12(光学素子群14)の入射面となるレンズ14a(その表面14a1)における、Dカット加工により除去された領域14a2により決定される。このため、本発明に係る撮像装置10では、以下のことを考慮して画像P2における遮蔽領域SAを設定し、それに応じた領域14a2を除去するようにDカット加工を施している。
撮像装置10(撮像装置10´でも同様である)では、撮像素子13としてCCDイメージセンサを用いていることから、その構造に起因して、被写体像を取得する際に強い光が入射すると、取得した画像において白い帯状(線)の部分が形成されてしまういわゆるスミアが発生する場合がある。この発生したスミアを、撮像装置10´により取得した画像P1(図6参照)に符号smで示す。このスミアsmは、画像P1の例では、太陽Suからの強い光が入射したことが原因で生じている。このようなスミアsmは、この例のように後方視認支援機構80を構成する車載カメラとして適用する場面や監視カメラとして適用する場面では、図6を見てもわかるように、車両後方や監視対象の視認の妨げとなる虞があり、機能の低下となるような画像の劣化を招く虞がある。
このため、撮像装置10では、適用される用途に応じて、画像P2における遮蔽領域SA、すなわち撮影光軸OA周りで見て画角を小さくする特定方向および当該画角を設定する。換言すると、撮像装置10では、用途に応じて設置位置と撮影対象とが固定的に決定されることから、その固定された撮影光軸OAを中心とする画角内すなわち取得する画像上において、最も強い光が存在する可能性の高い箇所を適切にかつ容易に把握することができるので、当該箇所を遮蔽領域SA(画角を小さくする特定方向および当該画角)として設定する。この例では、撮像装置10は、後方視認支援機構80(図1参照)を構成すべく車両Cに設けられており、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象としていることから、取得する画像における上端側の所定の範囲に空が映し出される(図6の画像P1参照)。ここで、空に太陽(図6の符号Su参照)が位置することが考えられることから、車両Cが通常の状態である場合にそこに搭載された撮像装置10が取得する画像(図6の画像P1参照)において、空が映し出される領域を遮蔽領域SA(図7の画像P2参照)に設定している。すなわち、撮像光学系12(光学素子群14)において、空が映し出される領域を遮蔽領域SAとするようにレンズ14aにおけるDカット加工による領域14a2として除去する範囲(大きさ寸法)が設定されているとともに、Dカット加工により除去された領域14a2が鉛直方向で見て上側に位置するように、撮影光軸OA周りで見たレンズ14aの姿勢(撮影光軸OAに直交する面上での回転姿勢)が設定されている。このため、撮像装置10´による画像P1(図6参照)では太陽Suが画角内に存在することに起因してスミアsmが発生しているが、撮像装置10による画像P2(図7参照)では遮蔽領域SA内すなわちDカット加工により狭められた画角内に太陽Suが存在していることから、当該太陽に起因するスミアの発生を防止することができる。
この例では、レンズ14aは、樹脂材料から射出成形により形成している。ここで、射出成形によりレンズを形成する場合、図示は略すが、一般的に金型に設けたゲートから金型内へと樹脂材料を供給することとなるが、形成されたレンズでは当該ゲートに相当する箇所に成形応力に起因する光学的な歪みが生じる虞がある。このため、本発明に係る撮像装置10では、上述したゲートに相当する箇所を除去するように、すなわち当該箇所を領域14a2とするように、レンズ14aにDカット加工を施している(図3参照)。このため、レンズ14aでは、樹脂材料から射出成形で形成することによりガラス材料から形成することに比較してコストを低減することができるとともに、樹脂材料から射出成形で形成することに起因する光学性能の劣化を防止することができる。
これに加えて、本発明に係る撮像装置10では、撮像光学系12(光学素子群14)の撮影光軸OAに対する撮像素子13(その受光面13a)の位置調整が為されている。これについて、図8を用いて説明する。この図8では、Dカット加工を施していないレンズ14aを用いた撮像光学系12(光学素子群14)により像面上において被写体像が形成される領域の概念図を符号I(以下、被写体像形成領域Iという)で示している。また、図8では、上記した像面(被写体像形成領域I)において撮像素子13(その受光面13a)により画像データとして取得される領域(像面上での受光面13aの大きさ寸法に相当する)の概念図を符号Ig(以下、取得領域Igという)で示している。さらに、図8では、被写体像形成領域Iにおいてレンズ14aにDカット加工が施される(領域14a2が除去される)ことにより、被写体像形成領域I内であっても実質的に撮影対象の画像が取得できなくなる領域を符号Ia(以下、除去領域Iaという)で示している。ついで、図8では、理解容易のために、被写体像形成領域Iのうち取得領域Ig内(受光面13aで取得される領域)を実線で示すとともに、取得されない領域を二点鎖線で示している。
通常の場合、撮像装置では、図8(a)に示すように、撮像素子13における受光面13aの中心位置が撮影光軸OA上となるように、すなわち撮像素子13により取得する取得領域Igにおける中心位置が撮影光軸OA上となるように、撮像光学系12(光学素子群14)の撮影光軸OAに対する撮像素子13(その受光面13a)の位置が設定されている。これは、撮像光学系12(光学素子群14)により形成された被写体像では、撮影光軸OAに近いほど撮像光学系12(光学素子群14)での収差の影響が小さいことから、取得領域Igにおける中心位置が撮影光軸OA上であると、取得する画像における撮像光学系12(光学素子群14)での収差の影響を最も少なくすることができることによる。
ところが、本発明に係る撮像装置10では、図8(b)に示すように、画像(取得領域Ig)において遮蔽領域SAを設定すべく、レンズ14aにDカット加工を施して被写体像形成領域I内に除去領域Iaを形成していることから、取得領域Igの中心位置が撮影光軸OA上となるように位置設定すると、被写体像形成領域I内であっても除去領域Iaでは撮影対象の被写体像が形成されないので、撮像素子13において受光面13a(取得領域Ig)上の遮蔽領域SAに相当する領域を被写体像の取得に利用していないこととなってしまう。換言すると、実効的な画角が小さくなってしまう。
このため、撮像装置10では、撮像素子13を効率よく利用すべく、撮像光学系12(光学素子群14)による被写体像形成領域Iのうち実質的に被写体像が形成されない除去領域Iaを、実質的な受光領域を形成する取得領域Ig上に位置させないように、換言すると、被写体像形成領域Iのうちの除去領域Ia以外の領域を取得領域Ig上に位置させるように、撮像光学系12(その鏡筒15)に対して撮像素子13が位置設定されている(図8(c)参照)。詳細には、撮像装置10では、図8(c)に示すように、撮像光学系12(光学素子群14)の被写体像形成領域I上で見て、その中心位置となる撮影光軸OA上に撮像素子13の受光面13a(取得領域Ig)の中心位置が位置する状態(図8(a)、(b)参照)から、遮蔽領域SAが設定された方向とは反対側へ向けて、画像上での遮蔽領域SAの大きさ寸法に相当する寸法(距離)だけ、撮像光学系12(光学素子群14)の像面に沿って撮像素子13(取得領域Ig)を変位させている。すなわち、撮像光学系12(光学素子群14)の像面上において、撮像光学系12(光学素子群14)の撮影光軸OAを基準として、被写体像形成領域Iにおける除去領域Iaが形成された方向とは反対側へ向けて当該除去領域Iaに相当する寸法(距離)だけ、取得領域Ig(その中心位置)が移動するように、撮像光学系12(光学素子群14)に対する撮像素子13の位置を変位させている。この例の撮像装置10では、受光面13aで取得する画像において鉛直方向上端から撮影光軸OAへ向けた所定の帯状領域を遮蔽領域SAとするように(図7および図8(b)参照)、レンズ14aの上端部を除去するようにDカット加工を施していることから(図3および図8(b)等参照)、その遮蔽領域SAに相当する寸法(距離)だけ撮影光軸OAに対して撮像素子13を上方側へと変位(図2の矢印A1参照)させている。これは、撮像光学系12(光学素子群14)は、図示は略すが、形成する被写体像が倒立像となる光学的な特性を有していることによる。
よって、本発明に係る撮像装置10では、適用される用途に応じて撮影光軸OA周りで見た画角を小さくする特定方向および当該画角を設定している、すなわち用途に応じて撮影対象およびそのための設置位置が固定的に決定され、その取得する画像上において強い光が入射する可能性が高い箇所を遮蔽領域SAに設定していることから、当該強い光に起因するスミアの発生を防止することができ、当該強い光に起因する画像の劣化を防止することができる。
また、撮像装置10では、撮像光学系12の光学素子群14において入射面を規定する対物レンズとなるレンズ14aにDカット加工を施していることから、当該レンズ14aの径寸法(撮影光軸OAと直交方向の大きさ寸法)を低減することできるので、光学素子群14の厚さ寸法を抑制することができる。このため、撮像装置10では、全体としての大きさ寸法を小さくすることができる。これは、撮像装置10では、撮像光学系12の大きさ寸法が全体の大きさ寸法において大きな割合を占めており、その撮像光学系12では、光学素子群14のレンズ14aの大きさ寸法、特にレンズ14aにおける撮影光軸OAと直交方向の大きさ寸法(レンズ14aの径寸法)が、全体の大きさ寸法において大きな割合を占めていることによる。
さらに、撮像装置10では、撮像光学系12の光学素子群14において、所定の光学性能を満たすべく各レンズ14a〜14h(絞り14eを含む)が設定されているとともに、その各設定を変更することなくレンズ14aにDカット加工を施していることから、撮像光学系12(光学素子群14)における光学的な性能を確保することができる。
撮像装置10では、撮像光学系12(光学素子群14)の像面上において、撮像光学系12(光学素子群14)の撮影光軸OAを基準として、被写体像形成領域Iにおける除去領域Iaが形成された方向とは反対側へ向けて当該除去領域Iaに相当する寸法(距離)だけ取得領域Ig(その中心位置)が移動するように、撮像光学系12(光学素子群14)に対する撮像素子13の位置が設定されていることから、撮像素子13を効率よく利用して撮像光学系12(光学素子群14)により形成される被写体像を取得することができる。換言すると、画角の減少を招くことなく、強い光に起因する画像の劣化を抑制することができる。
撮像装置10では、撮像素子13としてCCDイメージセンサを採用していることから、広い受光範囲(ダイナミックレンジ)を得ることができるので、夜間でも鮮明な画像を取得することができる。このため、この例のように後方視認支援機構80として用いることにより、運転者による視認をより適切に支援することができる。
撮像装置10では、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象とするように車両Cに設けられており、撮像素子13を効率よく利用して撮像光学系12(光学素子群14)により形成される被写体像を取得することができることから、車両Cの後方斜め下側の領域のうち、より車両Cに接近した領域を取得することができる(図8(c)参照)。このため、この例のように後方視認支援機構80として用いることにより、運転者による視認をより適切に支援することができる。
撮像装置10では、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象とするように車両Cに設けられており、撮像素子13を効率よく利用すべく撮像光学系12(光学素子群14)の撮影光軸OAに対して受光面13a(取得領域Ig)の中心位置が偏移されていることから、設定した撮影対象において最も重要な箇所を撮影光軸OA上に位置させつつ広範な領域の画像を取得することができるので、撮影対象において最も重要な箇所の画像をより鮮明に取得することができる。このため、この例のように後方視認支援機構80として用いると、運転者による視認をより適切に支援することができる。
撮像装置10では、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象とするように車両Cに設けられており、その撮影対象において空が映し出される領域を遮蔽領域SAに設定していることから、太陽に起因するスミアの発生を防止することができる。このため、この例のように後方視認支援機構80として用いることにより、運転者による視認をより適切に支援することができる。
撮像装置10では、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象とするように車両Cに設けられており、撮像光学系12の光学素子群14のレンズ14aにDカット加工を施すことにより、当該レンズ14aの径寸法(撮影光軸OAと直交方向の大きさ寸法)を低減して光学素子群14の厚さ寸法を抑制して小型化を可能としていることから、小型な構成であるにも拘らず、適切な光学性能を有するものとすることができる。このため、この例のように後方視認支援機構80として用いると、車両における種々の規制を満たしつつ所望の領域を撮影対象とすべく任意の位置に取り付けることが容易であって、かつ撮影対象の鮮明な画像を取得することができるので、運転者による視認をより適切に支援することができる。
したがって、本発明に係る撮像装置10では、強い光に起因する画像の劣化を抑制することができ、光学的な性能を確保しつつ小型化することができる。
次に、本発明に係る撮像装置の具体的な構成の一例について、図9ないし図11を用いて説明する。以下の具体的な構成例の撮像装置100(図9ないし図11)では、基本的な構成は上記した図1ないし図8の撮像装置100と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図9は、撮像装置100の外観形状を模式的に示す斜視図である。図10は、図9に示すI−I線に沿って得られた模式的な断面図である。図11は、車両Cの後端位置に設けられた様子を示す説明図である。
撮像装置100は、図9および図10に示すように、取付壁部11に、撮像光学系12(図9では、その後述する対物レンズ(レンズ14a)および抜止部材22の前端部のみが露見している)と、電装基板部30と、が取り付けられて構成されている。
取付壁部11は、上述したように、少なくとも撮像光学系12の対物レンズ(レンズ14a)すなわち鏡筒15の一端部の撮影光軸OAに直交する方向(径方向)で見た周囲を取り囲む外表面Sを形成するものであり、撮像装置100の所望の箇所への取り付けを可能とするものである。この取付壁部11は、この具体例では、撮影光軸OA方向から見た正面形状が矩形状であって全体に直方体形状を呈し、Dカット加工が施されたレンズ14aの外形形状(図3参照)に適合する形状とされている。取付壁部11は、この具体例では、筐体16の前側(被写体側)部分(前側筐体部)を構成するものとされている。このため、取付壁部11は、筐体16の後側を構成する後側筐体部17への取り付けが可能とされている。この取付壁部11は、図示は略すが、封止部材(例えば、Oリングや平パッキン等)を介在させた状態で、後端面11bを後側筐体部17の前端面17aに付き合わされてネジ止め等で結合されることにより、互いの結合箇所における防水機能や防塵機能(以下、封止性能という)を有する筐体16を形成する。
取付壁部11には、図10に示すように、撮像光学系12の鏡筒15の撮影光軸OA方向での挿通が可能とされた円柱状の挿通孔11cが設けられている。この挿通孔11cは、後述するようにレンズ14aの外形形状(図3参照)に適合された鏡筒15の一端部を受け入れるべく、撮影光軸OAから見た内径形状がDカット加工の施されたレンズ14aの外形形状(図3参照)に適合する形状とされている(図9参照)。挿通孔11cでは、撮影光軸OA方向で見た後側(後側筐体部17側)に、内周壁面から内方へと突出された環状の内方突出部11dが設けられている。挿通孔11cは、内方突出部11dが設けられることにより、取付壁部11において、前側(被写体側)から見て同心状の2つの円形状を呈する段付きの貫通孔を形成している。
後側筐体部17は、図9および図10に示すように、一端開放の箱形状を呈し、取付壁部11との協働により、撮像光学系12および電装基板部30(撮像素子13)を収容する筐体16を形成する。この後側筐体部17は、この具体例では、取付壁部11の後端面11bの後方において、撮像光学系12と、その鏡筒15に結合された電装基板部30と、を収容可能な大きさ寸法(深さ寸法)とされている。後側筐体部17には、後端側に、撮像装置100を含む筐体16を所望の場所に取り付けるための2つの取付突起17bが設けられている。この両取付突起17bは、図示は略すがネジ穴が設けられたボス部とされている。また、後側筐体部17には、後述する電装基板部30(後述する電子部品32)へと電力を供給したり、電装基板部30に実装される撮像素子13で取得した画像データを伝送したりするための電線18が設けられている。この電線18は、外部との封止性能を有した状態で電装基板部30への接続を可能とされている。この封止性能を有する構成としては、後側筐体部17に接続穴(図示せず)を設け、そこに電線18を挿通するとともに周囲を防水用接着剤で充填することや、図示の例のように電線18(その被覆部材)を後側筐体部17と一体的に形成することがあげられる。なお、この電線18は、取付壁部11に後側筐体部17を取り付けない場合には、電装基板部30に直接接続する。この後側筐体部17との結合が可能とされた取付壁部11に撮像光学系12が取り付けられる。
この撮像光学系12は、上述したように鏡筒15に光学素子群14が保持されて構成されている。この鏡筒15は、光学素子群14を内方で保持すべく筒状を呈し、外観形状が、前側(被写体側)となる一端側が相対的に径寸法(径方向で見た撮影光軸OAを基準とする外径寸法)の大きい段付きの形状とされている。鏡筒15は、前側の拡径部が取付壁部11の挿通孔11cの拡孔部への挿通が可能でありかつ内方突出部11dの内方へと挿通することのできない外径寸法とされ、縮径部が当該内方突出部11dの内方への挿通が可能な外径寸法とされている。また、鏡筒15の拡径部(一端部)は、撮影光軸OAから見た輪郭形状がDカット加工の施されたレンズ14aの外形形状(図3参照)に適合する形状とされている(図9参照)。
この鏡筒15では、縮径部の外周面に鏡筒側ネジ溝としてのネジ溝15aが設けられている。このネジ溝15aは、後述する前側ナット状部材23のネジ溝23a、後側ナット状部材24のネジ溝24aおよび電装基板部30の結合部材33のネジ溝33aと螺合可能とされている。
この鏡筒15では、光学素子群14の保持のために、中心位置を撮影光軸OA方向に沿って貫通する保持孔15bが設けられている。この保持孔15bは、前側(被写体側)が光学素子群14としてのレンズ14aの嵌合が可能な大内径部とされており、その後側が当該大内径部よりも小さな内径寸法で光学素子群14の残りの光学素子14pに適合する内径形状の小内径部とされている。この大内径部は、撮影光軸OAから見た輪郭形状がDカット加工の施されたレンズ14aの外形形状(図3参照)に適合する形状とされている。また、小内径部の後側(撮像素子13側)すなわち鏡筒15の後端には、嵌合されて収容した光学素子群14の脱落を防止するための内縁突起部15cが設けられている。この鏡筒15の保持孔15bに光学素子群14が収容される。
光学素子群14は、画像取得のために任意の位置に結像させるものであり、少なくとも1つ以上の光学素子を有し、撮像装置100(撮像光学系12)において求められる光学性能に応じて適宜構成される。この光学素子群14は、この具体例では、最も被写体(物体)側に位置する対物レンズとしてのレンズ14aから、撮影光軸OAに沿って複数の光学素子(レンズや絞り等(図2の各レンズ14a〜14h(絞り14eを含む)に相当する))で形成されている。なお、図9においては、図面の簡素化を図るために、光学素子群14におけるレンズ14a以外の複数の光学素子を単一の光学素子14pとして示している。
このレンズ14aには、上述したように、Dカット加工が施されて、領域14a2(図3参照)が形成されている。レンズ14aは、鏡筒15の保持孔15bの大内径部に嵌合可能とされている。この光学素子群14は、大内径部側(被写体(物体)側)の開口から、光学素子14p、封止部材21およびレンズ14aの順に、鏡筒15の保持孔15bへと挿入される。封止部材21は、撮影光軸OA方向で見てD字状を呈する環状のシール部材である。
この保持孔15bに挿入された光学素子群14は、抜止部材22により、大内径部側の開口から脱落することが防止される。この抜止部材22は、鏡筒15の拡径部の外周面を取り巻くことが可能な大きさ寸法および形状(撮影光軸OA方向で見てD字状(図9参照))とされた筒状を呈し、前端部(被写体側の端部)がレンズ14aの前面の周縁部(有効エリアの外側位置)に外方(前側)から当接可能な径寸法とされている。抜止部材22は、保持孔15bに光学素子群14が適切に挿入された状態において、レンズ14aを鏡筒15の後側(後述する撮像素子13側)へと押圧しつつ鏡筒15の拡径部を覆うように、内周面の後端側に塗布された接着剤により鏡筒15に取り付けられる。これにより、レンズ14aの後面と保持孔15bの大内径部との間に配置された封止部材21が適切に圧縮される。このため、撮像光学系12では、適切に圧縮された封止部材21により、レンズ14aの周囲から鏡筒15の内方(保持孔15b)への水や塵埃等の侵入が防止されており、十分な封止性能を有している。このように、撮像光学系12では、鏡筒15により封止的に光学素子群14(その対物レンズとなるレンズ14a)が保持され、所望の光学性能を有している。この撮像光学系12の光学素子群14の結像位置に、電装基板部30が配置される。
電装基板部30は、基板31に撮像素子13と電子部品32とが実装されて構成されている。撮像素子13は、上述したようにCCDイメージセンサであり、撮像光学系12(光学素子群14)を通して受光面13a上に結像された被写体像を電気信号(画像データ)に変換して出力する。電子部品32は、撮像素子13における動作の制御や撮像素子13から出力された電気信号に基づく被写体像に対応したデジタル画像データの生成等を行い、そのデジタル画像データを所定の信号(例えば、NTSC(National Television System Committee)のアナログ信号)に変換して電線18へと出力する。
この電装基板部30では、基板31における撮像素子13が実装された面に、結合部材33が設けられている。この結合部材33は、撮像光学系12(光学素子群14)の結像位置を撮像素子13の受光面13a上とすべく、撮像素子13が実装された基板31を鏡筒15に結合するものである。結合部材33は、この具体例では、鏡筒15の縮径部の内方への挿入を許すとともに撮像素子13を内方に位置させることを可能とする断面L字状の円筒状を呈し、内周面に結合部材側ネジ溝としてのネジ溝33aが設けられている。このネジ溝33aは、鏡筒15の縮径部の外周面に設けられたネジ溝15aとの螺合が可能とされている。この結合部材33は、撮像素子13を取り囲むように後端面が基板31に当接された状態で、図示を略すネジ部材による螺合により当該基板31に固定されている。この電装基板部30(結合部材33)の鏡筒15(縮径部)への固定、および取付壁部11と鏡筒15との固定のために、2つのナット状部材23、24が設けられている。
両ナット状部材23、24は、鏡筒15の縮径部への挿通を可能とする環状部材であり、内周面に鏡筒15の縮径部の外周面に設けられたネジ溝15aとの螺合が可能なネジ溝23a、24aが設けられている。鏡筒15において拡径部側に配置される前側ナット状部材23は、取付壁部11と鏡筒15とを固定するものである。また、鏡筒15において内縁突起部15c側に配置される後側ナット状部材24は、電装基板部30(結合部材33)を鏡筒15(縮径部)に固定するものである。
この撮像装置10では、取付壁部11の挿通孔11cの内方突出部11dと、鏡筒15の大径部と、の間に封止部材25を介在させて、鏡筒15(そのネジ溝15a)に螺合した前側ナット状部材23(そのネジ溝23a)を、鏡筒15に対して適宜回転させる(締め付ける)ことにより、取付壁部11と鏡筒15とが圧接されて固定されている。この封止部材25は、環状のシール部材であり、Dカット加工されたレンズ14aの形状に適合された取付壁部11および鏡筒15と同様に、撮影光軸OA方向で見てD字状を呈している。封止部材25は、互いに圧接された取付壁部11と鏡筒15とにより適切に圧縮される。このため、適切に圧縮された封止部材25により、取付壁部11の外表面S側(対物レンズとなるレンズ14aが露出された側)からの、取付壁部11と鏡筒15(撮像光学系12)との間での水や塵埃等の侵入が防止されており、十分な封止性能を有している。
また、撮像装置10では、ピント調整が為された状態であって、上述したようにレンズ14aにDカット加工が施されることにより形成された除去領域Iaを取得領域Ig内に位置させないように(図8参照)、すなわち遮蔽領域SAが画像上から除外されるように、撮像光学系12(光学素子群14)に対する撮像素子13の位置が設定されて、鏡筒15(そのネジ溝15a)に螺合した後側ナット状部材24(そのネジ溝24a)を、鏡筒15に対して適宜回転させる(締め付ける)ことにより、鏡筒15と結合部材33すなわち撮像素子13とが固定されている。
この具体例では、このように位置決め固定された撮像装置100は、図9および図10に示すように、その取付壁部11に後側筐体部17を封止的に結合されている。このため、撮像装置100では、筐体16により取付壁部11の裏面側における外方からの撮像光学系12および電装基板部30への防水機能および防塵機能を有している。この撮像装置100は、後側筐体部17の両取付突起17bを介して所望の箇所に取り付けることが可能であり、この具体例では、図11に示すように、車両Cの後端位置(図示の例ではトランクリッドの後端面の上部)で車両Cの後方斜め下側へ向けて設けられている。このとき、撮像装置100は、車両Cが通常の状態で水平面上にあるものとすると、レンズ14aの撮影光軸OA周りでの姿勢が、Dカット加工により除去された領域14a2を鉛直方向上側に位置させるものとなるように取り付けられている。このため、撮像装置100は、全体に小さな構成であるにも拘らず、スミアの発生を抑制することができるとともに高い光学性能を有し、かつ全方位に対して封止性能を有するものとすることができる。このことから、この撮像装置100は、後方視認支援機構80を構成する車載カメラ(図1参照)として用いることにより、運転者による視認を適切に支援することができる。
この具体例の撮像装置100は、基本的には図2の撮像装置10と等しい構成であることから、同様の効果を得ることができる。
すなわち、撮像装置100では、後方視認支援機構80を構成すべく車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象として車両Cの後端位置に設けられており、その取得する画像上において太陽光が入射する可能性が高い箇所を遮蔽領域SAに設定していることから、太陽光に起因するスミアの発生を防止することができる。
また、撮像装置100では、撮像光学系12の光学素子群14において入射面を規定する対物レンズとなるレンズ14aにDカット加工を施していることから、当該レンズ14aの径寸法(撮影光軸OAと直交方向の大きさ寸法)を低減することできるので、光学素子群14の厚さ寸法を抑制することができ、全体としての大きさ寸法(筐体16の外形寸法)を小型化することができる。
さらに、撮像装置100では、撮像光学系12の光学素子群14において、所定の光学性能を満たすべくレンズ14aおよび光学素子14pが設定されているとともに、その各設定を変更することなくレンズ14aにDカット加工を施していることから、撮像光学系12(光学素子群14)における光学的な性能を確保することができる。
撮像装置100では、撮像素子13の位置が、撮像光学系12(光学素子群14)の像面上において、撮像光学系12(光学素子群14)の撮影光軸OAを基準として、被写体像形成領域Iにおいて除去領域Iaが形成された方向とは反対側へ向けて、当該除去領域Iaに相当する寸法(距離)だけ取得領域Ig(その中心位置)が移動するように、撮像光学系12(光学素子群14)に対する位置が設定されていることから、撮像素子13を効率よく利用して撮像光学系12(光学素子群14)により形成される被写体像を取得することができる。
撮像装置100では、撮像素子13としてCCDイメージセンサが採用していることから、広い受光範囲(ダイナミックレンジ)を得ることができるため、夜間でも鮮明な画像を取得することができるので、運転者による車両Cの周辺の視認をより適切に支援することができる。
撮像装置100では、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象とするように車両Cに設けられており、撮像素子13を効率よく利用して撮像光学系12(光学素子群14)により形成される被写体像を取得することができることから、車両Cの後方斜め下側のうちより車両Cに接近した領域を取得することができ、運転者による視認を適切に支援することができる。
撮像装置100では、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象とするように車両Cに設けられており、撮像素子13を効率よく利用すべく撮像光学系12(光学素子群14)の撮影光軸OAに対して受光面13a(取得領域Ig)の中心位置が偏移されていることから、設定した撮影対象において最も重要な箇所を撮影光軸OA上に位置させつつ広範な領域の画像を取得することができるので、撮影対象において最も重要な箇所の画像をより鮮明に取得することができ、運転者による視認をより適切に支援することができる。
撮像装置100では、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象とするように車両Cに設けられており、撮像光学系12の光学素子群14のレンズ14aにDカット加工を施すことにより、当該レンズ14aの径寸法(撮影光軸OAと直交方向の大きさ寸法)を低減して光学素子群14の厚さ寸法を抑制していることから、小型な構成であるにも拘らず、適切な光学性能を有するものとすることができ、運転者による視認を適切に支援することができる。
撮像装置100では、小型化を可能とする構成であることから、車両Cの任意の位置に取り付けることが容易であるので、車両Cの後端位置に設けることを容易なものとすることができる。このように、車両Cの任意の位置への取り付けが容易であることから、電線18の配線のし易さを考慮して車両Cに取り付けることができるので、後方視認支援機構80を構成することも容易なものとすることができる。
撮像装置100では、ネジ溝15aに螺合された前側ナット状部材23の締め付けにより取付壁部11と鏡筒15とが固定されるとともに、ネジ溝15aに螺合された後側ナット状部材24の締め付けにより鏡筒15に結合部材33(電装基板部30の撮像素子13)が固定されていることから、その固定関係をより強固なものとすることができるとともに温度変化に伴う固定強度の変化を抑制することができるので、安定して高品質の画像特性を得ることができる。
撮像装置100では、前側ナット状部材23により固定される取付壁部11と鏡筒15との間で封止部材25が圧縮されていることから、より確実な封止性能を得ることができる。
撮像装置100では、電装基板部30において、結合部材33がネジ部材(図示せず)による螺合により基板31に固定されていることから、電装基板部30すなわち撮像素子13を鏡筒15により強固に固定することができる。このため、例えば、車に搭載された状態での振動等の外乱にも耐えることができ、安定して高品質の画像特性を得ることができる。
撮像装置100では、光学素子群14を保持する鏡筒15に電装基板部30(その結合部材33)が直接固定されている、すなわち鏡筒15と電装基板部30(その結合部材33)との間に他の部材が介在されていないことから、光学的に位置決めされた光学素子群14と撮像素子13(その受光面13a)との結合のための部材を減らすことができるので、各部材における製造誤差や温度変化に起因する変形の影響を低減することができ、より高精度の画像特性を得ることができる。
撮像装置100では、光学素子群14が取付壁部11とは別体の鏡筒15に保持されているとともに、その鏡筒15に電装基板部30(撮像素子13)が固定されていることから、例えば、外気温や日光の照射により外表面Sを形成する取付壁部11が変形してしまった場合であっても、光学的に位置決めされた光学素子群14と撮像素子13(その受光面13a)との位置関係に影響が及ぶことを防止することができるので、安定して高品質の画像特性を得ることができる。
撮像装置100では、鏡筒15と基板31との間が、撮像素子13を取り囲む結合部材33により塞がれていることから、鏡筒15の外方から撮像素子13の受光面13aへの異物の侵入を防止することができるとともに、鏡筒15の外方からの光が撮像素子13の受光面13aに入射することを確実に防止することができるので、より鮮明な画像を得ることができる。
撮像装置100では、鏡筒15(撮像光学系12)と結合部材33(電装基板部30の撮像素子13)とが取付壁部11に対して位置決め固定されるとともに、鏡筒15(撮像光学系12)が取付壁部11に対して封止的に固定されて構成されていることから、後側筐体部17を結合することなく当該取付壁部11を所望の箇所、例えば、電子機器や建物の壁面の一部を構成するように取り付けることで、容易に所望の場所において封止性能を有する監視カメラとして利用することができる。
したがって、本発明に係る撮像装置100では、強い光に起因する画像の劣化を低減することができ、光学的な性能を確保しつつ小型化することができる。
なお、上記した実施例では、本発明に係る撮像装置の一例としての後方視認支援機構80を構成する車載カメラに適用した撮像装置10(100)について説明したが、被写体像を形成すべく少なくとも1つ以上の光学素子を有する撮像光学系と、その撮像光学系により結像された被写体像の取得のための撮像素子と、を備える撮像装置であって、各光学素子のうち最も物体側に位置する対物レンズに撮像光学系の撮影光軸周りで見た特定方向の画角を小さくすべくDカット加工を施すとともに、撮影光軸周りで見て最も強い光が入射する方向を特定方向とするように撮影光軸周りの対物レンズの姿勢が設定されている、もしくは対物レンズに撮像素子で取得する画像上に遮蔽領域を形成すべくDカット加工が施すとともに、撮像素子で取得する画像上で見て最も強い光が入射する位置を遮蔽領域とするように撮像光学系の撮影光軸周りの対物レンズの姿勢が設定されている撮像装置もしくは車載カメラであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、撮像素子13としてCCDイメージセンサを採用していたが、撮像光学系12(光学素子群14)により結像された被斜体像を取得するものであれば、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。ここで、撮像素子13としてCMOSを採用した場合、画像上に上述したようなスミアが発生することはないが、太陽光のような強い光が入射すると、例えば、画像における太陽周辺が極めて明るくなることにより当該画像自体の視認性が低下することや、画像全体としての光量の増加に伴って画像生成の際の露出調整等に影響を及ぼすことから、取得した画像の劣化を招く虞がある。このため、撮像素子13としてCCDイメージセンサ以外の素子を採用した場合であっても、適用される用途に応じて、画像P2における遮蔽領域SA、すなわち撮影光軸OA周りで見て画角を小さくする特定方向および当該画角を設定することで、画角内の強い光に起因する画像の劣化を抑制することができる。
さらに、上記した実施例では、被写体像形成領域Iにおける除去領域Iaが全く取得領域Ig上に位置しないように、撮像光学系12(光学素子群14)に対する撮像素子13の相対的な位置が設定されていたが、撮像素子13により効率よく被写体像を画像として取得することができるものであれば、除去領域Iaの一部を取得領域Ig上に位置させてもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、撮像装置10(100)は、後方視認支援機構80を構成するために、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象として車両Cの後端位置に設けられていたが、運転者による視認を支援するものであれば、例えば、車両Cの側方位置や前方位置を撮影対象とするものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、撮像装置10(100)は、後方視認支援機構80を構成するものとされていたが、適用される用途に応じて撮影対象およびそのための設置位置が決定されて当該設置位置に対する撮影光軸OAが変動しないように固定的に設置されるものであれば、対物レンズ(レンズ14a)にDカット加工を施すことによる、換言すると撮影光軸OA周りで見て画角を小さくする特定方向および当該画角を設定する(画像での遮蔽領域SAを設定する)ことによる、画角内の強い光に起因する画像の劣化の抑制の効果を得ることができるので、例えば、車両における事故の状況を記録するためのドライブレコーダーとしての車載カメラや、車両の車室内の監視カメラや、ATMに搭載する監視カメラ等として広く適用することができ、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、筐体16が、少なくとも撮像光学系12の対物レンズ(この例ではレンズ14a)すなわち鏡筒15の一端部の撮影光軸OAに直交する方向(以下では、径方向ともいう)で見た周囲を取り囲む外表面Sを形成するものであり、撮像装置10の所望の箇所への取り付けを可能とする取付壁部11と、一端開放の箱形状を呈する後側筐体部17と、が結合されて構成されていたが、撮像光学系12および撮像素子13を収容するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、具体例として撮像装置100を示していたが、撮影対象として取得する画像上において強い光が入射する可能性が高い箇所を遮蔽領域SAに設定するように、撮像光学系12の光学素子群14において入射面を規定する対物レンズとなるレンズ14aにDカット加工を施しているものであればよく、撮像光学系12および撮像素子13の周辺の構成が上記した実施例に限定されるものではない。
上記した具体例として撮像装置100では、結合部材33が基板31に固定されていたが、撮像素子13に固定するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。このとき、結合部材33(その後端)は、撮像素子13における有効エリア(実効的な受光面)以外の領域を利用して撮像素子13に取り付ければよい。この構成では、鏡筒15(光学素子群14)と撮像素子13との結合のための部材を減らすことができることから、各部材における製造誤差や温度変化に起因する変形の影響を低減することができるので、より高精度の画像特性を得ることができる。
以上、本発明の撮影装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。