JP5632761B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
本発明に係る積層体は、厚さ方向に複数の貫通孔が設けられた支持体と、上記支持体によって支持される被支持基材と、上記支持体と上記被支持基材との間に設けられている、2層からなる接着層とを備えており、上記接着層のうち、上記被支持基材側に設けられている第1の接着層は、ガラス転移点が120℃以上である樹脂(A)を含んでおり、上記支持体側に設けられている第2の接着層は、ガラス転移点が80℃以下である樹脂(B)を含んでいればよい。これにより、熱処理工程を経た後であっても、支持体が貼着された被支持基材から当該支持体を短時間で、且つ容易に剥離することができる。
本発明に係る積層体では、樹脂(A)を含む第1の接着層と、樹脂(B)を含む第2の接着層とが積層された構成になっている。第1の接着層はウエハ側に設けられており、第2の接着層はサポートプレート側に設けられている。これら接着層が含む樹脂(A),(B)のガラス転移点が互いに大幅に異なることにより、耐熱性および薬品耐性を兼ね備えた接着層にすることができる。
第1の接着層に含まれる樹脂(A)は、ガラス転移点が120℃以上の樹脂であればよく、好ましくはガラス転移点が120℃以上、200℃以下の樹脂である。樹脂(A)のガラス転移点がこのような範囲内であれば、積層体が高温環境に晒されても接着層の軟化を防ぎ、サポートプレートに形成された孔への沈み込みを防止することができる。
ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環を有するものであればよく、例えば、ノルボルネンおよびノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエンおよびジヒドロキシペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセンなどの四環体、シクロペンタジエン三量体などの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、ならびにこれらの多環体のアルキル(メチル、ブチル、プロピルなど)置換体、アルケニル(ビニルなど)置換体、アルキリデン(エチリデンなど)置換体、およびアリール(フェニル、トリル、ナフチルなど)置換体などが挙げられる。これらの中でも、樹脂(A)としては、特に、ノルボルネンおよびノルボルナジエンなどの二環体が好ましい。
アルケンモノマーは直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。当該アルケンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンおよび1−ヘキセンなどのα−オレフィンが挙げられる。アルケンモノマーは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2の接着層に含まれる樹脂(B)は、ガラス転移点が80℃以下の樹脂であればよく、好ましくはガラス転移点が50℃以上、80℃以下の樹脂である。樹脂(B)のガラス転移点がこのような範囲内であれば、接着層を厚膜化することが可能であり、薬品に対する耐性を向上させることができる。また、剥離時間を短くすることができる。
第1の接着層および第2の接着層は、それぞれ本発明における本質的な特性を損なわない範囲において混和性のある他の物質をさらに含有していてもよい。例えば、接着剤の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤および界面活性剤等、慣用されている各種添加剤をさらに用いてもよい。
本発明に係る積層体は、例えば、以下の方法により製造することができる。
(接着剤の調製)
樹脂(A)としてノルボルネンとエチレンとをメタロセン触媒にて共重合したシクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス社製「TOPAS(商品名)5013」、ノルボルネン:エチレン=40:60(重量比)、ガラス転移点:130℃、Mw/Mn:1.69)を用いて、p−メンタンに溶解させて、固形分濃度15重量%の接着剤(A1)を得た。
まず、シリコン基板に接着剤(A1)を塗布し、100℃,170℃で各3分間ベークして、厚さ15μmの第1の接着層を形成した。次に、形成した第1の接着層の上に接着剤(B1)を塗布し、100℃,170℃,220℃で各5分間ベークして、厚さ35μmの第2の接着層を形成した。その後、第2の接着層の上に孔あきサポートプレートを220℃、圧力0.21kg/cm2で貼り付け、実施例1の積層体を得た。
樹脂(A)としてノルボルネンとエチレンとをメタロセン触媒にて共重合したシクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス社製「TOPAS(商品名)6013」、ノルボルネン:エチレン=45:55(重量比)、ガラス転移点:130℃、Mw:83,300、Mw/Mn:1.72)を用いて、p−メンタンに溶解させて、固形分濃度15重量%の接着剤(A2)を得た。
樹脂(A)としてノルボルネンとエチレンとをメタロセン触媒にて共重合したシクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス社製「TOPAS(商品名)6015」、ノルボルネン:エチレン=50:50(重量比)、ガラス転移点:150℃)を用いて、p−メンタンに溶解させて、固形分濃度15重量%の接着剤(A3)を得た。
樹脂(A)としてノルボルネンとエチレンとをメタロセン触媒にて共重合したシクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス社製「TOPAS(商品名)6017」、ノルボルネン:エチレン=55:45(重量比)、ガラス転移点:170℃)を用いて、p−メンタンに溶解させて、固形分濃度15重量%の接着剤(A4)を得た。
比較例1では、上記接着剤(B1)のみを用いて、接着層が1層からなる単層体を作製した。
シリコン基板に接着剤(B1)を塗布し、100℃,170℃,220℃で各5分間ベークして、厚さ35μmの接着層を形成した。その後、接着層の上に孔あきサポートプレートを220℃、圧力0.21kg/cm2で貼り付け、比較例1の単層体を得た。
比較例2では、上記接着剤(A1)のみを用いて、接着層が1層からなる単層体を作製した。
シリコン基板に接着剤(A1)を塗布し、100℃,170℃,220℃で各5分間ベークして、厚さ15μmの接着層を形成した。その後、接着層の上に孔あきサポートプレートを220℃、圧力0.21kg/cm2で貼り付け、比較例2の単層体を得た。
各実施例および各比較例の接着層を以下の試験項目により評価した。その結果を表1に示す。
続いて、実施例1〜4および比較例1、2の積層体における薬品耐性についてさらに詳細に評価した。その結果を表2に示す。
樹脂(B)として、下記式(3)に示すシクロオレフィンコポリマー(三井化学社製の「APEL(商品名)8008T」Mw=100,000、Mw/Mn=2.1、m:n=80:20(モル比)、ガラス転移点:65℃)を用いて、p−メンタンに溶解させて、固形分濃度25重量%の接着剤(B2)を得た。
実施例6では、上記接着剤(A4)および上記接着剤(B2)を用いて、実施例1と同様の方法により積層体を得た。
比較例3では、上記接着剤(B2)のみを用いて、接着層が1層からなる単層体を作製した。
シリコン基板に接着剤(B2)を塗布し、100℃,170℃,220℃で各5分間ベークして、厚さ35μmの接着層を形成した。その後、接着層の上に孔あきサポートプレートを220℃、圧力0.21kg/cm2で貼り付け、比較例3の単層体を得た。
比較例4では、上記接着剤(A3)のみを用いて、接着層が1層からなる単層体を作製した。
シリコン基板に接着剤(A3)を塗布し、100℃,170℃,220℃で各5分間ベークして、厚さ15μmの接着層を形成した。その後、接着層の上に孔あきサポートプレートを220℃、圧力0.21kg/cm2で貼り付け、比較例4の単層体を得た。
比較例5では、上記接着剤(A4)のみを用いて、接着層が1層からなる単層体を作製した。
シリコン基板に接着剤(A4)を塗布し、100℃,170℃,220℃で各5分間ベークして、厚さ15μmの接着層を形成した。その後、接着層の上に孔あきサポートプレートを220℃、圧力0.21kg/cm2で貼り付け、比較例5の単層体を得た。
各実施例および各比較例の接着層を以下の試験項目により評価した。その結果を表3に示す。なお、評価手法は上記実施例1〜4および比較例1,2と同様の方法を用いて行なった。
続いて、実施例5,6および比較例3〜6の積層体における薬品耐性についてさらに詳細に評価した。その結果を表4に示す。
Claims (3)
- 厚さ方向に複数の貫通孔が設けられた支持体と、
上記支持体によって支持される被支持基材と、
上記支持体と上記被支持基材との間に設けられている、2層からなる接着層とを備えており、
上記接着層のうち、上記被支持基材側に設けられている第1の接着層は、ガラス転移点が120℃以上である樹脂(A)を含んでおり、上記支持体側に設けられている第2の接着層は、ガラス転移点が80℃以下である樹脂(B)を含んでおり、
上記樹脂(A)および上記樹脂(B)が、ノルボルネン又はテトラシクロドデセンと、エチレンとを含む単量体組成物を重合してなることを特徴とする積層体。 - 上記樹脂(A)のガラス転移点が200℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 上記樹脂(B)のガラス転移点が50℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
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