JP6167024B2 - ダイシングシート用基材フィルムおよびダイシングシート - Google Patents
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Description
第1に本発明は、ダイシングシートの基材フィルムであって、前記基材フィルムは、切削片抑制層(A)と、前記切削片抑制層(A)の一方の主面上に積層されたエキスパンド層(B)とを備え、前記切削片抑制層(A)は、芳香族系環および脂肪族系環の少なくとも1種を有する熱可塑性樹脂である環含有樹脂(a1)と、当該環含有樹脂(a1)以外のオレフィン系熱可塑性樹脂である非環式オレフィン系樹脂(a2)とを含有し、前記エキスパンド層(B)は、エチレン系樹脂(b1)と、炭素数が2以上8以下のオレフィンからなる群から選ばれた2種以上を含む単量体(m2)を重合してなるオレフィン系樹脂(b2)とを含有し、前記エキスパンド層(B)の密度は885kg/m3以上920kg/m3以下であり、前記基材フィルムの厚さに対する前記エキスパンド層(B)の厚さの比率が20%以上80%以下であり、前記切削片抑制層(A)を形成するためのせん断速度が100〜103(単位:1/s)における樹脂組成物(α)の温度210℃の粘度の平均値の、前記エキスパンド層(B)を形成するためのせん断速度が100〜103(単位:1/s)における樹脂組成物(β)の温度210℃の粘度の平均値に対する比率は、1/4.5以上4.5以下であることを特徴とする基材フィルムを提供する(発明1)。
1.基材フィルム
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るダイシングシート1は、基本構成として、基材フィルム2上に配置された粘着剤層3を備える。この基材フィルム2は、切削片抑制層(A)と、切削片抑制層(A)の一方の主面上に積層されたエキスパンド層(B)とを備えるものである。
切削片抑制層(A)は芳香族系環および脂肪族系環の少なくとも1種を有する熱可塑性樹脂である環含有樹脂(a1)と、この環含有樹脂(a1)以外のオレフィン系熱可塑性樹脂である非環式オレフィン系樹脂(a2)とを含有する。
(1−1)環含有樹脂(a1)
環含有樹脂(a1)は芳香族系環および脂肪族系環の少なくとも1種を有する熱可塑性樹脂である。
非環式オレフィン系樹脂(a2)は、上記の環含有樹脂(a1)以外の、つまり、芳香族系環および脂肪族系環のいずれも実質的に有さないオレフィン系熱可塑性樹脂からなる。本実施形態において、オレフィン系熱可塑性樹脂とは、前述のとおり、オレフィンを単量体とするホモポリマーおよびコポリマー、ならびにオレフィンとオレフィン以外の分子とを単量体とするコポリマーであって重合後の樹脂におけるオレフィン単位に基づく部分の質量比率が1.0質量%以上である熱可塑性樹脂の総称を意味する。
切削片抑制層(A)は上記の環含有樹脂(a1)および非環式オレフィン系樹脂(a2)に加えて、他の成分を含有してもよい。そのような他の成分として、イソプレンゴムやニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、またはその共重合体などの熱可塑性エラストマー樹脂が例示される。これらの他の成分の切削片抑制層(A)中の含有量は、切削片抑制層(A)の切削片抑制効果が得られる範囲に設定することが好ましい。
エキスパンド層(B)は、エチレン系樹脂(b1)と、炭素数が2以上8以下のオレフィンからなる群から選ばれた2種以上を含む単量体(m2)を重合してなるオレフィン系樹脂(b2)を含有する。
本明細書において、「エチレン系樹脂(b1)」とは、エチレンに由来する構成単位を含む高分子を主成分とする熱可塑性樹脂を意味する。エチレン系樹脂(b1)が有する構成単位全体に対する、エチレンに由来する構成単位のモル比率は、50%以上であることが好ましい。エチレンに由来する構造単位の含有比率は、エチレン系樹脂(b1)を形成する単量体換算で、60質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上99.5質量%以下であることがより好ましい。この場合には、エキスパンド層(B)が形状加工性に優れる、基材フィルム2の一方の主面がエキスパンド層(B)の面からなる場合において基材フィルム2が耐ブロッキング性に優れる(本明細書において、「基材フィルム2が耐ブロッキング性に優れる」と略記する。)、優れたエキスパンド性を有する基材フィルム2が得られるといった特性の少なくとも1つを得ることが実現されやすくなる。
オレフィン系樹脂(b2)を与える単量体(m2)に含まれる炭素数が2以上8以下のオレフィンの具体例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘキセン、2,4−ジメチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、2−エチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン、2−オクテン、2,3,3−トリメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘプテン、2−プロピル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらの中でも、単量体(m2)は、エチレンおよびプロピレンの少なくとも一方を含むことが好ましい。単量体(m2)が炭素数4以上のオレフィンを含む場合には、重合反応を容易に進行させる観点から、かかるオレフィンは、1位の炭素がエチレン性不飽和結合の一部をなすαオレフィンであることが好ましい。さらに、重合反応をより容易に進行させる観点から、αオレフィンの中でも、エチレン性不飽和結合の一部をなす2位の炭素に水素が1つ結合していることが好ましい。
エキスパンド層(B)は上記のエチレン系樹脂(b1)およびオレフィン系樹脂(b2)に加えて、他の成分を含有してもよい。そのような他の成分として、イソプレンゴムやニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、またはその共重合体などの熱可塑性エラストマー樹脂が例示される。これらの他の成分のエキスパンド層(B)中の含有量は、エキスパンド層(B)に由来してエキスパンド性に優れる基材フィルム2が得られることができる範囲に設定することが好ましい。
エキスパンド層(B)の23℃における貯蔵弾性率は220MPa以下であることが好ましい。当該貯蔵弾性率が過度に高い場合には、基材フィルム2のエキスパンド性が高まりにくくなるおそれがある。エキスパンド性に優れる基材フィルム2をより安定的に得る観点から、エキスパンド層(B)の23℃における貯蔵弾性率は210MPa以下であることがより好ましく、200MPa以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る基材フィルム2の厚さは、通常40μm以上300μm以下であり、好ましくは50μm以上200μm以下である。基材フィルム2が複層である場合は、基材フィルム2の総厚のうち、切削片抑制層(A)の厚さは、通常20μm以上120μm以下であり、好ましくは30μm以上100μm以下である。切削片抑制層(A)が上記の厚さであれば、切削片抑制効果がより安定帝に得られやすくなる。エキスパンド層(B)の厚さは、通常20μm以上180μm以下であり、好ましくは30μm以上100μm以下である。エキスパンド層(B)が過度に薄い場合には、エキスパンド層(B)が上記の組成上の特徴を有していても、エキスパンド性に優れる基材フィルム2が得られにくくなることもある。
上記式中、ηは回帰式より求められる任意の温度・せん断速度における粘度(単位:1/s)、γはせん断速度(単位:1/s)、τ*は臨界せん断応力(単位:Pa・s)、cは指数、η0は臨界粘度(単位:1/s)、aは粘度(単位:Pa・s)、Tbは温度係数(単位:K)、Tは温度(単位:K)を示す。
基材フィルム2の製造方法は特に限定されない。Tダイ法、丸ダイ法等の溶融押出法;カレンダー法;乾式法、湿式法等の溶液法などが例示され、いずれの方法でもよい。切削片抑制層(A)に含まれる環含有樹脂(a1)および非環式オレフィン系樹脂(a2)ならびにエキスパンド層(B)に含まれるエチレン系樹脂(b1)およびオレフィン系樹脂(b2)がいずれも熱可塑性樹脂であることを考慮し、生産性高く基材フィルム2を製造する観点から、溶融押出法またはカレンダー法を採用することが好ましい。これらのうち、溶融押出法により製造する場合には、切削片抑制層(A)およびエキスパンド層(B)を構成する成分(例えば、樹脂組成物(α)および樹脂組成物(β))をそれぞれ混練し、得られた混練物から直接、または一旦ペレットを製造したのち、公知の押出機を用いて製膜すればよい。
ダイシングシート1における基材フィルム2以外の構成要素として、基材フィルム2の2つの主面のうち、エキスパンド層(B)よりも切削片抑制層(A)に近位な方の主面上に配置された粘着剤層3、およびこの粘着剤層3の基材フィルム2に対向する側と反対側の面、つまり被切断物に貼付されるための面を保護するための剥離シートが例示される。
粘着剤層3を構成する粘着剤としては、特に限定されず、ダイシングシートとして通常用いられるものを使用することができ、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等の粘着剤が用いられ、また、エネルギー線硬化型(紫外線硬化型を含む)や加熱硬化型の粘着剤であってもよい。また、本実施形態におけるダイシングシート1がダイシング・ダイボンディングシートとして使用される場合には、ウェハ固定機能とダイ接着機能とを同時に兼ね備えた粘接着剤、熱可塑性接着剤、Bステージ接着剤等が用いられる。
粘着剤層3の厚さは、通常は3μmから100μm、好ましくは5μmから80μm程度である。
粘着剤層3を保護するための剥離シートは任意である。
剥離シートとして、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等を用いることができる。また、これらの架橋フィルムを用いてもよい。さらに、これらのフィルムの複数が積層された積層フィルムであってもよい。
なお、剥離シートの厚さについては特に限定されず、通常、20μmから150μm程度である。
上記の基材フィルム2および粘着剤層3、ならびに必要に応じて用いられる剥離シート等の積層体からなるダイシングシート1の製造方法は特に限定されない。
(i)剥離シート上に粘着剤層3を形成し、その粘着剤層3上に基材フィルム2を圧着して積層する。このとき、粘着剤層3の形成方法は任意である。
粘着剤層3の形成方法の一例を挙げれば次のようになる。粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布剤を調製する。ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機によって、基材フィルム2の2つの主面のうち、エキスパンド層(B)よりも切削片抑制層(A)に近位な方の主面に塗布する。基材フィルム2上の塗布剤からなる層を乾燥させることにより、粘着剤層3が形成される。
上記の方法以外の例として、別途シート状に形成した粘着剤層3を基材フィルム2に貼付してもよい。
上記(i)、(ii)の方法以外の例として、別途シート状に形成した粘着剤層3を基材フィルム2に貼付してもよい。
本実施形態に係るダイシングシート1を用いてチップ、特に長辺チップを製造する方法について説明する。
まず、本実施形態に係るダイシングシート1の粘着剤層3の面を、被切断物の一方の主面に貼付する。粘着剤層3の面が剥離シートにより保護されている場合には、その剥離シートをはがして粘着剤層3の面を表出させればよい。この被切断物へのダイシングシート1の貼付を、貼付装置を用いて行う場合には、通常、リングフレームに対するダイシングシート1の貼付も行われる。こうして、リングフレームの開口部内に、ダイシングシート1に貼着した被切断物が位置する積層構造体が得られる。
上記のダイシング工程を経ることにより、ダイシングシート1上には、被切断物が個片化されてなる複数のチップが互いに近接した状態で配置されている。この状態では、一つのチップをピックアップする際に、そのチップが、これに隣接するチップと接触するおそれがあり、このようなチップ接触が生じると、ピックアップが適切に行われなかったり、チップに欠けなどの品質上の問題が生じたりする可能性が高まる。そこで、ダイシング工程後に、ダイシングシート1に張力を付与するエキスパンド工程が行われる。ダイシングシート1に張力が付与されると、ダイシングシート1は主面内方向に伸長してチップ間距離が増大する。このとき、ダイシングシート1におけるチップが貼着している部分は、チップにより固定されているため伸長しにくく、チップが貼着していない部分(カーフ交点の近傍)が主として伸長する。
(基材フィルムの作製)
環含有樹脂(a1)としてのシクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス社製,製品名:TOPAS(登録商標)8007)30質量部と、非環式オレフィン系樹脂(a2)としての低密度ポリエチレン(住友化学社製,製品名:スミカセン(登録商標)L705)70質量部とを、二軸混練機(東洋精機製作所社製,ラボプラストミル)にて210℃で溶融混練し、切削片抑制層(A)を形成するための樹脂組成物(α)を得た。
n−ブチルアクリレート95質量部およびアクリル酸5質量部を共重合してなる共重合体(Mw:500,000)100質量部,ウレタンアクリレートオリゴマー(Mw:8000)120質量部,イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン社,コロネート(登録商標)L)5質量部,光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製,イルガキュア184)4質量部とを混合し、エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た。
得られたエネルギー線硬化型粘着剤組成物を、シリコーン処理された剥離フィルム(リンテック株式会社製,SP−PET3811(S))上に乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥して、粘着剤層と剥離フィルムとからなる積層体を形成した。次いで、この積層体を上記の基材フィルムに貼り合せ、積層体における粘着剤層を基材フィルム上に転写し、これをダイシングシートとした。
実施例1において、エチレン系樹脂(b1)の種類をエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポン社製,製品名:ニュクレルN0908C,密度:930kg/m3)に変更する以外は、実施例1と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例1において、エチレン系樹脂(b1)の種類を直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE,宇部丸善ポリエチレン社製,製品名:ユメリット2040F,密度:918kg/m3)に変更し、エチレン系樹脂(b1)の含有量を90質量部に、オレフィン系樹脂(b2)の含有量を10質量部に変更する以外は、実施例1と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例3において、エチレン系樹脂(b1)の含有量を70質量部に、オレフィン系樹脂(b2)の含有量を30質量部に変更する以外は、実施例3と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例3において、エチレン系樹脂(b1)の含有量を50質量部に、オレフィン系樹脂(b2)の含有量を50質量部に変更する以外は、実施例3と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、切削片抑制層(A)の厚さを20μmに変更し、エキスパンド層(B)の厚さを80μmに変更する以外は、実施例4と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、切削片抑制層(A)の厚さを80μmに変更し、エキスパンド層(B)の厚さを20μmに変更する以外は、実施例4と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、オレフィン系樹脂(b2)の種類を他のαオレフィン共重合体(三井化学社製,製品名:タフマー(登録商標)A−4070S,密度:870kg/m3)に変更する以外は、実施例4と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、オレフィン系樹脂(b2)の種類を他のαオレフィン共重合体(三井化学社製,製品名:タフマー(登録商標)A−4085S,密度:885kg/m3)に変更する以外は、実施例4と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、オレフィン系樹脂(b2)の種類をプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製,製品名:プライムポリプロ(登録商標)F−744NP,密度:900kg/m3)に変更する以外は、実施例4と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、オレフィン系樹脂(b2)の種類を他のαオレフィン共重合体(三井化学社製,製品名:タフマー(登録商標)DF140,密度:905kg/m3)に変更する以外は、実施例4と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例11において、エチレン系樹脂(b1)の種類を他のオレフィン系樹脂(日本ポリエチレン社製,製品名:ノバテックLD LJ802,密度:918kg/m3)に変更する以外は、実施例11と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、エチレン系樹脂(b1)の含有量を100質量部にして、オレフィン系樹脂(b2)を含有させないことに変更する以外は、実施例4と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、エチレン系樹脂(b1)の含有量を40質量部に、オレフィン系樹脂(b2)の含有量を60質量部に変更した。切削片抑制層(A)とエキスパンド層(B)との積層体は耐ブロッキング性に劣ったことから、この積層体の巻収体を適切に展開することができなかった。それゆえ、本例では、ダイシングシートの原材料としての基材フィルムを製造することができなかった。
実施例4において、切削片抑制層(A)の厚さを10μmに変更し、エキスパンド層(B)の厚さを90μmに変更する以外は、実施例4と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、切削片抑制層(A)の厚さを90μmに変更し、エキスパンド層(B)の厚さを10μmに変更する以外は、実施例4と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、オレフィン系樹脂(b2)の種類を他のオレフィン系樹脂(C6−LLDPE,プライムポリマー社製,製品名:エボリュー(登録商標)SP3530,密度:931kg/m3)に変更する以外は、実施例4と同様にしてダイシングシートを製造した。
実施例4において、エチレン系樹脂(b1)の種類を他のオレフィン系樹脂(日本ポリエチレン社製,製品名:ノバテックLD LJ902,密度:915kg/m3)に変更した。かかるオレフィン系樹脂は低粘度であったことから、樹脂組成物(α)および樹脂組成物(β)についての粘度比率2は1/4.5未満となった。このため、樹脂組成物(α)および樹脂組成物(β)の共押出成形を行うことができなかった。
実施例および比較例で製造したダイシングシートの粘着剤層をミラーウエハに貼付した後、ダイシング装置(DISCO社製,DFD−651)にセットし、以下の条件でダイシングを行った。
・ワーク(被切断物):ミラーウエハ
・ワークサイズ:6インチ径,厚さ350μm
・ダイシングブレード:ディスコ社製 27HECC
・ブレード回転数:30,000rpm
・ダイシングスピード:10mm/秒
・切り込み深さ:基材フィルムを粘着剤層との界面から20μmの深さまで切り込み
・ダイシングサイズ:15mm×15mm〔試験例1−1〕
5mm×15mm〔試験例1−2〕
いずれのダイシング条件においても、ダイシングピッチの最大値L(単位:mm)に対する被切断物の外接円の直径D(単位:mm)の比率D/Lは10であった。
A:15mm×15mm角でダイシングした際の切削片の個数が0個以上15個以下
B:15mm×15mm角でダイシングした際の切削片の個数が16個以上20個以下
C:15mm×15mm角でダイシングした際の切削片の個数が21個以上
〔試験例1−2〕
X:5mm×15mm角でダイシングした際の切削片の個数が0個以上10個以下
Y:5mm×15mm角でダイシングした際の切削片の個数が11個以上15個以下
Z:5mm×15mm角でダイシングした際の切削片の個数が16個以上
実施例および比較例で製造したダイシングシートの粘着剤層に6インチウエハを貼付した後、このダイシングシートをフラットフレームに装着して、厚さ20μmのダイヤモンドブレードにより、ダイシングシート上のウエハに対してフルカットのダイシング加工を行って、15mm×15mm角のチップ〔試験例2−1〕または5mm×15mm角のチップ〔試験例2−2〕を得た。いずれのダイシング条件においても、ダイシングピッチの最大値L(単位:mm)に対する被切断物の外接円の直径D(単位:mm)の比率D/Lは10であった。
A:15mm×15mm角でダイシングした際の2条件のいずれについても破断が確認されない
B:15mm×15mm角でダイシングした際の一方の条件において破断が確認された
C:15mm×15mm角でダイシングした際の2条件のいずれについても破断が確認された
〔試験例2−2〕
X:5mm×15mm角でダイシングした際の2条件のいずれについても破断が確認されない
Y:5mm×15mm角でダイシングした際の一方の条件において破断が確認された
Z:5mm×15mm角でダイシングした際の2条件のいずれについても破断が確認された
試験例2−1についてはAおよびBについて良好と判定し、Cを不良と判定した。試験例2−2についてはXおよびYについて良好と判定し、Zを不良と判定した。結果を表2に示す。
2…基材フィルム
(A)切削片抑制層
(B)エキスパンド層
3…粘着剤層
Claims (12)
- ダイシングシートの基材フィルムであって、
前記基材フィルムは、切削片抑制層(A)と、前記切削片抑制層(A)の一方の主面上に積層されたエキスパンド層(B)とを備え、
前記切削片抑制層(A)は、芳香族系環および脂肪族系環の少なくとも1種を有する熱可塑性樹脂である環含有樹脂(a1)と、当該環含有樹脂(a1)以外のオレフィン系熱可塑性樹脂である非環式オレフィン系樹脂(a2)とを含有し、
前記エキスパンド層(B)は、エチレン系樹脂(b1)と、炭素数が2以上8以下のオレフィンからなる群から選ばれた2種以上を含む単量体(m2)を重合してなるオレフィン系樹脂(b2)とを含有し、
前記エキスパンド層(B)の密度は885kg/m3以上920kg/m3以下であり、
前記基材フィルムの厚さに対する前記エキスパンド層(B)の厚さの比率が20%以上80%以下であり、
前記切削片抑制層(A)を形成するためのせん断速度が100〜103(単位:1/s)における樹脂組成物(α)の温度210℃の粘度の平均値の、前記エキスパンド層(B)を形成するためのせん断速度が100〜103(単位:1/s)における樹脂組成物(β)の温度210℃の粘度の平均値に対する比率は、1/4.5以上4.5以下であることを特徴とする基材フィルム。 - 前記エチレン系樹脂(b1)は、エチレンに由来する構造単位の含有比率が、当該樹脂を形成する単量体換算で、60質量%以上100質量%以下である、請求項1に記載の基材フィルム。
- 前記オレフィン系樹脂(b2)を形成するために用いられた前記単量体(m2)は、エチレンおよびプロピレンの少なくとも一方を含む、請求項1または2に記載の基材フィルム。
- 前記エキスパンド層(B)内の前記オレフィン系樹脂(b2)の含有量は、10質量%以上55質量%以下である、請求項3に記載の基材フィルム。
- 前記エキスパンド層(B)の23℃における引張弾性率は220MPa以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の基材フィルム。
- 前記エキスパンド層(B)に含有されるオレフィン系樹脂(b2)の密度は860kg/m3以上910kg/m3以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の基材フィルム。
- 前記エキスパンド層(B)に含有されるオレフィン系樹脂(b2)は、示差走査熱量計により測定された融解ピーク温度が75℃以上、および示差走査熱量計により測定された融解熱が33J/g以上100J/g以下の少なくとも一方を満たす、請求項1から6のいずれか一項に記載の基材フィルム。
- 前記エキスパンド層(B)に含有されるオレフィン系樹脂(b2)は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が70,000以上130,000以下、およびポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対する比率(Mw/Mn)が2以上4.5以下の少なくとも一方を満たす、請求項1から7のいずれか一項に記載の基材フィルム。
- 前記基材フィルムの厚さが50μm以上200μm以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の基材フィルム。
- 請求項1から9のいずれか一項に記載される基材フィルムと、当該基材フィルムの2つの主面のうち、前記エキスパンド層(B)よりも前記切削片抑制層(A)に近位な方の主面上に配置された粘着剤層とを備えたことを特徴とするダイシングシート。
- 請求項1から9のいずれか一項に記載される基材フィルムの製造方法であって、
前記切削片抑制層(A)を形成するための樹脂組成物(α)と前記エキスパンド層(B)を形成するための樹脂組成物(β)とを共押出成形して、前記切削片抑制層(A)と前記エキスパンド層(B)との積層体を得る共押出成形工程を備えることを特徴とする基材フィルムの製造方法。 - 前記共押出成形工程において、前記樹脂組成物(α)および前記樹脂組成物(β)が共押出成形されるべく互いに接したときの、せん断速度が100〜103(単位:1/s)における前記樹脂組成物(α)の粘度の平均値の、せん断速度が100〜103(単位:1/s)における前記樹脂組成物(β)の粘度の平均値に対する比率は、1/4.5以上4.5以下である、請求項11に記載の基材フィルムの製造方法。
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JP2013242296A JP6167024B2 (ja) | 2013-11-22 | 2013-11-22 | ダイシングシート用基材フィルムおよびダイシングシート |
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