JP2011236976A - 等速自在継手 - Google Patents

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Minoru Ishijima
実 石島
Kenta Yamazaki
健太 山崎
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Abstract

【課題】ガタ打ち音の発生を抑え滑らかに回転作動することができ、しかも、動力源の不安定なトルク出力時の振動を低減し、さらには強度的に優れ、耐久性を有する等速自在継手を提案する。
【解決手段】トルク伝達ボール17とトラック溝12,15とを常時接触状態とする与圧付与手段を配置した等速自在継手である。外側継手部材13のトラック溝12と内側継手部材16のトラック溝15との少なくとも一方において、トルク伝達ボール17の半径をRとしたときに、1.15R<r<2.0Rとなる曲率半径rのトラック溝底部35を設ける。トラック溝底部35からトラック溝開口側に向かって徐々に拡大する傾斜面状となるトラック溝開口部36を設ける。トラック溝開口部36の曲率半径をr1としたときに、1.00R<r1<1.15Rとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械の動力伝達系において使用される等速自在継手に関する。
トルク伝達部材にボールを用いる等速自在継手は、一般的には、内径面に複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、外径面に外側継手部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝が円形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内径面と内側継手部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えている。
このような等速自在継手において、従来には、温度上昇の抑制、耐久性、回転バランス性能、NVH性能の向上等を図ることができるものが種々提案されている(特許文献1〜特許文献3)。
特許文献1では、少なくとも3組のトラックを、対向間隔が一定する第1案内面と、その両端に連続する一対の円弧状第2案内面とでボール転走面を形成するオフセットサーキュラーコンタクトトラックとし、各トラックとボールとの間に略等しい円周方向すきまを設けたものである。また、オフセットサーキュラーコンタクトトラックのそれぞれに半径方向の予圧を付与しているものである。
特許文献2では、少なくとも3組のアンギュラコンタクトトラックを、円周方向中央部に対向間隔が一定するボール案内面と、そのボール案内面の周方向両端にボールに対してアンギュラコンタクトされる一対の相反する方向に傾斜するボール転走面をボールとの間にトラックのすきまを設けて形成したものである。これによって、アンギュラコンタクトトラックは、オフセットアンギュラコンタクトトラックとしている。また、オフセットアンギュラコンタクトトラックに半径方向の予圧を付与しているものである。
特許文献3では、外輪側サーキュラコンタクトトラックおよび内輪側サーキュラコンタクトトラックの周方向中央部に対向間隔が一定するボール案内面を形成する。そして、そのサーキュラコンタクトトラックとアンギュラコンタクトトラックに半径方向の与圧を付与し、サーキュラコンタクトトラックとアンギュラコンタクトトラックのボールに対する円周方向トラックすきまを略等しくしたものである。
実開平4-116018号公報 実開平3-105724号公報 実開平3-105725号公報
しかしながら、前記特許文献1〜特許文献3に記載の構造のものは、予めボールとトラック間に予圧を与えている。これにより、ボールとトラック間のすきまは締め代になるため、ジョイントの回転作動が悪化する要因になっていた。このため、回転作動を滑らかにするためには、ボールとトラック間のすきまを正すきまにする必要があり、回転方向ガタの低減が困難であり、ショックトルク入力時など、ガタ打ち音の発生が懸念される。
本発明の課題は、ガタ打ち音の発生を抑えることができ、しかも、動力源の不安定なトルク出力時の振動を低減し、さらには強度的に優れ、耐久性を有する等速自在継手を提案する。
本発明の等速自在継手は、内径面にトラック溝を形成した外側継手部材と、外径面にトラック溝を形成した内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝とこれに対応する内側継手部材のトラック溝とが協働して形成されるトルク伝達ボールトラックに配設されるトルク伝達ボールと、トルク伝達ボールを保持するケージとを備え、トルク伝達ボールとトラック溝とを常時接触状態とする与圧付与手段を配置した等速自在継手であって、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との少なくとも一方において、前記トルク伝達ボールの半径をRとしたときに、1.15R<r<2.0Rとなる曲率半径rのトラック溝底部を設け、かつ、トラック溝底部から外側継手部材の球面内径及び内側継手部材の球面外径側に向かって徐々に拡大する傾斜面状となるトラック溝開口部を設け、トラック溝開口部の曲率半径をr1としたときに、1.00R<r1<1.15Rとしたものである。
本発明の等速自在継手は、トラック溝底部におけるボール接触領域では、曲率半径はボールの半径よりも大きく、トルク変動による接触位置変化を大きくできて、動力源で発生する角速度変動やトルク変動を継手内部で吸収することができる。また、トラック溝開口部では、曲率半径がボールの半径に近似しているので、大トルクが負荷されて、トラック溝開口部でボールと接触する場合における面圧低減ができる。
しかも、トラック溝とボール間が予め正すきまであっても与圧付与手段によって、トルク伝達ボールとトラック溝とを常時接触状態とすることができ、このため、無負荷状態においても、外側継手部材のトラック溝とトルク伝達ボール、および内側継手部材のトラック溝とトルク伝達ボールがそれぞれ常に接触することになる。
与圧付与手段は、ボールからなる押圧部と、この押圧部に弾性的な押圧力を軸方向に作用させる弾性部材と、この押圧部と弾性部材とを収納するケースとを有するプランジャユニットと、前記押圧部からの押圧力を受ける凹球面状の受け部を有する受け部材とを備え、内側継手部材に軸心孔に嵌入されるシャフトの継手奥側の端部にプランジャユニットを付設するとともに、ケージの継手奥側の開口部に前記受け部材を付設したものとすることができる。
このような与圧付与手段では、シャフト側つまり内側継手部材側からの押圧部によるケージ側の凹球面状の受け部への押圧力付与に、ケージが継手奥側へ押圧され、これによって、トルク伝達ボールとトラック溝とを常時接触状態とすることができる。しかも、押圧部がボールからなるとともに、この押圧部を受ける受け部材は、その受け部が凹球面であり、滑らかに作動角をとることができる。作動角をとらない状態乃至作動角を取る状態においても、トルク伝達ボールとトラック溝とを接触状態とすることができる。
また、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との少なくとも一方が、熱処理後における仕上加工が施されていても、鍛造成形後の熱処理のままであってもよい。
外側継手部材における内径面とトラック溝との境界部と、内側継手部材における外径面とトラック溝との境界部とにそれぞれアール状のトラックチャンファを形成するのが好ましく、外側継手部材および内側継手部材におけるトラック溝と前記トラックチャンファとは、それぞれ、鍛造成形時の同時成形であるのが好ましい。
等速自在継手として、トラック溝底が円弧部のみであるバーフィールド型やトラック溝底が円弧部及び直線部とからなるアンダーカットフリー型の固定式等速自在継手であってもよい。
自動車用駆動軸のアウトボード側の等速自在継手及びインボード側の等速自在継手の少なくとも一方に用いることができ、自動車のプロペラシャフト用等速自在継手に用いることができる。
トルク伝達ボールは3個〜10個であるのが好ましい。
本発明の等速自在継手では、動力源の低トルク領域で発生する角速度変動やトルク変動を継手内部で吸収して、タイヤ側への伝達(車体の振動)を低減することが出来る。また、トラック溝開口部でボールと接触する場合における面圧低減ができ、高い耐久性を確保できる。トラック溝とボールが常に接触する構造とすることで、ガタ打ち音の発生を抑制することが可能となる。
ところで、外側継手部材の内径面とケージの外球面、内側継手部材の外径面とケージの内球面にすきまが存在すれば、これらすきまは、継手の中立状態で内側継手部材または外側継手部材のどちらか一方を固定して他方をラジアル方向またはアキシャル方向に移動させることになる。この移動させる方向によって、ラジアルすきま、アキシャルすきまのように呼ばれる。これらすきまは、内側継手部材・外側継手部材間の円周方向のガタツキ(回転バックラッシュ)に大きく影響を与え、特にトラック溝すきまが大きい程回転バックラッシュも大きくなる。このため、本発明では、トラック溝すきまを生じるのを防止でき、回転バックラッシュを避けることができ、回転バックラッシュを嫌う用途に最適となる。
与圧付与手段は、プランジャユニットと凹球面状の受け部を有する受け部材とを備えたものでは、回転バックラッシュを安定して防止でき、しかも、滑らかに作動角をとることができる。
トラック溝が、熱処理後における仕上加工が施されているものであれば、ボールの転動を滑らかに行うことができ、鍛造成形後の熱処理のままであれば、旋削加工や研削加工を省略することができて、加工性に優れる。特に、外側継手部材のトラック溝とトラックチャンファ、及び内側継手部材のトラック溝とトラックチャンファを同時冷間鍛造仕上げにて形成することによって生産性の向上を図ることができる。
トラック溝との境界部にアール状のトラックチャンファを形成するものでは、高トルク負荷時のボールとの接触楕円のはみ出しによる応力集中を緩和することができる。これによって、より高い耐久性を確保することが可能となる。
トルク伝達ボールが3個〜10個であればよいので、設計自由度が大となって、設計性に優れる。また、種々のタイプの等速自在継手に対応することができる。
本発明の第1の固定型等速自在継手の断面図である。 前記固定型等速自在継手の要部拡大簡略断面図である。 前記固定型等速自在継手の外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝の簡略断面図である。 トラック溝の変形例を示す簡略断面図である。 前記固定型等速自在継手の外側継手部材のトラック溝の簡略展開図である。 前記固定型等速自在継手が作動角を取った状態の断面図である。 前記固定型等速自在継手の要部断面図である。 プランジャユニットの拡大断面図である。 プランジャユニットの組立方法を示す断面図である。 本発明の第2の固定型等速自在継手の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1は本発明の等速自在継手であるバーフィールド型の固定式等速自在継手を示している。この等速自在継手は、内径面11に複数のトラック溝12が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された外側継手部材13と、外径面14に外側継手部材13のトラック溝12と対をなす複数のトラック溝15が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された内側継手部材16と、外側継手部材13のトラック溝12と内側継手部材16のトラック溝15とが協働して形成されるボールトラックにそれぞれ配されたトルク伝達ボール17と、外側継手部材13の内径面11と内側継手部材16の外径面14との間に介在してボール17を保持するケージ(保持器)18とを備えている。なお、ケージ18は周方向に沿って所定ピッチで配設されるポケット21が設けられ、このポケット21にトルク伝達ボール17が保持される。この実施形態における固定式等速自在継手では、トルク伝達ボール17は3個〜10個であればよい
また、内側継手部材16はシャフト嵌入用孔部19が設けられ、このシャフト嵌入用孔部19の内径面に雌スプライン23が形成されている。内側継手部材16のシャフト嵌入用孔部19にシャフト25の端部雄スプライン25aが嵌入され、この端部雄スプライン25aが内側継手部材16の雌スプライン23に嵌合する。なお、端部雄スプライン25aの端部には周方向溝26が設けられ、この周方向溝26に止め輪27が装着されている。
外側継手部材13において、図5に示すように、開口縁全周に沿って形成される入口チャンファ(カップ入口チャンファ)30が形成され、内径面11とトラック溝12との境界部には、トラックチャンファ31が形成され、トラック溝12とカップ入口チャンファ30との境界部にはトラック入口チャンファ32が形成されている。
また、内側継手部材16において、外径面14とトラック溝15との境界部とにトラックチャンファ33(図4参照)が形成される。なお、図2と図3においては、トラックチャンファ31、33の図示を省略している。また、トラックチャンファ31、33としては、アール状であっても、テーパ面状であってもよい。
外側継手部材13のトラック溝12を、図2と図3に示すように、トラック溝底側の傾斜が小さいトラック溝底部35と、トラック溝開口側の除々に傾斜が大きくなるトラック溝開口部36,36とに分離している。すなわち、トラック溝底部35においては、ボール17の半径をRとし、トラック溝底部35の曲率半径をrとしたときに、1.15R<r<2.0Rとする。
トラック溝開口部36においては、トラック溝底側からトラック溝開口側に向かって傾斜が大きくなるように曲率を変化させている。ボール17の半径をRとし、トラック溝開口部36,36の曲率半径をr1としたときに、1.00R<r1<1.15Rとする。
ところで、外側継手部材13においては、トラック溝12、入口チャンファ(カップ入口チャンファ)30、トラックチャンファ31、及びトラック入口チャンファ32が機械加工或は冷間鍛造仕上げにより形成される。特に、外側継手部材13のトラック溝12とトラック入口チャンファ32とを同時冷間鍛造仕上げにより形成し、外側継手部材13のトラック溝12とトラックチャンファ31を同時冷間鍛造仕上げにより形成してもよい。
また、内側継手部材16においても、トラック溝15とトラックチャンファ33とは同時冷間鍛造仕上げにより形成してもよい。
また、各トラック溝12,15の内面は熱処理が施される。この熱処理は表面硬化処理であり、浸炭焼入焼戻し処理であっても、表面硬化処理が高周波焼入焼戻し処理であってもよい。高周波焼入れ焼戻し処理は、高周波誘導加熱を利用して被加熱物の表面を焼入れ温度まで急速加熱し、さらに急速冷却することにより表面層に焼入れ硬化層を作る処理である。耐摩耗性を向上させ、機械的性質を高めることができる。また、浸炭焼入処理とは、低炭素材料の表面から炭素を浸入/拡散させ、その後に焼入れを行う処理である。鋼の場合、炭素濃度の高い表面付近は硬くて圧縮の残留応力をもち、また炭素濃度の低い内部は、じん性の高い低炭素マルテンサイトとなる。これにより、強靭で耐摩耗の高い特性を与えることができる。このような焼入処理を行うことによって、形成される外側継手部材の耐久性の向上を図ることができる。
このような熱処理後においては、旋削加工や研削加工等の機械加工による仕上加工が施されていても、鍛造成形後の熱処理のままであってもよい。トラック溝12,15が、熱処理後における仕上加工が施されているものであれば、ボール17の転動を滑らかに行うことができ、鍛造成形後の熱処理のままであれば、旋削加工や研削加工を省略することができて、加工性に優れる。
ケージ18の外球面18aは外側継手部材13の内径面11と球面接触し、ケージ18の内球面18bは内側継手部材16の外径面14と球面嵌合している。そして、外側継手部材13の内径面11の中心と、内側継手部材16の球状外面の中心は継手中心Oと一致している。これに対して、外側継手部材13のトラック溝12の中心O1と、内側継手部材16のトラック溝15の中心O2は、軸方向で、互いに逆方向に等距離だけオフセットしている。このため、一対のトラック溝12,15により形成されるボールトラックは、外側継手部材13の奥部側から開口側に向かって拡がる楔状を呈している。
この固定型等速自在継手において、図6に示すように外側継手部材13と内側継手部材16とがどのような折り曲げ角、つまり作動角θをとっても、ケージ18に案内されたボール17は常に作動角θの二等分線に垂直な平面内に維持され、継手の等速性が確保される。
この固定型等速自在継手は、トラック溝12,15のラジアルすきまを詰める与圧付与手段が設けられている。与圧付与手段は、弾性的な押圧力を軸方向に作用させる押圧部52と、押圧部からの押圧力を受ける受け部58とを有する。すなわち、シャフト2の軸端に、この与圧付与手段の要部を構成するプランジャユニットUを取付けている。
プランジャユニットUは、図8に示すように、先端部が前記押圧部52となるボールからなる押圧部材53と、圧縮コイルバネからなる弾性部材54と、押圧部材53と弾性部材54とを収容するケース55とからなるアッセンブリ体である。
ケース55は、円筒状の周壁59と底壁60とを有する有底筒状体からなる。底壁60はその中央部に内部側へ凹む凹部61が設けられ、これによって、底壁60の内面の外周側に環状の凹溝62が形成されている。また、ケース55の開口縁部には、内径側に突出する係止部63と、外径方向に突出するフランジ部64とが形成されている。
ボールからなる押圧部材53は、その直径(外径)をケース55の周壁59の内径と略同一又は周壁59の内径よりも僅かに小さくしている。係止部63の内径を押圧部材53の外径よりも小さくしている。
前記弾性部材54は、押圧部材53と底壁60との間においてケース55内に収容される。弾性部材54は、開口部側の端部54aに押圧部材53の一部が嵌入し、その反開口部側の端部54bが前記凹溝62に嵌合している。これによって、弾性部材54は押圧部材53を軸方向に矢印A方向に弾性的に押圧している。前記係止部63は押圧部材53のケース55からの飛び出しを規制している。
前記のように構成されたプランジャユニットUは、図9に示すように、シャフト2の軸端に形成されたケース圧入孔(凹陥部)20に矢印B方向に沿って圧入される。
図1等に示すように、ケージ14の外側継手部材13の奥側端部には受け部材56を取り付けている。この受け部材56は、ケージ18の端部開口を覆う蓋状をなし、部分球面状の球面部56aとその外周に環状に形成された取付け部56bとで構成される。球面部56aの内面(シャフト2と対向する面)は凹球面で、この凹球面は押圧部52からの押圧力を受ける受け部58として機能する。取付け部56bは、ケージ18の端部に圧入、溶接等の適宜の手段で固定されている。
この等速自在継手のシャフト2が作動角をとった際に、プランジャユニットUの押圧部52と受け部材56の受け部58間をスムーズに摺動させるため、図7に示すように凹球面状の受け部58の内径寸法Roは、押圧部52を有するボール53の外径寸法ro(図1参照)よりも大きくする(Ro>ro)。また、作動角θ(図6参照)をとった際の受け部材56と内側継手部材16との干渉を防止するため、受け部58の内径寸法Roは、内側継手部材16の外径面14の外径寸法Riよりも大きくする(Ro>Ri)。
以上の構成において、シャフト25のセレーション軸部と内側継手部材16をセレーション結合し、止め輪27を装着して両者が完全に結合されると、プランジャユニットUの押圧部52と受け部材56の受け部58とが互いに当接し、押圧部材(ボール)53が退入して弾性部材(圧縮コイルばね)54が圧縮される。すなわち、等速自在継手の各構成部材を組み付けた状態で、プランジャユニットUの押圧部52と受け部材56の受け部58とが互いに当接し、ボール53が圧縮コイルばね54の弾性力に抗して退入動作し、そのプランジャユニットUの押圧部52が適正な押圧力でもって受け部58を押圧して予圧を付与する。
このため、シャフト25と一体化された内側継手部材16が、弾性力により外側継手部材13の開口側に軸方向変位し、この変位によりトラック溝12、15に配置されたボール17とトラック溝12、15のすきまが縮小されるため、トラック溝12、15のアキシャルすきまが詰められる。
本発明の等速自在継手は、トラック溝底部35、38におけるボール接触領域では、トルク変動による接触位置変化を大きくでき、動力源で発生する角速度変動やトルク変動を継手内部で吸収することができる。これによって、タイヤ側への伝達(車体の振動)を低減することが出来る。また、トラック溝開口部36,39では、曲率半径がボール17の半径に近似しているので、大トルクが負荷されて、トラック溝開口部36,39でボール17と接触する場合における面圧を低減できる。これによって、高い耐久性を確保できる。
ところで、トラック溝底部35、38において、曲率半径rが1.15R以下であれば、曲率半径rが小さすぎて、ボール17の半径に近似してトルク変動による接触位置変化を大きくでず、曲率半径rが2.0R以上であれば、曲率半径rが大きすぎて、トラック溝幅が大きくなる。また、トラック溝開口部36,39において、曲率半径rが1.00R以下であれば、曲率半径rがボール17の半径よりも小さすぎて、ボール17の滑らかな転動が損なわれ、曲率半径rが1.15R以上であれば、曲率半径rが大きくなりすぎて面圧低減を図ることができない。
しかも、与圧付与手段によって、トルク伝達ボール17とトラック溝12,15とを常時接触状態とすることができ、このため、無負荷状態においても、外側継手部材13のトラック溝12とトルク伝達ボール17、および内側継手部材16のトラック溝15とトルク伝達ボール17がそれぞれ接触することになる。従って、ガタ打ち音の発生を抑制することが可能となる。
ところで、前記与圧付与手段では、シャフト25側つまり内側継手部材16側からの押圧部52によるケージ18側の凹球面状の受け部58への押圧力付与により内側部材16が外側部材13のカップ開口側に向かって移動するため、くさび状に成形されたトラック溝12,15とトルク伝達ボール17を接触状態とすることができる。しかも、押圧部52がボール53からなるとともに、この押圧部52を受ける受け部材56は、その受け部58が凹球面であり、滑らかに作動角をとることができる。このため、トラック溝すきまを生じるのを防止でき、回転バックラッシュを安定して防止でき、しかも、滑らかに作動角をとることができる。
トラック溝12,15が、熱処理後における仕上加工が施されているものであれば、ボール17の転動を滑らかに行うことができ、鍛造成形後の熱処理のままであれば、旋削加工や研削加工を省略することができて、加工性に優れる。特に、外側継手部材13のトラック溝12とトラックチャンファ31、及び内側継手部材16のトラック溝17とトラックチャンファ33を同時冷間鍛造仕上げにて形成したりすることによって生産性の向上を図ることができる。
前記等速自在継手においては、図4に示すように、外側継手部材13における内径面11とトラック溝12との境界部と、内側継手部材16における外径面14とトラック溝15との境界部とにそれぞれアール状のトラックチャンファ31、33を形成するのが好ましい。
このようにアール状のトラックチャンファ31、33を設けることによって、高トルク負荷時のボール17との接触楕円のはみ出しによる応力集中を緩和することができる。これによって、より高い耐久性を確保することが可能となる。
また、トルク伝達ボールが3個〜10個であればよいので、設計自由度が大となって、設計性に優れる。また、種々のタイプの等速自在継手に対応することができる。
次に、図10はアンダーカットフリータイプの固定式等速自在継手であって、この等速自在継手は、内球面(内径面)41に複数のトラック溝42が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された外側継手部材43と、外球面44に外側継手部材43のトラック溝42と対をなす複数のトラック溝45が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された内側継手部材46と、外側継手部材43のトラック溝42と内側継手部材46のトラック溝45との間に介在してトルクを伝達する複数のボール47と、外側継手部材43の内球面41と内側継手部材46の外球面44との間に介在してボール47を保持するケージ48とを備えている。ケージ48には、ボール47が収容されるポケット49が周方向に沿って複数配設されている。
また、外側継手部材43のトラック溝42は、奥側が円弧部42aとされ、開口側が直線部42bとされる。内側継手部材46のトラック溝45は、奥側が直線部45aとされ、開口側が円弧部45bとされる。内側継手部材46のトラック溝45の曲率中心O2および外側継手部材43のトラック溝42の曲率中心O1は、継手中心Oに対して等距離F、Fだけ軸方向に逆向きにオフセットされている。
この場合も、トラック溝42、45は図1と図2に示すように、トラック溝底側にトラック溝底部35、38を形成するとともに、トラック溝開口側のトラック溝開口部36,36、39,39を備えるものである。
さらには、外側継手部材43において、開口縁全周に沿って形成される入口チャンファ(カップ入口チャンファ)50が形成され、内径面41とトラック溝42との境界部には、トラックチャンファが形成され、トラック溝42とカップ入口チャンファ50との境界部にはトラック入口チャンファが形成されている。また、内側継手部材46において、外径面44とトラック溝45との境界部とにトラックチャンファが形成される。
この場合も、トラック溝42、入口チャンファ(カップ入口チャンファ)、トラックチャンファ、及びトラック入口チャンファが冷間鍛造仕上げにより形成される。特に、外側継手部材43のトラック溝42とトラック入口チャンファとを同時冷間鍛造仕上げにより形成し、外側継手部材43のトラック溝42とトラックチャンファ、内側継手部材46のトラック溝45とトラックチャンファを同時冷間鍛造仕上げにより形成する。
また、この固定式等速自在継手であっても、図1に示す与圧付与手段が設けられる。図10に示す固定式等速自在継手の与圧付与手段であっても、図1に示す与圧付与手段と同様の構成であるので、同一部材を図1と同一の符号を附してそれらの説明を省略する。
このアンダーカットフリータイプの固定式等速自在継手であっても、図1に示すバーフィールドタイプの固定式等速自在継手と同様の作用効果を奏する。このように、本発明は、種々のタイプの等速自在継手に対応することができる。このため、自動車用駆動軸のアウトボード側の等速自在継手及びインボード側の等速自在継手の少なくも一方に用いたり、自動車のプロペラシャフト用等速自在継手に用いたりすることができる。なお、自動車等の車両に組付けた状態で車両の外側となる方をアウトボード側、自動車等の車両に組付けた状態で車両の内側となる方をインボード側という。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝とにおいて、トラック溝底部とトラック溝開口部を有するものとしたが、外側継手部材のトラック溝をトラック溝底部とトラック溝開口部を有するものとし、内側継手部材のトラック溝をこのようなトラック溝底部とトラック溝開口部を有さない単一アール形状としたり、内側継手部材のトラック溝をトラック溝底部とトラック溝開口部を有するものとし、外側継手部材のトラック溝をこのようなトラック溝底部とトラック溝開口部を有さない単一アール形状としたりしてもよい。また、チャンファのアール部の曲率半径としては、トラック溝と内径面(又は外径面)とが滑らかに連続するものであれば種々変更することができる。
11 内径面
12,15 トラック溝
13 外側継手部材
14 外径面
16 内側継手部材
17 トルク伝達ボール
18 ケージ
25 シャフト
31、33 トラックチャンファ
35、38 トラック溝底部
36,39 トラック溝開口部
41 内球面(内径面)
42 トラック溝
43 外側継手部材
44 外球面(外径面)
45 トラック溝
46 内側継手部材
47 ボール
48 ケージ
52 押圧部
53 押圧部材
54 弾性部材
55 ケース
56 受け部材
58 受け部
U プランジャユニット

Claims (11)

  1. 内径面にトラック溝を形成した外側継手部材と、外径面にトラック溝を形成した内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝とこれに対応する内側継手部材のトラック溝とが協働して形成されるトルク伝達ボールトラックに配設されるトルク伝達ボールと、トルク伝達ボールを保持するケージとを備え、トルク伝達ボールとトラック溝とを常時接触状態とする与圧付与手段を配置した等速自在継手であって、
    外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との少なくとも一方において、前記トルク伝達ボールの半径をRとしたときに、1.15R<r<2.0Rとなる曲率半径rのトラック溝底部を設け、かつ、トラック溝底部からトラック溝開口側に向かって徐々に拡大する傾斜面状となるトラック溝開口部を設け、トラック溝開口部の曲率半径をr1としたときに、1.00R<r1<1.15Rとしたことを特徴とする等速自在継手。
  2. 与圧付与手段は、ボールからなる押圧部と、この押圧部に弾性的な押圧力を軸方向に作用させる弾性部材と、この押圧部と弾性部材とを収納するケースとを有するプランジャユニットと、前記押圧部からの押圧力を受ける凹球面状の受け部を有する受け部材とを備え、内側継手部材に軸心孔に嵌入されるシャフトの継手奥側の端部にプランジャユニットを付設するとともに、ケージの継手奥側の開口部に前記受け部材を付設したことを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
  3. 外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との少なくとも一方が、熱処理後機械加工による仕上加工が施されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の等速自在継手。
  4. 外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との少なくとも一方が、鍛造成形後の熱処理のままであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の等速自在継手。
  5. 外側継手部材における内径面とトラック溝との境界部と、内側継手部材における外径面とトラック溝との境界部とにそれぞれアール状のトラックチャンファを形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の等速自在継手。
  6. 外側継手部材および内側継手部材におけるトラック溝と前記トラックチャンファとは、それぞれ、鍛造成形時の同時成形であることを特徴とする請求項5に記載の等速自在継手。
  7. 外側継手部材および内側継手部材のトラック溝底が円弧部のみであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の等速自在継手。
  8. 外側継手部材および内側継手部材のトラック溝底が円弧部及び直線部とからなることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の等速自在継手。
  9. 自動車用駆動軸のアウトボード側の等速自在継手及びインボード側の等速自在継手の少なくとも一方に用いたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の等速自在継手。
  10. 自動車のプロペラシャフト用等速自在継手に用いたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の等速自在継手。
  11. トルク伝達ボールが3個〜10個のいずれかであることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の等速自在継手。
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