JP2011236274A - 着色繊維強化複合材用基材及び着色繊維強化複合材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 強化繊維cを一方向に引き揃えた強化繊維束にマトリックス樹脂を含浸させて形成した繊維強化基材2と、その繊維強化基材2の一面に接着している発色要素を備えたフィルム状の着色材3とからなる。フィルム状の着色材3を、繊維強化基材2の半(未)硬化面の接着性を利用して接着してある
【選択図】 図1
Description
(1)マトリックス樹脂のみに着色する製法がある(特許文献1)。
(2)強化繊維のみに着色する製法がある(特許文献2)。
(3)マトリックス樹脂及び強化繊維の両方に着色する製法がある。
(2)強化繊維の表面に他の色を施すことも可能であるが、強化繊維の種類によっては、着色できない若しくは着色すると問題となるものもある。例えば、炭素繊維やアラミド繊維等は着色が困難な繊維種である。
(3)マトリックス樹脂と強化繊維とのいずれにも着色した場合には、上記した難点が重合して現れることとなる。
(4)このような難点を排除すべく、一般的には、塗装や印刷で対応している。しかしこの場合には、専用の塗装装置及びそれらを施す工程を必要とし、製作効率の悪い面があるとともに、塗装厚として十分なものを必要とするので着色繊維強化複合材用基材が重くなり、軽量化の要請がある場合に十分でない面がある。
しかも、そのような専用の塗装装置及びそれらを施す工程が必要となるので、相当数の工程が必要とされ、製造ロッド数の大きなものでなければ、製造コスト面で不利となる虞がある。
請求項1に係る発明の特徴構成は、強化繊維を一方向に引き揃えた強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させて形成した繊維強化基材(シート、若しくはテープ)と、その繊維強化基材(シート)の一面に接着している発色要素を備えたフィルム状の着色材とからなる点にあり、その作用効果は次の通りである。
つまり、マトリックス樹脂や強化繊維に着色を施すことなく、マトリックス樹脂と強化繊維から作成される繊維強化基材(シート)に対してフィルム状の着色材を接着して、着色繊維強化複合材用基材を作成した。
フィルム状の着色材の発色要素によって、マトリックス樹脂を着色した場合に比べてマトリックス樹脂や強化繊維固有の色にも阻害されずに、高い発色性を得ることができるとともに、難着色性の強化樹脂にも拘らず容易に所望の発色を得ることができる。
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記フィルム状の着色材を、前記繊維強化基材の半(未)硬化面の接着性を利用して接着してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
繊維強化基材に対してフィルム状の着色材を接着するのに、接着剤等を用いることなく、繊維強化基材のマトリックス樹脂が有している半(未)硬化面の接着性を利用することによって、フィルム状の着色材を接着している。
このことによって、接着剤を必要とせず、かつ、接着剤を施す工程を省略でき、製作部品点数の増加を抑制できるとともに、製作能率面でも良好な着色繊維強化複合材用基材を提供できるに至った。
請求項3に係る発明の特徴構成は、着色繊維強化複合材用基材(シート、若しくはテープ)の複数を、前記フィルム状の着色材面と前記繊維強化基材面とが反転することなく一方の方向を向く状態で織り込み、織物に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
つまり、着色繊維強化複合材用基材の複数をクロスさせて組み合わせる(布帛化)ことによって、織物を作成できる。このように、一般的な強化繊維だけをクロスさせて織り込んだ織物にマトリックス樹脂を含浸させて形成した繊維強化複合材(プリプレグ)に比べて、本願においては、着色繊維強化複合材用基材の複数をクロスさせたものに新たにマトリックス樹脂を含浸させることはないので、含有樹脂量の少ない軽量でかつ着色繊維強化複合材用基材同士が強固に編み込まれた織物を提供できる。
しかも、前記フィルム状の着色材面と前記繊維強化基材面とが反転することなく一方の方向を向く状態で織り込まれているので、発色面が明確であり、織物としての模様等を形成する場合に、容易に作成しやすい。
更には、織物の表面には強化繊維同士が交差する格子点部位では盛り上がり、強化繊維の存在しない部分では、マトリックス樹脂が凹入する状態で存在するので、織物の表面に凹凸が大きく表れるので、ゴルフシャフトや釣り竿のグリップ等のように、比較的握った状態で滑り難さが要求されるような部位への適用が図られる。
請求項4に係る発明の特徴構成は、請求項1又は2記載の着色繊維強化複合材用基材(シート、若しくはテープ)の複数を一方向に引き揃えて着色繊維強化複合材用基材層を形成し、引き揃えられた着色繊維強化複合材用基材が互いに交差するように、前記着色繊維強化複合材用基材層を複数層に重ね合わせて形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
強化繊維群にマトリックス樹脂を含浸させて作成される一般的な繊維強化基材(プリプレグ)を重ね合わせて作成した繊維強化複合材に比べて、前記した着色繊維強化複合材用基材を引き揃えて着色繊維強化複合材用基材層を形成し、その着色繊維強化複合材用基材層に更にマトリックス樹脂を含浸することなく、その着色繊維強化複合材用基材層だけを重ね合わせて着色繊維強化複合材としたものであるので、含有樹脂量の少ない軽量な着色繊維強化複合材を提供できる。
しかも、前記従来の織物のように着色繊維強化複合材用基材を編み込む必要がなく重ね合わせるだけであるので、着色繊維強化複合材を作成することが容易である。
さらには、着色繊維強化複合材用基材同士が重なる部位においても、織物の場合程その部分が突出することが少ないので、ゴルフシャフトや釣り竿のグリップに使用した場合にも、適度な滑り難さと手に対する圧迫感の少ないグリップとすることができる。
請求項5に係る発明の特徴構成は、前記請求項1又は2記載の着色繊維強化複合材用基材をランダムに絡み合わせて不織布状物に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
着色繊維強化複合材用基材をランダムに絡み合わせてあるので、フィルム状の着色材が散点模様のように散在することとなり、織物や繊維体とは異なった模様を備える着色繊維強化複合材を提供できるに至った。
請求項6に係る発明の特徴構成は、前記複数の着色繊維強化複合材用基材のうちの少なくとも一つの着色繊維強化複合材用基材が、他の着色繊維強化複合材用基材のフィルム状の着色材とは、異なる色に発色するフィルム状の着色材を備えたものである点にあり、その作用効果は次の通りである。
着色繊維強化複合材用基材のフィルム状の着色材を全て同じ色で統一するのではなく、異なる色のものを混在させることによって、着色繊維強化複合材として多様な模様を提示することができ、この着色繊維強化複合材を衣類等に適用することが容易になる。
請求項7に係る発明の特徴構成は、前記複数の着色繊維強化複合材用基材のうちの一部を、フィルム状の着色材を備えていない繊維強化基材に置き換え、前記繊維強化基材と、前記請求項1または2記載の着色繊維強化複合材用基材とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
多様な色を発色させる構成として、フィルム状の着色材を備えていない繊維強化基材を導入する。このことによって、フィルム状の着色材とは異なる樹脂固有の色や表面の質感を呈する繊維強化基材を配することができ、発色の多様性を高めることができる。
請求項8に係る発明の特徴構成は、請求項3〜7のうちのすくなとも2つの着色繊維強化複合材を重ね合わせて形成されている点にあり、その作用効果は次の通りである。
すくなとも2つの着色繊維強化複合材は、樹脂含有率の低いものであるので、これらを重ね合わされて形成される複合体は、軽量なものができ、かつ、色、模様共に多様なものを作成することができる。
ゴルフシャフトや釣り竿等の複合体としての管状体、或いは、衣服や履物等に使用される繊維強化複合体の構成要素である着色繊維強化複合材用基材としての着色繊維強化複合テープ材1について説明する。
図1に示すように、着色繊維強化複合テープ材1は、強化繊維cを一方向に引き揃えた強化繊維束にマトリックス樹脂を含浸させて形成した発色要素を含まない繊維強化基材2と、その繊維強化基材2の一面に接着している発色要素を含むフィルム状の着色材3とからなる。
ここに、強化繊維cとしては、炭素繊維が好ましいが、ガラス繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維等が挙げられ、これらを単独又は複数組み合わせて用いることができる。
以上のように、選択された強化繊維束にマトリックス樹脂を含浸させて、繊維強化基材2が作成される。
フィルム材に含有させる色素としては、天然色素と合成色素(合成染料、合成顔料)とがあるが、主として合成色素が使用され、代表的にはアゾ染料、シアニン色素等が用いられる。また、合成顔料としては、酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム等の無機顔料、アゾ顔料、キナクリドン系、ジオキサジン系等の有機顔料を挙げることができる。
その他、メタルフレーク、ガラスフレークを含有することができる。
つまり、タック性は、繊維強化基材2のマトリックス樹脂の接着面粘度が、30℃において1×104Pa・s〜1×106Pa・s又は80℃において1〜300Pa・sである状態で発揮される。このような繊維強化基材2の接着面が半硬化状態にあるので、敢えて接着剤を使用せずとも、フィルム状の着色材3を接着することができる。
尚、フィルム状の着色材3の表面にはフィルム面を保護する為に、図示してはいないが、クリア塗装層が設けてある。
この実施形態においては、請求項4及び7に対応する実施形態を示す。着色繊維強化複合テープ材1の複数を、それら着色繊維強化複合テープ材1の長手方向が互いに異なる方向を志向する状態で重ね合わせて繊維体に形成してある着色繊維強化複合材Aの構成について説明する。
第5の(シート、若しくはテープ)層の下方に位置する第6の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Fは、第1の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1と平行する状態で配置されるが、それだけでなく、第6の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Fは、紙面に直交する方向から見た場合に、第1の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1A同士の間隔の丁度半分の間隔位置に位置する。
ただし、各(シート、若しくはテープ)層における着色繊維強化複合テープ材1A,1B,1C,1D,1E,1Fが重なり合う位置(格子位置)は一致する必要はない。
(1)各(シート、若しくはテープ)層における着色繊維強化複合テープ材1A,1B,1C,1D,1E,1Fにおいては、少なくとも2つは異なる色に着色されていることが望ましい。
(2)全ての(シート、若しくはテープ)層における繊維強化複合テープ材1A,1B,1C,1D,1E,1Fが着色されたものではなく、一部着色されていない繊維強化複合テープ材1が混在していてもよい。着色されていない繊維強化複合テープ材1としては、フィルム状の着色材3を施していない繊維強化基材2のみからなるもの、又は、繊維強化基材2の一面に発色要素を含まないフィルム状の無着色材とを接着してなる無着色繊維強化複合材が該当する。
(3)繊維強化複合テープ材1を引き揃えて配置した1層分のものが、ゴルフシャフトや釣り竿として、マンドレルに巻回された場合に、4プライ等の複数プライに巻回される大きさを備えているものであってもよい。
(4)第5の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Eを第2の(シート、若しくはテープ)層に含ませ、第6の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Fを、第1の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Aに含ませて、第1層から第4層までの4本の着色繊維強化複合テープ材1A、1B、1C、1Dで着色繊維強化複合材を構成してもよい。
(5)第6の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Fを、第1の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Aに含ませ、かつ、第2の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1B及び第5の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Eを除いて、第1層、第3層、第4層の3本の着色繊維強化複合テープ材1A、1C、1Dで着色繊維強化複合材を構成してもよい。
(6)第5の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Eと第6の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Fとの交差角を、第3の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Cと第4の(シート、若しくはテープ)層の着色繊維強化複合テープ材1Dとの交差角とは、異なる交差角としたもので着色繊維強化複合材を構成してもよい。
ここでは、請求項3及び6に対応した実施形態を説明し、第2実施形態と同様の構成部分については説明を省略する。つまり、図示してはいないが、着色繊維強化複合テープ材1の複数を、フィルム状の着色材面と繊維強化基材面とが反転することなく一方の方向を向く状態で織り込み、織物に形成してある着色繊維強化複合材Aを構成する。
(1)第2実施形態における別実施形態の(1),(2)で記載した別実施形態が適用される。
(2)繊維強化複合テープ材1を編み込んで形成した1層分のものが、ゴルフシャフトや釣り竿を形成する為にマンドレルに巻回された場合に、4プライ等の複数プライに巻回される大きさを備えているものであってもよい。
ここでは、請求項4に対応した実施形態を説明し、第2及び第3実施形態と同様の構成部分については説明を省略する。図示してはいないが、複数の着色繊維強化複合テープ材1をランダムに絡み合わせて不織布状物に形成する。この場合には、第2実施形態、第3実施形態と異なり、各着色繊維強化複合テープ材1は、特定の方向性を持って配列されているわけではなく、無作為の方向性を持って複雑に絡み合っている。
この不織布状物を形成する場合にも、複数の着色繊維強化複合テープ材1とフィルム状の着色材3を備えない繊維強化基材2とを組み合わせた構成を採ってもよい。
(1)第1段階のフリース形成法としては、乾式法(例えばエアレイド方式)がある。着色繊維強化複合テープ材1A,1B,1C,1D,1E,1Fを短く裁断し、空気流中において流動させながら、シート状に形成する。
(2)第2段階のフリース結合法としては、ニードルパンチ法やステッチボンド法等が使用できる。シート状に形成したフリースに対して返しのある針を突き刺して機械的に結合させて、不織布状物とする。
第1実施形態〜第4実施形態において示した着色繊維強化複合材Aを最外層に配置して、請求項8に記載する管状複合体Bを作成する点について説明する。
この管状複合体Bとしては、ゴルフクラブや釣り竿に使用される。
図3に示すように、管状複合体Bは、内側に3層のプリプレグシートを巻回するとともに、その外側に第2実施形態において示した着色繊維強化複合材Aを選択して巻回し作成される。
このようなプリプレグシート4を適宜選択して複数層に巻回して内側層を形成する。
第1実施形態に記載した着色繊維強化複合材用基材1を選択する場合には、この着色繊維強化複合材用基材1を内側層の外側に螺旋状に巻回する。
着色繊維強化複合材Aを巻回した後、その上から熱収縮する成形テープを螺旋状に巻回し、その成形テープが巻かれた着色繊維強化複合材Aを焼成炉において焼成する。焼成後成形テープを剥離し、着色繊維強化複合材Aの表面に形成された螺旋状の成形テープ跡を研磨して均し、管状複合体Bを形成する。
着色繊維強化複合材Aの表面にはクリア層が形成されているので、成形テープ跡を均す為に表面研磨を行った場合であっても、着色テープ3が損傷することは少ない。
なお、第3実施形態で示した織物、及び、第4実施形態で示した不織布状物については、握り部等のその他の部分に使用される。
(1)着色繊維強化複合材用基材1としては、横幅の細いテープ状のものを示したが、矩形状を呈するシート状のものであってもよい。
(2)複合体Bとしては、筒状のものだけでなく、シューズや衣服等も含むものとする。
2 繊維強化基材
3 フィルム状の着色材
A 着色繊維強化複合材
B 複合体
Claims (8)
- 強化繊維を一方向に引き揃えた強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させて形成した繊維強化基材と、その繊維強化基材の一面に接着している発色要素を備えたフィルム状の着色材とからなる着色繊維強化複合材用基材。
- 前記フィルム状の着色材を、前記繊維強化基材の半(未)硬化面の接着性を利用して接着してある請求項1記載の着色繊維強化複合材用基材。
- 請求項1又は2記載の着色繊維強化複合材用基材の複数を、前記フィルム状の着色材面と前記繊維強化基材面とが反転することなく一方の方向を向く状態で織り込み、織物に形成してある着色繊維強化複合材。
- 請求項1又は2記載の着色繊維強化複合材用基材(シート、若しくはテープ)の複数を一方向に引き揃えて着色繊維強化複合材用基材層を形成し、引き揃えられた着色繊維強化複合材用基材が互いに交差するように、前記着色繊維強化複合材用基材層を複数層に重ね合わせて形成してある着色繊維強化複合材。
- 前記請求項1又は2記載の着色繊維強化複合材用基材をランダムに絡み合わせて不織布状物に形成してある着色繊維強化複合材。
- 前記複数の着色繊維強化複合材用基材のうちの少なくとも一つの着色繊維強化複合材用基材が、他の着色繊維強化複合材用基材のフィルム状の着色材とは、異なる色に発色するフィルム状の着色材を備えたものである請求項3〜5のうちのいずれか一つに記載の着色繊維強化複合材。
- 前記複数の着色繊維強化複合材用基材のうちの一部を、フィルム状の着色材を備えていない繊維強化基材に置き換え、前記繊維強化基材と、前記請求項1または2記載の着色繊維強化複合材用基材とで構成してある請求項3〜6のうちのいずれか一つに記載の着色繊維強化複合材。
- 請求項3〜7のうちのすくなとも2つの着色繊維強化複合材を重ね合わせて形成されている複合体。
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