JP2011233679A - 剥離方法及び剥離装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウエハからサポートプレートをより容易に剥離する。
【解決手段】本発明に係る剥離方法は、非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物又は高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成された接着剤層4を介してサポートプレート3が貼着されたウエハ2から、サポートプレート3を剥離する剥離方法であって、接着剤層4に上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を供給する供給工程を包含している。したがって、溶剤の供給時に、ウエハ2に貼り付けられたダイシングテープ5を保護する必要がない。
【選択図】図1

Description

本発明は、支持板が貼着された基板から、支持板を剥離する剥離方法及び剥離装置に関する。
携帯電話、デジタルAV機器及びICカード等の高機能化に伴い、搭載される半導体シリコンチップ(以下、チップ)を小型化及び薄板化することによって、パッケージ内にチップを高集積化する要求が高まっている。パッケージ内のチップの高集積化を実現するためには、チップの厚さを25〜150μmの範囲にまで薄くする必要がある。
しかしながら、チップのベースとなる半導体ウエハ(以下、ウエハ)は、研削することにより肉薄となるため、その強度は弱くなり、ウエハにクラック又は反りが生じやすくなる。また、薄板化することによって強度が弱くなったウエハを自動搬送することは困難であるため、人手によって搬送しなければならず、その取り扱いが煩雑であった。
そのため、研削するウエハにサポートプレートと呼ばれる、ガラス、硬質プラスチック、シリコン等からなるプレートを貼り付けることによって、ウエハの強度を保持し、クラックの発生及びウエハの反りを防止するウエハサポートプレートシステムが開発されている。ウエハサポートプレートシステムによりウエハの強度を維持することができるため、薄板化した半導体ウエハの搬送を自動化することができる。
ウエハとサポートプレートとは、粘着テープ、熱可塑性樹脂、接着剤等を用いて貼り付けられている。サポートプレートが貼り付けられたウエハを薄板化した後、ウエハをダイシングする前に、サポートプレートをウエハから剥離する。例えば、接着剤を用いてウエハとサポートプレートとを貼り付けた場合、接着剤を溶解させてウエハをサポートプレートから剥離する。
特許文献1には、アクリル系の接着剤を用いてウエハとサポートプレートとを貼り付け、その剥離時に、接着剤を溶解するための溶剤をスプレーにより噴霧する技術が記載されている。また、特許文献2には、ウエハからサポートプレートを剥離するときに、ウエハ及びサポートプレートの中心にはスプレーにより溶剤を噴霧し、ウエハに貼り付けられたダイシングテープが露出しているウエハの端部には純水を噴霧してダイシングテープを保護することによって、溶剤によりダイシングテープが汚染されるのを防ぐ技術が記載されている。
特開2003−303922号公報(2003年10月24日公開) 特開2006−135272号公報(2006年5月25日公開)
ダイシングテープの接着層は、通常、アクリル系の接着剤により形成されているため、特許文献1に記載のように、ウエハとサポートプレートとを貼り付けるアクリル系の接着剤を溶解するときに、スプレーにより溶剤を噴霧すると、ダイシングテープが溶剤によって汚染されてしまう。したがって、特許文献2に記載のように、溶剤の供給時にダイシングテープを保護する必要があるが、接着剤を溶解するとき、溶け残りの接着剤を洗浄するとき等に常に純水による保護が必要になる。したがって、より容易にウエハからサポートプレートを剥離することが可能な技術の開発が望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウエハからサポートプレートを、より容易に剥離することが可能な剥離方法及び剥離装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る剥離方法は、非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物又は高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成された接着剤層を介して支持板が貼着された基板から、当該支持板を剥離する剥離方法であって、上記接着剤層に上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を供給する供給工程を包含していることを特徴としている。
また、本発明に係る剥離装置は、非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物又は高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成された接着剤層を介して支持板が貼着された基板から、当該支持板を剥離する剥離装置であって、上記接着剤層に上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を供給する供給手段を備えていることを特徴としている。
本発明に係る剥離方法は、非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物又は高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成された接着剤層を介して支持板が貼着された基板から、当該支持板を剥離する剥離方法であって、上記接着剤層に上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を供給する供給工程を包含しているので、基板から支持板をより容易に剥離することが可能である。
本発明の一実施形態に係る剥離装置による供給工程の概略を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る剥離装置による洗浄工程の概略を示す断面図である。
〔剥離方法及び剥離装置〕
本発明の一実施形態に係る剥離方法及び剥離装置について、図1及び2を参照して以下に説明する。
(供給工程)
本発明の一実施形態に係る剥離方法において、ウエハ2とサポートプレート3とを貼り付けている接着剤層4に溶剤を供給する供給工程について、図1を参照して以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る剥離装置10による供給工程の概略を示す断面図である。供給工程においては、非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物又は高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成された接着剤層4に、非極性溶剤又は高極性溶剤を供給する。接着剤層4に非極性溶剤又は高極性溶剤を供給する方法としては、特に限定されないが、図1に示す剥離装置10のような装置を用いて、接着剤層4を含む積層体1に溶剤を噴霧するスプレー方法や、接着剤層4を含む積層体1を溶剤に浸漬する方法等が挙げられる。
剥離装置10は、ウエハ(基板)2と、接着剤層4を介してウエハ2に貼着されたサポートプレート(支持板)3とを含む積層体1から、サポートプレート3を剥離するための装置である。積層体1のウエハ2側には、ダイシングテープ5が貼り付けられており、ダイシングテープ5はダイシングフレーム6に固定されている。剥離装置10は、積層体1を載置して回転するスピンナー11と、スピンナー11上の積層体1に溶剤を供給するためのノズル(噴霧ノズル)12とを備えている。
スピンナー11は、ダイシングテープ5が貼り付けられた積層体1を、保持台上に載置した状態で回転又は旋回する。スピンナー11はチャッキング機構(図示せず)等によって、積層体1を保持台上に固定している。剥離装置10は、スピンナー11を旋回させながら、ノズル12から積層体1に溶剤を供給することによって、積層体1の全面に溶剤を供給する。
ノズル12は、非極性溶剤又は高極性溶剤を積層体1に供給する供給手段としての噴霧部(図示せず)に備えられており、積層体1のサポートプレート3側から溶剤を積層体1に向かって噴霧する。ノズル12としては、例えば、空気又は窒素等の気流により溶剤を噴霧する2流体ノズルを用いることができる。図1において、ノズル12は、積層体1の中央部に位置しており、積層体1の中央部に対して溶剤を噴霧するようになっているが、ノズル12を積層体1の外周部に配置し、積層体1の外周部に対して溶剤を噴霧するように構成してもよい。積層体1において、サポートプレート3は、その厚さ方向に複数の貫通孔を有しているので、ノズル12から噴霧された溶剤は、サポートプレート3の孔を介して接着剤層4に供給される。
また、ノズル12は、図1に示すように、積層体1に対して平行に移動可能になっており、溶剤を噴霧しながら、積層体1の一方の端部から他方の端部まで移動することによって、積層体1の全面に溶剤を供給するようになっていてもよい。なお、剥離装置10はノズル12を複数備えていてもよく、複数のノズル12を積層体1の中央部及び外周部に配置してそれぞれから溶剤を噴霧させることによって、溶けにくい外周部と中央部とに溶剤を供給することが可能である。その結果、積層体1の全面に溶剤が供給され、溶解時間を短縮することができる。
ここで、接着剤層4は、非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物又は高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物によって形成されている。したがって、ノズル11は、接着剤層4を溶解する溶剤として、非極性溶剤又は高極性溶剤を噴霧する。すなわち、接着剤層4が非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成されている場合、溶剤として非極性溶剤を使用し、接着剤層5が高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成されている場合、溶剤として高極性溶剤を使用する。非極性溶剤及び高極性溶剤としては、後述するものを好適に使用可能である。
このように、本実施形態に係る剥離方法及び剥離装置10によれば、接着剤層4を溶解する溶剤として非極性溶剤又は高極性溶剤を使用するので、溶剤がダイシングテープ5に付着したとしても、ダイシングテープ5にダメージを与えることがない。ダイシングテープ5の接着層は、通常、アクリル系の接着剤により形成されているため、非極性溶剤及び高極性溶剤に対して耐性がある。したがって、ダイシングテープ5に溶剤が付着することを考慮することなく、積層体1に対して溶剤を噴霧して溶剤を供給することができる。
従来の剥離方法においては、ダイシングテープ5に溶剤が付着するとダイシングテープ5がダメージを受けるため、ダイシングテープ5が露出している積層体1の外周部に、ダイシングテープ5を保護するための純水を噴霧しながら、積層体1に溶剤を供給していた。本実施形態に係る剥離方法及び剥離装置10によれば、非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物又は高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物によって形成された接着剤層4によりウエハ2とサポートプレート3とを貼り付けており、その溶剤として非極性溶剤又は高極性溶剤を用いるので、溶剤の供給時にダイシングテープ5を保護する必要がなく、より容易にウエハ2からサポートプレート3を剥離することができる。
(積層体1)
積層体1において、ウエハ2とサポートプレート3とは、接着剤層4により貼り付けられている。本実施形態においては、サポートプレート3として、その厚さ方向に複数の貫通孔を有する孔開きサポートプレート3を用いている。孔開きサポートプレート3を用いることによって、接着剤層4への孔を介した溶剤の供給が可能である。積層体1のウエハ2は、円形状であっても、一部にオリフラを有しており、円形状でないものであってもよい。サポートプレート3は、ウエハ2を保持できる形状であればよいが、ウエハ2に対応する形状であることが好ましい。
(接着剤層4)
接着剤層4は、非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物、又は高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成されている。したがって、接着剤層4は、非極性溶剤又は高極性溶剤によって溶解し、ウエハ2からサポートプレート3を剥離することが可能となる。
非極性溶剤溶解性を示す接着化合物としては、例えば炭化水素樹脂が挙げられる。炭化水素樹脂としては、シクロオレフィンから誘導される構成単位を有する樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられるが、これに限定されない。また、シクロオレフィンから誘導される構成単位を有する樹脂として、シクロオレフィン系ポリマー(以下、「樹脂(A)」ということがある)が挙げられるが、これに限定されない。
前記樹脂(A)としては、シクロオレフィン系モノマー(a1)を含む単量体成分を重合してなる樹脂である。具体的には、シクロオレフィン系モノマー(a1)を含む単量体成分の開環(共)重合体、シクロオレフィン系モノマー(a1)を含む単量体成分を付加(共)重合させた樹脂などが挙げられる。
前記樹脂(A)を構成する単量体成分に含まれる前記シクロオレフィン系モノマー(a1)としては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロキシペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセンなどの四環体、シクロペンタジエン三量体などの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、またはこれら多環体のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)置換体、アルケニル(ビニルなど)置換体、アルキリデン(エチリデンなど)置換体、アリール(フェニル、トリル、ナフチルなど)置換体等が挙げられる。これらの中でも特に、下記一般式(1)で示されるような、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、またはこれらのアルキル置換体からなる群より選ばれるノルボルネン系モノマーが好ましい。
Figure 2011233679
(式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0または1である。)
前記樹脂(A)を構成する単量体成分は、前記シクロオレフィン系モノマー(a1)と共重合可能な他のモノマーを含有していてもよく、例えば、下記一般式(2)で示されるようなアルケンモノマー(a2)をも含有することが好ましい。アルケンモノマー(a2)としては、例えば、エチレン、α−オレフィンなどが挙げられる。前記アルケンモノマー(a2)は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
Figure 2011233679
(式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。)
前記樹脂(A)を構成する単量体成分は、その50質量%以上が前記シクロオレフィン系モノマー(a1)であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上が前記シクロオレフィン系モノマー(a1)であるのがよい。シクロオレフィン系モノマー(a1)が単量体成分全体の50質量%以上であると、高温環境下における接着強度が良好なものとなる。
なお、前記樹脂(A)は、例えば、上述した式(1)で示されるシクロオレフィン系モノマー(a1)と上述した式(2)で示されるアルケンモノマー(a2)とからなる単量体成分を重合させてなる樹脂のように、極性基を有していない樹脂であることが、高温下でのガスの発生を抑制するうえで好ましい。
前記単量体成分を重合する際の重合方法や重合条件等については、特に制限はなく、常法に従い適宜設定すればよい。
前記樹脂(A)として用いることのできる市販品としては、例えば、ポリプラスチックス社製の「TOPAS」、三井化学社製の「APEL」、日本ゼオン社製の「ZEONOR」や「ZEONEX」、JSR社製の「ARTON」などが挙げられる。
前記樹脂(A)のガラス転移点(Tg)は、60℃以上であることが好ましい。特に好ましくは、樹脂(A)のガラス転移点は70℃以上であるのがよい。樹脂(A)のガラス転移点が60℃以上であると、接着剤組成物が高温環境に曝されたときに接着層の軟化を抑制することができる。
前記テルペン系樹脂(以下、「樹脂(B)ということがある」)としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、水添テルペン樹脂が好ましい。
前記樹脂(B)の軟化点は、80〜160℃であることが重要である。樹脂(B)の軟化点が80℃未満であると、接着剤組成物が高温環境に曝されたときに軟化してしまい、接着不良を生じる。一方、樹脂(B)の軟化点が160℃を超えると、接着剤組成物を剥離する際の剥離速度が遅くなる。
前記樹脂(B)の分子量が300〜3000であることが重要である。前記樹脂(B)の分子量が300未満であると、耐熱性が不充分となり、高温環境下において脱ガス量が多くなる。一方、樹脂(B)の分子量が3000を超えると、接着剤組成物を剥離する際の剥離速度が遅くなる。なお、本発明における樹脂(B)の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の分子量を意味するものである。
前記樹脂(A)、前記樹脂(B)はそれぞれ単独で用いても良く、混合して用いても良い。混合して用いる場合、前記樹脂(A)と前記樹脂(B)との配合割合は、(A):(B)=80:20〜55:45(質量比)である。前記樹脂(A)が前記範囲よりも多すぎると(換言すれば、前記樹脂(B)が前記範囲よりも少なすぎると)、接着剤組成物を剥離する際の剥離速度が遅くなり、一方、前記樹脂(A)が前記範囲よりも少なすぎると(換言すれば、前記樹脂(B)が前記範囲よりも多すぎると)、接着剤組成物が高温環境に曝されたときに軟化してしまい、接着不良を生じる。
また、高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物として、例えば、コラーゲンペプチド、セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、でんぷん等が挙げられるが、これに限定されない。
コラーゲンペプチドは、ポリペプチド鎖がらせん状に会合したコラーゲン分子を、加熱により変性させることによって、らせんの一部がほぐれてゼラチン化したものを加水分解することによって生成することができる。コラーゲン分子としては、哺乳類由来のコラーゲン分子及び魚類由来のコラーゲン分子を好適に使用可能である。また、コラーゲン分子としては、一般に市販されているものを用いることができるが、生成されるコラーゲンペプチドの極性溶媒に対する溶解速度が、100〜300nm/secであるようなコラーゲン分子が好ましく、200nm/secであるコラーゲン分子が特に好ましい。
接着剤層4は、非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物及び高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物の何れかによって形成されていればよく、積層体1に施す処理に適したものを適宜選択すればよい。例えば、ウエハ2の薄化プロセスにおいて大量の水を使用するような場合には、高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成したと接着剤層4を用いると、接着剤層4が溶解する可能性があるため、非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成した接着剤層4を用いることが好ましい。
接着剤層4の層厚は、ウエハ2とサポートプレート3との接着及び耐熱性を維持する層厚であればよい。接着剤層4は、ウエハ2又はサポートプレート3上に上記接着化合物を塗布し、これらの上において層状に固化させることによって形成することができる。また、予め接着化合物を層状に固化させたものをウエハ2又はサポートプレート3上に移動させることによって形成してもよい。
(非極性溶剤及び高極性溶剤)
本実施形態に係る剥離方法及び剥離装置10において、接着剤層4に供給される溶剤は、上述した接着化合物により形成された接着剤層4を溶解することができる非極性溶剤又は高極性溶剤である。なお、溶剤の接着剤層4への浸透及び接着剤層4の溶解を促進するために、供給する溶剤の温度を適宜調節してもよい。
非極性溶剤としては、溶解パラメータ(SP値)が8以下の非極性溶媒を溶剤として好適に使用可能であり、SP値が7.4以下の非極性溶媒を使用することがより好ましい。SP値が7.4以下の非極性溶媒として、例えば炭化水素系溶剤のテルペン系溶剤(メンタン、リモネン、ピネン、ピネン等)、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等やフッ素系溶媒等が挙げられる。
高極性溶剤としては、従来公知の極性溶媒を溶剤として好適に使用可能であるが、SP値が10以上の極性溶媒を使用することが好ましく、SP値が12以上の極性溶媒を使用することがより好ましい。SP値が12以上の極性溶媒として、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
ここで、2種類のダイシングテープ(Aテープ(ポリオレフィン樹脂)及びBテープ(塩化ビニル樹脂))を用いて、溶剤の極性の違いによるダイシングテープの溶解を評価した。まず、各ダイシングテープを30mm×50mmにカットし、処理前の重量を電子天秤により測定した。次に、液温23℃(常温)のメンタン(SP値7.0)、MAK(2−ヘプタノン)(SP値9.0)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)(SP値9.2)、エタノール(SP値12.9)、又は水(SP値23.4)の各種溶剤にカットしたダイシングテープを10分間浸漬した。各種溶剤に浸漬したダイシングテープを60℃のオーブンにおいて30分間乾燥させ、処理後の重量を電子天秤により測定した。
その結果、Aテープにおいては、MAK、PGMEA、及びエタノールに対して溶解による重量変化が確認され、低極性溶剤であるメンタン及び高極性溶剤である水に対しては、溶解による重量変化が確認されなかった。また、Bテープにおいても、MAK、PGMEA、及びエタノールに対して溶解による重量変化が確認され、特に、極性溶剤であるMAK及びPGMEAに対しては非常に多く溶解したことが確認された。一方、Bテープにおいても、低極性溶剤であるメンタン及び高極性溶剤である水に対しては、溶解による重量変化が確認されなかった。
(洗浄工程)
本発明の一実施形態に係る剥離方法において、ウエハ2を洗浄する洗浄工程について、図2を参照して以下に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る剥離装置10による洗浄工程の概略を示す断面図である。洗浄工程においては、上記供給工程において溶剤が接着剤層4に供給して接着剤層4が溶解し、サポートプレート3をウエハ2から剥離した後、ウエハ2上に残存する接着剤層4を取り除き、ウエハ2を洗浄する。
洗浄工程においては、非極性溶剤又は高極性溶剤を、サポートプレート3が取り除かれたウエハ2に供給し、ウエハ2上に残存する接着剤層4を溶解させる。ウエハ2に非極性溶剤又は高極性溶剤を供給する方法としては、特に限定されないが、図2に示すように、剥離装置10の洗浄液供給手段としてのノズル12から、ウエハ2に溶剤を噴霧するスプレー方法や、ウエハ2を溶剤に浸漬する方法等が挙げられる。
洗浄工程においても、ウエハ2上に残存する接着剤層4を溶解する溶剤として非極性溶剤又は高極性溶剤を使用するので、溶剤がダイシングテープ5に付着したとしても、ダイシングテープ5にダメージを与えることがない。したがって、ダイシングテープ5に溶剤が付着することを考慮することなく、ウエハ2に溶剤を供給することが可能であり、より容易にウエハ2を洗浄することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る剥離方法及び剥離装置によれば、より容易にウエハからサポートプレートを剥離することができるので、例えば、微細化された半導体装置の製造に好適に利用することができる。
1 積層体
2 ウエハ(基板)
3 サポートプレート(支持板)
4 接着剤層
5 ダイシングテープ
6 ダイシングフレーム
10 剥離装置
11 スピンナー
12 ノズル(噴霧ノズル)

Claims (13)

  1. 非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物又は高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成された接着剤層を介して支持板が貼着された基板から、当該支持板を剥離する剥離方法であって、
    上記接着剤層に上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を供給する供給工程を包含していることを特徴とする剥離方法。
  2. 上記支持板には、厚さ方向に貫通した複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の剥離方法。
  3. 上記供給工程において、上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を上記支持板側から噴霧することを特徴とする請求項2に記載の剥離方法。
  4. 上記供給工程において、少なくとも上記支持板の中央部及び外周部のそれぞれから、上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を噴霧することを特徴とする請求項3に記載の剥離方法。
  5. 上記非極性溶剤は、溶解パラメータが8以下の溶剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の剥離方法。
  6. 上記非極性溶剤は、メンタン、リモネン、ピネン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、及びノナンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の剥離方法。
  7. 上記高極性溶剤は、溶解パラメータが10以上の溶剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の剥離方法。
  8. 上記高極性溶剤は、水、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールからなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の剥離方法。
  9. 上記供給工程後に上記基板から上記支持板を剥離した後、上記基板に上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を供給して上記基板を洗浄する洗浄工程をさらに包含することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の剥離方法。
  10. 非極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物又は高極性溶剤に対して溶解性を示す接着化合物により形成された接着剤層を介して支持板が貼着された基板から、当該支持板を剥離する剥離装置であって、
    上記接着剤層に上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を供給する供給手段を備えていることを特徴とする剥離装置。
  11. 上記支持板には、厚さ方向に貫通した複数の貫通孔が設けられており、
    上記供給手段は、上記支持板側から上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を噴霧する噴霧部を備えていることを特徴とする請求項10に記載の剥離装置。
  12. 上記噴霧部は、上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を噴霧する複数の噴霧ノズルを備えており、当該複数の噴霧ノズルのうち、少なくとも1つは上記支持板の中央部に噴霧可能に設けられており、他の少なくとも1つは上記支持板の外周部に噴霧可能に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の剥離装置。
  13. 上記基板から上記支持板を剥離した後、上記基板に上記非極性溶剤又は上記高極性溶剤を供給する洗浄液供給手段をさらに備えていることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の剥離装置。
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